説明

レンジ用マット

【課題】 焼き網及び油受け皿の洗い作業が不要であり、構造簡単安価にして使い捨てとすることが可能であり、さらに焼き調理する魚肉及びレンジに合わせて大きさの調整が可能であり、流通過程及び保管時には折り畳み収縮させることによりスペースを最小限とすることができるレンジ用マットを提供する。
【解決手段】 耐火性シート1が波形に折曲げられ、折り曲げにより形成されたそれぞれの谷部の両端部が閉塞され、かつ全体が伸縮自在に構成されてなるレンジ用マットであり、好ましくは、前記谷部2の長さが、焼き網5の横幅より短く構成され、前記耐火性シート1がアルミ箔あるいは耐火紙であることを特徴とするレンジ用マット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚肉を焼き調理する場合に用いられるレンジ用マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚肉を焼き調理するレンジには、油受け皿と、該油受け皿の中に配置する焼き網が用いられ、該焼き網の上部に魚肉等を載置してガス等により焼き調理している。
【0003】
しかしながら、焼き調理の終了時には、前記焼き網に、魚肉の一部と油が強固に付着し、さらに前記油受け皿には多くの油が落下し、その後の焼き網及び油受け皿の洗い作業にきわめて手数を要し面倒であった。
【0004】
そこで、前記焼き網及び油受け皿の洗い作業を改善するため、上部アルミ箔と下部アルミ箔で吸着紙又は耐熱性のある吸着剤を挟んだ三層からなる吸油防煙アルミシートをガスレンジのグリル内網上部に敷く、使い捨てタイプの吸油防煙アルミシート(特開平10−295550号公報)が提案され、さらに、ボトム部と、前記ボトム部の周端部に形成された周壁部とからなり、前記ボトム部上に焼成物が載置されるレンジグリル用マットにおいて、前記ボトム部には、その断面がほぼ逆三角形の形状を有する溝が複数形成され、前記溝の少なくとも1つの底部が、該溝の少なくとも一方端部に対して、低くなるように傾斜していることを特徴としたレンジグリル用マット(実開平07−33228号公報)などが提案されている。
【特許文献1】特開平10−295550号公報
【特許文献2】実開平07−33228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の吸油防煙アルミシートによれば、使い捨てであるために前記焼き網及び油受け皿の洗い作業を省略することができる。しかし、焼き調理時には、前記アルミシートに魚肉が密着させられるため、特に魚の焼き調理の場合には、身の部分が前記アルミシートに焼き付き他の部分と分離させられるなどの問題が残されていた。
【0006】
また、前記特許文献2に記載のレンジグリル用マットによれば、魚肉の焼き調理後の油の処理は容易であるが、構造上及び製造コスト等から考えて使い捨てにすることは困難であり、結局は、前記マットの洗い作業を省略することができない。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、前記焼き網及び油受け皿をレンジの内部に残した状態で使用することができ、その場合にあって前記焼き網及び油受け皿を汚すことがなく、したがって、該焼き網及び油受け皿の洗い作業を省略することができるものであり、また、前記焼き網、あるいは油受け皿をレンジの内部から除去して単独でも使用することができるものであり、構造簡単安価に提供して使い捨てとすることが可能であり、また、焼き調理する魚肉及びレンジに合わせて大きさの調節が可能であり、さらにまた、流通過程及び保管時には折り畳み収縮させることによりスペースを最小限とすることができるため取り扱いが容易であり、実用性に富んだレンジ用マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的達成のために、本発明にかかるレンジ用マットは、耐火性シートが波形に折り曲げられ、該折り曲げによって形成されたそれぞれの谷部の両端部が閉塞されてなることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
前記構成の本発明のレンジ用マットは、比較的安価に提供される耐火性のシートあるいはプレート(以下単に「耐火性シート」という。)が波形に折り曲げて構成され、該折り曲げにより、複数の谷部と複数の山部が均等に形成されている。本発明では、さらに前記谷部の両端部が閉塞される。なお、全体の大きさは、一般に使用されているレンジの油受け皿及び焼き網と略同じ大きさに構成される。
【0010】
