説明

リポソームを含有するW/O/W型皮膚又は頭皮用外用剤

【課題】W/O/W型エマルションの外水相にリポソームを安定に配合した外用剤を提供する。さらに、リポソームに油性の生理活性成分を内包し、内水相に水性の生理活性成分を配合することにより生理活性成分の効果させた皮膚又は頭皮用の外用剤を提供する。
【解決手段】リポソームの構成成分としてレシチンを含有し、W/O/Wの界面活性剤として非イオン性界面活性剤を用い、さらにレシチン1重量部に対し非イオン性界面活性剤の含有量を2重量部以下にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リポソームを外水相に含有するW/O/W型外用剤に関し、詳しくはリポソーム及びW/O/W型エマルションの安定性が共に優れた皮膚または頭皮用外用剤を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
リポソームは、生体膜の主要成分であるリン脂質の2分子膜または単分子膜からなる小胞体であり、生体膜のモデルとして研究に用いられると共に、皮膚への浸透性を高める目的で医薬品の他に、化粧品への利用が試みられている。
リポソームの安定化については、多価アルコールあるいは糖類を配合したリポソーム(特許文献1)、ゼラチン等のポリマー水溶液を含有させた長期保存可能なリポソーム(特許文献2)が開示されている。また、リポソームの化粧料への利用について、植物抽出液を含むリポソームを配合した皮膚外用剤(特許文献3)、トレハロース、セレブロシドを含むリポソーム(特許文献4)、アテロコラーゲンおよびグリコサミノグリカン類を用いた安定化支持体の使用(特許文献5)が開示されている。これらの従来技術では、皮膚外用剤にリポソームを安定に配合するための系は油分を含まない水系であった。従って、クリームや乳液のように油成分を含む系では、その系中に存在する油成分やエマルション粒子、あるいは界面活性剤が、リポソームに作用し、リポソームの保存安定性を損なうといった課題があった。
【0003】
一方、W/O/W型エマルションは、水性成分中に油中水型エマルションを含む複合エマルションである。このエマルション組成物は、W/O/W型エマルションの内水相中にさまざまな有用成分を内包させることにより、徐放性や酸化防止などの効果をもつ機能性エマルション組成物として利用が可能であり、医薬、化粧品、食品などとして非常に有用である。W/O/W型エマルションの乳化安定性は極めて低いため、ポリマーを用いて安定化する方法(特許文献6)、特定の乳化剤を用いて安定化する方法(特許文献7、8及び9)、特定の油剤を用いて安定化する方法(特許文献10及び11)、が報告されている。しかしながら、より高い乳化安定性が求められているのが現状である。
【0004】
このようにリポソームとW/O/W型エマルションはそれぞれ有効成分を内包させた化粧料として利用することができたが、リポソームとW/O/W型エマルションを同一製剤で併用することは、安定性上、極めて難しかった。
【0005】
【特許文献1】特開昭64−3114号公報
【特許文献2】特開昭64−47443号公報
【特許文献3】特開平2−17113号公報
【特許文献4】特開平1−153608号公報
【特許文献5】特開平2−184336号公報
【特許文献6】特開平11−33391号公報
【特許文献7】特開昭60−183031号公報
【特許文献8】特開昭60−199833号公報
【特許文献9】特開2001−25360号公報
【特許文献10】特開2005−132769号公報
【特許文献11】特開2005−132794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
W/O/W型エマルションの外水相にリポソームを安定配合した皮膚又は頭皮用の外用剤を提供することを課題とするものである。さらに、リポソームに油性の生理活性成分を内包し、内水相に水性の生理活性成分を配合することにより生理活性成分の効果を向上させた外用剤を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、リポソームの構成成分としてレシチンを含有し、W/O/Wの界面活性剤として非イオン性界面活性剤を用い、さらにレシチンと非イオン性界面活性剤を特定の重量比とすることにより、W/O/W型エマルションの外水相にリポソームを安定配合できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、W/O/W型エマルションの外水相にリポソームを安定に配合できることを可能とする。さらに、リポソームおよびW/O/Wの内部に生理活性成分を含有することにより生理活性成分の効果を向上させることができ、とりわけ保湿成分を内包することにより使用感及び保湿性に優れた外用剤が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の外用剤に配合するリポソームは、レシチンを構成成分とするものである。レシチンとしては、大豆レシチン、コーンレシチン、綿実油レシチン、卵黄レシチン、卵白レシチンなどの天然レシチンおよび、水素添加レシチン、これらレシチン中のリン脂質にポリエチレングリコールや、アミノグリカン類を導入したレシチン誘導体などが例示できる。このうち、大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチンが好ましく、特に大豆レシチンが好ましい。また、レシチン中にリン脂質として存在するホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリンの純度を高めた精製レシチンも使用することができる。これらレシチンは1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0010】
