説明

レーザを用いた岩石の加工方法及びその装置

【課題】 レーザ照射により石英ガラスや二酸化珪素が溶融ドロスとなって析出しても穿孔が可能な方法を提供する。
【解決手段】 加工物100のレーザ照射位置12に、レーザ発振装置20から波長1.2μm以上で液体への吸収率の大きいレーザ、例えば、COレーザを液体31を通って照射し、液体中に発生する微細な泡の進行流13の泡中に生ずる高圧力により、溶融ドロスを飛散させて、岩石100に穿孔等の加工を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザを用いた岩石加工方法及びその装置に関する。さらに詳しくは、レーザを用いて、岩石を加工する際にドロスを析出する岩石であっても、なんらトラブルを生ずることなく加工することができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザを用いて岩石を穿孔、加工する研究がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
岩石にレーザを連続照射すると、岩石が溶融してドロスを生じ、ドロスがレーザによる岩石穿孔を妨げるという問題がある。上記技術では、ドロスが滞留して穿孔加工の進展を妨げることを防止するために、レーザ照射部位に、アシストガスを吹きつけてドロスの流出を促進するようにしている。
【0004】
また、岩石には、種類、成分、含水量その他によって、局部的に急速加熱したときに、破壊しやすい岩石と破壊しにくい岩石とがある(例えば、非特許文献1、2参照。)。
【0005】
岩石の破壊特性を利用して、ドロスの析出を防止しながら、レーザを岩石に照射して穿孔等の加工をする技術もある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
この技術は、加工対象の岩石の局部急速加熱破壊特性を調査し、この調査に基いてレーザ強度及びレーザと岩石との相互作用時間を調整し、ドロスを析出しない照射条件でレーザを照射する。この技術ではドロスの流動性を増加させる添加剤を添加することやアシストガスを吹付けること等は不要である。従って、岩石の加工を遠方から行うことができる。しかし、レーザによる破壊特性が不適切な岩石、例えば二酸化珪素含有率の高い岩石に対しては、加工が困難となる。
【0007】
また、レーザを用いて、液中の地下資源賦存層などを掘削する技術がある(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
この技術は、第1のレーザの誘起力と気泡中を透過する第2のレーザの熱作用により、液中の地層を掘削するものである。第1のレーザの誘起力は、衝撃波、ジェット流、気泡流若しくは音波、又はこれらの2以上の現象の複合に基づく作用によって得られる。この第1のレーザとしては、パルスレーザ、又は断続的に照射された連続波レーザが用いられる。
【0009】
また、レーザが液体に吸収される吸収率は、レーザの波長により異なり、波長ごとの吸収特性を有することも知られている(例えば、非特許文献3参照。)。長波長のレーザが液体への吸収率が大きい。
【0010】
一方、長波長帯のレーザの伝送を可能とするファイバが出現している。
【0011】
例えば、レーザの波長が2.0μm以上の波長帯では、赤外ファイバ(IR−transmitting fiber)が使用されている。赤外ファイバとは、石英系光ファイバの透過限界(約2μm)より長波長の赤外光を透過する光ファイバをいう。Ho−YAGレーザ(波長約2μm)の場合は、SiOあるいはGeOをコア材料とするファイバが使用される。Er−YAGレーザ(波長約3μm)の場合は、弗化ガラス(Fluoride glass)をコア材料とするファイバが使用される。COレーザ(波長約5.3μm)やCOレーザ(波長約10μm)の場合はカルコゲン化物ガラス(Chalcogenide glass)をコア材料とするファイバが利用可能である(例えば、非特許文献4参照。)。また中空ファイバも使用されている(例えば、非特許文献5参照。)。
【特許文献1】特開2001−170925号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開2006−305803(第3〜4頁、図1)
【特許文献3】特許第3856811号広報(第4〜5頁、図1)
