説明

リンスオフパーソナルケア組成物

本発明は、a)約8個〜約16個の炭素原子を含有する脂肪酸石鹸約1%〜約20%と、b)合成界面活性剤約2%〜約20%と、c)水と、を含む洗浄料組成物に関し、この組成物は、約9NTU以下の濁度をもたらす所定の量以下の濃度で金属イオンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄組成物に関する。このような組成物は、皮膚の洗浄、及び/又は、皮膚の湿潤化及びコンディショニング、並びに、魅力的な透明な外観を提供する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケア組成物は、皮膚を洗浄及び湿潤化し、皮膚に有益な活性物質を供給することが周知であり、そのために広く使用される。皮膚洗浄、及び、種々のスキンケア活性物質、又は皮膚のコンディショニングを助けることができる化合物をもたらすことは重要であるが、一方で、製品が、消費者に心地よい使用経験を供給する前後に、好ましい外観と質感を有することも重要である。パーソナルケア製品の清澄で透明な外観は、純粋さ、マイルドさ、清潔さ、新しさ又は明るさを消費者に印象付けるので、市場において利点を有する。透明なパッケージと組み合わせた清澄な外観の別の利点は、消費者が容易に製品を見て調べることができることである。
【0003】
合成界面活性剤系洗浄製品は、清澄な外観の製品を提供することができるが、比較的弱い洗浄性能と、石鹸に基づく製品に比べて粗い泡立ちと、を有することが既知である。洗浄製品に石鹸を含めることにより、合成界面活性剤系洗浄製品に豊かでクリーミー感のある泡立ちをもたらすようにある程度まで洗浄性能及び/又は泡立ち特性を改善することができるが、このように石鹸を含めることは、製品外観を半透明又は不透明にする傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に基づき、豊かでクリーミーな泡立ちを犠牲にすることなく透明な洗浄製品を提供する必要が存在する。
【0005】
既存の技術には、本発明の利点及び利益の全てを提供するものは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、a)約8個〜約16個の炭素原子を含有する脂肪酸石鹸約1%〜約20%と、b)合成界面活性剤約2%〜約20%と、c)水と、を含む洗浄料組成物に関し、この組成物は、約9NTU以下の濁度をもたらす所定の量以下の濃度で金属イオンを含む。
【0007】
本開示を読むことで、本発明のこの及び他の特徴、態様並びに利点が、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のいくつかの実施形態及び1つの比較例の透明性を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書は、本発明を詳細に示し、かつ、明確に請求することによって結論付けられるが、本発明は次の記述によって更によく理解されるものと考えられる。
【0010】
特に指示のない限り、本明細書で使用される百分率及び比率は、全て総組成物の重量を基準とし、測定は、全て25℃で行われる。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「アルカリ土類金属石鹸」は、カルシウム石鹸及びマグネシウム石鹸を指す。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「アルカリ金属石鹸」は、ナトリウム石鹸及びカリウム石鹸を指す。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「周囲条件」は、特に指定のない限り、約1気圧、相対湿度約50%、かつ、約25℃の周囲条件を指す。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「石鹸」は、特に指定のない限り、混合されたイオン及び脂肪酸鎖を単位として、複数並びに単数を含む。
【0015】
金属イオンの濃度を参照して使用するとき、用語「実質的に含まない」は、金属イオンが全く又は微量しかないことを指す。
【0016】
本発明の組成物は、本発明の構成成分並びに本明細書で記載されるその他の成分を含むことができ、それらから本質的になることができ、又はそれらからなることができる。
【0017】
全ての百分率、割合及び比率は、特に指定のない限り、本発明のスキンケア組成物の全体の重量に基づく。列挙する成分に関連するこのような全ての重量は、活性レベルに基づくので、特に指定しない限り、市販の物質に包含される場合があるキャリアや副生成物を包含しない。
【0018】
本明細書にて引用された全ての出版物は、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0019】
本発明の組成物は、豊かでクリーミーな泡立ち並びに好ましい洗浄性能をもたらすことができる透明な洗浄製品を提供する。
【0020】
理論に束縛されるものではないが、本発明の組成物の透明性は、組成物中の石鹸の対イオンの型と濃度を制御することにより、達成され得る。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属石鹸などの脂肪酸金属石鹸は、濁った最終製品を導き得る石鹸結晶の容易な形成を生じ得る。石鹸の脂肪酸の鎖長もまた、最終製品の濁度に影響し得る。
【0021】
本発明の組成物は、約9NTU以下の濁度をもたらす所定の量以下の濃度で、アルカリ金属石鹸及びアルカリ土類金属石鹸などの石鹸の形態で存在し得る金属イオンを含む。金属イオンの濃度が所定の量を超える場合、組成物の透明な外観に負の影響を及ぼし得る。約9NTU以下の濁度をもたらす金属イオンの濃度は、組成物中に存在する金属の種類に応じて様々であり得、必要以上の実験なしに、化粧品及び洗浄料産業において通常使用される技術を用いて決定及び測定することができる。
