説明

レリーフ画像を形成するためのマスクフィルムおよび使用方法

マスク形成性フィルムは、画像形成可能層とキャリアシートとの間に透明層を有し、この透明層は、キャリアシートの屈折率より、又はこれとキャリアシートとの間の任意選択の直接隣接した層の屈折率より小さい(少なくとも0.04小さい)屈折率を有する。この低屈折率層は、レリーフ画像固体領域中により急勾配の肩角を与えるように、マスク画像転写中の入射輻射線の経路を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク画像を形成できるフィルム又は要素であって、形成されたマスク画像を、次にレリーフ画像を有する画像形成された要素を形成するのに使用できるフィルム又は要素に関する。特に、本発明は、フレキソ印刷版の作成に容易に有用なマスク形成性フィルムと、このような版の製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
表面にレーザーアブレーション可能マスク層を有する輻射線感受性要素は、当該分野で公知である。このような要素中には、デジタルネガ画像又は他の画像形成された要素もしくはマスキング装置を使用しなくても、レリーフ画像を作成することができる。レーザーアブレーション可能なマスク層を有するフィルムは、まずフィルムにレーザー輻射線(一般的には、コンピューター制御下の赤外線レーザー)を像様露光して、露光領域のマスク層を選択的に除去することにより形成できる。次に、このマスキングフィルムを輻射線感受性要素に接触させ、化学線(例えば紫外線)で全体露光をして、マスクされなかった領域の輻射線感受性要素を硬化させ、こうして要素中にマスクのネガ画像を形成する。次に、マスク層を含むフィルムと画像形成された輻射線感受性要素(例えば画像形成された印刷版原版)は、溶媒現像される。露光されていない印刷版領域とマスク層は完全に現像除去され、乾燥後、得られた画像形成された要素は、例えばフレキソ印刷版として有用である。
【0003】
完全なレーザーアブレーション可能なマスク層を有するフレキソ印刷版は、レーザーを使用する直接的な像様露光を可能にし、別のマスキング装置を必要としないが、このシステムは画像形成輻射線に対して感度が低いため、一般的に時間がかかり過ぎる。マスク層の赤外線感受性を上昇させてこの問題を克服するために、業界では種々の試みがなされている。しかし、大きく変化する品質基準を同時に満足しなければならないために、さらなる高感度を得ることは難しい課題である。さらにこのアプローチは、特にフレキソグラフ物品の画像形成用に構成された、高出力レーザーを備えた画像形成装置の使用が必要である。特定の使用目的によりフレキソ版の厚さを変える必要があるため、一体マスクアプローチには2つ以上の画像形成装置が必要な場合がある。
【0004】
マスキングフィルムを製造し使用する技術の重要な進歩は、米国特許出願第2005/0227182号(Aliら、以下「US’182」として引用する)に記載されている。記載された方法は、高い画像形成感度のために、極めて短い時間でマスク画像を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第2005/0227182号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
US’182に記載されたようなレリーフ画像形成法は、極めて短い時間でマスク画像を与えるため、マスクフィルムのキャリアシートを介して紫外線(UV)露光が行われると、得られる肩角(shoulder angle)は所望の角度より小さくなることが観察されている。これは、印刷された画像のより高レベルのハレーションを与える。高レベルのハレーションは、印刷中のより大きな印刷圧力で、特に顕著である。
【0007】
印刷では、フレキソ印刷版の表面品質と性質は、重要な特性である。実際には、高品質印刷画像のハイライトドット、例えば1%〜5%ドット(ここで%は、印刷インクでカバーされる紙の量を示す)のような小さな特徴を維持又は充分に硬化するために、しばしば長い露光時間が必要である。しかし、過剰露光は、リバースラインや影部分をふさいでしまう。従って、過剰露光は画像品質を低下させる。
【0008】
「露光ラチチュード」という用語は、無視できるほど小さい画像品質の低下で感光性要素を過剰露光できる程度を示す。露光ラチチュードはさらに、低光量スループットフィーチャー(例えば1〜2%ドット)と高光量スループットフィーチャー(例えば4ミルのリバースライン)とを、フレキソ版上に同時に画像形成できる能力として定義することができる。大きい露光ラチチュードを有する感光性フレキソ印刷版は、前面像様露光中に使用される実際の露光時間に対してより寛容的であり、従って、使用し易いため、好ましい。
【0009】
フレキソ印刷においてハレーションはよく知られている。米国特許第6,864,039号(Cheng Lap Kinら)は、光重合性媒体の非画像形成領域内で紫外線の散乱により引き起こされるハレーションを記載している。ほとんどすべての不均一な光架橋性組成物はある程度の光の散乱を示すため、長時間の像様露光は高レベルのバックグランドの化学線散乱を引き起こし、これは像様輻射線に露光されなかった領域のポリマーの架橋又は硬化を引き起こすのに充分である。このような不要な架橋の全体的作用は、べた画像領域の周りの「ハロー」である細かいネガ画像の穴埋めである。ハロはフレキソ印刷版の印刷品質を低下させ、目的とするものより大きな画像ドット形成物であるドットゲインに関連している。この特許は、散乱光に対する抵抗性を高めるための、光ポリマー組成物における光漂白性化合物の使用を開示している。
【0010】
米国特許第5,496,685号(Farber ら)もまた、シャローレリーフを引き起こす、印刷要素の支持体からの光の過度の散乱又は不規則な反射により引き起こされるハレーションを記載している。これはまた、露光ラチチュードを改善するために、化学線吸収体の使用を教示している。
【0011】
欧州特許出願第0504824号明細書(Swatton ら)には、光ポリマーの支持体におけるハレーション防止剤の使用が記載されている。このハレーション防止剤は、化学線吸収体である。
【0012】
ハレーションの別の原因は、露光中の低角入射放射線の存在であり、これは露光領域の端のマスクの下の光ポリマーに入ることがあり、肩角を低下させる。平均肩角が50°未満に下がると、レリーフ鮮鋭度の喪失がますます顕著になり、平均肩角が40°未満に下がると、印刷安定性と鮮鋭度がかなり失われる。平行光源は、低角入射光のレベルを減少させることにより、ハレーションを減少させる。しかし平行光源は、通常使用される点光源又はバンク光源より、使用するのに高価である。
【0013】
不要な入射光又は分散光を制御するために写真用ハロゲン化銀フィルムに低屈折率ハレーション防止層を加えることは、米国特許第2,481,770号(Nadeau)に記載されている。しかし、フレキソ印刷版を得るための、マスキングフィルムにおけるこのような層の使用は、知られていない。
【0014】
レリーフ画像が主に少なくとも50°の肩角を有するように、フレキソ印刷版原版のような画像形成された要素中のレリーフ画像の作成における、低角入射放射線により引き起こされる問題を解決する必要がある。また、影画像及びリバースラインを劣化させることなく、小さなドットが版上に保持できるように、露光ラチチュードを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの問題に対処するために本発明は、透明なキャリアシートと、ポリマーバインダー中に分散された赤外線吸収性化合物とを含むフィルムであって、前記キャリアシート上に少なくとも1つの非ハロゲン化銀の感熱性画像形成可能層を有し、当該画像形成可能層中又は前記キャリアシートと当該画像形成可能層との間の異なる層中に配置された着色剤を有し、
当該フィルムは、前記キャリアシートと前記画像形成可能層との間、かつ、前記キャリアシートと前記着色剤を含む層との間に配置された透明層をさらに含み、当該透明層は、前記キャリアシートの屈折率又は前記キャリアシートと前記透明層との間の任意選択的な直接隣接した層の屈折率より小さい屈折率を有することを特徴とするフィルムを提供する。
【0016】
本発明はまた、レリーフ画像を作成する方法であって:
レリーフ画像の作成法であって:
A)画像形成されたフィルム中に露光領域と非露光領域を形成することによりマスク画像を形成し[ここで画像形成前の前記フィルムは:
透明なキャリアシートと、ポリマーバインダー中に分散された赤外線吸収性化合物と、透明層とを含み、前記キャリアシート上に少なくとも1つの非ハロゲン化銀の感熱性画像形成可能層を有し、当該画像形成可能層中又はキャリアシートと当該画像形成可能層との間の異なる層中に配置された着色剤を含み、
前記透明層は、前記キャリアシートと前記画像形成可能層との間に配置されており、当該透明層は、キャリアシートの屈折率、又はキャリアシートと透明層との間の任意選択的な直接隣接した層の屈折率より小さい屈折率を有する]、
B)マスク画像と輻射線感受性要素との間に完全な光学的接触を実現したままで画像形成されたフィルム中のマスク画像を輻射線感受性要素に転写させ(例えば、貼合せにより)、
C)前記輻射線感受性要素を、前記マスク画像を介して硬化用放射線に露光して、画像形成された要素を形成し(ここで、前記マスク画像は前記硬化用放射線に対して不透明である)、
D)画像形成された要素を現像してレリーフ画像を形成する、
ことを含む方法を提供する。
【0017】
ある実施態様において、レリーフ画像を作成する方法は、キャリアシート上に順に:
a)フルオロエラストマーを含み、かつ、0.2〜10μmの厚さを有し、任意選択的に接着促進剤を含む前記透明層と、
b)ポリ(ビニルアルコール)を含み、かつ、0.2〜10μmの厚さを有し、任意選択的に接着促進剤を含む中間層と、
c)ポリ(シアノアクリレート)と赤外線吸収性染料とを含むバリア層と、
d)バインダー中に分散された赤外線吸収性染料および紫外線吸収性着色剤を含む画像形成可能層と、
e)メタクリル酸コポリマーとフルオロポリマー粒子とを含むオーバーコート層とを、
含む本発明のフィルムを使用し、
ここで、透明層は、キャリアシートの屈折率より少なくとも0.04小さい屈折率を有する。
【0018】
本発明は、改良されたマスク形成性フィルムと、半階調領域で所望の小ドット特徴を保持し、かつ良好なリバースライン深さを維持しながら、主に少なくとも50°の肩角を有する改良されたレリーフ画像を有する、改良された輻射線感受性要素(例えば、フレキソ印刷版)を提供するために、これを使用する方法とを提供する。輻射線感受性要素中にレリーフ画像を形成するために画像形成されたフィルム(マスキングフィルム)を使用する時、画像形成されたフィルムは、界面の空気、空きスペース、又はギャップを排除する(すなわち、「無空気(air-free)」界面)ように、要素と密接な又は完全な光学的接触下に置かれる。このようなギャップは、空気が存在しないように真空下でもよいが、真空下のこのようなギャップはまた、「無空気」界面とは見なされないであろう。
