レーザー照射装置
【課題】副鏡の基準位置調整を行い、主鏡と副鏡との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正し、対象物に対し正確にレーザー光を照射するレーザー照射装置を提供する。
【解決手段】反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する検出系30と、副鏡12の光軸方向の位置を検出する位置センサ40と、対象物までの距離を計測する測距計と、副鏡12を光軸に沿って移動させる駆動機構60と、射出光が平行光であると検出されたとき位置センサ40により検出された副鏡12の位置を基準位置として、対象物までの距離に応じて対象物にレーザー光を集光させるための副鏡12の基準位置からの移動量及び移動方向を演算し、演算結果に基づいて、駆動機構60の駆動制御を行う制御装置70とを有し、主鏡11と副鏡12との間隔が対象物に対してレーザー光を正確に集光する距離に調整された反射光学系10を介して、レーザー光を対象物に照射する。
【解決手段】反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する検出系30と、副鏡12の光軸方向の位置を検出する位置センサ40と、対象物までの距離を計測する測距計と、副鏡12を光軸に沿って移動させる駆動機構60と、射出光が平行光であると検出されたとき位置センサ40により検出された副鏡12の位置を基準位置として、対象物までの距離に応じて対象物にレーザー光を集光させるための副鏡12の基準位置からの移動量及び移動方向を演算し、演算結果に基づいて、駆動機構60の駆動制御を行う制御装置70とを有し、主鏡11と副鏡12との間隔が対象物に対してレーザー光を正確に集光する距離に調整された反射光学系10を介して、レーザー光を対象物に照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物にレーザー光を照射するレーザー照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなレーザー照射装置として、例えば、光軸に沿って対向配置された主鏡と副鏡とから構成されたカセグレン型の反射光学系を介して、対象物にレーザー光を照射するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−151539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、レーザー照射装置では、照射レーザー光の対象物への集光性能の更なる向上が望まれている。しかしながら、温度変動や経時変化の影響等により、主鏡と副鏡との間隔が対象物に対して正確にレーザー光を集光する間隔からずれる場合がある。この場合、対象物の位置と、実際にレーザー光が送光されて集光される位置とがずれてしまう。こうしたずれを修正するためには、例えば主鏡と副鏡が一組となった反射光学系が、アフォーカル状態である場合の、副鏡の基準位置の調整を行う必要があるが、従来の装置には設けられていなかった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、主鏡と副鏡が一組となった反射光学系が、アフォーカル状態である場合の、副鏡の基準位置調整を行うことで、主鏡と副鏡との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正し、対象物に対してより正確にレーザー光を照射することができる、レーザー照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、本発明を例示する態様に従えば、光軸に沿って対向配置された主鏡と副鏡とを有する光学系を介して、レーザー光源から射出されたレーザー光を対象物に照射するレーザー照射装置において、前記光学系からの射出光が平行光であるか否かを検出する検出系と、前記副鏡の光軸方向の位置を検出する位置センサと、前記対象物までの距離を計測する測距計と、前記副鏡を光軸に沿って移動させる駆動機構と、前記検出系により前記光学系からの射出光が平行光であると検出されるまで前記副鏡を移動させ、前記検出系により前記光学系からの射出光が平行光であると検出されると、このときに前記位置センサにより検出された前記副鏡の位置を基準位置として記憶し、前記測距計により計測された前記対象物までの距離に応じて、前記対象物にレーザー光を集光させるために必要な前記副鏡の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し、この演算結果に基づいて前記副鏡が光軸に沿って移動するように、前記駆動機構の駆動制御を行う制御装置とを有し、前記制御装置により前記駆動機構を介して前記副鏡を移動させ、前記主鏡と前記副鏡との間隔が前記対象物に対して正確にレーザー光を集光する間隔に調整された前記光学系を介して、レーザー光を前記対象物に照射することを特徴とするレーザー照射装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、副鏡の基準位置調整を行うことで、主鏡と副鏡との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正し、対象物に対してより正確にレーザー光を照射することができ
る、レーザー照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、レーザー光の照射が行われている状態を示す。
【図2】第1の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、副鏡の調整が行われている状態を示す。
【図3】第1の実施形態に係るレーザー照射装置を用いて、レーザー光の照射を行う際の手順を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、レーザー光の照射が行われている状態を示す。
【図5】第2の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、副鏡の調整が行われている状態を示す。
【図6】第2の実施形態に係るレーザー照射装置を用いて、レーザー光の照射を行う際の手順を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、レーザー光の照射が行われている状態を示す。
【図8】第3の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、副鏡の調整が行われている状態を示す。
【図9】第3の実施形態に係るレーザー照射装置を用いて、レーザー光の照射を行う際の手順を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、コリメータ光学系の調整が行われている状態を示す。
【図11】第4の実施形態に係るレーザー照射装置を用いて、レーザー光の照射を行う際の手順を示すフローチャートである。
【図12】第5の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、副鏡の調整が行われている状態を示す。
【図13】第6の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、副鏡の調整が行われている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。第1の実施形態に係るレーザー照射装置1は、図1及び図2に示すように、光軸AXに沿って対向配置された主鏡11と副鏡12とを有する反射光学系10を介して、レーザー光源20から射出されたレーザー光を対象物(不図示)に照射するレーザー照射装置であって、反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する検出系30と、副鏡12の光軸方向の位置を検出する位置センサ40(例えば、リニアエンコーダや、ポテンショメータ等)と、対象物(不図示)までの距離を計測する測距計50と、副鏡12を光軸AXに沿って移動させる駆動機構60(例えば、ピエゾ素子を用いた駆動機構や、回転モータとボールネジとを組み合わせて用いた駆動機構等)と、駆動機構60の駆動制御を行う制御装置70とを有する。
