説明

レジストパターン形成方法、レジストパターン、ポジ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスク

【課題】高い解像力、小さいラインエッジラフネス(LER)、優れたパターン形状、及び、高感度を同時に満足したパターンを形成できるレジストパターン形成方法、レジストパターン、ポジ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクを提供する。
【解決手段】基板上に、ポジ型レジスト組成物を用いて膜を形成する工程、該膜を露光する工程、及び露光後にアルカリ現像液を用いて現像する工程をこの順番で有する、レジストパターンの形成方法において、前記ポジ型レジスト組成物が下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有し、前記工程で形成された膜の膜厚が15nm〜40nmであり、かつ、前記アルカリ現像液中のアルカリ成分の濃度が0.5質量%〜1.1質量%である、レジストパターン形成方法。


一般式(I)中、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられる、電子線(EB)や極紫外線(EUV)などを使用して高精細化したパターンを形成しうるレジストパターン形成方法、並びに、レジストパターン、ポジ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクに関するものであり、特に特定の下地膜を有する基板を使用するプロセスに用いられるレジストパターン形成方法、並びに、レジストパターン、ポジ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクに関する。
また本発明のレジストパターン形成方法は、ナノインプリント用モールド構造体の作製方法にも好適に適用できる。
【背景技術】
【0002】
レジスト組成物を用いた微細加工では、集積回路の高集積化に伴って、近年では、超微細な(例えば、線幅30nm以下の1:1のラインアンドスペース、すなわち30nm以下のラインと30nm以下のスペースの繰り返し)パターン形成が求められている。
そのため、露光波長もg線からi線に、更にエキシマレーザー光にというように短波長化の傾向が見られ、現在では、極紫外光(EUV)や電子線を用いたリソグラフィー技術の開発が進んでいる。また、近年ではいわゆるインプリントプロセスに用いられるモールド作成用途などにも用いられている(例えば、特許文献1、及び非特許文献1)。
【0003】
また、形成されるパターンの微細化に伴い、パターンが倒れるという問題が新たに発生し、この問題を防ぐために、レジスト膜の薄膜化も併せて適用されている。
極紫外光(EUV)や電子線を用いたリソグラフィー技術、またインプリント用モールド作成用途に用いられるレジスト組成物としては、例えば、フェノール性水酸基の水素原子をアセタール構造などの酸不安定性基で置換した樹脂を用いたものが、特許文献2〜4に開示されている。
【0004】
2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液(以下TMAH水溶液と略す)が、事実上業界標準の現像液として用いられているが、上述したレジスト膜の薄膜化に伴い、現像時のレジスト膜の膜減りによるパターンの断線やLERの悪化などが問題となっている。
この問題を解決するため、例えば、ポジ型ノボラックレジストを現像する際に、0.115N〜0.15Nのアルカリ現像液を用いてパターンを現像する方法(特許文献5)や、1.2質量%以下のTMAH水溶液を用いてエステル型の酸分解性繰り返し単位を有する樹脂を含むレジスト組成物から形成されたレジスト膜を現像する方法(特許文献6)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−162101号公報
【特許文献2】特開2000−239538号公報
【特許文献3】特開2006−146242号公報
【特許文献4】国際公開第05/023880号
【特許文献5】特開昭63−232430号公報
【特許文献6】特開2010−134240号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開−ナノインプリントの基盤技術と最新の技術展開―編集:平井義彦 フロンティア出版(2006年6月発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、開示されてきたレジスト組成物等のいかなる組合せにおいても、超微細パターンの解像性能、良好なナノエッジラフネスなどを満足できていないのが現状である。
本発明の目的は、超微細な(例えば、線幅30nm以下の1:1のラインアンドスペース)パターン形成においても、高感度、高解像性(例えば、高い解像力、小さいラインエッジラフネス(LER))、及び、優れたパターン形状を同時に満足したパターンを形成できるレジストパターン形成方法、レジストパターン、ポジ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の構造の高分子化合物を含むポジ型レジスト組成物を用いて形成した、特定の膜厚の膜をパターン露光した後、特定のアルカリ成分濃度のアルカリ現像液を用いて現像することによって上記目的が達成されることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
【0009】
〔1〕
(1)基板上に、ポジ型レジスト組成物を用いて膜を形成する工程、
(2)該膜を露光する工程、及び
(4)露光後にアルカリ現像液を用いて現像する工程
をこの順番で有する、レジストパターンの形成方法において、
前記ポジ型レジスト組成物が、(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有し、
前記工程(1)で形成された膜の膜厚が15nm〜40nmであり、かつ、
前記アルカリ現像液中のアルカリ成分の濃度が0.5質量%〜1.1質量%である、レジストパターン形成方法。
【化1】