本発明のリポソームは通常、リポソームが水溶液中に含有されたリポソーム懸濁液として調製されたものを使用することができる。リポソーム懸濁液中のレシチンの含有量は特に限定されないが、0.05〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。外用剤中のリポソーム懸濁液の含有量は特に限定されないが、0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%である。
【0011】
本発明の外用剤中のレシチン含有量は外用剤中に配合するリポソーム及びリポソーム懸濁液の量に依存することになる。外用剤用中のレシチン含有量は0.0005〜10重量%が好ましく、0.005〜2重量%が特に好ましい。
【0012】
リポソーム懸濁液の製造方法は特に限定されないが、(1)リン脂質、リポソームに内包する成分、その他酸化防止剤などを均質に混合した後、pH調整剤、多価アルコール、糖類などを含む水溶液で水和し、リポソームを形成させる方法。(2)リン脂質、リポソームに内包する成分、その他酸化防止剤などをアルコール、多価アルコールなどに溶解し、pH調整剤、多価アルコール、糖類などを含む水溶液で水和し、リポソームを調製する方法。(3)超音波、フレンチプレスやホモジナイザーを用いて、リン脂質、リポソームに内包する成分、その他酸化防止剤などを水中で複合化させ、リポソームを調製する方法。(4)エタノールにリン脂質、リポソームに内包する成分、その他酸化防止剤などを混合溶解し、このエタノール溶液を塩化カリウム水溶液に添加した後にエタノールを除去しリポソームを調製する方法などが利用できる。この調製されたリポソーム懸濁液を、例えばW/O/Wの外水相に配合することにより本発明の外用剤を得ることができる。
【0013】
リポソーム懸濁液には、高分子、蛋白質及びその加水分解物、ムコ多糖類などを配合することができる。リポソーム懸濁液に配合する高分子としては、例えばカルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウムなどが例示できるが、これらに限定されるものでもない。カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムが好ましく、特にキサンタンガムが好ましい。これら高分子等は1種または2種以上を組み合わせて使用できる。高分子の配合量は特に限定しないが、0.001〜20%、好ましくは 0.01〜10%、特に好ましくは 0.05〜5%である。蛋白質及びその加水分解物としては、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、カゼイン、それらの加水分解物、加水分解物の塩、加水分解物のエステル、あるいは酵素処理されたものが挙げられるが、特にアテロコラーゲンが好ましい。蛋白質及びその加水分解物の配合量は特に限定しないが、0.001〜5%、好ましくは0.01〜1%である。ムコ多糖としては、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ムコイチン硫酸、ヘパリンとその誘導体、及びそれらの塩類などが挙げられるが、特にコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及びこれらのナトリウム塩が好ましい。ムコ多糖の配合量は特に限定しないが、 0.0005〜5%、好ましくは0.001〜1%である。
【0014】
本発明のリポソームには生理活性成分を内包させることができる。とりわけ油性の生理活性成分を内包させることが好ましい。油性の生理活性成分としてはレチノールおよびその誘導体、レチノイン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、ニコチン酸ベンジル、セファランチン、エチニルエストラジオール、ヒノキチオール、ジパルミチン酸ピリドキシン、リノール酸などの不飽和脂肪酸、ユビキノン、グリチルレチン酸誘導体及びα−リポ酸及び各種動植物抽出物などが挙げられる。これらの生理活性成分は1種でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち、美白効果においてはリノール酸、保湿効果においてはユビキノンを使用することが好ましい。この生理活性物質を内包したリポソームについても前記リポソーム懸濁液として調製することができる。なお、ユビキノンは別名をコエンザイムQ10という。