【0022】
本発明の組成物中の金属イオンの下方制限は、製品の濁度に影響を与えないので、制限されない。したがって、本発明の組成物は、金属イオンを実質的に含まなくてもよい。
【0023】
1つの実施形態では、本発明の組成物は、約0.009mol/Lの金属イオンを含む。
【0024】
1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約0.008mol/L以下の金属イオンを含む。
【0025】
本発明の組成物は、実質的に透明である。液体組成物の透明性は、「試験方法」に記載されるように、Turbidimeter BTC−464(Model 2100P,HACH Company,USA)などの市販の濁度計により測定される濁度により特徴付けることができる。
【0026】
本発明の組成物は、少なくとも1つの脂肪酸石鹸と、少なくとも1つの合成界面活性剤と、水と、を含む。本発明の組成物は、所望により、1つ以上の皮膚コンディショニング剤を含有する。本発明の組成物はまた、多種多様な他の成分を含んでもよい。本発明の組成物は以下に詳細に記載される。
【0027】
脂肪酸石鹸
本発明の組成物は、約8個〜約16個の炭素原子、好ましくは約10個〜約14個の炭素原子、より好ましくは約12個〜約14個の炭素原子を含有する脂肪酸を含む。C8〜C16脂肪酸の脂肪酸石鹸は、本発明の組成物中に、組成物の約1重量%〜約20重量%、好ましくは約3重量%〜約15重量%で存在する。
【0028】
本発明の組成物中の脂肪酸石鹸は、好ましくは、アンモニウム石鹸、トリアルカノールアミン石鹸、アミノメチルプロパノール石鹸、アミノメチルプロパンジオール(aminomethyl porpandiol)石鹸及びトロメタミン石鹸などの有機中和剤を用いて得られる有機石鹸、より好ましくはトリエタノールアミン石鹸及びアミノメチルプロパノール石鹸を含む。
【0029】
合成界面活性剤
本発明の組成物は、合成界面活性剤を含む。合成界面活性剤は、本発明の組成物中に、組成物の約2重量%〜約20重量%、好ましくは約3重量%〜約15重量%、最も好ましくは約4重量%〜約10重量%で存在する。合成界面活性剤は、アニオン性、非イオン性及び両性(amphoteric and ampholytic)界面活性剤から選択することができる。このような界面活性剤は、化粧品及び洗浄料製造分野の業者に周知である。
【0030】
アニオン性界面活性剤
多種多様なアニオン性界面活性剤が本明細書において有用である。アニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルコイルイセチオネート、並びにアルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートが挙げられる。アルコイルイセチオネートは典型的には式RCO−OCH2CH2SO3Mを有し、式中、Rは、約10個〜約30個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、Mは、アンモニウム、トリアルカノールアミン及びアミノメチルプロパノールなどの非金属水溶性カチオンである。これらのイセチオネートの非限定例としては、アンモニウムココイルイセチオネートなどのアルコイルイセチオネートが挙げられる。
【0031】
アルキル及びアルキルエーテルサルフェートは、典型的にはそれぞれ式、ROSO3M及びRO(C24O)XSO3Mを有し、式中、Rは、約10個〜約30個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは約1〜10であり、Mは、アンモニウム、トリアルカノールアミン及びアミノメチルプロパノールなどの非金属水溶性カチオンである。アニオン性界面活性剤の別の好適な部類は、一般式R1−SO3−Mの有機硫酸反応生成物の水溶性塩であり、式中、R1は、約8個〜約24個の、好ましくは約10個〜約16個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素ラジカルからなる群から選択され、Mは、アルカリ金属カチオンでもアルカリ土類金属カチオンでもないカチオンである。更に他のアニオン性合成界面活性剤としては、スクシナメート、約12個〜約24個の炭素原子を有するオレフィンスルホネート、及びb−アルキルオキシアルカンスルホネートとして指定される部類が挙げられる。これらの物質の例は、ラウリル硫酸アンモニウムである。
【0032】
他のアニオン性界面活性剤としては、モノアルキル、ジアルキル及びトリアルキルホスフェート塩などのホスフェートが挙げられる。
【0033】
他のアニオン性界面活性剤としては、式RCON(CH3)CH2CH2CO2Mに対応するアルカノイルサルコシネートが挙げられ、式中、Rは、約10個〜約20個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、Mは、アンモニウム及びトリアルカノールアミンなどの非金属水溶性カチオンである。1つの例は、ラウロイルサルコシン酸アンモニウムである。
【0034】
非イオン性界面活性剤
多種多様な非イオン性界面活性剤が本明細書において有用である。本明細書で有用である非イオン性活性剤には、ソルビトールと脂肪酸との縮合生成物がある。非限定例としては、Tweens、Spans、及びポリソルベートが挙げられる。
【0035】
