説明

ルート指示システム

【課題】出庫作業における誤り防止と作業効率向上を可能とするルート指示システムを提供することにある。
【解決手段】部品が置かれている棚の情報を示す部品棚情報,携帯端末に入力される部品情報又は部品の出庫作業完了の情報を受信して更新される部品配膳台車の通行情報,出庫部品と出庫数と部品棚情報を記録した出庫指示情報を含むデータベースと、携帯端末から機種情報を受信して前記データベースの出庫指示情報から出庫部品の部品棚情報,通行情報から部品配膳台車及び他の部品配膳台車の現在位置情報を検索し、検索された部品配膳台車及び他の部品配膳台車の現在位置情報と出庫部品の部品棚情報から部品配膳台車の最短移動ルート,他の部品配膳台車が最短移動ルートに存在するか否かを計算して、次の出庫部品の移動ルートを決定するデータ管理サーバを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出庫作業待ち、出庫漏れを防ぐのに好適なルート指示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、出庫作業での部品倉庫の移動ルートは、〔特許文献1〕に記載のように、出庫指示情報およびロケーションデータに基づいてシミュレーションを行い、最短移動ルート検索を実施して最短移動ルートを導き出し、部品の配膳台車はその最短移動ルートの順に出庫作業を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−137972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
〔特許文献1〕に記載の従来の技術では、出庫指示情報およびロケーションデータに基づいてシミュレーション行い、最短移動ルート検索を実施して最短移動ルートを導き出す部品出庫システムを備えた工場では、部品配膳台車を使用して、その出庫指示情報に沿って部品を出庫する。出庫指示情報は各々の部品を出庫するための最短移動ルートで並べ替えられており、部品配膳作業者が意図せずとも出庫作業の効率,信頼性が向上する。
【0005】
しかし、複数の部品配膳台車が出庫作業を実施する場合は、各々の出庫指示情報,移動ルート等により、出庫部品が重なり作業ができない、また、次出庫部品の出庫場所で別の作業者が出庫作業を実施しているため作業ができない等の問題が発生する。この問題を回避するため、部品倉庫移動ルートを部品配膳作業者の判断で変更した場合、出庫漏れや部品倉庫移動ルートが最短でなくなり、作業効率低下の要因となってしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、出庫作業における誤り防止と作業効率向上を可能とするルート指示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のルート指示システムは、各部品配膳台車の出庫指示情報,現在位置情報,部品棚情報をデータベースに登録し、出庫作業の開始時点で出庫指示情報と部品棚情報を元に最短移動ルートに並べ替え、変更後出庫指示情報を作成するものである。
【0008】
又、部品が置かれている棚の情報を示す部品棚情報,携帯端末に入力される部品情報又は部品の出庫作業完了の情報を受信して更新される部品配膳台車の通行情報,出庫部品と出庫数と部品棚情報を記録した出庫指示情報を含むデータベースと、携帯端末から機種情報を受信して前記データベースの出庫指示情報から出庫部品の部品棚情報,通行情報から部品配膳台車及び他の部品配膳台車の現在位置情報を検索し、検索された部品配膳台車及び他の部品配膳台車の現在位置情報と出庫部品の部品棚情報から部品配膳台車の最短移動ルート,他の部品配膳台車が最短移動ルートに存在するか否かを計算して、次の出庫部品の移動ルートを決定するデータ管理サーバを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、変更後の出庫指示情報により迅速、且つ正確に部品の出庫作業を行い、出庫作業効率を向上し、併せて出庫ミスを防止することができる。
【0010】
また、部品配膳台車を複数台同時に使用した際の出庫作業を効率よく正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例であるルート指示システムの構成図。
【図2】携帯端末画面の詳細を示す斜視図。
【図3】ルート指示システムの処理フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のルート指示システムの一実施例を図1から図3を用いて説明する。図1は、本実施例のルート指示システムの構成図、図2は、携帯端末画面の詳細を示す斜視図、図3は、ルート指示システムの処理フロー図である。
【0013】
