説明

リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとを含む組成物

本発明は、リポキシゲナーゼ阻害剤の治療有効濃度を有するリポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体の製剤、同製剤を製造する方法および同製剤を使用して病的状態を治療する方法に関する。シクロデキストリン錯体形成により、リポキシゲナーゼ阻害剤の水溶解性は増加し、これによってリポキシゲナーゼの高濃度溶液が可能となる。リポキシゲナーゼ阻害剤−シクロデキストリン錯体の水溶製剤は、炎症性疾患状態を治療および/または防止するため、非経口または経口投与が適している。水溶製剤は、凍結乾燥して長期保存することができ、経口投与に有用でありおよび/または利便性のよい経済的なパッケージングで提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、2005年11月15日に出願された米国仮特許出願第60/736,980号の利益を請求する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとを含む組成物、治療有効濃度のリポキシゲナーゼ阻害剤を有するシクロデキストリンとリポキシゲナーゼ阻害剤との包接錯体、その薬学的組成物、治療有効濃度のリポキシゲナーゼ阻害剤を有するシクロデキストリンとリポキシゲナーゼ阻害剤包接錯体とを形成する方法、およびリポキシゲナーゼ阻害剤の治療有効濃度を有するシクロデキストリン包接錯体とリポキシゲナーゼ阻害剤の製剤を使用する治療方法を含む組成物に関する。特に、本発明は、β−シクロデキストリンまたはその誘導体とリポキシゲナーゼ阻害剤の治療有効濃度を有する5−リポキシゲナーゼ阻害剤との包接錯体製剤、β−シクロデキストリン包接錯体またはその誘導体およびリポキシゲナーゼ阻害剤の治療有効濃度を有する5−リポキシゲナーゼ阻害剤の形成、β−シクロデキストリン包接錯体またはその誘導体およびリポキシゲナーゼ阻害剤の治療有効濃度を有する5−リポキシゲナーゼ阻害剤を形成する方法、およびβ−シクロデキストリン包接錯体またはその誘導体およびリポキシゲナーゼ阻害剤の治療有効濃度を有する5−リポキシゲナーゼ阻害剤の形成を使用する治療上の処置方法に関する。これらの製剤は、非経口または経口経路で投与されるよう、例えば水溶液または乾燥剤として製造可能である。乾燥製剤は、投与のため再溶解することが可能である。あるいは限定されるものではないが、非経口、経口、経肺、経眼、経鼻、経直腸、経膣、点耳、局所、口腔、経皮、静脈、筋肉、皮下、皮内、眼内、脳内、リンパ管内、関節内、くも膜下および腹腔内を含む投与経路で投与されるようさらなる処理が可能である。
【0003】
リポキシゲナーゼ酵素は、例えばぜんそく、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー性鼻炎、クローン病、呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鎌状赤血球病、急性肺障害、虚血/再灌流障害、鼻茸および/またはとりわけ炎症性腸疾患など、種々の病気において重要な役割を果たす。従って、リポキシゲナーゼ活性を妨げる化合物は、このような病気の処置および/または予防に有用である。本願明細書に援用およびその一部をなす特許文献1、特許文献2および特許文献3は、特定のリポキシゲナーゼ阻害剤、特に5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害化合物、N−ヒドロキシ尿素5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害化合物、5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害化合物、5および12−リポキシゲナーゼ阻害剤の製薬形成を製造する方法を開示する。N−ヒドロキシ尿素リポキシゲナーゼ阻害剤のひとつは、ジレウトンとして一般に周知である。経口投与のための600mgジレウトン剤形の固体製剤は、ぜんそくの処置に使用される。
【0004】
ジレウトンは、以下のような化学構造:
【0005】
【化8】

を有する。
【0006】
ジレウトンは、R(+)およびS(−)エナンチオマーのラセミ混合物(約50:50)として使用できる。ジレウトンの異性体およびリポキシゲナーゼの活性阻害におけるその使用についても記載がある。本願明細書に援用およびその一部をなす特許文献4は、リポキシゲナーゼの活性阻害における光学的に純粋な(−)−ジレウトンの使用を開示する。本願明細書に援用およびその一部をなす特許文献5は、リポキシゲナーゼの活性阻害における光学的に純粋な(+)−ジレウトンの使用を開示する。
【0007】
特定のN−ヒドロキシ尿素5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤は水難溶解性であるため、これらの有益な薬剤の用途が限定されている。治療有効濃度の水性製剤が調製できれば用途は広がるであろう。ジレウトンは、例えばメタノールおよびエタノールに可溶であり、アセトニトリルにわずかに可溶であり、ほとんどヘキサンと水に溶けない(25℃で水溶性0.08〜0.14mg/mL)。その難溶解性に加えて、ジレウトンおよび考えられるその他のN−ヒドロキシ尿素リポキシゲナーゼ阻害剤は、長時間室温で保存の水溶液中、化学的に不安定になると予測されている。分解すると、下に示すようにカルバミド酸が生じ、特定のヒドロニウム−または水−加水分解によって直ぐに二酸化炭素が失われてヒドロキシルアミンになる。
【0008】
【化9】

ジレウトンには、緩衝液の触媒反応が見られない。25℃の酸−および水−触媒速度定数を使用する擬1次速度定数は、約3.5〜約7.5のpH領域を越える約7.8×10−5−1であると確定される。10%薬剤損失での有効期限は、最適pH5.6で57.3日と計算される。比率データから測定された25℃でのpH率特性は、図1に示す通りである。
【0009】
ジレウトンなどの5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の溶解性増加は、治療効果および薬剤の治療への応用を高めることにつながる。例えば、治療有効濃度のリポキシゲナーゼ阻害剤を有する水溶液は、静脈注射法または急速静注法のようなすぐに使用可能(ready−to−use)な注射物質へ処方可能である。加えて、溶液組成物は、注射の時、後で希釈するために高濃度のリポキシゲナーゼ阻害剤を有するように調製可能である。リポキシゲナーゼ阻害剤を注射剤形で得られれば、多くの病状の治療で使用することができるであろう。
【0010】
治療有効濃度のリポキシゲナーゼ阻害剤を有する溶液組成物が調製されれば、固形濃縮物は、周知の方法によって調製可能である。これらの可溶な固形濃縮物は、その後、注射の時に溶解可能である。また、これらの固形濃縮物は、錠剤、カプセル、薬用ドロップ、坐薬などのような単一剤形を生産するため調合可能である。
【0011】
従って、安全な非経口および/または経口投与用であって、治療有効濃度のリポキシゲナーゼ阻害剤を有する5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の可溶性または溶液組成物、特に非経口投与用であって、5−リポキシゲナーゼ阻害剤の治療有効濃度を有する可溶性または溶液組成物が必要である。さらに、望ましくない高濃度の賦形剤から副作用を起こすことなく、非経口投与用であって治療有効濃度を提供可能である5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の可溶性または溶液組成物に対する必要性が存在する。
【特許文献1】米国特許第4,873,259号明細書
【特許文献2】米国特許第4,992,464号明細書
【特許文献3】米国特許第5,250,565号明細書
【特許文献4】米国特許第5,629,337号明細書
【特許文献5】国際公開第94/26268号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要旨
本発明は、リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む組成物に関する。
【0013】
本発明の別の実施形態では、治療有効濃度にリポキシゲナーゼ阻害剤が存在する、リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む薬学的組成物が提供される。
【0014】
本発明の別の実施形態では、治療有効濃度にリポキシゲナーゼ阻害剤が存在しおよびシクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびその誘導体からなる群から選択される、リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む薬学的組成物が提供される。
【0015】
本発明のさらなる実施形態では、治療有効濃度にリポキシゲナーゼ阻害剤が存在する、リポキシゲナーゼ阻害剤とβ−シクロデキストリンとの包接錯体またはその誘導体および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物が提供される。
【0016】
本発明別の実施形態では、治療有効濃度にリポキシゲナーゼ阻害剤が存在する、リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体またはその誘導体および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物が提供される。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態では、治療有効濃度にジレウトンが存在する、ジレウトンとβ−シクロデキストリンとの包接錯体および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物が提供される。
【0018】
本発明別の実施形態では、治療有効濃度にリポキシゲナーゼ阻害剤が存在する、リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む非経口製剤が提供される。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態では、包接錯体は少なくとも0.2mg/mLの溶解性を有しおよび治療有効濃度にリポキシゲナーゼ阻害剤が存在する、リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む乾燥製剤が提供される。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態では、5−リポキシゲナーゼ阻害剤とβ−シクロデキストリンとの包接錯体の水溶液を製造する方法は:緩衝水溶液を調製する;緩衝溶液中のβ−シクロデキストリン誘導体を溶解する;および5−リポキシゲナーゼ阻害剤をβ−シクロデキストリン誘導体へ加え、それから緩衝溶液を提供する、ステップからなる。
【0021】
本発明の別の様態では、リポキシゲナーゼ阻害剤およびシクロデキストリンを含む薬学的組成物を投与することにより、リポキシゲナーゼおよび/またはロイコトリエン活性を調節する症状により苦しんでいる哺乳動物を治療する方法が提供される。ここで、前記リポキシゲナーゼ阻害剤は、リポキシゲナーゼ阻害剤の治療有効濃度に現れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の説明
本願明細書において用いられる「1つの(「a」または「an」)」は、特に指示がない限り1つ以上を意味する。
【0023】
5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の望ましい溶解度向上は、シクロデキストリンとともに包接錯体を形成することにより達成可能である。シクロデキストリンは、F.Schardingerにより完全に記述されおよび多くの古い文献は、シクロデキストリンをSchardingerのデキストリンと呼ぶ。シクロデキストリンは、外表面に水酸基を持ち、中央が空洞になった環状オリゴ糖である。この環の配向は、外側が親水性、内側が脂溶性の円錐台構造となっている。
【0024】
最も一般的なシクロデキストリンは、それぞれ6、7および8α−1、4−結合したブドウ糖単位からなるα−、β−およびγ−シクロデキストリンである。これらの単位数は、空洞の大きさで決まる。
【0025】
シクロデキストリンは、全分子またはその一部を空洞に取り込むことにより疎水性分子とともに包接錯体に形成できる。形成された錯体の安定性は、ゲスト分子がシクロデキストリンの空洞にいかに良く適合するかによる。リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとを含む組成物には、リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体の他、包接錯体ではないリポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンが含まれる。
【0026】
注射で投与される時、α−、β−およびγ−シクロデキストリンの水溶解度には限度がありおよび多少の毒性を示す。例えば、β−シクロデキストリンは、多様な薬剤と最も安定した錯体を形成するが、シクロデキストリンの水への溶解度が最も低い。従って、これらの欠点を克服するため、シクロデキストリンの構造を化学修飾して、溶解度を増したより安全なシクロデキストリン誘導体が作られてきている。一般に1種以上の2、3または6位にある水酸基で化学修飾されている。例えば、本願明細書に援用およびその一部をなす内容である米国特許第5,134,127号、第5,376,645号、第5,571,534号、第5,874,418号、第6,046,177号および第6,133,248号には、シクロデキストリン誘導体について記載されている。本願明細書において用いられる、「シクロデキストリン」という用語は、修飾されていないシクロデキストリンも化学修飾されたシクロデキストリンの誘導体も含めるものである。
【0027】
α−、β−およびγ−シクロデキストリンは、5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤と共に錯体形成に使用可能であるが、好ましいシクロデキストリンは、β−およびγ−シクロデキストリンであり、さらに好ましくは、β−シクロデキストリンである。好ましいβ−シクロデキストリンは、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルで誘導体化されたβ−シクロデキストリン(例えば米国特許第5,134,127号、第5,376,645号、第5,874,418号、第6,046,177号および第6,133,248号に記載)を含む。スルホブチルで誘導体化されたβ−シクロデキストリンの一例は、スルホブチルエーテル(7)−β−シクロデキストリンである。スルホブチルエーテル(7)−β−シクロデキストリンは、商標CAPTISOL(「CAPTISOLシクロデキストリン」)のもと、米国サイデックス社(CyDex.Inc.)が販売している。
【0028】
好ましい5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤は、式(I):
【0029】
【化10】