他の有用な非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(すなわち、脂肪酸のアルキレンオキシドエステル)が挙げられる。これらの物質は、一般式RCO(X)nOHを有し、式中、RはC10〜30アルキル基であり、Xは−OCH2CH2−(すなわち、エチレングリコール又はオキシドから誘導される)又は−OCH2CHCH3−(すなわち、プロピレングリコール又はオキシドから誘導される)であり、nは約6〜約100の整数である。これらのアルキレンオキシドから誘導される非イオン性界面活性剤の非限定例としては、セテス−6、セテス−10、セテス−12、セテアレス−6、セテアレス−10、セテアレス−12、ステアレス−6、ステアレス−10、ステアレス−12、PEG−6ステアレート、PEG−10ステアレート、PEG−12ステアレート、PEG−20グリセリルステアレート、PEG−80グリセリルタローエート、PPG−10グリセリルステアレート、PEG−30グリセリルココエート、PEG−80グリセリルココエート、PEG−200グリセリルタローエート、PEG−8ジラウレート、PEG−10ジステアレート及びこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
更に他の有用な非イオン性界面活性剤としては、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤が挙げられる。好ましいポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤は、ココナッツアルキルN−メチルグルコシドアミドである。好適な非イオン性界面活性剤の非限定例としては、ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリエチレングリコール5ダイズステロール、ステアレス−20、ステアレス−21、セテアレス−20、セテアレス−12、PPG−2メチルグルコースエーテルジステアレート、セテス−10、ポリソルベート80、セチルホスフェート、ジエタノールアミンセチルホスフェート、ポリソルベート60、グリセリルステアレート、PEG−100ステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート(ポリソルベート85)、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン4ラウリルエーテルナトリウムステアレート、ポリグリセリル−4イソステアレート、ラウリン酸ヘキシル、ジエタノールアミンセチルホスフェート、グリセリルステアレート、PEG−100ステアレート及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい非イオン性界面活性剤は、ステアレス−21、セテアレス−20、セテアレス−12、Tween−60、Tween−80、スクロースココエート、ステアレス−100、PEG−100ステアレート、PEG−1000ステアレート、及びこれらの混合物からなる群より選択されるものである。
【0037】
両性界面活性剤
本明細書で使用するとき、用語「両性界面活性剤」は、両性界面活性剤の部分集合である、双極性界面活性剤を包含することも意図している。
【0038】
本発明の組成物中にて、多種多様な両性界面活性剤を使用することができる。特に有用なのは、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として広く記述されているもの、好ましくは窒素がカチオン状態であるものであって、この場合、その脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、このラジカルの1つはイオン化可能な水溶性基、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、又はホスホン酸基を含有するものである。
【0039】
本発明の組成物に有用な両性界面活性剤の非限定例は、McCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers,North American edition(1986)(Allured Publishing Corporationにより出版);及びMcCutcheon’s,Functional Materials,North American Edition(1992)に開示されている。両性界面活性剤の非限定例は、ベタイン、スルタイン、ヒドロキシスルタイン、アルキルイミノアセテート、イミノジアルカノエート、アミノアルカノエート及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである。好ましい両性界面活性剤としては、ラウラミドプロピルベタイン、セチルジメチルベタイン(すなわち、セチルベタイン)、ココアミドプロピルベタイン、ココアミドプロピルヒドロキシスルタイン又はこれらの混合物が挙げられる。
【0040】

本発明の組成物は水を含む。
【0041】
任意成分
皮膚コンディショニング剤
所望により、本発明の組成物には更に、皮膚コンディショニング剤を含むことができる。これらの剤は、湿潤剤、皮膚軟化剤及びこれらの混合物から選択してもよい。
【0042】
所望により、種々の湿潤剤を本組成物において採用することができる。湿潤剤は、潤いを与えたり、鱗屑を軽減させたり、皮膚から積層鱗屑が除去されるように促したりするための多価アルコールである。典型的な多価アルコールとしては、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオール、及びそれらの誘導体が挙げられる。例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセリン、プロポキシル化グリセリン及びこれらの組み合わせである。最も好ましくは、湿潤剤はグリセリンである。
【0043】
コンディショニング剤が皮膚軟化剤である場合、これは炭化水素、脂肪酸、脂肪族アルコール、エステル及びこれらの混合物から選択され得る。
【0044】