一般式(I)中、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R03はArと結合して5員又は6員環を形成していてもよく、その場合のR03はアルキレン基を表わす。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R03と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
〔2〕
前記現像工程(4)において、実質的に新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給して現像する、上記〔1〕に記載のレジストパターン形成方法。
〔3〕
前記現像工程(4)で用いられるアルカリ現像液が、テトラメチルアンモニウムハイドロキシドを含む水溶液である、上記〔1〕又は〔2〕に記載のレジストパターン形成方法。
〔4〕
前記露光工程(2)と前記現像工程(4)との間に、ベーク工程(3)を更に有する、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
〔5〕
前記露光工程(2)における露光が、電子線又はEUV光により行われる、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
〔6〕
前記膜形成工程(1)で用いられるポジ型レジスト組成物が、更に、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)塩基性化合物を含有する、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
〔7〕
上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により形成される、レジストパターン。
〔8〕
上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法に用いられる、ポジ型レジスト組成物。
〔9〕
上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により製造される、ナノインプリント用モールド。
〔10〕
上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により製造される、フォトマスク。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超微細な(例えば、線幅30nm以下の1:1のラインアンドスペース)パターンを解像できる高解像性能(例えば、高い解像力、小さいラインエッジラフネス(LER))、優れたパターン形状、及び、高感度を同時に満足したパターンを形成できるレジストパターン形成方法、レジストパターン、ポジ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
具体的には、本発明のレジストパターン形成方法、レジストパターン、ポジ型レジスト組成物、ナノインプリント用モールド、及びフォトマスクについて詳細に説明する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記において、置換又は無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光等による露光のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
【0012】
[レジストパターン形成方法及びレジストパターン]
まず、本発明に係るポジ型レジスト組成物の使用形態を説明する。
本発明のレジストパターン形成方法は、(1)基板上に、ポジ型レジスト組成物を用いて膜を形成する工程、(2)該膜を露光する工程、及び(4)露光後にアルカリ現像液を用いて現像する工程をこの順番で有する、レジストパターンの形成方法において、前記ポジ型レジスト組成物が(A)後述の一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有し、前記工程(1)で形成された膜の膜厚が15nm〜40nm以下であり、かつ、前記アルカリ現像液中のアルカリ成分の濃度が0.5質量%〜1.1質量%である。
本発明に係るポジ型レジスト組成物は、化学増幅型のポジ型レジスト組成物であることが好ましい。
また本発明のレジストパターンは、上記本発明のレジストパターン形成方法により形成される。
また本発明は、後述するように、上記本発明のレジストパターン形成方法に用いられる、ポジ型レジスト組成物にも関する。
以下、本発明のレジストパターン形成方法について詳細に説明する。
【0013】
<1>製膜
本発明において、線幅30nm以下の1:1のラインアンドスペースパターンを解像させるためには、ポジ型レジスト組成物から形成される膜の膜厚が15nm〜40nmであることが必要である。該膜厚が40nmを超えると、パターン倒れが顕著に起こり、十分な解像性能を得ることが出来ない。また、該膜厚が15nm未満であると良好なエッチング耐性を得ることが出来ない。該膜厚の範囲として、好ましくは15nm〜35nmである。該膜厚がこの範囲にあると、優れたエッチング耐性と解像性能を同時に満足させることができる。
ポジ型レジスト組成物膜を得るには、後述する各成分を溶剤に溶解し、必要に応じてフィルター濾過した後、支持体(基板)に塗布して用いる。フィルターとしては、ポアサイズ0.1ミクロン以下、より好ましくは0.05ミクロン以下、更に好ましくは0.03ミクロン以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。塗布膜は好ましくは60〜150℃で1〜20分間、より好ましくは80〜140℃で1〜10分間プリベークして薄膜を形成する。
組成物は、集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン、二酸化シリコン被覆)上にスピナー等の適当な塗布方法により塗布される。その後乾燥し、ポジ型レジスト組成物膜を形成する。
必要により、レジスト組成物膜の下層に、各種下地膜(無機膜、有機膜)を塗布して用いることもできる。
【0014】
<2>露光
形成した該膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射する。なお、電子ビームの照射では、マスクを介さない描画(直描)が一般的である。
活性光線又は放射線としては特に限定されないが、例えばKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV光、電子線等であり、EUV光、電子線が好ましい。すなわち、膜を露光する工程(2)における露光が、電子線又はEUV光を用いて行われることが好ましい。
【0015】
<3>ベーク
露光後、現像を行う前にベーク(加熱)を行うことが好ましい。すなわち、本発明のレジストパターン形成方法は、前記露光工程(2)と前記現像工程(4)との間に、ベーク工程(3)を更に有することが好ましい。
加熱温度は80〜150℃で行うことが好ましく、90〜150℃で行うことがより好ましく、100〜140℃で行うことが更に好ましい。
加熱時間は30〜1000秒が好ましく、60〜800秒がより好ましく、60〜600秒が更に好ましい。
加熱は通常の露光・現像機に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行っても良い。
ベークにより露光部の反応が促進され、感度やパターンプロファイルが改善する。
【0016】
<4>アルカリ現像
アルカリ現像液のアルカリ成分の濃度は、0.5質量%〜1.1質量%である。該アルカリ成分の濃度が0.5質量%を下回ると、現像が完了するまでに多大な時間を必要とし、生産性が著しく低下する。一方、該アルカリ成分の濃度が1.1質量%を超えると、該レジスト膜の未露光部の膜減りにより、解像性能が低下する。アルカリ現像液のアルカリ成分の濃度として好ましくは、0.6質量%〜1.0質量%である。アルカリ成分の濃度がこの範囲にあるアルカリ現像液を用いると、生産性と解像性能を同時に満足することができる。
使用するアルカリ現像液中のアルカリ成分(以下、“アルカリ種”とも呼ぶ)としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノーアミン等のアルコ−ルアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類が挙げられ、アルカリ現像液としてはこれらアルカリ類の水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ類の水溶液に、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤(例えばサーフィノール440、465(日信化学工業(株)))を適当量添加して、表面張力を低下させたアルカリ水溶液を使用することもできる。
アルコール類やノニオン系等の界面活性剤は、アルカリ現像液の表面張力が十分に低下する必要量を添加すれば良い。
アルコール類や界面活性剤の添加量と水溶液の表面張力の関係は、添加する化合物の種類に応じて変化するため、添加量としては一概には言えないが、例えば、イソプロピルアルコールを添加する場合には、アルカリ現像液の全質量に対し5〜20質量%添加することで、アルカリ現像液の表面張力を30〜50mN/mに低下させることができる。
表面張力は既知の方法により測定することが出来るが、例えば協和界面科学(株)製 CBVP-Z型を用いて、白金プレートによる測定法などがある。
【0017】
これらの現像液中のアルカリ種の中で好ましくは第四級アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドである(すなわち、前記現像工程(4)で用いられるアルカリ現像液が、テトラメチルアンモニウムハイドロキシドを含む水溶液であることが好ましい)。
また、現像液中の金属イオンの含有量は10ppb以下であることが好ましく、ハロゲンイオンの含有量は10ppb以下であることが好ましい。
【0018】
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
また、現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
特に好ましい現像方法は、実質的に新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給して現像する方法であり、具体的には、基板表面に実質的に新鮮なアルカリ現像液を噴霧しつづける方法(スプレー法)か、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら、実質的に新鮮なアルカリ現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)である。実質的に新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給して現像することで、露光部の現像が速やかに進行し、解像性能が向上する。また、新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給しつづけて現像することで、現像からリンスに切り替わる段階で発生する残渣系の現像欠陥を低減させることもできる。
【0019】
現像時間は未露光部のレジスト組成物中の成分が十分に溶解する時間と生産性を両立できることが重要である。現像時間は、現像液に含まれるアルカリ類の濃度とレジスト組成物中の成分のアルカリ溶解性により変化するため、一義的に決めることは出来ない。
しかしながら、現像時間として60秒〜600秒となるように、アルカリ類の濃度を調整したアルカリ現像液を用いることが好ましい。現像時間が上記範囲内になる様に濃度調整したアルカリ現像液を用いて現像を行うと、パターンサイズの基板面内均一性と生産性の両立が維持される。
現像液の温度は0℃〜50℃が好ましく、10℃〜30℃が更に好ましい。
【0020】
<5>リンス処理
また、現像を行う工程の後に、純水に置換しながら、現像を停止する工程を実施することが好ましい。
更に、上記純水にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス時間は、基板上のアルカリ現像液が十分に洗い流される時間が好ましく、通常は5秒〜600秒が好ましい。更に好ましくは10秒〜300秒である。
リンス液の温度は0℃〜50℃が好ましく、10℃〜30℃が更に好ましい。
【0021】
更に、本発明は、本発明のレジストパターン形成方法により製造される、ナノインプリント用モールド、及び、フォトマスクにも関する。
このようなナノインプリント用モールド、及び、フォトマスクは、マスクブランクスに本発明のポジ型レジスト組成物から得られるレジスト膜を塗布した、レジスト塗布マスクブランクスを用いて製造されることが好ましい。
このようなレジスト塗布マスクブランクス上に、本発明のレジストパターン形成方法に基づいてレジストパターンを形成する場合、使用される基板としては、石英、フッ化カルシウム等の透明基板を挙げることができる。一般には、該基板上に、遮光膜、反射防止膜、更に位相シフト膜、追加的にはエッチングストッパー膜、エッチングマスク膜といった機能性膜の必要なものを積層する。機能性膜の材料としては、ケイ素、又はクロム、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、チタン、ニオブ等の遷移金属を含有する膜が積層される。また、最表層に用いられる材料としては、ケイ素又はケイ素に酸素及び/又は窒素を含有する材料を主構成材料とするもの、更にそれらに遷移金属を含有する材料を主構成材料とするケイ素化合物材料や、遷移金属、特にクロム、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、チタン、ニオブ等より選ばれる1種以上、又は更にそれらに酸素、窒素、炭素より選ばれる元素を1以上含む材料を主構成材料とする遷移金属化合物材料が例示される。
遮光膜は単層でも良いが、複数の材料を塗り重ねた複層構造であることがより好ましい。複層構造の場合、1層当たりの膜の厚みは、特に限定されないが、5nm〜100nmであることが好ましく、10nm〜80nmであることがより好ましい。遮光膜全体の厚みとしては、特に限定されないが、5nm〜200nmであることが好ましく、10nm〜150nmであることがより好ましい。
【0022】
次いで、このレジスト膜に対して、上記したように、露光、現像を行い、レジストパターンを得る。そして、このレジストパターンをマスクとして用いて、適宜エッチング処理などを行い、ナノインプリント用モールドやフォトマスクを製造する。
【0023】
本発明におけるフォトマスクは、ArFエキシマレーザー等で用いられる光透過型マスクであっても、EUV光を光源とする反射系リソグラフィーで用いられる光反射型マスクであっても良い。
なお、本発明の組成物を用いてインプリント用モールドを作成する場合のプロセスについては、例えば、特許第4109085号公報、特開2008−162101号公報、及び「ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開―ナノインプリントの基板技術と最新の技術展開―編集:平井義彦(フロンティア出版)」に記載されている。
【0024】
[ポジ型レジスト組成物]
以下に、本発明のレジストパターン形成方法に用いる、本発明のポジ型レジスト組成物について詳細に説明する。
本発明のポジ型レジスト組成物は、(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有する。
本発明のポジ型レジスト組成物は、更に、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)塩基性化合物を含有することが好ましい。
【0025】
〔1〕(A)高分子化合物
本発明に係るポジ型レジスト組成物は、(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有している。本発明の組成物に、KrFエキシマレーザー光、電子線、X線又は波長50nm以下の高エネルギー光線(例えば、EUV)を照射する場合には、この高分子化合物(A)は、ヒドロキシスチレン繰り返し単位を有することが好ましい。更に好ましくは、この高分子化合物(A)は、ヒドロキシスチレンと酸の作用により脱離する基で保護されたヒドロキシスチレンとの共重合体である。ここで、ヒドロキシスチレンとしてはp−ヒドロキシスチレンが好ましい。
一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(A)は、後述するようにアニオン重合法などにより合成された単分散ポリマーを前駆体として合成することが出来る。本発明に記載の超微細パターンを形成させる場合、単分散ポリマーを用いることで、現像時の溶解単位が均一となり、解像性、特に小さいラインエッジラフネス(LER)が維持され易い。
高分子化合物(A)がヒドロキシスチレン繰り返し単位を含有する場合、高分子化合物(A)の全繰り返し単位に対する、ヒドロキシスチレン繰り返し単位の含有量は、3〜90モル%の範囲が好ましく、5〜90モル%の範囲がより好ましく、7〜85モル%の範囲が特に好ましい。
【0026】
【化2】