部品配膳台車1には、データ管理サーバ4と通信する携帯端末2,部品棚7に設置してある部品毎のバーコード等の部品情報を読取る部品情報読取装置3が搭載されている。部品倉庫の部品棚7には、出庫予定の部品が載置され、部品には部品毎のバーコード等の部品情報記録部6が設けられている。携帯端末2と部品情報読取装置3には無線装置を内臓して無線通信するようにしてもよい。
【0014】
部品配膳台車1には、出庫指示情報を管理する番号等が記録された機種情報記録部5が載置されている。データ管理サーバ4には、機種情報毎の後述する出庫指示情報,複数ある部品配膳台車1の各現在位置情報,複数ある部品配膳台車1の各出庫指示情報,部品が置かれている棚の情報を示す部品棚情報,各部品配膳台車1のそれぞれが移動したルートを記録している通行情報がデータベースに記録されている。通行情報は、目的とする部品棚に到着した時点で携帯端末2に部品情報を読み込ませると、又、部品の出庫作業が完了した後、携帯端末2の出庫作業完了を入力すると、部品が載置されている部品棚情報と紐付けされた部品棚到着情報,出庫完了情報がデータ管理サーバ4へ送信されることにより、通行した位置情報を更新して得られる。ここで、携帯端末2への入力を押ボタンにより行うようにしてもよい。
【0015】
又、残出庫部品の移動ルートを導き出し、最短移動ルートを計算するシミュレータが格納されている。ここで、最短移動ルートは、移動が短いルートという意味であって、1点に限られるものではない。
【0016】
作業者は、出庫指示情報に沿って図1に示す部品配膳台車1を移動して部品倉庫から対象部品を出庫する。作業者は、ステップ10で作業を開始し、ステップ11で、部品配膳台車1に載置された機種情報記録部5に記録された機種情報を部品情報読取装置3により読取り、読取った機種情報を携帯端末2に送信する。携帯端末2は、図示しない無線通信装置により、機種情報をデータ管理サーバ4に送信する。
【0017】
携帯端末2より機種情報を受信したデータ管理サーバ4は、データベースを検索し、機種情報から該当する出庫部品,出庫数,部品棚情報を一覧で取得する。この機種情報に基づいて出力される出庫指示情報は、CADデータから生成された組み立てに必要な部品すべての情報である。
【0018】
出庫指示情報を取得したデータ管理サーバ4は、次に、作業開始位置から最短移動ルートにある出庫部品を、出庫指示情報と現在位置情報,部品棚情報,通行情報から導き出す。
【0019】
出庫指示情報から全ての出庫部品の部品棚情報を取得し、現在位置情報から該当する部品配膳台車1の現在位置を検索する。部品配膳台車1の現在位置と出庫部品の部品棚情報から全ての出庫部品を出庫するための移動ルートを複数個検索し、移動距離が一番短くなるような移動ルートを最短移動ルートとする。この計算では、他の部品配膳台車1は存在しないものとして計算する。
【0020】
又、他の部品配膳台車1についても通行情報からこれまでに移動ルートを検索して加味し、他の部品配膳台車1の現在位置と出庫部品の部品棚情報から今後の移動ルートと位置を予想する。
【0021】
導き出された最短移動ルートと現在位置情報と、予想される移動ルートと位置を比較し、他の部品配膳台車1が出庫作業中であり通行不可になっている移動ルートになっていなければ出庫部品を出庫するための移動ルートとして確定する。
【0022】
導き出された最短移動ルートと、他の部品配膳台車1の現在位置情報と、予想される移動ルートと位置を比較し、他の部品配膳台車1が出庫作業中である通行不可になっている場合は、この通行不可になる移動ルートを除外した状態で次の出庫部品の計算を実施する。
【0023】
まず、出庫指示情報の中から他部品配膳台車が出庫作業を実施している部品を次の出庫部品候補から除外する。その上で、残りの出庫部品の移動ルートを導き出し、最短移動ルートとなる部品を次の出庫部品に確定する。
【0024】
次の出庫部品が出庫できると、その時点で、出庫部品候補から除外した部品を加えて、同様な計算を行い、全出庫部品の移動ルートを計算する。
【0025】
導き出された最短移動ルートと現在位置情報と、予想される移動ルートと位置とを比較し、出庫指示情報の出庫部品全てが、他の部品配膳台車1が出庫作業中であり通行不可となっている重なる場合は、作業開始位置から最短移動ルートにある出庫部品を次の出庫部品として、次の出庫部品までの移動ルートを設定する。他の部品配膳台車1が移動して、次の出庫部品が出庫できると、その時点で、以降の出庫部品についても同様に計算を実施し、全出庫部品の移動ルートを計算する。
【0026】
移動ルートの計算終了後、データ管理サーバ4は、変更後の出庫指示情報を携帯端末2へ送信する。図2は、出庫指示情報の一例を示した図で、倉庫レイアウト情報と次の出庫部品情報と出庫の残りの部品情報が表示されている。次の出庫部品情報には、棚番,品名,員数が示され、倉庫レイアウト情報では、倉庫の出庫棚のレイアウトと現在位置と目的地が表示され、現在位置から目的地への移動ルートが示されている。出庫の残りの部品情報として、棚番,品名が示されている。
【0027】