【0019】
本発明のユニークなフィルムはまた、マスクを介して露光中に、無空気界面で入射レリーフ形成性放射線の改変経路を与え、こうして入射放射線は、所望の角度で輻射線感受性要素に入るように正しく曲げられて、生じるレリーフ画像の画像形成領域の端の周りに、より急な肩角又は傾きを与える。
【0020】
本発明のユニークなフィルムは、高屈折率キャリアシートと低屈折率透明層との界面での全内面反射プロセスにより、放射線感受性材料への低角入射放射線の侵入を制限すると考えられる。それより大きいと全内面反射が起きる入射角(Φcritical)は、高屈折率キャリアシートと透明層の屈折率との差に依存し、スネルの法則(Snell's law)により計算され、関係式Φcritical=arcsin(RL/RH)(ここでRLは、低屈折率媒体の屈折率であり、RHは高屈折率媒体の屈折率である)により明確に示される。
【0021】
これらの改良は、本発明のフィルム中の画像形成可能層とキャリアシートとの間の、低屈折率を有する透明層を取り込むことにより達成される。取り込まれた透明層は、キャリアシート、又はキャリアシート側の透明層と直接接触している任意選択的な隣接層より小さい屈折率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1a】図1aは「急勾配の」肩角(例えば少なくとも50°)を有するレリーフ画像中の固体隆起印刷領域の略断面図である。
【図1b】図1b「浅い」肩角(例えば50°未満)を有するレリーフ画像中の固体隆起印刷領域の略断面図である。
【図2】図2は、発明例1および2並びに比較例1で得られた、固体端からの距離(μm)に対するレリーフ高さ(μm)のグラフ表示である。
【図3a−3b】図3aおよび図3bは、後述の発明例1と比較例1で得られた、レリーフ画像の実際の顕微鏡画像の断面図である。
【図4】本発明の「肩角」(θ)の定義を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義:
特に明記しない場合は、本明細書に記載の「フィルム」は本発明の実施態様である。このフィルムはまた「マスク要素」、「マスクフィルム」、又は「マスキング要素」とも呼ぶ。画像形成されると、フィルムは「マスク」、「画像形成されたフィルム」、又は「画像形成されたマスキングフィルム」とも呼ばれ、「マスク画像」を含む。
【0024】
特に明記しない場合は、百分率は質量百分率である。
【0025】
本明細書で使用される「輻射線感受性要素」という用語は、画像形成されたマスキングフィルムを通して露光することによりレリーフ画像を生成することのできる、任意の画像形成された要素又は材料を包含する。輻射線感受性要素の例としては、フレキソ印刷版原版、プリント回路基板、及び平版印刷版原版が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「アブレーティブ(ablative)」とは、画像形成可能層中に急速な局所的変化を引き起こして画像形成可能層中の物質を層から射出させる、レーザー光のような熱アブレーション手段を使用して、フィルムの画像形成可能層を画像形成できることを意味する。これは、物理的変化(例えば、溶融、蒸発又は昇華)ではなく化学的変化が主要な画像形成機構である点で、他の物質移動又は画像形成方法とは区別される。
【0027】
「光学的接触(optical contact)」とは、2つの層又は2つの要素(画像形成されたマスキングフィルムと輻射線感受性要素の場合のように)が密接に接触しており、従って接触表面間に基本的に空気ギャップ又は空隙が無く、すなわち「無空気界面」を与えることを意味する。より正確には2つの表面は、これらの界面の反射及び透過特性が、屈折率境界での光の反射と透過についてのフレネルの法則(Fresnel laws)により基本的に完全に説明される時、光学的接触状態にあるとして定義される。
【0028】
「肩角」は、例えば図4に例示されるように、平らな印刷表面と、隆起部の端の傾きとで規定される角度である。「主要な肩角が少なくとも50°」とは、レリーフ画像のある領域内で、固体の端の平均肩角が少なくとも50°で、好ましくは少なくとも55°であることを意味する。「平均肩角」とは、印刷表面から100マイクロメートルの深さまでの、端−壁の平均傾き角度を意味する。
【0029】
フィルム:
本発明のフィルムは、最終的にレリーフ画像を形成するのに使用されるマスク画像を形成するのに使用される。このフィルムは、透明キャリアシート上に配置される、1つ又はそれ以上の画像形成可能層と透明(低屈折率)層を含む、2つまたはそれ以上の層を含む。このフィルムは、1つ又はそれ以上のバリア層、中間層、接着層、又は上記のUS’182のマスキングフィルムにおいて当該分野で一般的に使用される他の層、を含む1つ又はそれ以上の他の層を含んでよい。1つ又はそれ以上の異なる画像形成法で、異なる構成のフィルムが使用される。
【0030】
キャリアシート:
キャリアシートは、任意の適切な透明な基材である。有用なキャリアシートとしては、透明ポリマーフィルム及びシート、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、及びフッ素ポリエステルポリマーを含むポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン類、ポリカーボネート類、ポリアクリレート放射能、ポリ塩化ビニル、及びこれらのコポリマー、並びに加水分解及び非加水分解酢酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、キャリアシートは20〜200μmの厚さである。例えば、Dupont Teijin Films (Hopewell, VA) により名称MELINEXで販売されている透明のポリ(エチレンテレフタレート)シートは、この目的に適している。
【0031】
必要であれば、キャリアシート表面は、その湿潤性と適用塗膜への接着性を修飾するように処理することができる。このような表面処理には、特に限定されないが、コロナ放電処理、及び下塗り層の適用がある。
【0032】
さらにキャリアシートは、層の種類や層の目的にかかわらず、キャリアシートと次の隣接層との接着を改良する1つ又はそれ以上の「接着促進剤」を含んでよい。有用な接着促進剤としては、ゼラチン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(アクリロニトリル−co−塩化ビニリデン−co−アクリル酸)及びポリエチレンイミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
透明層:
透明層は一般的に、まとめて、キャリアシート(又は、透明層とキャリアシートとの間の任意選択的な直接隣接する層)の屈折率より小さい屈折率を与える、1種又は2種以上のフィルム形成ポリマー材料から構成される。屈折率のこの差は、0.04と小さくてもよく、典型的には少なくとも0.08である。数百もの可能な材料が市販されているため、当業者は有用なポリマーのフィルム形成材料を容易に決定することができる。ある材料が有用かどうかを調べるために、屈折率は、例えば必要な波長範囲にわたって材料の薄い均一なフィルムのスペクトルスキャン中の干渉最大の位置を正確に測定することにより、その屈折率(当該分野で又は文献から公知でない場合)を決定することができる。次にこの屈折率を、その屈折率が当該分野で公知であるか又は上記したような公知の方法により決定することができるキャリアシート(又は任意選択的な中間層)の屈折率と、比較することができる。
【0034】
「透明」とは、一般的に0.3未満の透過光学濃度を有し、従って不透明とも半透明とも見なされない透明層を意味する。透明層は好ましくは、支持フィルム基材の屈折率より少なくとも0.08小さい屈折率を有する。
【0035】
使用可能なある部類のフィルム形成ポリマー材料としては、米国特許第5,176,972号(Bloom ら)に記載されたような1種又は2種以上のフルオロエラストマーが挙げられる。このようなポリマーには、以下の式:
CH2=CR−C(=O)−O−(CH2n−Y−T
(式中、nは1又は2であり、Rは水素又はメチル基であり、Yはペルフルオロアルキレン基であり、Tはフッ素もしくは−CF2H基である)を有するフッ素化アクリレートモノマー(例えば、1H,1H−ペンタデカ−フルオロオシルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタイルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、及びヘプタフルオロブチルアクリレート)から得られるフッ素化アクリレートポリマーがある。フッ素化単官能性アクリレートモノマーはまた、酸素、硫黄、及び窒素原子のようなヘテロ原子を含んでよく、例えば以下の式:
CH2=CR−C(=O)−O−(CH22−NR’−SO2−Z
[式中、ZはH(CF2mもしくはF(CF2mであり、ここでmは3〜12の整数であり、Rは水素もしくはメチル基であり、R’はアルキル基である]を有する。
【0036】
このようなモノマー又はそこから得られるポリマーは、3M Corporation (St. Paul, MN) を含む多くの販売業者から得ることができる。
【0037】
他の有用なフルオロエラストマーとしては、フルオロオレフィン類、例えばフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、及びテトラフルオロエチレンのターポリマー、2つまたはそれ以上のこのようなポリマーの混合物、又はこのようなコポリマーもしくはターポリマーとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)との混合物(ラテックスとして提供することができる)が挙げられる。これらのフルオロエラストマーのいくつかは、3M Corporationから入手できるか、又はこれらは、例えば米国特許第5,176,972号(上記)に記載の公知の条件を使用して公知のモノマーの共重合により調製することができる。このタイプの1つの具体的なコポリマーは、3M CorporationからFluorel FC-2175として入手可能である。
【0038】
