説明

リフロー装置

【課題】リフロー炉内のガスのミスト濃度を測定し、予め設定した値より測定された濃度が高くなると、アラームが発生し、また、フラックス除去能力が増大される。
【解決手段】本加熱部を担当するゾーンZ6から炉内のガスが吸い込まれ、吸い込まれたガスがフラックス回収装置31およびブロワ32を通ってゾーンZ7の吐き出し部から炉内に吐き出される。光散乱方式の粉じん測定装置23の測定値がコントローラ33に供給される。コントローラ33は、測定値を予め設定したしきい値と比較し、測定値がしきい値より大きくなると、アラーム装置35によってアラームを発生すると共に、フラックス回収装置のファンおよび/またはブロワの回転数を高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リフロー装置、特に、リフロー装置内部で発生したガスの測定と測定結果に基づく制御に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品またはプリント配線基板に対して、予めはんだ組成物を供給しておき、リフロー炉の中に基板を搬送コンベヤで搬送するリフロー装置が使用されている。リフロー装置は、基板を搬送する搬送コンベヤと、この搬送コンベヤによって被加熱物としての基板が供給されるリフロー炉本体とを備えている。リフロー炉は、例えば、搬入口から搬出口に至る搬送経路に沿って、複数のゾーンに分割されており、これらの複数のゾーンがインライン状に配列されている。複数のゾーンは、その機能によって、加熱ゾーン、冷却ゾーンなどの役割を有する。
【0003】
加熱ゾーンのそれぞれは、上部炉体および下部炉体を有する。例えばゾーンの上部炉体から基板に対して熱風が吹きつけられ、下部炉体から基板に対して熱風が吹きつけられることによって、はんだ組成物内のはんだを溶融させて基板の電極と電子部品とがはんだ付けされる。リフロー装置では、被加熱物例えば基板の表面温度を所望の温度プロファイルにしたがって制御することによって、所望のはんだ付けを行うことができる。かかるリフロー装置は、非接触ではんだ付けを行うことができ、また、窒素ガス(N2 )等の不活性ガスの雰囲気においてはんだ付けを行うので、酸化を防止することができる。
【0004】
はんだ組成物は、粉末はんだ、溶剤、フラックスを含むものである。フラックスは、成分としてロジンなどを含むものであり、はんだ付けされる金属表面の酸化膜を除去し、はんだ付けの際に加熱で再酸化するのを防止し、はんだの表面張力を小さくして濡れを良くする塗布剤の働きをするものである。
【0005】
このフラックスは、加熱により、気化しリフロー炉内に充満する。気化したフラックスは、溶剤ガス、ミスト、ヒューム等と呼ばれる。本明細書では、気体中に分散した液体の微粒子という意味で、ミストの用語を使用する。ミストは、温度の低い部位に付着し易く、ミストが付着すると、付着している部位から滴下し、基板の上面に付着することもあり、基板の性能を損うこととなる。また、炉内において温度が低下する部分に堆積する等によりリフロー工程に大きな影響を与える場合もある。したがって、リフロー炉内の雰囲気ガス中に含まれるフラックス成分を除去または回収することが必要とされる。
【0006】
下記の特許文献1には、はんだ溶融ゾーンの次の冷却ゾーンから内部のガスを導出し、ミスト除去装置によってミスト、フラックスの蒸気を除去し、さらに、窒素ガスを混合して冷却ゾーンに戻す構成が記載されている。
【0007】
さらに、特許文献2で提案されているリフロー装置では、リフロー炉から取り出された雰囲気ガスを炉外に取り出して、取り出した雰囲気ガスを、触媒が作用する高温まで加熱した後、酸化触媒中を通過させることによって、雰囲気ガス中に含まれるフラックス成分が酸化処理されて水(蒸気)と炭酸ガスに分解する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平05−087987号公報
【特許文献2】特開2006−160591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1または特許文献2に記載の装置は、フラックス回収装置または触媒のミスト除去効果を監視せず、リフロー装置の炉の外にミストの濃度が高いガスが放出されるおそれがあった。さらに、フラックス回収装置および触媒装置が一定の能力を発揮するようにこれらの装置を常時、動作させるので、無駄な消費電力が生じるおそれがあった。
【0010】
したがって、この発明の目的は、ミストの濃度が高いガスが外部に放出されるおそれが高いことを検出し、さらに、ミスト除去装置の動作を制御することによって、省力化が可能なリフロー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、この発明は、リフロー炉の温度を制御することによって、搬送される被加熱物をリフローするリフロー装置において、