ステップ12で、携帯端末2が変更後の出庫指示情報を受信すると、ステップ13で、出庫指示された部品棚まで部品配膳台車1を移動し、出庫作業を実施する。出庫作業は、部品に添付されている部品情報記録部6の部品情報を部品情報読取装置3に読込ませて出庫作業開始となる。出庫作業開始の時点で、データ管理サーバ4の通行情報を更新する。
【0028】
ステップ14で、携帯端末2は、部品情報をデータ管理サーバ4へ送信し、ステップ15で、出庫指示された部品と一致すれば出庫作業合格となる。ステップ16で、データ管理サーバ4から取得した出庫部品と部品情報が一致しなければ、ステップ17で、出庫作業不合格として警告メッセージを表示する。出庫作業合格時点で、データ管理サーバ4の通行情報を更新する。
【0029】
出庫作業合格後、作業者は、部品棚より出庫指示情報に従い、部品を必要数出庫して部品配膳台車1に載置する。ステップ18で、出庫作業完了後、携帯端末2の出庫作業完了ボタンを押し、完了情報をデータ管理サーバ4へ送信し、作業情報を更新する。
【0030】
当該出庫部品が出庫完了後、出庫指示情報と作業情報を照合し、ステップ19で、次出庫部品があれば、残出庫部品に対して移動ルート計算を再度実施する。出庫作業が完了であれば完了メッセージを表示し、次工程へ送る。
【0031】
本実施例によれば、変更後の出庫指示情報により迅速、且つ正確に部品の出庫作業を行い、出庫作業効率を向上し、併せて出庫ミスを防止することができる。
【0032】
また、部品配膳台車を複数台同時に使用した際の出庫作業を効率よく正確に行うことができる。
【0033】
又、リアルタイムに部品配膳台車の位置を把握することにより、棚の間隔が狭い場合など、他の部品配膳台車が移動ルート上に存在して或いは存在するようになることが予想され、すれ違いができない場合、残された出庫部品を最短で出庫できる移動ルートを割り出すことができる。
【0034】
又、各部品配膳台車に割り当てられた出庫指示情報を一元管理し、次に出庫予定の部品の棚番情報,他の部品配膳台車の現在位置を元に部品倉庫移動ルートを再計算し、残出庫部品の中から出庫すべき次の出庫部品を導き出して変更後の出庫指示情報を作成し、指示することにより出庫作業待ち、出庫漏れを防ぐことができる。
【0035】
又、次の出庫部品を他の部品配膳台車が出庫作業を実施していないか、次の出庫部品の最短移動ルート上に他の部品配膳台車がいないか等を現在位置情報で確認し、他の部品配膳台車がいる場合は、次の出庫部品の別移動ルートの計算、その他の残出庫部品の部品配膳台車位置情報を考慮した最短移動ルートの計算を実施し、最短移動ルートを再計算した上で、該当部品を次の出庫部品とするフレキシブルな変更が可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1 部品配膳台車
2 携帯端末
3 部品情報読取装置
4 データ管理サーバ
5 機種情報記録部
6 部品情報記録部
7 部品棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が置かれている棚の情報を示す部品棚情報,携帯端末に入力される部品情報又は部品の出庫作業完了の情報を受信して更新される部品配膳台車の通行情報,出庫部品と出庫数と部品棚情報を記録した出庫指示情報を含むデータベースと、前記携帯端末から機種情報を受信して前記データベースの出庫指示情報から出庫部品の部品棚情報,前記通行情報から部品配膳台車及び他の部品配膳台車の現在位置情報を検索し、検索された部品配膳台車及び他の部品配膳台車の現在位置情報と出庫部品の部品棚情報から部品配膳台車の最短移動ルート,他の部品配膳台車が前記最短移動ルートに存在するか否かを計算して、次の出庫部品の移動ルートを決定するデータ管理サーバを備えたルート指示システム。
【請求項2】
前記部品配膳台車の最短移動ルートに、他の部品配膳台車が存在しない場合は、前記最短移動ルートを次の出庫部品の移動ルートとする請求項1に記載のルート指示システム。
【請求項3】
前記部品配膳台車の最短移動ルートに、他の部品配膳台車が存在する場合は、他の部品配膳台車が出庫する部品を除外して前記部品配膳台車の最短移動ルートを再計算する請求項1に記載のルート指示システム。
【請求項4】
部品が置かれている棚の情報を示す部品棚情報,携帯端末に入力される部品情報又は部品の出庫作業完了の情報を受信して更新される部品配膳台車の通行情報を含むデータベースを備え、前記通行情報から部品配膳台車の現在位置情報を検索するデータ管理サーバを備えたルート指示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−154579(P2011−154579A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16153(P2010−16153)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】