あるいは、透明層は、それ自体は所望の屈折率を持たないフィルム形成ポリマー材料からなってよいが、艶消し剤、充填剤、マイクロカプセル、又は塩のような種々の非フィルム形成材料を、バインダーとして作用するフィルム形成材料中に分散して、所望の屈折率を与えることができる。このような分散添加剤の例は米国特許第2,481,700号(Kuan-han Sun ら)に記載されており、特に限定されないが、NaBF4及びポリ(ビニルアルコール)に分散されたNH4BF4、及び適当なバインダー中に分散されたMgSiF6がある。
【0039】
透明層は一般的に、少なくとも0.25μm、典型的には0.4〜10μmの実質的に均一な厚さを有する。これは一般的に、その全領域にわたって厚さの変動がほとんど無い実質的に均一な塗膜として提供される。
【0040】
透明層は、キャリアシート以外に又はその代わりに、接着促進剤を含んでもよい。有用な接着促進剤の例は、ポリエチレンイミン、ポリ(塩化ビニリデン)、及び類似のコポリマー、並びにFusabond(Dupontにより販売されている)である。接着促進剤は、低屈折率材料についてコーティング溶剤中に可溶性であるように選択される。
【0041】
画像形成可能層:
画像形成可能層は、一般的に、比較的均一な塗膜(すなわち、実質的に連続的であり、かなり均一な厚さを有する)として透明層上に配置される。ある実施態様において、画像形成可能層とその下の透明層はキャリアシート上の唯一の層である。別の実施態様において、複数の画像形成可能層、又はバリア層を有する画像形成可能層、中間層、又は後述の他の層を含む複数の層がある。
【0042】
画像形成可能層の成分は、輻射線感受性要素を画像形成マスキングフィルムを介して硬化用放射線に露光した後に、レリーフ画像を作成するのに使用される適当なフレキソ印刷版現像剤(後述の塩素化有機溶媒及び非塩素化有機溶媒を含む)中で、可溶性又は膨潤性であるように選択される。
【0043】
画像形成可能層は、一般的に、層の総固形分に基づいて肉眼で見える色を付与するか又は付与しない、1種又は2種以上の「着色剤」又は物質を含む。着色剤は、一般的に、硬化用放射線の強い吸収が可能であるか、又は硬化用放射線をブロックすることができる。本明細書において「着色剤」は、マスク画像を通しての硬化用放射線の透過を実質的に防止する成分である。
【0044】
着色剤は、所望のスペクトル性を与える1つ又はそれ以上の染料もしくは顔料又はこれらの混合物でもよい。これは、後述のポリマーバインダー内に分散される粒状物質でもよい。例えばこれは、ブラック染料又は顔料、例えばカーボンブラック、金属酸化物、及び例えばUS’182(上記)に記載の他の物質でもよい。輻射線感受性要素の画像形成が悪影響を受けないように、顔料又は染料は実質的に非IR吸収性であることが有用である。例えば着色剤は、UV線又は可視線を吸収でき、多くの実施態様において、着色剤はUV吸収性染料である。
【0045】
ある実施態様において着色剤は、可視スペクトルの実質的にすべての波長(例えば350〜750nm)でエネルギーを吸収するブラック染料又は顔料である。ブラック染料又は顔料は、個々に黒であるか又は黒ではない又は混合された時中性の黒色を与える、染料もしくは顔料の混合物、又は染料と顔料との両方の混合物でもよい。例えば中性の黒色を与えるNEPTUN Black、Blue Shade Magenta、及びRed Shade Yellow顔料(ドイツのBASFから入手可能)の混合物が使用される。DISPERSAL CBJ(英国のRunnemade Dispersions KVから)も適している。
【0046】
1つの適切なブラック顔料はカーボンブラックであり、これには、市販されている種々の粒子サイズの無数の種類がある。例には、Columbian Chemicals Co.(Atlanta, CA)から入手可能なRAVEN 450、760 ULTRA、890、1020、1250など、ならびにCabot Corp.(Walthan, MA)から入手可能なBLACK PEARLS 170、BLACK PEARLS 480、VULCAN XC72、BLACK PEARLS 1100などがある。
【0047】
着色剤は、画像形成可能層中に10〜50質量%、典型的には10〜40質量%の量で存在してもよい。
【0048】
放射線による干渉を減少させ、得られる画像形成されたマスキングフィルムの品質を改良するために、カーボンブラックの使用を非赤外線吸収性ブラック染料又は顔料の使用と組合せることは好ましい。また、顔料として適しているのは、非炭素性粒状物質、例えば金属粒子又は金属酸化物粒子である。
【0049】
画像形成可能層は、一般的に、1種又は2種以上の赤外線吸収性化合物も含む。ある実施態様において、着色剤はこの機能を有するが、他の実施態様において、この目的に別の化合物が含まれ、すなわち画像形成可能層を画像形成赤外線に対して感光性にする。すなわち赤外線吸収性化合物は、700〜1500nmの範囲、典型的には700〜1200nmの範囲の放射線に対して感光性である。有用な赤外線吸収性化合物の例としては、シアニン赤外線(IR)吸収染料、カーボンブラック、及び金属(例えばアルミニウム)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様においてIR染料の混合物が使用され、このIR染料は、異なる波長、例えば830〜1064nmで吸収することができる。
【0050】
適切なIR染料の例としては、アゾ染料、スクアリリウム染料、クロコネート染料、トリアリールアミン染料、チオアゾリウム染料、インドリウム染料、オキソノール染料、オキサゾリウム染料、シアニン染料、メロシアニン染料、フタロシアニン染料、インドシアニン染料、インドトリカルボシアニン染料、オキサトリカルボシアニン染料、チオシアニン染料、チアトリカルボシアニン染料、メロシアニン染料、クリプトシアニン染料、ナフタロシアニン染料、ポリアニリン染料、ポリピロール染料、ポリチオフェン染料、カルコゲノピリロアリリデン染料及びビ(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料、オキシインドリジン染料、ピリリウム染料、ピラゾリンアゾ染料、オキサジン染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アリールメチン染料、スクアリン染料、オキサゾール染料、クロコニン染料、ポルフィリン染料、及び上記の染料群の任意の置換形態又はイオン性形態のものが挙げられるが、これらに限定されない。好適な染料はまた、例えば米国特許第5,208,135号(Patelら)、第6,569,603号(Furukawa)、及び第6,787,281号(Taoら)、並びにEP公報第1,182,033号(Fijimakiら)に記載されている。好適なシアニン染料の一部類についての一般的な説明はWO2004/101280の段落[0026]中に式で示されている。
【0051】
低分子量IR吸収性染料に加えて、ポリマーに結合されたIR染料部分も利用できる。さらに、IR染料のカチオンも利用でき、すなわちこのカチオンは、カルボキシ、スルホ、ホスホ又はホスホノ基を側鎖に有するポリマーとイオン的に相互作用する染料塩のIR吸収性部分である。
【0052】
近赤外線吸収性シアニン染料も有用であり、例えば米国特許第6,309,792号(Hauckら)、第6,264,920号(Achilefuら)、第6,153,356号(Uranoら)及び第5,496,903号(Watanateら)に記載されている。好適な染料は、通常の方法と出発物質を使って製造することができ、あるいは、American Dye Source(Baie D’Urfe, Quebec, Canada)及びFEW Chemicals(Germany)などの様々な商業的供給源から入手可能である。近赤外ダイオードレーザービーム用の他の有用な染料は、例えば米国特許第4,973,572号(DeBoer)に記載されている。
【0053】
有用な赤外線吸収性化合物としてはカーボンブラックが挙げられ、いくつかのカーボンブラックは可溶化基により表面官能化されたものであり、当該技術分野でよく知られている。親水性の非イオン性ポリマーがグラフト化したカーボンブラック、例えばFX-GE-003(Nippon Shokubai製)、又は、陰イオン性基により表面官能化されたカーボンブラック、例えばCAB-O-JET(登録商標)200又はCAB-O-JET(登録商標)300(Cabot Corporation製)も有用である。
【0054】
放射線吸収性化合物(例えば、赤外線吸収性化合物)は、一般的に、露光波長で少なくとも0.5、典型的には少なくとも0.75の透過光学濃度を与える量で存在する。一般的にこれは、画像形成可能層の固形分含量に基づいて1〜20質量%の1つ又はそれ以上の化合物を含むことにより行われる。例えば赤外線吸収性化合物は、透明領域(ここでフィルムはIRに露光される)を生成するのに充分であり、このような領域が、従来のデンシトメータで適切なフィルターを使用して測定すると0.5又はそれ以下の透過光学濃度を有することを意味する。
【0055】
別の実施態様において放射線吸収性化合物は、150〜400nmの放射線を吸収する紫外線吸収体を含んでよい。UV吸収体は、唯一の放射線吸収性化合物として又はIR吸収体化合物と組合せて使用することができる。
【0056】
画像形成可能層は、溶融もしくは軟化フィルムの転写、及び輪郭のはっきりした一般的に連続的な比較的鋭い端を有する半階調ドット(すなわち画素)の製造を増強するための、フルオロカーボン添加剤を任意選択的に含んでよい。有用なフルオロカーボン添加剤と量の例は、US’182(上記)の[0087]〜[0089]に記載されている。
【0057】
画像形成可能層の追加の任意選択的成分としては、可塑剤、被覆補助剤又は界面活性剤、分散補助剤、UV吸収体、及び充填剤が挙げられるが、これらに限定されず、これらのすべては、例えばUS’182(上記)の[0094]〜[0096]中に記載されているように、当該分野で公知である。
【0058】
画像形成可能層用の上記の成分のすべては、画像形成可能層中に他の成分を溶解させるか又は分散させることができる1種又は2種以上のポリマーバインダー(合成の及び天然に存在するポリマー物質の両方)中に分散される。この1つ又はそれ以上のバインダーは一般的に、画像形成可能層の総乾燥質量に基づいて、25〜75質量%、典型的には35〜65質量%の量で存在する。
【0059】
多種類のポリマーバインダーが使用できるが、いくつかの「一次(primary)」ポリマーバインダーを総ポリマーバインダー質量の少なくとも50質量%、典型的には少なくとも70質量%、最大100質量%の量で使用することにより、いくつかの利点を達成することができる。有用なポリマーバインダーとは、その中に種々の成分を取り込むことができ、好適なコーティング溶剤、例えば低級アルコール、ケトン、エーテル、炭化水素、及びハロアルカンなどに可溶性であるものである。ポリマーバインダーはまた、好ましくは選択された現像剤(後述)に可溶性で膨潤性である。
【0060】
ポリマーバインダー:
