説明

リワーク方法及びリワーク装置

【課題】 連続したリワーク作業に有利なリワーク装置を提供する。
【解決手段】 基板Bから電子部品Pを取り外すにあたり、電子部品Pを基板Bに取り付けている半田Sの温度を半田温度センサ20により検出し、半田温度センサ20の検出値を基に熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を制御しながら電子部品Pを取り外すと同時に、このときの熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を熱風温度センサ30により検出してその温度変化を記憶し、基板Bの所定個所に電子部品Pを取り付けるにあたり、熱風温度センサ30により熱風Wの温度を検出し、熱風温度センサ30の検出値を基に熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を制御しながら電子部品Pを取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田を溶融させることにより該半田を介して基板に取り付けられていた電子部品を基板から取り外し、修理後のあるいは新たな電子部品を取り付けるリワーク方法及びリワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板上に実装されたIC部品が不良部品となった場合、このIC部品を基板から取り外して、修理後のIC部品或いは新たなIC部品を取り付ける必要が生じる。その際、この基板からIC部品を取り外すにあたって、IC部品を基板に接着させる半田を溶融させるリワーク装置が用いられている。
【0003】
このようなリワーク装置によって半田を溶融させてIC部品を外す場合には、基板に接着させている半田全てを漏れなく溶融させることが必要とされる。そこで、従来から、作業上の効率を鑑みて、その半田を溶融させてしまう前に、その全ての半田を所定温度にまで予め熱しておく、予備加熱が可能なリワーク装置が提供されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−353612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の基板を予備加熱するリワーク装置にあっては、IC部品を含めた基板の熱容量等が原因で、吹き当てる熱風の温度と半田の温度とが、開きの出てしまうものとなっている。これによって、基板に吹き当てるべき熱風の温度及び時間は、作業者とって把握し難いものとなっていた。従って、作業者は、予備加熱及び溶融させるための加熱に際しての適当な温度及び時間を把握するために、作業を複数回余分に行わなければならないものとなっていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、基板上の半田を溶融させるに際して、吹き当てる熱風の温度及び時間を好適に把握し、この把握された熱風の温度及び時間に基づいてリワークすることが可能な、つまり、連続したリワーク作業に有利なリワーク方法及びリワーク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段のリワーク方法及びリワーク装置を提供する。
請求項1に係るリワーク方法の発明は、熱風ノズルから吐出する熱風を基板にあてて、半田を溶融させることにより該半田を介して基板に取り付けられていた電子部品を基板から取り外し、該取り外した基板の所定個所に、修理後のあるいは新たな電子部品を取り付けるリワーク方法であって、前記基板から前記電子部品を取り外すにあたり、前記電子部品を前記基板に取り付けている半田の温度を半田温度センサにより検出し、該半田温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御しながら前記電子部品を取り外すと同時に、このときの熱風ノズルから吐出する熱風の温度を熱風温度センサにより検出してその温度変化を記憶し、前記基板の所定個所に電子部品を取り付けるにあたり、前記熱風温度センサにより熱風の温度を検出し、該熱風温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御しながら前記電子部品を取り付けることを特徴とする。
【0007】
この発明に係るリワーク方法にあっては、基板から電子部品を取り外すにあたって、半田温度センサによって半田の温度が検出されながら、熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御する。従って、半田の溶融する温度が検出されることとなって、電子部品を取り外す際のタイミングが好適に把握される。
【0008】
また同時に、熱風温度センサによって検出される熱風ノズルからの熱風の温度変化を、その半田の溶融する温度変化と共に記憶するので、次の作業とされる、基板への電子部品の取り付けに際しても、その記憶された検出値を基に熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御することができる。従って、その基板の所定個所に電子部品を取り付ける際に、半田が好適に溶融されたタイミングで、電子部品を基板に取り付けることができる。
【0009】
請求項2に係るリワーク方法の発明は、熱風ノズルから吐出する熱風を基板にあてて、半田を溶融させることにより該半田を介して基板に取り付けられていた複数の電子部品を基板から取り外し、該取り外した基板の所定個所に、修理後のあるいは新たな電子部品を取り付けるリワーク方法であって、複数ある電子部品のうち最初の電子部品を前記基板から取り外すにあたり、前記電子部品を前記基板に取り付けている半田の温度を半田温度センサにより検出し、該半田温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御しながら前記電子部品を取り外すと同時に、このときの熱風ノズルから吐出する熱風の温度を熱風温度センサにより検出してその温度変化を記憶し、前記基板から2回目以降の電子部品を取り外すにあたり、前記熱風温度センサにより熱風の温度を検出し、該熱風温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御しながら前記電子部品を取り外すことを特徴とする。
