説明

レーザプリンタ装置

【課題】 フロントドアとリアドアの双方が確実に閉じられた状態で動作するレーザプリンタ装置を提供する。
【解決手段】 レーザプリンタ装置の内部には連接棒5が配設されている。フロントドア2の内側にはフロント側突出部2aが設けられ、リアドア4の内側にはリア側突出部4aが設けられている。連接棒5の一端側にはスイッチ7が配設されている。フロントドア2およびリアドア4の少なくともいずれかが開いている状態では、連接棒5は一端側から他端側に向かってバネ6によって付勢されて、フロント側突出部2aは連接棒5の一端側に当接しない。フロントドア2およびリアドア4の双方が閉じられることによって、連接棒5が他端側から一端側に向かってスライドし、フロント側突出部2aが連接棒5の一端側に当接してスイッチ7がオンする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザプリンタ装置に関し、特に、フロントドアとリアドアを備えたレーザプリンタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーザプリンタ装置101には、図10および図11に示すように、その前面に紙詰まりやトナーの交換等のメンテナンスのための開閉可能なフロントドア102が設けられている。一方、レーザプリンタ装置101の後面には、フロントドア102と対向するようにリアドア104が設けられている。そのリアドア104の内側には、トレー103に収容された用紙(図示せず)を矢印に沿って印字ユニット108へ送り込むための紙送りガイド104bが内側に形成されている。
【0003】
レーザプリンタ装置101では、フロントドア102を閉めることでトナーカートリッジ(図示せず)が所定の位置に収まるよう設定されている。そのため、フロントドア102が開いている状態でレーザプリンタ装置が動作すると、トナーカートリッジが所定の位置に収まっていない状態となって、レーザプリンタ装置101の内部でトナーが漏れてしまい、印字不良が発生することがある。
【0004】
一方、リアドア104が開いている状態でレーザプリンタ装置が動作すると、トレー103から排出される用紙が印字ユニット108へ向かってガイドされなくなって、用紙のつまりの原因となったり、用紙がレーザプリンタ装置101の外へ排出されてしまうことになる。
【0005】
そのため、レーザプリンタ装置101としては、フロントドア102とリアドア104の双方が閉じられた状態で動作することが求められる。なお、特許文献1〜3では、プリンタ装置として、隣り合う一方の側面部分と他方の側面部分とにそれぞれ設けられたドアが閉じられたのを検知するセンサを備えたプリンタ装置が提案されている。
【特許文献1】特開2001−125331号公報
【特許文献2】特開2002−72601号公報
【特許文献3】特開2002−187324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特に、前後に対向するフロントドアとリアドアの少なくとも一方が開いた状態でレーザプリンタ装置が動作するのを防止するための構造を提案するものであり、その目的は、フロントドアとリアドアの双方が確実に閉じられた状態で動作するレーザプリンタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレーザプリンタ装置は、プリンタ本体とフロントドアとリアドアと連接棒とフロント側突出部とリア側突出部とスイッチとバネとを備えている。プリンタ本体は、用紙を収容するためのトレーおよび用紙に印字を行なうための印字ユニットを有する。フロントドアはメンテナンスのためプリンタ本体の前面に設けられている。リアドアは、フロントドアと対向するようにプリンタ本体の後面に設けられ、トレーから排出される用紙を印字ユニットへ送り込むための送りガイドを有する。連接棒は、フロントドアとリアドアとの間に前後にスライド可能に配設されている。フロント側突出部は、フロントドアから連接棒に向かって突出するようにフロントドアに設けられ、連接棒の一端側と当接する。リア側突出部は、リアドアから連接棒に向かって突出するようにリアドアに設けられ、連接棒の他端側と当接する。スイッチは連接棒の一端側に設けられ、連接棒の一端側に位置するフロント側突出部およびリア側突出部の一方が当接することによってオンする。