説明

レニン−アンジオテンシン系の阻害剤の使用

【課題】レニン−アンジオテンシン系の阻害剤の使用。
【解決手段】レニン−アンジオテンシン系の阻害剤が、低酸素症または損なわれた代謝機能もしくは効率と関連した疾患の治療または予防に有用であることが判明した。特に、それは、発作またはその再発の治療、心筋梗塞の急性治療および消耗または悪液質の治療または予防と関連して用いることができ、かくして、老化の症状および徴候の治療に有用である。また、それは健康な対象における機能を増強するために用いることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レニン−アンジオテンシン系の阻害剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
消耗(wasting)病は、全身消耗病および局所的消耗病に類別される。全身消耗をまず扱うために、多くの疾患過程は、十分な栄養素およびエネルギー源を消費するための無力を通して、(全てまたは細胞問題の様式においてのいずれかの)身体からのそれらの損失を通して、またはそれらを吸収するための無力のいずれかを通しての侵略的な全身の体重損失に導き得る。他の疾患は、栄養吸収のいずれかの低下または栄養素の損失の増大の割合の全く外れた著明な体重損失と関係する。かかる体重損失は、代謝起源を有し得る。重篤な心疾患ならびに心臓、肝臓および悪性の疾患過程は、かかる不適当な体重損失と関係する。パーキンソン病および症候群のごときいくつかの神経疾患は、重篤な敗血症または敗血性ショックおよび自己免疫もしくは結合組織疾患のごとき炎症過程と関連した疾患であるので、同様に関連する。この体重損失は、よくても無力にでき、最悪では致死率の増大と関連する。現在の処置および予防戦略は栄養素援助に大きく集中する。
【0003】
局所的消耗において、(例えば、骨格筋または神経損傷のための)、いずれの所与の筋肉群の疾患も影響した区域において消耗に導き得る。現在、かかる消耗を遅らせたり、制限するために日常的に用いられる、または適当な運動または初期の疾患状態の停止後かかる消耗の反転を促進するために示された、いずれの利用可能な治療法もない。
【0004】
訓練可能性および適合の促進のための現在の戦略は、トレーニングパターンにおける変更に主として集中する。さらに最近では、栄養素補足は、炭水化物、脂肪、ビタミンおよびアミノ酸の取り込みの尺度および性質の操作を用いて示唆されている。クレアチニン誘導体のごとき他の基質の添加も用いられている。大部分のかかる介入は、現在証明されていないか、全くまたはわずかな適度の作用を有することが示されている。内分泌学的介入は、アンドロゲンおよび他のステロイドホルモンの使用を含めて試みられた。また、インスリンまたは成長ホルモンの使用は、役割を有し得る。しかしながら、これらの処置は、容認できない副作用プロフィールと関連し、非経口投与(通常、筋肉内注射によって)されなければならない不利でも苦しむ。薬理学的操作は、現在利用可能ではない。
【0005】
心血管および他の器官の機能を改良する可能性は、「事前調整」の現象との関連において知られている。短期間の低下した血流または酸素供給に対する器官−最も顕著な心臓−の曝露は、他方細胞または器官自体の死滅を証明できる第二のより重篤な同様な事象に対する保護を提供することが示されている。多数の研究者は、現在、この過程に類似した薬理学的薬剤を同定するための努力を試みている。日常的な臨床的な実施については、利用可能なものものはない。
【0006】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)およびその成分は、以下に述べる。略言すると、腎臓の傍糸球体装置の細胞は、アルファ−2 グロブリンアンジオテンシノーゲンに対して作用するアスパラギン酸プロテアーゼのレニンを生じて、アンジオテンシンI(AI)を生成する。この非昇圧のデカペプチドは、ペプチド性ペプチダーゼアンジオテンシン変換酵素(ACE)との接触によってアンジオテンシンII(AT II)に変換される((I)において概説)。AT IIはアルドステロンの遊離を刺激し、強力な血管収縮物質でもある。従って、レニン−アンジオテンシン系は、血圧ならびに塩および水代謝の調節の維持およびコントロールにおいて重要である。また、レニン、アンジオテンシノーゲンおよびACEは、アンジオテンシノーゲンのごときこの系の成分についてのmRNAを有する(3−5)ために、心臓および血管を含めた心血管組織において同定されている(2)。アンジオテンシンIIについての受容体は、血管平滑筋細胞において判明した(6)。従って、組織内で、RASは、局所的パラクリン機能を有し((7,8)に概説)、異なる成分の発現はナトリウム制限のごとき異常生理学的刺激によって変更できる(5)。速度論的研究は、循環しているアンジオテンシンIおよびIIの多数が腎臓および非腎臓組織から共に誘導されることを示唆する(9−11)。
【0007】
ACEは、カルボキシル末端His−Leuジペプチドからジペプチドの加水分解切断を通して不活性のデカペプチドATIの、活性のオクタペプチドAT IIへの変換を触媒する亜鉛メタロプロテアーゼである。また、それは2つの連続したジペプチドの加水分解段階によってブラジキニン(強力な血管拡張物質)の不活性化を触媒し;この意味では、ACEはキニナーゼIIとしても知られる。
【0008】
(バッタおよび軟骨魚類のごとき)多くの動物種におけるレニン−アンジオテンシン系(RAS)成分の存在は、通常の循環RASのものよりいくつかの他の役割を有するにちがいないことを示唆する。この機能は、何百万年にわたって系統発生的に対話されてきたために基本的でかつ重要であるにちがいない。事実、完全なレニン−アンジオテンシン系は、多くのヒト(および動物)組織内に存在すると今や考えられ:これらの組織内のRAS成分の生理学的に敏感な遺伝子発現、AT IIの局所生成、AT II受容体の存在およびこれらの受容体が生理学的に活性であることの証明が全て示された。かくして、アンジオテンシノーゲン・メッセンジャーRNA(mRNA)が腎臓、神経および血管組織中で同定され、局所合成は、間質液中のその濃度に強力に影響できる(10)。レニンmRNA(12)および産物(13)を培養した哺乳動物の血管平滑筋細胞中で血管壁(13)を通して、およびラット回腸、脳、副腎、脾臓、肺、胸腺および卵巣において見出される。肝臓のレニン遺伝子発現は、ナトリウム欠乏またはカプトプリル投与によって3倍に増大し、生理学的に敏感である(14)。
【0009】
また、非レニンアンジオテンシノーゲナーゼは、組織中に存在できる。レニン様活性を持つ天然のアスパラギン酸プロテアーゼは、イヌの脳において証明された(15、16)。いくつか(例えば、トニン、エラスターゼ、カテプシンGおよび組織プラスミノーゲン活性体)は、アンジオテンシノーゲンから直接にAT IIを切断できる(16)。
【0010】
ACE発現は、血管内皮において高レニンにて生じ、小腸上皮、精巣上体(17)および脳(15)においても生じる。組織特異的/年齢関連のACE遺伝子転写は、(非常に高い近位尿細管上皮の発現がある)腎組織、および心血管組織、肝組織もしくは肺組織において生じる(18)。
【0011】
かかる局所系は、天然においてパラクリンであり得る:AT IIについての受容体は、古典的には細胞表面上に存在するごとく記載され、内分泌およびパラクリンのAT IIの効果の変換を可能とする。しかしながら、真のオートクリン系(細胞内産生および作用)も存在する。また、AT II受容体は、細胞核に存在する。AT IIについての特異的結合部位は、遺伝子転写を調節できる細胞内クロマチン上に存在する(19,20)。
【0012】
RAS活性を阻害する多くの顕著なまたは研究段階の薬剤があり、それらの多くは、2つの広範なクラスに分類される:承認された名称が一般的に「−プリル」または活性代謝物の場合に「−プリアート」で終わるアンジオテンシン変換酵素の阻害剤、および承認された名称が一般的に「−サルタン」で終わるアンジオテンシン受容体(より詳細には、現在、AT受容体)での拮抗剤。また、中性エンドペプチダーゼ阻害剤として知られる薬物のクラスが潜在的に重要性を増大させてきており、それらのいくつかは、ACE阻害効果またはRAS活性を低下させる能力も有しているであろう。
【0013】
Brinkら(21)は、アンジオテンシンIIが血圧に対するその効果に独立である(in vivo実験作業にて)ラットにおける代謝効果を有し得ることを示唆した。
【0014】
アンジオテンシノーゲン遺伝子発現は、それらの等価な除脂肪種と比較した場合に肥満ラットにおいて脂肪組織において別々に調節されるという証拠がある(22)。
【0015】
ACE阻害剤は、高作業負荷にてウサギの後肢酸素消費を増大させが、低作業負荷では増大させない(23)。
【0016】
ACE阻害剤(ACEI)は、比較的インスリン耐性を示す肥満ラット種の骨格筋へのインスリンインスリン依存性グルコース取込みを増大させ、これはキニン依存性であり得る(25)。グルコース・トランスポーターレベルは、糖尿病のラット心臓におけるAT受容体拮抗によって持続されるので、この試験において上昇した(26)。AT IIは、ラット後肢O使用量および痙攣張力を増大する(27)。この論文は、その効果が血流または神経伝達物質に対する影響のためであり得て、直接的な代謝作用のためではないと結論している。
【0017】
イヌの心不全において、疲労耐性繊維は、ACE阻害剤治療によって維持される(28)。ラットにおいて、毛細管密度は維持され、コラーゲン容積は低下した(29、30)。
