説明

レバー式低嵌合コネクタ

【課題】 複数のコネクタをコネクタコネクタに挿入してコネクタ同士を嵌合する際にコネクタ嵌合作業を行いやすくするレバー式低嵌合コネクタを提供する
【解決手段】 少なくとも何れか一方が複数のコネクタ30,40からなるメスコネクタ及びオスコネクタ50と、メスコネクタ及びオスコネクタを取付け可能なコネクタホルダ10と、コネクタホルダに取付けられるレバー20を有し、レバーがコネクタホルダの幅方向中央部に形成されたレバー収容溝14に軸支されており、複数のコネクタの少なくとも一部がレバーを挟むようにコネクタホルダに取付けられ、当該レバーを回動することによって複数のコネクタを相手側コネクタに嵌合可能なレバー式低嵌合コネクタであって、コネクタホルダには複数のコネクタがコネクタホルダに正しく挿入されていることを検知する挿入検知用突起17が一体に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が複数のコネクタからなるオスメスコネクタをレバーの回動操作によって同時に嵌合又は同時に嵌合解除させる低嵌合コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
レバーを保持したコネクタ構造を有し、当該レバーを回動させることで一方のコネクタを他方のコネクタに低嵌合力で嵌合させるようにしたいわゆるレバー式低嵌合コネクタに関して多くの構造が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には下記の内容が開示されている。具体的には、一方のコネクタは、その幅方向中央部にレバーを収容し、当該収容空間に形状を工夫した回転軸と可撓アームを設け、これらによりレバーを仮固定できる構造にしている。そして、コネクタにレバーを取付け、他方のコネクタとの嵌合動作によりレバー仮係止状態を解除し、更にレバーの先端部を他方のコネクタの係合部に係合させると共にレバーを回動操作することによりオスメスコネクタを嵌合させるようにしている。これによりレバーのコネクタからの脱落が防止でき、部品搬送時の取り扱い性も向上させている。
【0004】
また、例えば特許文献2には下記の内容が開示されている。具体的には、特許文献1と同様に一方のコネクタの幅方向中央部にレバーを収容して仮固定できる構造をとっている。そして、オスメスコネクタを所定量だけ嵌合させて仮保持させた後にレバーを回動させることによりコネクタ同士を完全嵌合させるようにしている。一方、特許文献1の開示内容とはレバー細部の構造で相違している。そして、これによりコネクタの小型化を図るとともにコネクタ嵌合作業を効率よく短時間で行うことができるようにしている。
【0005】
また、特許文献3には下記の内容が開示されている。具体的には、特許文献1及び特許文献2の開示内容と同様に一方のコネクタの幅方向中央部にレバーを有しているが、当該レバーに揺動ガイド部及び揺動支点部を設けておく一方、当該レバーを収容しているコネクタにはこの揺動ガイド部及び揺動支点部が揺動できるように直線状の溝を設けた構造をとっている。これによりスリット内を移動するレバーのよれや脱落を抑えてコネクタの嵌合や嵌合解除の安定性を向上させている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−117932号公報(3−4頁、図1)
【特許文献2】特開2003−234146号公報3−4頁、図2)
【特許文献3】特開2000−228245号公報(4−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなコネクタは複数のコネクタをコネクタホルダに挿入したのち、レバーを回動して一度に相手側コネクタと嵌合するようになっているので、あるコネクタがコネクタホルダに半挿入状態であることに気付かずにコネクタ同士を嵌合させてしまうことがある。何れかのコネクタがコネクタホルダに半挿入状態であることを認識できれば、レバーを回動してコネクタ同士を嵌合する前にコネクタを正規の挿入状態になおすことができる。また、端子がコネクタに半挿入の際にこのようなコネクタのコネクタホルダへの半挿入状態が積極的に生じるようにしておくと、かかるコネクタの半挿入状態を確認することで端子のコネクタへの半挿入と判断できる。また、複数のコネクタをコネクタホルダに挿入する際にレバーが邪魔になって挿入しにくくなることもあるので、複数コネクタをレバーと干渉せずにコネクタホルダに挿入できるようにしてコネクタ嵌合作業の効率化を図る必要もある。