【0015】
本発明で用いるW/O/W型エマルションはO/Wエマルションの油相(O相)中に内水相(W相)を含む複合エマルションである。W/O/Wエマルションの形成の有無は例えば透過型光学顕微鏡により確認することができる。
【0016】
本発明ではW/O/Wの界面活性剤として非イオン性界面活性剤を含有するものである。本発明で用いる非イオン性界面活性剤は、特に限定されるものではないが、親水基としてポリオキシエチレンあるいはポリグリセリンを含有する非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールのポリヒドロキシ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが例示でき、なかでもポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールのポリヒドロキシ脂肪酸エステルが好ましい。
【0017】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどが例示でき、特にポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルが好ましい。
【0018】
ポリエチレングリコールのポリヒドロキシ脂肪酸エステルとしては、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコールが好ましい。
【0019】
これら非イオン性界面活性剤は1種または2種類以上組み合わせて用いることができる。
非イオン性界面活性剤の配合量は外用剤中に0.001〜20重量%が好ましく、0.01〜10重量%がより好ましい。
【0020】
W/O/W型エマルションは、内水相となる液体を油相となる液体ないし流動体に分散させてW/O型エマルションを調製し、さらに該エマルションを外水相に分散させることにより製造することができる。また、このようにして得られたW/O/W型エマルションをさらに水溶性組成物又はO/W組成物に添加することにより調製することもできる。かかるエマルションは、例えば、高圧ホモジナイザー、高速攪拌機、超音波乳化機等を用いた乳化方法により製造することができる。
【0021】
W/O/Wの内水相には水のみの他、水溶性の生理活性成分や通常化粧品で用いられる水溶性成分を配合させることができる。また、これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。W/O/W型エマルションの内水相に配合する水溶性の生理活性成分としては、例えばアスコルビン酸およびその誘導体、サリチル酸、モノニトログアヤコールナトリウム、塩酸ピリドキシン、イノシット、センブリエキス、ヨモギエキス、シラカバエキス、ヘチマ水、ヘチマエキス、レイシエキス、ホウセンカエキス、オウゴンエキス、
チャエキスなどの植物抽出エキス、カルニチン及びグリチルリチン酸誘導体を用いることができる。好ましくはシラカバエキス、ヨモギエキス、オウゴンエキスを用いることができる。また内水相に配合する外用剤用成分としては、特に限定されるものではないが、多価アルコール、防腐剤、保湿剤、塩類、糖類、アミノ酸類、pH調整剤、キレート剤などを配合することができる。このうち塩類の配合は、浸透圧調整機能によりエマルションを安定化させるので、好ましい。塩としては、有機酸又は無機酸の塩から適宜選択することができるが、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどが好ましく、塩化ナトリウムがより好ましい。塩類の含有量は外用剤全量に対し0.0001〜1重量%程度が好ましい。
【0022】
W/O/W型エマルションの油相の油としては、例えば、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸エチル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、12−ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、オリブ油、ホホバ油、スクワラン、メドウフォーム油、植物性スクワラン、アボカド油、サザンカ油、マカデミアナッツ油、オレイン酸フィトステリルなどが挙げられる。特に好ましくはイソステアリン酸イソステアリル、オリブ油、オレイン酸フィトステリルがあげられる。
【0023】
これらの油の含有量は、本発明の効果が達成できる発明において適宜設定できるが、通常、本発明の外用剤の全重量に対し、0.001〜60重量%、好ましくは0.005〜50重量%、特に好ましくは0.1〜40重量%程度、さらに好ましくは0.5〜30重量%程度である。
【0024】
W/O/W型エマルションの内水相と油相は重量比で20:80〜80:20であることが好ましく、40:60〜60:40であることがさらに好ましい。このような比とすることによりW/O/Wの安定化及びリポソームの安定化をすることができるからである。