前記本発明のレンジ用マットは、前記谷部が魚肉の焼き調理中に発生する油を貯留する油受け部となり、前記山部が魚肉の支持部となる。すなわち、本発明のレンジ用マットの使用時には、例えば、レンジを構成する焼き網の上部に載置され、前記山部に魚肉が載置されて焼き調理される。そして、焼き調理をを継続すると、前記折り曲げにより形成されたそれぞれの谷部の両端部が閉塞されているために、それぞれの谷部の内部に魚肉から落下した油が蓄えられる。
【0011】
なお、本発明のレンジ用マットは、レンジの内部から前記焼き網、あるいは油受け皿を取り出しても使用することができる。例えば、焼き調理する魚肉が厚さを有する場合には、レンジの内部から前記焼き網、あるいは油受け皿を取り出して、代わりに本発明のレンジ用マットをレンジの内部にセットして使用することができる。
【0012】
また、前記本発明のレンジ用マットは、全体が波形に折り曲げられていること及び該折り曲げによって形成されたそれぞれの谷部の両端部が閉塞されているために前記山部に魚肉を載置した場合に該山部が容易に変形あるいは潰されることがなく効果的に魚肉を支持する。
【0013】
したがって、前記耐火性シートは、必要とする強度を確保しつつ、可能な限り薄く、安価な素材を使用して、必要人数分の焼き調理後には使い捨てとすることができる。なお、使い捨て時には、適宜油の固め処理等が行なわれる。
【0014】
本発明の実施の一形態は、前記波形に折り曲げられた耐火性シートの全体が伸縮自在であることを特徴とする(請求項2)。この実施の一形態によれば、焼き調理する魚肉及びレンジに合わせて大きさの調節が可能であり、さらにまた、流通過程及び保管時には折り畳み収縮させることによりスペースを最小限とすることができるため取り扱いが容易であり、また、実用的である。
【0015】
すなわち、前記構成の折り畳み収縮させられたレンジ用マットは、使用時には、前記折り畳み収縮の状態が解除させられ、焼き調理する魚肉、あるいは使用するレンジの大きさに適合させて伸張させられて、例えば、焼き網の上部に載置され、そして、前記谷部と同時に形成された山部の上部に魚肉を載置して使用される。
【0016】
本発明の実施の一形態は、前記谷部の長さが、焼き網の横幅(該焼き網を構成する細棒の長さ)よりも短いことを特徴とする(請求項3)。すなわち、レンジを構成する焼き網は、網と言われているが、実際には、横方向に等間隔に細棒が設けられているのみである。
【0017】
この実施の一形態によれば、前記焼き網を構成するそれぞれの細棒の間に、前記本発明のマットを構成する谷部をそれぞれ適合させることができ、前記マットを安定させて使用することができる。同時に、前記マットを構成する山部の内部には、必然的に、前記焼き網を構成する細棒が位置させられるために前記山部が完全に補強させられることになる。
【0018】
したがって、耐火性シートを極薄にした場合にも、魚肉荷重により、前記山部が潰されることがないものである。なお、この実施の一形態の場合には油受け皿は不要である。もっとも、前記本発明のマットは油受け皿にセットしても使用することができる。
【0019】
その他、前記耐火性シートが、前記折り畳み収縮された状態から伸張状態に自動復元する性質を有する場合、あるいは前記自動復元する性質を全く有しない場合等には、使用時に必要とする伸張状態を維持することが好ましい。そこで、例えば、前記マットの端部適位置に固定用舌部を一体に形成し、該固定用舌片を焼き網あるいは水受け皿等に適宜固定することができるように構成すると便利である。
【0020】
本発明の実施の一形態は、前記耐火性シートがアルミ箔であることを特徴とする(請求項4)。この実施の一形態によれば、前記折り曲げ加工も、前記伸縮自在加工も容易であり、さらに比較的安価に提供できる。また、アルミ箔に食品等が付着している場合には可燃ごみとして処理する市町村が存在するようにアルミ箔は燃焼させることが可能であり、燃焼させ場合にも燃焼炉を損傷させることもなく、家庭ごみ等の助燃効果もあり、さらに、埋め立て処理等で土壌中に放置し場合には、数年で浸食されて土に還るとされており、焼き調理後の洗浄汚水を流す場合よりも環境を悪化させることがないものである。
【0021】
本発明の実施の一形態は、前記耐火性シートが耐火紙であることを特徴とする(請求項5)。この実施の一形態によれば、油の吸着も考えられ、同時に、使用後の燃焼、その他の処理が容易である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、焼き網及び水受け皿の洗い作業が不要であり、構造簡単安価にして使い捨てとすることも可能であり、さらに焼き調理する魚肉及びレンジに合わせて大きさの調節が可能であり、流通過程及び保管時には折り畳み収縮させることによりスペースを最小限とすることができるため取り扱いが容易であり、実用的である効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図中、1は、耐火性のシートであり、好ましくは、所定の強度を有するアルミ箔である。なお、前記所定の強度とは、後に述べる魚肉を支持する強度であり、該強度は、前記アルミ箔の厚さ等を調整して確保される。