【0008】
本発明の目的は、オスメスコネクタのうち、少なくとも何れか一方が複数のコネクタからなり、レバーを介してこの複数のコネクタを相手側コネクタに一度に嵌合させるレバー式低嵌合コネクタにおいて、各コネクタの半挿入状態や端子のコネクタへの半挿入を検知できるとともに、各コネクタをコネクタホルダに挿入する際にレバーが邪魔にならないようにしてコネクタ嵌合作業を行いやすくするレバー式低嵌合コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明にかかるレバー式低嵌合コネクタは、
少なくとも何れか一方が複数のコネクタからなるメスコネクタ及びオスコネクタと、前記メスコネクタ及びオスコネクタを取付け可能なコネクタホルダと、前記コネクタホルダに取付けられるレバーとを有し、前記レバーが前記コネクタホルダの幅方向中央部に形成された収容溝に軸支されており、前記複数のコネクタの少なくとも一部が前記レバーを挟むように前記コネクタホルダに取付けられ、当該レバーを回動することによって前記複数のコネクタを相手側コネクタに嵌合可能なレバー式低嵌合コネクタであって、
前記コネクタホルダには前記複数のコネクタが当該コネクタホルダに正しく挿入されていることを検知する挿入検知用突起が一体に形成されていることを特徴とする。
【0010】
レバーを介して複数のコネクタを相手側コネクタに一度に嵌合するに際して、予めコネクタホルダに備わったコネクタ挿入検知用突起によりこの複数のコネクタがコネクタホルダに正しく挿入されているか否かを判断できるので、レバーを回動することで複数のコネクタを相手側コネクタに確実に嵌合することができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載のレバー式低嵌合コネクタは、請求項1に記載のレバー式低嵌合コネクタにおいて、前記複数のコネクタには端子が正しく挿入されたことを検知する端子挿入検出片が備わり、前記複数のコネクタを前記コネクタホルダに挿入した際、端子半挿入状態で当該端子挿入検出片が前記コネクタ挿入検知用突起と干渉して端子半挿入状態を知らせることを特徴とする。
【0012】
かかる端子挿入検出片を複数のコネクタに備えることで、端子が半挿入状態でオスメスコネクタが嵌合するのを防止できる。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載のレバー式低嵌合コネクタは、請求項1又は請求項2に記載のレバー式低嵌合コネクタにおいて、前記コネクタホルダへの前記複数のコネクタ挿入時に前記レバーが当該複数のコネクタに干渉しない角度で当該レバーが前記コネクタホルダの収容溝に仮係止可能なことを特徴とする。
【0014】
複数のコネクタをコネクタホルダに挿入する際にレバーが干渉してコネクタ挿入の邪魔になることがなく、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるレバー式低嵌合コネクタによると、各コネクタのコネクタホルダへの半挿入状態や複数のコネクタへの端子半挿入状態を確実に検出することができ、全てのコネクタがコネクタホルダに正しく挿入された状態でレバーを回動させて一度にコネクタ嵌合を行うようにできる。
【0016】
また、各コネクタをコネクタコネクタに挿入する際にレバーが邪魔にならないようにしてコネクタ嵌合作業を行いやすくする
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかるレバー式低嵌合コネクタ1について図面に基づいて説明する。
【0018】
本発明の一実施形態にかかるレバー式低嵌合コネクタ1は、メスコネクタ30及び積層コネクタ40と、これらのメスコネクタ30及び積層コネクタ40を保持可能なコネクタホルダ10と、当該コネクタホルダ10に回動可能に組み付けられたレバー20と、複数のメスコネクタ30及び積層コネクタ40と嵌合可能な1個のオスコネクタ50よりなる。
【0019】
以下にこれらの各々の部品について詳細に説明する。まず、コネクタホルダ10について説明する。図1乃至図4はコネクタホルダ10を示す斜視図である。なお、図2は図1のII-II断面を示している。また、図3は誤嵌合防止のために設けた2種類のコネクタホルダ10の一方を下側から見た斜視図である。また、図4は誤嵌合防止のために設けた2種類のコネクタホルダ10の他方を下側から見た斜視図である。
【0020】