リフロー炉の内部のガスに含まれるミストの量または外部に流出するガスに含まれるミストの量を光散乱方式の粉じん測定装置に導き、
粉じん測定装置の測定結果をしきい値と比較し、
測定結果がしきい値より大きい場合に、測定結果がしきい値より大きいことを示す検出信号を発生するリフロー装置である。
検出信号によってアラームを発生するようになされる。
【0012】
好ましくは、リフロー炉から内部のガスが外部のフラックス回収装置に導かれ、フラックス回収装置を通ったガスがリフロー炉に戻されるガスの循環路が構成され、
検出信号によって、フラックス回収装置の冷却用ファンの回転数がより高くなるように制御される。
検出信号によって、ガスの循環路中を流れるガスの流量が増大されるように制御される。
ガスの循環路を流れるガスの一部が供給される粉じん測定装置が設けられる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、リフロー装置から外部へ流出するガス中のミストの濃度が高くなったことを検出でき、検出に基づいてアラームを発生できる。さらに、炉内のガスを外部に導出し、フラックス回収装置または触媒装置によってミストを除去し、ミストが除去されたガスを炉内に戻す場合に、ミストの濃度に応じてフラックス回収装置のファンの動作、ガスの流量、或いは換気ダクトの開閉の度合いを制御することによって、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明を適用できるリフロー装置の概略を示す略線図である。
【図2】リフロー時の温度プロファイルの一例を示すグラフである。
【図3】この発明の第1の実施の形態を説明するための略線図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態における制御動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】この発明の第1の実施の形態における制御動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図6】この発明の第2の実施の形態を説明するための略線図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施の形態>
<2.第2の実施の形態>
<3.変形例>
なお、以下に説明する一実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0016】
<1.第1の実施の形態>
「リフロー装置の一例」
図1は、この発明を適用できるリフロー装置の概略的構成を示す。なお、以下に説明する複数の実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0017】
プリント配線基板の両面に表面実装用電子部品が搭載された被加熱物が搬送コンベヤの上に置かれ、搬入口11からリフロー装置の炉体内に搬入される。例えば搬送用ローラチェーンの構成の搬送コンベヤが所定速度で矢印方向(図1に向かって左から右方向)へ被加熱物を搬送し、被加熱物が搬出口12から取り出される。搬入口11および12のそれぞれには、炉内の雰囲気ガスが外部に流出することを防止するガス流出制限部として、ガスシール部21および22が設けられている。ガスシール部21および22としては、例えばラビリンスシール機構を使用できる。ガスシール部21および22は、炉内の圧力が高くなると、炉内のガスが外部に流出する。さらに、2点線鎖線で示すように、リフロー装置の全体が外板(筐体)によって囲まれており、外板に対して排気ダクト23a、23bが設けられている。従来では、排気ダクトが常に全開とされ、リフロー装置から流出したガスが工場外へ排出されている。この発明の第1の実施の形態では、排気ダクト23aおよび23bの開き量を完全に閉じた状態から全開の状態までの間で、制御可能としている。
【0018】
搬入口11から搬出口12に至る搬送経路に沿って、リフロー炉が例えば9個のゾーンZ1からZ9に順次分割され、これらのゾーンZ1〜Z9がインライン状に配列されている。入り口側から7個のゾーンZ1〜Z7が加熱ゾーンであり、出口側の2個のゾーンZ8およびZ9が冷却ゾーンである。冷却ゾーンZ8およびZ9に関連して強制冷却ユニット14が設けられている。さらに、冷却ゾーンZ8およびZ9に関連してフラックス回収ユニット17および18が設けられている。
【0019】
上述した複数のゾーンZ1〜Z9がリフロー時の温度プロファイルにしたがって被加熱物の温度を制御する。図2に温度プロファイルの例の概略を示す。横軸が時間であり、縦軸が被加熱物例えば電子部品が実装されたプリント配線基板の表面温度である。最初の区間が加熱によって温度が上昇する昇温部R1であり、次の区間が温度がほぼ一定のプリヒート(予熱)部R2であり、次の区間が本加熱(リフロー)部R3であり、最後の区間が冷却部R4である。
【0020】