バネは、スイッチが設けられた連接棒の一端側から他端側に向かって連接棒に付勢力を与える。その連接棒およびスイッチは、フロントドアおよびリアドアの少なくともいずれかが開いている状態では、連接棒は連接棒の一端側から他端側に向かって付勢されて、フロント側突出部およびリア側突出部の一方は連接棒の一端側に当接せず、フロントドアおよびリアドアの双方が閉じられることによって、連接棒が連接棒の他端側から一端側に向かってスライドし、フロント側突出部およびリア側突出部の一方が連接棒の一端側に当接してスイッチがオンするよう配設されている。
【0008】
この構造によれば、フロントドアとリアドアの開閉に伴ってスライドする連接棒とスイッチにより、比較的簡単な構造で、フロントドアおよびリアドアの双方が閉じられた状態で初めてスイッチを確実にオンすることができて、レーザプリンタ装置による印字を確実に行なうことができる。
【0009】
本発明に係る他のレーザプリンタ装置は、プリンタ本体と第1ドアと第2ドアと連接部材とスイッチと弾性体とを備えている。第1ドアはプリンタ本体に設けられている。第2ドアは、プリンタ本体において第1ドアと対向する位置に設けられている。連接部材は、第1ドアおよび第2ドアとの間に配設されている。スイッチは連接部材の端部、第1ドアおよび第2ドアのいずれか1つに設けられている。弾性体はスイッチが設けられた側からスイッチが設けられていない側に向かって連接部材に付勢力を与える。連接部材およびスイッチは、第1ドアおよび第2ドアの少なくともいずれかが開いている状態では、連接部材は弾性体によってスイッチが設けられた側からスイッチが設けられていない側に向かって付勢されることでスイッチはオンせず、第1ドアおよび第2ドアの双方が閉じられることによって連接部材が第1ドアおよび第2ドアと当接してスイッチがオンするように配設されている。
【0010】
この構造によれば、第1ドアと第2ドアの開閉に伴ってスライドする連接部材とスイッチにより、比較的簡単な構造で、第1ドアおよび第2ドアの双方が閉じられた状態で初めてスイッチを確実にオンすることができて、レーザプリンタ装置による印字を確実に行なうことができる。
【0011】
より具体的に、第1ドアとしてはプリンタ装置の前面側に配設されたドアであり、第2ドアとしてはプリンタ本体の後面側に配設されたドアである。
【0012】
また、スイッチは連接棒に配設されていることが好ましい。さらに、連接部材を付勢する弾性体はバネであることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係るレーザプリンタ装置について説明する。
レーザプリンタ装置1には、図1および図2に示すように、前面に紙詰まりやトナーの交換等のメンテナンスのための開閉可能なフロントドア2が設けられている。一方、レーザプリンタ装置1の後面には、フロントドア2と対向するようにリアドア4が設けられている。リアドア4の内側には、矢印21に示すように、トレー3に収容された用紙(図示せず)を印字ユニット8へ送り込むための紙送りガイド4bが内側に形成されている。
【0014】
さらに、図3に示すように、レーザプリンタ装置の内部には、フロントドア2とリアドア4の開閉に応じて前後にスライド可能な連接棒5が配設されている。フロントドア2の内側には、連接棒5に向かって突出し連接棒5の一端側と当接するフロント側突出部2aが設けられている。一方、リアドア4の内側には、連接棒5に向かって突出し連接棒5の他端側と当接するリア側突出部4aが設けられている。
【0015】
連接棒5の一端側には、連接棒5の一端側に位置するフロント側突出部2aが当接することによってオンするスイッチ7が配設されている。その連接棒5は、バネ6によってスイッチ7が設けられた連接棒5の一端側から他端側に向かって付勢されている。
【0016】
その連接棒5とスイッチ7は、フロントドア2およびリアドア4の少なくともいずれかが開いている状態では、連接棒5は連接棒5の一端側から他端側に向かって付勢されて、フロント側突出部2aは連接棒5の一端側に当接しない。そして、フロントドア2およびリアドア4の双方が閉じられることによって、連接棒5が連接棒5の他端側から一端側に向かってスライドし、フロント側突出部2aが連接棒5の一端側に当接してスイッチ7がオンする。