使用される場合、皮膚コンディショニング剤は、組成物中に、組成物の約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約1重量%〜約15重量%、最も好ましくは約3重量%〜約8重量%の量で存在する。
【0045】
増粘剤
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の増粘剤(高分子又は無機)を更に含んでもよい。存在する場合、増粘剤は好ましくは、本発明の組成物中に組成物の少なくとも約0.01重量%、より好ましくは少なくとも約0.05重量%、更に好ましくは少なくとも約0.1重量%の濃度で組み込まれる。最適な安定性及びレオロジー特性を生み出すために、異なる増粘剤を共にブレンドすることは、しばしば有用であり得る。
【0046】
本明細書で有用な高分子増粘剤の非限定例としては、カルボマー(例えば、商品名CARBOPOL(登録商標)900シリーズでB.F.Goodrichから市販されているもの、例えば、CARBOPOL(登録商標)954)及びBASFからのLuvigelシリーズなどのカルボン酸ポリマーが挙げられる。他の好適なカルボン酸ポリマー剤としては、C10〜30アルキルアクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの短鎖(すなわち、C1〜4アルコール)エステルのうちの1つ以上のモノマーと、のコポリマーが挙げられ、ここで、架橋剤はスクロース又はペンタエリスリトールのアリルエーテルである。これらのコポリマーは、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーとして既知であり、CARBOPOL(登録商標)1342、CARBOPOL(登録商標)1382、CARBOPOL(登録商標)Ultrez 21、CARBOPOL(登録商標)Ultrez 20、CARBOPOL(登録商標)Ultrez 10、PEMULEN(登録商標)TR−1及びPEMULEN(登録商標)TR−2としてB.F.Goodrichから市販されている。
【0047】
高分子増粘剤の他の非限定例としては、カチオン性及び非イオン性ポリマーの両方を包含する架橋ポリアクリレートポリマーが挙げられる。
【0048】
高分子増粘剤の更に他の非限定例としては、ポリアクリルアミドポリマー、特に置換された、分枝鎖又は非分枝鎖ポリマーを包含する非イオン性ポリアクリルアミドポリマーが挙げられる。本明細書で有用な他のポリアクリルアミドポリマーとしては、アクリルアミド及び置換アクリルアミドと、アクリル酸及び置換アクリル酸との多元ブロックコポリマーが挙げられる。これらの多元ブロックコポリマーの市販例としては、Lipo Chemicals,Inc.(Patterson,NJ)からのHYPAN(登録商標)SR150H、SS500V、SS500W、SSSA100Hが挙げられる。
【0049】
本明細書で有用な高分子増粘剤の別の非限定部類は、多糖類である。多糖類ゲル化剤の非限定例としては、セルロース、及びセルロース誘導体から選択されるものが挙げられる。アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルの中で好ましいものは、商品名Natrosol 250HHRでHercules Incorporatedから販売されているCTFA表記のヒドロキシエチルセルロースを与えられている物質である。別の有用な多糖類としては、3単位毎に(1〜6)結合グルコースを有する直鎖の(1〜3)結合グルコース単位であるスクレログルカンが挙げられ、その市販例は、Michel Mercier Products Inc.(Mountainside,NJ)からのCLEAROGEL(商標)CS11である。
【0050】
本明細書で有用な高分子増粘剤の別の非限定部類は、ゴムである。本明細書で有用なゴムの非限定例としては、ヘクトライト、水和シリカ、キサンタンガム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
本明細書で有用な高分子増粘剤の更に別の非限定部類は、修飾デンプンである。Grain Processing CorporationからのWATERLOCK(登録商標)などのアクリレート修飾デンプンを使用してもよい。ヒドロキシプロピルデンプンホスフェートであるNational Starchからの商品名STRUCTURE XL(登録商標)は、有用な修飾デンプンの別の例であり、他の有用な例としては、ClariantからのARISTOFLEX(登録商標)HMB(アンモニウムアクリロジメチルタルエート(Ammonium Acrylodimethyltaruate)/ベヘネス−25メタクリレートクロスポリマー)及びカチオン性スタビレンが挙げられる。
【0052】
本明細書で有用な増粘剤の更に別の非限定部類は、無機合成層化ケイ酸塩、Laponiteシリーズ、例えば、Laponite RD、Laponite XLG及びLaponite Dである。
【0053】
剥離剤
本発明の組成物は、所望により無機、有機、天然、及び合成供給源に由来するようなものを含む、多種多様な粒子状物質から誘導される剥離剤を更に含むことができる。
【0054】
本発明の粒子状剥離剤は、存在する場合、典型的には組成物の約0.1重量%〜約8重量%、好ましくは約0.25重量%〜約6重量%の濃度にて利用される。これらの物質としては、無機及び高分子粒子の両方の、非水溶性粒子のものが挙げられる。
【0055】
これらの粒子の非限定例は、非水溶性粘土、酸化鉄、ホホバ種子粉末、カオリン、雲母、ポリブチレン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリメチルスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン、テフロン(すなわち、ポリテトラフルオロエチレン)及びこれらの混合物である。