を有する化学式を有するタイプのものである。
【0030】
式中、Rは水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、NRからなる群から選択され、上式中、RおよびRは、各々独立に、水素、C1〜C4アルキルおよびヒドロキシルから選択されるが、RおよびRは同時にヒドロキシルではなく;
式中、Xは酸素、硫黄、SOまたはNRであり、上式中、Rは水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコイル.アロイルおよびアルキルスホニルからなる群から選択され;
AはC1〜C6アルキレンおよびC2〜C6アルケニレンから選択され;
nは1〜5であり;
各々Yは、独立に、水素、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、ハロで置換されたアルキル、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C1〜C12アルコキシ、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C8チオアルキル、アリール、アリールオキシ、アロイル、C1〜C12アリールアルキル、C2〜C12アリールアルケニル、C1〜C12アリールアルコキシおよびC1〜C12アリールチオアルコキシから選択され、式中Substitutentsは、ハロ、ニトロ、シアノ、C1〜C12アルキル、アルコキシおよびハロで置換されたアルキルから選択される。
【0031】
Zは酸素または硫黄であり;および
Mは水素、薬学的に許容されるカチオン、アロイルまたはC1〜C12アルコイルである。
【0032】
置換基(単数および複数)Yおよび架橋基Aは、どちらか一方の環のいずれもの使用できる位置に結合可能である。
【0033】
さらなる実施形態において、5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤には式(II):を有するタイプのものがある。
【0034】
【化11】

はC1またはC2アルキルまたはNRであり、RおよびRは、独立に、水素およびC1またはC2アルキルから選択され;BはCHまたはCHCHであり;およびWは酸素または硫黄である。
【0035】
「アルキレン」という用語は、本願明細書において、直鎖状または分枝鎖状のスペーサーラジカル、例えば−CH−、−C(CH−、−CH(C)−、−CHCH−、−CHCHCH−、−C(CH−、C(CH−、CHCHCHという意味で使用される。
【0036】
「アルケニレン」という用語は、本願明細書において、直鎖状または分枝鎖状の不飽和スペーサーラジカル、例えば−CH=CH−、−CH=CHCH−、−CH=CHCH(CH)−、−C(CH)=CHCH−、−CHCH=CHCH−、−C(CHCH=CHC(CH−という意味で使用される。
【0037】
「アルキル」という用語は、本願明細書において、1〜12個の炭素原子の直鎖または分枝鎖ラジカルという意味で使用され、これに限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルを含む。
【0038】
「アルケニル」という用語は、本願明細書において、2〜12個の炭素原子の直鎖または分枝鎖不飽和ラジカルという意味で使用され、これに限定されるものではないが、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルを含む。
【0039】
「シクロアルキル」という用語は、本願明細書において、例えば3〜8個の炭素の環状ラジカルという意味で使用され、これに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含む。
【0040】
「アルコキシ」という用語は、本願明細書において、Rがアルキルラジカルである−ORという意味で使用され、これに限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどを含む。
【0041】
「チオアルキル」という用語は、本願明細書において、Rがアルキルラジカルである−SRという意味で使用され、これに限定されるものではないが、チオメチル、チオエチル、チオイソプロピル、n−チオブチル、sec−チオブチル、イソチオブチルおよびtert−チオブチルを含む。
【0042】
「アルコイル」という用語は、本願明細書において、R10がアルキルラジカルである−COR10という意味で使用され、これに限定されるものではないが、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリルおよびピバロイルを含む。
【0043】
「カルボアルコキシ」という用語は、本願明細書において、R11がアルコキシラジカルである−COR11という意味で使用され、これに限定されるものではないが、カルボメトキシ、カルボエトキシ、カルボイソプロポキシ、カルボブトキシ、カルボsec−ブトキシ、カルボiso−ブトキシおよびカルボtert−ブトキシを含む。
【0044】
「アリール」という用語は、本願明細書において、置換ラジカルがハロ、ニトロ、シアノ、アルキル、アルコキシおよびハロで置換されたアルキルから選ばれる置換および非置換の炭素環およびヘテロ環芳香族ラジカルという意味で使用され、これに限定されるものではないが、フェニル、1−または2−ナフチル、2−、3−または4−ピリジル、2−および3−フリルを含む。
【0045】
「アロイル」という用語は、本願明細書において、R12がアリールラジカルである−COR12という意味で使用され、これに限定されるものではないが、ベンゾイル、1−ナフトイルおよび2−ナフトイルを含む。
【0046】
「アリールオキシ」という用語は、本願明細書において、R13がアリールラジカルである−OR13という意味で使用され、これに限定されるものではないが、フェノキシ、1−ナフトキシおよび2−ナフトキシを含む。
【0047】
「アリールアルコキシ」という用語は、本願明細書において、R14がアリールアルキルラジカルである−OR14という意味で使用され、これに限定されるものではないが、フェニルメトキシ(すなわちベンジルオキシ)、4−フルオロベンジルオキシ、1−フェニルエトキシ、2−フェニルエトキシ、ジフェニルメトキシ、1−ナフチルメトキシ、2−ナフチルメトキシ、9−フルオレノキシ、2−、3−または4−ピリジルメトキシおよび2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−キノリルメトキシを含む。
【0048】
「アリールチオアルコキシ」という用語は、本願明細書において、R15がアリールアルキルラジカルである−SR15という意味で使用され、これに限定されるものではないが、フェニルチオメトキシ(すなわちチオベンジルオキシ)、4−フルオロチオベンジルオキシ、1−フェニルチオエトキシ、2−フェニルチオエトキシ、ジフェニルチオメトキシおよび1−ナフチルチオメトキシを含む。
【0049】
「アリールアルキル」という用語は、本願明細書において、アルキルラジカルに付加されたアリール基という意味で使用され、これに限定されるものではないが、フェニルメチル(ベンジル)、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−ナフチルエチルおよび2−ピリジルメチルを含む。
【0050】
「アリールアルケニル」という用語は、本願明細書において、アルケニルラジカルに付加されたアリール基という意味で使用され、これに限定されるものではないが、フェニルエテニル、3−フェニルプロプ−1−エニル、3−フェニルプロプ−2−エニルおよび1−ナフチルエテニルを含む。
【0051】
「アルキルスルホニル」という用語は、本願明細書において、R16がアルキルラジカルである−SO16という意味で使用され、これに限定されるものではないが、メチルスルホニル(すなわちメシチル)、エチルスルホニルおよびイソプロピルスルホニルを含む。
【0052】
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、本願明細書において、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の素子から生じるラジカルという意味で使用される。
【0053】
「ハロ置換されたアルキル」という用語は、1種以上のハロゲンで置換された上述のアルキルラジカルのことであり、これに限定されるものではないが、クロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリクロロエチルなどを含む。
【0054】
「薬学的に許容されるカチオン」という表現は、これに限定されるものではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびエチルアミンを含む非毒性アンモニウム、第4級アンモニウムおよびアミンカチオンと同様に、これに限定されるものではないが、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリおよびアルカリ土類金属を主成分としたカチオンを含む非毒性カチオンのことである。
【0055】
N−ヒドロキシ尿素5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤の包接錯体構造は、このリポキシゲナーゼ阻害剤群が、薬を使用するような状況において治療の可能性があることが示されるため好まれる。具体的な例には、好ましい5−リポキシゲナーゼ阻害剤であるジレウトンは、経口投与によるぜんそくの処置のため臨床で認可された。ジレウトンは以下の化学式:
【0056】
【化12】