【0010】
主鏡11は、表側(副鏡12側)に形成された凹面状の反射面11aと、中央に形成された開口11bとを有する凹面反射鏡である。副鏡12は、表側(主鏡11側)に形成された凸面状の反射面12aを有する凸面反射鏡である。すなわち、主鏡11と副鏡12とからなる反射光学系10は、いわゆるカセグレン光学系である。
【0011】
検出系30は、検出用光源31と、検出用光源31から射出された光を透過する照明レチクル32と、照明レチクル32を透過した光を反射して後述のコリメータ光学系34に向かわせるとともに、コリメータ光学系34により結像された照明レチクル32の像を透
過して撮像素子35に向かわせるハーフプリズム33と、ハーフプリズム33を介して照明レチクル32を透過した光を平行光に変換するコリメータ光学系34と、コリメータ光学系34から射出された光を副鏡12の反射面12aへと偏向するとともに、副鏡12の反射面12aで反射された光をコリメータ光学系34へと偏向する第1のミラー部材M1と、第1のミラー部材M1により偏向され、副鏡12の反射面12a、主鏡11の反射面11aを順に経た光を反射して折り返す第2のミラー部材M2と、第2のミラー部材M2により反射して折り返され、主鏡11の反射面11a、副鏡12の反射面12aを順に経て、第1のミラー部材M1により偏向され、コリメータ光学系34、ハーフプリズム33を順に経て、撮像面上に結像された照明レチクル32の像を撮像する撮像素子35(例えば、二次元CCD)と、撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する画像処理装置36とを有する。
【0012】
なお、第1のミラー部材M1及び第2のミラー部材M2は、それぞれ光路上から(自動又は手動により)挿脱可能に構成されている。
【0013】
主鏡11、副鏡12及び第2のミラー部材M2の面形状は、レーザー光源20から射出して、コリメータ光学系34により平行光束に変換され、主鏡11の開口11bから入射した光が、副鏡12の反射面12a及び主鏡11の反射面11aを順に経て、第2のミラー部材M2に至る入射光路と、第2のミラー部材M2で反射して折り返され、主鏡11の反射面11a及び副鏡12の反射面12aを順に経て、主鏡11の開口11bに至る射出光路とが一致するように設定されている。
【0014】
制御装置70は、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されるまで副鏡12を移動させ、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されると、このときに位置センサ40により検出された副鏡12の位置を新たな基準位置として記憶し、測距計50により計測されたレーザー照射装置1から対象物(不図示)までの距離に応じて、対象物にレーザー光を集光させるために必要な副鏡12の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し、この演算結果に基づいて副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、駆動機構60の駆動制御を行う。
【0015】
上記構成のレーザー照射装置1を用いてレーザー光を照射するときの手順について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。このレーザー照射装置1では、反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから、対象物へのレーザー光の照射を行うように構成されている。
【0016】
図3に示すように、まず、第1のミラー部材M1及び第2のミラー部材M2を光路上に挿入する(ステップS10)。次に、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する(ステップS11)。具体的には、撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、画像処理装置36により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する。このステップS11において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光ではないと検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にないと判断された場合は、該検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されるまで副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS12)。また、ステップS11において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にあると判断された場合は、位置センサ40により副鏡12の位置を検出させ(ステップS13)、メモリ(不図示)をリセットして位置センサ40により検出された副鏡12の位置を(移動時の)基準位置としてメモリに新たに記憶させ(ステ
ップS14)、第1のミラー部材M1及び第2のミラー部材M2を光路上から外し(ステップS15)、測距計50によりレーザー照射装置1から対象物(不図示)までの距離を計測させ(ステップS16)、その距離に応じて、対象物にレーザー光を集光させるために必要な副鏡12の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し(ステップS17)、この演算結果に基づいて副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS18)。そして、レーザー光源20からレーザー光を射出させる(ステップS19)。射出されたレーザー光は、上記のように対象物への照準動作が終了した反射光学系10(より詳しくは、副鏡12の反射面12a、主鏡11の反射面11aを順に)を介して、対象物に対して正確に照射(集光)される。
【0017】
なお、レーザー照射装置1を用いて平行光の照射を行う場合には、ステップS11において検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されたときに、第1のミラー部材M1及び第2のミラー部材M2を光路上から外して、レーザー光源20からレーザー光を射出させればよい。射出されたレーザー光は、主鏡11と副鏡12との間隔がアフォーカルな状態に調整された反射光学系10を介して、高い精度の平行光となって照射される。
【0018】
以上説明したように、第1の実施形態に係るレーザー照射装置1によれば、反射光学系10がアフォーカル状態である場合の、副鏡12の基準位置を調整し、温度変動や経時変化の影響等により主鏡11と副鏡12との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正してから、反射光学系10を介してレーザー光の照射を行うように構成されているため、有限距離の対象物に対して正確に集光させたり、平行度が高いレーザー光の照射を行ったりすることが可能である。
【0019】
以下、他の実施形態に係るレーザー照射装置について説明するが、第1の実施形態のレーザー照射装置1で用いた部品と同じもの、もしくは同様の機能を有するものについては、同じ記号を付し、その説明を省略する。
【0020】