【0010】
この発明に係るリワーク方法にあっては、基板から複数の電子部品を取り外すにあたって、その複数のうち最初の電子部品を取り外す際には、半田温度センサによって半田の温度が検出されながら、熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御する。従って、半田の溶融する温度が検出されることとなって、電子部品を取り外す際のタイミングが好適に把握される。なお、複数ある電子部品は、一枚の基板に設けられるものであっても、複数の基板のそれぞれに設けられるものであっても、限定されることのないものとされる。
【0011】
また、この発明に係るリワーク方法にあっては、その複数のうち最初の電子部品を取り外す際と同時に、熱風温度センサによって検出される熱風ノズルからの熱風の温度変化を、半田の溶融する温度変化と共に記憶するので、次に再び、つまり2回目以降の電子部品を同様な基板から取り外すにあたっては、その記憶された検出値を基に熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御することができる。従って、複数のうち2回目以降の電子部品を基板から取り外す際に、半田が好適に溶融されたタイミングで、電子部品を基板から取り外すことができる。
【0012】
請求項3に係るリワーク方法の発明は、請求項2に記載のリワーク方法でおいて、前記熱風温度センサにより検出された熱風ノズルから吐出する熱風の温度変化を記憶には、前記電子部品を予備加熱した際の熱風ノズルから吐出する熱風の目標上昇温度及びその時間と目標降下温度及びその時間と、前記電子部品を前記基板から取り外す際の熱風ノズルから吐出する熱風の目標上昇温度及びその時間と目標降下温度及びその時間との記憶を含むと共に、前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度の制御には前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度が前記目標上昇温度に到達する手前で前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度上昇度を下げる制御を含むことを特徴とする。
【0013】
この発明に係るリワーク方法にあっては、熱風ノズルから吐出する熱風の温度の制御には熱風ノズルから吐出する熱風の温度が目標上昇温度に到達する手前で熱風ノズルから吐出する熱風の温度上昇度を下げる制御を含むので、熱風ノズルから吐出する熱風は、熱風の温度が目標上昇温度に到達する手前で、熱風の温度上昇度が下がることとなる。これによって、熱風の温度は、その目標上昇温度付近でなだらかに上昇することとなり、次に、熱風ノズルから吐出する熱風の温度を下げる場合に、その温度が下げ易いものとされる。つまり、リワークにおいて、熱風の温度の制御がし易いものとなる。
【0014】
請求項4に係るリワーク方法の発明は、請求項2または請求項3に記載のリワーク方法において、前記基板から2回目以降の電子部品を取り外す工程に入る前は、前記熱風温度センサにより検出された熱風の温度が予め設定した温度に到達するまで、前記熱風温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御し、前記熱風温度センサの検出値が前記予め設定した温度に到達した場合は、前記基板から2回目以降の電子部品を取り外す工程を開始することを特徴とする。
【0015】
この発明に係るリワーク方法にあっては、熱風温度センサの検出値が予め設定した温度に到達するまで熱風の温度を制御し、この熱風の温度が予め設定した温度に到達した場合に、基板から2回目以降の電子部品を取り外す工程を開始するので、その2回目以降の電子部品を取り外すにあたっては、毎回、同じ開始温度で、その電子部品を取り外す工程を開始することとなる。従って、基板から2回目以降の電子部品を取り外す工程の開始後の、熱風ノズルから吐出する熱風の温度の制御をし易いものとし、これによって、2回目以降の電子部品を基板から取り外すことが確実に行えるものとなる。
【0016】
請求項5に係るリワーク方法の発明は、請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載のリワーク方法において、前記取り外す電子部品またこれから取り付けようとする電子部品の表面温度を検出する部品温度センサを設け、該部品温度センサによる検出値が所定値以上になったときに、前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を強制的に下げることを特徴とする。
【0017】
この発明に係るリワーク方法にあっては、部品温度センサによる検出値が所定値以上になったとき、すなわち、電子部品の表面温度が所定値以上になったときには、熱風ノズルから吐出する熱風の温度を強制的に下げるので、この所定値を電子部品が破損してしまう手前の温度に設定した場合には、この電子部品の破損してしまう前に熱風の温度を下げるので、この電子部品の破損が防止されることとなる。
【0018】
請求項6に係るリワーク装置の発明は、熱風ノズルから吐出する熱風を基板にあてて、半田を溶融させることにより該半田を介して基板に取り付けられていた電子部品を基板から取り外し、該取り外した基板の所定個所に、修理後のあるいは新たな電子部品を取り付けるリワーク装置であって、前記電子部品を前記基板に取り付けている半田の温度を検出する半田温度センサと、該半田温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御する第1の熱風温度制御手段と、熱風ノズルから吐出する熱風の温度を検出する熱風温度センサと、該熱風温度センサの検出値を経時的に記憶する記憶手段と、該熱風温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度が前記記憶手段により記憶された温度となるように制御する第2の熱風温度制御手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
