説明

リパーゼに媒介される疾患の処置のための化合物

新規なベンゾキノン由来化合物ならびにその多形体およびプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、そのような化合物、多形体、プロドラッグおよび異性体の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、オキシムが提供される。本発明の化合物を調製するためのプロセス、ならびにそのような化合物、およびその活性な多形体、プロドラッグ、異性体、または医薬的に許容可能な塩、エステルを含有する医薬組成物、ならびにリパーゼ遺伝子ファミリーにより媒介される疾患および状態(これらには、過体重、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、膵炎、糖尿病、アテローム性動脈硬化、他の心臓血管疾患、メタボリック症候群、代謝性障害が含まれる)を処置、改善または予防するためにリパーゼ遺伝子ファミリーの活性を低下または阻害するためのそれらの使用、ならびに皮膚、毛髪および化粧品のためのそれらの使用が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素の活性に影響を及ぼすベンゾキノン系の新規な複素環化合物に関連する。本発明は、そのようなベンゾキノン由来化合物を含有する医薬組成物、そのようなベンゾキノン由来化合物を調製するためのプロセス、ならびに、リパーゼファミリーの遺伝子により媒介される疾患および状態に対する選択的な活性を有するその医薬的に許容可能な塩、誘導体、異性体、多形体、その溶媒和物に関連する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
多くの先進国および発展途上国では、激しい労働を伴わない、座っていることの多い生活様式が付随して、高脂肪含有量および低繊維濃度を含有する食事を採用する傾向が増大し続けている。脂肪のそのような過剰な摂取は、座っていることの多い生活様式のためにエネルギーへの脂肪の低下した変換が付随した場合、体液、細胞および組織を含めて、様々なレベルでの体内における脂肪の蓄積をもたらし得る。その結果、糖尿病、心臓血管障害、メタボリック症候群および高血圧のような様々な関連した障害に進行する代謝性障害(例えば、過体重または肥満など)の危険性が高まった集団が着実に増大している。
【0003】
一般に、そのような代謝性障害(具体的には、過体重または肥満)を患う個体のための処置の最初の選択肢では、低脂肪の食事および規則正しい運動を取ることが伴う。しかしながら、そのような処置療法を守ることは十分にはできず、そのため、疾患が進行するに従い、治療薬物による処置が必要になる。
【0004】
従って、様々な研究が、体液、細胞および組織における脂肪の蓄積の結果として引き起こされる臨床的な症状発現を予防および処置するために安全かつ効果的である薬物を開発することに向けられている。従って、体内における脂肪の吸収および蓄積を何らかの様式で低下させることが引き続き必要である。
【0005】
脂肪の蓄積を予防または低下させるための1つの方法が、体内における様々なレベルでの脂肪の消化および吸収を助ける作用因を減少または阻害することによるものである。リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素が、脂質の代謝、吸収および輸送において最も重要である。
【0006】
肝臓リパーゼおよびリポタンパク質リパーゼは、リポタンパク質およびリン脂質の結合、取り込み、異化および再構築を媒介する多機能タンパク質である。リポタンパク質リパーゼおよび肝臓リパーゼは、末梢組織および肝臓において内皮細胞の管腔表面に結合したまま、それぞれ機能する。両方の酵素は、身体からの排出のための、または、再循環のためのいずれかであっても、末梢組織から肝臓へのコレステロールの移動である可逆的なコレステロール輸送に関係する。肝臓リパーゼおよびリポタンパク質リパーゼの両方における遺伝的欠損が、リポタンパク質代謝の家族性障害の原因であることが知られている。リポタンパク質の代謝における欠損は、高コレステロール血症、高脂血症およびアテローム性動脈硬化をはじめとする様々な重篤な代謝性障害をもたらす。
【0007】
リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素は、脂質の消化、吸収、脂肪酸の取り込み、リポタンパク質の輸送から、炎症においても同様に及ぶ幅広い代謝経路に関与する(非特許文献1)。
【0008】
膵臓リパーゼは脂質代謝における重要な酵素の1つである。膵臓リパーゼは、膵臓リパーゼが腸管腔に分泌される膵臓の腺房細胞によって合成され、長鎖トリグリセリド脂肪酸の腸吸収を助ける(非特許文献2;非特許文献3)。
【0009】
トリアシルグリセロールリパーゼの作用は、これらの酵素が血清中のトリアシルグリセロールレベルを低下させ、HDL形成を促進させるので、アテローム産生抑制的であると考えられている(非特許文献4)。リポタンパク質リパーゼは、体内におけるトリグリセリドの分布および利用を担う主要な酵素である。リポタンパク質リパーゼはカイロミクロンおよびVLDLの両方におけるトリグリセリドを加水分解する。肝臓リパーゼはIDLおよびHDLにおけるトリグリセリドを加水分解し、リポタンパク質の再構築に関わる。肝臓リパーゼはまた、ホスホリパーゼとして機能し、HDLにおけるリン脂質を加水分解する。
【0010】
様々なリパーゼメンバーが循環リポタンパク質の代謝において機能する。肝臓リパーゼがHDLコレステロールの取り込みにおいて役割を果たす(非特許文献5)。肝臓リパーゼは、肝臓リパーゼが主に見出される肝臓においてもっぱら合成される(非特許文献6)。
【0011】
リパーゼ遺伝子ファミリーの第3のメンバー、すなわち、リポタンパク質リパーゼ(LPL)が様々な組織に分布し、最大の濃度が脂肪組織および筋肉に存在する。このリパーゼは毛細管の内皮に結合し、毛細管の内皮において、その下の組織に、循環しているカイロミクロンおよびVLDLのトリグリセリド高含有コアに由来する脂肪酸を供給するために機能する(非特許文献7)。このプロセスにおいて、LPLはこれらのリポタンパク質を残遺物粒子およびHDL粒子に転換する。蓄積しつつある証拠から、マクロファージによって血管壁において産生されるLPLは、アテローム性動脈硬化の発達を、病変部内での脂質の蓄積を増進させることによって促進させているかもしれないことが示唆される。LPLは、アテローム性動脈硬化の病理発生に関与することが示されている(非特許文献8)。いくつかのグループもまた、LPLおよび肝臓リパーゼの両方がまた、脂肪分解酵素としてのそれらの従来の役割のほかに、血漿リポタンパク質の代謝におけるリガンドとして働くようであることを提案している(非特許文献9;非特許文献10)。ヒトのリポタンパク質リパーゼまたは肝臓リパーゼを発現するトランスジェニック動物は、血漿トリグリセリドの低下したレベルおよび高密度リポタンパク質(HDL)の増大したレベルを有する(非特許文献11;非特許文献12)。
【0012】
リパーゼ遺伝子ファミリーのより近年に発見されたメンバーが内皮リパーゼである。このリパーゼの機能は現時点では不確実ではあるが、HDL代謝における役割を有すると考えられている(非特許文献13)。
【0013】
脂肪代謝経路におけるリパーゼのますます認識されている潜在的可能性とともに、リパーゼの活性を体内における様々なレベルで阻害または低下させる薬物は、上昇したレベルでの脂肪の蓄積により媒介される疾患を処置するための第一線の治療となる。
【0014】
抗肥満薬物として販売されるリパーゼ阻害剤には、特許文献1に記載されるOrlistat(XENICAL(登録商標))が含まれる。特許文献2は、Orlistatおよび関連化合物、ならびに、膵臓リパーゼを阻害し、高脂血症および肥満を処置することにおけるそれらの使用に関連する。Orlistatは、リパーゼがその脂質標的と相互作用することを妨げることによって腸リパーゼ(例えば、胃リパーゼ、膵臓リパーゼおよびカルボキシルエステルリパーゼなど、特に膵臓リパーゼ)のみを腸管内腔で阻害し、食事性脂肪の消化を阻止する。しかしながら、Orlistatは、脂質の加水分解を触媒することにおいて役割を有するとして同様に認識される腸リパーゼ以外のリパーゼ(例えば、肝臓リパーゼまたは内皮リパーゼなど)に対しては作用を有していないようである(非特許文献14)。Orlistatはまた、不快(比較的有害)な副作用(例えば、下痢など)を高い発生頻度で生じさせる傾向がある。
【0015】
肝臓リパーゼおよび/または内皮リパーゼの活性を阻害する様々な化合物が、肝臓リパーゼおよび/または内皮リパーゼにより媒介される疾患を処置するために特許文献3に開示されている。これらの化合物は主として、肝臓リパーゼおよび/または内皮リパーゼの活性を阻害することによってHDLレベルを増大させることに向けられ、腸リパーゼまたは他のリパーゼを標的とするためには意図されていない。
【特許文献1】米国特許第4598089号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第129748号明細書
【特許文献3】国際公開第2004094393号パンフレット
【非特許文献1】Wong Howard他、2002、The lipase gene family、Journal of Lipid Research、Vol.43:993−999
【非特許文献2】Verger,R.1984、Pancreatic Lipases、Lipases(B.BorgstromおよびH.L.Brockman編、Elsevier、New York、83−150)
【非特許文献3】Lowe,M.E.1997、Molecular mechanisms of rat and human pancreatic triglyceride lipases、J.Nutr.127:549−557
【非特許文献4】Olivecrona,G.およびOlivecrona,T.(1995)、Curr.Opin.Lipid.6:291−305
【非特許文献5】Olivecrona,T.他、1993、Lipoprotein lipase and hepatic lipase、Curr.Opin.Lipidol.4:187−196
【非特許文献6】Hixenbaugh,E.A.他、1989、Hepatic lipase in the rat ovary、J.Biol.Chem.264:4222−4230
【非特許文献7】Olivecrona,T.およびG.Bengtsson−Olivecrona、1993、Lipoprotein lipase and hepatic lipase、Curr.Opin.Lipidol.4:187−196
【非特許文献8】Mead JR他、1999、“Lipoprotein Lipase,a key role in atherosclerosis?”、FEBS Lett.,Nov 26、462(1−2):1−6
【非特許文献9】Nykjaer,A.他、1993、The alpha 2−macroglobulin receptor/low density lipoprotein receptor−related protein binds lipoprotein lipase and beta−migrating very low density lipoprotein associated with the lipase、J.Biol.Chem.268:15048−15055
【非特許文献10】Krapp,A.S.他、1996、Hepatic lipase mediates the uptake of chylomicrons and VLDL into cells via the LDL receptor−related protein(LRP)、J.Lipid Res.37:926−936
【非特許文献11】Shimada,M.他(1993)、J.Biol.Chem.268:17924−17929
【非特許文献12】Liu,M.−S.他(1994)、J.Biol.Chem.269:11417−11424
【非特許文献13】Jaye,M.他、1999、A novel endothelial−derived lipase that modulates HDL metabolism、Nat.Genet.21:424−428
【非特許文献14】Drent ML、van der Veen EA、Lipase inhibition:A novel concept in the treatment of obesity、Int J.Obes.Relat.Metab.Disord.1993;17:241−244
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、脂肪の代謝、吸収および蓄積を、単に特定のタイプのリパーゼではなく、目的とするリパーゼ遺伝子ファミリーのすべてのメンバーの活性を阻害または低下させることによって、体内における体液、細胞および組織を含む様々なレベルで低下または阻害することにおいて有用である新しい化合物を開発することが望ましい。
【0017】
エンベリア・リベス(Embelia ribes)の乾燥果実から得られ、避妊剤として知られている植物ベンゾキノンのエンベリン(2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン)はまた、脂肪生成酵素、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼおよびヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼの活性を上昇させ、その一方で、本質的には脂質分解酵素の活性に影響を及ぼさないことが報告されている(Gupta S.他、Fitoterapia、60(4):331−338(1989))。エンベリンはまた、条虫駆除薬として使用され、また、抗腫瘍性、抗炎症性および鎮痛作用を有するとして使用され(Chitra他、Chemotherapy、40:109(1994))、また、アポトーシスのX連鎖阻害剤(XIAP)の細胞透過性の非ペプチド系阻害剤として使用される(Nikolovska−Coleska他、J.Med.Chem.47:2430(2004))。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、下記の式(I)の化合物を提供する:
【0019】
【化4】