【0018】
(ACEのごとき)キニナーゼは、ヒト骨格筋の細胞膜に存在することが示された(31)。かくして、骨格筋RASは存在できる(32)。
【0019】
in vivoにおいて、ACE阻害剤は、心筋酸素利用量において増大を生じさせる。これが、増大したまたは低下した効率のためかどうかは不明である(33)。この作業は、心筋筋肉抽出物に関する。この効果は、キニン崩壊を低下させるためであり得、アンジオテンシンIIがキニン遊離を調節できる(および増大できる)という事実にもかかわらず、かくしてキニンレベルを増大させる(34)。
【0020】
他の刊行物は、筋肉パーフォーマンスまたは代謝に対するACE阻害剤のまたはアンジオテンシンIIの効果を示唆するが、それらの全てがその効果が栄養物の血流における変更によって媒介されると結論した(35、36)。
【0021】
ヒト前腕において、RASの直接的効果またはパーフォーマンスに対する効果が再度詳述されなかったが、キニンは血流およびグルコース取り込みを増大させる(37)。
【0022】
ロサルタン(AT拮抗薬)は、ヒト骨格筋においてインスリン感受性を改善する(38)。
【0023】
他の刊行物は、ACE阻害の有益な効果、とりわけ筋肉エネルギーバランスにおける心不全のそれらを示唆しない(39)。ACE阻害は、自転車作業計に対する20名の生徒の了解済みの、作業または最大作業能力を変更しなかった(40)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Kem & Brown, N. Eng. J. Med. 323(16) 1136-1137 (1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、レニン−アンジオテンシン系の阻害剤の使用にある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
レニン−アンジオテンシン系が細胞内代謝効率の調節において、心筋および骨格筋のごとき組織系の機械的効率において、および心筋および骨格筋の成長の調節において影響を与えることが現在判明した。この観察は、代謝効率を増強し、組織の機械的パーフォーマンスを増強するように、この系の活性を下方調節する可能性に導く(かくして、基質アンジオテンシンIIの作用を低下させ、キニンの活性を増大させる)。かかる増強は、(重篤な炎症疾患、重篤な心不全および悪性状態を含めた)消耗を含めた疾患の管理を、低下した酸素供給の期間から組織に対する相対的保護を与える能力を、ならびにヒトおよび動物の身体的パーフォーマンスを増強する能力を改善するのを可能とする。まとめると、本発明は、RAS阻害剤の先の未知なる効果、すなわち、代謝機能または効率の促進についての発見に基づく。
【0027】
代謝機能または効率における改善は、要求に関係する低酸素供給の存在下での細胞内機能および生存の改善、ヒト骨格筋および心筋の機械的パーフォーマンスの増強;および/または栄養状態の増強のとして見られる。
【0028】
従って、本発明は:
a. 悪性疾患、急性および慢性敗血症、慢性肝疾患、最終段階の腎疾患、AIDSおよび自己免疫疾患ならびに心疾患における悪液質のごとき消耗疾患の治療および予防;
b. 心血管適合、ヒト身体パーフォーマンス、および身体耐久性ならびに身体的トレーニングに対するこれらのパラメーターの能力の改善、ならびにこれらのパラメーターを持続するのを助けること(これは、心筋形成外科のごとき特殊な治療目的のために個々の身体的トレーニング、ならびに筋肉のトレーニングに適用する);および/または
c. 筋肉および脂肪含量を変更することによって、運動に関連した体組成および/または形態における変更に影響すること
において適用を見出す。
【0029】
これらの領域には新しい方法論の要求がある。この要求は特にヒトに適用するが、ここに、他の哺乳動物の治療に適当に適用もできる。
【0030】
特に、本発明は、低毒性および副作用プロフィールを持つ有効な薬剤の利用可能性を利用し、それは、ヒト身体パーフォーマンスの操作を可能するために腸溶的にまたは非経口的に投与できる。これは、4つの主領域に分類できる。
a. 改善されたスポーツ勇敢、損傷後の機能回復およびパーフォーマンスを含めたスポーツ適用。
b. 増強した身体的パーフォーマンスが最高であり得る、例えば、軍兵員、消防士および警官隊によって遭遇したものである軍および社会的状態、
c. 高所にてのごとく酸素供給が減少する環境における、および低酸素送達に関連した疾患状態におけるパーフォーマンスの増強、
d. 機械的換気の延長期間後の呼吸筋トレーニングおよび呼吸筋機能の回復の増強、かくして集中治療ユニットの機械的換気からの消耗を援助する。
【0031】
また、心血管および心肺適合は、心血管理由からの致死率および罹患率における低下に関連する。
【0032】
かかる事象(例えば、発作または心臓発作のリスクでのもの、冠動脈血管形成または心肺バイパスのごとき低酸素送達に関連した手順を行うことについてのもの)のリスクにて個人に適用される場合の事前調整と関連して見られるタイプの臨床的事象の事象における組織損傷(例えば、脳または心臓)を限定するために本発明により薬剤が用いられる。また、この効果は細胞および組織に対する保護を提供し、リスクにあるまたは罹患しているものにおいて生存の最後に、(組織特異的よりむしろ)全体的な低酸素送達に曝露する。かかる個人は、(脳および心臓を含めた器官が改善されるであろう機能、それによってそれらへの損傷を予防できる)高い高度にての登山者、および重篤な循環不全を有するものを含むであろう。利益も得ることができる重篤な低酸素血症の他のものは、または根深い低酸素症に関連する重篤な肺疾患または循環撹乱を持つものを含む。かかる状態は、肺炎のごとき感染症、成人呼吸困難症候群、肺塞栓疾患、肺線維症、アイゼンメンゲル症候群および心臓左右シャントを含む。
【0033】
組織の代謝効率ならびに組織機能の機械効率(およびゆえに身体の代謝要求)を変更することは、体脂肪利用における変更へ導くだろう。さらに、また、筋肉機械的効率の操作は筋肉成長を変更できる。このように、代謝効率を改善することは、運動トレーニング期間に、変更した食事摂取に身体の形態の応答を変更できる。また、かかる改善は、筋肉に対する直接的栄養作用を有し得る系を修飾し、従って、第二の機構によって骨格筋成長を変更できる。また、代謝効率における改善は、重篤な運動または圧力負担に対する応答における心臓成長を制限する。
【0034】
本発明の意味内における注目すべき特定の領域は、グローバルな虚血症、腎臓および腸管虚血症、発作、不規則性アンギナ、安定性アンギナ、心筋梗塞(発生直後)、末梢血管疾患、脳性麻痺、(低酸素血症と関連できる)呼吸困難症候群を含めた慢性または急性呼吸器疾患、腸管肺疾患、低酸素血症、肺性心、肺および全身循環間のシャントを含めた疾患、バイタル器官の低潅流に由来する疾患、心停止、髄膜炎菌敗血症を含めた敗血症、鎌状赤血球貧血、CO中毒ならびに水死からの蘇生の効果の治療または予防である。注目すべきかつ価値ある使用は、母親に投与し、それによって脳損傷を受けるべき子供の機会を潜在的に低下させることによる出産中の低酸素症の予防であり;これは、出産が困難であろうと予想されるならば特に意味がある。
【0035】
以下に示した証拠は、ミトコンドリア機能に対するRAS阻害剤の効果が本明細書中の示した理論と一致することを示す。また、それは心臓問題におけるかかる薬剤の利用を説明するが、例えば、脳、肝臓、腎臓などにおける、および骨格筋における非心臓の使用に対してそれらの利用の範囲を広げる。細胞は、低下した酸素利用可能性の条件下にて有効に機能でき、および/または酸素のより効率的に利用できる。かくして、発作またはその再発の治療または予防に関して、血餅または出血の周囲の酸素欠乏の細胞の周縁部は、より効率的に機能できる。発作は、血栓性または出血性で、起源において脳血管性または偶発的であり得る。さらに、RAS阻害剤は、移植器官の輸送または生存において有益であり得る。
【0036】
本発明は、有害疾患の治療および予防における一般的な治療に有用性を有する。かかる疾患に関連した症状、例えば消耗を治療することにおいてそれは有用性を有する。また、それは、対象が健康な、すなわち、いずれの特定の有害疾患に関係ないと通常見なされるパーフォーマンスを増強することにおいて有用性を有する。注目すべき一つの特定の領域は、老化であり、すなわち、対象が病気であるまたはなくてもよく、ここに、本発明の使用が対象の幸福に積極的に影響できる。
【0037】
RASの阻害剤は、上昇した血圧を有する対象に与えられ、これが本発明と関連した効果を提供し得ることでもよい。本発明の態様は、対象が正常血圧を有する場合にかかる薬剤が有用であり、その効果が血圧に対するいずれの効果にも独立する認識である。本発明は、血圧における不適当な低下が生じずまたは問題でもないところに価値がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、1μMリシノプリルでの36時間の心筋細胞の前処理は、約30%のRh123蛍光の増加を生じさせ、それは、ACE阻害剤がΔΨにおいて増大を誘導したことを示す。
【図2】図2は、1μMリシノプリルでの種々の長さの時間のラット心筋細胞の処理は、緑色蛍光(○)における対応する減少を伴って、赤色蛍光(●)における漸進性の増加を引き起こすことを示す。