この発明に係るリワーク装置にあっては、基板から複数の電子部品を取り外すにあたって、その複数のうち最初の電子部品を取り外す際には、半田温度センサによって半田の温度が検出されながら、第1の熱風温度制御手段によって熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御する。従って、半田の溶融する温度が検出されることとなって、電子部品を取り外す際のタイミングが好適に把握される。
【0020】
また、この発明に係るリワーク装置にあっては、その複数のうち最初の電子部品を取り外す際と同時に、記憶手段によって、経時的に、熱風温度センサによって検出される熱風ノズルからの熱風の温度変化を、半田の溶融する温度変化と共に記憶するので、次に再び、つまり2回目以降の電子部品を同様な基板から取り外すにあたっては、第2の熱風温度制御手段よって、その記憶された検出値を基に熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御することができる。従って、複数のうち2回目以降の電子部品を基板から取り外す際に、半田が好適に溶融されたタイミングで、電子部品を基板から取り外すことができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係るリワーク方法及びリワーク装置によれば、基板上の半田を溶融させるに際して、吹き当てる熱風の温度及び時間を好適に把握し、この把握された熱風の温度及び時間に基づいてリワークすることが可能な、つまり、連続したリワーク作業に有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明に係るリワーク装置及びそのリワーク装置によってなされるリワーク方法の実施の形態について説明する。なお、図1は本発明に係るリワーク装置が基板に熱風を吹き当てている横断面図、図2は図1のリワーク装置の制御ブロック図、図3は第1リワークモードのフローチャート、図4は第1リワークモードにおける温度変化グラフ、図5は第2リワークモードのフローチャート、図6は第2リワークモードにおける温度変化グラフである。
【0023】
すなわち、図1において符号1は、本実施形態例のリワーク装置である。このリワーク装置1は、熱風Wを吐出(吹き出し)可能な適宜のノズル状に形成された熱風ノズルN1,N2を備えてなるものであって、前記熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wを、例えばガラスエポキシ樹脂等からなる基板Bにあてて、ボール状に形成された半田(所謂ボール半田)Sを溶融させるものである。このボール半田Sを溶融することによって、このボール半田Sによって基板Bに取り付けられていた、例えばBGA等のICチップのパッケージからなる電子部品Pを、基板Bから取り外すものである。なお、前記電子部品Pが基板Bから取り外された後は、その個所に、再度、修理後の電子部品或いは新たな電子部品を取り付けるものであっても良い。なお、前記基板Bとしては、一枚からなる基板に一点の電子部品が備えられるものであっても、一枚からなる基板に複数の電子部品が備えられるものであっても、限定されることのないものとされる。
【0024】
このリワーク装置1を、図2のブロック図と共に説明すると、前記熱風ノズルN1,N2の内部には、ヒータ装置50が内蔵されている。このヒータ装置50は、空気を送り出す送風部70と、周囲の空気を熱するヒータ部60とから構成されている。具体的には、前記上側熱風ノズルN1はヒータ61を備え、前記下側熱風ノズルN2はヒータ62を備えている。そして、そのヒータ61,62の奥に、図示されていないが、前記送風部70とされる適宜のファンが内蔵されており、このファンは2つの熱風ノズルN1,N2毎に設けられるものであっても、2つの熱風ノズルN1,N2共に用いる共通の1つであっても何れでもよい。
【0025】
このヒータ装置50は、制御装置10に接続され、この制御装置10によって制御されている。制御装置10は、例えばCPU等からなる制御部11と、例えばRAM等からなる記憶部12と、例えばキーボード等の作業者が操作入力可能に構成される操作部13と、例えば液晶画面等の作業者が視認可能に表示出力される表示部14とから構成されている。そして、前記記憶部12に記憶された検出値や前記操作部13からの入力に従って、前記ヒータ装置50は制御され、前記熱風ノズルN1,N2から温度が制御された熱風が吐出されるものとなっている。
【0026】
また、この制御装置10には、適宜の熱電対で構成された、半田温度センサ20と、熱風温度センサ30と、部品温度センサ40とが接続されている。半田温度センサ20は、半田の温度を検出するセンサであって、図1に示すように前記基板Sと前記電子部品Pとの間に設けられるボール半田Sの近傍とされた基板Bに取り付けられている。また、熱風温度センサ30は、前記熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を検出するセンサであって、図1に示すように、前記上側熱風ノズルN1に設けられたヒータ61の近傍に設けられている。また、前記部品センサ40は、電子部品Pの表面温度を検出するセンサであって、図1に示すように前記電子部品Pの上面に取り付けられている。
【0027】
なお、上述した記憶部12は、前記熱風温度センサ30が検出した検出値を経時的に記憶する本発明の記憶手段に相当するものである。また、上述した制御部11は、この発明における温度制御手段に相当し、後にも詳述するが、前記半田温度センサ20の検出値を基に前記熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を制御する第1の熱風温度制御手段と、前記熱風温度センサ30の検出値を基に前記熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度が前記記憶手段により記憶された温度となるように制御する第2の熱風温度制御手段とを兼ねるものとなっている。
【0028】
このように構成されたリワーク装置1は、半田温度センサ20の検出値を基に前記熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を制御しながら前記電子部品Pを取り外す第1リワークモードS1と、熱風温度センサ30の検出値を基に前記熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を制御しながら前記電子部品Pを取り外す第2リワークモードS2との2種類のリワークモードによって制御されて、熱風ノズルN1,N2から熱風を吐出するようになっている。