第2の実施形態に係るレーザー照射装置は、図4及び図5に示すように、第1のミラー部材M1を(上記実施形態と同様に)光路上から挿脱可能に構成し、第2のミラー部材M2Aをその半径が主鏡11の中央に形成されている開口11bの半径より大きく、主鏡11の外径よりも小さくし、光路上に常に固定する構成としている。
【0021】
ここで、上記構成のレーザー照射装置を用いてレーザー光を照射するときの手順について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。このレーザー照射装置では、反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから、対象物へのレーザー光の照射を行うように構成されている。
【0022】
図6に示すように、まず、第1のミラー部材M1を光路上に挿入する(ステップS20)。次に、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する(ステップS21)。具体的には、撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、画像処理装置36により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する。このステップS21において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光ではないと検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にないと判断された場合は、該検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されるまで副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS22)。また、ステップS21において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にあると判断された場合は、位置センサ40により副鏡12の位置を検出させ(ステップS2
3)、メモリ(不図示)をリセットして位置センサ40により検出された副鏡12の位置を(移動時の)基準位置としてメモリに新たに記憶させ(ステップS24)、第1のミラー部材M1を光路上から外し(ステップS25)、測距計50によりこのレーザー照射装置から対象物(不図示)までの距離を計測させ(ステップS26)、その距離に応じて、対象物にレーザー光を集光させるために必要な副鏡12の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し(ステップS27)、この演算結果に基づいて副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS28)。そして、レーザー光源20からレーザー光を射出させる(ステップS29)。射出されたレーザー光は、上記のように対象物への照準動作が終了した反射光学系10(より詳しくは、副鏡12の反射面12a、主鏡11の反射面11aを順に)を介して、対象物に対して正確に照射(集光)される。
【0023】
なお、このレーザー照射装置を用いて平行光の照射を行う場合には、ステップS21において検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されたときに、第1のミラー部材M1を光路上から外して、レーザー光源20からレーザー光を射出させればよい。射出されたレーザー光は、主鏡11と副鏡12との間隔がアフォーカルな状態に調整された反射光学系10を介して、高い精度の平行光となって照射される。
【0024】
以上のような構成の第2の実施形態に係るレーザー照射装置によれば、反射光学系10がアフォーカル状態である場合の、副鏡12の基準位置を調整し、温度変動や経時変化の影響等により主鏡11と副鏡12との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正してから、反射光学系10を介してレーザー光の照射を行うように構成されているため、有限距離の対象物に対して正確に集光させたり、平行度が高いレーザー光の照射を行ったりすることが可能である。また、主鏡11の中心部の光が遮蔽されてしまうものの、第2のミラー部材M2Aを光路上に常設することができるため、副鏡12の調整作業からレーザー光の照射作業に移行する際に、第2のミラー部材M2Aを挿脱する手間を省き、作業の効率化を図ることが可能である。
【0025】
第3の実施形態に係るレーザー照射装置は、図7及び図8に示すように、第1のミラー部材M1B及び第2のミラー部材M2Bを、レーザー光源20から射出されたレーザー光を透過し、検出用光源31から射出されたレチクル照明光を反射するダイクロイックミラーで構成している。このレーザー照射装置は、第2のミラー部材M2Bを透過した光が通過可能である窓部(不図示)が形成された筐体(不図示)に収納され、第2のミラー部材M2Bは前記窓部に配置される。
【0026】
ここで、上記構成のレーザー照射装置を用いてレーザー光を照射するときの手順について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。このレーザー照射装置では、反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから、対象物へのレーザー光の照射を行うように構成されている。
【0027】
図9に示すように、まず、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する(ステップS30)。具体的には、撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、画像処理装置36により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する。このステップS30において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光ではないと検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にないと判断された場合は、該検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されるまで副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS31)。また、ステップS30において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の
像の合焦状態にあると判断された場合は、位置センサ40により副鏡12の位置を検出させ(ステップS32)、メモリ(不図示)をリセットして位置センサ40により検出された副鏡12の位置を(移動時の)基準位置としてメモリに新たに記憶させ(ステップS33)、測距計50によりこのレーザー照射装置から対象物(不図示)までの距離を計測させ(ステップS34)、その距離に応じて、対象物にレーザー光を集光させるために必要な副鏡12の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し(ステップS35)、この演算結果に基づいて副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS36)。そして、レーザー光源20からレーザー光を射出させる(ステップS37)。射出されたレーザー光は、上記のように対象物への照準動作が終了した反射光学系10(より詳しくは、副鏡12の反射面12a、主鏡11の反射面11aを順に)を介して、対象物に対して正確に照射(集光)される。
【0028】
なお、このレーザー照射装置を用いて平行光の照射を行う場合には、ステップS30において検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されたときに、レーザー光源20からレーザー光を射出させればよい。射出されたレーザー光は、主鏡11と副鏡12との間隔がアフォーカルな状態に調整された反射光学系10を介して、高い精度の平行光となって照射される。