【非特許文献1】SPE71466 2001年10月発行、B.C.GAHAN他 LASER DRILLING:DETERMINATION OF ENERGY REQUIRED TO REMOVE ROCK
【非特許文献2】電気学会レーザブレーションとその産業応用調査委員会編:レーザブレーションとその応用:1999年11月発行:コロナ p1〜9、図1.1
【非特許文献3】レーザ熱加工研究会編:第39回レーザ熱加工研究会論文集(1996、11)、第87−91頁
【非特許文献4】社団法人レーザ学会編:レーザ研究 第27巻 第3号(1999年3月15日発行)第167−172頁
【非特許文献5】社団法人レーザ学会編:レーザ研究 第27巻 第3号(1999年3月15日発行)第173−177頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
岩石の多くは、その成分中に、石英ガラスや二酸化珪素を含んでいる。このような岩石にレーザを照射すると、レーザの熱量により、石英ガラスや二酸化珪素は溶融ドロスとして析出する。溶融ドロスが一旦析出すると、さらに溶融を促進させるためにレーザを照射しても、反射散乱により、岩石に吸収されるレーザの熱量が不十分となる。従って、穿孔を進行させることが困難となる。また、レーザ照射中に溶融しているドロスは、レーザ照射を停止すると、固化して、穿孔が埋まってしまう。
【0013】
本発明は、レーザ照射により石英ガラスや二酸化珪素が溶融ドロスとなって析出するような岩石に対しても穿孔が可能な技術を提供する。また本発明は、第1,第2のレーザを用いることなく、単一のレーザで岩石を加工する。本発明の目的は溶融ドロスの生成により穿孔が出来なくなる問題を解決する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために創作されたもので、その技術手段は、レーザ照射位置に液体を介在させ、波長1.2μm以上のレーザを照射し、溶融ドロスを飛散させて岩石を加工することを特徴とするレーザを用いた岩石の加工方法である。
【0015】
本発明において岩石の加工とは、岩石のアブレーション(ablation,削摩)を云い、岩石の破壊、粉砕、剥離、掘削、切取、削孔、穿孔、溝形成など岩石に部分的な破壊現象を生じさせることを云う。
【0016】
上記本発明における、レーザとしては、介在させる液体への吸収率の高いレーザを用いる。液体への吸収率はレーザの波長に依存する。波長1.2μm未満のレーザは液体への吸収率が小さいので適切ではない。従って、本発明では使用するレーザの波長を1.2μm以上に限定した。さらに好ましくは波長2.0μm以上のレーザを用いるとよい。現行のレーザでは、最も波長の長い半導体レーザでは波長約28.0μmのものがある。本発明は短波長のレーザを波長変換によって長波長とすることを除外するものではない。また2以上の長波長のレーザをカスケード発振させて用いることもできる。
【0017】
本発明に用いる液体は、透明であると否とを問わない。液体の種類も問わないが、水を用いるのが最も簡易で実用的である。
【0018】
液体をレーザ照射位置に介在させる手段としては、
(a)岩石を液中に沈めておく
(b)岩石と対面する面が開放した液体保持容器を岩石面上に貼着し、この容器内に液体を供給しこの液体中を通ってレーザビームを照射位置に照射する
(c)レーザ照射位置に向って液体噴射ノズル等を設け、液体を供給する
(d)レーザ伝送手段の先端に照射方向に開口したジャケット等を取付け、このジャケットに液体を連続的に供給する
などの手段を採ればよい。
【0019】
前記レーザとしては、液体への吸収率の高いレーザであれば、ファイバレーザ(波長1.3〜1.5μm)、コイルレーザ(波長1.3μm)等でもよい。好ましくは、半導体レーザのうち波長の長いもの、COレーザ、COレーザ、Er−YAGレーザ及びHo−YAGレーザからなる群から選ばれた何れかのレーザを用いるとよい。これらのレーザは波長が2.0μm以上であり、かつ大出力とすることが可能である。
【0020】
本発明方法を好適に実施することができる本発明の岩石の加工装置は、レーザ照射位置に液体を存在させる液体供給手段と、この液体中を通って岩石の表面にレーザを照射する波長1.2μm以上のレーザ照射装置とから成ることを特徴とする。
【0021】
この場合、前記レーザ照射装置は伝送媒体がなくても差支えないが、波長2.0μm以上ではレーザ伝送媒体として弗化ガラスファイバ(Fluoride glass fiber)又はカルコゲン化物ガラスファイバ(Chalcogenide glass fiber)を用いることが好ましい。なお、波長1.2〜2.0μmまでは石英ファイバが利用可能である。