【0029】
すなわち、第1リワークモードS1は、前記基板Bから前記電子部品Pを取り外す初回になされるリワークモードであって、前記電子部品Pを前記基板Bに取り付けているボール半田Sの温度を半田温度センサ20により検出し、該半田温度センサ20の検出値を基に前記熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を制御しながら前記電子部品Pを取り外すようにされる。なお、このときの熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度は、熱風温度センサ30によって検出し、その温度変化は前記記憶部12に記憶される。
【0030】
前記第1リワークモードS1は、大まかに、ウォームアップ工程W1と、第1プリヒート工程T1、第2プリヒート工程T2、第3プリヒート工程T3、リフロー工程とされる第4プリヒート工程T4、そしてクール工程C1を踏むようにされている。この第1リワークモードS1では、図3のフローチャート、及び図4の時間と温度との関係を表したグラフに示すように、電源が投入されると、まず、前記リワーク装置1の初期設定を行う(S11)。この初期設定(S11)では、作業者が前記操作部13を操作して、初回(最初)のリワーク作業の各種工程における温度及び時間を予めセッティングをするものである。
【0031】
前記初期設定(S11)の具体的なところとしては、作業者は、前記基板Bと電子部品Pとボール半田Sの関係を考慮し、ウォームアップ工程W1におけるウォームアップ温度H1、第1プリヒート工程T1における第1プリヒート温度H2、第2プリヒート工程T2における終了時点、第3プリヒート工程T3における第3プリヒート温度H3、第4プリヒート工程T4における終了時点、及び、温度を上げて行くスピードとされる昇温スピード、温度を上げて行く段階工程とされる昇温段階工程を、前記操作部13を操作して入力する。なお、温度Hmは、前記ボール半田Sが溶融する温度である。そして、この入力値に従って、ウォームアップ工程W1の時間や、第1プリヒート工程T1の時間、及び第3プリヒート工程T3の時間が決定される。なお、これらの温度H1,H2,H3は、前記半田温度センサ20によってセンシングされるべき温度である。また、図4のグラフ中における実線は、前記半田温度センサ20によって前記ボール半田Sの近傍をセンシングした温度変化を示し、図4のグラフ中における破線は、前記熱風温度センサ30によって前記ヒータ61の近傍をセンシングした温度変化を示す。
【0032】
そして、前記リワーク装置1は、ヒータ装置50のウォームアップを開始する。つまり、ウォームアップ工程W1に入る(S12)。このウォームアップ工程W1(S12)では、上述した初期設定(S11)において設定されたウォームアップ温度H1に到達するまで、前記制御装置10は、前記ヒータ装置50を制御する。具体的には、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度がウォームアップ温度H1に到達するまで、前記ヒータ装置50のヒータ部60を加熱する。そして、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度がウォームアップ温度H1に到達した場合に、前記初期設定(S11)において設定された時間が経過するまで前記基板Bに熱風を吹き当ててウエイトする。このようにして、このヒータ装置50はウォームアップされ、ウォームアップ工程(S11)は終了する。なお、この際、前記ヒータ部60のヒータ61の近傍に設けられた熱風温度センサ30によってセンシングされた温度は、前記記憶部12に記憶されている。
【0033】
次いで、第1プリヒート工程T1(S13)に移る。この第1プリヒート工程T1(S13)では、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が、上述した初期設定(S11)において設定された温度H2となるまで、前記ヒータ装置50によって前記基板Bに熱風を吹き当てる。なお、この際の前記半田温度センサ20の温度の上昇率としては、前記ヒータ装置50が破損されない、例えば、1℃/secとされる。なお、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が、上述した初期設定(S11)において設定された温度H2の近くまで上昇してきた場合には、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度がH2とされる手前(例えば15秒前)で、前記ヒータ部60の温度の上昇率を降下させる。すなわち、例えば、それまで1℃/secとされていた温度の上昇率を、0.5℃/sec程度ずつ、その上昇率を減算してゆく。これによって、温度の上昇率は降下され、そして、何れはヒータ部50の温度も低い温度に降下されていくこととなる。つまり、前記基板Bに吹き当てられる熱風の温度は、上昇から一転して滑らかに降下されていくこととなる。
【0034】
このようにして、温度の上昇率が降下されると、それまで上昇していた前記基板Bの温度は、温度の上昇が滑らかに止まるようにされる。すなわち、半田温度センサ20によってセンシングされた温度の上昇角度は、徐々に小さくなっていき、何れは、次の第2プリヒート工程T2(S14)においてされるような温度H2を一定に保たれるまで、半田温度センサ20によってセンシングされた温度の上昇角度は小さくなる。そして、この第1プリヒート工程T1(S13)を終了して、次の第2プリヒート工程T2(S14)に、容易に移ることができることとなる。なお、この際にあっても、上述したように、前記ヒータ部60のヒータ61の近傍に設けられた熱風温度センサ30によってセンシングされた温度は、前記記憶部12に記憶されている。また、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が温度H2に到達した際は、熱風温度センサ30によってセンシングされた温度のうちの最大値(目標上昇温度)を温度H4として、その時間と共に前記記憶部12に記憶する。また、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が温度H6に到達した際は、熱風温度センサ30によってセンシングされた温度のうちの最小値(目標降下温度)を温度H6として、その時間と共に前記記憶部12に記憶する。