を有する。
【0057】
本願明細書において記載の、ジレウトンを含む特定のリポキシゲナーゼ阻害剤は、1種以上の不斉中心を含み、従ってエナンチオマー、ジアステレオマーおよび絶対立体化学の観点では、(R)−または(S)−と定義されたように、その他の立体異性体を生じることができる。本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形および中間体混合物を含むすべてのこのような可能がある異性体を含むことを意図する。光学活性(R)−および(S)−異性体は、キラルシントンもしくはキラルな試薬の使用で調製可能であり、または従来技法の使用で分解可能である。「異性体」とは、同じ分子式を持つ異なる化合物である。「立体異性体」とは、原子が空間に配置されるという点しか違わない異性体である。「エナンチオマー」とは、互いに重ね合わせることができない鏡像である一対の立体異性体である。一対のエナンチオマーの1:1混合物は、「ラセミ」混合物である。「(±)」という記号は、適切なラセミ混合物を指定するために使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を持つ立体異性体であるが、互いに鏡像はない。絶対立体化学は、Cahn−Ingold−Prelog R−Sシステムによって定められている。化合物が純粋なエナンチオマーである時、各々のキラル炭素での立体化学は、RまたはSのどちらかによって定められる。絶対配置である分解された化合物が、ナトリウムD線の波長において偏光面を回転させる指示(右旋性または左旋性)により(+)または(−)に指定可能であることは知られていない。本願明細書において記載の化合物の場合、オレフィン二重結合または幾何学的非対称を含みおよび特に定めがない限り、EおよびZ幾何異性体を両方含む化合物を意図する。同じように、すべての互変異性型がまた、含まれることを意図する。
【0058】
本願明細書において使用される、「ジレウトン」という用語は、((±)−1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素、光学的に純粋な(S)−エナンチオマーまたは(−)−N異性体−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−N−ヒドロキシ尿素(例えば米国特許第5,629,337に記載)の形、光学的に純粋な(R)−エナンチオマーまたは(+)−N異性体−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−N−ヒドロキシ尿素(hydroyurea)(例えば、WO94/26268に記載)の形、1:99および99:1の間のいずれもに比例する前記(S)−および(R)−異性体の混合物および現在では周知または後に記載のジレウトンの多形相を包含する。
【0059】
一実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤化合物は、((±)−1−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−1−ヒドロキシ尿素、光学的に純粋な(−)−N異性体−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−N−ヒドロキシ尿素および光学的に純粋な(+)−N異性体−(1−ベンゾ[b]チエン−2−イルエチル)−N−ヒドロキシ尿素からなる群から選択される。
【0060】
本発明の別の実施形態では、治療有効濃度のリポキシゲナーゼ阻害剤を有するリポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む薬学的組成物は、提供される。本願明細書において用いられる治療有効濃度は、炎症性疾患状態の処置または予防のため、特定の投与経路で標準的な量の上限を超える投与をすることなく、被検体に投与されると修正効果をもたらす薬剤の投与量である濃度を意味する。静脈注射製剤において、例えばリポキシゲナーゼ阻害剤の濃度は、約100mLの静脈注射のための標準的な量の上限を超える投与をすることなく、修正効果をもたらす有効量を提供するために十分高い必要がある。有効量は、同様に、例えば年齢、体重、診断、病期などを考慮したいくつもの臨床要因によって決まる。
【0061】
一実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む薬学的組成物は提供され、ここでシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびその誘導体からなる群から選択される。包接錯体は、好ましくは5−リポキシゲナーゼ阻害剤およびβ−シクロデキストリンまたはその誘導体の形を成している。別の実施形態では、薬学的組成物は、式(I)のリポキシゲナーゼ阻害剤およびβ−シクロデキストリンまたはその誘導体を包含し、ここでリポキシゲナーゼ阻害剤は治療有効量の中に含まれる。別の実施形態では、薬学的組成物は、式(II)およびβ−シクロデキストリンまたはその誘導体を含み、ここでリポキシゲナーゼ阻害剤は治療有効量の中に含まれる。錯体を形成するために多くの種類のβ−シクロデキストリンが使用できるが、好ましいβ−シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチル誘導体化β−シクロデキストリンである。好ましいリポキシゲナーゼ阻害剤およびシクロデキストリン包接錯体は、ジレウトンおよびスルホブチルエーテル(7)−β−シクロデキストリンである。
【0062】
本願明細書において記載の薬学的組成物には、1種以上の薬学的に許容される賦形剤が任意に含まれる。このような薬学的に許容される賦形剤は、従来技術において周知であり、例えば、塩、界面活性剤(複数)、水溶性高分子、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、抗凍結剤、湿潤剤、粘性剤、変性等張化剤、研和剤、吸収促進剤、浸透促進剤、pH変性剤、粘膜接着剤、着色剤、香料添加剤、希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶剤、溶解共力剤、緩衝液およびこれら賦形剤の組み合わせを含む。
【0063】
好適な界面活性剤は、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、リン脂質、生物学的に誘導された界面活性剤、アミノ酸およびそれらの誘導体または誘導体、上述の界面活性剤の組み合わせまたは複合体から選択できる。イオン性界面活性剤は、陰イオンまたは陽イオンとなり得る。界面活性剤は、約0.01%から10%w/v、および好ましくは約0.05%から約5%w/vの量で組成物に存在している。
【0064】
好適な陰イオン界面活性剤は、限定されるものではないが:スルホン酸アルキル、スルホン酸アリール、アルキルリン酸塩、ホスホン酸アルキル、ラウリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、硫酸ポリオキシエチレンアルキル、アルギン酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウムジオクチル、ホスファチジン酸およびそれらの塩、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、胆汁酸およびそれらの塩、コール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸およびグリコデオキシコール酸、およびカルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸およびその塩、ステアリン酸カルシウム、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウムおよびリン脂質を含む。
【0065】
好適な陽イオン界面活性剤は、限定されるものではないが:第4級アンモニウム化合物、ベンザルコニウムクロリド、臭化セチルトリメチルアンモニウム、キトサン、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、アシルカルチニン塩酸塩、ハロゲン化アルキルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、陽イオン脂質、ポリメタクリル酸メチル、臭化トリメチルアンモニウム、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−メタクリル酸ジメチルアミノエチル硫酸ジメチル、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ホスホニウム化合物、第4級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)臭化アンモニウムエチル、ヤシ塩化トリメチルアンモニウム、ヤシ臭化トリメチルアンモニウム、ヤシメチルジヒドロキシエチル塩化アンモニウム、ヤシメチルジヒドロキシエチル臭化アンモニウム、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、C12〜15−塩化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、C12〜15−塩化臭化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ヤシジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、臭化ヤシジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、硫酸ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、ラウリルジメチル(エテノキシ)4塩化アンモニウム、ラウリルジメチル(エテノキシ)4臭化アンモニウム、N−アルキル(C12〜18)ジメチルベンジル塩化アンモニウム、N−アルキル(C14〜18)ジメチル−ベンジル塩化アンモニウム、N−テトラデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、N−アルキルおよび(C12〜14)ジメチル1−塩化ナプチルメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウムハロゲン化物−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウ塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシ化アルキアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシ化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、N−塩化ジデシルジメチルアンモニウム、N−塩化テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム一水和物、N−アルキル(C12〜14)ジメチル1−ナフチル塩化メチルアンモニウム、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、C12臭化トリメチルアンモニウム、C15臭化トリメチルアンモニウム、C17臭化トリメチルアンモニウム、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ−塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、「POLYQUAT 10」(第4ポリマーアンモニウム化合物の混合物)、、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル、ベンザルコニウムクロリド、塩化ステアラルコニウム、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、4級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、「MIRAPOL」(ポリクアテミウム−2)「Alkaquat」(塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、ローディア社(Rhodia)製)、アルキルピリジニウム塩、アミン、アミン塩、イミドアゾリニウム塩、プロトン化した第4級アクリルアミド、メチル化した第4級ポリマーおよび陽イオン化されたグアーガム.ベンザルコニウムクロリド、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、トリエタノールアミンおよびポロキサミンを含む。
【0066】
好適な非イオン界面活性剤は、限定されるものではないが:ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、グリセリルエステル、グリセリンモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールエステル、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アリールアルキルポリエーテルアルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポロキサマー、ポロキサミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非結晶セルロース、多糖、でんぷん、でんぷん誘導体、ヒドロキシエチルでんぷん、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸トリエタノールアミン、アミンオキシド、デキストラン、グリセリン、アカシアガム、コレステロール、トラガカント、グリセリンモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカストル油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドと4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールポリマーおよびホルムアルデヒド、ポロキサマー、スルホン酸アルキルアリールポリエーテル、ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルクアミド、n−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトピラノシド、n−ドデシル−β−D−グルコピラノシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルクアミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピ−ラノシド、n−ヘプチル−β−D−チオグルコシド、n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド−e;ノナノイル−N−メチルグルクアミド、n−ノニル−β−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルクアミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチル−β−D−チオグルコピラノシド、PEG(polyエチルene glycol:ポリエチレングリコール)−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンEおよび酢酸ビニルおよびビニルピロリドンのランダム共重合体を含む。
【0067】
両性イオン界面活性剤は、電気的に中性であるが同じ分子内において部分的に正電荷および負電荷を有する。好適な両性イオン界面活性剤は、限定されるものではないが、両性イオンリン脂質を含む。好適なリン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジアシル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(例えば、ジミリストイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイル−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DSPE)およびジオレオールイル(dioleolyl)−グリセロ−ホスホエタノールアミン(DOPE)など)を含む。陰イオン性および両性イオンリン性脂質を含むリン脂質の混合物は、本発明において使用可能である。前記混合物は、限定されるものではないがリゾリン脂質、卵または大豆リン脂質またはいずれものこれらの組み合わせを含む。
【0068】
好適な高分子界面活性剤は、限定されるものではないが、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンテレプタル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびこれらの共重合体、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリルおよびメタクリルエステルの重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシルエチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキスル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレンポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニルポリスチレンおよびポリビニルプリロリドンを含む。
【0069】
好適な生物学的に誘導された界面活性剤は、限定されるものではないが:リポタンパク質、ゼラチン、カゼイン、リゾチーム、アルブミン、カゼイン、ヘパリン、ヒルジンまたはその他のタンパク質を含む。
【0070】
好適な緩衝液は、限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、塩酸、トリス緩衝液、モノ−、ジ−、トリカルボン酸およびそれらの塩、クエン酸塩緩衝液、リン酸緩衝液、グリセリン−1−ホスフェート、グリセロール−2−ホスフェート、酢酸塩、乳酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノ糖、モノ−、ジ−およびトリアルキルアテドアミン、メグルミン(N−メチルグルコサミン)およびアミノ酸を含む。
【0071】
本願明細書において記載の薬学的組成物は、これに限定されるものではないが、非経口、経口、経肺、経眼、経鼻、経直腸、経膣、点耳、局所、口腔、経皮、静脈、筋肉、皮下、皮内、眼内、脳内、リンパ管内、関節内、くも膜下および腹腔内投与経路を含むさまざまな投与経路によって投与できる。投与される組成物の投与量と同様に投与経路も、標準的な用量反応試験と併用して予定外の実験を行うことなく当業者が決定できる。このような決定を行うに当たって考慮すべき関係の状況は、状態または治療される状態、投与される組成物の選択、個々の患者の年齢、体重および反応および患者の症状の重症度を含む。
【0072】
本発明の薬学的組成物中に含まれた賦形剤は、治療への応用において組成物の予定投与経路に基づいて選ばれる。それに応じて、経口、経舌、舌下、口腔および口腔内投与のために考案されている組成物は、予定外の実験を行うことなく従来技術において周知の方法、例えば不活性希釈剤と一緒または食用担体と一緒によって製造可能である。組成物は、ゼラチンカプセルに含入または錠剤に圧縮できる。治療のための経口投与の目的で、本発明の薬学的組成物は、賦形剤と共に配合し、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、チューインガムなどの形状で使用してよい。
【0073】