昇温部R1は、常温からプリヒート部R2(例えば150°C〜170°C)まで基板を加熱する期間である。プリヒート部R2は、等温加熱を行い、フラックスを活性化し、電極、はんだ粉の表面の酸化膜を除去し、また、プリント配線基板の加熱ムラをなくすための期間である。本加熱部R3(例えばピーク温度で220°C〜240°C)は、はんだが溶融し、接合が完成する期間である。本加熱部R3では、はんだの溶融温度を超える温度まで昇温が必要とされる。本加熱部R3は、プリヒート部R2を経過していても、温度上昇のムラが存在するので、はんだの溶融温度を超える温度までの加熱が必要とされる。最後の冷却部R4は、急速にプリント配線基板を冷却し、はんだ組成を形成する期間である。
【0021】
図2において、曲線1は、鉛フリーはんだの温度プロファイルを示す。共晶はんだの場合の温度プロファイルは、曲線2で示すものとなる。鉛フリーはんだの融点は、共晶はんだの融点より高いので、プリヒート部R2における設定温度が共晶はんだに比して高いものとされている。
【0022】
リフロー装置では、図2における昇温部R1の温度制御を、主としてゾーンZ1およびZ2が受け持つ。プリヒート部R2の温度制御は、主としてゾーンZ3、Z4およびZ5が受け持つ。本加熱部R3の温度制御は、ゾーンZ6およびZ7が受け持つ。冷却部R4の温度制御は、ゾーンZ8およびゾーンZ9が受け持つ。
【0023】
加熱ゾーンZ1〜Z7のそれぞれは、それぞれ送風機を含む上部炉体15および下部炉体16を有する。例えばゾーンZ1の上部炉体15および下部炉体16から搬送される被加熱物に対して熱風(熱せられた雰囲気ガス)が吹きつけられる。被加熱物は、プリント配線基板の両面に表面実装用電子部品が搭載されたものである。さらに、上部炉体15内および下部炉体16内は、不活性ガス例えば窒素ガス(N2 )が充満している。なお、熱風と共に赤外線を照射しても良い。
【0024】
加熱ゾーンZ1〜Z7の上部炉体15は、例えばターボファンの構成の送風機と、ヒータ線を複数回折り返して構成したヒータと、熱風が通過する多数の小孔を有するパネル(蓄熱部材)とを有し、パネルの小孔を通過した熱風が被加熱物に対して上側から吹きつけられる。下部炉体16も上部炉体15と同様の構成を有する。
【0025】
リフロー時には、上部炉体および下部炉体の対向間隙を搬送手段例えば搬送チェーンによって被加熱物が所定の速度で搬送されると共に、これらの上部炉体および下部炉体のそれぞれの温度が予め設定された温度となるように制御される。さらに、送風機の送風量も所定値とされる。
【0026】
図3に示すように、本加熱部のゾーンZ6の炉内から吸い込まれたガスがフラックス回収ユニット31に供給される。図3および他の図において、ガスの流れの経路を太線で示し、電気的信号の経路を実線で示す。フラックス回収ユニット31は、炉から取り出した雰囲気ガスを冷却して雰囲気ガス内のフラックス成分を凝集させ、液状のフラックスを回収するものである。冷却のために、ファンが設けられ、空冷方式でガスが冷却される。
【0027】
フラックス回収ユニット31からのフラックス回収後のガスがブロワ32に供給される。ブロワ32がガスの流れを作り出し、配管内を所望の速度でガスが流れる。ブロワ32の出力ガスがゾーンZ6と隣接する本加熱部のゾーンZ7の炉内に吐き出される。ガスを戻すゾーンは、任意のゾーンで良い。
【0028】
図3において、破線で示すように、触媒装置34を設けても良い。触媒装置34は、リフロー炉から取り出した雰囲気ガスを、加熱部によって触媒が作用する高温(300°C〜400°C)まで加熱した後、酸化触媒中を通過させる構成を有する。触媒は、例えば、白金、ランタン、パラジウムまたはロジウムなどからなる。雰囲気ガスが触媒を通過する際に、酸素を加え、触媒により、雰囲気ガス中のフラックスの有機成分を二酸化炭素(CO2 )、水(H2 O)などに分解する。触媒装置34をフラックス回収ユニット31の代わりに設ける。または、触媒装置34とフラックス回収ユニットとの両方を設けても良い。
【0029】
「粉じん測定装置」
この発明の第1の実施の形態では、リフロー炉の外部に流出するガス中のミストの濃度を測定する粉じん測定装置23が設けられる。粉じん測定装置23は、光散乱方式によるものである。図3に示すように、粉じん測定装置23がガスシール部21および22が設けられている入口側および出口側の外部に設けられる。入口付近および出口付近から取り出されたガスが粉じん測定装置23に供給される。なお、粉じん測定装置23を入口側および出口側の一方に配置しても良い。さらに、粉じん測定装置23をガスシール部21および22の内部に設けるようにしても良い。粉じん測定装置23の性能の点から、ミストをある程度少なくした状態で、粉じん測定装置23が測定を行うことが好ましい。例えばガスシール部21および22からガスを取り出すようになされる。さらに、粉じん測定装置23までの配管を長くすることも効果的である。
【0030】