【図3】図3は、(左から右への)AIDS性悪液質、癌性悪液質、心臓性悪液質、特発性悪液質、肝硬変性悪液質、栄養不良性悪液質および非悪液質性心不全に関するアンジオテンシンII血漿中レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、いずれのRASに作用するためにも利用できる。とりわけ組織において、局所組織レニン−アンジオテンシン系は、脳、血管壁、心臓、腸、肝臓および腎臓において示唆されている。
上記のRASの種々の成分は記載されたが、その系は種々の点で阻害できることが明らかである。原則として、いずれの適当な点でRAS系を阻害するための生物学的利用性があり活性であるいずれの十分に非毒性の化合物も本発明において用いることができる。この発明は、(単独または各々および/または他のクラスの薬理学的薬剤と組み合せて)すべてのかかる薬剤、およびRAS活性を阻害する活性薬剤にin vivoにて変換されるプロドラッグの投与も考えている。RAS阻害は、全体的な阻害が必要ではなく;むしろ、本発明において有益であるように十分な阻害が必要とされる全ててあることに注意願いたい。実際問題として、本発明の実施において、市販または抗高血圧効果についての研究下のいずれかにあるいずれの公知のRAS阻害剤を用いることも好ましい。
【0040】
レニン−アンジオテンシン系の多くの阻害剤は、英国においてヒトにおける使用のためにライセンスされるか研究下にあり、本発明の実施において使用が好ましい化合物である。それらは、ACE阻害剤キナプリル(Quinapril)、カプトプリル、リシノプリル(Lisinopril)、ペリンドプリル(Perindopril)、トランドプリル(Trandopril)、エナラプリル、モエキシプリル(Moexipril)、フォシノプリル(Fosinopril)、ラミプリル(Ramipril)、シラザプリル、イミダプリル、スピラプリル、テモカプリル(Temocaopril)、ベナゼプリル、アラセプリル、セロナプリル(Ceronapril)、シラザプリル、デラプリル、エナラプリラートおよびモベルチプリル(Moveltipril)を含む。適当なアンジオテンシンII阻害剤は、ロサルタン(Losartan)、バルサルタン(Valsartan)、イルベサルタン(Irbesartan)、カンデサルタン(Candesartan)、エプロサルタン(Eprosartan)、タソサルタン(Tasosartan)およびテルミサルタン(Telmisartan)を含む。
【0041】
リストされた特定の化合物は、それらの遊離形態、例えば、その場合が可能であるように遊離酸または遊離塩基として本発明により有用であり、それらは、酸付加塩、エステル、N−オキシドまたは適当な他の誘導体として有用である。(それら自体が活性または不活性か否かの)適当なプロドラッグの使用およびRAS阻害剤の活性代謝物の使用も本発明の範囲である。例えば、アラセプリルは、カプトプリルについてのプロドラッグであり、エナラプリラートは、エナラプリルの活性代謝物である。
【0042】
ACE阻害剤およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬は、本発明においての使用に適当な、現在最も広範囲に開発されたクラスの薬物であるが、本発明はそれらの使用に限定されるものではない。RAS系の他の阻害剤は、レニン阻害剤および中性エンドペプチダーゼ阻害剤を含む:ACE阻害剤は、AT II形成における低下およびキニン代謝物における低下のいずれを通しても働く。また、他の薬剤は、キニン分解を阻害でき、同様の有益な効果を有する。これらのクラスの薬物は、中性エンドペプチダーゼの阻害剤を含み、それらのうちいくつかはACE阻害特性も含む。かくして、本発明は、キニナーゼ阻害剤および(ブラジキニンのごとき)キニン受容体拮抗剤の使用を考えている。
【0043】
多くの環境において、それらの全身的効果(例えば、血圧低下、心臓前負荷または後負荷の低下および血管拡張)および他の連合した効果(例えば、心室リモデリング)を持つRASに対するかかる拮抗剤の組織/代謝効果の組合せが価値が有り得る。かかる環境は、高血圧、末梢血管疾患、心不全または心肥大の患者の治療で有り得る。
【0044】
正常血圧の対象において、または(他の薬物の効果を通して、天然の表現型または敗血症または敗血性ショックのごとき疾患状態を通しての)低血圧の個人において、RAS拮抗剤のいずれかのさらなる血圧低下または他の全身作用は、不運かもしれない。かかる環境下にて、脂肪親和性のまたは高度に脂肪親和性薬剤の使用は、全身的血圧に対する効果なくして達成すべき組織RAS阻害を可能とするのに有利さがある。動物において成し得るものを多くの群によって示した。実際、高血圧動物モデルにおいてさえ、ラットに投与された5μg/kg/日のラミプリルは、心収縮期血圧に対して効果はなかった。非常に低い用量の脂肪親和性のACE阻害剤を用いたこの技術は、ヒトに適用もされ:低用量のラミプリルは、全身血圧に対するいずれの記録的な効果なくして、かなりの生物学的効果を生じることができた(41)。
【0045】
本発明は、実質的に非脂肪親和性の、またはわずかに中程度の脂肪親和性である化合物の使用を考えているが、それは適当な派生物によってのごとき化学的、または脂肪親和性の担体またはデリバリーシステムを持つ製剤によってのごとき物理的のいずれかのより脂肪親和性にさせた。
【0046】
上記の活性を有する化合物は、本発明により、代謝機能または効率、すなわち、改善された生物学的および機械的機能を促進するのに有用である。これは、(上記の)様々な機構を通して達成でき、それは:
・ 血液供給の改善(およびゆえに基質の供給)
・ (例えば、グルコースまたは酸素の)基質の取り込みの増加;および/または
・ これらの基質の使用における細胞内効率の改善(例えば、酸素または代謝基質の使用についての同一機構または生化学的作業を達成すること)
を含んでいてもよい。
【0047】
最初の2つの例は、改善された代謝機能と見なされ、第三は、改善された代謝効率と見なされる。
【0048】
特に、本発明が、現在、まだ対処されていない要求がある上記に議論されたことに関して、これらの疾患を治療する、およびこれらの疾患に取り組むのに有用であろうと考えられる。これらは、消耗を治療し、訓練可能性および適合を促進し、体組成および/または形態を変更することを含む。一般的に言えば、RAS阻害剤は、許容を除くいずれの用量にて投与でき、至適用量および方法は本質的に都合のよい試みの作業によって不適当な困難性なくして確立されるが、本発明の範囲内の種々の疾患についての適当な用量および方法は、臨床医また内科医のコントロールないであろう。一般的に、本発明において有用な化合物は、経口的治療(口による)または腸的治療(鼻腔胃、鼻腔腸または他の腸の食事チューブを通しての投与)、ならびに例えば、非経口的栄養素のバックへの化合物の添加による静脈内のごとき非経口的に与えることもできる。
【0049】
全身消耗: 重篤な心臓、腎臓、肝臓および悪性疾患、呼吸器疾患、AIDSを含めた多くの疾患過程、および重篤な敗血症(敗血性ショック)および自己免疫および結合組織疾患のごとき慢性または急性炎症過程は、代謝機構を通して全身の体重損失に導く。本発明は、上記のRAS阻害剤でかかる疾患の予防または治療を可能とする。低用量のかかる薬剤(例えば、≦25mgのラミプリル)が有効であると予想する。原則的として、しかしながら、心不全の治療に用いられたものと同様な戦略は、いわゆる、最大許容までの用量において定常的増加を最も用いられるらしい。治療における主要な制限因子:
a. もう一つの薬剤または薬剤のクラスの切替えは可能かも知れないが、ACE阻害剤で治療された個人における咳きの発生;および/または
b. 血圧におけるかなりの低下。2.5mgのラミプリル(または他の薬剤に等しい)の用量にて、初回用量の低下血圧は急性心筋梗塞の治療の試みにおけるプラセボで見られるような同一頻度で発生し、多くのこの腫類の用量において安全であろうことを示唆する。
【0050】
危機的に血管拡張した患者についての適当な用量(敗血性ショックを持つもののごとく)は、当業者に知られた以下の適当なプロトコールおよび/または個々の患者への力価調節によって確立されるであろう。
【0051】
局所的消耗: RAS阻害剤の用量は、心不全または高血圧を治療するのに用いる各薬剤の公開された範囲においてのごとく、最大許容用量で有り得る。(1.25mgのライプリルのごとき)低用量は、上記に記載したごとく、いずれのかなりの血圧降下作用なくしての利益を可能とする。
【0052】
事前調整: 適当な予防戦略は、器官虚血のリスクのもの(例えば、心筋梗塞または発作のかなりのリスクを有するもの)に記載した薬剤の通常用量を与えることを含む。また、公知の貧しい心臓、骨格筋(跛行のもの)または大脳の流れを有するものは、血管移植が考えられる時まで、代謝効率の増強を通して、および危機的な虚血細胞に細胞内保護を提供することを通して治療から利益を得る。薬剤の用量は、心不全または高血圧症を治療するのに用いた各薬剤についての公表された範囲においてのように最大許容用量にて分類される。(1.25mgのラミプリルのごとき)低用量は、上記のごとくいずれのかなりの血圧降下作用なくして利益を得ることが可能である。虚血事象のごときにまさに罹ったものに、または血管形成外科または心臓バイパスのごとき虚血に導く手順を受けたものに保護を提供するために非経口製剤を用いることもできる。
【0053】
訓練可能性および適合の促進: RAS阻害剤の用量は、心不全または高血圧症を治療するのに用いた各薬剤についての公表された範囲においてのように最大許容用量にて与えることができる。(1.25mgのラミプリルのごとき)低用量は、上記のごとくいずれのかなりの血圧降下作用なくして利益を得ることが可能である。末梢血管疾患を持つものへのRAS阻害剤の投与は、本明細書で考えられた機構との組合せを通して、運動耐久性および可能な手足の生存力を改善することが期待できる。