有用なポリマーバインダーとしては、例えばUS’182の[0081]〜[0085]に記載された物質が挙げられる。ポリマーバインダーは、例えばUS’182(上記)の[0081]に記載のように「接着性バインダー」として知られているものでもよい。適切な接着性バインダーの例としては、例えばSolution, Inc.(St. Louis, MO)からBUTVAR(登録商標)B-76として得ることができるポリ(ビニルブチラール)等のアセチルポリマー、及びHenkel Corp. (Gulph Mills, PA) からMACROMELT 6900として得ることができるアクリルアミドポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。感圧接着性バインダーも、この目的に使用される。ある実施態様において、着色剤層がアブレーション可能な場合、容易に熱的に可燃性であり、200℃未満の温度でガスと揮発性断片とを発生するバインダーを使用することが有利である。これらのバインダーの例は、ニトロセルロース、ポリカーボネート類、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、及びこれらのコポリマーである(EllisらのUS5,171,650、カラム9、41〜50行を参照)。
【0061】
他の有用な2次ポリマーバインダーは、US’182(上記)の[0082]〜[0084]に記載されたヒドロキシル基を有する樹脂であり、例えばポリ(ビニルアルコール)及びセルロース系ポリマー(例えばニトロセルロース)を含む。さらなる2次ポリマーバインダーは、非架橋性ポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリオレフィン類、ポリスチレン類、ポリエーテル類、ポリビニルエーテル類、ポリビニルエステル類、及び1及び2個の炭素原子を有するアルキル基を有するポリアクリレート類とポリメタクリレート類である。
【0062】
非塩素化有機溶媒に容易に溶解又は分散されることがわかったいくつかの他の有用なポリマーバインダーは、後述される。これらはまた、塩素化有機溶媒にも溶解性又は分散性である。これらの特徴を満たすこのような有用な部類のポリマーバインダーとしては、テルペン樹脂、フェノール樹脂、芳香族炭化水素樹脂、ポリウレタン類(ポリエーテルポリウレタン類を含む)、長鎖アクリレート及びメタクリレート樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。有用なテルペン樹脂としては、Arozona Chemical Co.(Jacksonville, FL)から入手可能なSYLVARESテルペン樹脂、例えばSYLVARES TR-A25テルペン樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。有用なフェノール樹脂としては、ノボラック樹脂、例えばGeorgia Pacific Resins(Atlanta, GA)から入手可能なCK2500及びCK2400ノボラック樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。芳香族炭化水素樹脂としては、Sartomer Co.(Warrington, PA)から入手可能なNORSOLENE(登録商標)樹脂、例えばNORSOLENE(登録商標)S-155が挙げられるが、これらに限定されない。有用なポリウレタン類としては、Tennants Inks & Coatings Supplies, Ltd. (Surrey, UK) から入手可能なSURKOPAK(登録商標)5245 及びSURKOFILM(登録商標)72Sポリウレタン樹脂、及びDSM NeoResins (Wilmington, MA) から入手可能なNeoRez 322ポリウレタン樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。長鎖アクリレート及びメタクリレート樹脂としては、1種又は2種以上の長鎖アクリレート又はメタクリレートモノマー(ここで長鎖アルキル鎖は少なくとも3つの炭素原子を有する)から得られるビニルポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなモノマーとしては、イソ−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
有用なポリマーバインダーは、少なくともイソ−ブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、及びこれらの混合物から得られるホモポリマー及びコポリマーである。このタイプの市販の一次ポリマー材料としては、Lucite International (Cordova, TN) から入手可能なELVACITE(登録商標)2045及びELVACITE(登録商標)2046ポリマーが挙げられる。例えばSURKOP AK(登録商標)5245ポリウレタン樹脂及びSURKOFILM(登録商標)72Sポリウレタン樹脂、ELVACITE(登録商標)2045ポリマー物質、及びCK 2500ノボラック樹脂として入手可能な市販のポリマーが有用であることが分かった。
【0064】
画像形成可能層は、さらに、可塑剤、被覆補助剤、分散補助剤、UV吸収体、充填剤、界面活性剤、フルオロカーボン類、及びUS’182(上記)に記載されているような他の添加剤を含むことができる。接着促進剤(例えばキャリアシートについて上記したもの)も含まれる。
【0065】
中間層:
本発明のある実施態様においてフィルムは、キャリアシートと画像形成可能層との間に配置された「中間層」を含むことができる。ある場合には、中間層は、直接キャリアシート上に、及びこれと上記の透明層との間に配置される。別の実施態様において中間層は、直接透明層上に、及びこれと中間層との間に配置される。中間層の存在は、生じるマスク画像の輻射線感受性要素への転写を促進するために好ましい。一般的に、中間層は、現像可能であり、分散性であり、又はマスク画像を介して硬化後もしくは画像形成された要素の以後の処理(現像)中に容易に除去可能である。さらに中間層は通常、硬化用放射線を有意に吸収もしくは分散させない。例えばこれは通常、つや消し剤又は他の光散乱物質を含まない。中間層を被覆するのにコーティング溶剤が使用される場合、コーティング溶剤は、被覆中に透明層と中間層がほとんど混ざらないように、選択される。
【0066】
中間層としての使用に適した代表的なコーティングとしては、ポリ(ビニルアルコール)又は同様のポリマー、セルロース系ポリマー、例えばメチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(ビニルブチラール)、又は加水分解スチレン無水マレイン酸が挙げられるが、これらに限定されない。本発明では、UV露光はキャリアシートを通して行われる、キャリアシートが酸素移動を防止する。
【0067】
中間層は、比較的薄く、乾燥厚さが0.1〜10μmである。
【0068】
別の実施態様において、中間層は、熱画像形成後に所望の層保全性(layer integrity)と良好な剥離性を有する耐熱性ポリマー層である。耐熱性ポリマーとして、ポリイミド類、ポリスルホン類、ポリエーテルエチルケトン、ビスフェノール−Aテレフタレート、ポリ(ビニルアルコール)、及びポリアミド類が挙げられるが、これらに限定されない。耐熱性ポリマーは、所望の剥離性、硬化性、及び現像性を与えるように最適化することができる。
【0069】
中間層は、剥離性を改善するための架橋剤、被覆補助剤、界面活性剤及び剥離促進剤を含んでもよい。有用な中間層組成物のさらなる詳細は、US’182(上記)に記載されている。
【0070】
バリア層:
本発明のフィルムは、透明層もしくは中間層(存在する場合)と画像形成可能層との間に配置されたバリア層を含んでもよく、これは、アブレーションプロセス中に、透明層もしくは中間層への着色剤の転写もしくは熱的傷害を防止するために使用される。多くの実施態様において、バリア層は、中間層の上方、かつ、画像形成可能層の下方に配置される。適当なバリア層及びこれらの組成物はまた、US’182(上記)及びそこで引用されている文献に記載されている。例えばバリア層は、1つ又はそれ以上のポリマーバインダー、特に「熱可燃性」ポリマーバインダー、例えばポリ(アルキルシアノアクリレート)及びニトロセルロース、並びに画像形成輻射線もしくは硬化用放射線に対して高光学濃度を与えるための粒子物質、例えば金属酸化物粒子(例えば、酸化鉄粒子)を含んでよい。金属酸化物粒子は、熱分解して噴射ガスを発生できるため、アブレーション画像形成に有用である。
【0071】
バリア層は、場合に応じて、赤外線吸収性化合物、例えば赤外線吸収性染料(IR染料)(カチオン性赤外線吸収性染料及び光熱漂白性染料)、及びより大きな熱耐性を与えるための架橋剤、例えばメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ジアルデヒド類、フェノール類、多官能性アジリジン類、イソシアネート類、及び尿素−ホルムアルデヒドエポキシ類を含んでもよい。
【0072】
他のフィルム成分:
転写中の輻射線感受性要素へのマスク画像の接着を増強するために、かつマスク画像の転写を助けるために、画像形成可能層の上でフィルム中に、接着層が存在してもよい。接着層は、当該分野で公知の、熱可塑性、熱接着性、又は感圧性接着剤を含んでよい。
【0073】
ある実施態様において、接着層(又はオーバーコート層としても使用される)は、米国特許第6,259,465号(Tuttら)の実施例1(上の粒子層)に記載のように、その中に、メタクリル酸コポリマー(例えば、メタクリル酸エチルとメタクリル酸とのコポリマー)及び1種又は2種以上のフルオロポリマーの粒子が分散されていてもよい。オーバーコート層は、粒状物質の存在のために、取り扱いに対する摩耗耐性も提供することができる。オーバーコート層は、貼合せ後のマスキングフィルムから光ポリマーへの染料移動を防止するための、染料バリア層としても作用することができる。
【0074】
すなわち本発明のある実施態様において、フィルムは、その上に順に、以下:
a)上記の透明層、
b)上記の中間層、
c)上記のバリア層、
d)上記の画像形成可能層、及び
e)上記のオーバーコート層、
を有するキャリアシートを含み、ここで、透明層は、キャリアシートの屈折率より少なくとも0.08小さい屈折率を有する。
【0075】
輻射線感受性要素
有用な輻射線感受性要素の多くの詳細(例えば、フレキソ印刷版原板、プリント回路基板及び平版印刷版)が、US’182(上記)に記載されている。このような要素には、寸法的に安定な基材、少なくとも1つの放射線感受性層、及び任意選択的な分離層、カバーシート、又は金属層がある。適切な基材には、寸法的に安定なポリマーフィルム及びアルミニウムシートがある。ポリエステルフィルムが好適である。本明細書に記載のフィルムを使用してレリーフ画像を作成できる任意の輻射線感受性要素が、本発明の実施において有用である。