例えば錠剤、丸薬およびカプセルなどの固体製剤は、1種以上の結合剤、充填剤、懸濁化剤、崩壊剤、滑剤、甘味剤、香料添加剤、防腐剤、緩衝液、湿潤剤、錠剤分解物質、発泡剤およびその他の賦形剤を含んでいてもよい。このような賦形剤は、当業者において周知である。充填剤の例は、ラクトース一水和物、無水ラクトースおよび種々のでんぷんである。結合剤の例は、種々のセルロースおよび交差結合ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、微結晶性セルロースおよびケイ化微結晶性セルロース(SMCC)である。好適な滑剤は、圧縮される粉末の流動性に作用する剤を含み、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびシリカゲルである。甘味料の例は、例えばスクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、チクロ、アスパルテームおよびアセサルフェームKなどいずれもの天然または人工甘味料である。香料添加剤の例は、風船ガム風味、果実風味などである。防腐剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルまたはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール化合物または塩化ベンザルコニウムなどの第4級化合物である。好適な希釈剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、リン酸水素カルシウム、サッカリドおよび/またはこれらいずれもの混合物などの薬学的に許容される不活性充填剤を含む。希釈剤の例は、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、無水ラクトースなどのラクトース、リン酸水素カルシウム、マンニトール、でんぷん、ソルビトール、スクロースおよびブドウ糖を含む。好適な錠剤分解物質は、コーンスターチ、ジャガイモでんぷん、トウモロコシでんぷんおよび加工でんぷん、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウムおよびその混合物を含む。発泡剤の例は、有機酸および炭酸塩または重炭酸塩などの発泡性カップルである。好適な有機酸は、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸およびアルギン酸ならびに無水物および酸性塩を含む。好適な炭酸塩および重炭酸塩は、例えば炭酸ナトリウム、重曹、炭酸カリウム、カリウム重炭酸塩、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸ナトリウム、L−リシン炭酸塩およびアルギニン炭酸塩を含む。あるいは、発泡性カップルの酸成分のみが存在し得る。
【0074】
種々のその他の物質は、コーティングとしてまたは計量装置の物理的形状を修正するために存在し得る。例として錠剤は、セラック、糖類または両方でコーティングされていてもよい。シロップまたはエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤としてのスクロース、メチルおよび防腐剤としてのプロピルパラベン、チェリーまたはオレンジ風味などの染料および香味料などを含んでいてもよい。
【0075】
本発明は、組成物の治療有効量を哺乳動物に経鼻投与することを含む。本願明細書において用いられる経鼻投与または鼻内投与は、患者の鼻孔または鼻腔粘膜に組成物を投与することを含む。本願明細書において用いられる組成物の鼻内投与用の薬学的組成物は、例えば鼻腔用スプレー、点鼻薬、懸濁液、ゲル、軟膏、クリームまたは粉末として投与するために周知の方法で調製される。組成物の投与は、また鼻タンポンまたは鼻スポンジを用いて行ってもよい。
【0076】
局所投与のための好適な剤形は、生体適合性のある油、ワックス、ゲル、粉末、ポリマーまたはその他の液体または固体担体を含むことができる。このような剤形は、例えば、結膜感染症を処置するための液剤としては、被検体の目に滴下にて投与可能でありまたはクリーム製剤としては、傷口に塗布可能であり、細胞組織に直接作用するように投与可能である。
【0077】
本発明の組成物は、例えば静脈、筋肉、髄膜または皮下注射などによって、非経口的に投与可能である。非経口投与は、溶液または懸濁液へ本発明の組成物を組み入れることによって施行可能である。このような溶液または懸濁液はまた、注射のための水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の合成溶剤などの滅菌済み希釈剤を含むことができる。非経口剤形はまた、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤およびエチレンジアミン4酢酸などのキレート剤を含むことができる。酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝液および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの調整のための等張化剤が、加えられる。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器または複数回投与用のガラスまたはプラスチック製バイアルに封入可能である。
【0078】
直腸投与は、直腸または大腸へ薬学的組成物を投与することを含む。これは坐薬または浣腸剤を使用することで達成される。坐薬剤形は、当業者において周知の方法で簡単に作ることができる。例えば坐薬剤形は、約120℃にグリセリンを加熱、グリセリン中の薬学的組成物を溶解、加熱したグリセリンを混合その後、精製水を加えおよび温めた混合物を坐薬型へ注ぐことによって調製可能である。
【0079】
経皮投与は、皮膚を通しての組成物の経皮吸収を含む。経皮剤形は、貼剤、軟膏、クリーム、ゲル、軟膏などを含む。
【0080】
本願明細書のすべての部分において記載の、通例の剤形を投与する意味に加えて、主要機能が外的環境でガス交換された組織または臓器は、本発明の目的のために、「経肺」はまた、気道、特に腔を不随する組織または空洞という意味を含む。経肺投与のため、乾燥粉末剤形同様に活性剤、手動ポンプ式スプレー、ネブライザまたは加圧定量吸入器を含む噴霧剤形が、熟考された。このタイプの好適な剤形はまた、有効な煙霧質として公開された化合物を保つため噴霧帯電防止剤などの他の剤を含むことができる。
【0081】
煙霧質を伝達するための薬剤送達デバイスは、記載の製薬噴霧剤形からなる絞り弁の付いた好適な小型噴霧缶を含みおよびアクチュエータは、保持するために適合した小型噴霧缶を内蔵し、薬剤送達が可能となる。薬剤送達デバイス内の小型噴霧缶は、小型噴霧缶の総量の約15%より多いことを表すヘッドスペースを有する。頻繁に、経肺投与を目的とするポリマーは、溶媒、界面活性剤および高圧ガスの混合物中に溶解、浮遊または乳化する。混合物は、絞り弁で密閉された小型缶中の加圧下で保持される。
【0082】
一実施形態では、シクロデキストリンに対するリポキシゲナーゼ阻害剤のモル比は、好ましくは約10:1から約1:10である。別の実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤のモル比は、約5:1から約1:5である。さらに別の実施形態では、その比率は約1:1から約1:5である。リポキシゲナーゼ阻害剤の濃度は、好ましくは約0.1mg/mLから約200mg/mLであり、一層好ましくは約1から約100mg/mLであり、一層好ましくは約5mg/mLから約50mg/mLでありおよびなお一層好ましくは約8mg/mLから約30mg/mLであり、およびシクロデキストリンの濃度は、好ましくは約4mMから約900mMであり、一層好ましくは約20mMから約500mMでありおよびなお一層好ましくは約30mMから約200mMである。一実施形態では、本発明のリポキシゲナーゼ組成物は、緩衝液を含まない。別の実施形態では、組成物は任意に緩衝液に含むことができる。好適な緩衝溶液は、限定されるものではないが、水酸化ナトリウム溶液、塩酸、トリス緩衝液、モノ−、ジ−、トリカルボン酸およびその塩、クエン酸塩緩衝液、リン酸緩衝液、グリセリン−1−ホスフェート、グリセルコール−2−ホスフェート、酢酸塩、乳酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アミノ糖、モノ−、ジ−およびトリアルキル化アミン、メグルミン(N−メチルグルコサミン)、コハク酸エステル、安息香酸エステル、酒石酸塩、炭酸塩およびアミノ酸を含む。好ましい実施形態では、緩衝液は、クエン酸塩緩衝液でありおよびなお一層好ましくは、クエン酸塩緩衝液は、約2mMから約500mMの濃度で存在する。組成物は、好ましくはpH約3から約9を有する。組成物は、好ましくは非経口的投与および一層好ましくは、静脈または急速静注注射による投与に向いている。
【0083】
本発明の別の実施形態では、薬学的組成物を製造する方法は、水性緩衝溶液を調製、緩衝溶液中にシクロデキストリンを溶解、シクロデキストリンおよび緩衝溶液にリポキシゲナーゼ阻害剤を加えることによって提供されるリポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンの包接錯体を含む。
【0084】
本方法は、リポキシゲナーゼ阻害剤およびシクロデキストリン溶液の攪拌および/または超音波での分解をさらに好ましくは含む。本方法はまた、緩衝溶液のpHを約3から9にするように調節することを好ましくは含む。一実施形態では、溶液は、リポキシゲナーゼ阻害剤の約0.1mg/mLから約200mg/mLの濃度である。別の実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤の濃度は、約5mg/mLから約50mg/mLでありおよびさらに別の実施形態では、濃度は、約8mg/mLから約30mg/mLである。さらなる実施形態では、シクロデキストリンは、約4mMから約900mMの濃度で存在し、別の実施形態では、約20mMから約500mMおよびさらに別の実施形態では、約30mMから約500mMである。好ましい緩衝液は、クエン酸塩緩衝液であり、約2mMから約500mM濃度で存在する。さらなる実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤およびシクロデキストリンを含む組成物は、上述のものより高濃度のリポキシゲナーゼ阻害剤およびシクロデキストリンを含むことができる。このような組成物は、患者へ投与する前に希釈可能である。
【0085】
好ましいリポキシゲナーゼ阻害剤は、N−ヒドロキシ尿素リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば米国特許第4,873,259号、第4,992,464号、第5,250,565号および第5,629,337号並びにWO94/26268に記載)である。さらなる実施形態では、リポキシゲナーゼ阻害剤は、ジレウトンでありおよびシクロデキストリンは、β−シクロデキストリンまたはその誘導体である。さらに好ましい実施形態では、シクロデキストリンは、スルホブチルエーテル(7)−β−シクロデキストリンである。
【0086】
包接錯体を形成する時、シクロデキストリンを超えるリポキシゲナーゼ阻害剤の可溶が可能になる間、特に溶液が非経口で投与されるならば、薬剤の可溶に必要なシクロデキストリンの量を最小限に抑えることが望まれる。
【0087】
一実施形態では、薬剤−シクロデキストリン錯体の錯体形成の化学量論は、1:1である。言い換えれば、包接錯体は、薬剤の全ての分子/モルに対して少なくともシクロデキストリンの1分子/モルを含むことができる。薬剤の可溶に必要なシクロデキストリンの最小量を判定するため、好ましくは、シクロデキストリン濃度に対し薬剤溶解度がプロットされる。プロットを補間することによって、リポキシゲナーゼ阻害剤の溶解のために必要とされたシクロデキストリン量を最低限含む製剤を、調製することができる。錯体形成の化学量論は、5−および/または12−リポキシゲナーゼ阻害剤およびシクロデキストリンの特定の錯体によっておそらく異なるので、このような溶解性プロットが、各々特定のリポキシゲナーゼ−シクロデキストリン錯体のために行われることは望ましい。ジレウトン−CAPTISOLシクロデキストリン錯体で実行された溶解性プロットは、実施例1に記載の通りである。
【0088】
実施例1に記載のプロットの補間は、ジレウトン−CAPTISOLシクロデキストリン実施形態での錯体形成の化学量論は、約1:1.8であると確定した。言い換えれば、約5から約30mg/mL範囲の好ましい濃度中、約1モルのジレウトンに溶解するために必要とされるCAPTISOLシクロデキストリンの最低限量は、約1.8モルのCAPTISOLシクロデキストリンである。上で述べたように、特にシクロデキストリンが、製剤の投与に対していずれもの副作用を起こさないならば、過剰なシクロデキストリンは、リポキシゲナーゼ阻害剤の溶解のため使用できる。
【0089】
さらに、pH5.5の溶液は、最初、ジレウトン−CAPTISOLシクロデキストリン錯体に選ばれ、これは他のリポキシゲナーゼ−シクロデキストリン錯体の場合とは異なる。実施例2の記載によると、ジレウトン−CAPTISOLシクロデキストリン錯体の安定性を最大にするため、最適pH範囲を判定するさらなる試験が行われた。このような試験はまた、その他のリポキシゲナーゼ−シクロデキストリン錯体のため、最適pHの判定に必要とされる。
【0090】
加えて、リポキシゲナーゼ阻害剤−シクロデキストリン錯体の製剤溶液を調製するため、固形製剤は、凍結乾燥、噴霧乾燥および/または超臨界流体抽出など周知の方法で調製可能である。これらの固形濃縮物は、その後、注射の時に再噴霧可能である。また、これらの固形濃縮物はまた、例えば錠剤、カプセル、薬用ドロップ、坐薬、コーティング錠剤、カプセル、アンプル、坐薬、遅延放出製剤、制御放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、即時放出製剤、胃保持型製剤、発泡錠剤、すぐに溶ける錠剤、経口液および糖衣製剤など単一剤形を産生するため調合できる。固形濃縮物はまた、貼剤、吸入のために調製された粉末、懸濁液、軟膏および乳液の形からなる群から選択され形成可能である。
【0091】
これらの乾燥製剤は、溶液形状において長期間の安定性が低いリポキシゲナーゼ阻害剤−シクロデキストリン錯体に好まれる。
【0092】
乾燥製剤は、非経口または経口投与のための好適な希釈剤など、適切な希釈剤中で再可溶可能な医薬品として提供できる。同一製剤は、限定されるものではないが、例えば、非経口、経口、経肺、経眼、経鼻、経直腸、経膣、点耳、局所、口腔、経皮、静脈、筋肉、皮下、皮内、眼内、脳内、リンパ管内、関節内、くも膜下および腹腔内など種々の経路により被検体へ投与のため周知の方法によって調製可能である。
【0093】
加えて、乾燥製剤は、好ましくは静脈注射または急速静注のようなすぐに使用可能(ready−to−use)な注射製剤を産生するため再可溶可能である。凍結乾燥された製剤は、注射時にさらに希釈できる高濃度投与のため再可溶可能である。好ましい実施形態では、凍結乾燥された製剤は、リポキシゲナーゼ阻害剤約0.1から約200mg/mL、一層好ましくは約5から約50mg/mLおよびさらに一層好ましくは約8から約30mg/mLの濃度域を提供することで、非経口投与のため再可溶である。
【0094】
安定した乾燥固体の調製目的のため、例えばマンニトール、ソルビトール、スクロース、でんぷん、ラクトース、トレハロースまたはラフィノースなどの充填剤は、凍結乾燥より先に加えることができる。凍結乾燥のため、凍結乾燥されたであろう溶液は、いずれもの適切なプログラムで使用される、例えば:
+25℃で取り込む;
−45℃で1時間冷却する;
−45℃で3.5時間保持する;
中間で、0.4mbar加圧下において+15℃まで温度を継続的に上昇させながら33時間乾燥する;
最後に、0.03mbar加圧下において+20℃で10時間乾燥する;
抗凍結剤:マンニトール。
【0095】
好ましくは、特定のリポキシゲナーゼ阻害剤−シクロデキストリン錯体溶液凍結融解安定性の適切な凍結乾燥サイクルを助成のために選ぶ際、溶液製剤のDSC解析が行われた。
【0096】
滅菌は、これに限定されるものではないが、加熱滅菌、濾過および照射殺菌を含む当業者において周知のさまざまな方法によって行われる。滅菌は、最終的なリポキシゲナーゼ−シクロデキストリン溶液製剤の濾過滅菌によって完成される。例えば凍結乾燥またはパッケージングのようないずれもの残りのステップは、その後、滅菌が作動している状態下で行わなければならない。標準的な滅菌濾過方法は、例えば最初に、3.0マイクロメートルフィルターを通すプレ濾過、続いて0.45マイクロメートル粒子フィルターを通す濾過、続いて2つの余剰な0.2マイクロメートル薄皮フィルターを通す濾過を含む。
【0097】
溶液製剤または凍結乾燥された製剤としてのリポキシゲナーゼ阻害剤−シクロデキストリン製剤は、加熱滅菌、照射殺菌または高圧滅菌のようなその他周知の滅菌方法によって滅菌可能である。
【0098】
本願明細書において記載の薬学的組成物は、単独または同じ製剤中で一種以上の追加剤と同時投与可能である。このような追加剤は、例えば抗ヒスタミン、ベータアゴニスト(例えばアルブテロール)、抗生物質、抗炎症薬(例えばイブプロフェン、プレドニゾン(コルチコステロイド)またはペントキシフィリン)、抗真菌薬、(例えばアムホテリシンB、フルコナゾール、ケトコナゾールおよびイトラコナゾール)、ステロイド、充血除去剤、Bronchodialatorsなどを含む。製剤はまた、保存剤、可溶化剤、化学緩衝液、界面活性剤、乳化剤、着色剤、着臭剤および甘味料を含む。
【0099】
本願明細書において記載の薬学的組成物は、リポキシゲナーゼおよび/またはロイコトリエン活性によって調節される症状により苦しんでいる患者の治療に使用可能である。一実施形態では、症状は、5−および/または12−リポキシゲナーゼ活性によって調節される。別の実施形態では、症状は、炎症症状である。
【0100】
リポキシゲナーゼおよび/またはロイコトリエン活性によって調節される症状は、限定されるものではないが、ぜんそく、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鎌状赤血球病、急性肺障害、虚血/再灌流障害、鼻茸、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む)、過敏性腸症候群、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、敗血症、内毒素性ショックおよび心筋梗塞を含む。
【0101】
一実施形態では、リポキシゲナーゼおよび/またはロイコトリエン活性によって調節される症状は、炎症症状である。炎症症状は、限定されるものではないが、虫垂炎、消化炎、胃または十二指腸潰瘍、腹膜炎、膵炎、急性または虚血性大腸炎、憩室炎、喉頭蓋炎、アカラシア、胆管炎、胆嚢炎、肝炎、炎症性腸疾患(例えばクローン病および潰瘍性大腸炎を含む)、腸炎、ウィップル病、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、急性肺障害、イレウス(例えば手術後イレウスを含む)、アレルギー、アナフィラキシーショック、免疫複合体病、臓器虚血、再灌流障害、臓器壊死、花粉熱、敗血症、敗血症、内毒素性ショック、悪液質、超高熱、好酸球性肉芽腫、肉芽腫症、サルコイドーシス、感染流産、精巣上体炎、膣炎、前立腺炎、尿道炎、気管支炎、気腫、鼻炎、嚢胞性線維症、肺炎、火山灰を吸う肺の病気(pneumolutramicroscopic silicovolcanoconiosis)、alvealitis、細気管支炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈洞炎、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス、ヘルペス、播種性菌血症、デング熱、カンジダ症、マラリア、フィラリア、アメーバ症、包虫嚢胞、やけど、皮膚炎、皮膚筋炎、日光皮膚炎、じんましん、いぼ、膨疹、脈管炎、血管炎、心内膜炎、動脈炎、アテローム性動脈硬化症、静脈血栓症、心膜炎、心筋炎、心筋虚血、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、アルツハイマー病、セリアック病、うっ血性心不全、成人呼吸窮迫症候群、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症、脳梗塞、脳卒中、Guillame−Barre症候群、神経炎、神経痛、脊髄損傷、麻痺症、ブドウ膜炎、関節炎、関節痛、骨髄炎、筋膜炎、パジェット病、痛風、歯周病、関節リウマチ、滑膜炎、重症筋無力症、甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群、ベーチェット症候群、同種移植片、移植片対宿主病、I型糖尿病、強直性脊椎炎、Berger’s病気、II型糖尿病、Retier’s症候群またはホジキン病を含む。
【0102】
さらなる実施形態では、炎症症状は、関節リウマチ、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、急性肺障害、炎症性腸疾患、アレルギー、臓器虚血、再灌流障害、鼻炎、皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、心筋虚血および成人呼吸窮迫症候群からなる群から選択される。
【実施例】
【0103】
実施例1:溶解度研究
CAPTISOLシクロデキストリン存在下で、5および25℃におけるジレウトンの溶解度測定を行った。CAPTISOLシクロデキストリンシリーズの溶液(100〜400mg/mLまたは約45〜182mM)はジレウトンのモル過剰で平衡化した(100mg/mLまたは423mM)。(以下に示す表を参照。)溶液を、好ましくは(preferrably)pH5.5に10mMクエン酸塩緩衝液で中和した。
【0104】
【化13】