(式中、
およびRはそれぞれが独立して、水素、C〜C13アルキル、C〜C20ハロアルキル、C〜C13アルケニル、C〜C13アルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜C13アルコキシアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルケニル、C〜C13アルキルアミン、C〜C13アリールアミン、C(O)C〜Cアルキル、O−C(O)C〜Cアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アルキルアリール、C(O)アリールおよびO−C(O)アリールからなる群から選択される;ただし、前記基のそれぞれは、水素、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、イソシアノ基、チオ基、C〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から独立して選択される1個〜6個の置換基を場合により有することができる)。
しかしながら、本発明によれば、RおよびRは、メチル、メトキシ、エチル、エトキシ、フェニルおよびヒドロキシではない。
【0020】
本発明はまた、式(I)の化合物およびその誘導体(これには、その多形体、異性体およびプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、ならびに、そのような化合物の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩が含まれるが、これらに限定されない)に関連する。
【0021】
別の局面において、本発明は、脂肪の代謝、吸収および蓄積を、リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害または低下させることによって、体内における体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下または阻害することにおける式(I)の化合物の使用を提供する。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、下記の式(II)の化合物を提供する:
【0023】
【化5】

(式中、
およびRはそれぞれが独立して、C〜C13アルキル、C〜C20ハロアルキル、C〜C13アルケニル、C〜C13アルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜C13アルコキシアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルケニル、C〜C13アルキルアミン、C〜C13アリールアミン、C(O)C〜Cアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アルキルアリールおよびC(O)アリールからなる群から選択される;ただし、前記基のそれぞれは、水素、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、イソシアノ基、チオ基、C〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から独立して選択される1個〜6個の置換基を場合により有することができる)。
しかしながら、本発明によれば、RおよびRは、メチル、エチルおよびフェニルではない。
【0024】
本発明はまた、式(II)の化合物およびその誘導体(これには、その多形体、異性体およびプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、ならびに、そのような化合物の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩が含まれるが、これらに限定されない)に関連する。
【0025】
別の局面において、本発明は、脂肪の代謝、吸収および蓄積を、リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害または低下させることによって、体内における体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下または阻害することにおける式(II)の化合物の使用を提供する。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、下記の式(III)の化合物を提供する:
【0027】
【化6】