【0056】
好ましい非水溶性の粒子状物質のうち、本明細書で剥離剤として有用なのは合成ポリマー粒子である。本発明において有用な合成ポリマー粒子は、ポリブチレン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリメチルスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、これらの酸化誘導体、ナイロン、テフロン、及びこれらの混合物からなる群より選択される。好適な剥離剤の非限定例としては、A−C Oxidized PolyethyleneビーズとしてHoneywellから市販の酸化ポリエチレンビーズ及びAccutech,LLCからのACCUSCRUB(商標)ビーズが挙げられる。
【0057】
組成物の調製
本発明の組成物は、通常、リンスオフ洗浄組成物製造技術分野において既知であるような従来方法により、調製される。このような方法は、通常、加熱、冷却、真空の適用などを用いて又は用いずに、成分を1つ以上の工程で混合して比較的均一な状態にするものである。
【0058】
使用のための製品
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、有色又は無色の、約9NTU以下の濁度を有する実質的に透明な液体である。1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約7NTU以下の濁度を有して透明である。
【0059】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、7.5〜9.0の範囲の、好ましくは7.8〜8.7の範囲の、更に好ましくは8.0〜8.3の範囲のpHを有し、これはマイルドな洗浄料製品をもたらすことができ、しかしながら、優れた洗浄性能を有することができる。
【0060】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、視認可能な粒子及び/又はビーズを含有し、独特の外観を提供する。
【0061】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、透明な容器内にパッケージ化することができ、この容器を通して消費者は組成物を見て調べることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、皮膚活性物質、皮膚コンディショニング剤及び増粘剤からなる群から選択される成分を更に含んでもよい。
【0063】
試験方法
塩測定
組成物中の塩は、市販の誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用い、中国国家標準GB/T 5750.6−2006 ICP−AES試験方法などの誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)に従って、測定することができる。例として、本明細書では、塩濃度は、Thermo Electron Corp.(US)からのiCAP 6300 Spectrometerにより測定することができる。
【0064】
濁度測定
溶液の濁度は、散乱90°及び透過光シグナルの比である比濁シグナル比(90°)を測定することにより、決定することができる。例として、本明細書の濁度は、HACH Company(USA)からのHACH 2100P Turbidimeterにより測定することができる。
【0065】
測定は、およそ25℃の温度にて実施される。濁度の試験範囲は、自動モードに設定できる。スクリューキャップ付き(高さ×幅)60.0×25mm(2.36×1インチ)ボロシリケートガラスバイアル瓶(約15mL/0.5オンス)の中に、試料を充填する。固定配置で試料セルを2時間超にわたって保持して、気体/気泡を出させ、拭き取る。その後、シリコーンオイルの薄膜を試料セルの外側に適用し、柔らかい布で拭いて、表面全体に広がる均一な膜を得る。試料バイアル瓶をHACH 2100P Turbidimeterの試験孔に入れ、試料の濁度を測定する。
【実施例】
【0066】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明し、かつ、実証する。これら実施例は、例示目的のためにのみ提供され、しかも、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0067】
【表1】

1.アキュリン88:アクリレート/ステアレート−20メタクリレートクロスポリマー。Rohm & Haasから入手可能
2.グリダントプラス液:DMDMヒダントイン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、1,3ブチレングリコールの水溶液。Lonza Inc.から入手可能。
【0068】
全実施例の組成物は、次のようにして調製することができる。混合物A及びBを、これらが水中によく分散するまで撹拌し、得られた混合物を75℃まで加熱すると、透明なゲルになる。この透明なゲルの中に中和剤(トリエタノールアミン又はアミノメチルプロパノール)を添加する。混合物Cを75℃まで加熱し、加熱した混合物Cを、上で得た透明なゲルの中に添加する。得られた混合物を透明になるまで混合し、熱を除去する。この混合物を冷却しながら、これに混合物Dを添加し、混合する。温度が40℃より低くなってから、混合物E及び顔料又は染料を必要であれば添加する。
【0069】
iCAP 6300 Spectrometerを用い、中国国家標準GB/T 5750.6−2006、ICP−AES試験方法に従って、実施例1及び2の組成物中の金属イオン濃度を測定した。実施例1及び2はそれぞれ、0.076%のNa+イオンを含有していた。Na+アルカリイオン以外の他の金属イオンは、微量に存在する。