【0035】
そして、次に、第2プリヒート工程T2(S14)に移る。この第2プリヒート工程T2(S14)では、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が、上述した初期設定(S11)において設定された温度H2を設定された時間の間を維持するように、前記ヒータ装置50によって前記基板Bに熱風を吹き当てる。この際の前記ヒータ装置50によって前記基板Bに吹く当てられる熱風の温度は、徐々に下げられたものとなっている。このように、前記ヒータ装置50によって、温度H2を、設定された時間の間を維持するように前記基板Bに熱風を吹き当てると、複数設けられた前記電子部品Pを前記基板Bに取り付けるボール半田Sの全部が温度H2となることとなる。なお、この際にあっても、上述したように、前記ヒータ部60のヒータ61の近傍に設けられた熱風温度センサ30によってセンシングされた温度は、前記記憶部12に記憶されている。そして、この第2プリヒート工程T2(S14)を終了し、次いで、第3プリヒート工程T3(S15)に移る。
【0036】
この第3プリヒート工程T3(S15)では、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が、上述した初期設定(S11)において設定された温度H3となるまで、前記ヒータ装置50によって前記基板Bに熱風を吹き当てる。なお、この際の前記半田温度センサ20の温度の上昇率としては、前記ヒータ装置50が破損されない、例えば、1℃/secとされる。なお、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が、上述した初期設定(S11)において設定された温度H3の近くまで上昇してきた場合には、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度がH3とされる手前(例えば15秒前)で、前記ヒータ部60の温度の上昇率を降下させる。すなわち、例えば、それまで1℃/secとされていた温度の上昇率を、0.5℃/sec程度ずつ、その上昇率を減算してゆく。これによって、温度の上昇率は降下され、そして、何れはヒータ部50の温度も低い温度に降下されていくこととなる。つまり、前記基板Bに吹き当てられる熱風の温度は、上昇から一転して滑らかに降下されていくこととなる。
【0037】
このようにして、温度の上昇率が降下されると、それまで上昇していた前記基板Bの温度は、温度の上昇が滑らかに止まるようにされる。すなわち、半田温度センサ20によってセンシングされた温度の上昇角度は、徐々に小さくなっていき、何れは、次の第4プリヒート工程T4(S16)においてされるような温度H3を一定に保たれるまで、半田温度センサ20によってセンシングされた温度の上昇角度は小さくなる。そして、この第3プリヒート工程T3(S15)を終了して、次の第4プリヒート工程T4(S16)に、容易に移ることができることとなる。なお、この際にあっても、上述したように、前記ヒータ部60のヒータ61の近傍に設けられた熱風温度センサ30によってセンシングされた温度は、前記記憶部12に記憶されている。また、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が温度H3に到達した際は、熱風温度センサ30によってセンシングされた温度のうちの最大値(目標上昇温度)を温度H5として、その時間と共に前記記憶部12に記憶する。また、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が温度H7に到達した際は、熱風温度センサ30によってセンシングされた温度のうちの最小値(目標降下温度)を温度H7として、その時間と共に前記記憶部12に記憶する。
【0038】
そして、次に、第4プリヒート工程T4(S16)に移る。この第4プリヒート工程T4(S16)では、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が、上述した初期設定(S11)において設定された温度H3を設定された時間の間を維持するように、前記ヒータ装置50によって前記基板Bに熱風を吹き当てる。この際の前記ヒータ装置50によって前記基板Bに吹く当てられる熱風の温度は、徐々に下げられたものとなっている。このように、前記ヒータ装置50によって、温度H3を、設定された時間の間を維持するように前記基板Bに熱風を吹き当てると、複数設けられた前記電子部品Pを前記基板Bに取り付けるボール半田Sの全部が温度H3となることとなる。
【0039】
この温度H3は、上述したように、前記ボール半田Sが溶融可能な温度Hmより高い温度とされるものである。従って、前記ボール半田Sが温度H3となった場合には、このボール半田Sは溶融されたものとなっている。そして、ボール半田Sの全てが好適に溶融されたものとなっているので、この第4プリヒート工程T4(S16)において所定時間が経過した際は、前記電子部品Pを前記基板Bから取り外す作業がなされる。なお、この際にあっても、上述したように、前記ヒータ部60のヒータ61の近傍に設けられた熱風温度センサ30によってセンシングされた温度は、前記記憶部12に記憶されている。
【0040】
そして、この第4プリヒート工程T4(S16)を終了し、次いで、クール工程C1(S17)に移る。このクール工程C1では、上述において熱せられたヒータ装置50をクールダウンさせる工程であり、この工程によって、リワーク機1が安全に保たれたものとなる。
【0041】
なお、上述した各工程W1,T1,T2,T3,T4において、電子部品Pの表面温度を検出する部品センサ40によってセンシングされた温度が、この電子部品Pが破損される手前の温度Hdとなった場合には、前記熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を強制的に下げる。具体的には、前記制御装置10によって、前記ヒータ部60のヒータ61,62の温度を下げるように制御すると共に、前記送風部70のファンの回転を強に制御する。このようにして、前記電子部品Pの温度は、強制的に下げられることとなる。これによって、電子部品Pの破損が防止されることとなる。