これらの混合物を超音波で分解し、その後1週間5℃で攪拌した。上記と同様に準備された別の類似サンプル一式を、25℃の温度調節器中でかき混ぜた。
【0105】
1週間の平衡後、各々のサンプルを遠心分離し、その上清液を単純なUVアッセイ法によって薬剤濃度分析した。各々のサンプル中のジレウトンのモル溶解度を示すことによってCAPTISOLシクロデキストリン濃度に対する、錯体形成の化学量論(例えば1:1または1:2)、および結合定数Kを測定した。1:1錯体のための式は、[Higuchi T、Connors KA、Phase−solubility techniques、Adva Anal Chem Instr.1965;4:212−217]:
【0106】
【数1】

Sは、シクロデキストリンの結合および非結合の全薬剤溶解度であり、Cは、サンプル中の全シクロデキストリン濃度であり、Sは、薬剤の固有溶解度(シクロデキストリンによる溶解度)で、Kは1:1での結合定数である。勾配およびSの知識から、Kは確定可能である。本解析の結果は図2に示されおよび25℃で約3,200の1:1結合定数を示した。溶解限度(25℃)で薬剤に対するシクロデキストリンのモル比は、約1.7:1である。
【0107】
実施例2:安定性および負荷試験
3つの異なる初期pH値(約4.0、5.5および7.0)で調整されたジレウトン−シクロデキストリン溶液の安定性を詳しく調べる可能性研究が実施された。溶液は、15mg/mLのジレウトン、250mg/mLのCAPTISOLシクロデキストリンおよび10mMのクエン酸塩緩衝液を含むよう調整された。負荷試験は、1回および3回の凍結融解サイクルの両方について各pHで対象となるサンプルによって行われた。加えて、各pHのサンプルは、5℃、25℃および40℃で合計8週間保存された。各試験の合間に、サンプルを視覚的に検査し、そしてpH、浸透圧、色および薬効について分析した。
【0108】
薬剤15mg/mLおよび250mg/mLのCAPTISOLシクロデキストリンを包含するジレウトン−CAPTISOLシクロデキストリン製剤を、適切な緩衝液、好ましくは10mMクエン酸塩でpH4、5.5および7に調整し並びに5、25および40℃で8週間保存した。文献データ[Alvarez,FJ;Slade,RT、Kinetics and mechanism of degradation of zileuton,a potent 5−lipoxygenase inhibitor、Pharm.Res.、1992、9(11):1465−1473]に基づき、溶液中のジレウトンは、pH4〜7の範囲で十分な短期安定性(少なくとも25℃で1ヶ月)を持つと予想される。
【0109】
10mMクエン酸の保存用緩衝液(A)を、最終容量1Lになるように1.9212gの無水クエン酸に蒸留水を加えることによって調整した。10mMクエン酸ナトリウムの保存用緩衝液(B)を、最終容量1Lになるように2.9411gのクエン酸ナトリウム二水和物(Na.2HO)に蒸留水を加えることによって調整した。
【0110】
上記保存用緩衝液AおよびBを、下記表3にて示す各調整を目的として緩衝溶液調製のため混合した:
表3:緩衝溶液の調製
【0111】
【表3】