【0029】
以上のような構成の第3の実施形態に係るレーザー照射装置によれば、反射光学系10がアフォーカル状態である場合の、副鏡12の基準位置を調整し、温度変動や経時変化の影響等により主鏡11と副鏡12との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正してから、反射光学系10を介してレーザー光の照射を行うように構成されているため、有限距離の対象物に対して正確に集光させたり、平行度が高いレーザー光の照射を行ったりすることが可能である。また、第1のミラー部材M1B及び第2のミラー部材M2Bをダイクロイックミラーにすることでコスト高になってしまうものの、主鏡11の中心部の光を有効に使えるとともに、副鏡12の調整作業からレーザー光の照射作業へと移行する際に、第1のミラー部材M1B及び第2のミラー部材M2Bを挿脱する手間を省き、作業の効率化を図ることが可能である。
【0030】
第4の実施形態に係るレーザー照射装置は、図10に示すように、コリメータ光学系34を光軸方向(紙面上下方向)に沿って移動させるレンズ駆動機構34mと、第1のミラー部材M1と主鏡11との間に設けられ、光路上から挿脱可能に構成された第3のミラー部材M3とを有する。そして、検出用光源31からの射出光を、照明レチクル32を透過し、ハーフプリズム33により反射され、コリメータ光学系34により平行光に変換され、第1のミラー部材M1により偏向され、第3のミラー部材M3で反射して折り返され、第1のミラー部材M1を経て、コリメータ光学系34により撮像素子35の撮像面上に結像し、該撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、コリメータ光学系34からの射出光が平行光であるか否かを検出するように、画像処理装置36´を構成するとともに、この画像処理装置36´により検出された結果に応じて、コリメータ光学系34からの射出光が平行光となるように、コリメータ光学系34の位置調整を行うようにレンズ駆動機構34mを構成している。
【0031】
ここで、上記構成のレーザー照射装置を用いてレーザー光を照射するときの手順について、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。このレーザー照射装置では、まずコリメータ光学系34からの射出光が平行光となるように該光学系の位置調整を行い、次に反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから(図2参照)、対象物へのレーザー光の照射を行う(図1参照)ように構成されている。
【0032】
図11に示すように、まず、第1のミラー部材M1及び第3のミラー部材M3を光路上
に挿入する(ステップS40)。次に、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する(ステップS41)。具体的には、画像処理装置36´により撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、コリメータ光学系34からの射出光が平行光であるか否かを検出する。このステップS41において、検出系30によりコリメータ光学系34からの射出光が平行光ではないと検出された場合、すなわち画像処理装置36´により照明レチクル32の像の合焦状態にないと判断された場合は、該検出系30によりコリメータ光学系34からの射出光が平行光であると検出されるまで、コリメータ光学系34が光軸(紙面上下方向)に沿って移動するように、レンズ駆動機構34mの駆動制御を行う(ステップS42)。また、ステップS41において、検出系30によりコリメータ光学系34からの射出光が平行光であると検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にあると判断された場合は、第3のミラー部材M3を光路上から外し、第2のミラー部材M2を光路上に挿入する(ステップS43)。
【0033】
続いて、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する(ステップS44)。具体的には、撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、画像処理装置36´により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する。このステップS44において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光ではないと検出された場合、すなわち画像処理装置36´により照明レチクル32の像の合焦状態にないと判断された場合は、該検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されるまで副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS45)。また、ステップS44において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出された場合、すなわち画像処理装置36´により照明レチクル32の像の合焦状態にあると判断された場合は、位置センサ40により副鏡12の位置を検出させ(ステップS46)、メモリ(不図示)をリセットして位置センサ40により検出された副鏡12の位置を(移動時の)基準位置としてメモリに新たに記憶させ(ステップS47)、第1のミラー部材M1及び第2のミラー部材M2を光路上から外し(ステップS48)、測距計50によりこのレーザー照射装置から対象物(不図示)までの距離を計測させ(ステップS49)、その距離に応じて、対象物にレーザー光を集光させるために必要な副鏡12の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し(ステップS50)、この演算結果に基づいて副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS51)。そして、レーザー光源20からレーザー光を射出させる(ステップS52)。射出されたレーザー光は、上記のように対象物への照準動作が終了した反射光学系10(より詳しくは、副鏡12の反射面12a、主鏡11の反射面11aを順に)を介して、対象物に対して正確に照射(集光)される。
【0034】
なお、このレーザー照射装置を用いて平行光の照射を行う場合には、ステップS44において検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されたときに、第1のミラー部材M1を光路上から外して、レーザー光源20からレーザー光を射出させればよい。射出されたレーザー光は、主鏡11と副鏡12との間隔がアフォーカルな状態に調整された反射光学系10を介して、高い精度の平行光となって照射される。
【0035】
以上のような構成の第4の実施形態に係るレーザー照射装置によれば、反射光学系10がアフォーカル状態である場合の、副鏡12の基準位置を調整し、温度変動や経時変化の影響等により主鏡11と副鏡12との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正してから、反射光学系10を介してレーザー光の照射を行うように構成されているため、有限距離の対象物に対して正確に集光させたり、平行度が高いレーザー光の照射を行ったりすることが可能である。さらに、コリメータ光学系34の調整機能を有して、常に該光学系から平行度の高い光を射出させることができるため、副鏡12の位置調整の精度を高め
、ひいては対象物への集光性能や、平行度の確保に繋げることができる。
【0036】