W/O/Wエマルションをあらかじめ調製した後に、水溶性組成物に加え本発明の外用剤を製造する場合、あらかじめ調製するW/O/W型エマルション中の非イオン性界面活性剤及び油性成分の含有量は特に制限されないが、好ましくは非イオン性界面活性剤を0.00001〜10重量%、油性成分を1〜60重量%とするのが好ましい。この範囲においてW/O/Wエマルションの形成がより容易にできるからである。
【0025】
本発明において使用する非イオン性界面活性剤の含有量はリポソームを構成するレシチンの含有量1重量部に対し2重量部以下である。この中でも、リポソームと非イオン性界面活性剤の含有量が重量比で1:0.01〜1.5であることが好ましく、1:0.1〜1.1であることがさらに好ましい。このような比とすることによりW/O/Wの安定化及びリポソームの安定化をすることができるからである。
【0026】
本発明における外水相にリポソームを含有する外用剤の製造方法は特に限定されないが、リポソーム懸濁液をW/O/Wエマルションに配合することにより、外水相にリポソームを含有させることができ、本発明の組成物を得ることができる。また、リポソーム懸濁液及びW/O/Wエマルションを外用剤用組成物に添加することによっても本発明の外用剤を調製することができる。好ましい方法としては、リポソーム、あらかじめ調製したW/O/Wエマルション及び外用剤用組成物を混合する方法が挙げられる。外用剤用組成物としては水溶性組成物、O/W乳化物を使用することができる。
【0027】
本発明の外用剤では、上記の成分以外に、通常外用剤に配合できる成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。これら成分はW/O/Wの外水相の他、内水相、油相、リポソーム中にも配合することができる。これら成分は油相成分、保湿剤、増粘剤、薬効成分、香料、色素、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、pH調整剤などが挙げられる
【0028】
具体的には、油相成分としては、例えば炭化水素油、動植物油、高級アルコール、エステル油、シリコーン油及びその誘導体などが挙げられる。
【0029】
例えば、炭化水素油としては、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、ワセリン等、動植物油としては、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、アルモンド油、ヤシ油、スクワレンなどが挙げられる。
【0030】
高級アルコールとしては、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノールなど、高級脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
【0031】
また、エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシル、リノール酸エチル、リノール酸グリセリル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、オレイン酸グリセリル、オレイン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリットなどが挙げられる。
【0032】
そして、シリコーン油及びその誘導体としては、高重合メチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどや、アミノ変性シリコーン油、エポキシ変性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油、カルボキシ変性シリコーン油、アルコール変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油、アンモニウム塩変性シリコーン油、フッ素変性シリコーン油などの変性シリコーンなどが挙げられる。
【0033】
保湿剤としては、例えば多価アルコール、高分子多糖体、ゲンノショウコエキス、ハマメリスエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、等の植物抽出エキス、アミノ酸、微生物の代謝物、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩、ペプチド誘導体、海水、水溶性コラーゲンなどが挙げられる。増粘剤としては、例えばカルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ポリアクリル酸及びその塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、寒天、ベントナイト等の粘土鉱物などがあげられる。
【0034】
薬効剤として例えばアラントイン、エラグ酸、トラネキサム酸、α-アルブチン、β-アルブチン、インドメタシン、塩酸ジフェンヒドラミン、メントール、カンファ、各種動植物抽出物などが挙げられる。
【0035】