【0076】
輻射線感受性要素はポジ型でもネガ型でもよいが、典型的にはこれはネガ型であり、一般的に、硬化用放射線への露光による重合又は架橋によって硬化又は固化される可視光又は紫外線硬化組成物を含有する可視線感受性又は紫外線感受性画像形成可能層を含む。例えば、輻射線感受性要素は紫外線感受性でもよい。輻射線感受性要素の種々の成分の多くの詳細は、US’182(上記)及びそこに引用された文献に記載されている。
【0077】
いくつかの実施態様はまた、取り外し可能なカバーシート、ならびに分離層(又は時に粘着防止層と呼ばれる)(カバーシートの取り外しを助け、放射線感受性画像形成可能層を断片や他の傷害から防御し、放射線感受性画像形成可能層とカバーシートとの間に配置される)を含む。有用な分離層材料には、特に限定されないが、ポリアミド、ポリ(ビニルアルコール)、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、両親媒性共重合体、セルロース系ポリマー、ポリ(ビニルブチラール)、環状ゴム、及びこれらの組合せがある。
【0078】
放射線感受性画像形成可能層は、エラストマーバインダーと、少なくとも1種のモノマーと、非赤外線に感受性の開始剤とを含むことができる。多くの場合、開始剤は紫外線又は可視線に対して感受性であろう。適切な開始剤組成物には、特に限定されないが、米国特許第4,323,637号(Chenら)、4,427,749号(Grutzmacherら)、及び4,894,315号(Feinbergら)に記載されているものがある。
【0079】
エラストマーバインダーは、水性、半水性、もしくは有機溶媒現像剤中で可溶性、膨潤性、もしくは分散性である単一のポリマーもしくはポリマーの混合物でもよく、特に限定されないが、共役ジオレフィンの天然のもしくは合成ポリマー、ブロックコポリマー、コアシェルマイクロゲル、及びマイクロゲルと既製高分子ポリマーの混合物のような、有機溶媒に可溶性、膨潤性もしくは分散性であるバインダーが挙げられる。エラストマーバインダーは、層の総固形分に基づいて画像形成可能層の少なくとも65%を構成することができる。このようなエラストマーバインダーのさらなる詳細は、US’182(上記)の[0190]、及びそこに引用された文献に記載されている。
【0080】
画像形成可能層は、明瞭な曇りのない放射線感受性層が作製される程度に、エラストマーバインダーに適合性でなければならない1種のモノマーもしくはモノマー混合物を含むこともできる。この目的のためのモノマーは、当該分野で公知であり、かかるモノマーとしては、例えば比較的低分子量(一般的に30,000ダルトン未満)を有するエチレン性不飽和の重合性化合物が挙げられる。適切なモノマーの例としては、種々のモノ−及びポリアクリレート、イソシアネートのアクリレート誘導体、エステル、及びエポキシドが挙げられる。具体的なモノマーは、US’182(上記)の[0191]、及びそこに引用された文献に記載されている。
【0081】
光開始剤は、可視線又は紫外線に感受性で、過剰の停止反応無しでモノマーの重合を開始する、1種の化合物又は化合物の組合せでもよく、一般的に、画像形成可能層の総乾燥質量に基づいて0.001〜10%の量で存在する。適切な開始剤の例としては、置換もしくは非置換の多核キニンが挙げられ、さらなる詳細は、US’182(上記)の[0192]、及びそこに引用された文献に記載されている。
【0082】
放射線感受性層は、種々の性質を有する他の追加物質、特に限定されないが、増感剤、可塑剤、レオロジー改質剤、熱重合抑制剤、粘着付与剤、着色剤、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、及び充填剤を含んでよい。
【0083】
放射線感受性画像形成可能層の厚さは、所望の画像形成版のタイプに応じて変わり得る。実施態様によっては、UV感受性画像形成可能層は、500〜6400μmの厚さでもよい。
【0084】
一実施態様において、輻射線感受性要素は、適切なUV硬化性樹脂を含み、露光及び加工された時、フレキソ印刷版を与えるフレキソ印刷版原板である。このような要素は一般的に、適当な基材、感光性物質(これはポリマー又はプレポリマーを含む)を含む1つ又はそれ以上のUV感受性画像形成可能層を含む。市販のフレキソ印刷版原板の例には、特に限定されないが、Eastman Kodak Company (Norwalk, CT) の子会社であるKodak Polychrome Graphicsから入手可能なFLEXCELフレキソ要素、DuPont (Wilmington, DE) から入手可能なCYREL(登録商標)フレキソ版、BASF (Germany)から入手可能なNYLOFLEX(登録商標)FAR 284版、Macdermid (Denver, CO)から入手可能なFLEXILIGHT CBU版、及びAsahi Kasei (Japan)から入手可能なASAHI AFP XDIがある。
【0085】
輻射線感受性要素はまた、プリント回路基板を作成するのに使用され、ここで導電層(「プリント回路」としても知られている)は、マスク画像により規定されるパターンで基材上に形成される。プリント回路基板の適切な原版は、一般的に、基材、金属層、感光層を含む。適切な基材には、ポリイミドフィルム、ガラス充填エポキシもしくはフェノール−ホルムアルデヒド、又は当該分野で公知の任意の他の絶縁物質がある。基材をカバーする金属層は、一般的に、銅のような導電性金属又は金属の合金である。感光層は、UV硬化性樹脂、モノマー、又はオリゴマー、光開始剤、及びバインダーを含んでよい。プリント回路基板中の感光層は、ポジ型又はネガ型層でもよい。プリント回路基板のさらなる詳細は、US’182(上記)の[0196]〜[0205]に記載されている。
【0086】
マスク画像の形成:
本発明の実施においてマスク画像は、本発明のフィルム中に露光領域と非露光領域とを作成することにより形成される。画像形成機構の選択は、後述のようにマスク画像の形成において可能な変更を決定するであろう。
【0087】
フィルムの露光は、選択された領域(「像様露光」)として知られている)で行うことができる。像様露光にはアナログ法とデジタル法の両方を使用することができ、当該分野では一般的である。ある実施態様において像様露光は、コンピューター制御下でスキャンされラスタライズされるレーザーからのレーザー光を使用して行われる。フラットベッドスキャナー、外部ドラムスキャナー、及び内部ドラムスキャナーを含む任意の公知のスキャニング装置を使用することができる。これらの装置においてフィルムはドラム又はベッドに固定され、レーザー光が、フィルムに衝突するスポットに集束される。2つまたはそれ以上のレーザーが同時に、フィルムの異なる領域をスキャンしてもよい。
【0088】
例えばフィルムは、赤外線(例えば7000〜1400nmの範囲)に露光することができる。このようなフィルムは、赤外線に対する感度を与えるために、上記の1つ又はそれ以上の赤外線吸収性化合物を含むことができる。これらの実施態様において、適切にはフィルムは赤外線画像装置に取り付け、コンピューター制御下でスキャンされるダイオードレーザー又はNd:YAGレーザーのような赤外線レーザーを使用して、赤外線に露光することができる。適切な赤外線画像装置には、特に限定されないが、色校正に使用されるECRM (Tewksbury, MA)から入手可能なDESERTCAT 88画像装置、CTP石版印刷用途及びフレキソ要素の画像形成に使用されるEastman Kodak Company (Burnaby, British Columbia, Canada)から入手可能なTRENDSETTERイメージセッターとThermoFlex Flexographic CTP画像装置、CTP石版印刷用途に使用されるPresstek (Hudson, NH)から入手可能なDIMENSIONイメージセッター、Esko-Graphics (Kennesaw, GA)から入手可能なCYREL(登録商標)Digital Imager (CDI SPARK) 、及びフレキソ要素の画像形成に使用されるMisomex International (Hudson, NH)から入手可能なOMNISETTER画像装置がある。
【0089】
別の実施態様においてフィルムは、可視レーザー光(例えば400〜750nmの範囲)に露光することができる。市販のフィルムセッターやイメージセッターを使用することができ、特に限定されないが、Agfa-Gevaert (Belgium)から入手可能なACCUSET Plusイメージセッター(可視及びレーザーダイオード、670nm)及びADVANTAGE DL3850イメージセッター(410nm)、SELECTSET 5000イメージセッター(HeNe、630nm)、Fuji Photo Film (日本国)から入手可能なLUXEL V-9600 (410nm)、及びWestern Lithotech (St. Louis, MO)から入手可能なDIAMONDSETTERイメージセッター(周波数2倍化Nd−YAGレーザー、532nm)がある。
【0090】
さらに別の実施態様においてフィルムは、紫外レーザー光(例えば150〜410nmの範囲)に露光することができる。このような画像形成に有用な装置には、特に限定されないが、Orbotech (Billerica, MA)から入手可能なDP-100画像装置、及びEtec Systems (Tucson, AZ)から入手可能なDIGIRITE 2000画像装置がある。
【0091】
マスク画像を形成する工程はまた、画像形成可能層の露光済又は非露光領域を除去する工程を含むことがある。いくつかの実施態様において、露光領域が除去されて、透明キャリアシート(及びその上に配置された透明層)上にマスク画像が残る。これらの実施態様において受容シートが、画像形成可能層の不要部分の除去のために任意選択的に使用される。このような受容シートは、任意の適切な紙、透明フィルム、又は金属シートでもよく、ここに1つ又はそれ以上の塗膜が適用された後、フィルムが放射線照射されて受容物への画像形成可能層の転写が促進される。画像形成後、受容シートはフィルムから除去されて、キャリアシート上にマスク画像が現れる。マスク画像に対して補完的な画像が受容シート上に残る。
【0092】
別の実施態様において、画像形成可能層及び他の層の露光領域と非露光領域を作成し、これらの層の非露光領域を除去することにより、キャリアシート(及びその上に配置された透明層)上に、マスク画像が形成される。
【0093】