【0027】
一般式(I)中、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R03はArと結合して5員又は6員環を形成していてもよく、その場合のR03はアルキレン基を表わす。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R03と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
【0028】
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜4の整数を表し、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
【0029】
01〜R03としてのアルキル基は、例えば、炭素数20以下のアルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基又はドデシル基である。より好ましくは、これらアルキル基は、炭素数8以下のアルキル基である。なお、これらアルキル基は、置換基を有していてもよい。
【0030】
アルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R01〜R03におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
【0031】
シクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。好ましくは、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数3〜8の単環のシクロアルキル基が挙げられる。なお、これらシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
【0032】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子がより好ましい。
【0033】
03がアルキレン基を表す場合、このアルキレン基としては、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基等の炭素数1〜8のものが挙げられる。
【0034】
01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表すことが好ましく、より好ましくは水素原子である。
【0035】
Arとしての(n+1)価の芳香環基は、炭素数6〜14のものが好ましい。nが1である場合における2価の芳香環基は、例えば、フェニレン基、トリレン基及びナフチレン基が挙げられる。
nが2以上の整数である場合における(n+1)価の芳香環基の具体例としては、2価の芳香環基の上記した具体例から、(n−1)個の任意の水素原子を除してなる基を好適に挙げることができる。
なお、これら芳香環基は、更に、置換基を有していてもよい。
【0036】
酸の作用により脱離する基Yとしては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R)(R)(OR39)、−C(R)(R)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、及び−CH(R36)(Ar)により表される基が挙げられる。
【0037】
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して、環構造を形成していてもよい。
【0038】
及びRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
Arは、アリール基を表す。
【0039】
36〜R39、R、又はRとしてのアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基及びオクチル基が挙げられる。
【0040】
36〜R39、R、又はRとしてのシクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基及びシクロオクチルが挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0041】
36〜R39、R、R、又はArとしてのアリール基は、炭素数6〜10のアリール基であることが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
【0042】
36〜R39、R、又はRとしてのアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基であることが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が好ましい。
【0043】
36〜R39、R、又はRとしてのアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基であることが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びシクロへキセニル基が挙げられる。
【0044】
36とR37とが互いに結合して形成し得る環は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロへキサン構造、シクロヘプタン構造及びシクロオクタン構造が挙げられる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、ジシクロペンタン構造、トリシクロデカン構造及びテトラシクロドデカン構造が挙げられる。なお、環構造中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
【0045】
上記各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
【0046】
酸の作用により脱離する基Yとしては、下記一般式(II)で表される構造がより好ましい。
【0047】
【化3】