【0042】
次に、上述した第1リワークモードS1において、前記ヒータ部60のヒータ61の近傍に設けられた熱風温度センサ30によってセンシングされて前記記憶部12に記憶された温度に基づいて算出され設定された内容に基づいてなされる第2リワークモードS2について説明する。
【0043】
すなわち、第2リワークモードS2は、前記基板Bから前記電子部品Pを取り外す2回目以降になされるリワークモードであって、前記上側熱風ノズルN1に設けられたヒータ61の近傍に設けられて熱風ノズルから吐出する熱風Wの温度を検出する熱風温度センサ30により検出し、該熱風温度センサ30の検出値を基に前記熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を制御しながら前記電子部品Pを取り外すようにされる。なお、このときの熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度の制御は、前記記憶部12に記憶された温度に基づいて算出され設定された内容に基づいてなされるものである。
【0044】
前記第2リワークモードS2は、大まかに、ウォームアップ工程W2と、第5プリヒート工程T5、第6プリヒート工程T6、第7プリヒート工程T7、リフロー工程とされる第8プリヒート工程T8、そしてクール工程C2を踏むようにされている。この第2リワークモードS2では、図5のフローチャート、及び図6の時間と温度との関係を表したグラフに示すように、まず、前記リワーク装置1のプロファイル設定を行う(S21)。このプロファイル設定(S21)では、上述した第1リワークモードS1において、前記記憶部12に記憶された、温度(目標上昇温度H4,H5を含む)と、その時間(温度変化)に基づいて設定されるものである。
【0045】
前記プロファイル設定(S21)の具体的なところとしては、前記制御装置10の制御部11は、上述した記憶部12に記憶された、温度(目標上昇温度H4,H5と目標降下温度H6,H7を含む)と、その時間(温度変化)に基づいて、ウォームアップ工程W2におけるウォームアップ温度H1に設定し、第5プリヒート工程T5における第5プリヒート温度(目標上昇温度)を温度H4に設定し、第7プリヒート工程T7における第7プリヒート温度(目標上昇温度)を温度H5に設定し、第6プリヒート工程T6における第6プリヒート温度(目標降下温度)を温度H6に設定し、第8プリヒート工程T8における第8プリヒート温度(目標降下温度)を温度H8に設定し、及び、温度を上げて行くスピードとされる昇温スピード、温度を上げて行く段階工程とされる昇温段階工程を設定する。なお、前記第5プリヒート工程T5及び第6プリヒート工程T6の合計時間は、前記第1プリヒート工程T1及び第2プリヒート工程T2の合計時間と一致されるように、さらに、前記第7プリヒート工程T7及び第8プリヒート工程T8の合計時間は、前記第3プリヒート工程T3及び第4プリヒート工程T4の合計時間と一致されるように、設定されている。
【0046】
そして、この設定値に従って、ウォームアップ工程W2の時間や、第5プリヒート工程T5の時間、第6プリヒート工程T6の時間、第7プリヒート工程T7の時間、及び第8プリヒート工程T8の時間が決定される。なお、これらの温度H1,H4,H5,H6,H7は、上述した記憶部12に記憶された、目標上昇温度H4,H5及び目標降下温度H6,H7によって決定された温度であって、前記熱風温度センサ30によってセンシングされるべき温度である。また、図6のグラフ中における実線は、前記熱風温度センサ30によって前記ヒータ61の近傍をセンシングした温度変化を示し、図6のグラフ中における破線は、前記ボール半田Sの予定的温度変化を示す。また、前記ウォームアップ工程におけるウォームアップ温度H1は、上述した初期設定(S11)において設定されるものであったものを転用したものであるが、これに限定されず、適宜の温度を予め設定していてもよい。
【0047】
そして、前記リワーク装置1は、ヒータ装置50のウォームアップを開始する。つまり、ウォームアップ工程W2に入る(S22)。このウォームアップ工程W2(S22)は、上述したウォームアップ工程W1(S12)とは異なり、熱風温度センサ30により検出された熱風の温度が前記温度H1に到達するまで前記制御装置10は、前記ヒータ装置50を制御する。具体的には、前記熱風温度センサ30によってセンシングされた温度がウォームアップ温度H1に到達するまで、センシングされた温度が高い場合にはヒータ装置50のヒータ部60を冷やすように前記送風部70とされるファンを回転させて制御する。また低い場合には前記ヒータ装置50のヒータ部60を加熱する。
【0048】
そして、前記熱風温度センサ30によってセンシングされた温度がウォームアップ温度H1に到達した場合に、前記基板Bから2回目以降の電子部品Pを取り外す工程を開始する。つまり、この第5〜第8のプリヒート工程T5,T6,T7,T8が開始される。このようにして、このヒータ装置50はウォームアップされ、ウォームアップ工程(S21)は終了する。
【0049】
次いで、第5プリヒート工程T5(S23)に移る。この第5プリヒート工程T5(S23)では、前記熱風温度センサ30によってセンシングされた温度が、上述したプロファイル設定(S21)において設定された温度H4となるまで、前記ヒータ装置50によって前記基板Bに熱風を吹き当てる。なお、この際の前記半田温度センサ20の温度の上昇率としては、前記ヒータ装置50が破損されない、例えば、1℃/secとされる。なお、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が、上述したプロファイル設定(S21)において設定された温度H4の近くまで、且つその時間まで上昇してきた場合には、前記熱風温度センサ30によってセンシングされた温度がH4とされる手前(例えば15秒前)で、前記ヒータ部60の温度の上昇率を降下させる。すなわち、例えば、それまで5〜10℃/secとされていた温度の上昇率を、1〜2℃/sec程度ずつ、その上昇率を減算してゆく。これによって、温度の上昇率は降下され、そして、何れはヒータ部50の温度も低い温度に降下されていくこととなる。つまり、前記基板Bに吹き当てられる熱風の温度は、上昇から一転して滑らかに降下されていくこととなる。