抗酸化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ビタミンEおよびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体、エリソルビン酸およびその塩、没食子酸エステルなどが挙げられる。
【0036】
紫外線吸収剤としてはパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸系紫外線吸収剤、4−tert−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン、アントラニル酸メンチル、など、紫外線散乱剤としては酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、タルク、マイカなどが挙げられる。
【0037】
pH調整剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、アミノ酸などが挙げられる。
【0038】
本発明の外用剤は皮膚外用剤、頭皮外用剤、頭髪用外用剤等として使用することができる。さらに、皮膚用化粧料、頭皮用化粧料、頭髪用化粧料として使用することができる。また、化粧料として用いた場合はクリーム、乳液、美容液等の形態で提供することができ、特に乳液、美容液の形態が好ましい。
【実施例】
【0039】
本発明を実施例と比較例により、さらに詳細に説明するが、本発明では特にこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、特に断らない限り[%]は[重量%]を示す。
【0040】
実施例1〜6、及び比較例1〜3
リポソーム懸濁液(表1)およびW/O/W型エマルション(表2)を常法に従って作成した。さらに表3のとおり美容液(水溶性ジェル)を調製した。
【0041】
リポソーム懸濁液
【表1】

【0042】
W/O/W型エマルション
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
実施例1〜3、比較例1〜3の美容液におけるリポソーム及びW/O/W型エマルションの保存安定性と美容液の使用感を次の方法により評価した。結果を表3に示す。
【0045】
(1)保存安定性:透過型電子顕微鏡でリポソーム、透過型顕微鏡でW/O/W型エマルションの有無を観察し、下記の基準により評価した。観察は40℃1ヶ月後に実施した。
○:リポソーム及びW/O/W型エマルションが確認できる。
×:リポソーム及び/又はW/O/W型エマルションが確認できない。
【0046】
(2)使用感:表3の実施例、比較例の美容液をパネラー30名に使用させ、肌へのなじみやすさ及び保湿性を以下の基準で行い、各項目の平均値を算出した。
肌へのなじみやすさ
3:肌へのなじみが大変良い。
2:肌へのなじみがやや良い。
1:肌へのなじみが悪い。
しっとり感
3:肌が大変しっとりした。
2:肌がややしっとりした。
1:肌がしっとりしない。
1週間後の肌状態
3:肌が大変しっとりした。
2:肌がややしっとりした。
1:肌がしっとりしない。
【0047】
(3)角質水分量:表3の実施例、比較例をパネラー5名に使用させ、1時間後の角層水分量を測定した(測定装置:IBS社製SKICON−200)。
【0048】
次に、本発明の処方例を示す。
【0049】
実施例4 クリーム
(A)を均一に溶解させ、これに(B)を混合攪拌することによりあらかじめO/Wクリームを調製した。これに均一溶解させた(C)、(D)を順次投入後、均一攪拌することによって、本発明のクリームを調製した。
成分名 配合量(%)
(A)
1,3−ブチレングリコール 10.0
グリセリン 2.5
キサンタンガム 0.2
パラベン 0.1
精製水 残部
(B)
メチルポリシロキサン 0.5
オリブ油 6.0
スクワラン 1.0
トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン 0.1
バチルアルコール 0.6
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット 0.04
(C)
表1のリポソーム懸濁液(調製例1) 3.0
(D)
表2のW/O/Wエマルション(調製例4) 5.0
合計 100.0
【0050】
実施例5 乳液
(A)を均一に溶解させ、これに(B)の油性成分を攪拌しながら投入してO/Dゲルを調製した。これに均一溶解させた(C)を混合攪拌することによりあらかじめO/Wエマルションを調製した後、(D)、(E)、(F)を順次投入し、均一攪拌することによって、本発明の乳液を調製した。
成分名 配合量(%)
(A)
モノラウリン酸ポリエチレングリコール 0.05
グリセリン 0.12
精製水 0.05
(B)
オリブ油 1.5
スクワラン 2.5
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 1.0
(C)
1,3−ブチレングリコール 10.0
パラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 適量(pH7に調整)