【0054】
体組成および/または形態における変更: RAS阻害剤の用量は、心不全または高血圧症を治療するのに用いた各薬剤についての公表された範囲においてのように最大許容用量にて与えることができる。(1.25mgのラミプリルのごとき)低用量は、上記のごとくいずれのかなりの血圧降下作用なくして利益を得ることが可能である。
【0055】
製剤および投与が関係する限りは、本発明において有用な種々の薬物は、現在存在するのと同一の製剤において投与できる。新しい製剤は、低用量のラミプリルまたは局所組織送達または静脈内または動脈内投与について記載されたのと同一方法において、かなりの全身的血圧降下作用なくして優れた組織効果を発揮するごとができる明確な意図で開発できる。現在、大部分のこれらの薬剤の経口投与に対する強調がある。しかしながら、全身的非経口投与を可能とする製剤は、危機的な病気または上記の血管閉塞または低血流速度に導く介入を受けるものを治療する能力を増強する。さらに、新しい製剤(例えば、既に言及した局所送達)は利用可能となり得る。
【0056】
活性薬剤の投与は、いずれの適当な経路によってもよい。ACE阻害剤に都合よいのは特に予防または防止効果を達成する目的のために少なくとも経口投与が好ましい。ある種の環境において、特に、よりすばやい降下が必要な場合に、静脈内投与が好ましい:例えば、梗塞をまさに経験した対象は、改造の目的のためにではなく、局所酸素要求を緩和するために、活性薬剤を静脈内的に与えられ、それによって治療を促進する。静脈内投与用の適当な製剤は、当業者に明らかであろう。
【0057】
上記の議論において、指示用量は、至適用量が経験的におよび/または臨床的に確立されるように、実施例の方法でのみ与えられた。本発明による有用な用量は、以下の至適な抗高血圧用量以下であることに注意すべきである。
【0058】
また、最適な投薬頻度および治療期間は、実験的におよび/または臨床的に確立できる。再度、例の方法により、経口ラミプリルは適当な期間にわたって毎日1回与えられる。本発明において有用な他の化合物についての投与頻度は変更され、とりわけ、質問の化合物の薬物動態学に依存するであろう。
【0059】
本発明は、代謝機能または効率を促進する方法について準備を可能とし、該方法は、レニン−アンジオテンシン系の阻害剤を対象に投与することを特徴とする。阻害剤は、非毒性または受入れられる毒性のみであり、代謝機能または効率(またはもちろん両方)を促進するのに有効な量で一般的に投与されるであろう。対象は、一般的にヒトであるが、非ヒト動物も本発明から利益を得ることができる。代謝機能または効率の促進は、例えば、治療的、予防的、社会的、軍事的、静養的または他の目的のために受けることができる。かかる治療方法の好ましい特徴は上記の通りである。
【0060】
本発明の他の態様は、
健康な対象における代謝訓練可能性および適合を促進する非治療方法であり得る方法であって、該方法がレニン−アンジオテンシン系の阻害剤を対象に投与することを特徴とする;および
また、健康な対象における体組成および/または形態を変更する非治療的方法であり得る方法であって、該方法がレニン−アンジオテンシン系の阻害剤を対象に投与することを特徴とする
を含む。
【0061】
本発明が用いられた環境の例示により、登山者は、かれらの訓練可能性を改善し、出発前のいずれかの副作用を認め、薬物で彼らの組織を負荷するように、低用量(1.25−2.5mg)にてトレーニングの間にそれらの出発前の4週間にラミプリルを取ることもできる。
【0062】
もう一つの例は、短時間作用型ACE阻害剤(カプトプリル)の試験用量を与えことができ、腎機能の低下または血圧降下のごとき)副作用が観察できる、老年の換気に対して傷害された患者である。次いで、(経鼻胃的に与えられた)ACE阻害剤の用量は、(20mgbdまたはエナラプリル、または10mg odラミプリルのごとき)最大許容用量まで増加させた。この介入が予期された筋肉の消耗(不使用の萎縮からの一般化した全身および局所的消耗の双方)を遅らせるであろうことを意図する。
【0063】
ある患者は、同様に手術後に治療される。呼吸筋は、機械的換気援助における定常的低下によって「トレーニング」され、このトレーニングは、ACE阻害剤の治療的使用によって増強される。
【0064】
同様の方法は、全身的炎症応答症候群または重篤な喫煙関連の肺疾患に関連した成人呼吸困難症候群からの重篤な肺損傷のための低全身的酸素レベルの患者の治療について適当であろう。また、例えば、手順前の4週間、冠動脈血管形成を受けるための患者に、冠動脈閉塞に罹ったおよびさらなる事象のリスクにて考えられる、または末梢血管疾患を有する患者に用いることができる。さらに、大腿部動脈閉塞に罹ったおよび血管形成を受けた患者を管理するために使用でき;再灌流が生じるように筋肉の生存可能性を改善するために、同一部位にて動脈内のACE阻害剤単独で、血栓溶解剤の注入が大腿部動脈閉塞に直接投与される。治療ための適当な対象の他の例は、過体重であり、彼らは運動するおよび体重を減らすのに一生懸命であることが分かる;ACE阻害剤は、激しい運動トレーニングプログラムと関連して与えることもできる。さらにもう一つの適当な患者は、かれの生活の間多量に喫煙し、わずか150ヤードの距離にて間欠性跛行を経験する。
【0065】
また、TB、HIV、胸膜滲出、髄膜炎、肝炎、穿孔性胃潰瘍、肝硬変、小胞炎、肝癌、鎌状赤血球貧血、虫垂炎、副鼻腔炎、嚥下困難、膿瘍、肺炎、慢性下痢、脳疾患および骨折の場合に観察される重篤な悪液質を示している対象の治療に用いることもできる。
【0066】
また、本開示から明らかなように、本発明は、対象における代謝機能または効率の促進に対する受け継いだ素因につき個人を診断するまたはスクリーニングする方法を含めた種々のスクリーニング法をその範囲に含み、該方法は、染色体17q23上のACE遺伝子(DCP1)の対立遺伝子を個人において検出するための分析を特徴とする。
【0067】
従って、本発明は:
消耗の治療または予防のための応答につき個人をスクリーニングする方法;
心臓調整のための応答につき個人をスクリーニングする方法;
訓練可能性および適合のための応答につき個人をスクリーニングする方法;および
体組成および/または形態を変更するための応答につき個人をスクリーニングする方法;
ここに、各場合に、該方法が染色体17q23上のACE遺伝子(DCP1)の対立遺伝子を個人において検出するための分析を特徴とする
の各々を含む。
【0068】
特に、かかる方法は、イントロン16における278塩基対のalu繰り返し配列の存在(挿入、I)または不存在(欠失、D)を決定することを含み得る。該方法は、もし適当ならばin vitroにて行うこともできる。
【0069】
ACE遺伝子I/D遺伝子型は、多数の方法において決定できる。大部分は、多数の源に由来するゲノムDNAのポリメラーゼ鎖反応増幅(PCR)を頼みにする。最も一般的には、血液またはうがい液が用いられる。異なるプライマーは、I対立遺伝子のDの特異的増幅を可能とし、次いで、電気泳動によって通常、対応する断片を分離する。適当な技術の一例は、1997年8月5日に発行されたMontgomeryら、Circulation 96(3)741−747(1997)に開示されている。
【0070】
さらなる技巧により、I/D多形性は、ポリメラーゼ鎖反応増幅(PCR)および続いての断片の電気泳動分離によって確認できる。2つのPCR法を特に用いた。2つのプライマーを用いたPCR増幅の最初に報告した方法は、例えば、Cambienら、Nature 359 641−644(1922)によって記載されるごとく多数の公開された研究においてその時から用いられている。この系が、短い(欠失)断片が大きな挿入(I)の支出にて優先的に増幅される点では、系統的なバイアスをこうむり易いことがその時から明らかになった。これは、Dホモ接合体であるようにホモ接合体の小さな部分(5−15%)の誤分類を生じる(Shanmugamら、PCR Methods Appl.3 120−121(1993))。かかる誤分類は、(反応のストリンジェンシーを増大させるデスメチルスルホキサイドのごとき変性剤の添加のごとく)PCR条件における特定の変更によって、またはEvans(Evansら、Q.J.Med 87 211−214(1994))によって記載されたごとき挿入対立遺伝子に特異的な第三のプライマーの使用によって防止できる。
【0071】