【0050】
このようにして、温度の上昇率が降下されると、それまで上昇していた前記基板Bの温度は、温度の上昇が滑らかに止まるようにされる。すなわち、ボール半田の予定的温度の上昇角度は、徐々に小さくなっていき、何れは、次の第6プリヒート工程T6(S24)においてされるような予定的温度H2を一定に保たれるまで、ボール半田の予定的温度の上昇角度は小さくなる。そして、この第5プリヒート工程T5(S23)を終了して、次の第6プリヒート工程T6(S24)に、容易に移ることができることとなる。
【0051】
そして、次に、第6プリヒート工程T6(S24)に移る。この第6プリヒート工程T6(S24)では、前記熱風温度センサ30によってセンシングされた温度が、上述したプロファイル設定(S21)において設定された温度H4から温度H6に向かって直接的に降下させるように温度を制御して、前記ヒータ装置50によって前記基板Bに熱風を吹き当てる。この際の前記ヒータ装置50によって前記基板Bに吹く当てられる熱風の温度は、徐々に下げられたものとなっている。このように、前記ヒータ装置50によって、温度H4から温度H6に向かって直接的に降下させるように温度を制御して、前記基板Bに熱風を吹き当てると、複数設けられた前記電子部品Pを前記基板Bに取り付けるボール半田Sの全部の予定的温度が上述したH2となることとなる。そして、この第6プリヒート工程T6(S24)を終了し、次いで、第7プリヒート工程T7(S25)に移る。
【0052】
この第7プリヒート工程T7(S25)では、前記半田温度センサ20によってセンシングされた温度が、上述したプロファイル設定(S21)において設定された温度H5となるまで、前記ヒータ装置50によって前記基板Bに熱風を吹き当てる。なお、この際の前記ヒータ部60の温度の上昇率としては、前記ヒータ装置50が破損されない、例えば、1℃/secとされる。なお、前記熱風温度センサ30によってセンシングされた温度が、上述したプロファイル設定(S21)において設定された温度H5の近くまで上昇してきた場合には、前記熱風温度センサ30によってセンシングされた温度がH5とされる手前(例えば15秒前)で、前記ヒータ部60の温度の上昇率を降下させる。すなわち、例えば、それまで5〜10℃/secとされていた温度の上昇率を、1〜2℃/sec程度ずつ、その上昇率を減算してゆく。これによって、温度の上昇率は降下され、そして、何れはヒータ部50の温度も低い温度に降下されていくこととなる。つまり、前記基板Bに吹き当てられる熱風の温度は、上昇から一転して滑らかに降下されていくこととなる。
【0053】
このようにして、温度の上昇率が降下されると、それまで上昇していた前記基板Bの温度は、温度の上昇が滑らかに止まるようにされる。すなわち、ボール半田の予定的温度の上昇角度は、徐々に小さくなっていき、何れは、次の第8プリヒート工程T8(S26)においてされるような予定的温度H3を一定に保たれるまで、ボール半田の予定的温度の上昇角度は小さくなる。そして、この第7プリヒート工程T7(S25)を終了して、次の第8プリヒート工程T8(S26)に、容易に移ることができることとなる。
【0054】
そして、次に、第8プリヒート工程T8(S26)に移る。この第8プリヒート工程T8(S26)では、前記熱風温度センサ30によってセンシングされた温度が、上述したプロファイル設定(S21)において設定された温度H5から温度H7に向かって直接的に降下させるように温度を制御して、前記ヒータ装置50によって前記基板Bに熱風を吹き当てる。この際の前記ヒータ装置50によって前記基板Bに吹く当てられる熱風の温度は、徐々に下げられたものとなっている。このように、前記ヒータ装置50によって、温度H5から温度H7に向かって直接的に降下させるように温度を制御して、前記基板Bに熱風を吹き当てると、複数設けられた前記電子部品Pを前記基板Bに取り付けるボール半田Sの全部の予定的温度H3となることとなる。
【0055】
この温度H3は、上述したように、前記ボール半田Sが溶融可能な温度Hmより高い温度とされるものである。従って、前記ボール半田Sが温度H3となった場合には、このボール半田Sは溶融されたものとなっている。そして、ボール半田Sの全てが好適に溶融されたものとなっているので、この第8プリヒート工程T8(S26)において所定時間が経過した際は、前記電子部品Pを前記基板Bから取り外す作業がなされる。
【0056】
そして、この第8プリヒート工程T8(S26)を終了し、次いで、クール工程C2(S27)に移る。このクール工程C2では、上述において熱せられたヒータ装置50をクールダウンさせる工程であり、この工程によって、リワーク機1が安全に保たれたものとなる。
【0057】
なお、上述した各工程W2,T5,T6,T7,T8においても、電子部品Pの表面温度を検出する部品センサ40によってセンシングされた温度が、この電子部品Pが破損される手前の温度Hdとなった場合には、前記熱風ノズルN1,N2から吐出する熱風Wの温度を強制的に下げる。具体的には、前記制御装置10によって、前記ヒータ部60のヒータ61,62の温度を下げるように制御すると共に、前記送風部70のファンの回転を強に制御する。このようにして、前記電子部品Pの温度は、強制的に下げられることとなる。これによって、電子部品Pの破損が防止されることとなる。
【0058】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲において適宜の選択が可能である。例えば、上述の実施の形態のリワーク装置1の構成については、図2の制御ブロック図に示すように簡潔なものとしたが、これらの互いの間に、適宜のバッファ回路や、コンバータ、トライアック等が介装されるものであっても、本発明の趣旨を逸脱しないものとされる。
【0059】
また、上述のリワーク装置1にあっては、前記ボール半田Sが溶融したことを報知する報知手段を設けていないが、適宜の報知手段を設けて、前記ボール半田Sが溶融したことを報知するようにリワーク装置が構成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係るリワーク装置が基板に熱風を吹き当てている横断面図である。