精製水 残部
(D)
エタノール 5.0
l−メントール 0.25
カンフル 0.05
(E)
表1のリポソーム懸濁液(調製例2) 5.0
(F)
表2のW/O/Wエマルション(調製例5) 4.0
合計 100.0
【0051】
実施例6 クリーム
(A)を均一に溶解させ、これに(B)の油性成分を攪拌しながら投入してO/Dゲルを調製した。これに均一溶解させた(C)を混合攪拌することによりあらかじめO/Wクリームを調製した後、(D)、(E)を順次投入し、均一攪拌することによって、本発明のクリームを調製した。
成分名 配合量(%)
(A)
モノラウリン酸ポリエチレングリコール 0.12
グリセリン 1.15
精製水 0.44
(B)
オリブ油 4.0
スクワラン 3.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2.0
(C)
1,3−ブチレングリコール 10.0
パラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.1
キサンタンガム 0.1
カルボキシビニルポリマー 0.3
水酸化カリウム 適量(pH7に調整)
精製水 残部
(D)
表1のリポソーム懸濁液(調製例3) 4.0
(E)
表2のW/O/Wエマルション(調製例6) 2.0
合計 100.0
【0052】
実施例7 乳液
(A)、(B)を高圧ホモジナイザーで撹拌しW/Oエマルションを調製した。これを(C)に加え、さらに高圧ホモジナイザーで撹拌し、(D)を加え、撹拌することにより本発明の乳液を調製した。
成分名 配合量(%)
(A)
シラカバエキス 0.05
塩化ナトリウム 0.03
パラベン 0.03
精製水 8.00
(B)
イソステアリン酸イソステアリル 8.00
オレイン酸フィトステリル 0.10
ジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール 0.30
(C)
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.30
塩化ナトリウム 0.10
パラベン 0.10
キサンタンガム 0.20
精製水 残部
(D)
表1のリポソーム懸濁液(1) 10.0


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポソームを外水相に含有するW/O/W型外用剤であって、リポソームの構成成分であるレシチンの含有量1重量部に対し、非イオン性界面活性剤の含有量が2重量部以下であることを特徴とする皮膚又は頭皮用外用剤。
【請求項2】
リポソームを外水相に含有するW/O/W型外用剤であって、リポソームの構成成分であるレシチンの含有量と非イオン性界面活性剤の含有量の重量比が1:0.01〜1.5重であることを特徴とする皮膚又は頭皮用外用剤。
【請求項3】
W/O/Wエマルション中の内水相と油相の含有量が重量比で20:80〜80:20であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚又は頭皮用外用剤。
【請求項4】
非イオン界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールのポリヒドロキシ脂肪酸エステルのいずれか1種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚又は頭皮用外用剤。
【請求項5】
リポソームに油性の生理活性成分を内包し、W/O/Wの内水相に水性の生理活性成分を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚又は頭皮用外用剤。
【請求項6】
リポソームに内包する油性の生理活性成分がレチノールおよびその誘導体、レチノイン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、ニコチン酸ベンジル、セファランチン、エチニルエストラジオール、ヒノキチオール、ジパルミチン酸ピリドキシン、リノール酸、ユビキノン、グリチルレチン酸誘導体及びα−リポ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であり、W/O/Wの内水相に含有する水性の生理活性成分がアスコルビン酸およびその誘導体、サリチル酸、モノニトログアヤコールナトリウム、塩酸ピリドキシン、イノシット、センブリエキス、ヨモギエキス、シラカバエキス、ヘチマ水、ヘチマエキス、レイシエキス、ホウセンカエキス、オウゴンエキス、チャエキス、カルニチン及びグリチルリチン酸誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚又は頭皮用外用剤。



【公開番号】特開2007−246409(P2007−246409A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−69336(P2006−69336)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】