光散乱方式は、空気中に浮遊している粉じんに光を照射すると、粉じんに当たって光が散乱することを利用して粉じんの濃度を測定する。すなわち、散乱光量は、粉じんの濃度に比例する。粉じん測定装置の測定値に対して質量濃度変換係数を乗じることによって、質量濃度(単位:mg/m3)が求められる。但し、この発明では、質量濃度に換算する
前の相対的な粉じんの量を示す測定結果を使用しても良い。光散乱方式による粉じん測定装置は、粉じんの濃度変化に対して高感度に追従反応する利点を有する。
【0031】
粉じん測定装置は、測定対象のガスを吸引する吸引口と、吸引口からのガスの通路を横切る光路を有する発光部および受光部と、ガスを外部に放出する排気口と、ガスの流れを形成するためのポンプと、装置全体を制御するコントローラ(マイクロコンピュータ)と、操作スイッチと、表示部と、USB(Universal Serial Bus)インタフェースとを備えている。通常、測定後のガスが通過するフィルタを粉じん測定装置が有するが、この発明においては、フィルタを備えなくても良い。粉じん測定装置23の測定結果が例えばUSBケーブルを介してコントローラ33に対して供給される。
【0032】
「粉じん測定装置の測定値を使用した制御の一例」
フラックス回収ユニット31のファンの回転数およびブロワ32の回転数、または一方の回転数がコントローラ33からの検出信号(コントロール信号)によって制御される。さらに、コントローラ33からの検出信号がアラーム装置35に供給され、アラームの発生が制御される。アラームは、音の発生、ランプの点灯等によってなされる。触媒装置34が装備されている場合には、触媒装置の加熱部のON/OFFの制御に検出信号が使用される。さらに、触媒の性能低下(劣化)として検出し、触媒のクリーニングをが必要なことを報知するためにアラームを使用しても良い。さらに、粉じん測定装置の測定結果から形成されたコントロール信号によって、排気ダクト23aおよび23bの開閉量を制御しても良い。すなわち、ミストの量が少ないと検出される場合には、排気ダクト23aおよび23bを閉じるか、排気量が少なくなるようにされ、ミストの量が多いと検出される場合には、排気ダクト23aおよび23bの開き量を多くするか、全開となされる。
【0033】
図4は、コントローラ33による制御動作を示すフローチャートである。ステップS1において粉じん測定装置23によってミストが測定される。測定値がコントローラ33に供給される。ステップS2において、測定値がしきい値と比較される。しきい値は、予め設定された値である。測定値がしきい値より小の場合には、処理がステップS1に戻って測定が継続される。
【0034】
ステップS2において、測定値がしきい値より大と判定されると、測定値がしきい値より大きいことを示す検出信号が発生し、ステップS3において、検出信号によって、フラックス回収装置31のファンの回転数および/またはブロワ32の回転数が上昇される。同時に、アラーム装置35が駆動されてアラームが発生する。なお、アラームの発生を制御するためのしきい値と回転数を制御するためのしきい値とが異なっても良い。粉じん測定装置23により測定されたミストの量がしきい値を上回った場合には、フラックス回収装置31のファンの回転数が上昇されてより冷却がなされ、さらに、ブロワ32の回数が上昇されてフラックス回収装置31を通るガスの量が増大される。その結果、ミストを除去する能力が増大され、ミストが減少する。
【0035】
ステップS4においては、リフロー装置の運転を制御するメインスイッチがOFFか否かが判定される。メインスイッチがONの場合には、処理がステップS1(ミストの測定)に戻る。メインスイッチがOFFの場合には、処理が終了する。
【0036】
ステップS3において、フラックス回収装置31のファンの回転数および/またはブロワ32の回転数が上昇されると、予め設定した所定時間、高い回転数が維持され、所定時間が経過すると、回転数が通常の値に自動的に戻る。しかしながら、測定値がしきい値以下となったことを検出した場合に、回転数を通常の値に戻すようにしても良い。こような制御によって、常時、ファン/ブロワの回転数を比較的高くして運転するのと比較して、消費電力を低減することができる。また、フラックス回収装置31のフィルタの清掃等のメンテナンス作業をアラームに応じて行うことができる。
【0037】
「粉じん測定装置の測定値を使用した制御の他の例」
図5のフローチャートを参照して、制御方法の他の例について説明する。他の例は、リフロー炉内に被加熱物が入ったかどうかを判定し、判定結果に応じてファン/ブロワの回転のON/OFFを制御するようにしたものである。
【0038】
ステップS5において、リフロー炉の内部に被加熱物が入ったかどうかが判定される。例えばリフロー炉の入口側に設けられている被加熱物を検出するセンサによって被加熱物の有無を判定することができる。被加熱物がリフロー炉内にあると判定されると、ステップS1に処理が移行する。被加熱物がリフロー炉内にないと判定されると、ステップS7において、ファン/ブロワの回転がOFFとされる。そして、ステップS5に処理が戻る。