上記緩衝溶液を、その後おおよそpH4.0、5.5および7.0で3つの溶液を作るのに使用した。3つの溶液すべてには、15mg/mLのジレウトンおよび250mg/mLのCAPTISOLシクロデキストリンが含まれた。溶液pHの測定を、ジレウトンおよびCAPTISOLシクロデキストリン(およびpH5.5および7.0の水酸化ナトリウム)の添加および溶解後、しかし最終希釈段階前に行った。溶液を、黄褐色のガラスバイアルに移し、ゴム栓およびアルミニウムクリップキャップで密閉した。バイアルには、効力試験のため2−mL量並びにpH、浸透圧、色および目視検査の測定のため10−mL量が注入された。加えて、黄褐色のガラスバイアルには、負荷試験(凍結融解)のための量が注入(10mL)された。すべてのバイアルは、5℃、25℃および40℃で温度調整器に保存された。
【0112】
サンプルは、0時間、1週間、2週間、4週間および8週間間隔で試験するため取り出された。
【0113】
負荷試験(凍結融解)
1−および3−周期の負荷試験に使用されたバイアルを、−20℃で約24時間保存し、その後25℃の保存器で約1時間20分間、サンプルが融解されるまで放置した。1−周期の負荷サンプルをその後、pH、浸透圧、色、目視検査および効力について試験した。3−周期の負荷サンプルを、−20℃の保存器に約24時間再放置し、その後約1時間25℃で融解した。サンプルを、−20℃の保存器に約26.5時間再放置し、その後pH、浸透圧、色、目視検査および効力について試験が行われるまで約3日間5℃で融解した。
【0114】
1−周期および3−周期凍結融解負荷試験のための効力、pH、目視検査、浸透圧および色試験の結果は、表4〜6の通りである。
【0115】
表4:pH4.0溶液の凍結融解負荷データ
【0116】
【表4】