第5の実施形態に係るレーザー照射装置では、図12に示すように、コリメータ光学系34Aをアサーマル(温度無依存)レンズとし、照明レチクル32、コリメータ光学系34A及び撮像素子35を、照明レチクル32からコリメータ光学系34Aまでの距離と、撮像素子35からコリメータ光学系34Aまでの距離とが一致するように、極低膨張部材製の鏡筒37Aで保持することで、温度変動に係わらず、コリメータ光学系34Aから平行光が射出されるように構成している。このように、温度が変動しても、照明レチクル32からコリメータ光学系34Aまでの距離と、撮像素子35からコリメータ光学系34Aまでの距離とが変化せず、該光学系34Aから平行度の高い光を射出することが可能であるため、常にこのような平行度の高い光を用いて副鏡12の位置調整を行い、その精度の向上を図ることが可能である。さらに、一旦固定してしまえば、コリメータ光学系34Aの調整は不要となり、その手間を省くことができる。
【0037】
第5の実施形態に係るレーザー照射装置を用いてレーザー光を照射する場合は、温度変動に係わらずコリメータ光学系34Aから射出される平行光を用いて、反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから(図2参照)、対象物へのレーザー光の照射を行う(図1参照)ように構成されている。なお、このレーザー照射装置を用いたレーザー光の照射手順については、第1の実施形態に係るレーザー照射装置1を用いた場合とほぼ同様であるため(図3参照)、ここでの説明を省略する。
【0038】
また、第6の実施形態に係るレーザー照射装置では、図13に示すように、コリメータ光学系34Bを、光軸(紙面上下方向)に沿って対向配置された第1及び第2のアサーマル(温度無依存)ミラー341,342を有し、照明レチクル32を透過した光が、第1のアサーマルミラー341の反射面、第2のアサーマルミラー342の反射面を順に経て、平行光に変換されるとともに、第1のミラー部材M1を介して反射光学系10から入射した光を、第2のアサーマルミラー342の反射面、第1のアサーマルミラー341の反射面を順に経て、撮像素子35の撮像面上に結像されるように構成し、照明レチクル32、コリメータ光学系34B及び撮像素子35を、照明レチクル32からコリメータ光学系34Bまでの距離と、撮像素子35からコリメータ光学系34Bまでの距離とが一致するように、極低膨張部材製の鏡筒37Bで保持されることにより、温度変動に係わらず、コリメータ光学系34Bから平行光が射出されるように構成している。このように、温度が変動しても、照明レチクル32からコリメータ光学系34Bまでの距離と、撮像素子35からコリメータ光学系34Bまでの距離とが変化せず、該光学系34Bから平行度の高い光を射出することが可能であるため、常にこのような平行度の高い光を用いて副鏡12の位置調整を行い、その精度の向上を図ることが可能である。さらに、一旦固定してしまえば、コリメータ光学系34Bの調整は不要となり、その手間を省くことができる。
【0039】
第6の実施形態に係るレーザー照射装置を用いてレーザー光を照射する場合は、温度変動に係わらずコリメータ光学系34Bから射出される平行光を用いて、反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから(図2参照)、対象物へのレーザー光の照射を行う(図1参照)ように構成されている。なお、このレーザー照射装置を用いたレーザー光の照射手順については、第1の実施形態に係るレーザー照射装置1を用いた場合とほぼ同様であるため(図3参照)、ここでの説明を省略する。
【0040】
以上説明したように、上記実施形態に係るレーザー照射装置は、いずれも反射光学系がアフォーカル状態である場合の、副鏡の基準位置調整を行うことで、温度変動や経時変化の影響等により主鏡と副鏡との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正し、対象物に対してより正確にレーザー光を照射することができる。
【0041】
ここまで本発明を分かりやすくするために、実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1 レーザー照射装置
10 (カセグレン型反射)光学系
11 主鏡
12 副鏡
20 レーザー光源
30 検出系
40 位置センサ
50 測距計
60 駆動機構
70 制御装置
AX 光軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物にレーザー光を照射するレーザー照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなレーザー照射装置として、例えば、光軸に沿って対向配置された主鏡と副鏡とから構成されたカセグレン型の反射光学系を介して、対象物にレーザー光を照射するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−151539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、レーザー照射装置では、照射レーザー光の対象物への集光性能の更なる向上が望まれている。しかしながら、温度変動や経時変化の影響等により、主鏡と副鏡との間隔が対象物に対して正確にレーザー光を集光する間隔からずれる場合がある。この場合、対象物の位置と、実際にレーザー光が送光されて集光される位置とがずれてしまう。こうしたずれを修正するためには、例えば主鏡と副鏡が一組となった反射光学系が、アフォーカル状態である場合の、副鏡の基準位置の調整を行う必要があるが、従来の装置には設けられていなかった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、主鏡と副鏡が一組となった反射光学系が、アフォーカル状態である場合の、副鏡の基準位置調整を行うことで、主鏡と副鏡との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正し、対象物に対してより正確にレーザー光を照射することができる、レーザー照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、本発明を例示する態様に従えば、光軸に沿って対向配置された主鏡と副鏡とを有する光学系を介して、レーザー光源から射出されたレーザー光を対象物に照射するレーザー照射装置において、前記光学系からの射出光が平行光であるか否かを検出する検出系と、前記副鏡の光軸方向の位置を検出する位置センサと、前記対象物までの距離を計測する測距計と、前記副鏡を光軸に沿って移動させる駆動機構と、前記検出系により前記光学系からの射出光が平行光であると検出されるまで前記副鏡を移動させ、前記検出系により前記光学系からの射出光が平行光であると検出されると、このときに前記位置センサにより検出された前記副鏡の位置を基準位置として記憶し、前記測距計により計測された前記対象物までの距離に応じて、前記対象物にレーザー光を集光させるために必要な前記副鏡の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し、この演算結果に基づいて前記副鏡が光軸に沿って移動するように、前記駆動機構の駆動制御を行う制御装置とを有し、前記制御装置により前記駆動機構を介して前記副鏡を移動させ、前記主鏡と前記副鏡との間隔が前記対象物に対して正確にレーザー光を集光する間隔に調整された前記光学系を介して、レーザー光を前記対象物に照射することを特徴とするレーザー照射装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、副鏡の基準位置調整を行うことで、主鏡と副鏡との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正し、対象物に対してより正確にレーザー光を照射することができ
る、レーザー照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、レーザー光の照射が行われている状態を示す。