(式中、
およびRはそれぞれが独立して、水素、C〜C13アルキル、C〜C20ハロアルキル、C〜C13アルケニル、C〜C13アルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜C13アルコキシアルキル、C〜C13アルキルアミン、C〜C13アリールアミン、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルケニル、C(O)C〜Cアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アルキルアリールおよびC(O)アリールからなる群から選択される;ただし、前記基のそれぞれは、水素、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、イソシアノ基、チオ基、C〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から独立して選択される1個〜6個の置換基を場合により有することができる)。
【0028】
本発明はまた、式(III)の化合物およびその誘導体(これには、その多形体、異性体およびプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、ならびに、そのような化合物の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩が含まれるが、これらに限定されない)に関連する。
【0029】
別の局面において、本発明は、脂肪の代謝、吸収および蓄積を、リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害または低下させることによって、体内における体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下または阻害することにおける式(III)の化合物の使用を提供する。
【0030】
本発明はさらに、式(I)、式(II)および式(III)の化合物ならびにその誘導体を調製するためのプロセスを提供する。
【0031】
本発明は、体内における脂質の代謝、吸収および蓄積に関係するリパーゼ遺伝子ファミリーの酵素の活性を、リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素により媒介される疾患(これには、過体重または肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、膵炎、高血糖症、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、他の心臓血管疾患および他の代謝性障害が含まれるが、これらに限定されない)を処置、改善または予防するために、体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下または阻害することにおいて有用である本発明の化合物(これには、その多形体、プロドラッグ、異性体、または、医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメートおよびオキシムが含まれる)のいずれかを含む医薬組成物を提供する。
【0032】
本発明は、さらなる局面では、スキンケア用品、ヘアケア用品または化粧品を調製するための、式(I)、式(II)および式(III)の化合物ならびにその誘導体の使用を提供する。
【0033】
本発明は、さらにさらなる局面では、リパーゼを分泌する微生物病原体により引き起こされる細胞損傷および組織損傷を予防または処置するための、式(I)、式(II)および式(III)の化合物ならびにその誘導体の使用を提供する。
【0034】
本発明はまた、式(I)、式(II)および式(III)の化合物ならびにその誘導体のいずれかを単独で、または、好適な医薬的に許容可能な賦形剤との併用で含む医薬配合物に関連する。そのような配合物は、体内における脂質の代謝、吸収および蓄積に関係するリパーゼ遺伝子ファミリーの酵素の活性を、リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素により媒介される疾患(例えば、過体重または肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、膵炎、糖尿病、アテローム性動脈硬化、他の心臓血管疾患、メタボリック症候群および代謝性障害)を処置、改善または予防するために、体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下または阻害することにおいて有用である。
【0035】
本発明はまた、式(I)、式(II)および式(III)の化合物ならびにその誘導体を治療効果的な量で、単独で、または、医薬的に許容可能な補助剤との組合せで含む医薬品を製造する方法を提供する。式(I)、式(II)および式(III)の化合物ならびにその誘導体はさらに、他の活性な成分と組み合わせることができる。
【0036】
本発明はさらに、リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素により媒介される疾患を、式(I)、式(II)および式(III)の化合物ならびにその誘導体を治療効果的な量でヒト対象または動物対象において投与することによって処置する方法に関連する。
【0037】
本発明、ならびに、本発明の他の目的、特徴および利点が、下記の、発明の詳細な説明、および、付随する実施形態においてさらに明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明は、リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素により媒介される疾患および状態を個体において処置、改善または予防するために、リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素の活性を低下または阻害することにおいて使用される新規な方法および組成物を提供する。
【0039】
定義
別途規定されない限り、下記の定義は、本明細書中において本発明を記載するために使用される様々な用語の意味および範囲を例示および定義するために示される。
【0040】
本明細書中で使用される用語「リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素」は、肝臓リパーゼ、腸リパーゼ(胃リパーゼ、膵臓リパーゼおよびカルボキシルエステルリパーゼを含む)、内皮リパーゼ、ホスホリパーゼおよび他の関連したリパーゼを包含するが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書中で使用される用語「医薬的に許容可能な」は、化学的および/または毒物学的に適合し得るキャリア、希釈剤、ビヒクル賦形剤または組成物を、その摂取者に対して有害でない配合物を構成するそれ以外の成分とともに含む物質を示す。
【0042】
用語「アルキル」は、単独または別の置換基の一部としてであっても、別途定義されない限り、直鎖または分枝鎖の一価炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第三級ブチル、sec−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルなどを意味する。
【0043】
単独または他の用語との組合せで用いられる用語「アルケニル」は、述べられた数範囲の炭素原子を有する直鎖または分枝状の一価炭化水素基を意味し、例えば、ビニル、プロペニル、クロトニル、イソペンテニルおよび様々なブテニル異性体などの基を意味する。
【0044】
単独または他の用語との組合せで用いられる用語「アルキニル」は、述べられた数範囲の炭素原子を有する炭素−炭素三重結合の炭化水素基を含有する直鎖または分枝状の非環式炭素鎖を意味し、基を意味する。
【0045】
用語「シクロアルキル」は、少なくとも3個の炭素原子、典型的には3個〜7個の炭素原子を有する、単環式または多環式のいずれかであっても、環式のアルキル基を意味する。例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルが挙げられる。
【0046】
用語「アルコキシ」は、単独または組合せであっても、アルキル−O−の式(式中、用語「アルキル」は、以前に示された意味を有する)の基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、2°ブトキシおよび3°ブトキシ、または、2−メトキシエトキシなどを意味する。
【0047】
用語「C〜Cアルキルシクロアルキル」は、C〜Cアルキル基のいずれかがシクロアルキル基において置換されることを意味し、この複合基はアルキル末端において核に結合する。
【0048】
用語「C〜Cヘテロシクロアルキル」は、2個〜6個の炭素原子(好ましくは、3個〜5個の炭素原子)を有し、かつ、N、Oおよび/またはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキル基を意味し、この場合、ヘテロシクロアルキル基はヘテロ原子または炭素原子を介して結合することができる。
【0049】
用語「アリール」は、1個の環系を有する芳香族炭化水素基(例えば、フェニル)、または、縮合環系を有する芳香族炭化水素基(例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンなど)を意味する。典型的なアリール基は、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cジアルキルアミノ(ただし、これらのアルキル成分は、以前に定義されたのと同じ意味を有する)から選択される1つまたは複数の置換基で場合により置換され得る、6個、7個、8個、9個または10個の炭素原子を有する芳香族炭素環式の環(例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルまたはインデニルなどで)である。好ましい芳香族炭化水素基はフェニルである。
【0050】
用語「C〜Cヘテロアリール」は、イミダゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、(ベンゾ)チエニル、(ベンゾ)フリル、キノリル、テトラヒドロキノリル、キノキサリルまたはインドリルのような、3個、4個、5個、6個、7個、8個または9個の炭素原子を有し、N、Oおよび/またはSから選択される1個のヘテロ原子を少なくとも含む置換または非置換の芳香族基を意味する。ヘテロアリール基における置換基は、アリール基について列挙された置換基の群から選択することができる。ヘテロアリール基は、実現可能ならば、炭素原子またはヘテロ原子を介して結合することができる。
【0051】
用語「C〜C10アリールオキシ」は、酸素原子に結合する、6個、7個、8個、9個または10個の炭素原子を含有する前記で定義されるようなアリール基を意味する。C〜Cヘテロアリールオキシ基は、N、OまたはSから選択される1個のヘテロ原子を少なくとも含む、C〜C10アリールオキシのアナログである。
【0052】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0053】
用語「アミノ」は、単独または組合せであっても、窒素原子を介して結合する第一級アミノ基、第二級アミノ基または第三級アミノ基(ただし、第二級アミノ基はアルキル置換基またはシクロアルキル置換基を有し、第三級アミノ基は2つの類似または異なるアルキル置換基またはシクロアルキル置換基を有するか、あるいは、2つの窒素置換基が一緒になって、環を形成する)を意味し、例えば、−NH、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチル−エチルアミノ、ピロリジン−1−イルまたはピペリジノなどであり、好ましくは、アミノ、ジメチルアミノおよびジエチルアミノであり、特に好ましくは、第一級アミノである。
【0054】
用語「シアノ」は、単独または組合せであっても、−CN基を意味する。
【0055】
用語「ニトロ」は、単独または組合せであっても、−NO基を意味する。
【0056】
用語「複素環基」は、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個または14個の環原子を有し、かつ、窒素、酸素またはイオウからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する単環式または多環式の飽和または不飽和の置換または非置換の複素環核に由来するラジカルまたは基を示す。
【0057】
用語の置換基は「非妨害性」の置換基である。「非妨害性」によって、その基が、示された位置を占め、かつ、示された役割または意図された役割を発揮するために化学的に、また、安定性の点で好適であることが意味される。従って、好適でない基は「非妨害性」の定義から除外される。
【0058】
加えて、式(I)の化合物およびその誘導体は、同位体(例えば、H、14C、35S、125Iなど)により標識することができる。
【0059】
「プロドラッグ」は、生体内における生理学的条件のもとで、酵素または胃液などの反応によって本発明の化合物に転換され得る化合物、具体的には、酵素による酸化、還元または加水分解などのときに本発明の化合物に転換され得る化合物、あるいは、胃液などによる加水分解などのときに本発明の化合物に転換され得る化合物を示す。
【0060】
「多形体」は、2つ以上の形態で存在する化合物を示す。
【0061】
表現「治療効果的な量」は、特定の疾患、状態または障害を処置または予防するか、あるいは、特定の疾患、状態または障害の1つまたは複数の症状を弱め、改善し、または除去するか、あるいは、本明細書中に記載される特定の疾患、状態または障害の1つまたは複数の症状の開始を予防し、または遅らせる本発明の化合物の量を意味する。
【0062】
〜Cの用語の使用は、C、C、C、・・・、Cのそれぞれを示すために使用される。従って、C〜C20には、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19およびC20が含まれる。C〜C13には、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13のそれぞれが含まれる。C〜C13には、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13のそれぞれが含まれ、他についても同様である。
【0063】
物質および方法の両方に対する任意の改変が、本発明の目的および利益から逸脱することなく実施され得ることが当業者には明らかである。実施例に現れるような下記の一般的な用語が下記において説明される:
a)室温または周囲温度で行われたすべての操作は18℃〜25℃の範囲であった。
【0064】
b)反応の経過が薄層クロマトグラフィー(TLC)によって追跡された。反応時間は例示のために示されるだけである。
【0065】
c)融点は未補正であり、融点は、記載された通りに調製された物質について示される。多形により、いくつかの調製では異なる融点を有する物質の単離がもたらされることがある。
【0066】
d)すべての最終生成物の構造および純度が下記技術の少なくとも1つによって保証された:TLC、NMR(核磁気共鳴)分光法、質量分析または微量分析データ。
【0067】
e)収率は例示のために示されるだけである。
【0068】
f)与えられるとき、NMRデータは、示された溶媒を使用して300MHzまたは400MHzで測定された、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で与えられる主要な特徴的プロトンについてのデルタ(δ)値の形態である。
【0069】
g)化学記号はその通常の意味を有する:下記の略号もまた使用されている:v(体積)、w(重量)、Bp(沸点)、Mp(融点)、L(リットル)、ml(ミリリットル)、gm(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmole(ミリモル)、eq(当量)、℃(摂氏度)、conc.(濃縮された)、SiO(二酸化ケイ素)、NaSO(硫酸ナトリウム)。
【0070】
h)下記の実施例において使用された中間体はSigmaから得られている。
【0071】
リパーゼ
ヒトトリアシルグリセロールリパーゼファミリーの3つのメンバーが記載されている:膵臓リパーゼ、リポタンパク質リパーゼおよび肝臓リパーゼ(Goldberg,I.J.、Le,N.−A.、Ginsberg,H.N.、Krauss,R.M.およびLindgren,F.T.(1988)、J.Clin.Invest.81、561−568;Goldberg,I.J.、Le,N.、Paterniti J.R.、Ginsberg,H.N.、Lindgren,F.T.およびBrown,W.V.(1982)、J.Clin.Invest.70、1184−1192;Hide,W.A.、Chan,L.およびLi,W.−H.(1992)、J.Lipid.Res.33、167−178)。膵臓リパーゼは主として食事性脂質の加水分解に関わる。膵臓リパーゼの様々な変化体が記載されており、しかし、それらの生理学的役割は明らかにされていない(Giller,T.、Buchwald,P.、Blum−Kaelin,D.およびHunziker,W.(1992)、J.Biol.Chem.267、16509−16516)。
【0072】
これらのリパーゼ遺伝子によってコードされるリパーゼポリペプチドは、長さが約450アミノ酸であり、分泌を容易にするためのリーダーシグナルペプチドを有する。リパーゼタンパク質は2つの主要なドメインから構成される(Winkler,K.、D’Arcy,A.およびHunziker,W.(1990)、Nature 343、771−774)。アミノ末端ドメインは触媒作用部位を含有し、一方、カルボキシルドメインは、基質結合、補因子会合、および、細胞受容体との相互作用に関わると考えられている(Wong,H.、Davis,R.C.、Nikazy,J.、Seebart,K.E.およびSchotz,M.C.(1991)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88、11290−11294;van Tilbeurgh,H.、Roussel,A.、Lalouel,J.−M.およびCambillau,C.(1994)、J.Biol.Chem.269、4626−4633;Wong,H.、Davis,R.C.、Thuren,T.、Goers,J.W.、Nikazy,J.、Waite,M.およびSchotz,M.C.(1994)、J.Biol.Chem.269、10319−10323;Chappell,D.A.、Inoue,I.、Fry,G.L.、Pladet,M.W.、Bowen,S.L.、Iverius,P.−H.、Lalouel,J.−M.およびStrickland,D.K.(1994)、J.Biol.Chem.269、18001−18006)。このファミリーのメンバーの間におけるアミノ酸相同性の全体的なレベルは22%〜65%であり、相同性が高い局所的領域は、酵素機能に結びつけられる構造的相同性部分に対応する。
【0073】
トリアシルグリセロールリパーゼファミリーのメンバーはいくつかの保存された構造的特徴を互いに有する。1つのそのような特徴が「GXSXG」モチーフであり、このモチーフにおいて、中心のセリン残基は、「触媒作用トライアド」を構成する3つの残基のうちの1つである(Winkler,K.、D’Arcy,A.およびHunziker,W.(1990)、Nature 343、771−774;Faustinella,F.、Smith,L.C.およびChan,L.(1992)、Biochemistry 31、7219−7223)。保存されたアスパラギン酸残基およびヒスチジン残基が触媒作用トライアドの残りを構成する。19アミノ酸〜23アミノ酸の短い範囲(「ふた領域」)が両親媒性のらせん構造を形成し、酵素の触媒作用ポケットを覆う(Winkler,K.、D’Arcy,A.およびHunziker,W.(1990)、Nature 343、771−774)。肝臓リパーゼおよびリポタンパク質リパーゼの間における比較では、酵素のトリアシルグリセロールリパーゼ活性およびホスホリパーゼ活性における違いが部分的にはこのふた領域によって媒介されることが明らかにされている(Dugi,K.A.、Dichek H.L.およびSantamarina−Fojo,S.(1995)、J.Biol.Chem.270、25396−25401)。トリアシルグリセロールリパーゼは様々な程度のヘパリン結合活性を有する。リポタンパク質リパーゼがヘパリンに対する最も大きい親和性を有しており、この結合活性がアミノ末端ドメインにおける正荷電残基の広がりに位置づけられている(Ma,Y.、Henderson,H.E.、Liu,M.−S.、Zhang,H.、Forsythe,I.J.、Clarke−Lewis,I.、Hayden,M.R.およびBrunzell,J.D.、J.Lipid Res.35、2049−2059)。
【0074】
ヒトの膵臓リパーゼ、肝臓リパーゼおよびリポタンパク質リパーゼをコードする遺伝子配列が報告されている(それぞれ、GenBankアクセション#M93285、同#J03540および同#M15856)。ヒトの肝臓リパーゼおよび膵臓リパーゼのメッセンジャーRNAは、長さがそれぞれ、約1.7キロべースおよび1.8キロベースである。3.6キロベースおよび3.2キロベースの2つのmRNA転写物がヒトリポタンパク質リパーゼ遺伝子から産生される(Ranganathan,G.、Ong,J.M.、Yukht,A.、Saghizadeh,M.、Simsolo,R.B.、Pauer,A.およびKern,P.A.(1995)、J.Biol.Chem.270、7149−7155)。
【0075】
リパーゼ活性に影響を及ぼす化合物
本発明は、下記式(I)の化合物:
【0076】
【化7】

およびその誘導体(これには、その多形体、異性体およびプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、ならびに、そのような化合物の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩が含まれるが、これらに限定されない)に関連する:上記式において、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、C〜C13アルキル、C〜C20ハロアルキル、C〜C13アルケニル、C〜C13アルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜C13アルコキシアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルケニル、C〜C13アルキルアミン、C〜C13アリールアミン、C(O)C〜Cアルキル、O−C(O)C〜Cアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アルキルアリール、C(O)アリールおよびO−C(O)アリールからなる群から選択される;ただし、前記基のそれぞれは、水素、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、イソシアノ基、チオ基、C〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から独立して選択される1個〜6個の置換基を場合により有することができる。しかしながら、本発明によれば、RおよびRは、メチル、メトキシ、エチル、エトキシ、フェニルおよびヒドロキシではない。
【0077】
別の実施形態において、本発明は、下記式(II)の化合物:
【0078】
【化8】

およびその誘導体(これには、その多形体、異性体およびプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、ならびに、そのような化合物の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩が含まれるが、これらに限定されない)に関連する:上記式において、RおよびRはそれぞれが独立して、C〜C13アルキル、C〜C20ハロアルキル、C〜C13アルケニル、C〜C13アルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜C13アルコキシアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルケニル、C〜C13アルキルアミン、C〜C13アリールアミン、C(O)C〜Cアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アルキルアリールおよびC(O)アリールからなる群から選択される;ただし、前記基のそれぞれは、水素、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、イソシアノ基、チオ基、C〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から独立して選択される1個〜6個の置換基を場合により有することができる。しかしながら、本発明によれば、RおよびRは、メチル、エチルおよびフェニルではない。
【0079】
別の実施形態において、本発明は、下記式(III)の化合物:
【0080】
【化9】