【0048】
一般式(II)中、L及びLは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、シクロアルキル基、脂環基、芳香環基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアルデヒド基を表す。なお、これら脂環基及び芳香環基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
なお、Q、M、及びLの少なくとも2つが互いに結合して、5員又は6員環を形成していてもよい。
【0049】
及びLとしてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基が挙げられる。
【0050】
及びLとしてのシクロアルキル基は、例えば炭素数3〜15のシクロアルキル基であり、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基が挙げられる。
【0051】
及びLとしてのアリール基は、例えば炭素数6〜15のアリール基であり、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
【0052】
及びLとしてのアラルキル基は、例えば炭素数7〜20のアラルキル基であり、具体的には、ベンジル基及びフェネチル基が挙げられる。
【0053】
及びLは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表すことが好ましく、L及びLの一方が水素原子であり、他方がアルキル基であることがより好ましい。
【0054】
Mとしての2価の連結基は、例えば、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基又はオクチレン基)、シクロアルキレン基(好ましくは炭素数3〜15のシクロアルキレン基、例えば、シクロペンチレン基又はシクロヘキシレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜8のアルケニレン基、例えば、ビニレン基、プロペニレン基又はブテニレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基、例えば、フェニレン基、トリレン基又はナフチレン基)、−S−、−O−、−CO−、−SO−、−N(R)−、又は、これらの2以上の組み合わせである。ここで、Rは、水素原子又はアルキル基である。Rとしてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基が挙げられる。
Mは、単結合、又は、アルキレン基、−O−、若しくはこれらの組み合わせからなる2価の連結基を表すことが好ましく、単結合、アルキレン基又はアルキレンオキシ基を表すことがより好ましい。
【0055】
Qとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、上述したL及びLとしての各基と同様である。
【0056】
Qとしての脂環基又は芳香環基としては、例えば、上述したL及びLとしてのシクロアルキル基及びアリール基が挙げられる。これらシクロアルキル基及びアリール基は、好ましくは、炭素数3〜15の基である。
【0057】
Qとしてのヘテロ原子を含んだ脂環基又は芳香環基としては、例えば、チイラン、シクロチオラン、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール及びピロリドン等の複素環構造を有した基が挙げられる。但し、炭素とヘテロ原子とで形成される環、又は、ヘテロ原子のみによって形成される環であれば、これらに限定されない。
【0058】
Qは、アルキル基、シクロアルキル基、脂環基又は芳香環基を表すことが好ましく、アルキル基、シクロアルキル基又は芳香環基を表すことがより好ましい。
【0059】
Q、M及びLの少なくとも2つが互いに結合して形成し得る環構造としては、例えば、これらがプロピレン基又はブチレン基を形成してなる5員又は6員環構造が挙げられる。なお、この5員又は6員環構造は、酸素原子を含有している。
【0060】
一般式(II)におけるL、L、M及びQで表される各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
【0061】
−(M−Q)で表される基としては、炭素数1〜30の基が好ましく、炭素数5〜20の基がより好ましい。特に、アウトガス抑制の観点からは、炭素数が6以上の基が好ましい。
【0062】
本発明の高分子化合物(A)における、上記一般式(I)で表される繰り返し単位の含有量は、高分子化合物(A)の全繰り返し単位に対して、5〜50モル%の範囲が好ましく、10〜40モル%の範囲がより好ましく、15〜40モル%の範囲が特に好ましい。
【0063】
高分子化合物(A)は、上記で説明した繰り返し単位以外の繰り返し単位を、更に有していても良い。この例としては、例えば以下に説明するような、酸の作用に対して安定な繰り返し単位を挙げることができる。
【0064】
酸の作用に対して安定な繰り返し単位としてより具体的には、一般式(IV)として例示されるような非酸分解性の置換基を有したスチレン誘導体や、一般式(V)として例示されるような、アクリル構造の側鎖に、非酸分解性のアリール構造、シクロアルキル構造、ラクトン構造を有する繰り返し単位が挙げられる。この構造を有することにより、コントラストの調節、エッチング耐性の向上などが期待できる。
【0065】
【化4】

【0066】
一般式(IV)に於いて、
Raは水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra基を表す。式中、Raは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。Ra及びRaとしてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4がより好ましい。Ra及びRaとしてのアルキル基は置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子及び塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。Raのアルキル基としては、例えば、メチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
一般式(IV)におけるBは、アシル基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、アシルオキシ基又はアルコキシカルボニル基を表し、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アシルオキシ基がより好ましい。また、アシルオキシ基(一般式−O−CO−Rで表される。Rはアルキル基)の中でも、Rの炭素数が1〜6のものが好ましく、Rの炭素数1〜3のものがより好ましく、Rの炭素数が1のもの(即ち、アセトキシ基)が特に好ましい。
pは0〜5の整数を表し、0〜2が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
【0067】
上記各基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。環状構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を挙げることができる。
【0068】
一般式(IV)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
【化5】

【0070】
一般式(V)中、Rは非酸分解性の炭化水素基又はラクトン基を表す。
Raは、前述の一般式(IV)中のRaと同義であり、好ましい範囲も同様である。
は、環状構造を有する炭化水素基又はラクトン基であることが好ましい。環状構造を有する場合の具体例として、単環又は多環のシクロアルキル基(炭素数3〜12が好ましく、より好ましくは炭素数3〜7)、単環又は多環のシクロアルケニル基(炭素数3〜12が好ましい)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜12)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜12)、単環又は多環のラクトン基(好ましくは炭素数4〜15、より好ましくは炭素数4〜10)などが挙げられる。
上記各基は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0071】
一般式(V)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又はCFを表す。
【0072】
【化6】