【図2】第1の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、副鏡の調整が行われている状態を示す。
【図3】第1の実施形態に係るレーザー照射装置を用いて、レーザー光の照射を行う際の手順を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、レーザー光の照射が行われている状態を示す。
【図5】第2の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、副鏡の調整が行われている状態を示す。
【図6】第2の実施形態に係るレーザー照射装置を用いて、レーザー光の照射を行う際の手順を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、レーザー光の照射が行われている状態を示す。
【図8】第3の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、副鏡の調整が行われている状態を示す。
【図9】第3の実施形態に係るレーザー照射装置を用いて、レーザー光の照射を行う際の手順を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、コリメータ光学系の調整が行われている状態を示す。
【図11】第4の実施形態に係るレーザー照射装置を用いて、レーザー光の照射を行う際の手順を示すフローチャートである。
【図12】第5の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、副鏡の調整が行われている状態を示す。
【図13】第6の実施形態に係るレーザー照射装置を説明する図であり、副鏡の調整が行われている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。第1の実施形態に係るレーザー照射装置1は、図1及び図2に示すように、光軸AXに沿って対向配置された主鏡11と副鏡12とを有する反射光学系10を介して、レーザー光源20から射出されたレーザー光を対象物(不図示)に照射するレーザー照射装置であって、反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する検出系30と、副鏡12の光軸方向の位置を検出する位置センサ40(例えば、リニアエンコーダや、ポテンショメータ等)と、対象物(不図示)までの距離を計測する測距計50と、副鏡12を光軸AXに沿って移動させる駆動機構60(例えば、ピエゾ素子を用いた駆動機構や、回転モータとボールネジとを組み合わせて用いた駆動機構等)と、駆動機構60の駆動制御を行う制御装置70とを有する。
【0010】
主鏡11は、表側(副鏡12側)に形成された凹面状の反射面11aと、中央に形成された開口11bとを有する凹面反射鏡である。副鏡12は、表側(主鏡11側)に形成された凸面状の反射面12aを有する凸面反射鏡である。すなわち、主鏡11と副鏡12とからなる反射光学系10は、いわゆるカセグレン光学系である。
【0011】
検出系30は、検出用光源31と、検出用光源31から射出された光を透過する照明レチクル32と、照明レチクル32を透過した光を反射して後述のコリメータ光学系34に向かわせるとともに、コリメータ光学系34により結像された照明レチクル32の像を透
過して撮像素子35に向かわせるハーフプリズム33と、ハーフプリズム33を介して照明レチクル32を透過した光を平行光に変換するコリメータ光学系34と、コリメータ光学系34から射出された光を副鏡12の反射面12aへと偏向するとともに、副鏡12の反射面12aで反射された光をコリメータ光学系34へと偏向する第1のミラー部材M1と、第1のミラー部材M1により偏向され、副鏡12の反射面12a、主鏡11の反射面11aを順に経た光を反射して折り返す第2のミラー部材M2と、第2のミラー部材M2により反射して折り返され、主鏡11の反射面11a、副鏡12の反射面12aを順に経て、第1のミラー部材M1により偏向され、コリメータ光学系34、ハーフプリズム33を順に経て、撮像面上に結像された照明レチクル32の像を撮像する撮像素子35(例えば、二次元CCD)と、撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する画像処理装置36とを有する。
【0012】
なお、第1のミラー部材M1及び第2のミラー部材M2は、それぞれ光路上から(自動又は手動により)挿脱可能に構成されている。
【0013】
主鏡11、副鏡12及び第2のミラー部材M2の面形状は、レーザー光源20から射出して、コリメータ光学系34により平行光束に変換され、主鏡11の開口11bから入射した光が、副鏡12の反射面12a及び主鏡11の反射面11aを順に経て、第2のミラー部材M2に至る入射光路と、第2のミラー部材M2で反射して折り返され、主鏡11の反射面11a及び副鏡12の反射面12aを順に経て、主鏡11の開口11bに至る射出光路とが一致するように設定されている。
【0014】
制御装置70は、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されるまで副鏡12を移動させ、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されると、このときに位置センサ40により検出された副鏡12の位置を新たな基準位置として記憶し、測距計50により計測されたレーザー照射装置1から対象物(不図示)までの距離に応じて、対象物にレーザー光を集光させるために必要な副鏡12の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し、この演算結果に基づいて副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、駆動機構60の駆動制御を行う。
【0015】
上記構成のレーザー照射装置1を用いてレーザー光を照射するときの手順について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。このレーザー照射装置1では、反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから、対象物へのレーザー光の照射を行うように構成されている。
【0016】
図3に示すように、まず、第1のミラー部材M1及び第2のミラー部材M2を光路上に挿入する(ステップS10)。次に、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する(ステップS11)。具体的には、撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、画像処理装置36により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する。このステップS11において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光ではないと検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にないと判断された場合は、該検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されるまで副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS12)。また、ステップS11において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にあると判断された場合は、位置センサ40により副鏡12の位置を検出させ(ステップS13)、メモリ(不図示)をリセットして位置センサ40により検出された副鏡12の位置を(移動時の)基準位置としてメモリに新たに記憶させ(ステ