表5:pH5.5溶液の凍結融解負荷データ
【0117】
【表5】

表6:pH7.0溶液の凍結融解負荷データ
【0118】
【表6】

1−周期および3−周期凍結融解サンプルのための効力、pH、色および浸透圧データは、著しい変化を示さなかった。さらに、いずれものサンプルにおいて特筆すべき微粒子は目視検査で確認されなかった。従って、すべてのサンプルは冷凍融解によって与えられた負荷に対して安定であると思われる。
【0119】
温度調整器中で8週間保存されたサンプルの安定性。
【0120】
すべての5℃および25℃サンプルは、保存期間8週間以上で無意味な効力の変化およびごく少量のpH変更、全体の保存期間を越えて5℃および25℃でのこれらの調合の安定性を検証することを示した。浸透圧のデータは、これらの調合の浸透圧が843−903mOsmol/kgの範囲であることを示した。
【0121】
実施例3:
本実験の目的は、ジレウトン−シクロデキストリン溶液の安定性、初期標的pH4の調節および低薬剤および低シクロデキストリンレベル(10mg/mLジレウトン、167mg/mLCAPTISOLシクロデキストリン)および10mMクエン酸塩での中和を評価することである。
【0122】
シクロデキストリン溶液を、10mMクエン酸塩緩衝液の約1.75L中CAPTISOLシクロデキストリン417gの溶解によって調整した。ジレウトン25gを量り、そして攪拌しながらシクロデキストリン溶液に移した。完全溶解後、製剤をpH試験し、そしてpH4であると確認した。溶液をその後、溶液の最終量を2.5Lにするため、クエン酸塩緩衝液で希釈した。この溶液の一部をpH試験し、4であると確認した。
【0123】
同様の混合手順により、対照溶液を薬剤なしで調製した。
【0124】
ガラスバイアルを、実験用および対照製剤で満たし、5℃、25℃および40℃で保存した。サンプルを、0時間、2週間、1ヶ月および3ヶ月間隔で試験するため取り出すした。効力、pH、目視検査、浸透圧(0時間のみ)および色の試験を行った。機器による粒子解析をまた、各間隔で行った。
【0125】
データは、5℃および25℃で保存されたサンプルは、3ヶ月を通して薬剤レベルに著しい変化がないことが明らかだと示した。サンプルの目視検査は、目に見える沈殿または2相分離がないと示した。機器による粒子数は、すべての溶液単位テストのためのmL毎のカウントが、現在のアメリカ薬局方の30mL少量注射(SVI)溶液の機器による粒子限度内であると明示した。0時間での製剤の浸透圧は、529mOsmol/kgであった。
【0126】
実施例4:凍結乾燥時のジレウトン−CAPTISOLシクロデキストリン製剤の安定性、その後の再構成
この研究の目的は、凍結乾燥されたジレウトン−シクロデキストリン製剤(15mg/mLのジレウトン、250mg/mLのCAPTISOLシクロデキストリン、pH4)の安定性を判定することである。凍結乾燥されたジレウトン−シクロデキストリン製剤のバイアルを、再構成し、そして濃度関数としての溶液物性を判定するために解析した。加えて、再構成したバイアルを、再構成した溶液の安定性を詳しく調べるため、2つの時点での2つの温度にて保存した。サンプルを、視覚的に検査し、再構成後、pH、浸透圧、色および効力を分析した。機器による粒子解析を、5℃および25℃で8および24時間の保存後同様、沈殿物の証拠を探すため再構成直後に行った。凍結乾燥させたバイアルが約6ヶ月間5℃で保存された後、試験は繰り返された。
【0127】
凍結乾燥されたバイアルのサンプルを、10、15および20mg/mLの一定分量の希釈剤で再構成し、そして効力、pH、浸透圧、色および目視検査を試験した。再構成したバイアルをまた、再構成直後、5および25℃で8および24時間保存の後、機器による粒子数の試験をした。再構成は、濾過した蒸留水を使用して行った。
【0128】
追加の試験間隔は、凍結乾燥されたバイアルが5℃で約6ヶ月間保存された後、実施された。バイアルを、濾過した蒸留水で15mg/mLに再構成し、そして効力、pH、浸透圧、色および外見の試験をされた。バイアルはまた、機器による粒子数の検査を受けた。
【0129】
効力、pH、目視検査、浸透圧および色の試験結果は、表7〜10に記載の通りである。
【0130】
表7:15mL希釈剤(初期間隔)で再構成したサンプルの結果
【0131】
【表7】