【0073】
【化7】

【0074】
本発明の高分子化合物(A)は、一般式(IV)又は(V)で表される繰り返し単位を含有しても含有しなくてもよいが、含有する場合、一般式(IV)又は(V)で表される繰り返し単位の含有量は、高分子化合物(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、より好ましくは2〜20モル%である。
酸の作用に対して安定な繰り返し単位としては、一般式(IV)で表される繰り返し単位がより好ましい。一般式(I)で表される繰り返し単位とともに、一般式(IV)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(A)は、後述するようにリビングアニオン重合法により合成された単分散ポリマーを前駆体として合成することが出来る。本発明に記載の超微細パターンを形成させる場合、単分散ポリマーを用いることで、現像時の溶解単位が均一となり、解像性、特に小さいラインエッジラフネス(LER)が維持され易い。
【0075】
本発明で用いられる高分子化合物(A)には、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基(以下、「光酸発生基」とも言う)を側鎖に有する繰り返し単位を更に有することも感度が優れるという理由で好ましい。この場合は、後述の活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(B)が独立した化合物でなく、本発明にかかわる高分子化合物(A)中の一構成成分と言うことになる。すなわち、本発明の一態様として、高分子化合物(A)が、更に、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基を側鎖に有する繰り返し単位を含み、前記高分子化合物(A)と後述の化合物(B)とが同一の化合物であることも好ましい。
光酸発生基を有する繰り返し単位として例えば、特開平9-325497号公報〔0028〕に記載された繰り返し単位や、特開2009-93137号公報〔0038〕〜〔0041〕に記載された繰り返し単位があげられる。そして、この場合、この光酸発生基を有する繰り返し単位が本発明の活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(B)にあたると考えることができる。
【0076】
本発明の高分子化合物(A)は、光酸発生基を側鎖に有する繰り返し単位を含有しても含有しなくてもよいが、含有する場合、光酸発生基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、高分子化合物(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜10モル%が好ましく、より好ましくは2〜8モル%である。
【0077】
本発明の高分子化合物(A)は、製膜性や溶剤溶解性を制御できるような他の重合性モノマーを共重合させてもよい。
これらの重合性モノマーの例としては、水素化ヒドロキシスチレン、無水マレイン酸、アクリル酸誘導体(アクリル酸、アクリル酸エステル等)、メタクリル酸誘導体(メタクリル酸、メタクリル酸エステル等)、N−置換マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、上記とは別に、好ましい高分子化合物の繰り返し単位として、主鎖に環状構造を有する単位(インデン構造を有するモノマーに由来する単位など)、ナフトール構造を有する単位、−C(CFOH基を有する繰り返し単位なども挙げられる。
これら重合性モノマーから誘導される繰り返し単位、上述の繰り返し単位を高分子化合物(A)が含有する場合、これら繰り返し単位の含有量は高分子化合物(A)中の全繰り返し単位に対し、1〜30モル%が好ましく、より好ましくは1〜10モル%である。
本発明において、高分子化合物(A)は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0078】
本発明で用いられる高分子化合物(A)の質量平均分子量としては1万以下が好ましく、更に好ましくは質量平均分子量の範囲が1000〜8000、特に好ましい範囲は、2000〜6000である。
高分子化合物の分子量が上記範囲であると、十分な解像性能、LER性能を得ることができる。
高分子化合物(A)の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜1.7であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.2の範囲内である。
ここで、高分子化合物(A)の重量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)は、ポリスチレン基準のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法(溶媒:THF)による。
【0079】
高分子化合物(A)は、公知のラジカル重合法やアニオン重合法により合成することができる。例えば、ラジカル重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、過酸化物(過酸化ベンゾイル等)やニトリル化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、又はレドックス化合物(クメンヒドロペルオキシド−第一鉄塩等)を開始剤として、室温又は加温条件下で反応させて重合体を得ることができる。また、アニオン重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、金属化合物(ブチルリチウム等)を開始剤として、通常、冷却条件化で反応させて重合体を得ることができる。
また各繰り返し単位の前駆体に相当する不飽和モノマーを用いてポリマーを重合した後に、合成したポリマーに低分子化合物を修飾し、所望の繰返し単位へ変換することによって合成することも可能である。いずれの場合も、リビングアニオン重合等のリビング重合を用いることで、得られる高分子化合物の分子量分布が均一となり、好ましい。
【0080】
以上において説明した高分子化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0081】
【化8】

【0082】
【化9】

【0083】
上記具体例において、tBuはt−ブチル基を表す。
酸で分解し得る基の含有率は、高分子化合物(A)中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で脱離する基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)とにより、式B/(B+S)によって計算される。この含有率は、好ましくは0.01〜0.7であり、より好ましくは0.05〜0.50であり、更に好ましくは0.05〜0.40である。
高分子化合物(A)の組成物中の含有量は、レジスト組成物の全固形分を基準として、50〜95質量%が好ましく、より好ましくは55〜92質量%、更に好ましくは60〜85質量%である。
【0084】
〔2〕(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明のポジ型レジスト組成物は、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤(B)」ともいう)を含有することが好ましく、活性光線又は放射線の照射によりカルボン酸以外の酸を発生する化合物を含有することがより好ましい。酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0085】
酸発生剤(B)としての、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0086】
【化10】

【0087】
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に有機基を表す。
は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF、PF、SbFなどが挙げられ、好ましくは炭素原子を含有する有機アニオンである。好ましい有機アニオンとしては下式AN1〜AN3に示す有機アニオンが挙げられる。
【0088】
【化11】

【0089】
式AN1〜AN3中、Rc〜Rcはそれぞれ独立に有機基を表す。
Rc〜Rcにおける有機基として、炭素数1〜30のものがあげられ、好ましくは置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。更には他の結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
Rdは水素原子、又はアルキル基を表し、他の結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
Rc〜Rcの有機基として、1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。フッ素原子又はフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。Rc〜Rcにおいて炭素原子を5個以上有する時、少なくとも1つの炭素原子は水素原子で置換されていることが好ましく、水素原子の数がフッ素原子より多いことがより好ましい。炭素数5以上のパーフロロアルキル基を有さないことにより生態への毒性が軽減する。
【0090】
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
【0091】
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0092】
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
【0093】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基、シクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203としてのアリール基、アルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0094】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であり、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R201〜R203としてのシクロアルキル基は、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
【0095】
次に、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0096】
【化12】