およびその誘導体(これには、その多形体、異性体およびプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、ならびに、そのような化合物の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩が含まれるが、これらに限定されない)に関連する:上記式において、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、C〜C13アルキル、C〜C20ハロアルキル、C〜C13アルケニル、C〜C13アルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜C13アルコキシアルキル、C〜C13アルキルアミン、C〜C13アリールアミン、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルケニル、C(O)C〜Cアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アルキルアリールおよびC(O)アリールからなる群から選択される;ただし、前記基のそれぞれは、水素、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、イソシアノ基、チオ基、C〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から独立して選択される1個〜6個の置換基を場合により有することができる。
【0081】
1つの実施形態において、式(III)の化合物は、C(O)アリール、C(O)アルキルアリール、C(O)ハロアリール、C(O)ニトロアリールまたはC(O)アルコキシアリールから独立して選択されるRおよびRを有する。
【0082】
他の実施形態は、RおよびRが独立して、メチルフェニルカルボニル、エチルフェニルカルボニル、プロピルフェニルカルボニル、ブチルフェニルカルボニル、クロロフェニルカルボニル、ブロモフェニルカルボニル、ヨードフェニルカルボニル、フルオロフェニルカルボニル、ニトロフェニルカルボニル、メトキシフェニルカルボニルまたはエトキシフェニルカルボニルから選択される式(III)の化合物に関連する。
【0083】
さらなる実施形態は、RおよびRが独立して、2−メチルフェニルカルボニル、3−メチルフェニルカルボニル、4−メチルフェニルカルボニル、4−ter−ブチルフェニルカルボニル、2−クロロフェニルカルボニル、3−クロロフェニルカルボニル、4−クロロフェニルカルボニル、2−ブロモフェニルカルボニル、3−ブロモフェニルカルボニル、4−ブロモフェニルカルボニル、2−ヨードフェニルカルボニル、3−ヨードフェニルカルボニル、4−ヨードフェニルカルボニル、2−フルオロフェニルカルボニル、3−フルオロフェニルカルボニル、4−フルオロフェニルカルボニル、2−ニトロフェニルカルボニル、3−ニトロフェニルカルボニル、4−ニトロフェニルカルボニル、2−メトキシフェニルカルボニル、3−メトキシフェニルカルボニルおよび4−メトキシフェニルカルボニルから選択される式(III)の化合物に関連する。
【0084】
従って、本発明はまた、本発明の化合物のプロドラッグを包含する。用語「プロドラッグ」には、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を生じさせるためにインビボで転換される化合物が含まれる。プロドラッグの使用についての情報を、T.HiguchiおよびW.Stellaによる“Pro−drugs as Novel Delivery Systems”(A.C.S. Symposium Seriesの第14巻)、および、Bioreversible Carriers in Drug Design(Edward B.Roche編、American Pharmaceutical AssociationおよびPergamon Press、1987)において見出すことができる。
【0085】
任意の好適な形態での、式(I)、式(II)または式(III)の範囲に含まれる化合物の好適な活性な代謝産物もまた本発明に含まれる。
【0086】
本発明の化合物は不斉中心またはキラル中心を含有する場合があり、従って、異なる立体異性形態で存在する場合がある。本発明の化合物のすべての好適な光学異性体および立体異性形態、ならびに、その混合物(ラセミ混合物を含む)は、本発明の一部を形成する。加えて、本発明はすべての幾何異性体および位置異性体を包含する。例えば、本発明の化合物が二重結合または縮合環を含むならば、cis形態およびtrans形態が、混合物と同様に、本発明の範囲に包含される。そのような化合物に関して、本発明では、ラセミ体、1つだけのエナンチオマー形態、1つだけのジアステレオマー形態、または、その混合物を、適するように使用することが含まれる。そのうえ、そのような化合物はまた、互変異性体として存在する場合がある。従って、本発明は、すべてのそのような好適な互変異性体およびその混合物の使用に関連する。ジアステレオマー混合物は、当業者に広く知られている方法によって、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶などによって、その物理的、化学的差異に基づいてその個々のジアステレオ異性体に分離することができる。エナンチオマーは、エナンチオマー混合物を適切な光学活性化合物(例えば、キラルな補助物、例えば、キラルなアルコールまたはMosher酸塩化物など)との反応によってジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、その後、個々のジアステレオ異性体を対応する純粋なエナンチオマーに変換(例えば、加水分解)することによって、あるいは、ラセミ形態の再結晶化技術による分割によって、光学活性な出発物質からの合成によって、キラル合成によって、または、キラルな定常相を使用するクロマトグラフィー分離によって分離することができる。同様に、本発明の化合物のいくつかはアトロプ異性体である場合があり(例えば、置換されたビアリール化合物)、本発明の一部として見なされる。エナンチオマーはまた、キラルなHPLCカラムの使用によって分離することができる。
【0087】
そのうえ、本発明のいくつかの化合物は多形を示す場合がある。本発明の範囲には、本発明による化合物のすべての多形形態が含まれ、これは本発明のさらなる局面を形成する。本発明は、ありとあらゆるラセミ形態、光学活性形態、多形形態および立体異性形態、または、その混合物を包含し、そのような形態は、本明細書中に示された状態の処置において有用な性質を有することを理解しなければならない。
【0088】
さらに、本発明にはまた、1つまたは複数の原子が、通常の場合には自然界で見出される原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子によって置換されるということを除いて、本明細書中に示される化合物と同一である同位体標識された本発明の化合物が含まれる。本発明の化合物に取り込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素、ヨウ素および塩素の同位体(例えば、それぞれ、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125Iおよび36Clなど)が含まれる。ある種の同位体標識された本発明の化合物(例えば、Hおよび14Cにより標識された化合物)は化合物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわち、H)および炭素−14(すなわち、14C)の同位体は、それらの容易な調製および検出可能性のために特に好ましい。さらに、より重い同位体(例えば、重水素(すなわち、H)など)による置換は、より大きい代謝安定性から生じるいくつかの治療的利点(例えば、増大したインビボ半減期または低下した投薬量要求)をもたらす場合があり、従って、いくつかの状況では好ましい場合がある。陽電子を放射する同位体(例えば、15O、13N、11Cおよび18Fなど)は、基質の受容体占拠を調べるための陽電子放射断層撮影法(PET)研究のために有用である。同位体標識された本発明の化合物は一般に、同位体標識された試薬を同位体非標識試薬の代わりに使用することによって、本明細書中下記における実施例に開示される手順と類似する手順によって調製することができる。
【0089】
式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスを提供することは、本発明の1つの局面である。当業者は、本発明の非常に好ましい化合物を、任意の好適な知られている方法を使用してどのように調製するかを本開示から理解する。上記で記載されるような式(I)、式(II)または式(III)の化合物、および、別途示されない限り、R、Rは、スキームIに従って都合よく調製することができる。
【0090】
加えて、本明細書中に提供される実施例により、本発明の化合物の調製が例示される。そのうえ、当業者は、所望されるような本発明の式(I)、式(II)または式(III)の任意の具体的な化合物を調製するために、スキームI、および、本明細書中下記において記載される実施例の細部をどのように改変するかを本開示から理解する。スキームIは単に例示目的のために提供され、また、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を合成するための可能性のある経路を示しており、本発明を限定しないことを理解しなければならない。当業者は、他の合成経路が、本発明の化合物を合成するために使用され得ることを理解する。具体的な出発物質および試薬が、下記に例示されるスキームIにおいて示されるが、好適な代用を、様々な誘導体および反応条件を提供するために容易に行うことができる。加えて、下記に記載される方法によって調製される化合物の多くは、当業者に知られている従来の化学反応を使用して、本開示に照らしてさらに改変することができる。
【0091】
スキームI:
【0092】
【化10】