ップS14)、第1のミラー部材M1及び第2のミラー部材M2を光路上から外し(ステップS15)、測距計50によりレーザー照射装置1から対象物(不図示)までの距離を計測させ(ステップS16)、その距離に応じて、対象物にレーザー光を集光させるために必要な副鏡12の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し(ステップS17)、この演算結果に基づいて副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS18)。そして、レーザー光源20からレーザー光を射出させる(ステップS19)。射出されたレーザー光は、上記のように対象物への照準動作が終了した反射光学系10(より詳しくは、副鏡12の反射面12a、主鏡11の反射面11aを順に)を介して、対象物に対して正確に照射(集光)される。
【0017】
なお、レーザー照射装置1を用いて平行光の照射を行う場合には、ステップS11において検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されたときに、第1のミラー部材M1及び第2のミラー部材M2を光路上から外して、レーザー光源20からレーザー光を射出させればよい。射出されたレーザー光は、主鏡11と副鏡12との間隔がアフォーカルな状態に調整された反射光学系10を介して、高い精度の平行光となって照射される。
【0018】
以上説明したように、第1の実施形態に係るレーザー照射装置1によれば、反射光学系10がアフォーカル状態である場合の、副鏡12の基準位置を調整し、温度変動や経時変化の影響等により主鏡11と副鏡12との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正してから、反射光学系10を介してレーザー光の照射を行うように構成されているため、有限距離の対象物に対して正確に集光させたり、平行度が高いレーザー光の照射を行ったりすることが可能である。
【0019】
以下、他の実施形態に係るレーザー照射装置について説明するが、第1の実施形態のレーザー照射装置1で用いた部品と同じもの、もしくは同様の機能を有するものについては、同じ記号を付し、その説明を省略する。
【0020】
第2の実施形態に係るレーザー照射装置は、図4及び図5に示すように、第1のミラー部材M1を(上記実施形態と同様に)光路上から挿脱可能に構成し、第2のミラー部材M2Aをその半径が主鏡11の中央に形成されている開口11bの半径より大きく、主鏡11の外径よりも小さくし、光路上に常に固定する構成としている。
【0021】
ここで、上記構成のレーザー照射装置を用いてレーザー光を照射するときの手順について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。このレーザー照射装置では、反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから、対象物へのレーザー光の照射を行うように構成されている。
【0022】
図6に示すように、まず、第1のミラー部材M1を光路上に挿入する(ステップS20)。次に、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する(ステップS21)。具体的には、撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、画像処理装置36により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する。このステップS21において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光ではないと検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にないと判断された場合は、該検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されるまで副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS22)。また、ステップS21において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にあると判断された場合は、位置センサ40により副鏡12の位置を検出させ(ステップS2
3)、メモリ(不図示)をリセットして位置センサ40により検出された副鏡12の位置を(移動時の)基準位置としてメモリに新たに記憶させ(ステップS24)、第1のミラー部材M1を光路上から外し(ステップS25)、測距計50によりこのレーザー照射装置から対象物(不図示)までの距離を計測させ(ステップS26)、その距離に応じて、対象物にレーザー光を集光させるために必要な副鏡12の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し(ステップS27)、この演算結果に基づいて副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS28)。そして、レーザー光源20からレーザー光を射出させる(ステップS29)。射出されたレーザー光は、上記のように対象物への照準動作が終了した反射光学系10(より詳しくは、副鏡12の反射面12a、主鏡11の反射面11aを順に)を介して、対象物に対して正確に照射(集光)される。
【0023】
なお、このレーザー照射装置を用いて平行光の照射を行う場合には、ステップS21において検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されたときに、第1のミラー部材M1を光路上から外して、レーザー光源20からレーザー光を射出させればよい。射出されたレーザー光は、主鏡11と副鏡12との間隔がアフォーカルな状態に調整された反射光学系10を介して、高い精度の平行光となって照射される。
【0024】
以上のような構成の第2の実施形態に係るレーザー照射装置によれば、反射光学系10がアフォーカル状態である場合の、副鏡12の基準位置を調整し、温度変動や経時変化の影響等により主鏡11と副鏡12との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正してから、反射光学系10を介してレーザー光の照射を行うように構成されているため、有限距離の対象物に対して正確に集光させたり、平行度が高いレーザー光の照射を行ったりすることが可能である。また、主鏡11の中心部の光が遮蔽されてしまうものの、第2のミラー部材M2Aを光路上に常設することができるため、副鏡12の調整作業からレーザー光の照射作業に移行する際に、第2のミラー部材M2Aを挿脱する手間を省き、作業の効率化を図ることが可能である。
【0025】
第3の実施形態に係るレーザー照射装置は、図7及び図8に示すように、第1のミラー部材M1B及び第2のミラー部材M2Bを、レーザー光源20から射出されたレーザー光を透過し、検出用光源31から射出されたレチクル照明光を反射するダイクロイックミラーで構成している。このレーザー照射装置は、第2のミラー部材M2Bを透過した光が通過可能である窓部(不図示)が形成された筐体(不図示)に収納され、第2のミラー部材M2Bは前記窓部に配置される。
【0026】
ここで、上記構成のレーザー照射装置を用いてレーザー光を照射するときの手順について、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。このレーザー照射装置では、反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから、対象物へのレーザー光の照射を行うように構成されている。
【0027】