【0097】
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c〜R7cのいずれか2つ以上が結合して環構造を形成しても良い。また、RとRが結合して環構造を形成しても良い。これらの環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
は、一般式(ZI)におけるZと同義である。
化合物(ZI−3)の具体例としては、特開2004−233661号公報の段落0046,0047や、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている化合物、等を挙げることができる。
【0098】
次に、一般式(ZII)、(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基の具体例、好適なものとしては、前記化合物(ZI−1)におけるR201〜R203としてのアリール基として説明したものと同様である。
204〜R207のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例、好適なものとしては、前記化合物(ZI−2)におけるR201〜R203としての直鎖又は分岐のアルキル基及びシクロアルキル基として説明したものと同様である。
は、一般式(ZI)に於けるZと同義である。
【0099】
酸発生剤(B)としての、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【0100】
【化13】

【0101】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar及びArは、各々独立に、置換若しくは無置換のアリール基を表す。
208は、一般式(ZV)と(ZVI)中で各々独立して、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。発生酸の強度を高める点では、R208はフッ素原子により置換されていることが好ましい。
209及びR210は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基又は電子求引性基を表す。R209として好ましくは、置換若しくは無置換のアリール基である。R210として好ましくは、電子求引性基であり、より好ましくはシアノ基、フロロアルキル基である。
Aは、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルケニレン基、又は置換若しくは無置換のアリーレン基を表す。
なお、一般式(ZVI)で表される構造を複数有する化合物も本発明では好ましい。例えば、一般式(ZVI)で表される化合物のR209又はR210のいずれかが、一般式(ZVI)で表されるもう一つの化合物のR209又はR210のいずれかと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0102】
酸発生剤(B)としての、活性光線又は放射線の照射により分解してカルボン酸以外の酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物であり、更に好ましくは(ZI)で表される化合物であり、最も好ましくは(ZI−1)〜(ZI−3)で表される化合物である。
酸発生剤(B)の具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
【0103】
【化14】

【0104】
【化15】

【0105】
【化16】

【0106】
【化17】

【0107】
【化18】

【0108】
酸発生剤(B)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上を組み合わせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
酸発生剤(B)の組成物中の含有量は、レジスト組成物の全固形分を基準として、5〜50質量%が好ましく、より好ましくは8〜40質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
【0109】
〔3〕(C)塩基性化合物
本発明のポジ型レジスト組成物は、塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物は、含窒素有機塩基性化合物であることが好ましい。
使用可能な化合物は特に限定されないが、例えば以下の(1)〜(4)に分類される化合物が好ましく用いられる。
【0110】
(1)下記一般式(BS−1)で表される化合物
【0111】
【化19】