コネクタホルダ10は、製造時に成型しやすく長期間使用可能な十分に強度のある樹脂材でできており、2個のメスコネクタ30を取付け可能なように並列配置された一対の第1のコネクタ保持部11と、1個の積層コネクタ40を取付け可能な第2のコネクタ保持部12を有している。また、一対の第1のコネクタ保持部11の中央部分には後述するレバー20を収容可能なレバー収容溝14が形成されており、この部分に一枚板状のレバー20が取付けられるようになっている。
【0021】
レバー収容溝内部の一方の壁部には、図2に示すように、壁部中央にレバー20を組み付けるためのレバー保持軸14aが突設するとともに、レバー保持軸14aの側方で一定距離離間した位置にレバー20を第1の仮係止位置及び第2の仮係止位置で係止させるレバー仮係止用ピン14bが突設している。なお、レバー保持軸14aにはレバー20を取付けやすくするためテーパ部14tが軸先端面に形成されている。なお、テーパ部14tは、レバー20が挿入されるコネクタホルダ10のレバー収容溝開口部側の半円部分がレバー収容溝開口部に向かうに従ってレバー保持軸14aの高さが低くなるように形成されている。これにより、レバー20をレバー収容溝14に押し込むと、レバー20の一部がレバー保持軸14aを乗り越え、レバー20の回転軸孔22とレバー保持軸14aを係合させた状態でレバー20をコネクタホルダ10に取付け可能としている。また、コネクタホルダ10のレバー収容溝側方にはレバー20を第2の仮係止位置で固定する為の片持ち梁状のレバー係止爪14cがその自由端部がレバー収容溝14のレバー挿入開口部に向かうように形成されている。
【0022】
また、複数個(本実施形態の場合、2つ)のコネクタホルダ10をオスコネクタ50に嵌合させることから、第1のコネクタ保持部11と第2のコネクタ保持部12との間に2つのコネクタホルダ10がオスコネクタ50に左右逆状態で誤結合されるのを防止するホルダ誤結合防止溝15が形成されている。なお、ホルダ誤結合防止溝15はコネクタホルダ10の両側面からコネクタホルダ10の中央に向かって形成されており、その溝断面形状はコネクタ保持部11,12の並び方向に関して互いに非対称に形成されている。また、誤結合防止溝15にはその溝形成方向ほぼ中央部分に嵌合仮係止片15aが形成され(図5及び図6参照)、これにより後述するオスコネクタ50にコネクタホルダ10を挿入する際にオスコネクタ50にコネクタホルダ10を仮係止可能となっている。
【0023】
また、第1のコネクタ保持部11の中央側内壁下部にはコネクタ係合凸部(挿入検知用突起)17が複数並列に形成されており、第1のコネクタ保持部2にメスコネクタ30が挿入される際にメスコネクタ30に対してコネクタ係合凸部17がリテーナの働きをするようになっている。すなわち、メスコネクタ30に端子が半挿入されたままとすると、メスコネクタ30がコネクタホルダ10の第1のコネクタ保持部11に完全に挿入できずにメスコネクタ30への端子半挿入状態を検知するようになっている。また、第1のコネクタ保持部11には当該コネクタ保持部11に挿入されたメスコネクタ30を係止するための一対のホルダ係止片11aが形成されている。
【0024】
一方、第2のコネクタ保持部12の内部にも、後述する積層コネクタ40を整列状態で挿入可能とする凸状部12aが当該保持部内壁面であってコネクタ保持部配列方向両側に形成されている。また、第2のコネクタ保持部12の内壁面には第2のコネクタ保持部12に挿入された積層コネクタ40を係止するためのホルダ係止片12b(図2参照)が形成されている。
【0025】
なお、オスコネクタ50に挿入される2つのコネクタホルダ10に関しては、図3及び図4からわかるように、コネクタホルダ10がオスコネクタ50に左右逆に誤結合するのを防止するホルダ誤結合防止溝15以外の構成部分に関して、1つのオスコネクタ50に挿入される2つのコネクタホルダ10は同一形状かつ同一寸法を有している。
【0026】
続いて、レバー20の構造について説明する。図7はレバー20の斜視図であり、図8は図7のレバー20を反対側から見た斜視図である。レバー20も、製造時に成型しやすく長期間使用可能な十分に強度のある樹脂材でできており、一方の隅部に指掛け部21を備えた略矩形の一枚の板状体からなり、中央部近くには回転軸孔22が形成され、回転軸孔22にコネクタホルダ10のレバー保持軸14aが係合するようになっている。そして、回転軸孔22にコネクタホルダ10のレバー保持軸14aが係合した状態でこの係合部分がレバー20を梃子と考えた場合の支点になる。