Evans(Evansら、同上、1994)によって記載されたごとき、プライマーを含むA3プライマーPCRシステムは、続いての記載のごとき修飾されたプロトコールを有し得る: 2つのプライミングオリゴヌクレオチドは、イントロン16における挿入配列を近接してはさみ、第三のオリゴヌクレオチドは、特異的に挿入配列内にある。この方法は短い対立遺伝子断片を与える。I対立遺伝子特異的な増幅と共にこれは、DDホモ接合体としてヘテロ接合体のミスタイプを消失させる。発明者らは、50μl反応におけるEvansらによって用いられた50ピコモルのACEI(5’または左手オリゴ)および3(3'または右手オリゴ)および15ピコモルACE2(挿入特異的オリゴ)に対応するプライマー率を用い、対立遺伝子ACE Dについて84bpおよび対立遺伝子ACE Iについて65bpの増幅産物を得た。発明者らの増幅条件は、以下の通りである:1サイクル95℃5分間;40サイクル95℃1分間、50℃1分間、72℃5分間、20μlのPCR反応物は50mM KCl、10mMトリスHClpH8.3、1.5mM MgCl、0.01mg/mlゼラチン、200μM各dNTP、0.2単位Taqポリメラーゼ(Gibco BRL、Paisley、UK)および挿入(Alu)配列の外側の8ピコモルのプライマーACE1およびACE3、および挿入配列の内側の2.4ピコモルのプライマーACE2を含む。反応物は、20μlの鉱油でオーバーレイドした。全ての96ウエルは、一定温度の大きさを確保するために試薬(混合物またはダミー試薬)で常に満たした。増幅産物は、7.5%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動を用いて視覚化した。発明者らの遺伝子型の精度は、プライマー対ACE1およびACE3のみを20μlのPCR反応物当り8ピコモルにて共に用いた複製PCRセットアップがD対立遺伝子の存在を常に確認した前に報告された(O'Dell、Humphriesら、Br.Heart J. 73 368−371(1995))条件下で確認した。
【0072】
DNA断片は、(2つのプライマー系の場合に)アガロースゲル電気泳動および(3つのプライマー系の場合に)8.4%のポリアクリルアミドゲル上で電気泳動を用いて分離した。断片は、ゲルに臭化エチジウムの取り込みによって確認し、紫外光下で観察した。
【0073】
本発明の各態様の好ましい特徴は、各々の他の態様につき必要な変更を加えたことである。
血漿中ACEレベルにおける大きな個体間の差が存在するが、レベルが族内では同様であり、それはACEレベルのコントロールにおける強力な遺伝的な影響を示唆する。ヒトACE遺伝子(DCP1)が染色体17q23上で判明し(45)、イントロン16における287塩基対のalu繰り返し配列(45)の存在(挿入、I)または不存在(欠失、D)よりなる制限断片長多形性(44)を含む。D対立遺伝子頻度は、約0.57−0.59である(43、45)。
【0074】
このI/D多形性は、循環ACEレベルに影響することが示された。80名の健康な白人の間では、かなりの重なりが群間で存在したが、多形性は血漿中ACEにおいて47%の変動と計算された。T細胞は、ACEを発現する。大部分のACE活性がミクロソームにあり、B細胞ふぁACE mRNA発現を欠如するが、一方、単球ACEレベルが28倍低いという事実は、T細胞ACE活性が循環からの受動的吸着ではなく細胞内合成のためであるという結論を支持する。DD遺伝子型のものにおけるACE活性は、血漿中およびT白血球において、II遺伝子型のものより高く、各々、75%および39%である(47)。また、ヒト内部の内乳動脈における局所的AT II生成は、DD遺伝子型のものにおいて増大できる(48)。心臓ACE活性は、同様に影響できる(49)。しかしながら、循環AT IIレベルとのACE遺伝子型の会合の証拠はない(50)。これらのデータは、組織および血漿中ACE活性に対するI/D多形性の影響を示唆する。かくして、D対立遺伝子の負担を増大することは、組織系における増大した正味のRAS活性と関連するかもしれない。組織中RASによって危機的に調節されたいずれの表現型も、組織ACEレベルが組織RASにおける律速段階であるならば、とりわけDD遺伝子型の集団内でより顕著であり得る。多くの生理的刺激は、(ACEを含めた)RAS遺伝子発現の誘導を引き起こす。したがって、生理学的攻撃に対する表現型応答における多形性の影響の予期された試験は、その表現型のコントロールにおける組織RASの役割の解明だけではなく、組織ACE発現の分子コントロールの調査を可能とする。例えば、D対立遺伝子がより敏感な遺伝子転写と連合したならば、いずれかの所与の生理的攻撃は、D対立遺伝子と会合してRAS依存的表現型において不釣合いな変化を生じるであろう。
【0075】
本発明は、特定の遺伝子型の個々に活性薬剤の投与を制限するものではない。しかしながら、本発明の利益は、例えばACEのレベルを上昇できる環境において見ることができる。これは、本発明に支持を与える。白人男性の軍隊新兵における10週間の身体トレーニング期間の開始および終了にて、種々のパラメーターが測定された試験が行われた。収縮期血圧に対するACE遺伝子型の可能な影響は、全ての一団、すなわち、トレーニングを完了した個人間に見られる。この傾向は、II遺伝子型のものについての収縮期血圧がDD遺伝子型のものより有意に低い場合(122.7±1.4−対−118.0±1.5mmHg:P<0.05)に、トレーニング前には統計的に有意ではない(不均度につきP=0.35)が、トレーニングの終了にては有意に近づく(不均度につきP=0.07)。拡張期血圧は、異なる遺伝子型のもの間での基礎トレーニングの前後で異ならない(各々、II、IDおよびDDにつき、トレーニング前 70.3±1.37−対−70.6±0.8−対−69.4±1.3mmHg、p=0.75:トレーニング後 69.7±1.23−対−70.1±0.81−対−69.9±1.23mmHg、p=0.96)。
【0076】
他の試験においては、軍隊基礎トレーニングの間の力について特にトレーニングされたので、軍隊新兵の上脚パーフォーマンスを観察した。試験は選択された時点、すなわち、トレーニングの開始、トレーニングの中間(5週間)およびトレーニングの終了(10週間)にて行った。
ウシ強度に対する対データでは、遺伝子型の効果の示唆があった。対のパーセンテージ変化の平均は、7.6±14.1−対−−6.4±4.1:p=0.19であった。
【0077】
トレーニングの開始にて、二頭筋力において差はなかった(II−対−D対立遺伝子につき、109.4N±8.5−対−111.5N±5.6:p=0.86)。しかしながら、トレーニングの終了では、両群における有意な改善があったが、II遺伝子型のものの間で非常に大きな程度であった(II−対−D対立遺伝子につき、198.7±26.1−対−141±9.37:p=0.01)。平均パーセンテージ変化は、各々、II−対−D対立遺伝子につき、770.±24.4%−対−23.7±6.2%であった:p=0.003)。II遺伝子型のものについての平均変化は、ID遺伝子型のものにつき109.8−対−144.9およびDD遺伝子型のものにつき116.4−対−125.9に比較して、109.4−対−198.7:トレーニングの終了にてp<0.05で、II<IDおよびII<DD)であった。データは、練習の期間である(秒)。
【0078】
腕立て伏せについてのデータは、トレーニングの開始にてと同様であった(各々、II、IDおよびDDにつき、平均 51.2±4.0−対−50.4±2.4−対−47.5±4.3;n=29、69および22:全比較につきp>0.05。トレーニングの終了にては、その数字は、61.9±4.2−対−59.5±3.6−対−45.0±6.2;n=19、44および12:各々、II、IDおよびDDにつき:II−対−DDおよびID−対−DDにつきp>0.05)
【0079】
(全遺伝子型の同様のベースラインレベルからの)VOmaxにおける変化は、+0.055±0.037−対−−0.003±0.021−対−−−0.068±0.052; II−対−DDにつきp>0.05)。[VOmaxは、単位時間(分)当りの最大酸素消費量(mlにて)である]
体重は、D対立遺伝子を持つものよりII遺伝子型のものについてより有意に増加した(2.9±0.8%−対−−0.1±0.6%:n=20−対−61:II−対−DDにつきp>0.05)。これは、脂肪および筋肉における変化のバランスであり、両者はACE遺伝子型によって区別をつけて調節できる。
【0080】
体脂肪のパーセンテージは、初めと同様であった(8.6±0.7%−対−9.3±0.3%:n=29−対−93:II−対−D対立遺伝子につき:p=0.33)。しかしながら、これは、0.20±0.09−対−0.007±0.003:n=20−対−58:p=0.02によって変化し、すなわち、IIの断片の脂肪含量がD対立遺伝子を持つものにつき20%−対−1%未満まで増大した。
【0081】
D対立遺伝子を持つものは、初めにてわずかに低い除脂肪体重を有したが(64.6±1.2−対−62.5±0.67:n=29−対−93:p=0.12)、この間隙は、トレーニング後に広がった(65.9±1.3−対−62.6±0.82:n=19−対−57:p=0.046)。
【0082】
脂肪量は、初めにてと同様であった(6.18kg±0.54−対−6.49kg±0.26:n=29−対−93:p=0.57)。脂肪重量における変化は、遺伝子型依存性であり(0.73kg±0.39−対−−0.26kg±0.20:n=19−対−57:p=0.02)、すなわち、体脂肪量における平均のパーセンテージ変化は、II遺伝子型のものについての23%の増加−対−D対立遺伝子を持つものの間の丁度1%の変化であった。
【0083】
もう一つの試験において、補足的酸素吸入の使用なくして7000mを超えての登山歴を持つ33名のエリートの関連のない男性の英国人登山者は、英国登山協議会(British Mountaineering Council)によって確認された。DNAは、25名の男性応答者のうがい試料から抽出し、ACE遺伝子型は、3つのプライマーのポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅を用いて決定した(51)。遺伝子型分布は、臨床的心血管疾患のない1906名の英国男性のものと比較した(52)。平均(SD)年齢は、25名の対象において40.6(6.5)歳であり、1906名の対照間では55.6(3.2)歳であった。両群は、Hardy Weinberg Equilibriumにおいてであった。両遺伝子型分布および対立遺伝子頻度は、相対的な、II遺伝子型の過剰およびDD遺伝子型の欠失をもって、登山者および対照間でかなり異なった(各々、p 0.02および0.003)。酸素なくして8000mを超えて登山した15名の登山者間では、DD遺伝子型はなかった[6名(40%)のIIおよび9名(60%)のID.I対立遺伝子頻度 0.65]。さらに、さらなる7000m登山数についてのこの群におけるトップの2名(平均10.3±6.5上昇と比較して、>100および18)と同様に、酸素なくしての登山数によって順位付けした、8000mを超えて登山したのトップの実行者は、II遺伝子型であった(>8000mについて平均2.4±0.3上昇と比較して、5回の登山)。