【0112】
一般式(BS−1)中、
Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基(直鎖又は分岐)、シクロアルキル基(単環又は多環)、アリール基、アラルキル基の何れかを表す。但し、三つのRの全てが水素原子とはならない。
Rとしてのアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1〜20、好ましくは1〜12である。
Rとしてのシクロアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常3〜20、好ましくは5〜15である。
Rとしてのアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常6〜20、好ましくは6〜10である。具体的にはフェニル基やナフチル基などが挙げられる。
Rとしてのアラルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常7〜20、好ましくは7〜11である。具体的にはベンジル基等が挙げられる。
Rとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基は、水素原子が置換基により置換されていてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
一般式(BS−1)で表される化合物は、3つのRの1つのみが水素原子、あるいは全てのRが水素原子でないことが好ましい。
【0113】
一般式(BS−1)の化合物の具体例としては、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリイソデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、メチルジオクタデシルアミン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2,4,6−トリ(t−ブチル)アニリンなどが挙げられる。
また、一般式(BS−1)において、少なくとも1つのRが、ヒドロキシル基で置換されたアルキル基である化合物が、好ましい態様の1つとして挙げられる。具体的化合物としては、トリエタノールアミン、N,N−ジヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
【0114】
なお、Rとしてのアルキル基は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、アルキレンオキシ鎖が形成されていてもよい。アルキレンオキシ鎖としては−CHCHO−が好ましい。具体的例としては、トリス(メトキシエトキシエチル)アミンや、米国特許第6040112号明細書のカラム3、60行目以降に例示の化合物などが挙げられる。
【0115】
(2)含窒素複素環構造を有する化合物
複素環構造としては、芳香族性を有していてもいなくてもよい。また、窒素原子を複数有していてもよく、更に、窒素以外のヘテロ原子を含有していてもよい。具体的には、イミダゾール構造を有する化合物(2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールなど)、ピペリジン構造を有する化合物(N−ヒドロキシエチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなど)、ピリジン構造を有する化合物(4−ジメチルアミノピリジンなど)、アンチピリン構造を有する化合物(アンチピリン、ヒドロキシアンチピリンなど)が挙げられる。
また、環構造を2つ以上有する化合物も好適に用いられる。具体的には1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−ウンデカ−7−エンなどが挙げられる。
【0116】
(3)フェノキシ基を有するアミン化合物
フェノキシ基を有するアミン化合物とは、アミン化合物のアルキル基の窒素原子と反対側の末端にフェノキシ基を有するものである。フェノキシ基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシ基、アリールオキシ基等の置換基を有していてもよい。
より好ましくは、フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのアルキレンオキシ鎖を有する化合物である。1分子中のアルキレンオキシ鎖の数は、好ましくは3〜9個、更に好ましくは4〜6個である。アルキレンオキシ鎖の中でも−CHCHO−が好ましい。
具体例としては、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミンや、米国特許出願公開第2007/0224539A1号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)などが挙げられる。
【0117】
(4)アンモニウム塩
アンモニウム塩も適宜用いられる。好ましくはヒドロキシド又はカルボキシレートである。より具体的にはテトラブチルアンモニウムヒドロキシドに代表されるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。これ以外にも上記(1)〜(3)のアミンから誘導されるアンモニウム塩を使用可能である。
【0118】
その他、本願の組成物に使用可能な塩基性化合物として、特開2002−363146号公報の実施例で合成されている化合物、特開2007−298569号公報の段落0108に記載の化合物などが挙げられる。
【0119】
塩基性化合物は、単独であるいは2種以上併用して用いられる。
塩基性化合物の使用量は、組成物の固形分を基準として、通常、0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。
酸発生剤/塩基性化合物のモル比は、2〜300であることが好ましい。即ち、感度、解像度の点からモル比は2以上が好ましく、露光後加熱処理までの経時でのパターンの太りによる解像度の低下抑制の点から300以下が好ましい。このモル比としてより好ましくは3〜200、更に好ましくは4〜150である。
【0120】
〔4〕界面活性剤
本発明の組成物は、更に界面活性剤を含有してもよい。含有する場合、界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が好ましい。
これらに該当する界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックF176、メガファックR08、OMNOVA社製のPF656、PF6320、トロイケミカル(株)製のトロイゾルS−366、住友スリーエム(株)製のフロラードFC430、信越化学工業(株)製のポリシロキサンポリマーKP−341などが挙げられる。
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類などが挙げられる。
【0121】
その他、公知の界面活性剤が適宜使用可能である。使用可能な界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425A1号明細書の[0273]以降に記載の界面活性剤が挙げられる。
【0122】
界面活性剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、ポジ型レジスト組成物の全固形分量(溶剤を除く全量)に対して、好ましくは0〜2質量%、更に好ましくは0.0001〜2質量%、特に好ましくは0.0005〜0.5質量%である。
【0123】
〔5〕レジスト溶剤
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、各成分を溶解するものである限り特に限定されないが、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)など)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;1−メトキシ−2−プロパノール)など)、乳酸アルキルエステル(乳酸エチル、乳酸メチルなど)、環状ラクトン(γ−ブチロラクトンなど、好ましくは炭素数4〜10)、鎖状又は環状のケトン(2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなど、好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、カルボン酸アルキル(酢酸ブチルなどの酢酸アルキルが好ましい)、アルコキシ酢酸アルキル(エトキシプロピオン酸エチル)などが挙げられる。その他使用可能な溶媒として、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425A1号明細書の[0244]以降に記載されている溶剤などが挙げられる。
【0124】
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
【0125】
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、通常1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。
水酸基を有する溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、水酸基を有しない溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートが好ましい。
本発明の組成物全量中における溶媒の使用量は、所望の膜厚等に応じて適宜調整可能であるが、一般的には組成物の全固形分濃度が0.5〜5質量%、好ましくは0.8〜3質量%、より好ましくは0.8〜2質量%、更に好ましくは0.8〜1.5質量%となるように調整される。
【0126】
〔6〕その他添加剤
本発明の組成物は、上記に説明した成分以外にも、カルボン酸オニウム塩、Proceeding of SPIE,2724,355(1996)等に記載の分子量3000以下の溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、酸化防止剤などを適宜含有することができる。
また、露光源としてEUVを用いる場合には、アウトオブバンド光を吸収する添加剤を含有することができる。アウトオブバンド光吸収剤の例としては米国特許出願公開第2006/0223000号に記載の芳香族化合物などが挙げられる。
【実施例】
【0127】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0128】
<合成例1:高分子化合物(R−11)の合成>
ポリヒドロキシスチレン化合物としてのポリ(p−ヒドロキシスチレン)(VP−2500,日本曹達株式会社製)30gをPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)120gに溶解した。この溶液に、ビニルエーテル化合物として2−シクロヘキシルエチルビニルエーテル10.40g及び1.45gの2質量%カンファースルホン酸(PGMEA溶液)を加え、室温で2時間撹拌した。1.05gの10質量%トリエチルアミン(PGMEA溶液)を加え、しばらく撹拌した後、反応液を酢酸エチル165mLの入った分液ロートに移した。この有機層を蒸留水200mLで3回洗浄後、エバポレーターで酢酸エチルを除去した。得られた反応液を2Lのヘキサン中に滴下し、上澄みを除去した。得られた生成物をPGMEA95gに溶解し、減圧条件で低沸点溶媒を除去することで、高分子化合物(R−11)のPGMEA溶液(28.3質量%)が132.3g得られた。
この高分子化合物(R−11)について、H−NMR及び13C−NMRを用いて、各繰り返し単位のモル比を求めた。また、GPC(溶媒:THF)を用いて、ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)及び分散度(Mw/Mn)を求めた。その結果を、下記表1に示す。
表1中、「組成比」の列には、各繰り返し単位のモル比(左から順に対応)を記載している。そして、「Mw」の列には、GPC(溶媒:THF)を用いて測定したポリスチレン換算の質量平均分子量を記載している。また、「分散度」の列には、分散度Mw/Mnを記載している。
【0129】
表1中、高分子化合物(R−8)、(R−10)、(R−17)はアセタール化剤が異なる以外は、上記高分子化合物(R−11)の合成例と同様の方法により合成した。
高分子化合物(R−12)は、p−アセトキシスチレンとシクロヘキシルアクリレートを用い、既知のラジカル重合方法により高分子化合物(R−12)の前駆体を合成した後、アセタール化剤が異なる以外は上記高分子化合物(R−11)と同様の操作によりアセタール保護基を導入して合成した。
Polymer−X1は、p−アセトキシスチレンとt−ブチルメタクリレートを用い、既知のラジカル重合方法により合成した。
【0130】
【表1】

【0131】
[組成物1〜10]
下記表2に示す各成分を、同表に示す溶剤に溶解させた。これを0.1μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターを用いてろ過した。
【0132】
【表2】

【0133】
以下に、表2中に略記した各成分の詳細を示す。
【0134】
<(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(酸発生剤)>
【0135】
【化20】