【0017】
以下、フロントドア2とリアドア4の開閉の状態と、連接棒5に設けられたスイッチ7のオンオフ動作についてより詳しく説明する。まず、フロントドアとリアドアの双方が開いている状態では、図4に示すように、連接棒5はバネ6によってスイッチ7が配設されたフロント側からリア側へ向かって(紙面に向かって右側)付勢されて、連接棒5のスイッチ7が配設された一端部5aと他端部5bは、所定の位置A、Bよりも後側に位置することになる。この所定の位置A,Bとは、後述するように、フロントドアとリアドアの双方が閉じられた状態での連接棒5の一端部5aと他端部5bのそれぞれの位置をいう。
【0018】
次に、リアドアが開いてフロントドアが閉じられた状態では、図5に示すように、連接棒5の両端部5a,5bは、依然としてバネ6によって所定の位置A,Bよりも後方に位置する。そのため、フロントドアが閉じられてフロント側突出部2aが位置Aにまで達しても、スイッチ7には当接しない。したがって、この状態ではスイッチ7はオンされないことになる。
【0019】
フロントドアが閉じられた状態でリアドアが閉じられると、図6に示すように、リアドア4のリア側突出部4aが連接棒5の他端側に当接し、連接棒5はバネ6の付勢力に逆らってフロント側に矢印に示すようにスライドすることになる。これにより、連接棒7の両端がそれぞれ位置A,Bに達してスイッチ7がフロント側突出部2aに当接し、スイッチ7がオンされることになる。この状態で、レーザプリンタ装置1の動作が可能になる。
【0020】
一方、フロントドアが開いてリアドアが閉じられた状態では、図7に示すように、リアドア4のリア側突出部4aが連接棒5の他端側に当接し、連接棒5はバネ6の付勢力に逆らってフロント側に矢印に示すようにスライドすることになる。これにより、連接棒7の両端がそれぞれ位置A,Bに達することになるが、フロントドアが開いているためにスイッチ7はオンしない。
【0021】
リアドアが閉じられた状態でフロントドアが閉じられると、図8に示すように、フロント側突出部2aがスイッチ7に当接してスイッチ7がオンされることになる。この状態で、レーザプリンタ装置1の動作が可能になる。
【0022】
上述したレーザプリンタ装置では、図9に示すように、フロントドア2とリアドア4の双方が閉じられた状態で連接棒5の両端5a,5bが所定の位置A,Bにそれぞれ位置することでフロント側突出部2aがスイッチ7に当接してスイッチ7がオンされる。一方、フロントドア2およびリアドア4の少なくともいずれかが開いている状態では、連接棒5はバネ6によって所定の方向に付勢されて、スイッチがオンしないように連接棒5が配設されている。
【0023】
これにより、比較的簡単な構造で、フロントドア2およびリアドア4の双方が閉じられた状態で初めてスイッチを確実にオンすることができて、レーザプリンタ装置1による印字を確実に行なうことができる。
【0024】
なお、上述したレーザプリンタ装置1では、連接棒5のフロント側の一端側に配設する場合を例に挙げて説明したが、リア側の他端側に配設してもよい。また、スイッチ7を連接棒5に配設せずにフロント側突出部2aまたはリア側突出部4aに配設してもよい。
【0025】
また、弾性体としてバネ6を例に挙げて説明したが、連接棒5を所定の向きに付勢することができればバネに限られない。
【0026】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るレーザプリンタ装置の斜視図である。
【図2】同実施の形態において、図1に示すレーザプリンタ装置における印字動作に伴う用紙の動きを示す側面図である。
【図3】同実施の形態において、図1に示すレーザプリンタ装置におけるフロントドアとリアドの動きを示す側面図である。
【図4】同実施の形態において、フロントドアおよびリアドの動きと連接棒の位置関係を説明するための第1の図である。
【図5】同実施の形態において、フロントドアおよびリアドの動きと連接棒の位置関係を説明するための第2の図である。
【図6】同実施の形態において、フロントドアおよびリアドの動きと連接棒の位置関係を説明するための第3の図である。
【図7】同実施の形態において、フロントドアおよびリアドの動きと連接棒の位置関係を説明するための第4の図である。