【図2】図1のリワーク装置の制御ブロック図である。
【図3】第1リワークモードのフローチャートである。
【図4】第1リワークモードにおける温度変化グラフである。
【図5】第2リワークモードのフローチャートである。
【図6】第2リワークモードにおける温度変化グラフである。
【符号の説明】
【0061】
1 リワーク装置
20 半田温度センサ
30 熱風温度センサ
B 基板
N1,N2 熱風ノズル
P 電子部品
S 半田
W 熱風

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱風ノズルから吐出する熱風を基板にあてて、半田を溶融させることにより該半田を介して基板に取り付けられていた電子部品を基板から取り外し、該取り外した基板の所定個所に、修理後のあるいは新たな電子部品を取り付けるリワーク方法であって、
前記基板から前記電子部品を取り外すにあたり、前記電子部品を前記基板に取り付けている半田の温度を半田温度センサにより検出し、該半田温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御しながら前記電子部品を取り外すと同時に、このときの熱風ノズルから吐出する熱風の温度を熱風温度センサにより検出してその温度変化を記憶し、
前記基板の所定個所に電子部品を取り付けるにあたり、前記熱風温度センサにより熱風の温度を検出し、該熱風温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御しながら前記電子部品を取り付けることを特徴とするリワーク方法。
【請求項2】
熱風ノズルから吐出する熱風を基板にあてて、半田を溶融させることにより該半田を介して基板に取り付けられていた複数の電子部品を基板から取り外し、該取り外した基板の所定個所に、修理後のあるいは新たな電子部品を取り付けるリワーク方法であって、
複数ある電子部品のうち最初の電子部品を前記基板から取り外すにあたり、前記電子部品を前記基板に取り付けている半田の温度を半田温度センサにより検出し、該半田温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御しながら前記電子部品を取り外すと同時に、このときの熱風ノズルから吐出する熱風の温度を熱風温度センサにより検出してその温度変化を記憶し、
前記基板から2回目以降の電子部品を取り外すにあたり、前記熱風温度センサにより熱風の温度を検出し、該熱風温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御しながら前記電子部品を取り外すことを特徴とするリワーク方法。
【請求項3】
請求項2に記載のリワーク方法でおいて、
前記熱風温度センサにより検出された熱風ノズルから吐出する熱風の温度変化を記憶には、前記電子部品を予備加熱した際の熱風ノズルから吐出する熱風の目標上昇温度及びその時間と目標降下温度及びその時間と、前記電子部品を前記基板から取り外す際の熱風ノズルから吐出する熱風の目標上昇温度及びその時間と目標降下温度及びその時間との記憶を含むと共に、
前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度の制御には前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度が前記目標上昇温度に到達する手前で前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度上昇度を下げる制御を含むことを特徴とするリワーク方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のリワーク方法において、
前記基板から2回目以降の電子部品を取り外す工程に入る前は、前記熱風温度センサにより検出された熱風の温度が予め設定した温度に到達するまで、前記熱風温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御し、
前記熱風温度センサの検出値が前記予め設定した温度に到達した場合は、前記基板から2回目以降の電子部品を取り外す工程を開始することを特徴とするリワーク方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載のリワーク方法において、
前記取り外す電子部品またこれから取り付けようとする電子部品の表面温度を検出する部品温度センサを設け、該部品温度センサによる検出値が所定値以上になったときに、前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を強制的に下げることを特徴とするリワーク方法。
【請求項6】
熱風ノズルから吐出する熱風を基板にあてて、半田を溶融させることにより該半田を介して基板に取り付けられていた電子部品を基板から取り外し、該取り外した基板の所定個所に、修理後のあるいは新たな電子部品を取り付けるリワーク装置であって、
前記電子部品を前記基板に取り付けている半田の温度を検出する半田温度センサと、
該半田温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度を制御する第1の熱風温度制御手段と、
熱風ノズルから吐出する熱風の温度を検出する熱風温度センサと、
該熱風温度センサの検出値を経時的に記憶する記憶手段と、
該熱風温度センサの検出値を基に前記熱風ノズルから吐出する熱風の温度が前記記憶手段により記憶された温度となるように制御する第2の熱風温度制御手段とを備えることを特徴とするリワーク装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−202858(P2006−202858A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10965(P2005−10965)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000204136)太洋電機産業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】