【0136】
<(C)塩基性化合物>
TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
DBN:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
TDA:トリ−n−デシルアミン
【0137】
<界面活性剤>
W−1:メガファックF176(DIC(株)製)
W−2:PF6320(OMNOVA社製)
【0138】
<溶剤>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
EL:乳酸エチル
【0139】
<EB露光評価1:実施例1〜15、比較例1〜6>
表2に記載の組成物1〜10を用い、以下の操作により、レジストパターンを形成した。レジストパターン形成条件の詳細は表3に示す。
【0140】
〔レジスト塗布〕
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコータを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、120℃で90秒間、加熱乾燥を行った。なお、表3に記載の塗布膜厚は該加熱乾燥後の膜厚である。
【0141】
〔露光〕
レジスト膜に対して、電子線照射装置((株)JEOL製 JBX6000;加速電圧50keV)を用いて、2.5nm刻みで線幅20nm〜30nmのラインパターン(長さ方向0.5mm、描画本数40本)を、照射量を変えて露光した。
【0142】
〔ポストエクスポージャーベーク〕
照射後ただちに、110℃で90秒間、ホットプレート上にて加熱した。
【0143】
〔現像〕
1.シャワー現像
シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を用いて、50回転(rpm)でウエハーを回転しながら表3に記載のアルカリ現像液(23℃)を、200mL/minの流量で、表3に記載の時間スプレー吐出して現像を行った。
その後、50回転(rpm)でウエハーを回転しながらリンス液(23℃)として純水を用い、200mL/minの流量で、30秒間スプレー吐出してリンス処理を行った。
最後に、2500回転(rpm)で60秒間高速回転してウエハーを乾燥させた。
【0144】
2.パドル現像
シャワー型現像装置(ACTES(株)製ADE3000S)を用いて、50回転(rpm)でウエハーを回転しながら表3に記載のアルカリ現像液(23℃)を、200mL/minの流量で、5秒間スプレー吐出して、ウエハー上に現像液を液盛りした。ついで、ウエハーの回転を止め、表3に記載の時間ウエハーを静置して現像を行った。
その後、50回転(rpm)でウエハーを回転しながらリンス液(23℃)として純水を用い、200mL/minの流量で、30秒間スプレー吐出してリンス処理を行った。
【0145】
表3に記載のアルカリ現像時間は、以下に記載の方法により決定した。
上記表2に記載の組成物成分の内、高分子化合物をアセタール保護前の高分子化合物に変更した組成物を準備した。比較例6については、t−ブチルメタクリレートの代わりにメタクリル酸を用いて高分子化合物を合成した。
ついで、スピンコータを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、ホットプレートを用いて上記と同様の条件で加熱乾燥して、組成物を塗設したウエハーを準備した。
ついで、表3に記載の各条件で上記ウエハーを現像し、現像完了後にウエハーの膜厚を測定した。レジストが残存している場合を×、レジストが残存していない場合を〇として、各濃度のアルカリ現像液を用いた場合に必要な現像時間を決定した。参考例として、実施例2に記載の現像時間を決定した結果を表4に示す。
なお表3中、その他添加剤の欄に記載される添加量は、アルカリ現像液の全質量に対する質量%で表記した値である。また以下の表中、TMAHはテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液を意味し、サーフィノール440はサーフィノール440(日信化学工業(株))を意味する。
【0146】
【表3】

【0147】
【表4】

【0148】
以下の項目について、レジストパターンの評価を行った。結果の詳細は表5に示す。
【0149】
〔感度〕
得られたパターンを、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて観察した。30nmの線幅において、ラインとスペースの比率が1:1で分離解像する照射エネルギーを感度(μC/cm)とした。
【0150】
〔解像力〕
ラインとスペースの比率が1:1で分離解像する最小の線幅を解像力(nm)とした。
【0151】
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
線幅30nmのラインパターンの長さ方向1μmにおける任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いてエッジがあるべき基準線からの距離を測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。この値が小さい程、ラインエッジラフネスが良好である。
【0152】
〔形状〕
上記の感度を示す照射量における線幅30nmのパターンの形状を、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4800)を用いて観察し、矩形に近いものを〇とし、それ以外は程度に応じて、△、×と記載し、形状に関するコメントを併記した。
【0153】
【表5】

【0154】
表5に示す結果から、本発明に係るレジストパターン形成方法は、高感度、高い解像力、小さいラインエッジラフネス(LER)、及び、優れたパターン形状を同時に満足できることが分かる。
【0155】
<EB露光評価2:実施例16〜18>
調製したポジ型レジスト溶液を、酸化Cr膜を蒸着した6インチウェハーに塗布した以外は、上記EB露光評価1と同様の操作によりレジストパターンを形成、評価した。パターン形成条件及びパターン評価結果を表6及び表7に示す。
【0156】
【表6】

【0157】
【表7】

【0158】
表7に示す結果から、本発明に係るレジストパターン形成方法は、ナノインプリント用モールドやフォトマスクの製造にも適用可能であることが分かる。
【0159】
<EUV露光評価1:実施例19〜21>
EUV光(波長13nm)を用いて、線幅30nmの1:1ラインアンドスペースのマスクパターンを用いて露光を行った以外は、上記EB露光評価1と同様の操作によりレジストパターンを形成し、解像力以外の同様の評価をした。パターン形成条件及びパターン評価結果を表8及び表9に示す。
【0160】
【表8】

【0161】
【表9】

【0162】
表9に示す結果から、本発明に係るレジストパターン形成方法は、EUV光(波長13nm)を用いた場合においても、高感度、小さいラインエッジラフネス(LER)、及び、優れたパターン形状を同時に満足できることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)基板上に、ポジ型レジスト組成物を用いて膜を形成する工程、
(2)該膜を露光する工程、及び
(4)露光後にアルカリ現像液を用いて現像する工程
をこの順番で有する、レジストパターンの形成方法において、
前記ポジ型レジスト組成物が、(A)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を含有し、
前記工程(1)で形成された膜の膜厚が15nm〜40nmであり、かつ、
前記アルカリ現像液中のアルカリ成分の濃度が0.5質量%〜1.1質量%である、レジストパターン形成方法。
【化1】

一般式(I)中、R01、R02及びR03は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。R03はArと結合して5員又は6員環を形成していてもよく、その場合のR03はアルキレン基を表わす。
Arは、(n+1)価の芳香環基を表し、R03と結合して環を形成する場合には(n+2)価の芳香環基を表す。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
【請求項2】
前記現像工程(4)において、実質的に新鮮なアルカリ現像液を連続的に供給して現像する、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項3】
前記現像工程(4)で用いられるアルカリ現像液が、テトラメチルアンモニウムハイドロキシドを含む水溶液である、請求項1又は2に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項4】
前記露光工程(2)と前記現像工程(4)との間に、ベーク工程(3)を更に有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項5】
前記露光工程(2)における露光が、電子線又はEUV光により行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項6】
前記膜形成工程(1)で用いられるポジ型レジスト組成物が、更に、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(C)塩基性化合物を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により形成される、レジストパターン。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法に用いられる、ポジ型レジスト組成物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により製造される、ナノインプリント用モールド。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレジストパターン形成方法により製造される、フォトマスク。

【公開番号】特開2013−44809(P2013−44809A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180894(P2011−180894)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】