スキームIには、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を、2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノンまたはそのオキシム、あるいは、置換されたオキシム、あるいは、その好適な塩またはアナログから出発して調製するための一般的なプロトコルが示される。出発物質の2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノンを、アルキルクロリドまたはアシルクロリド、あるいは、アリールクロリドまたはアロイルクロリド、あるいは、置換されたアリールクロリドまたは置換されたアロイルクロリドと、好適な不活性なハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン)において、好適な芳香族塩基(例えば、ピリジン)の存在下、制御された条件(例えば、約10℃〜約40℃の温度で約1時間〜約24時間の期間など)のもとで反応させて、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を粗生成物の形態で得る。当業者に知られている分離および精製の従来の方法および/または技術を、本発明の化合物を単離および精製するために使用することができる。様々なそのような技術が当業者には広く知られており、そのような技術には、例えば、すべてのタイプのクロマトグラフィー(高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、一般的な吸着剤(例えば、シリカゲルなど)を使用するカラムクロマトグラフィー、および、薄層クロマトグラフィー)、再結晶、および、示差的な(例えば、液−液)抽出技術が含まれ得る。
【0093】
リパーゼに関連づけられる疾患および状態
式(I)、式(II)または式(III)の化合物およびその誘導体を治療活性な物質としての使用のために提供することは、本発明の1つの局面である。
【0094】
上記で開示されるような本発明の化合物は、リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素により媒介される疾患を処置、改善または予防するためにリパーゼ遺伝子ファミリーの酵素の活性を低下または阻害するために有用である。そのような化合物は、脂肪の代謝、吸収および蓄積を、リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害または低下することによって、体内における体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下または阻害することにおいて有用である。従って、本発明の化合物およびその誘導体(その組成物を含む)は、体内における脂質の代謝、吸収および蓄積に関係するリパーゼ遺伝子ファミリーの酵素のレベルを、リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素により媒介される疾患(これには、過体重または肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、膵炎、高血糖症、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、他の心臓血管疾患および他の代謝性障害が含まれるが、これらに限定されない)を処置、改善または予防するために、体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下または阻害することにおいて有用である。
【0095】
別の局面において、本発明の化合物およびその誘導体(その組成物を含む)は、リパーゼを分泌する微生物病原体により引き起こされる細胞損傷および組織損傷を予防または処置することにおいて有用である。
【0096】
別の局面において、本発明の化合物およびその誘導体(その組成物を含む)はまた、スキンケア用品、ヘアケア用品または化粧品を調製するために有用である。
【0097】
脂肪の代謝、吸収および蓄積を、哺乳動物(ヒトを含む)におけるリパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害または低下することにより、体内における体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下または阻害することによって、リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素により媒介される状態、疾患および/または障害(これらには、過体重または肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、膵炎、高血糖症、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、他の心臓血管疾患および他の代謝性障害が含まれるが、これらに限定されない)を処置するための方法であって、式(I)、式(II)または式(III)の化合物あるいはその誘導体の効果的な処置量を前記哺乳動物に投与することを含む方法を提供することは、本発明の1つの実施形態である。
【0098】
別の実施形態において、本発明は、リパーゼを分泌する微生物病原体により引き起こされる細胞損傷および組織損傷を、哺乳動物におけるリパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害または低下することによって予防または処置するための方法であって、式(I)、式(II)または式(III)の化合物あるいはその誘導体の効果的な処置量を前記哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
【0099】
従って、式(I)、式(II)または式(III)の化合物あるいはその誘導体の治療効果的な量と、医薬的に許容可能な不活性な補助剤、希釈剤またはキャリアとを含む医薬組成物を提供することは、本発明の1つの実施形態である。あるいは、医薬組成物は少なくとも1つのさらなる医薬的に活性な薬剤を含むことができる。さらなる活性な医薬用薬剤は、望ましい薬理学的活性を有する化学合成された化合物または天然起源に由来する化合物から選択することができる。
【0100】
配合物
式(I)、式(II)または式(III)の化合物あるいはその誘導体は、任意の従来の経口投与、口内投与、鼻腔投与、単位投薬形態物での吸入スプレーによる投与、非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、胸骨内、または、注入技術による)、局所的投与(例えば、粉末、軟膏または滴剤)、経皮投与、槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、嚢内投与または直腸投与で投与することができる。本発明の別の局面において、本発明の化合物および少なくとも1つの他の医薬的に活性な薬剤は、別々に、または、両者を含む医薬組成物でのいずれかで投与することができる。そのような投与は経口であることが一般には好ましい。しかしながら、処置されている対象が、飲み込むことができないか、あるいは、そうでない場合、経口投与が損なわれるか、または、望ましくないならば、非経口投与または経皮投与が適切である場合がある。
【0101】
式(I)、式(II)または式(III)の化合物あるいはその誘導体は、任意の限定(modified)放出配合物、制御放出配合物、または徐放性配合物の形態で投与することができる(例えば、Langer、Science 249:1527−1533(1990)を参照のこと)。1つの実施形態において、ポンプを使用することができる(Langer、Science 249:1527−1533(1990);Sefton、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwald他、Surgery 88:507(1980);およびSaudek他、N.Engl.J.Med.321:574(1989))。別の実施形態において、ポリマー物質を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release(LangerおよびWise編、1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance(SmolenおよびBall編、1984);RangerおよびPeppas、J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61(1983);Levy他、Science 228:190(1985);During他、Ann.Neurol.25:351(1989);およびHoward他、J.Neurosurg.71:105(1989)を参照のこと)。
【0102】
上記で述べられたような目的のために哺乳動物(ヒトまたは動物を含む)に投与される式(I)、式(II)または式(III)の化合物あるいはその誘導体の用量は特に限定されない。むしろ、投与される用量は幅広く変化し、対象の病理、状態、症状または年齢、および、担当の医師または獣医の判断に従う。本発明の化合物の効果的な投与割合の一般的な範囲は約0.001mg/kg対象体重/日〜約100mg/kg対象体重/日である。本発明の化合物の効果的な投与割合の好ましい範囲は約0.01mg/kg対象体重/日〜約50mg/kg対象体重/日である。量は、組成物が投与される環境、処置される細胞の部位、処置される患者または動物の年齢、健康状態、性別および体重などを含む様々な要因に基づいて選択される。有用な量には、1回の投薬あたり、1ミリグラム、5ミリグラム、15ミリグラム、20ミリグラム、25ミリグラム、30ミリグラム、40ミリグラム、60ミリグラム、150ミリグラム、200ミリグラム、1gm、2gm、3gm、および、10ミリグラム〜100グラムの間の範囲、50ミリグラム〜5グラムの間の範囲、100ミリグラム〜10グラムの間の範囲、250ミリグラム〜2.5グラムの間の範囲、500ミリグラム〜1.25グラムの間の範囲などが含まれる。本発明の化合物の1日用量を、任意の所与の場合には、分けて、1日の様々な時間で投与することが実用的であり得る一方で、本発明の化合物の量は、本発明の化合物、プロドラッグ、異性体または医薬的に許容可能な塩の溶解性、使用された配合物、および、投与経路(例えば、経口、経皮、非経口または局所的)のような様々な要因に依存する。
【0103】
本発明の化合物の様々な投薬量を任意の好適な経路によってヒトに投与することができ、経口投与が好ましい。個々の経口投薬形態物(例えば、錠剤またはカプセル)は一般には、約0.1mg〜約100mgの本発明の化合物を、好適な医薬的に許容可能なビヒクル、希釈剤またはキャリアにおいて含有しなければならない。静脈内投与のための投薬量は一般には、要求に応じて、1回の服用について約0.1mg〜約10mgの範囲にある。鼻腔内投与または吸入投与については、投薬量は一般には、約0.1%(w/v)〜約1%(w/v)の溶液として配合される。実際には、医師により、個々の患者について最も好適である実際の投薬量が決定され、実際の投薬量は、例えば、特定の患者の年齢、体重および応答により変化する。上記の投薬量は平均的な場合の例示であり、しかし、当然のことではあるが、より大きい投薬量範囲またはより少ない投薬量範囲が可能である個々の場合が存在し得る。本発明の化合物のそのような投薬量は本発明の範囲内である。
【0104】
式(I)、式(II)または式(III)の化合物およびその誘導体を、リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素により媒介される状態、疾患および/または障害(これらには、過体重または肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、膵炎、高血糖症、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、他の心臓血管疾患および他の代謝性障害が含まれるが、これらに限定されない)の予防および治療のための医薬配合物を製造するために提供することは、本発明の別の好ましい実施形態である。式(I)、式(II)または式(III)の化合物あるいはその誘導体を含む医薬配合物は、1つまたは複数の医薬的に許容可能な希釈剤、キャリアまたはビヒクルを使用して、当業者に知られている従来の様式で配合することができる。
【0105】
経口投与については、本発明において使用することができる医薬配合物には、錠剤、咀嚼錠剤、制御放出錠剤、カプセル、トローチ剤、顆粒剤、粉末剤、ピル、マイクロカプセル、エリキシル剤、シロップおよび懸濁物が含まれる。
【0106】
一般に、錠剤は、直接の圧縮、湿式造粒または乾式造粒による製薬科学において知られている方法によって調製することができる。錠剤配合物では通常、本発明の化合物だけでなく、希釈剤、結合剤、滑剤および崩壊剤が含まれる。一般的な希釈剤には、例えば、様々なタイプのデンプン、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウムまたは硫酸カルシウム、無機塩(例えば、塩化ナトリウムなど)および粉糖が含まれる。粉末化されたセルロース誘導体もまた使用することができる。一般的な錠剤結合剤には、デンプン、ゼラチンおよび糖(例えば、ラクトース、フルクトースおよびグルコースなど)などの物質が含まれる。天然ゴムおよび合成ゴムもまた好都合であり、これらには、アラビアゴム、アルギナート、メチルセルロースおよびポリビニルピロリドンなどが含まれる。ポリエチレングリコール、エチルセルロースおよびワックスもまた、結合剤として役立ち得る。
【0107】
滑剤は、錠剤および錠剤機の杵が鋳型において粘着することを予防するために錠剤配合では一般に必要である。滑剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ならびに、水素化植物油のような滑りやすい固体から選ばれる。錠剤崩壊剤には、湿らされたとき、膨潤して、錠剤を壊し、本発明の化合物、プロドラッグ、異性体または医薬的に許容可能な塩を放出する物質が含まれる。崩壊剤には、デンプン、粘土、セルロース、アルギンおよびゴムが含まれる。より具体的には、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木材セルロース、粉末化された天然海綿、カチオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、かんきつパルプおよびカルボキシメチルセルロースを、ラウリル硫酸ナトリウムと同様に使用することができる。錠剤は多くの場合、芳香剤およびシーラントとしての糖により被覆されるか、または、錠剤の溶解特性を調節するためのフィルム形成保護剤により被覆される。本発明の化合物はまた、今日ではこの分野では十分に確立されているように、多量の快い味の物質(例えば、マンニトールなど)を配合において使用することによって咀嚼錠剤として配合することができる。
【0108】
上記で議論されたように、適正な配合によって遅延、持続または期間限定される、本発明の化合物の効果を制御することができる。例えば、本発明の化合物のゆっくり溶解するペレットを調製し、錠剤またはカプセルに配合することができる。この技術は、いくつかの異なる溶解速度のペレットを作製し、続いて、これらのペレットの混合物をカプセルに充填することによって改善することができる。錠剤またはカプセルは、予測可能な期間にわたって溶解を妨げるフィルムにより被覆することができる。
【0109】
カプセルは、本発明の化合物を好適な希釈剤と混合し、混合物の適切な量をカプセルに充填することによって調製することができる。通常的な希釈剤には、不活性な粉末化された物質、例えば、多くの異なる種類のデンプン、粉末化セルロース(特に、結晶性セルロースおよび微結晶性セルロース)、糖(例えば、フルクトース、マンニトールおよびスクロースなど)、穀紛および類似する食用粉末などが含まれる。
【0110】
経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁物の形態を取ることができ、あるいは、使用前に水または他の好適なビヒクルによる構成のための乾燥製造物として提供することができる。そのような液体調製物は、医薬的に許容可能な添加剤を用いて、例えば、懸濁化剤/粘度増強剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム)、非水性ビヒクル(例えば、扁桃油、油状エステルまたはエチルアルコール、中鎖トリグリセリド)、および、保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)などを用いて従来の手段によって調製することができる。
【0111】
非経口投与のために、本発明の化合物は、従来のカテーテル法技術または注入を使用することを含めて、注射剤の形態で配合することができる。注射用の配合物は、単位投薬形態物で、例えば、保存剤が添加された、アンプルまたは多回用量容器における単位投薬形態物で提供され得る。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクルにおける懸濁物、溶液またはエマルションのような形態を取ることができ、また、配合剤(例えば、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤など)を含有することができる。注射可能な溶液または懸濁物は、非経口投与に許容され得る好適な非毒性の希釈剤または溶媒(例えば、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル液または等張性塩化ナトリウム溶液など)、あるいは、好適な分散化剤または湿潤化剤および懸濁化剤(例えば、無菌の非刺激性固定油(合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む)、および、脂肪酸(オレイン酸を含む)、および、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなど)など)を使用して、知られている技術に従って配合することができ、また、溶液のpHが、必要な場合には、好適に調節および緩衝化される。一般には、油性の溶液が、関節内注射目的、筋肉内注射目的および皮下注射目的のために好適である。そのような水溶液は静脈内注射目的のために好適である。あるいは、有効成分は、好適なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェン非含有水)により使用前に再構成されるための粉末形態にすることができる。非経口調製物はまた、本発明の化合物、プロドラッグ、異性体または医薬的に許容可能な塩を、場合によっては、それらが血清にほんのゆっくり分散することを可能にする油性ビヒクルまたは乳化ビヒクルに溶解または懸濁することによって長く作用するようにすることができる。
【0112】
鼻腔内投与、または、吸入による投与のために、本発明の化合物は、患者によって押し込まれるか、または、ポンプで送られる溶液または懸濁物の形態でポンプスプレー容器から都合よく送達されるか、あるいは、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスなど)の使用により、加圧容器またはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物形態として都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位を、一定量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。加圧容器またはネブライザーは活性な化合物の溶液または懸濁物を含有することができる。鼻腔エアロゾルまたは吸入によって投与されるとき、これらの組成物は、ベンジルアルコールまたは他の好適な保存剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/あるいは、この分野で知られている他の安定化剤または分散化剤を用いて、医薬品配合の分野で広く知られている技術に従って調製され、また、生理的食塩水における溶液として調製することができる。吸入器または吹き入れ器において使用されるためのカプセルおよびカートリッジ(これらは、例えば、ゼラチンから作製される)は、本発明の化合物と、吸入基剤のための好適な粉末(例えば、ラクトースまたはデンプンなど)との粉末混合物を含有して配合することができる。
【0113】
本発明の化合物はまた局所投与することができ、これは、標準的な製薬実務に従って、例えば、クリーム、ゼリー、膏薬、ローション、ゲル、ペーストおよび軟膏などとして行うことができる。本発明の化合物はまた、(例えば、パッチの使用によって)経皮投与することができる。
【0114】
本発明の化合物を含む経皮適用のための任意の好適な配合物を用いることができ、そのような配合物はまた、一般には、化合物が対象の皮膚を通過することを促進させ、また、助けるために、好適な経皮キャリア(例えば、吸収可能な薬理学的に許容され得る溶媒)を含有する。例えば、好適な経皮デバイスは、裏張り部材と、対象化合物を含有するリザーバーとを有する包帯の形態を含むことができる。そのような包帯型経皮デバイスはさらに、好適なキャリアと、速度制御バリアと、経皮デバイスを対象の皮膚に固体するための手段とを含むことができる。
【0115】
本発明の化合物を坐薬として投与することが所望される場合、任意の好適な基剤を使用することができる。カカオ脂は従来からの坐薬基剤であり、これは、その融点を上げるためにワックスの添加によって調節することができる。水混和性の坐薬基剤、特に、様々な分子量のポリエチレングリコールを含む水混和性坐薬基剤が広く使用されている。
【0116】
他の実施形態において、本発明の化合物は食物または飲料物に配合することができる。
【0117】
本発明の化合物はまた、ヒト以外の哺乳動物に投与することができる。そのような哺乳動物への投与方法、および、そのような哺乳動物に投与される投薬量は、例えば、動物の種、および、処置されている疾患または障害に依存する。本発明の化合物は、任意の好適な形態で、例えば、本発明の化合物、プロドラッグ、異性体または医薬的に許容可能な塩を、滑剤と一緒に、好適な希釈剤(例えば、カルボワックスまたはカルヌバワックスなど)と混合することによって調製されるカプセル、ボーラス剤、錠剤、ペレットなどで、あるいは、例えば、本発明の化合物を医薬的に許容可能なオイル(例えば、ピーナッツ油、ゴマ油またはトウモロコシ油など)に分散することによって調製される液体水剤またはペーストで、任意の好適な様式(例えば、経口的、非経口的または経皮的)で動物に投与することができる。本発明の化合物、プロドラッグ、異性体または医薬的に許容可能な塩はまた、インプラントとして動物に投与することができる。そのような配合物は標準的な獣医学実務に従って従来の様式で調製される。代替として、本発明の化合物は、例えば、液体または水溶性濃縮物の形態で、給水に投与することができる。加えて、本発明の化合物は、例えば、本発明の医薬組成物に含まれる場合、動物飼料において投与することができ、例えば、高濃度の飼料添加物またはプリミックス物を、一般にはそのための好適なキャリアと一緒に通常の動物飼料と混合するために調製することができる。そのようなキャリアは、例えば、プリミックス物が混合される完成した飼料における、本発明の化合物、プロドラッグ、異性体または医薬的に許容可能な塩の均一な分布を容易にする。好適なキャリアには、様々な液体(例えば、水、オイル(例えば、ダイズ油、トウモロコシ油、綿実油など)または揮発性有機溶媒)、および、様々な固体(例えば、アルファルファ、ダイズ、綿実油、亜麻仁油、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ、廃糖蜜、尿素および骨ならびにミネラル混合物を含む飼料または様々な好適な餌の一部)が含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
本発明の別の局面において、式(I)、式(II)および式(III)の化合物を使用して行われた生物学的アッセイにより、リパーゼの強力な阻害が明らかにされる。
【0119】
下記の実施例により、本発明の実施形態が例示される。しかしながら、本発明の実施形態は、その様々な他の変化が当業者には理解されるか、または、本開示に照らして当業者には明らかであるので、これらの実施例の特定の細部に限定されないことを理解しなければならない。
【実施例】
【0120】
実施例1:出発物質(2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン)の抽出および単離
【0121】
【化11】