ある実施態様において、キャリアシート上にあるマスク画像は、マスク画像の転写性が悪影響を受けないなら、これを熱処理に付すことにより硬化される。熱処理は、特に限定されないが、オーブン中の貯蔵、熱風処理、又は加熱プラテンとの接触、又は加熱ローラー装置中の通過を含む種々の手段により行われる。熱処理は、硬化が起きるのに必ずしも必要ではない。
【0094】
さらに別の実施態様において、マスク画像が上記のように形成され、露光領域が受容シートに転写される。次に受容シートは、画像形成されたマスクフィルムから除去され、次にマスク画像は輻射線感受性要素に転写される。すなわちフィルムは、輻射線感受性要素に接触した受容シートに供給されるか、又は当該要素が別の受容シートに接触させられる。
【0095】
画像形成中に別の受容シートが使用される時、放射能と受容シートは、画像形成前にきわめて接近して、受容シートの画像受容側が画像形成可能層に隣接するように組み立てられる。本明細書において「きわめて接近して」という用語は、画像形成可能層と受容シートを接触させるか、又はこれらは接触しないが、画像形成輻射線への露光により画像形成可能層又は着色剤の転写を可能にするのに充分なだけ近いことを意味する。フィルムと受容シートの組立を確保するために、真空保持又は機械的手段を使用してもよい。
【0096】
次にフィルムと受容シートの組立品は、後述のように画像形成輻射線を使用して像様露光されてマスク画像を形成する。像様露光は、フィルムから受容シートへの画像形成可能層又は着色剤の画像転写を引き起こす。画像形成後、フィルムを受容シートから除去すると、受容シート上にマスク画像が現れる。
【0097】
以下にいくつかの画像形成機構が簡単に記載されるが、さらなる詳細は、US’182(上記)とそこに引用された段落[0142]で始まる文献に記載されている。
【0098】
アブレーション:
この機構では、画像形成可能層の露光領域は、ガスの発生により画像形成されたフィルムから除去されて、マスク画像が残る。熱への曝露(例えば赤外線レーザー照射)により分解して急速にガスを発生する特定のバインダーを、使用してもよい。この作用は、物理的変化ではなく化学的変化が、画像形成可能層の部分的転写ではなくほとんど完全な転写を引き起こすという点で、他の物質移動法とは区別される。
【0099】
溶融粘着転写:
画像形成性材料の露光領域は、放射線による露光時に、溶融状態又は半溶融状態で画像形成されたフィルムから好適な受容シートへ転写することができる。露光領域は、キャリアシート(及びその上に配置された透明層)に接着するより強い力で、受容シートの表面に流れるか又は接着する画像形成可能層に流動性を与える低い粘度が特徴である。この物理的転写後、キャリアシートは、転写されていない画像形成可能層と一緒に、受容シートから分離される。
【0100】
一実施態様において、マスク画像は、キャリアシート上に残った非露光領域を含む。別の実施態様においてマスク画像は、受容シートに転写される画像形成可能層の露光領域を含む。
【0101】
レーザー誘起フィルム転写:
この画像形成機構では、画像形成可能層の露光領域は、レーザー誘起型フィルム転写(「LIFT」)を介して、キャリアシート(及びその上に配置された透明層)から除去される。潜在性架橋剤を含有する中間層が、キャリアシートと画像形成可能層との間に配置される。潜在性架橋剤はバインダーと反応して、露光領域内で高分子量ネットワークを形成して、メルトフロー現象のより良好な制御、より凝集性のある材料の受容シートへの転写、及びマスク画像の高品質なエッジ鮮明度を与える。
【0102】
ある実施態様において画像形成可能層は、転写可能な着色剤と赤外線吸収性染料(IR染料)とを含む。別の実施態様において、画像形成可能層は、転写可能な着色剤、上記のポリマーバインダー、フルオロカーボン添加剤、カチオン性IR染料、及び上記の潜在性架橋剤を含む。
【0103】
マスク画像は、画像フィルム中に残る画像形成可能層の非露光領域を含むが、他の実施態様においてマスク画像は、受容シートに転写される露光領域を含む。
【0104】
剥離:
この画像形成機構では、画像形成可能層の露光領域は、画像形成可能層中の適切な受容シートベースの示差的接着性を使用して、キャリアシート(及びその上に配置された透明層)から除去される。フィルムの像様露光後、受容シートはキャリアシートから分離され、そして露光領域又は非露光領域がフィルム中に残る。
【0105】
染料昇華又は拡散:
さらに別の画像形成法では、画像形成可能層の露光領域からの着色剤が、昇華を介して除去され、ここで着色剤はバインダーの同時転写無しで拡散又は昇華される。マスク画像は、受容シートを必要とせずにフィルム中に生成される。別の実施態様において、昇華した着色剤を捕捉するのに受容シートが使用される。こうしてマスク画像は、画像形成されたフィルム中に残る画像形成可能層を含む。さらに別の実施態様において、マスク画像は受容シートに転写される着色剤を含む。
【0106】
マスクのアルカリ現像:
画像形成可能層の露光領域は、画像形成されたフィルムを適当なアルカリ現像剤で洗浄すると通常のアルカリ現像により除去することができ、一方非露光領域はキャリアシートに留まる。画像形成可能層はこの例ではポシ型であり、任意の公知のポシ型組成物からなる。現像剤はpHが9〜14であり、水、一般的に水酸化物、及びこのような溶液に一般的な他の種々の追加物質を含む。
【0107】
あるいは、画像形成可能層の非露光領域を画像フィルムから除去して、マスク画像が作成する。このような画像形成可能層組成物はネガ型であり、露光により現像剤中で不溶性になる。このような物質の有用な現像剤はpHが7〜13であり、水混和性の高沸点有機溶媒、及びこのような物質に一般的な種々の追加物質を含む。
【0108】
これらの物質のための有用な現像剤は公知であり、Eastman Kodak Company (Norwalk, CT)を含むいくつかの供給源から入手可能である。
【0109】
いったんマスク画像が形成されると、これは、硬化用放射線(通常、紫外線)に感受性の適切な輻射線感受性要素(上記)に転写される。マスク画像転写は、マスク画像を有するフィルムを、輻射線感受性要素上もしくは放射線感受性組成物上、又はその層の上に置くことを含む。
【0110】
フィルムと輻射線感受性要素は、無空気界面を与えるように接触して置かれる。一般的にこれは、圧力もしくは熱、又は圧力と熱の両方を加えて、フィルムを輻射線感受性要素に貼合せて、無空気又はギャップなし界面を形成することにより行われる。
【0111】
熱と圧力との両方を与える市販のラミネーターが使用でき、特に限定されないがEastman Kodak Company(Rochester, NY)から入手可能なKODAKモデル800XL APPROVAL LAMINATOR、CODOR(Amsterdam, Holland)から入手可能なCODOR LPP650 LAMINATOR、及びFilmsource(Casselbury, FL)から入手可能なLEDCO HDラミネーターがある。保護カバーシート(フィルム中に存在する場合)は、貼合せ前に除去される。マスク画像と輻射線感受性要素とを有する組み立てフィルムは、所望の速度、温度、及び圧力でラミネーターに供給される。この方法の代表的な例を、以下の実施例に示す。
【0112】
ある実施態様において、フレキソグラフ用途の輻射線感受性要素は分離層(粘着防止層)を持たず、ここではモノマーの存在のために、輻射線感受性要素は粘着性であるか又は感圧性接着剤として作用するため、無空気界面を達成するのに圧力のみで充分である。
【0113】
さらに別の実施態様において、マスク画像の転写は、マスキングフィルムと輻射線感受性要素が互いに加圧接触されて無空気界面を形成する時、感圧性接着により行うことができる。感圧性接着剤は輻射線感受性要素中に取り込まれるか、又はこれは、画像形成可能層と輻射線感受性要素との間の別の層に入れられる。適切な感圧性接着剤は当該分野で公知である。
【0114】
さらに別の実施態様において、マスク画像は、「液体光ポリマー法(liquid photopolymer process)」として知られている方法を使用して転写され、ここで、放射線感受性組成物又は光ポリマー組成物は、放射線感受性組成物を画像形成されたフィルムと透明支持体材料との間に置き、次にこれが輻射線感受性要素(後述)の「支持体」又は基材になることにより、マスク画像を含有する画像形成されたフィルムの透明層に、液体型又はペースト型で均一に適用される。例えば、透明支持体材料は、輻射線感受性要素について上記したようなポリマーフィルムでもよい。
【0115】
輻射線感受性要素の露光
上記のようにマスクフィルムと輻射線感受性要素との間で無空気接触が行われた後、輻射線感受性要素は、マスク画像を含有するフィルムを通過する硬化用放射線に露光されて、画像形成された要素を形成する。この工程では、硬化用放射線はマスク画像を通して輻射線感受性要素上に投射され、一部の放射線を優先的にブロックする。マスキングされていない領域では、硬化用放射線は放射線感受性組成物の固化又は硬化を引き起こす。従ってマスク画像は、露光性放射線に対して実質的に不透明であるべきであり、これは、マスク画像が2又はそれ以上、好ましくは3又はそれ以上の透過光学濃度を有するべきであることを意味する。マスキングされていない領域は実質的に透明であるべきであり、これは、輻射線感受性要素のマスキングされていない領域が0.5又はそれ以下、好ましくは0.1又はそれ以下、さらに好ましくは0.05又はそれ以下の透過光学濃度を有するべきであることを意味する。透過光学濃度は、デンシトメータ、例えばMACBETH TR 927デンシトメータ上で適切なフィルターを使用して測定することができる。
【0116】
一般的に、マスク画像を含有するフィルムを介する輻射線感受性要素の露光は、適切な放射線源(例えば、可視線又は紫外線)からのフラッド様露光によって行われる。露光は、大気酸素の存在下で行うことができる。無空気接触(又は光学的接触)がすでに行われているため、真空下の露光は必要ではない。
【0117】
レリーフ印刷版(例えばフレキソ印刷版)の製造において、輻射線感受性要素の片側は、一般的にまず透明支持体を通して硬化用放射線に露光(「裏側露光」として知られている)され、要素の支持体側に薄い均一な硬化済層を調製する。次いで、輻射線感受性要素を、マスク画像を含有するフィルムを介して硬化用放射線に露光し、こうして輻射線感受性要素を、マスキングされていない領域において固化又は硬化させる。次に輻射線感受性要素の未露光で未硬化の領域は、現像プロセス(後述)により除去され、レリーフ印刷表面を画定する硬化済領域を残す。裏側露光は、マスクフィルムと輻射線感受性要素との間で無空気接触が行われる前又は後に、行われる。
【0118】