【0022】
液体に吸収されたレーザにより液体中に微細な泡の急速な進行流が生ずる。この泡内には瞬間的に極めて高い圧力が生ずる。この圧力は、液体の吸収率の高い長波長帯のレーザで顕著になる。液体に吸収されたレーザにより発生するこの急速進行する泡の爆発作用により溶融ドロスが粉砕・除去される。短波長帯及び中波長帯のレーザは、液体の吸収率が低いため、溶融ドロスを粉砕・除去するに十分な泡内圧力が発生しない。
【0023】
本発明の特徴は、液体への吸収率の高いレーザを用いることによって、岩石に生成される穿孔内で発生する溶融ドロスを排除して、穿孔内でのドロスの固化を防ぐことにある。
【発明の効果】
【0024】
本発明方法によれば、レーザ照射位置に液体を介在させ、液体への吸収率の高いレーザを用いることによって、析出するドロスを効果的に排除し、岩石に穿孔したり岩石を切断することが容易に可能となった。
【0025】
また、本発明装置を用いることによって、上記本発明方法を容易に実施をすることができる。
【0026】
従来、石英ガラスや二酸化珪素の含有量の多い岩石はレーザによる加工が困難であった。本発明によれば、これらを容易に加工をすることができるようになった。なお、石英ガラスや二酸化珪素の少ない岩石、又はこれらを含まない岩石も、もちろん本発明方法によって容易に加工をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、岩石加工産業、土木・建築産業、鉱物資源開発産業、企業および研究機関の岩石加工実験における岩石加工技術に利用することができる。
【0028】
岩石加工産業においては、石英ガラスや二酸化珪素の含有量の多い岩石(花崗岩等)の加工に応用できる。液を介在させて岩石を加工するため、騒音が少ない。また、粉塵が発生しないので人体が保護される。
【0029】
土木・建築産業、では、トンネル・岩盤掘削工事が、従来のさく岩機等に比べて低騒音で実施可能となる。
【0030】
病院棟・デパート建物等の修理工事では、削岩機を使用してコンクリートや石材等の一部解体工事等を行うと、騒音のため、営業活動を停止せざるを得ない。本発明を用いることにより、低騒音の工事が可能となるため、営業活動を停止せずに修理工事が可能となる。
【0031】
また、企業・大学等の研究窒においても、小出力のレーザを用いて岩石の穿孔・加工をすることが容易となり、研究活動をスムーズに行うことが可能となる。
【0032】
鉱物資源開発産業では、金属製のビットを用いて、岩盤を掘削しているが、レーザを用いることにより非接触・無回転の掘削ができる。これにより金属製ビットの磨耗から生じる不経済性を改善することができる。
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0034】
図1にレーザ照射による岩石のキーホールの生成原理を模式的に示した。
【0035】
レーザ10を岩石などの加工物100に照射すると、加工物成分により溶融部110が形成され、図1に示すように、加工物100にキーホール130が生成される。レーザ10の熱量により加工物100の成分が蒸発し、蒸気圧113が発生する。発生したキーホール130内では、キーホール130を押し潰そうとする溶融部110の表面張力111及び静圧112と、キーホール130を押し広げようとする蒸発反発力113がバランスすることによりキーホール130が維持される。なお図1中の10aはレーザの減衰やはね返り領域を示したものである。
【0036】
簡単のため、キーホールのキャビティを図3に示すように直径Dの円筒とみなし重力ヘッドを無視すると、表面張力γによる圧力PSは、PS=2・γ/Dで表される。
【0037】
岩石の蒸気圧PVと、ドロスの表面張力による圧力PSとが釣り合って安定なキーホールとなる。すなわち安定したキーホールではPS=PVとなる。
【0038】
レーザ10の照射中に生成される溶融ドロス110は、レーザ10の照射が停止されるとキーホール130内にせり出し冷却されてキーホール130を埋めて固まる。
【0039】
本発明では岩石穿孔内の溶融ドロスが除去される。その現象を図面を参照しながら以下に述べる。
【0040】