【0084】
さらに、競技者間では、過剰なI対立遺伝子が耐久性走者において、短距離走者間では過剰なD対立遺伝子を見出す。準備データは、D対立遺伝子が(耐久性よりむしろ)運動力が重要な役割を演じる競技者において過剰であることを示唆する。これらのデータは、ヒト身体パーフォーマンスの多くの態様がI対立遺伝子と関係し、かくして低い細胞ACEレベルと関係し得ることを示唆する。かくして、総合的な心臓の働きは、ないものより2つのD対立遺伝子を持つものの間での外部作業の単位当り高く、腓強度、二頭筋力および腕立て伏せを改善するために訓練する能力は、II>ID>DDのごとく等級付けされた訓練可能性で、I対立遺伝子と全て関連した。パーフォーマンスにおけるこれらの変化は、D対立遺伝子を持つもので見られる同化(または、わずかな異化作用)の欠如に比較する場合に、I対立遺伝子と関連した体重の保護およびわずかなすべての同化作用で、体組成における変化と部分的に関連できる。筋肉量において多くの適度な変化を持つ遺伝子型によるパーフォーマンスの著明な変化は、筋肉容積を通して媒介されたパーフォーマンスに対する遺伝子型関連の効果だけではなく、筋肉代謝の効率を通して媒介された効果もあることを示唆する。この仮説は、脂肪の形態におけるエネルギー貯蔵に対する遺伝子型効果によって支持される。
【0085】
I対立遺伝子は、低い細胞ACEレベルについての代用マーカーであるために、増大した骨格筋パーフォーマンス、代謝パーフォーマンス、異化の制限および同化の促進が組織RAS活性を薬理学的に低下させることによって全て達成できる。キニン分解の阻害およびAT IIの受容体に対する拮抗薬の両者は、かかる効果を有することが期待できる。従って、上記のデータは、全体としてヒトに対してかなりの効果を有するヒトレニン−アンジオテンシン系についての代謝的役割を示唆する。
【0086】
あと知恵では、疾患状態における筋肉血流およびグルコースの取り込みに対する可能な有利な効果を支持するための先行技術におけるデータがあるが、全身体形態、筋肉または全ヒト身体パーフォーマンスに対する、または全ての栄養もしくは形態状態に対するいずれの臨床的または生理的なかなりの効果を示唆するデータはない。しかしながら、そのデータは、本発明につき支持および潜在的な科学的理論的解釈を提供する。
【0087】
これらのデータは、耐久性パーフォーマンスが特定の薬剤での治療によって実際改善できることを示唆する。純粋な力パーフォーマンスも改善できたが、おそらくはあまり有効でない。混合スポーツに対する効果は、成功するための相対的な力の寄与および耐久性に非常に依存する。
【0088】
それらは、観察されたおよび予想された効果が媒介できる多数の手段で有り得る。これらは:
(i) 血管拡張を通しての組織への血流増加;
(ii) 脈管形成(新血管の成長)を通しての組織への血流増加;
(iii) (i)に続いての末梢血管抵抗の下降および心拍出量の増加
(iv) 組織による代謝燃料(酸素、脂肪、炭水化物およびアミノ酸)の取り込みにおける増加;
(v) (例えば、等量のグルコースから誘導できる多くのエネルギーからの脂肪酸の使用へのシフトのごとき)利用された代謝燃料のバランスにおける改変;
(vi) 例えば、脂肪および肝臓貯蔵かたの燃料の供給における改変;
(vii) 肝臓を含めた代謝活性の組織による(乳酸代謝のごとき)定性的および定量的な基質代謝ならびに(脂肪酸遊離のごとく)エネルギー貯蔵放出の双方における一次シフト;
(viii) I型およびII型筋細胞の相対数における変化をおそらく反映した骨格筋細胞タイプにおける変化;
(ix) 細胞内ミトコンドリア数の変化;
(x) 酸素または代謝基質もしくはエネルギーの利用低下のために、多くの外部の、機械的なまたは生化学的な作業を行う能力によって反映された細胞または器官内の代謝の効率の変化
を含む。
他の機構も適用されてもよい。
【実施例】
【0089】
以下の実施例は、それが基づくものに対する発明および証拠を説明し、また、如何に特定の例において効果を与えるかも示す。
【0090】
実施例1
この実施例は、ACE阻害剤が心筋細胞のミトコンドリア膜ポテンシャルを増大させるかを示す。それは、電子輸送補酵素かた分子酸素への電子の輸送中のミトコンドリアの外側へのプロトンの押し出しによって生成される内側のミトコンドリア膜を横切るポテンシャルの差(ΔΨ)の観察に基づく。ΔΨに貯蔵されたエネルギーの一部を利用して、好気性代謝に由来する大部分のATPの合成を支持する。かくして、ΔΨはミトコンドリアの賦活の指標であり、化学的エネルギーを生成するために酸素利用効率の指標でもある。いくつかのACE阻害剤の治療特性がΔΨにおける増加によって計算できるか否かを調べるために、このパラメーターを、ACE阻害剤リシノプリルでの前処理に続いてラット心筋細胞において調査した。
【0091】
より詳細には、心筋細胞を新生のスプレーグ・ドーリーラット心臓から単離し、湿潤の5%CO雰囲気において37℃で1%胎児ウシ血清を補足したDMEMの存在下にて30mmの組織培養皿に維持した。実験では、ΔΨの分析前に、種々の長さの時間にて、培養組織は1μMのリシノプリルまたは等量のビヒクルで処理した。
【0092】
ΔΨの測定のために、ミトコンドリア特異的プローブのローダミン(rhodamine)123(Rh123)および5,5',6,6'−テトラクロロ−1,1',3,3'−テトラエチルベンズイミダゾロカルボシアニンヨー化物(JC−1)を用いた。細胞は、37℃および5%COにて、新鮮な培養基中で2.5μM Rh123と共に15分間または10μg/ml JC−1(Molecular Probes)と共に10分間培養した。次いで、細胞は、冷PBSで2回洗浄し、トリプシン処理によって再懸濁させ、分析の時(通常30分以内)まで4℃にて暗所にて貯蔵した。フローサイトメトリーをFACScan装置で行った。データは、Lysis II ソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて要求しおよび分析した。
【0093】
結果:
Rh123のごときカチオン性脂肪親和性蛍光色素は、ミトコンドリア活性をモニターするためにリポーター分子として供した。これらの染料は、ネルンスト(Nernst)の式に従ってミトコンドリアマトリックス中に蓄積する。フローサイトメトリーを組合せて用いた場合に、それらは無傷の細胞中のΔΨの変化を推定するのに有効なプローブである。図1に示すごとく、1μMリシノプリルでの36時間の心筋細胞の前処理は、約30%のRh123蛍光の増加を生じさせ、それは、ACE阻害剤がΔΨにおいて増大を誘導したことを示す。
【0094】
JC−1は、ΔΨにおける変化を評価するためのより確かでかつ敏感な蛍光プローブである。低濃度にて、JC−1は、緑色の蛍光の放出によって特徴付けられる単量体形態において主として存在する。ミトコンドリアマトリックスにおける蓄積に際しては、JC−1は、ΔΨの程度に比例してJ−凝集体を形成する。これらの凝集体は、赤色蛍光の放出によって特徴付けられる。かくして、赤色対緑色の蛍光割合の増加は、ΔΨにおける増加を示す。図2は、1μMリシノプリルでの種々の長さの時間のラット心筋細胞の処理は、緑色蛍光(○)における対応する減少を伴って、赤色蛍光(●)における漸進性の増加を引き起こす。かくして、赤色対緑色蛍光の割合(□)は、進行したリシノプリルでの培養時間のごとく増加した。
【0095】
これらの実験は、ACE阻害剤での処置がΔΨを増大させることを示す。これは、ACE阻害剤が、ミトコンドリア中のエネルギー変換の効率えお増加させることによって虚血状態に対して保護できるおよび/または機械的/生合成的なパーフォーマンスを改善できることを示す。
【0096】
実施例2
90名の軍隊新兵を軍事トレーニングの前後の12週間の期間試験した。無作為化して、AT1受容体拮抗薬ロサルタンまたはプラセボを受けた。
好気性閾値にて新兵がそのVO2maxを改善させるための一致した傾向があったが、遺伝子型により相違点が観察された。その結果は、プラセボに対するII遺伝子型につき2.1±6.8ml/分−対−プラセボに対するDD遺伝子型につき−1.1±6.5ml/分の増加、およびロサルタンに対するIIにつき0.3±6.3ml/分−対−ロサルタンに対するDDにつき−1.8±6.3ml/分の増加を示す。合わせた場合に、増加の差は、IIにつき1.3±6.6ml/分−対−DDにつき−1.4±6.4ml/分:p0.07であった)。
【0097】
VO2maxについてのデータは、筋肉疲労の尺度で示したごとく同様の傾向を示した。これらのデータは増強した能力と一致し、好気性閾値の前に、特にII遺伝子型(かくして低ACE活性)のものが高い作業負荷を達成し、従って、穏やかな状態ないし激しい運動における疲労に、より耐性であった。
【0098】
実施例3