【0027】
また、レバー20の一側側面であって回転軸孔22の近くには回転軸孔廻りに円弧状をなす所定長さのレバー仮係止溝23がレバー20を貫通しないように形成されている。なお、レバー仮係止溝23の両端にはレバー仮係止のための孔断面が円状の第1の仮係止用貫通孔23aが形成されるとともに、孔断面が楕円状の第2の仮係止用貫通孔23bが形成されている。そして、レバー保持軸廻りのレバー20の回動によりレバー仮係止溝23内をコネクタホルダ10のレバー仮係止用ピン14bが相対的に移動可能となっている。そして、レバー仮係止用ピン14bがレバー仮係止溝23を相対移動してレバー仮係止溝一端の第1の仮係止用貫通孔23aにレバー仮係止用ピン14bが嵌合することにより、第1の仮係止位置でレバー20が仮係止されるとともに、レバー仮係止溝他端の第2の仮係止用貫通孔23bにレバー仮係止用ピン14bが嵌合することにより、第2の仮係止位置でレバー20が仮係止するようになっている。
【0028】
一方、レバー周縁の一部には切欠き部がコネクタ低嵌合溝24として形成されている。コネクタ低嵌合溝24は後述するオスコネクタ50の低嵌合カム突起51aと噛み合い、レバー20を回動することによりコネクタホルダ10とともに複数のメスコネクタ30及び積層コネクタ40をオスコネクタ側に移動させてコネクタ同士を低嵌合力で嵌合させる役目を果たしている。即ち、レバー20を梃子と考えた場合、コネクタ低嵌合溝24と低嵌合カム突起51aの噛み合う部分が作用点の役割を果たすようになっている。また、レバー周縁隅部のコネクタ低嵌合溝24と反対側には指で力を加えてレバー20をレバー保持軸廻りに回動させるための指掛け部21が形成されている。なお、指掛け部21にはレバー回動時に指のすべりを防止するための突条部21aが並列に複数形成されている。そして、レバー20を梃子と考えた場合、指掛け部21が力点に相当する。また、指掛け部21のすぐ下にはオスメスコネクタ嵌合終了時、レバー20をオスコネクタ50に係止させるための可撓性のレバーロック片25(図8参照)が形成されるとともに、レバーロック片25の一部にレバーロック爪26が形成されている。
【0029】
続いて、コネクタホルダ10のコネクタ保持部11に挿入されるコネクタであってオスコネクタ50との間で比較的大きな嵌合力を必要とするメスコネクタ30について説明する。図9はかかるメスコネクタ30の斜視図であり、図10はメスコネクタ30を図9の反対側から示した斜視図である。メスコネクタ30も製造時に成型しやすく長期間使用可能な十分に強度のある樹脂材でできており、薄型直方体形状を有し、内部に端子収容部を並列配置するとともに一方の端面に端子挿入用開口部30aが複数並列に形成され、端子挿入用開口部30aと反対側にオスコネクタ50の端子挿入口(図9及び図10では図示せず)が形成されている。なお、メスコネクタ30の側部には、図10に示すように、可撓性を有した片持ち梁状のハウジングランス(端子挿入検出片)31が並列に形成されており、ワイヤハーネス(電線)に取付けられた図示しない端子が図9及び図10において図中上方から挿入され、端子の一部がハウジングランス31で係止されるようになっている。そして、メスコネクタ30をコネクタホルダ10の第1のコネクタ保持部11に挿入すると、コネクタホルダ10に形成されているコネクタ係合凸部17がハウジングランス31に重なる位置まで達する。そして、端子がメスコネクタ30に正しく挿入されている場合はハウジングランス31が正規の撓み状態を維持してハウジングランス31がコネクタ係合凸部17に正しく係合する。一方、端子がメスコネクタ30に半挿入の場合はハウジングランス31が異常に撓んでハウジングランス31がコネクタ係合凸部17に係合せず、これによりメスコネクタ30への端子の完全或いは不完全挿入を確認できるようになっている。
【0030】
また、メスコネクタ30の両側面にはコネクタホルダ10との係り部32が形成されており、係り部32とコネクタホルダ10のホルダ係止片11a(図1参照)とが協働してメスコネクタ30をコネクタホルダ10に係止するようになっている。
【0031】