レーザ10の液体への吸収特性は波長によって異なる。一般に、短波長域のレーザは、液体への吸収率が低い。これに対して中波長帯域から長波長域のレーザは液体によく吸収される。長波長帯域にあるレーザの例をあげると、半導体レーザ(波長最大28.0μm)、COレーザ(波長約10.5μm)、COレーザ(波長約5.5μm)、Er−YAGレーザ(波長約2.9μm)及びHo−YAGレーザ(波長約2.0μm)がある。
【0041】
本発明は、レーザ波長毎に液体への吸収率が異なることに着眼してなされたもので、吸収率の高いレーザを用い液体を併用することによって溶融ドロスを効果的に除去することができる。
【0042】
本発明では、レーザのエネルギーが液体に吸収されることにより発生する液体中の微細進行泡流内の高圧力を利用して溶融ドロスを飛散させる。
【0043】
レーザ10を液体を介して岩石100に照射すると、吸収率の高いレーザ10は液体の中に微細泡の進行流を発生し、この泡内に非常に高い圧力が発生し、その爆発的作用により溶融ドロス110を飛散させる。この作用によりキーホール130内部の圧力バランスが崩れ、溶融ドロス110は、図4に示すように、微細なビーズ120となって粉砕・除去される。その結果、レーザ照射停止時には、溶融ドロス110が排除されているのでドロスが固化することがない。従って、穿孔50が閉塞されることを防ぐことができる。
【0044】
岩石穿孔内に作用する液体の微細泡内の圧力をより高くするには、液体への吸収率の高いレーザを使用すればよい。液体への吸収率の高いレーザは、非常に短時間で高いエネルギーが液体に吸収される。従って、発生する泡内圧力が高くなる。
【0045】
溶融石英ガラス等のドロス110が析出しても、レーザ10が液体に吸収されて発生する泡内圧力の衝撃により溶融ドロス110が粉砕され、穿孔50を生成する。
【0046】
本発明方法の実施態様を模式的に図5〜図8に示した。
【0047】
図5は、レーザ10を用いて、岩石100を穿孔する実施例で、容器内に液体を注入・排出を行いながら液体内を通ってレーザを照射する例である。岩石100の上面に底のない液体保持容器30を載置固定し、その中に液体31を保持する。液体31は供給口32から供給され、排出口33から排出され、容器30内に液体31を常時保持する。
【0048】
レーザ発振装置20から発振されたレーザビーム10は、液体31を通って岩石100の照射点12に照射される。レーザビーム10は液体31に到達すると液体31に吸収される。液体31中に微細泡の進行流13が発生する。微細泡の進行流13はレーザビーム10により急激に発生し、レーザビーム10により加速されて岩石100に達する。ここで微細泡内に爆発的な高圧力を生じ、レーザビーム10と共に岩石100のレーザ照射部12に到達する。レーザビーム10は、岩石100のレーザ照射部12を溶融・蒸発させ、アブレーションを起こす。液中に生じた微細泡は爆発的衝撃圧を生じ、岩石から発生した溶融ドロスを粉砕し、飛散させる。飛散したドロスのビーズは液体31中に拡散し、排出される。このようなプロセスにしたがって岩石を穿孔する。
【0049】
図6は、岩石100の垂直面102を穿孔する方法を示す。液体保持容器30を岩石100の垂直面102に設置する。容器30内に液体31を充填する。レーザ発振装置20からレーザ伝送手段21(ファイバまたは導波管)によりレーザビーム10が、液体31中で岩石100の鉛直面102に向けて照射される。
【0050】
図7は、複数の容器、複数のレーザを用いて、岩石100に大口径の穴を開ける構成を示したものである。複数のレーザ発振装置20から発したレーザビーム10はレーザ伝送手段21を経て液体保持容器30を通って岩石100の照射点12に照射される。液体保持容器30には液体31が充填されている。図7はこのような容器とレーザとから成る複数ユニット使用した例である。
【0051】
単一のユニットのレーザ発振装置20から発射されたレーザビーム10はレーザ伝送手段21を経て液体31中で照射される。液体31内で照射されたレーザビーム10は、微細泡進行流13を発生する。レーザビーム10と微細泡進行流13が岩石100の照射点12に到達する。同様に、各ユニットで岩石100の穿孔が行われため、図8に示すように各ユニットによる穿孔40の集合が大口径の穴50となる。このようにして大口径の穴50を掘削することができ、例えば、トンネル掘削を行うことができる。
【0052】
なお、波長の短いレーザを波長変換器によって波長の長いレーザに変換して本発明を実施することも可能である。
【0053】