レニン−アンジオテンシン系(RAS)の生物学的に活性な要素は、アンジオテンシンII(AT II)である。血漿中または局所組織中のAT IIの上昇は、RASの部分的な阻害が(ACE阻害剤での治療によってのごとく)達成された場合でさえ、RASの阻害がかなりの治療的利益を有する疾患を示すだろう。
【0099】
ATT IIは、次の通り測定された:血液試料を少なくとも10分間の上向きの休息後採取した。腕前部にポリエチレンカテーテルを挿入し、10mlの静脈血を採取した。直ちに遠心の後、アリコート(EDTA血漿試料)を分析まで−70℃にて貯蔵した。アンジオテンシンIIは、市販の入手可能なラジオイムノアッセイ(IBL、Hamburg、Germany、感度1.5pg/ml)を用いて測定した。血漿試料の抽出後、AT IIは、競合的ラジオイムノアッセイによってアッセイする。このラジオイムノアッセイは、ウサギ抗AT II抗血清および放射性ヨード化ATトレサーを用いている。結合相および遊離相は、固相粒子に結合した二次抗体によって、続いての遠心分離によって分離された。結合画分における放射能を測定し、典型的な標準曲線を生成できる。試験は、<0.1%のATIとの交叉反応性、および3.9および8.6%の間の試行内および試行間の再現性を有する。健康な対象についての参照範囲は、20ないし40pg/mlである。
【0100】
例えば、慢性心不全、AIDS、肝硬変および癌のための様々な悪質性疾患が試験された。結果を図3に示した、ここに、(左から右への)捧は、AIDS性悪液質(n=6)、癌性悪液質(n=7)、心臓性悪液質(n=17)、特発性悪液質(n=2)、肝硬変性悪液質(n=6)、栄養不良性悪液質(n=6)および非悪液質性心不全(n=11)に関する。
【0101】
RASの活性化は、血漿中AT IIレベルの上昇によって証明されたごとく、悪液質疾患において判明した(平均AT II血漿中レベルは、通常の範囲の20ないし40pg/mlの上限を明らかに超える)。これは、悪液質性傷害についてのいずれの特定の病因にも依存せず、また、事実、AT II血漿中レベルの上昇は特発性悪液質、すなわち、公知の器官の悪液質の場合にも判明した。しかしながら、RASの活性化は、栄養不良に際して結果としての小さな程度の体重損失を持つ患者において見られるごとく、悪液質性傷害について明らかに特異的である。
【0102】
実施例4
実験は、ACE阻害剤で前に治療されても、RASの遮断が悪液質患者に利益があることを示すために行われた。患者1は、慢性心不全(CHF)のための悪液質を有する(年齢74歳、男性、体重50.0kg、身長178cm、3年間における先の体重損失15.3kg=慢性体重損失)。患者2は、CHFおよび突発性悪液質から受けている筋疾患を有する(年齢38歳、男性、体重62kg、身長180cm、年間の先の体重損失11kg=最近の体重損失)。各々は、ロサルタン(50mg1日1回)で治療された。ベースラインにておよび追跡調査の間、臨床状態および体組成のパラメーター、強度およびトレッドミル運動能力を試験した。両患者は、損なわれた運動能力および損なわれた左心室機能(LVEF<40%)を持つCHFの証拠を有した。両患者は、良好なコンプライアンスを有した。
【0103】
バイオエレクトロニクス・インピーダンス分析(患者1および2)は、体脂肪分析機(TANITA TBF−305、Tanita Corporation、IL、USA)を用いて直立位置において行った。除脂肪および脂肪量は、製造者による機械中に供給されプログラムされた方程式に基づき自動的に分析された。これらの方程式は、健康な集団における測定との比較に基づいている。
【0104】
二重のエネルギーX線吸光光度計(DEXA)(患者1):全身DEXA−スキャンは、LunarモデルDPXIQ全身スキャナー(Lunar Radiation Company、Madison、WI、USA、Lunarシステムソフトウエアバージョン4.3c)を用いて行った。対象は、各時点にて、頭部から足指まで直線的にスキャンされた。スキャンは20分間未満かかった。スキャン当りの平均照射量は、通常の胸部X線の約50分の1の約0.75μSvであると報告されている(53)。DEXA法を用いて、脂肪組織量、除脂肪組織量の体密度分析値を得た。DEXAの技術的な詳細、パーフォーマンスおよび区域境界は記載されている(54,55)。除脂肪組織測定の誤りは、>2%であり、脂肪組織測定では<5%である(56)。
【0105】
トレッドミル運動試験(患者1および2):患者は、症状限定のトレッドミル運動試験を受けた。5%勾配で1時間当り1マイルの速度にて3分間よりなる「ステージ0」の付加を持つ標準的Bruceプロトコールを用いた。患者は、呼吸量分光計(Amis 2000,Odense,Denmark)に連結した一方向バルブを通して呼吸し、1分換気、酸素消費および二酸化炭素生成を標準的不活性気体希釈技術を用いて10秒毎にオンラインで計算した。患者は、励まされて疲労困憊まで運動した。総体重について調整されたピーク運動にての運動時間および酸素消費(ml/kg/分でのピークVO)を運動容量の指標として測定した。
【0106】
大腿四頭筋強度の評価(患者1および2):対象は、自由に吊り下げた足を持つ硬い枠に座らせた。非弾性の革ひもは、圧トランスデューサーと足関節に連結した。圧トランスデューサーからの記録(Multitrace2、§、Jersey、Channel Islands)を用いて、強度を評価し、対象に視覚的フードバックを供した。最大力生成のプラトーは、収縮が最大であることを示した。少なくとも1分間の休息期間での各脚の最良の3つの自発的収縮は、各々、右および左脚の最大の自発的大腿四頭筋強度を示した。
【0107】
結果は、患者1について126日間の、および患者2について83日間の追跡調査を含む。また、両患者は、中間時点にて試験された。両患者は、1 NYHA症状クラスによって治療された間改善した。両患者において、運動容量は、試験中改善された(運動時間:患者1および2、ピークVO:患者2)。両患者において、大腿四頭筋強度が両脚で改善された証拠がある。これらの臨床的利益は、患者1における4.6kgの体重増加(除脂肪および脂肪組織増加)の背景に対して、および体重損失の過程を中止することによって達成され、明らかに一般的臨床状態および相対的筋肉パーフォーマンス、すなわち、筋肉の質を改善した(患者2)。治療の副作用は観察されなかった。
【0108】
実施例5
SOLVD治療試験(57)は、35%以下のLVEFおよび明白な鬱血性心不全の証拠を持つ臨床的に安定な患者におけるエナラプリルの効果を調べた、無作為化した、二重盲検およびプラセポコントロールの試験であった。試験体制、包括判定、試行期間(2ないし7日間)および安定化期間(14ないし17日間)、無作為、治療判定、および追跡調査のの正確な詳細は前に報告された(57)。また、他の点では有効でないデータに基づいて、結果は再分析され、SOLVD治療試験に関係した、ベースラインにて浮腫がなかった、その後少なくとも4カ月生存し、ベースラインにておよび少なくとも1回の追跡調査訪問の4カ月またはその後にて体重測定を有した対象に制限した。これらの2082名の患者のベースラインの臨床的特徴は、全試験集団の特徴とかなり異ならなかった。
【0109】
2082名の患者のうち、1055名の患者は、エナラプリル(1日当り2.5ないし20mg)での治療、および1027名の患者はプラセボでの治療のために無作為化した。ベースラインにておよび追跡調査中の体重をプロトコールにより測定した。身長は、記録されなかった。
【0110】
群間の平均の比較は、非対合のt−検定を用いて行った。群間の集団の比較は、カイ二乗検定を用いて成された。悪液質の差の存在の定義に関しては、先に示唆された、カットポイント(50)の5.0%、7.5%、10.0%および15.0%の体重損失が考えられた。ACE阻害剤が悪液質の最初の発生の危険に影響するか否かの質問に用意するために、2つの治療群における悪液質の累積的発生をプロットし、対数ランク統計量を用いて分析した(59)。心臓性悪液質の最初の発生の分析において、いずれの所与の追跡調査訪問にて、心臓性悪液質に対する情報の不存在(すなわち、この訪問にて体重が記録されない)は、検閲されたごとく処理する。生存に対する心臓性悪液質の効果は、Coxプロポーショナル・ハザード(Cox proportional hazard)分析を用いて評価する(58)。これらの分析では、心臓性悪液質を時間依存的共分散として処理する。4、8、および12カ月にての心臓性悪液質の評価は、分析において用いた。悪液質状態に対する完全な情報の相対的に高い割合で追跡調査期間における時点がある。
【0111】
一次分析は、治癒―対―治療であった。統計的有意さは、コンピューターのp値<0.05(両側検定)にて請求する。効果の推定はそれらの95%信頼区間に沿って提供される。結果は、年齢、性、NYHA機能クラス、LVEF(25%までまたは超えて)および治療状態(生存に対する心臓性悪液質の効果の評価の場合における、エナラプリル−対−プラセボ)のごとき先に記載の予後の因子について調整する。
【0112】