続いて、コネクタホルダ10の第2のコネクタ保持部12に挿入される積層コネクタ40について図11乃至図15に基づいて説明する。なお、図11及び図12は2層目より上層に積層されるコネクタ42であり、図13、図14及び図15は積層した図11及び図12に示した複数のコネクタの両最外層に組み付けるコネクタ41,43を示した斜視図である。なお、図12及び図14は各々図11及び図13のコネクタ41,42を反対面から見た斜視図である。積層コネクタ40を構成する各コネクタ41〜43は、製造時に成型しやすく長期間使用可能な十分に強度のある樹脂材でできており、薄型直方体形状を有し、内部に端子収容部を並列配置するとともに一方の端面にはメスコネクタ端子挿入用開口部40aが形成され、メスコネクタ端子挿入用開口部40aと反対側にはオスコネクタの端子挿入口(図示せず)が形成されている。なお、積層コネクタ40は、積層前の各コネクタ42にワイヤハーネスの端子(図示せず)を挿入後に各コネクタ42及びコネクタ41,43を積層していくことで積層コネクタ40として端子の多極化を可能にしている。
【0032】
また、各コネクタには二次係止突起40c(図12参照)と二次係止挿入孔40d(図11参照)が形成され、各コネクタ41〜43を積層していく段階で重なり合う隣接した各コネクタ41〜43の二次係止突起40cと二次係止挿入孔40dが互いに係合するようになっている。また、各コネクタには層間ロック40e(図12参照)と層間ロック係り部40f(図11参照)が形成され、各コネクタ41〜43を積層していく段階で重なり合う隣接した各コネクタ41〜43の層間ロック40eと層間ロック係り部40fが互いに係合するようになっている。なお、二次係止突起40cは端子不完全挿入の有無の確認を行うとともに、ハウジングランス31の強度を補強する役目も果たしている。
【0033】
各コネクタ41を積層するに当たって、図13及び図14に示したコネクタ41を1層目とし、これに図11及び図12に示すコネクタ42を所要個数積層し、最後に図15に示すコネクタ43を組み付けて積層コネクタ40を完成させるようになっている。
【0034】
続いて、オスコネクタ50について説明する。図16はオスコネクタ50の斜視図を示している。オスコネクタ50も製造時に成型しやすく長期間使用可能な十分に強度のある樹脂材でできており、薄型直方体形状を有し、2つのコネクタホルダ10を所定の並びで挿入可能なコネクタホルダ挿入部51がオスコネクタ50の幅方向に2つ並んで形成されている。そして、オスコネクタ50にはコネクタホルダ10をオスコネクタ50に挿入する時にコネクタ左右誤結合を防止する為の誤結合防止壁52が各コネクタホルダ挿入部51に形成されている。これによって、誤結合防止壁52と左右のコネクタホルダ10にそれぞれ異なる形状で形成された誤結合防止溝15とが合致しないと、メスコネクタ30及び積層コネクタ40の挿入されたコネクタホルダ10を正しい並びでオスコネクタ50に挿入できないようになっている。
【0035】
また、オスコネクタ50のコネクタホルダ挿入部51にはその一方の側壁に低嵌合カム突起51aがそれぞれ突設しており、レバー20を回動することで低嵌合カム突起51aがコネクタホルダ10のレバー20に備わったコネクタ低嵌合溝24に噛み合い、更にレバー20を回動することでこの噛み合い部分がいわゆる梃子の作用点になり、コネクタ同士を低嵌合力で嵌合させるようになっている。
【0036】
また、オスコネクタ50の底面にはオス端子を挿入できる端子挿入孔51bが複数並んで形成されるとともに、端子こじり防止のための凸状壁51cが形成されている。また、コネクタホルダ挿入部51の内壁にはロック爪係り部55が形成されるとともに、仮係止解除片56が形成されている。また、誤結合防止壁52には嵌合仮係止溝57が形成されている。
【0037】
なお、本実施形態においては上述したように、メスコネクタ30及び積層コネクタ40を取付けたコネクタホルダ10をオスコネクタ50に2つ組み付け可能な構造として示している。しかしながら、このようにメスコネクタ30及び積層コネクタ40を取付けた2つのコネクタホルダ10をオスコネクタ50に組付けることに限定する必要はないことは言うまでもない。
【0038】
続いて、かかる構造を有するレバー式低嵌合コネクタ1の組み付け及びコネクタ同士の嵌合の仕方について説明する。まず、図17に示すように、レバー20をコネクタホルダ10に組み付ける。この組み付けにあたって、レバー20をコネクタホルダ10のレバー収容溝14の前面開口部からレバー収容溝内に押し込むことで、レバー20の一部をレバー保持軸14aのレバー誘い込み用のテーパ部14t(図2参照)を乗り越えさせる。そして、レバー20をコネクタホルダ10のレバー収容溝14にさらに押し込むことで、レバー保持軸14aにレバー20の回転軸孔22を係合させるとともに、コネクタホルダ10のレバー仮係止用ピン14b(図2参照)をレバー仮係止溝23(図7参照)に係合させ、レバー保持軸14を梃子の支点としてレバー仮係止用ピン14bが仮係止溝23で移動を制限される範囲でレバー20をコネクタホルダ10に回動自在に組み付ける。