構造#1:2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−p−ベンゾキノン(エンベリン)
エンベリア・リベスの粉末化果実を、石油エーテル、クロロホルム、酢酸エチル、メタノールおよび水により順次抽出した。クロロホルム抽出物を、石油エーテルを結晶化溶媒として使用する反復した結晶化に供した。結晶化工程を繰り返して、収率を増大させた。母液を、石油エーテル−クロロホルムを溶出溶媒(グラジエント溶出)として使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュ)によって分画化して、収率をさらに改善した。すべての分画物を、n−プロパノール:n−ブタノール:アンモニア溶液(6:1:3)をTLC溶媒系として用いてシリカゲルTLCプレート(シリカゲル60F254、Merck)でモニターした。TLCに基づいて、類似する分画物をプールして一緒にし、減圧下で濃縮した。化合物を石油エーテルにおける反復した結晶化によって精製して、140g(3.5%)の抽出物を得た。約50gの抽出物を、抽出物が溶媒に溶解するまで石油エーテル(500ml)中で還流した。溶液を室温に冷却し、ろ過した。上記手順を、所望する純度の化合物が得られるまで繰り返した。得られた化合物は、
【0122】
【化12】

を示した。
【0123】
実施例2:2,5−ジ−O−(3−フルオロフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0124】
【化13】

構造#2の合成;2,5−ビス−(3−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに3−フルオロベンゾイルクロリド(1.35gm、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(0.96g、52.7%)。
【0125】
【化14】

実施例3:2,5−ジ−O−(4−tert−ブチルフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0126】
【化15】

構造#3の合成;2,5−ビス−(4−tert−ブチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに4−tert−ブチルベンゾイルクロリド(1.67gm、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(1.47g、28.3%)。
【0127】
【化16】

実施例4:2,5−ジ−O−(2−フルオロフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0128】
【化17】

構造#4の合成;2,5−ビス−(2−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに2−フルオロベンゾイルクロリド(1.35gm、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(0.96g、52.7%)。
【0129】
【化18】

実施例5:2,5−ジ−O−(2−ブロモフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0130】
【化19】

構造#5の合成;2,5−ビス−(2−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに2−ブロモベンゾイルクロリド(1.9g、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(1.56g、69.6%)。
【0131】
【化20】

実施例6:2,5−ジ−O−(3−ブロモフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0132】
【化21】

構造#6の合成;2,5−ビス−(3−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0g、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに3−ブロモベンゾイルクロリド(1.9g、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(1.4g、62%)。
【0133】
【化22】

実施例7:2,5−ジ−O−(3−クロロフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0134】
【化23】

構造#7の合成;2,5−ビス−(3−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに3−クロロベンゾイルクロリド(1.5gm、8.50mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(1.25g、64.4%)。
【0135】
【化24】

実施例8:2,5−ジ−O−(2−クロロフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0136】
【化25】

構造#8の合成;2,5−ビス−(2−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに2−クロロベンゾイルクロリド(1.5gm、8.50mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(1.14g、58.7%)。
【0137】
【化26】

実施例9:2,5−ジ−O−(4−クロロフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0138】
【化27】

構造#9の合成;2,5−ビス−(4−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに4−クロロベンゾイルクロリド(1.5gm、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(1.21g、62.4%)。
【0139】
【化28】

実施例10:2,5−ジ−O−(4−ブロモフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0140】
【化29】

構造#10の合成;2,5−ビス−(4−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0g、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに4−ブロモベンゾイルクロリド(1.9g、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(1.49g、66.5%)。
【0141】
【化30】

実施例11:2,5−ジ−O−(3−ニトロフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0142】
【化31】

構造#11の合成;2,5−ビス−(3−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに3−ニトロベンゾイルクロリド(1.6gm、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(0.95g、47%)。
【0143】
【化32】

実施例12:2,5−ジ−O−(4−メチルフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0144】
【化33】

構造#12の合成;2,5−ビス−(4−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(0.15g、0.5mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(0.41mL、5.1mmole)を加えた。これに4−トルオイルクロリド(0.23g、1.53mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3.5時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(84mg、32%)。
【0145】
【化34】

実施例13:2,5−ジ−O−(3−メチルフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0146】
【化35】

構造#13の合成;2,5−ビス−(3−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(0.5g、1.7mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(0.55mL、6.8mmole)を加えた。これに3−トルオイルクロリド(0.654gm、4.25mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(0.64g、71%)。
【0147】
【化36】

実施例14:2,5−ジ−O−(2−ニトロフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0148】
【化37】

構造#14の合成;2,5−ビス−(2−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに2−ニトロベンゾイルクロリド(1.6gm、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(0.95g、47%)。
【0149】
【化38】

実施例15:2,5−ジ−O−(フェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0150】
【化39】

構造#15の合成;2,5−ビス−(フェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(0.3g、1.02mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(0.3mL、4.08mmole)を加えた。これにベンゾイルクロリド(0.26gm、2.55mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(0.285g、56.8%)。
【0151】
【化40】

実施例16:2,5−ジ−O−(4−フルオロフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0152】
【化41】

構造#16の合成;2,5−ビス−(4−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに4−フルオロベンゾイルクロリド(1.35gm、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(0.85g、46.4%)。
【0153】
【化42】

実施例17:2,5−ジ−O−(3−メトキシフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0154】
【化43】

構造#17の合成;2,5−ビス−(3−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0g、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに3−メトキシベンゾイルクロリド(1.45gm、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(1.32g、69%)。
【0155】
【化44】

実施例18:2,5−ジ−O−(4−メトキシフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0156】
【化45】

構造#18の合成;2,5−ビス−(4−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0g、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに4−メトキシベンゾイルクロリド(1.45gm、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(1.37g、71.7%)。
【0157】
【化46】

実施例19:2,5−ジ−O−(2−ヨードフェニルカルボニル)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
【0158】
【化47】

構造#19の合成;2,5−ビス−(2−ヨードフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン
2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン(1.0gm、3.4mmole)のジクロロメタン(20mL)における撹拌された溶液にピリジン(1.1mL、13.6mmole)を加えた。これに2−ヨードベンゾイルクロリド(2.26gm、8.5mmole)を15℃〜20℃で加え、撹拌し、これにより30℃に達した。撹拌を3時間続けた(TLC)。有機層をジクロロメタンにより抽出し、洗浄し(水、ブライン)、乾燥し(NaSO)、濃縮して粗製物にし、これをSiOカラムクロマトグラフィー(10%〜20%EtOAc/ヘキサン)によって純粋な物質に精製した(0.89g、35%)。
【0159】
【化48】