硬化用放射線として適した波長又は波長範囲は、輻射線感受性要素の性質によって決定される。いくつかの実施態様において、硬化用放射線は波長が340〜400nmの紫外線である。フラッド露光又は全体露光用の可視線又は紫外線源には、特に限定されないが、炭素アーク、水銀蒸気アーク、蛍光灯、電子フラッシュ装置、及び写真用フラッドランプがある。水銀蒸気ランプからさらに詳しくは太陽灯まで、紫外線は特に有用である。代表的紫外線源には、Topbulb(East Chicago, IN)から入手可能な中心放射波長が354nmにあるSYLVANIA 350 BLACKLIGHT蛍光灯(FR 48T12/350 VL/VHO/180, 115ワット)、及びBurgess Industries, Inc.(Plymouth, MA)から入手可能なADDALUX 754-18017ランプを有するBURGESS EXPOSURE FRAM(登録商標)E, Model 5K-3343VSIIがある。
【0119】
別の好適な紫外線源には、輻射線感受性要素を放射線に曝露すること、そして放射線露光後に輻射線感受性要素を現像すること、の両方が可能な製版機がある。好適な製版機の例には、Kelleigh Corporation (Trenton, NJ)から入手可能なKELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER、及びGlobal Asia Ltd. (Hong Kong)から入手可能なGPP500F PLATE PROCESSORがある。
【0120】
マスク画像を通した露光の時間は、輻射線感受性要素の性質及び厚さ、及び放射線源に依存する。例えばある実施態様において、Eastman Kodak Company (Norwalk, CT)から入手可能なFLEXCEL-SRH印刷版原版を、KELLEIGH MODEL 310 PLATEMAKER上に取り付け、そして支持体を通過するUV−A線による裏側露光を20秒間行い、要素の支持体側に薄い均一な硬化層を調製することができる。輻射線感受性要素のカバーシートを前面から取り出し、次にマスク画像を含有するフィルムを、前面の輻射線感受性要素と無空気接触させる。次に、集成物を、マスク画像を含有するフィルムと介して紫外線に曝露する。こうしてマスク画像情報が、フレキソ印刷版原板に転写される。
【0121】
レリーフ画像現像
次にマスクを含むキャリアシート又はマスクを含まないキャリアシートは、適切な手段(例えば剥離)により除去される。次に露光済要素(又は画像形成された要素)は、一般的に適切な現像剤で現像されて、レリーフ画像を形成する。現像により輻射線感受性要素の未硬化領域が除去され、基材上にレリーフ画像を画定する硬化済領域が残る。
【0122】
この処理工程では、画像形成された要素の任意の公知の現像剤(塩素化有機溶媒を含有するものを含む)を使用することができる。いくつかの有用な現像剤は、主に非塩素化有機溶媒である。「主に」とは、現像剤の50%(容量)以上が、脂肪族炭化水素及び長鎖アルコール(すなわち、少なくとも7つの炭素原子を有するアルコール)のような1つ又はそれ以上の非塩素化有機溶媒を含むことを意味する。溶液の残りは、塩素化有機溶媒であるが、典型的には、塩素化有機溶媒は、50%(容量)未満の現像剤を含む。
【0123】
すなわちいくつかの有用な現像剤は、おもに「ペルクロロエチレン代替溶媒」(PAS)として知られているものである。これらのPASは一般的に、脂肪族炭化水素と長鎖アルコールの混合物からなる揮発性有機化合物である。これらは一般的に、通常の室温と保存条件下で安定である。このような市販の溶媒の例には、特に限定されないが、Hydrite Chemical Co. (Brookfield, WI)から入手可能なPLATESOLV、BASF (Germany)から入手可能なNYLOSOLV(登録商標)、DuPont (Wilmington, DE)から入手可能なFLEXOSOL(登録商標)、DuPont (Wilmington, DE)から入手可能なOptiSol(登録商標)、及びMacDermid (Denver, CO)から入手可能なSOLVIT(登録商標)QDがある。
【0124】
現像は、一般的に、5〜20分間、及び23〜32℃のような通常条件下で行われる。使用される現像装置の種類が、具体的な現像条件を規定するであろう。
【0125】
いくつかの状況では、レリーフ画像の現像後処理が適している。典型的な現像後処理は、レリーフ画像を硬化用放射線に曝露してさらなる固化又は架橋を引き起こすことにより、後硬化でレリーフ画像を乾燥して過剰の溶媒を除去することを含む。これらのプロセスの条件は、当業者に公知である。例えばレリーフ画像は、ブロットされるか又は拭いて乾燥されるか、又は強制空気もしくは赤外線オーブン中で乾燥される。乾燥時間と温度は、当業者に公知であろう。後硬化は、マスク画像を介して曝露するのに従来使用されているものと同じタイプの放射線を使用して行われる。
【0126】
レリーフ画像表面がまだ粘着性なら、粘着除去(又は「ライト仕上」)が行われる。例えば臭素もしくは塩素溶液、又は紫外線もしくは可視線への曝露による処理は、当業者に公知である。
【0127】
得られるレリーフ画像は、輻射線感受性要素画像形成可能層の元の厚さの2〜40%の深さを有する。フレキソ印刷版について、レリーフ画像の深さは150〜500μmでもよい。プリント回路基板について、画像形成可能層は露光領域又は非露光領域で完全に除去されて、下の金属層が露出する。すなわちこのような要素では、レリーフ画像の深さは、画像形成可能層の厚さに依存する。レリーフ画像は主に50°より大きい肩角を有することが有利である。
【0128】
現像は、米国特許第5,175,072号(Martens)、5,279,697号(Peteersonら)、及び6,998,218号(Markhart)に開示されたような熱法によっても可能である。
【0129】
以下の例は本発明の実施を例示するが、決してこれを限定するものではない。
【実施例】
【0130】
以下の材料と方法を実施例で使用した:
AIRVOL(登録商標)205プレミックス溶液は、ポリ(ビニルアルコール)の10%固形分水溶液であり、Air Products (Allentown, PA)から入手可能である。
BUTVAR(登録商標)B-76は、ポリ(ビニルブチラール)樹脂であり、Solutia, Inc. (St. Louis, MO)から入手可能である。
Byk(登録商標)333は、ポリエーテル修飾ポリジメチルシロキサンであり、Byk Chemie (Wallingford, CT)から入手可能である。
Curcuminは黄色染料であり、Cayman Chemicals (Ann Arbor, MI)から入手可能である。
Dyneon(登録商標)FC 2211及び2178はフルオロエラストマーであり、3M Company (St. Paul, MN)から入手可能である。
EMAXは、メタクリル酸エチルとメタクリル酸の60:40コポリマーであり、Eastman Kodak Company (Rochester, NY)から入手可能である。
Fluon(登録商標)ADlはPTFE分散物であり、Asahi Glass Fluoropolymers USAから入手可能である。
IR Dye Aは、以下の構造を有する赤外線吸収性染料であり、Eastman Kodak Company (Rochester, NY)から入手した。
【0131】
【化1】

【0132】
MEKは、メチルエチルケトンを示す。
MIBKは、メチルイソ−ブチルケトンを示す。
NeoRez322は、DSM NeoResins (Wilmington, MA)から入手可能なポリウレタン樹脂である。
NeoRez U395は、DSM NeoResins (Wilmington, MA)から入手可能なポリウレタン樹脂である。
PCAは、Eastman Kodak Company (Rochester, NY)から入手可能な、50/50シクロペンタノン/アセトン中の10%総固形分溶液としての、70%(質量)ポリ(メチルシアノアクリレート)と30%(質量)ポリ(エチルシアノアクリレート)の混合物である。
Sudan Blackは、Aldrich Chemicals Co. (Milwaukee, WI)から入手可能な黒色染料である。
Surfynol(登録商標)FS-80は、Air Products & Chemicals, Inc. (Allentown, PA)から入手可能な湿潤剤である。
UVINUL(登録商標)3050は、BASF (Germany)から入手可能な紫外線吸収染料である。
【0133】
発明例1および2並びに比較例1:
本発明の2つのフィルムを以下の方法で調製した。
0.01cm厚さのポリ(エチレンテレフタレート)で形成されたキャリアシートを、#12ワイヤロッドを使用して、MEKのうちのDyneon(登録商標)FC 2211(発明例1)又はDyneon(登録商標)FC 2178(発明例2)を含む透明層調製物で被覆して、93℃で2分間乾燥した時、乾燥範囲562mg/m2を有する透明層を得た。この層は、400Nmでの屈折率が約1.40で、これは約1.65(400nmで)であるキャリアシートの屈折率より小さい。
【0134】
この透明層上に、#10巻線ワイヤ被覆ロッドを使用して、80:20の水:n−プロパノールのうちAirvol(登録商標)205ポリ(ビニルアルコール)を含有する中間層調製物を被覆した。得られた塗膜を93℃で2分間乾燥して、約648mg/m2の乾燥被覆量が得られた。
【0135】
以下の表1に列挙した成分とコーティング溶剤を用いてバリア層調製物を形成し、#10巻線ワイヤ被覆ロッドを使用して、乾燥中間層に塗布した。得られた塗膜を約93℃で2分間乾燥してバリア層を得て、約378mg/m2の被覆量が得られた。
【0136】
【表1】

【0137】
乾燥したバリア層に、#20巻線ワイヤ被覆ロッドを使用して、以下の表2に示す成分とコーティング溶剤を使用して、画像形成可能層を形成した。得られた塗膜を約93℃で2分間乾燥して、乾燥範囲約1.51g/m2でバリア層上に画像形成可能層を形成した。
【0138】
【表2】

【0139】
以下の表3に示す成分とコーティング溶剤を使用して、オーバーコート層を形成し、#20巻線ワイヤ被覆ロッドを使用して、乾燥した画像形成可能層上に塗布した。得られた塗膜を約93℃で2分間乾燥して、乾燥範囲約120mg/m2のオーバーコート層とした。
【0140】
【表3】

【0141】
本発明の得られたフィルム(発明例1および2)を使用して、以下の方法でフレキソ印刷版を作製した。
【0142】
各フィルムをKodak Trendsetter(登録商標)800 Imager (Kodak SQUARESPOTヘッド、830nm露光波長)で画像形成して、マスク画像を形成した。次に、マスク画像を、圧力をかけて(加熱せず)積層することにより画像フィルムから、Eastman Kodak Company (Rochester, NY)から入手可能なFLEXELフレキソ印刷版原板(これは、分離層も粘着防止層も有しない)に転写し、画像フィルムと原版との界面を無空気とした。