【0039】
図17は、コネクタホルダ10にレバー20を取付けた状態の断面形状を示した斜視図である。図17はレバー20が図中時計回りに回動してコネクタホルダ10のレバー仮係止用ピン14bがレバー20の第1の仮係止用貫通孔23aに入り込んで仮係止されている状態を示している。この第1のレバー仮係止状態においてコネクタホルダ10にメスコネクタ30を挿入可能となる。すなわち、レバー仮係止用ピン14bと第1の仮係止用貫通孔23aとが係合してレバー20が第1のレバー仮係止状態を維持することで、レバー20がメスコネクタ30に干渉することなく複数の(本実施形態の場合、2つの)メスコネクタ30を第1のコネクタ保持部11に挿入することができる。なお、図18はレバー20を回動させて第1の仮係止位置で仮係止し、メスコネクタ30をコネクタホルダ10に挿入する直前の状態を示している。この状態で第1のコネクタ保持部11に2つのメスコネクタ30を挿入する。
【0040】
続いて、コネクタホルダ10に2つのメスコネクタ30を挿入する作業について説明する。なお、コネクタホルダ10に2つのメスコネクタ30を挿入するに先立って、メスコネクタ30にワイヤハーネスの端子を予め挿入しておく。ここでは、メスコネクタ30に端子が完全挿入された場合においてハウジングランス31が正規の状態を維持するようになっている。その結果、図19及び図20に示すように、メスコネクタ30にすべての端子が完全挿入されていると、メスコネクタ30をコネクタホルダ10の第1のコネクタ保持部11に挿入した場合、コネクタホルダ10のフロントリテーナとしてのコネクタ係合凸部17がハウジングランス31に正規の状態で係合し、メスコネクタ30がコネクタホルダ10に所定位置まで挿入可能となる。一方、仮にメスコネクタ30に不完全挿入の端子が少なくとも1つあると、コネクタホルダ10に形成しているコネクタ係合凸部17とメスコネクタ30のハウジングランス31が干渉し、メスコネクタ30はコネクタホルダ10の第1のコネクタ保持部11に所定の位置まで完全挿入できなくなる。これによって、全ての端子がメスコネクタ30に完全挿入されているか少なくとも1つの端子が不完全挿入されているかを外部から容易に確認できる。
【0041】
図21は一方のメスコネクタ30がコネクタホルダ10の第1のコネクタ保持部11に挿入された状態を示している。また、図22はレバー20を同図で見て時計方向に回動させて第2の仮係止状態にし、コネクタホルダ10の第2のコネクタ保持部12に積層コネクタ40を挿入できる状態にした時の斜視図である。また、図23は図22の状態を断面で示した斜視図である。
【0042】
図21に示す状態から2つのメスコネクタ30をコネクタホルダ10に挿入した後、図22及び図23に示すように、レバー20を回動させて第2の仮係止位置にレバー20を位置決めする。図22及び図23に示すように、図17に示すレバー20の第1の仮係止状態から図17においてレバー20を反時計方向に回動させると、コネクタホルダ10のレバー仮係止用ピン14bがレバー20の第2の仮係止用貫通孔23b(図7参照)に入り込む。これと同時にコネクタホルダ10に形成されているレバー係止爪14c(図1参照)とレバー20のホルダ仮係止爪受け部27(図7参照)とを係合させることで、レバー20がコネクタホルダ10に第2の係止位置で仮係止する状態に至る。この状態では第2のコネクタ保持部12の開口部上方にレバー20が位置しなくなるので、積層コネクタ40を第2のコネクタ保持部12に容易に挿入できる。
【0043】
続いて、レバー20を用いたコネクタ同士の低嵌合作業について説明する。以上のようにメスコネクタ30及び積層コネクタ40を取付けたコネクタホルダ10をオスコネクタ50に挿入すると、オスコネクタ50の嵌合仮係止溝57(図16参照)とコネクタホルダ10のホルダ係止片11a,12b(図1参照)が噛み合うと共に、オスコネクタ50の壁内部に形成された仮係止解除片56(図16参照)がコネクタホルダ10のレバー係止爪14c(図1参照)を撓ませてレバー仮係止を解除する。これによって、レバー20は第2の仮係止位置からさらに回動可能となる。その後に指掛け部21をオスコネクタ側に押し付けてレバー20をレバー保持軸廻りに回動させることで、レバー保持軸14aを梃子の支点、指掛け部21を力点、コネクタ低嵌合溝24を作用点としてレバー20が回動する。この際、レバー保持軸14aと指掛け部21間の距離の方がレバー保持軸14aとコネクタ低嵌合溝24間の距離よりも大きいので、多数の端子を有するメスコネクタ30と積層コネクタ40を梃子の原理により低嵌合力でオスコネクタ50に一度に嵌合させることができる。そして、オスコネクタ50のロック爪係り部55(図16参照)にレバーロック爪26(図8参照)を係止させることにより全ての嵌合作業が終了する。