【図8】同実施の形態において、フロントドアおよびリアドの動きと連接棒の位置関係を説明するための第5の図である。
【図9】同実施の形態において、フロントドアおよびリアドの動きと連接棒の位置関係を説明するための第6の図である。
【図10】従来のレーザプリンタ装置の斜視図である。
【図11】図10に示すレーザプリンタ装置における印字動作に伴う用紙の動きを示す側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 レーザプリンタ装置、2 フロントドア、2a フロント側突出部、3 トレー、4 リアドア、4a リア側突出部、4b 紙送りガイド、5 連接棒、6 バネ、7 スイッチ、8 印字ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を収容するためのトレーおよび用紙に印字を行なうための印字ユニットを有するプリンタ本体と、
前記プリンタ本体の前面に設けられ、メンテナンスのためのフロントドアと、
前記フロントドアと対向するように前記プリンタ本体の後面に設けられ、前記トレーから排出される用紙を前記印字ユニットへ送り込むための送りガイドを有するリアドアと、
前記フロントドアと前記リアドアとの間に、前後にスライド可能に配設された連接棒と、
前記フロントドアから前記連接棒に向かって突出するように前記フロントドアに設けられ、前記連接棒の一端側と当接するフロント側突出部と、
前記リアドアから前記連接棒に向かって突出するように前記リアドアに設けられ、前記連接棒の他端側と当接するリア側突出部と、
前記連接棒の一端側に設けられ、前記連接棒の一端側に位置する前記フロント側突出部および前記リア側突出部の一方が当接することによってオンするスイッチと、
前記スイッチが設けられた前記連接棒の一端側から他端側に向かって前記連接棒に付勢力を与えるバネと
を備え、
前記連接棒および前記スイッチは、
前記フロントドアおよび前記リアドアの少なくともいずれかが開いている状態では、前記連接棒は前記連接棒の一端側から他端側に向かって付勢されて、前記フロント側突出部および前記リア側突出部の一方は前記連接棒の一端側に当接せず、
前記フロントドアおよび前記リアドアの双方が閉じられることによって、前記連接棒が前記連接棒の他端側から一端側に向かってスライドし、前記フロント側突出部および前記リア側突出部の一方が前記連接棒の一端側に当接して前記スイッチがオンするよう配設された、レーザプリンタ装置。
【請求項2】
プリンタ本体と、
前記プリンタ本体に設けられた第1ドアと、
前記プリンタ本体において前記第1ドアと対向する位置に設けられた第2ドアと、
前記第1ドアおよび前記第2ドアとの間に配設された連接部材と、
前記連接部材の端部、前記第1ドアおよび前記第2ドアのいずれか1つに設けられたスイッチと、
前記スイッチが設けられた側から前記スイッチが設けられていない側に向かって前記連接部材に付勢力を与える弾性体と
を備え、
前記連接部材および前記スイッチは、
前記第1ドアおよび前記第2ドアの少なくともいずれかが開いている状態では、前記連接部材は前記弾性体によって前記スイッチが設けられた側から前記スイッチが設けられていない側に向かって付勢されることで前記スイッチはオンせず、
前記第1ドアおよび前記第2ドアの双方が閉じられることによって前記連接部材が前記第1ドアおよび前記第2ドアと当接して前記スイッチがオンするように配設された、レーザプリンタ装置。
【請求項3】
前記第1ドアは前記プリンタ装置の前面側に配設され、前記第2ドアは前記プリンタ本体の後面側に配設された、請求項2記載のレーザプリンタ装置。
【請求項4】
前記スイッチは前記連接棒に配設された、請求項2または3に記載のレーザプリンタ装置。
【請求項5】
前記弾性体はバネである、請求項2〜4のいずれかに記載のレーザプリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−3551(P2006−3551A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178608(P2004−178608)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】