【0143】
集成体のマスキングフィルムとフレキソ印刷版原版を、キャリアシートを介して、Kelleigh Model 310 Platemakerを使用して硬化用紫外線に10分間露光し、Optisol(登録商標)現像剤 (Hydrite Chemical Co., LaCrosse, WIから入手可能)を使用して現像し、次に、通常の乾燥と後硬化により、画像形成されたフレキソ印刷版を得た。
【0144】
比較例1では、実施例1および2に記載した方法と同様の方法を使用して、本発明の実施例1および2のマスキングフィルムを使用して感光性フレキソ印刷版を作製したが、この印刷版は低屈折率層を有していなかった。
【0145】
図2は、発明例1(曲線A)および発明例2(曲線B)並びに比較例1(曲線C)について調製した3つのフレキソ印刷版について得られた、レリーフ高さ対端からの距離としての、得られたレリーフ画像の結果を示す。
【0146】
この結果も、以下の表4に示す。
【0147】
【表4】

【0148】
発明例1および2において平均肩角は55°であり、比較例1の平均肩角は約25°であった。
【0149】
これらの結果も図3aおよび3bに示され、比較例1(図3a)と発明例1(図3b)について、得られたフレキソ印刷版中の380μmリバースラインの断面を示す。
【0150】
発明例3:
以下の表5に示す成分を使用して透明層調製物を調製し、次にこれを使用してフィルム試料を調製した。
【0151】
【表5】

【0152】
上記の各フィルム試料は、表5に示す透明層調製物を、#26巻線ワイヤ被覆ロッドを使用して、4ミル(0.01cm)のポリ(エチレンテレフタレート)支持体(キャリアシート)上に被覆することにより調製した。得られた透明層を93℃で2分間乾燥して、乾燥範囲約3.5mg/m2を得た。これらの各透明層に、発明例1に記載した(i)バリア層、(ii)画像形成可能層、及び(iii)オーバーコート層を被覆し、乾燥することにより、完全に機能性のフィルム構築体を調製した。乾燥後、各フィルムをKodak Trendsetter(登録商標)800 Imager (Kodak SQUARESPOTヘッド、830nm露光波長)で画像形成して、マスク画像を形成した。次にマスク画像を、圧力をかけて(加熱せず)積層することにより画像フィルムから、Eastman Kodak Company (Rochester, NY)から入手可能なFLEXELフレキソ印刷版原板(これは、分離層も粘着防止層も持たない)に転写して、画像フィルムと原版との界面を無空気とした(すなわち、光学的接触が達成された)。
【0153】
集成マスキングフィルムとフレキソ印刷版原板を、キャリアシートを介して、Kelleigh Model 310 Platemakerを使用して紫外線に10分間露光し、Optisol(登録商標)現像剤 を使用して現像し、次に、通常の乾燥と後硬化により、画像形成されたフレキソ印刷版を得た。
【0154】
以下の表6は、上記の各透明層の屈折率(400nmでの「RI」)、内面反射の計算された臨界角度、及び3つのフィルム(マスク画像構築体)を使用して作成した最終印刷版中の0.50mm幅のリバースラインの深さ(「RLD」)を列記する。紫外線露光はすべて10分間であった。
【0155】
【表6】

【0156】
表6に示すように、透明層の屈折率(RI)と、最終版中の500ミクロン(μm)のリバースラインの深さとの間に強い相関がある。この相関は(この具体的なケースでは、及びRI値のこの範囲にわたって)、
【0157】
【数1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なキャリアシートと、ポリマーバインダー中に分散された赤外線吸収性化合物とを含むフィルムであって、前記キャリアシート上に少なくとも1つの非ハロゲン化銀の感熱性画像形成可能層を有し、当該画像形成可能層中又は前記キャリアシートと当該画像形成可能層との間の異なる層中に配置された着色剤を有し、
当該フィルムは、前記キャリアシートと前記画像形成可能層との間、かつ、前記キャリアシートと前記着色剤を含む層との間に配置された透明層をさらに含み、当該透明層は、前記キャリアシートの屈折率又は前記キャリアシートと前記透明層との間の任意選択的な直接隣接した層の屈折率より小さい屈折率を有することを特徴とするフィルム。
【請求項2】
前記透明層は、前記キャリアシートの屈折率より少なくとも0.04小さい屈折率を有する、請求項1記載のフィルム。
【請求項3】
前記透明層は、前記キャリアシートと前記画像形成可能層のそれぞれの屈折率より少なくとも0.08小さい屈折率を有し、前記透明層は任意選択的にさらに接着促進剤を含む、請求項1記載のフィルム。
【請求項4】
前記透明層はフルオロエラストマーを含む、請求項1記載のフィルム。
【請求項5】
前記透明層は0.25〜10μmの厚さを有する、請求項1記載のフィルム。
【請求項6】
前記画像形成可能層と前記透明層との間に配置された中間層をさらに含み、前記剥離層は0.1〜10μmの厚さを有する、請求項1記載のフィルム。
【請求項7】
前記中間層は、ポリ(ビニルアルコール)、セルロース系ポリマー、又は加水分解スチレン無水マレイン酸、及び接着促進剤を含む、請求項6記載のフィルム。
【請求項8】
前記赤外線吸収性化合物は前記感熱性画像形成可能層とは異なる層中に存在し、かつ、ポリマーバインダー中に分散されている、請求項1記載のフィルム。
【請求項9】
前記赤外線吸収性化合物は赤外線吸収性染料を含み、前記着色剤は紫外線吸収性染料である、請求項1記載のフィルム。
【請求項10】
前記画像形成可能層とキャリアシートとの間に配置され、任意選択的に赤外線吸収性化合物を含むバリア層をさらに含む、請求項1記載のフィルム。
【請求項11】
前記バリア層は熱可燃性ポリマーバインダーを含む、請求項10記載のフィルム。
【請求項12】
前記バリア層は金属又は金属化層を含む請求項1記載のフィルム。
【請求項13】
請求項1記載のフィルムであって、前記キャリアシート上に順に:
a)フルオロエラストマーを含み、かつ、0.25〜10μmの厚さを有し、任意選択的に接着促進剤を含む前記透明層と、
b)ポリ(ビニルアルコール)を含み、かつ、0.1〜10μmの厚さを有し、着色剤と任意選択的に接着促進剤とを含む中間層と、
c)ポリ(シアノアクリレート)と赤外線吸収性染料とを含むバリア層と、
d)ポリウレタンバインダー中に分散された赤外線吸収性染料および紫外線吸収性着色剤を含む前記画像形成可能層と、
e)ポリ(ビニルアルコール)オーバーコート層とを、含み、
前記透明層は前記キャリアシートの屈折率より少なくとも0.08小さい屈折率を有する、フィルム。
【請求項14】
レリーフ画像の作成法であって:
A)画像形成されたフィルム中に露光領域と非露光領域を形成することによりマスク画像を形成し[ここで画像形成前の前記フィルムは:
透明なキャリアシートと、ポリマーバインダー中に分散された赤外線吸収性化合物と、透明層とを含み、前記キャリアシート上に少なくとも1つの非ハロゲン化銀の感熱性画像形成可能層を有し、当該画像形成可能層中又はキャリアシートと当該画像形成可能層との間の異なる層中に配置された着色剤を含み、
前記透明層は、前記キャリアシートと前記画像形成可能層との間に配置されており、当該透明層は、キャリアシートの屈折率、又はキャリアシートと透明層との間の任意選択的な直接隣接した層の屈折率より小さい屈折率を有する]、
B)マスク画像と輻射線感受性要素との間に完全な光学的接触を実現したままで画像形成されたフィルム中のマスク画像を輻射線感受性要素に転写させ、
C)前記輻射線感受性要素を、前記マスク画像を介して硬化用放射線に露光して、画像形成された要素を形成し(ここで、前記マスク画像は前記硬化用放射線に対して不透明である)、
D)画像形成された要素を現像してレリーフ画像を形成する、
ことを含む方法。
【請求項15】
前記画像形成されたフィルムは、工程CとDとの間で露光された前記輻射線感受性要素との光学的接触から解放される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記キャリアシートおよび透明層は、工程CとDとの間で前記画像形成されたフィルムから除去される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記輻射線感受性要素は、前記マスク画像を介して紫外線に露光されて画像形成された要素を形成する紫外線感受性要素であり、前記マスク画像は紫外線に対して不透明である、請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記紫外線感受性要素はフレキソ印刷版原版であり、前記画像形成された要素はフレキソ印刷版である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記輻射線感受性要素中に形成されるレリーフ画像は、少なくとも50°の平均肩角を有する、請求項14記載の方法。
【請求項20】
転写工程Bは貼合せにより行われる、請求項14記載の方法。
【請求項21】
転写工程Bは、放射線感受性層を液体状である間に前記画像フィルムに塗布して前記輻射線感受性要素を形成することにより行われる、請求項14記載の方法。
【請求項22】
請求項14記載の方法であって、前記フィルムは、前記キャリアシート上に順に:
a)フッ素化アクリレートポリマー、フルオロオレフィン、又はこれらの混合物であるフルオロエラストマーを含み、当該フルオロエラストマーは0.25〜10μmの厚さを有し、任意選択的に接着促進剤を含む前記透明層と、
b)ポリ(ビニルアルコール)を含み、かつ、0.1〜10μmの厚さを有し、任意選択的に接着促進剤を含む中間層と、
c)ポリ(シアノアクリレート)と赤外線吸収性染料とを含むバリア層と、
d)ポリウレタンバインダー中に分散された赤外線吸収性染料および紫外線吸収性着色剤を含む前記画像形成可能層と、及び
e)ポリ(ビニルアルコール)オーバーコート層とを、含み、
前記透明層は前記キャリアシートの屈折率より少なくとも0.08小さい屈折率を有するものである、方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−531462(P2010−531462A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511166(P2010−511166)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/006960
【国際公開番号】WO2008/153850
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】