【0044】
なお、一度嵌合させたコネクタ同士の嵌合を解除する場合は、レバー20を逆方向に回動させれば良い。これによって、上述した梃子の原理により複数のメスコネクタ30と積層コネクタ40を一度に低嵌合力でオスコネクタ50から嵌合解除させることができる。複数のメスコネクタ30と積層コネクタ40の端子とオスコネクタ50の端子とが嵌合解除した後にオスコネクタ50をコネクタホルダ10から引き離すとともに、レバー20を第2の仮係止位置に位置させた状態で積層コネクタ40をコネクタホルダ10から抜き去る。そして、レバー20を第1の仮係止位置まで回動させた後、メスコネクタ30をコネクタホルダ10から全て抜き去ることでコネクタ嵌合解除作業を簡単に終えることができる。
【0045】
以上説明したように、コネクタホルダ10に取付けたレバー20の回動により複数のコネクタ30,40を低嵌合力で同時に嵌合させることが可能となることに加えて、本発明にかかるレバー式低嵌合コネクタ1は、別個のサブハーネス毎に別れている複数のコネクタ30,40をコネクタホルダ10に別々に取付けることができる為、ハーネス製造時の作業が容易になる。
【0046】
また、コネクタホルダ10にリテーナ機能を有するコネクタ係合凸部17を形成させておくことにより、従来のコネクタのように直接リテーナを嵌めこんで行う方式に比較して部品点数を少なくすることができる。なお、ヒンジを介してコネクタと一体をなすようにリテーナをコネクタと一体成形したものも従来から使用されているが、ヒンジ付きにすると成形金型が複雑になるという欠点がある。一方、このような従来例と比較して本発明にかかるレバー式低嵌合コネクタはコネクタホルダにリテーナ機能部を簡単な形状で形成可能であり、金型も複雑になることはなくコスト低減に貢献する。
【0047】
また、一枚板からなるレバーをコネクタホルダの中央部にそなえることで、コネクタ両側面に跨った形状のレバーを備えた従来のコネクタと比較してコネクタ幅を小さくでき、これに対応して相手側コネクタの幅も同様に小さくでき、コネクタ全体の小型化を図ることが可能となる。
【0048】
なお、上述の実施形態においては、複数のメスコネクタをコネクタホルダに挿入し、その後にコネクタホルダをオスコネクタに挿入してレバーでコネクタ同士を嵌合する形態をとっていたが、必ずしもこれに限定されず、複数のオスコネクタをコネクタホルダに挿入し、その後にコネクタホルダをメスコネクタに挿入してレバーでコネクタ同士を嵌合する形態をとっても良い。
【0049】
また、嵌合されるコネクタの個数は上述の実施形態に限定されるものでないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態にかかるレバー式低嵌合コネクタのコネクタホルダの斜視図である。
【図2】図1のII-II断面を示した斜視図である。
【図3】誤嵌合防止の為に備えた2種類のコネクタホルダの一方を下側から見た斜視図である。
【図4】誤嵌合防止の為に備えた2種類のコネクタホルダの他方を下側から見た斜視図である。
【図5】図1とは別の角度から見たコネクタホルダの斜視図である。
【図6】図4とは別の角度から見たコネクタホルダの斜視図である。
【図7】本実施形態にかかるレバー式低嵌合コネクタのレバーの斜視図である。
【図8】図7のレバーを反対側から見た斜視図である。
【図9】本実施形態にかかるコネクタ保持部に挿入されるメスコネクタの斜視図である。
【図10】図9に示したメスコネクタを図9の反対側から見た斜視図である。
【図11】本実施形態にかかるコネクタ保持部に挿入される積層コネクタの一部であって2層目以降に使用するコネクタを示す斜視図である。
【図12】図11に示したコネクタを反対側から見た時の斜視図である。
【図13】図11のコネクタを積層した際、当該コネクタの最下層に組み付けるコネクタを示した斜視図である。
【図14】図13に示したコネクタを反対側から見た時の斜視図である。