【0039】
ステップS1において、ミストが測定され、測定値がコントローラ33に供給される。ステップS1以降の処理は、上述した制御の一例と同一であるので、その説明については省略する。このように、被加熱物がリフロー炉内にないときに、ファン/ブロワの回転を停止するので、消費電力を抑えることができる。
【0040】
上述した制御方法の他の例は、触媒装置34の加熱部のヒータのON/OFFの制御に対しても同様に適用することができる。
【0041】
<第2の実施の形態>
図6に示すように、この発明の第2の実施の形態は、リフロー装置の炉の外に粉じん測定装置37を配置する例である。第1の実施の形態と同様に、リフロー装置のゾーンZ6から吸い出された内部のガスがフラックス回収装置31およびブロワ32を通過することによってミストが除去される。ブロワ32から出力されるガスが分岐器35に供給される。
【0042】
分岐器35によってガスの経路が二つに分岐される。一方の分岐を通ったガスが粉じん測定装置37に供給される。粉じん測定装置37の測定値がコントローラ33に対して供給される。コントローラ33は、上述した図4のフローチャートに示す制御方法、または図5のフローチャートに示す他の制御方法によって、フラックス回収装置31のファンおよび/またはブロワ32を制御する。触媒装置34が設けられている場合には、触媒装置34のヒータがコントローラ33からの検出信号によって制御される。
【0043】
第2の実施の形態では、リフロー装置の炉の外でミストを測定することができるので、リフロー装置から測定値を取り出すことが不要となる。なお、粉じん測定装置37によってフラックス除去前のガスのミストを測定しても良い。
【0044】
「変形例」
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば粉じん測定装置がリアルタイムに測定した測定値(瞬時値)をしきい値と比較する代わりに、測定値を平均化した値、または測定値を積算した値をしきい値と比較するようにしても良い。さらに、粉じん測定装置の測定値と比較されるしきい値として複数の値が設定可能とされ、リフローの設定温度または精度に対応してしきい値を設定しても良い。すなわち、しきい値をリフローの加熱温度の間隔例えば10°C毎に記憶部に記憶しておく。被加熱物を変更する等により、加熱温度が変更された場合には、自動的にまたは温度の測定により、当該加熱温度に応じたしきい値を設定し、測定を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0045】
11・・・搬入口
12・・・搬出口
14・・・強制冷却ユニット
15・・・上部炉体
16・・・下部炉体
18,19,31・・・フラックス回収ユニット
23a,23b・・・排気ダクト
Z1〜Z10・・・ゾーン
21,22・・・ガスシール部
23・・・粉じん測定装置
32・・・ブロワ
33・・・コントローラ
34・・・触媒装置
35・・・アラーム装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフロー炉の温度を制御することによって、搬送される上記被加熱物をリフローするリフロー装置において、
上記リフロー炉の内部のガスに含まれるミストの量または外部に流出するガスに含まれるミストの量を光散乱方式の粉じん測定装置に導き、
上記粉じん測定装置の測定結果に応じた検出信号を発生するリフロー装置。
【請求項2】
上記検出信号によってアラームを発生するようにした請求項1記載のリフロー装置。
【請求項3】
上記検出信号によって排気ダクトの開き量を制御する請求項1または2記載のリフロー装置。
【請求項4】
上記リフロー炉から上記内部のガスが外部のフラックス回収装置に導かれ、上記フラックス回収装置を通ったガスが上記リフロー炉に戻されるガスの循環路が構成され、
上記検出信号によって、上記フラックス回収装置の冷却用ファンの回転数がより高くなるように制御される請求項1、2または3記載のリフロー装置。
【請求項5】
上記リフロー炉から上記内部のガスが外部のフラックス回収装置に導かれ、上記フラックス回収装置を通ったガスが上記リフロー炉に戻されるガスの循環路が構成され、
上記検出信号によって、上記ガスの循環路中を流れるガスの流量が増大されるように制御される請求項1、2または3記載のリフロー装置。
【請求項6】
上記ガスの循環路を流れるガスの一部が供給される粉じん測定装置が設けられる請求項4または5記載のリフロー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−143435(P2011−143435A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5538(P2010−5538)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】