表8:20mL希釈剤(初期間隔)で再構成したサンプルの結果
【0132】
【表8】

表9:30mL希釈剤(初期間隔)で再構成したサンプルの結果
【0133】
【表9】

表10:20mL希釈剤(6ヶ月間隔)で再構成したサンプルの結果
【0134】
【表10】

再構成したサンプル中のジレウトン濃度は、lyophilizate(薬剤およびCAPTISOLシクロデキストリン)によって占められる量を計算すると、希釈係数と一致する。再構成したバイアルのpHデータは、再構成後、すべての溶液がpH4.0±0.1を有することを示した。浸透圧のデータは、製剤濃度(希釈剤量の減少)の増加に伴う浸透圧の増加を表した。
【0135】
6ヶ月の保存後再構成したサンプルの効力評価は、安定生成物と一致した。6ヶ月間隔のpHデータは、pHの不十分な変化を示した。浸透圧のデータは、初期間隔からのデータと一致した。
【0136】
すべてのバイアルは、目視検査を通過した。検査したすべてのサンプルのmL毎の機器による粒子数は、現在のアメリカ薬局方の20mL少量注射(SVI)溶液の粒子限度内である。
【0137】
本発明が、特定の好ましい実施形態について引用文献とともに記載されてきた間、これらの好ましい実施形態は、決して本発明の範囲に限定することを意図するものではない。本発明の範囲は、添付特許請求の範囲および法律の定めるところによるすべての等価物にて定義される。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、水溶液中のジレウトンの分解反応を表す。
【図2】図2は、25℃におけるジレウトンのpH率特性を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む薬学的組成物であって、該リポキシゲナーゼ阻害剤が治療有効濃度で該組成物中に存在する、組成物。
【請求項2】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤が、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、12−リポキシゲナーゼ阻害剤並びに5−および12−リポキシゲナーゼ阻害剤からなる群から選択される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤が、5−リポキシゲナーゼ阻害剤である、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記シクロデキストリンが、β−シクロデキストリンまたはその誘導体である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤が、式(II)を有し:
【化1】

式中、RはCまたはCアルキルあるいはNRであり、RおよびRは、独立して、水素およびCまたはCアルキルから選択され;BはCHまたはCHCHであり;およびWは酸素または硫黄である、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記シクロデキストリンが、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチル誘導体化β−シクロデキストリンからなる群から選択される、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤が、式(III):
【化2】

を有する、請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記β−シクロデキストリンが、スルホブチルエーテル(7)−β−シクロデキストリンである、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤の濃度が、約0.1mg/mLから約200mg/mLである、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤の濃度が、約5mg/mLから約50mg/mLである、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記シクロデキストリンに対するリポキシゲナーゼ阻害剤のモル比が、約10:1から約1:10である、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記5−リポキシゲナーゼ阻害剤が、約0.1mg/mLから約200mg/mLの濃度で存在し、シクロデキストリンが、約10mg/mLから約500mg/mLの濃度で存在する、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
緩衝液をさらに含む、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記緩衝液が、クエン酸塩緩衝液である、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記クエン酸塩緩衝液の濃度が、約5mMから約500mMである、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
約3から約9のpHを有する、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
非経口投与用の製剤である、請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む非経口製剤であって、該リポキシゲナーゼ阻害剤が、治療有効濃度で存在する、非経口製剤。
【請求項21】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤が、5−リポキシゲナーゼ阻害剤であり、およびシクロデキストリンがβ−シクロデキストリンまたはその誘導体である、請求項20に記載の非経口製剤。
【請求項22】
前記β−シクロデキストリンに対する5−リポキシゲナーゼ阻害剤のモル比が、約10:1から約1:10である、請求項21に記載の非経口製剤。
【請求項23】
前記5−リポキシゲナーゼ阻害剤の濃度が、約0.1mg/mLから約200mg/mLであり、β−シクロデキストリンの濃度が、約4mMから約900mMである、請求項22に記載の非経口製剤。
【請求項24】
前記5−リポキシゲナーゼ阻害剤の濃度が、約5mg/mLから約50mg/mLであり、β−シクロデキストリンが、約20mMから約500mMの濃度で存在する、請求項23に記載の非経口製剤。
【請求項25】
緩衝液をさらに含む、請求項24に記載の非経口製剤。
【請求項26】
前記緩衝液が、約5mMから約500mMの濃度で存在するクエン酸塩緩衝液である、請求項25に記載の非経口製剤。
【請求項27】
前記5−リポキシゲナーゼ阻害剤が、約0.1mg/mLから約200mg/mLの濃度で存在し、β−シクロデキストリンが、約10mMから約500mMの濃度で存在し、クエン酸塩緩衝液が、約5mMから約15mMの濃度で存在し、非経口製剤が、約3から約9のpHを有する、請求項26に記載の非経口製剤。
【請求項28】
前記β−シクロデキストリンが、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチル誘導体化β−シクロデキストリンからなる群から選択され、5−リポキシゲナーゼ阻害剤が、式(III):
【化3】

を有する、請求項27に記載の非経口製剤。
【請求項29】
リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む乾燥製剤であって、該包接錯体が、少なくとも0.2mg/mLの溶解性を有し、リポキシゲナーゼ阻害剤が治療有効濃度で存在する、乾燥製剤。
【請求項30】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤が、5−リポキシゲナーゼ阻害剤であり、シクロデキストリンがβ−シクロデキストリンである、請求項29に記載の乾燥製剤。
【請求項31】
前記β−シクロデキストリンが、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチル誘導体化β−シクロデキストリンからなる群から選択され、5−リポキシゲナーゼ阻害剤が、式
【化4】

を有する、請求項30に記載の乾燥製剤。
【請求項32】
緩衝液をさらに含む、請求項31に記載の乾燥製剤。
【請求項33】
希釈水溶液での溶解の際に、5−リポキシゲナーゼ阻害剤の濃度が、約0.1mg/mLから約200mg/mLである、請求項32に記載の乾燥製剤。
【請求項34】
経口投与、直腸投与、経鼻投与、経肺投与、経眼投与、腔内投与、点耳投与、局所用投与、口腔投与、経皮投与、静脈投与、筋肉投与、皮下投与、皮内投与、眼内投与、脳内投与、リンパ管内投与、関節内投与、くも膜下投与および腹腔内投与に適している、請求項33に記載の乾燥製剤。
【請求項35】
前記製剤が、凍結乾燥、噴霧乾燥および超臨界流体抽出からなる群から選択される方法によって調製される、請求項29に記載の乾燥製剤。
【請求項36】
リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む、組成物。
【請求項37】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤が、式(II):
【化5】

を有する、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記シクロデキストリンが、β−シクロデキストリンまたはその誘導体である、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記シクロデキストリンが、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチル誘導体化β−シクロデキストリンからなる群から選択される、請求項38に記載の組成物。
【請求項41】
a.水性緩衝溶液を調製するステップと;
b.該緩衝溶液中にβ−シクロデキストリンを溶解するステップと;
c.β−シクロデキストリンおよび緩衝溶液にリポキシゲナーゼ阻害剤を加えて、それらの混合物を生成するステップ;
を含む、リポキシゲナーゼ阻害剤とβ−シクロデキストリンの包接錯体の水溶液を製造する方法。
【請求項42】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤とβ−シクロデキストリンとの混合物を、攪拌および/または超音波分解するステップをさらに含む、請求項41に記載の水溶液を製造する方法。
【請求項43】
前記緩衝溶液のpHを約3から約9へ調節するステップをさらに含む、請求項41に記載の水溶液を製造する方法。
【請求項44】
前記溶液が、0.1mg/mLから約200mg/mLの濃度の5−リポキシゲナーゼ阻害剤と、約10mMから約500mMの濃度のβ−シクロデキストリンとを有し、緩衝液が、約5mMから約15mMの濃度で存在するクエン酸塩緩衝液である、請求項42に記載の水溶液を製造する方法。
【請求項45】
前記β−シクロデキストリンが、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチル誘導体化β−シクロデキストリンからなる群から選択されおよび5−リポキシゲナーゼ阻害剤が、式(III):
【化6】

を有する、請求項43に記載の水溶液を製造する方法。
【請求項46】
リポキシゲナーゼ活性によって媒介される症状の治療の必要な哺乳動物において、リポキシゲナーゼ活性によって媒介される症状を治療する方法であって、リポキシゲナーゼ阻害剤とシクロデキストリンとの包接錯体を含む製剤を投与するステップを含み、該製剤が、治療有効濃度のリポキシゲナーゼ阻害剤を含む方法。
【請求項47】
前記症状が、ぜんそく、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、アテローム性動脈硬化症、大動脈瘤、鎌状赤血球病、急性肺障害、虚血/再灌流障害、鼻茸、大腸性腸疾患、炎症性腸疾患、癌、腫瘍、呼吸器合胞体ウイルス、敗血症、内毒素性ショックおよび心筋梗塞からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記症状が炎症状態である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記リポキシゲナーゼ阻害剤が、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、12−リポキシゲナーゼ阻害剤ならびに5−および12−リポキシゲナーゼ阻害剤からなる群から選択され、シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンまたはそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記製剤が、水溶液であり、リポキシゲナーゼ阻害剤が、約0.1mg/mLから約200mg/mLの濃度で存在する、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記シクロデキストリンが、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチル誘導体化β−シクロデキストリンからなる群から選択されおよびリポキシゲナーゼ阻害剤が、式(III):
【化7】

を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記製剤が、非経口的に投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記製剤が、凍結乾燥物である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記製剤が、経口的に投与される、請求項53に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−516001(P2009−516001A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541464(P2008−541464)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/060914
【国際公開番号】WO2007/059507
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】