2082名のCHF患者のうち、657名(31.6%)が追跡調査の間7.5%までの体重損失を発生した。心臓性悪液質の累積頻度は、経時的に連続して増加した。1年間にての≧7.5%の体重損失(断面積)の頻度は8.5%であり、それは、15.5%(2年間)、および17.2%(3年間)に増加した。ベースラインにて、追跡調査中に≧7.5%の体重損失を持つ心臓性悪液質を発生した患者は、1.3歳高く(平均61.2−対−59.9、P<0.01)、2.7kg高い体重(平均80.5−対−77.8kg、p<0.001)を有し、彼らは利尿剤でのわずかに頻繁な治療された(平均87.2−対−82.6kg、p<0.01)。この試験における患者のうち、375名(18.0%)は、女性であった。女性のCHF患者はより頻繁に心臓性悪液質を発生した(39.5%−対−≧7.5%の体重損失についての男性において29.8%、p<0.001)。他のベースラインの臨床的特徴は、心臓性悪液質を発生したおよび発生しなかった患者のNYHAクラス、LVEFおよび疾患疫学に関して、特に、同様ではなかった。ベースラインにての以下の臨床的特徴は、心臓性悪液質の続いての発生に独立して関係した:年齢(RR、p<0.001)、NYHAクラス、LVEFおよび治療。
【0113】
心臓性悪液質の発生は、続いての損なわれた生存に密接に関係した。心臓性悪液質について先に記載した競合的カットポイントのすべては、年齢、性、NYHAクラス、LVEFおよび治療割当ての効果に独立した損なわれた生存に関係する。追跡調査中に観察された756名の死亡のうち、223名が死亡前の最終訪問にて、悪液性(≧7.5%の体重損失)として分類された患者において発生し、すなわち、CHF患者の死亡の29.5%は、存在している心臓性悪液質で引き起こされた。5および15%間の心臓性悪液質についての異なるカットオフの間、≧6.5%の体重損失は、損なわれた死亡率の最強の予測物であった。生存に対する悪液質の粗い効果(≧6.5%の体重損失)は、高度に有意である:RR1.47(95%信頼区間:1.27ないし1.70)、p=0.00000017。
【0114】
エナラプリルでの治療を割当てられた患者は、追跡調査の間心臓性悪液質を発生することのかなり低いリスクを有した。エナラプリルでの治療割当ての粗い効果は、心臓性悪液質を発生することのリスクの低下に関係する:RR 0.81(95%信頼区間:0.70ないし0.95)、p=0.0085。エナラプリルの治療割当ては、SOLVD治療試験の患者にこのサブセットにおいても、年齢、性、NYHAクラス、LVEFの効果に独立して生存に対してかなり有益な効果を有した(p<0.01)。4または8カ月にての心臓性悪液質(≧6.5%の体重損失)の存在についても調節する場合に、治療効果は依然として有意であった。いずれの時点にても少なくとも7.5%の体重損失を発生した患者において、続いての記録された体重を持つ10名の患者のみが、ベースライン重量以上であることが判明した(エナラプリル群:6、プラセボ:4)。
【0115】
これは、有意な体重損失、すなわち、心臓性悪液質がCHF患者において頻繁な事象であることを示す。≧7.5%の体重損失は、3年間にわたって約1/3の患者に生じた。体重損失の自発的逆転は、非常にまれであり、2%未満のケースに生じる。心臓性悪液質は、CHF患者の損なわれた生存に密接にかつ独立して関連する。都合よい治療に加えてのACE阻害剤、エナラプリルでの治療は、死亡のリスクおよび心臓性悪液質を発生するリスクを低下させた。概して、エナラプリル治療は心臓性悪液質を発生するリスクを19%低下させた。
【0116】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
低酸素症または損なわれた代謝機能もしくは効率に関連した疾患の治療または予防のための薬剤の製造用のレニン−アンジオテンシン系の阻害剤の使用。
【請求項2】
発作またはその再発の治療または予防のための薬剤の製造用のレニン−アンジオテンシン系の阻害剤の使用。
【請求項3】
急性心筋梗塞またはその再発の治療または予防のための薬剤の製造用のレニン−アンジオテンシン系の阻害剤の使用。
【請求項4】
消耗もしくは悪液質またはその再発の治療または予防のための薬剤の製造用のレニン−アンジオテンシン系の阻害剤の使用。
【請求項5】
老化の症状および徴候の治療または予防のための薬剤の製造用のレニン−アンジオテンシン系の阻害剤の使用。
【請求項6】
該疾患が出産中の低酸素症である請求項1記載の使用。
【請求項7】
代謝機能もしくは効率を増強するための、または体組成および/または形態を変更するためのレニン−アンジオテンシン系の阻害剤の使用。
【請求項8】
該消耗が全身消耗である請求項4記載の使用。
【請求項9】
該全身消耗が、老化、心臓、腎臓、肝臓もしくは悪性疾患または慢性もしくは急性炎症過程と関連する請求項8記載の使用。
【請求項10】
該全身消耗が、敗血症、敗血性ショックまたは自己免疫および結合組織傷害から選択される炎症過程と関連する請求項9記載の使用。
【請求項11】
該消耗が、局所的消耗である請求項4記載の使用。
【請求項12】
該局所的消耗が、筋骨格のまたは神経損傷である請求項11記載の使用。
【請求項13】
該疾患が、心臓の事前調整を必要とする請求項1ないし3いずれか1記載の使用。
【請求項14】
該薬剤が、訓練可能性および適合の促進用である請求項7記載の使用。
【請求項15】
レニン−アンジオテンシン系の該阻害剤が、アンジオテンシン変換酵素(「ACE」)の阻害剤である請求項1ないし14いずれか1記載の使用。
【請求項16】
該ACE阻害剤が、キナプリル(Quinapril)、カプトプリル、リシノプリル(Lisinopril)、ペリンドプリル(Perindopril)、トランドプリル(Trandopril)、エナラプリル、モエキシプリル(Moexipril)、フォシノプリル(Fosinopril)、ラミプリル、シラザプリル、リシノプリル、イミダプリル、スピラプリル、テモカプリル(Temocaopril)、ベナゼプリル、アラセプリル、セロナプリル(Ceronapril)、シラザプリル、デラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、モベルチプリル(Moveltipril)またはトランドラプリル(Trandolapril)から選択される請求項15記載の使用。
【請求項17】
該ACE阻害剤が、キナプリル、カプトプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、トランドプリル、エナラプリル、モエキシプリル、フォシノプリル、ラミプリル、シラザプリルまたはリシノプリルから選択される請求項15記載の使用。
【請求項18】
該ACE阻害剤が、ラミプリルである請求項15記載の使用。
【請求項19】
レニン−アンジオテンシン系の該阻害剤が、アンジオテンシン受容体拮抗薬である請求項1ないし14いずれか1記載の使用。
【請求項20】
該アンジオテンシン受容体拮抗薬が、AT受容体拮抗薬である請求項19記載の使用。
【請求項21】
該AT受容体拮抗薬が、ロサルタン(Losartan)、バルサルタン(Valsartan)、イルベサルタン(Irbesartan)、カンデサルタン(Candesartan)、エプロサルタン(Eprosartan)、タソサルタン(Tasosartan)またはテルミサルタン(Telmisartan)から選択される請求項20記載の使用。
【請求項22】
該AT受容体拮抗薬が、ロサルタン、バルサルタンまたはイルベサルタンから選択される請求項20記載の使用。
【請求項23】
レニン−アンジオテンシン系の該阻害剤が、中性エンドペプチダーゼ阻害剤である請求項1ないし14いずれか1記載の使用。
【請求項24】
レニン−アンジオテンシン系の該阻害剤が、レニン阻害剤である請求項1ないし14いずれか1記載の使用。
【請求項25】
レニン−アンジオテンシン系の該阻害剤が、キニン分解の阻害剤である請求項1ないし14いずれか1記載の使用。
【請求項26】
レニン−アンジオテンシン系の該阻害剤が、キニナーゼ阻害剤である請求項1ないし14いずれか1記載の使用。
【請求項27】
レニン−アンジオテンシン系の該阻害剤が、脂肪親和性である請求項1ないし26いずれか1記載の使用。
【請求項28】
対象における代謝機能または効率の促進のための受け継いだ素因につき個人を診断するまたはスクリーニングする方法であって、染色体17q23上のACE遺伝子(DCP1)の対立遺伝子を個人において検出するための分析を含む該方法。
【請求項29】
消耗の治療または予防に対する応答につき、個人をスクリーニングする方法である請求項28記載の方法。
【請求項30】
心臓の事前調整に対する応答につき、個人をスクリーニングする方法である請求項28記載の方法。
【請求項31】
訓練可能性または適合の促進に対する応答につき、個人をスクリーニングする方法である請求項28記載の方法。
【請求項32】
体組成および/または形態の変更に対する応答につき、個人をスクリーニングする方法である請求項28記載の方法。
【請求項33】
イントロン16における287塩基対のalu繰り返し配列の存在または不存在を決定することを含む請求項28ないし32いずれか1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−242426(P2009−242426A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166483(P2009−166483)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【分割の表示】特願2000−516658(P2000−516658)の分割
【原出願日】平成10年10月19日(1998.10.19)
【出願人】(500175668)アーク・セラピューティックス・リミテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Ark Therapeutics Limited
【Fターム(参考)】