図9に本発明装置の一実施例の模式的縦断面図を示した。レーザ伝送手段21としてカルコゲン化物ガラスファイバを用い、その先端に液体供給手段として水ジャケット35を装着してある。水ジャケット35は水供給管36から連続的に水を供給され、ノズル37から水を噴出するようになっている。レーザ伝送手段21のレーザビーム10は、このノズル37を通って加工物100に照射されるようになっている。レーザ伝送手段21はマルチファイバでもよい。
【実施例】
【0054】
稲田花崗岩のブロックにレーザ加工による穿孔を行った。対象花崗岩の特性は次の通りである。
【0055】
熱伝導率:0.13〜0.2(cal/cm/s/cdeg)
鉱物組成:
斜長石 22wt%
石英 42wt%
黒雲母 4wt%
化学組成:
SiO 77.65wt%
TiO 0.19wt%
Al 12.55wt%
Fe 0.46wt%
FeO 0.98wt%
MnO 0.08wt%
MgO 0.18wt%
CaO 1.44wt%
使用したレーザは次の通りである。
【0056】
レーザ種類: COレーザ
レーザ波長: 10.5μm
レーザ出力: 5kW
液体: 水、ベントナイト溶液4重量%(不透明)の2種類
レーザ照射方向:対象物の上面
図5に模式的に示す装置を用いて、レーザを2分照射した。照射後、粉砕したドロスの微粉が水中又はベントナイト溶液中に分散したことが認められた。照射後、花崗岩に直径約15mm、最大深さ約50mmの孔が穿孔されたことを確認した。
【比較例】
【0057】
上記実施例と同一条件で液体を介在させることなくレーザ照射を行ったところ、照射終了後、照射位置に溶融ドロスが固化した状態を呈し、穿孔することはできなかった。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】キーホール現象の説明図である。
【図2】キーホールのドロスの表面張力と溶融物蒸気圧とのバランスを示すグラフである。
【図3】キーホールのドロスの表面張力と溶融物蒸気圧とのバランスを示す模式図である。
【図4】溶融ドロスの粉砕を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明の実施形態を示す模式図である。
【図8】本発明の実施形態を示す模式図である。
【図9】本発明装置の模式的断面図である。
【符号の説明】
【0059】
10 レーザ
12 照射点
13 微細泡の進行流
20 レーザ発振装置
21 レーザ伝送手段
30 液体保持容器
31 液体
32 供給口
33 排出口
35 水ジャケット
36 水供給管
37 ノズル
40 各ユニットによる穿孔
50 大口径の穴
100 岩石(加工物)
102 垂直面
110 溶融ドロス
111 表面張力
112 静圧
113 蒸発反発力
120 ビーズ
130 キーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ照射位置に液体を介在させ、波長1.2μm以上のレーザを照射し、溶融ドロスを飛散させて岩石を加工することを特徴とするレーザを用いた岩石の加工方法。
【請求項2】
前記レーザは、半導体レーザ、COレーザ、COレーザ、Er−YAGレーザ及びHo−YAGレーザからなる群から選ばれた何れかのレーザであることを特徴とする請求項1記載のレーザを用いた岩石の加工方法。
【請求項3】
レーザ照射位置に液体を存在させる液体供給手段と、該液体中を通って岩石の表面にレーザを照射する波長1.2μm以上のレーザ照射装置とから成ることを特徴とするレーザを用いた岩石の加工装置。
【請求項4】
前記レーザ照射装置はレーザ伝送媒体として弗化ガラスファイバ又はカルコゲン化物ガラスファイバを用いることを特徴とする請求項3記載のレーザを用いた岩石の加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−183737(P2008−183737A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16917(P2007−16917)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(395022018)日本海洋掘削株式会社 (10)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(504117958)独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (101)
【Fターム(参考)】