【図15】積層した図11のコネクタの最上層に組み付けるコネクタを示した斜視図である。
【図16】本実施形態にかかるオスコネクタの斜視図を示している。
【図17】図1のコネクタホルダに図8のレバーを取付けた状態の断面形状を示した斜視図であり、レバーが第1の仮係止状態にある図である。
【図18】本実施形態にかかるレバーを第1の仮係止状態で仮係止し、メスコネクタをコネクタホルダに挿入できる状態を示した図である。
【図19】本実施形態にかかるレバー及びメスコネクタを一部取付けたコネクタホルダを上面からみた図である。
【図20】図19のXX-XX断面であり、コネクタホルダに形成されたコネクタ係止凸部とコネクタのハウジングランスとの関係を示している。
【図21】本実施形態にかかるメスコネクタがコネクタホルダのコネクタ保持部に挿入された状態を示した図である。
【図22】本実施形態にかかるレバーを図中時計方向に回動させて第2の仮係止状態で仮係止し、積層コネクタをコネクタホルダに挿入できる状態にした斜視図である。
【図23】レバーがコネクタホルダ間で第2の仮係止状態にある図であり、図22の状態を断面で示した斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 レバー式低嵌合コネクタ
10 コネクタホルダ
11 第1のコネクタ保持部
11a ホルダ係止片
12 第2のコネクタ保持部
12a 凸状部
12b ホルダ係止片
14 レバー収容溝
14a レバー保持軸
14b レバー仮係止用ピン
14c レバー係止爪
14t テーパ部
15 ホルダ誤結合防止溝
15a 嵌合仮係止片
17 コネクタ係合凸部(挿入検知用突起)
20 レバー
21 指掛け部
21a 突条部
22 回転軸孔
23 レバー仮係止溝
23a 第1の仮係止用貫通孔
23b 第2の仮係止用貫通孔
24 コネクタ低嵌合溝
25 レバーロック片
26 レバーロック爪
27 ホルダ仮係止爪受け部
28 係り部
30 メスコネクタ
30a 端子挿入用開口部
31 ハウジングランス(端子挿入検出片)
40 積層コネクタ
40a メスコネクタ端子挿入用開口部
40c 二次係止突起
40d 二次係止挿入孔
40e 層間ロック
40f 層間ロック係り部
41〜43 コネクタ
50 オスコネクタ
51 コネクタホルダ挿入部
51a 低嵌合カム突起
51b 端子挿入孔
51c 凸状壁
52 誤結合防止壁
55 ロック爪係り部
56 仮係止解除片
57 嵌合仮係止溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも何れか一方が複数のコネクタからなるメスコネクタ及びオスコネクタと、前記メスコネクタ及びオスコネクタを取付け可能なコネクタホルダと、前記コネクタホルダに取付けられるレバーとを有し、前記レバーが前記コネクタホルダの幅方向中央部に形成された収容溝に軸支されており、前記複数のコネクタの少なくとも一部が前記レバーを挟むように前記コネクタホルダに取付けられ、当該レバーを回動することによって前記複数のコネクタを相手側コネクタに嵌合可能としたレバー式低嵌合コネクタであって、
前記コネクタホルダには前記複数のコネクタが当該コネクタホルダに正しく挿入していることを検知する挿入検知用突起が一体に形成されていることを特徴とするレバー式低嵌合コネクタ。
【請求項2】
前記複数のコネクタには端子が正しく挿入されたことを検知する端子挿入検出片が備わり、前記複数のコネクタを前記コネクタホルダに挿入した際、端子半挿入状態で当該端子挿入検出片が前記コネクタ挿入検知用突起と干渉して端子半挿入状態を知らせることを特徴とする、請求項1に記載のレバー式低嵌合コネクタ。
【請求項3】
前記コネクタホルダへの前記複数のコネクタ挿入時に前記レバーが当該複数のコネクタに干渉しない角度で当該レバーが前記コネクタホルダの収容溝に仮係止可能なことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のレバー式低嵌合コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−4894(P2006−4894A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183060(P2004−183060)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】