実施例20:リパーゼ阻害活性についてのアッセイ
試験サンプルの調製:構造#1〜構造#19を、10mMストック溶液を得るために1mLのDMSOに溶解し、ボルテックス撹拌して溶解させ、4℃で保存した。様々な濃度の作業用サンプルを0.2Mリン酸塩緩衝液(約8.0のpH)において調製した。このサンプルをすべてのさらなるアッセイのための試験サンプルとして使用した。
【0160】
リパーゼアッセイ:リパーゼアッセイを、改変とともに、WinklerおよびStuckmann(1979)により記載される方法によって行った(Winkler,U.K.& Stuckmann,M.、Glycogen,hyaluronate,and some other polysaccharides greatly enhance the formation of exolipase by Serratia marcescens、J.Bacteriol.138:663〜670(1979))。アッセイを、96ウエル形式を使用して設計した。このアッセイで使用された基質はp−ニトロフェノールパルミタート(Sigma、Cat No.N−2752)であった。4.5mgのp−ニトロフェノールパルミタートを200μlのN,N−ジメチルホルムアミド(Sigma、Cat No.D−4551)に溶解し、体積を0.1Mリン酸塩緩衝液(pH8.0)により10mlにした。膵臓リパーゼ(Sigma、Cat No.L−3126)サンプルを、酵素を0.1Mリン酸塩緩衝液に5mg/mlの濃度で溶解することによって調製した。反応混合物は、150μlの基質溶液、40μlのリン酸塩緩衝液(pH8.0、0.2M)および10μlのリパーゼ溶液からなった。反応混合物を37℃でインキュベーションし、光学濃度をインキュベーション後に405nmで測定した。酵素活性は国際単位(IU)の形態で表された。
【0161】
リパーゼ活性:リパーゼの1酵素単位は、1nmの遊離フェノールを標準アッセイ条件(WinklerおよびStuckmann、1979;Yadav RP、Saxena RK、Gupta R、Davidson WS、Purification and characterization of a region−specific lipase from Asperguillus terreus、Biotechnol.Appl.Biochem.(1998)、28、(243〜249))のもとで1分あたり1mlについて基質(p−ニトロフェノールパルミタート)から放出するそのような量として定義される。遊離フェノールはp−ニトロフェノール(Sigma、104−8)の標準グラフから得られる。
【0162】
リパーゼ阻害アッセイ:酵素阻害アッセイを用量依存的様式で行った。調べられた合成アナログの濃度は100μMと200μMであった。このアッセイは、40μlの試験サンプルがコントロールにおいてリン酸塩緩衝液の代わりに使用されたことを除いて、上記で記載されたアッセイと類似した。光学濃度を、0時間、および、37℃でのインキュベーションの後で測定した。
【0163】
酵素阻害:酵素阻害が、国際単位(IU)における変化に単に基づいた相対的活性および阻害パーセントの用語で表された。
【0164】
【化49】

実施例21:IC50の決定
試験サンプルの調製:合成アナログを、10mMストック溶液を得るために1mLのDMSOに溶解した。サンプルをボルテックス撹拌して溶解させ、4℃で保存した。様々な濃度の作業用サンプルを0.2Mリン酸塩緩衝液(約8.0のpH)において調製した。このサンプルをすべてのさらなるアッセイのための試験サンプルとして使用した。
【0165】
リパーゼ阻害アッセイ:酵素阻害アッセイを用量依存的様式で行った。調べられた合成アナログの濃度は6.25μM〜200μMであった。このアッセイは、40μlの試験サンプルがコントロールにおいてリン酸塩緩衝液の代わりに使用されたことを除いて、上記で記載されたアッセイと類似した。光学濃度を、0時間、および、37℃でのインキュベーションの後で測定した。酵素活性を国際単位(IU)に関して測定した。
【0166】
リパーゼ活性:リパーゼの1酵素単位は、1nmの遊離フェノールを標準アッセイ条件のもとで1mlについて1分あたり基質(p−ニトロフェノールパルミタート)から放出するそのような量として定義される。遊離フェノールはp−ニトロフェノール(Sigma、104−8)の標準グラフから得られる。
【0167】
パーセント阻害:酵素阻害が、国際単位(IU)における変化に単に基づいた%阻害の用語で表された。
【0168】
IC50の計算:それぞれのアナログのIC50を濃度においてそれぞれのアナログの用量依存的グラフ(6.25μM〜200μM)から手計算した。この場合、リパーゼの%阻害は直線に近い2つの点(50%を越える阻害および50%未満の阻害)における50%として測定された。IC50の値を線形回帰から得た。得られた値は、補間されたデータに基づく。
【0169】
【化50】

実施例22:脂質吸収の阻害
一晩絶食させた4週齢のオスのWistarラット(体重範囲:150グラム〜200グラム)を脂質吸収研究のために使用した。ラットを、それぞれが6匹の2つの群に分け、100μlの血液を、0時間における血漿脂質プロフィールの推定のために眼窩静脈洞から採血した。1mlの高脂肪液体餌を胃管法によってPO(経口)投与した。加えて、実験群には、500μlのビヒクルに溶解された100μgの試験化合物(2,5−ジ−O−アロイル−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン誘導体、構造#1〜構造#19)が経口により与えられた。コントロール群には、同じ体積のビヒクルが与えられた。
【0170】
100μlの血液を総トリグリセリドの推定のために給餌後1時間で採血した。結果が下記の表に示される。実験群はトリグリセリドの著しく低下したレベルを有していた。
【0171】
【化51】

実施例23:脂質の細胞取り込みの阻害
マウスのマクロファージ細胞株(J774A.1)を、10%ウシ胎児血清を含有するダルベッコ最少必須培地(DMEM)において6ウエル培養プレートに置床した(ウエルあたり1x10個の細胞)。100μgの酸化された低密度リポタンパク質(LDL)をそれぞれのウエルに加えた。それぞれのプレートにおいて、化合物(構造#1〜構造#19)の1つ(10μM)を三連でウエルに加え、一方で、3つのウエルはコントロールとして維持された。実験を48時間後に終了した。細胞をオイルレッドにより染色し、ヘマトキシリンにより対比染色し、顕微鏡で観察した。コントロールと比較したとき、構造#2〜構造#19による処理はマクロファージによるLDLの取り込みを著しく阻害した。
【0172】
本明細書において引用されたすべての刊行物および特許出願は、それぞれの個々の刊行物または特許出願が、参考として組み込まれるために具体的および個々に示されていたかのように参考として本明細書中に組み込まれる。
【0173】
前述の発明は理解の明快さのための例示および例としてある程度詳しく記載されているが、いくらかの変化および改変が、添付された請求項の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に対してなされ得ることが、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)の化合物:
【化1】

(式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、C〜C13アルキル、C〜C20ハロアルキル、C〜C13アルケニル、C〜C13アルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜C13アルコキシアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルケニル、C〜C13アルキルアミン、C〜C13アリールアミン、C(O)C〜Cアルキル、O−C(O)C〜Cアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アルキルアリール、C(O)アリールおよびO−C(O)アリールからなる群から選択される;ただし、前記基のそれぞれは、水素、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、イソシアノ基、チオ基、C〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から独立して選択される1個〜6個の置換基を場合により有することができる;さらに、RおよびRは、メチル、メトキシ、エチル、エトキシ、フェニルおよびヒドロキシではない)
そのプロドラッグ、その誘導体、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、ならびに、前記化合物、前記プロドラッグ、前記異性体または前記多形体の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、オキシム、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩。
【請求項2】
下記の式(II)の化合物:
【化2】

(式中、RおよびRはそれぞれが独立して、C〜C13アルキル、C〜C20ハロアルキル、C〜C13アルケニル、C〜C13アルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜C13アルコキシアルキル、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルケニル、C〜C13アルキルアミン、C〜C13アリールアミン、C(O)C〜Cアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アルキルアリールおよびC(O)アリールからなる群から選択される;ただし、前記基のそれぞれは、水素、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、イソシアノ基、チオ基、C〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から独立して選択される1個〜6個の置換基を場合により有することができる;さらに、RおよびRは、メチル、エチルおよびフェニルではない)
そのプロドラッグ、その誘導体、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、ならびに、前記化合物、前記プロドラッグ、前記異性体または前記多形体の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、オキシム、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩。
【請求項3】
下記の式(III)を有する請求項1に記載の化合物:
【化3】