【0070】
実施例8〜12及び比較例1
実施例1の組成物の中に異なる量の20% NaCl溶液を添加することにより、実施例8〜12及び比較例1の組成物を調製した。添加したNaCl溶液の量から各組成物中のNa+イオンの量を計算し、下表2に示す。
【0071】
HACH 2100P Turbidimeter(HACH Company,USA)を用い、「濁度測定」に従って、実施例1及び8〜12並びに比較例1の濁度を測定し、これも表2に示す。濁度の試験範囲は、自動モードに設定した。実施例8〜12及び比較例1の各組成物は、鉛直線背景を有する4mLの透明なセル内に配置した。セルの写真を撮影したが、これは図1に提供する。
【0072】
【表2】

*RSD:相対標準偏差
【0073】
実施例13〜18
実施例2の組成物の中に異なる量の20% KCl溶液を添加することにより、実施例13〜18を調製した。添加したKCl溶液の量から各組成物中のK+イオンの量を計算し、下表3に示す。HACH 2100P Turbidimeter(HACH Company,USA)を用い、「濁度測定」に従って、実施例2及び13〜18の濁度を測定し、これも表3に示す。濁度の試験範囲は、自動モードに設定した。
【0074】
【表3】

*:実施例2のカリウム濃度は、化学当量により上で測定したナトリウム濃度から変換した。
【0075】
前述した本発明の実施例及び実施形態の詳細な記述は、単に説明のために与えるものにすぎず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することのない多数の修正及び変更が当業者には明らかになることが理解される;そのような明らかな修正及び変更は、添付の「特許請求の範囲」に含まれるものとする。
【0076】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0077】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他の任意の参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0078】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)約8個〜約16個の炭素原子を含有する脂肪酸石鹸約1%〜約20%と、
b)合成界面活性剤約2%〜約20%と、
c)水と、
を含む洗浄料組成物であって、前記組成物が、約9NTU以下の濁度をもたらす所定の量以下の濃度で金属イオンを含む、洗浄料組成物。
【請求項2】
前記金属イオンが、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記脂肪酸石鹸が約10個〜約14個の炭素原子を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記脂肪酸が合成脂肪酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸石鹸が有機石鹸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機石鹸が、トリアルカノールアミン石鹸、アミノメチルプロパノール石鹸、アミノメチルプロパンジオール石鹸、トロメタミン石鹸及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記有機石鹸が、トリエタノールアミン石鹸、アミノメチルプロパノール及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記合成界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が液体形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が約0.0009mol/L以下の前記金属イオンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が約0.008mol/L以下の前記金属イオンを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が前記金属イオンを実質的に含まない、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が約6NTU以下の濁度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が約7.5〜約9.0の範囲のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、皮膚コンディショニング剤、剥離剤、増粘剤及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が視認可能な粒子を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が透明な容器内にパッケージ化される、請求項1に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2012−518688(P2012−518688A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545393(P2011−545393)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/020103
【国際公開番号】WO2010/083069
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】