【0024】
本発明では、前記耐火性シート1が波形に折り曲げられる。該折り曲げにより複数の谷部2が形成され、同時に複数の山部3が形成される。前記谷部2(及び山部3)の形成数は、一般家庭で使用されているレンジの焼き網を構成する細棒の数に略適合させると好都合である。また、好ましくは、前記谷部2の長さLが、焼き網5の幅Wよりも短く形成される。
【0025】
さらに、本発明は、好ましくは、全体が伸縮自在に構成される。すなわち、前記複数の谷部2と複数の山部3との間がシールされたヒンジの状態に構成されて伸縮自在とされる。したがって、後述する前記谷部2の両端部の閉塞部も折り畳み自在に構成される。
【0026】
本発明における前記山部3の好ましい高さ(前記谷部2の深さ)は、例えば、レンジの内部の焼き網の上部に本発明のマットを載置した時に、該マットの上部に形成される魚肉の載置スペースを極力狭めることがない高さであり、かつ前記谷部2が魚肉から落下する油を溢れさせることなく蓄えることができる深さである。
【0027】
さらに、本発明では、前記それぞれの谷部3の両端部が閉塞される。該谷部3の両端部の閉塞は、前記のごとく、全体の伸縮自在性を阻害することがないように行なわれる。図面実施例では、閉塞シート4を折り畳み自在に構成している。図中、4aは折り畳み線である。なお、前記閉塞シート4の形成は、前記耐火性シートの波形の折り曲げ加工時に同時に行なうことが好ましいが、その後の別工程で行なってもよい。
【0028】
図1では、前記閉塞シート4が、前記谷部3の内側に向けて折り畳まれるように形成されている。また、図2では、前記閉塞シート4が、前記図1とは反対に前記谷部3の外側に向けて折り畳まれるように形成されている。本発明は前記いずれの場合であってもよい。
【0029】
前記構成の本発明のレンジ用マットMは、流通過程及び保管時には、例えば、図3に示すように、収縮折り畳まれた状態とされる(図1実施例の場合)。図2の場合も同様に収縮折り畳まれる。
【0030】
つぎに、使用時には、例えば、図4に示すように焼き網5の大きさに適合させて伸張させられ、さらに、図5に示すように、前記焼き網5を構成する細棒6の間に、前記マットMを構成する谷部2を適合させ、さらに山部3の上部に魚肉7を載置してレンジRの内部に配置されて使用される。図中、8は、ガスバーナである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態によるレンジ用マットの一部切り欠き斜視図である。
【図2】本発明の実施形態による他のレンジ用マットの一部切り欠き斜視図である。
【図3】図1に示すレンジ用マットの折り畳み収縮斜視図である。
【図4】本発明のレンジ用マットの使用状態の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明のレンジ用マットの使用状態の一例を示すガスレンジの縦断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 耐火性シート
2 谷部
3 山部
4 閉塞シート
5 焼き網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性シートが波形に折り曲げられ、該折り曲げにより形成されたそれぞれの谷部の両端部が閉塞されてなることを特徴とするレンジ用マット。
【請求項2】
前記波形に折り曲げられた耐火性シートの全体が伸縮自在であることを特徴とする請求項1に記載のレンジ用マット。
【請求項3】
前記谷部の長さがレンジを構成する焼き網の横幅より短いことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンジ用マット。
【請求項4】
前記耐火性シートがアルミ箔であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のレンジ用マット。
【請求項5】
前記耐火性シートが耐火紙であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のレンジ用マット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−301862(P2008−301862A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148985(P2007−148985)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(507187710)ディジー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】