(式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、C〜C13アルキル、C〜C20ハロアルキル、C〜C13アルケニル、C〜C13アルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルケニル、C〜C13アルコキシアルキル、C〜C13アルキルアミン、C〜C13アリールアミン、C〜Cアルキルシクロアルキル、C〜Cアルキルシクロアルケニル、C(O)C〜Cアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アルキルアリールおよびC(O)アリールからなる群から選択される;ただし、前記基のそれぞれは、水素、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基、イソシアノ基、チオ基、C〜Cアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基およびアリールオキシ基から独立して選択される1個〜6個の置換基を場合により有することができる)
そのプロドラッグ、その誘導体、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、ならびに、前記化合物、前記プロドラッグ、前記異性体または前記多形体の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、オキシム、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩。
【請求項4】
およびRが互いに独立して、C(O)アリール、C(O)アルキルアリール、C(O)ハロアリール、C(O)ニトロアリールおよびC(O)アルコキシアリールからなる群から選択される請求項1に記載の式(II)の化合物、そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩。
【請求項5】
およびRが独立して、メチルフェニルカルボニル、エチルフェニルカルボニル、プロピルフェニルカルボニル、ブチルフェニルカルボニル、クロロフェニルカルボニル、ブロモフェニルカルボニル、ヨードフェニルカルボニル、フルオロフェニルカルボニル、ニトロフェニルカルボニル、メトキシフェニルカルボニルおよびエトキシフェニルカルボニルからなる群から選択される請求項1に記載の式(II)の化合物、そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩。
【請求項6】
およびRが独立して、2−メチルフェニルカルボニル、3−メチルフェニルカルボニル、4−メチルフェニルカルボニル、4−ter−ブチルフェニルカルボニル、2−クロロフェニルカルボニル、3−クロロフェニルカルボニル、4−クロロフェニルカルボニル、2−ブロモフェニルカルボニル、3−ブロモフェニルカルボニル、4−ブロモフェニルカルボニル、2−ヨードフェニルカルボニル、3−ヨードフェニルカルボニル、4−ヨードフェニルカルボニル、2−フルオロフェニルカルボニル、3−フルオロフェニルカルボニル、4−フルオロフェニルカルボニル、2−ニトロフェニルカルボニル、3−ニトロフェニルカルボニル、4−ニトロフェニルカルボニル、2−メトキシフェニルカルボニル、3−メトキシフェニルカルボニルまたは4−メトキシフェニルカルボニルからなる群から選択される請求項1に記載の式(II)の化合物、そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩。
【請求項7】
下記の化合物:
a.2,5−ビス−(3−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
b.2,5−ビス−(4−第三級ブチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
iii)2,5−ビス−(2−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
iv)2,5−ビス−(2−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
v)2,5−ビス−(3−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vi)2,5−ビス−(3−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vii)2,5−ビス−(2−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vii)2,5−ビス−(4−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
ix)2,5−ビス−(4−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
x)2,5−ビス−(3−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xi)2,5−ビス−(4−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xii)2,5−ビス−(3−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xiii)2,5−ビス−(2−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xiv)2,5−ビス−(フェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xv)2,5−ビス−(4−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xvi)2,5−ビス−(3−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xvii)2,5−ビス−(4−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xviii)2,5−ビス−(2−ヨードフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩
からなる群から選択される化合物。
【請求項8】
請求項1に記載される式(I)の化合物、そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、前記化合物、前記プロドラッグ、前記異性体または前記多形体の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、オキシム、ならびに、その溶媒和物、水和物および塩と、医薬的に許容可能な不活性な補助剤、希釈剤またはキャリアとを含む医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載される式(I)の化合物、そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、前記化合物、前記プロドラッグ、前記異性体または前記多形体の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、オキシム、ならびに、その溶媒和物、水和物および塩と、少なくとも1つのさらなる医薬的に活性な薬剤とを含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に記載される式(I)の化合物、そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、前記化合物、前記プロドラッグ、前記異性体または前記多形体の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、オキシム、ならびに、その溶媒和物、水和物および塩と、不活性な補助剤、希釈剤またはキャリアとを含む、スキンケア用品またはヘアケア用品または化粧品を調製するための組成物。
【請求項11】
請求項1に記載される式(II)の化合物、そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、前記化合物、前記プロドラッグ、前記異性体または前記多形体の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、オキシム、ならびに、その溶媒和物、水和物および塩と、医薬的に許容可能な不活性な補助剤、希釈剤またはキャリアとを含む医薬組成物。
【請求項12】
請求項1に記載される式(II)の化合物、そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、前記化合物、前記プロドラッグ、前記異性体または前記多形体の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、オキシム、ならびに、その溶媒和物、水和物および塩と、少なくとも1つのさらなる医薬的に活性な薬剤とを含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項1に記載される式(II)の化合物、そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、前記化合物、前記プロドラッグ、前記異性体または前記多形体の医薬的に許容可能なエステル、エーテル、カルバメート、オキシム、ならびに、その溶媒和物、水和物および塩と、不活性な補助剤、希釈剤またはキャリアとを含む、スキンケア用品またはヘアケア用品または化粧品を調製するための組成物。
【請求項14】
下記の化合物:
i)2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−p−ベンゾキノン;
ii)2,5−ビス−(3−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
iii)2,5−ビス−(4−第三級ブチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
iv)2,5−ビス−(2−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
v)2,5−ビス−(2−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vi)2,5−ビス−(3−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vii)2,5−ビス−(3−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
viii)2,5−ビス−(2−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
ix)2,5−ビス−(4−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
x)2,5−ビス−(4−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xi)2,5−ビス−(3−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xii)2,5−ビス−(4−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xiii)2,5−ビス−(3−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xiv)2,5−ビス−(2−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xv)2,5−ビス−(フェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xvi)2,5−ビス−(4−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xvii)2,5−ビス−(3−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xviii)2,5−ビス−(4−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xix)2,5−ビス−(2−ヨードフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩
からなる群から選択される化合物と、医薬的に許容可能な不活性な補助剤、希釈剤またはキャリアとを含む医薬組成物。
【請求項15】
下記の化合物:
i).2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−p−ベンゾキノン;
ii)2,5−ビス−(3−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
iii)2,5−ビス−(4−第三級ブチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
iv)2,5−ビス−(2−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
v)2,5−ビス−(2−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vi)2,5−ビス−(3−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vii)2,5−ビス−(3−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
viii)2,5−ビス−(2−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
ix)2,5−ビス−(4−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
x)2,5−ビス−(4−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xi)2,5−ビス−(3−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xii)2,5−ビス−(4−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xiii)2,5−ビス−(3−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xiv)2,5−ビス−(2−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xv)2,5−ビス−(フェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xvi)2,5−ビス−(4−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xvii)2,5−ビス−(3−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xviii)2,5−ビス−(4−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xix)2,5−ビス−(2−ヨードフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩
からなる群から選択される化合物と、少なくとも1つのさらなる医薬的に活性な薬剤とを含む医薬組成物。
【請求項16】
下記の化合物:
i)2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−p−ベンゾキノン;
ii)2,5−ビス−(3−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
iii)2,5−ビス−(4−第三級ブチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
iv)2,5−ビス−(2−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
v)2,5−ビス−(2−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vi)2,5−ビス−(3−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vii)2,5−ビス−(3−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
viii)2,5−ビス−(2−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
ix)2,5−ビス−(4−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
x)2,5−ビス−(4−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xi)2,5−ビス−(3−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xii)2,5−ビス−(4−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xiii)2,5−ビス−(3−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xiv)2,5−ビス−(2−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xv)2,5−ビス−(フェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xvi)2,5−ビス−(4−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xvii)2,5−ビス−(3−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xviii)2,5−ビス−(4−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xix)2,5−ビス−(2−ヨードフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩
からなる群から選択される化合物と、不活性な補助剤、希釈剤またはキャリアとを含む、スキンケア用品またはヘアケア用品または化粧品を調製するための組成物。
【請求項17】
リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素により媒介される疾患または状態を処置、改善または予防するための方法であって、前記疾患または状態を処置、改善または予防する程度に、リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害するか、または低下させるために十分な、請求項1に記載される式(I)の化合物の治療効果的な量を哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項18】
疾患の前記処置、改善または予防が、脂肪の代謝、吸収および蓄積を、哺乳動物における体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下させるか、または阻害することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患が、過体重または肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、膵炎、高血糖症、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、心臓血管疾患および代謝性障害を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
リパーゼを分泌する微生物病原体により引き起こされる細胞損傷または組織損傷の処置または予防を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
皮膚、毛髪または化粧の状態を処置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害するか、または低下させることが、体液、細胞および組織における脂肪の代謝、吸収および蓄積を低下させるか、または阻害するために十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が、経口、局所的、鼻腔内、静脈内、経皮、粘膜内、および、吸入による方法からなる群から選択される方法によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素により媒介される疾患または状態を処置、改善または予防するための方法であって、前記疾患または状態を処置、改善または予防する程度に、リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害するか、または低下させるために十分な、請求項1に記載される式(II)の化合物の治療効果的な量を哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項25】
疾患の前記処置、改善または予防が、脂肪の代謝、吸収および蓄積を、哺乳動物における体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下させるか、または阻害することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記疾患が、過体重または肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、膵炎、高血糖症、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、心臓血管疾患および代謝性障害を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
リパーゼを分泌する微生物病原体により引き起こされる細胞損傷または組織損傷の処置または予防を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
皮膚、毛髪または化粧の状態を処置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害するか、または低下させることが、体液、細胞および組織における脂肪の代謝、吸収および蓄積を低下させるか、または阻害するために十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
式(II)のRおよびRが互いに独立して、C(O)アリール、C(O)アルキルアリール、C(O)ハロアリール、C(O)ニトロアリールおよびC(O)アルコキシアリールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
式(II)のRおよびRが互いに独立して、メチルフェニルカルボニル、エチルフェニルカルボニル、プロピルフェニルカルボニル、ブチルフェニルカルボニル、クロロフェニルカルボニル、ブロモフェニルカルボニル、ヨードフェニルカルボニル、フルオロフェニルカルボニル、ニトロフェニルカルボニル、メトキシフェニルカルボニルおよびエトキシフェニルカルボニルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
式(II)のRおよびRが互いに独立して、2−メチルフェニルカルボニル、3−メチルフェニルカルボニル、4−メチルフェニルカルボニル、4−ter−ブチルフェニルカルボニル、2−クロロフェニルカルボニル、3−クロロフェニルカルボニル、4−クロロフェニルカルボニル、2−ブロモフェニルカルボニル、3−ブロモフェニルカルボニル、4−ブロモフェニルカルボニル、2−ヨードフェニルカルボニル、3−ヨードフェニルカルボニル、4−ヨードフェニルカルボニル、2−フルオロフェニルカルボニル、3−フルオロフェニルカルボニル、4−フルオロフェニルカルボニル、2−ニトロフェニルカルボニル、3−ニトロフェニルカルボニル、4−ニトロフェニルカルボニル、2−メトキシフェニルカルボニル、3−メトキシフェニルカルボニルまたは4−メトキシフェニルカルボニルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物が、経口、局所的、鼻腔内、静脈内、経皮、粘膜内、および、吸入による方法からなる群から選択される方法によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
リパーゼ遺伝子ファミリーの酵素により媒介される疾患または状態を処置、改善または予防するための方法であって、下記の化合物:
i)2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−p−ベンゾキノン;
ii)2,5−ビス−(3−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
iii)2,5−ビス−(4−第三級ブチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
iv)2,5−ビス−(2−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
v)2,5−ビス−(2−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vi)2,5−ビス−(3−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
vii)2,5−ビス−(3−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
viii)2,5−ビス−(2−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
ix)2,5−ビス−(4−クロロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
x)2,5−ビス−(4−ブロモフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xi)2,5−ビス−(3−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xii)2,5−ビス−(4−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xiii)2,5−ビス−(3−メチルフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xiv)2,5−ビス−(2−ニトロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xv)2,5−ビス−(フェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xvi)2,5−ビス−(4−フルオロフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xvii)2,5−ビス−(3−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xviii)2,5−ビス−(4−メトキシフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
xix)2,5−ビス−(2−ヨードフェニルカルボニルオキシ)−3−ウンデシル−1,4−ベンゾキノン;
そのプロドラッグ、その幾何異性体または光学異性体、その多形体、そのすべての溶媒和物および水和物ならびにそのすべての塩
からなる群から選択される化合物を、前記疾患または状態を処置、改善または予防する程度に、リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害するか、または低下させるために十分な治療効果的な量で哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項35】
疾患の前記処置、改善または予防が、脂肪の代謝、吸収および蓄積を、哺乳動物における体液レベル、細胞レベルおよび組織レベルを含む様々なレベルで低下させるか、または阻害することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記疾患が、過体重または肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、膵炎、高血糖症、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、心臓血管疾患および代謝性障害を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
リパーゼを分泌する微生物病原体により引き起こされる細胞損傷または組織損傷の処置または予防を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
皮膚、毛髪または化粧の状態を処置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
リパーゼ遺伝子ファミリーに属する酵素の活性を阻害するか、または低下させることが、体液、細胞および組織における脂肪の代謝、吸収および蓄積を低下させるか、または阻害するために十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物が、経口、局所的、鼻腔内、静脈内、経皮、粘膜内、および、吸入による方法からなる群から選択される方法によって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
実施例および図面を参照して実質的に本明細書中に記載されるような上記請求項に記載のプロセス。

【公表番号】特表2009−505953(P2009−505953A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522176(P2008−522176)
【出願日】平成17年9月19日(2005.9.19)
【国際出願番号】PCT/IN2005/000318
【国際公開番号】WO2007/010546
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(506383722)リライアンス ライフ サイエンシーズ プライベイト リミテッド (9)
【Fターム(参考)】