図9に示すように、まず、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する(ステップS30)。具体的には、撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、画像処理装置36により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する。このステップS30において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光ではないと検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にないと判断された場合は、該検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されるまで副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS31)。また、ステップS30において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の
像の合焦状態にあると判断された場合は、位置センサ40により副鏡12の位置を検出させ(ステップS32)、メモリ(不図示)をリセットして位置センサ40により検出された副鏡12の位置を(移動時の)基準位置としてメモリに新たに記憶させ(ステップS33)、測距計50によりこのレーザー照射装置から対象物(不図示)までの距離を計測させ(ステップS34)、その距離に応じて、対象物にレーザー光を集光させるために必要な副鏡12の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し(ステップS35)、この演算結果に基づいて副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS36)。そして、レーザー光源20からレーザー光を射出させる(ステップS37)。射出されたレーザー光は、上記のように対象物への照準動作が終了した反射光学系10(より詳しくは、副鏡12の反射面12a、主鏡11の反射面11aを順に)を介して、対象物に対して正確に照射(集光)される。
【0028】
なお、このレーザー照射装置を用いて平行光の照射を行う場合には、ステップS30において検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されたときに、レーザー光源20からレーザー光を射出させればよい。射出されたレーザー光は、主鏡11と副鏡12との間隔がアフォーカルな状態に調整された反射光学系10を介して、高い精度の平行光となって照射される。
【0029】
以上のような構成の第3の実施形態に係るレーザー照射装置によれば、反射光学系10がアフォーカル状態である場合の、副鏡12の基準位置を調整し、温度変動や経時変化の影響等により主鏡11と副鏡12との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正してから、反射光学系10を介してレーザー光の照射を行うように構成されているため、有限距離の対象物に対して正確に集光させたり、平行度が高いレーザー光の照射を行ったりすることが可能である。また、第1のミラー部材M1B及び第2のミラー部材M2Bをダイクロイックミラーにすることでコスト高になってしまうものの、主鏡11の中心部の光を有効に使えるとともに、副鏡12の調整作業からレーザー光の照射作業へと移行する際に、第1のミラー部材M1B及び第2のミラー部材M2Bを挿脱する手間を省き、作業の効率化を図ることが可能である。
【0030】
第4の実施形態に係るレーザー照射装置は、図10に示すように、コリメータ光学系34を光軸方向(紙面上下方向)に沿って移動させるレンズ駆動機構34mと、第1のミラー部材M1と主鏡11との間に設けられ、光路上から挿脱可能に構成された第3のミラー部材M3とを有する。そして、検出用光源31からの射出光を、照明レチクル32を透過し、ハーフプリズム33により反射され、コリメータ光学系34により平行光に変換され、第1のミラー部材M1により偏向され、第3のミラー部材M3で反射して折り返され、第1のミラー部材M1を経て、コリメータ光学系34により撮像素子35の撮像面上に結像し、該撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、コリメータ光学系34からの射出光が平行光であるか否かを検出するように、画像処理装置36´を構成するとともに、この画像処理装置36´により検出された結果に応じて、コリメータ光学系34からの射出光が平行光となるように、コリメータ光学系34の位置調整を行うようにレンズ駆動機構34mを構成している。
【0031】
ここで、上記構成のレーザー照射装置を用いてレーザー光を照射するときの手順について、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。このレーザー照射装置では、まずコリメータ光学系34からの射出光が平行光となるように該光学系の位置調整を行い、次に反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから(図2参照)、対象物へのレーザー光の照射を行う(図1参照)ように構成されている。
【0032】
図11に示すように、まず、第1のミラー部材M1及び第3のミラー部材M3を光路上
に挿入する(ステップS40)。次に、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する(ステップS41)。具体的には、画像処理装置36´により撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、コリメータ光学系34からの射出光が平行光であるか否かを検出する。このステップS41において、検出系30によりコリメータ光学系34からの射出光が平行光ではないと検出された場合、すなわち画像処理装置36´により照明レチクル32の像の合焦状態にないと判断された場合は、該検出系30によりコリメータ光学系34からの射出光が平行光であると検出されるまで、コリメータ光学系34が光軸(紙面上下方向)に沿って移動するように、レンズ駆動機構34mの駆動制御を行う(ステップS42)。また、ステップS41において、検出系30によりコリメータ光学系34からの射出光が平行光であると検出された場合、すなわち画像処理装置36により照明レチクル32の像の合焦状態にあると判断された場合は、第3のミラー部材M3を光路上から外し、第2のミラー部材M2を光路上に挿入する(ステップS43)。
【0033】
続いて、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する(ステップS44)。具体的には、撮像素子35により撮像された照明レチクル32の像の合焦状態に基づいて、画像処理装置36´により反射光学系10からの射出光が平行光であるか否かを検出する。このステップS44において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光ではないと検出された場合、すなわち画像処理装置36´により照明レチクル32の像の合焦状態にないと判断された場合は、該検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されるまで副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS45)。また、ステップS44において、検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出された場合、すなわち画像処理装置36´により照明レチクル32の像の合焦状態にあると判断された場合は、位置センサ40により副鏡12の位置を検出させ(ステップS46)、メモリ(不図示)をリセットして位置センサ40により検出された副鏡12の位置を(移動時の)基準位置としてメモリに新たに記憶させ(ステップS47)、第1のミラー部材M1及び第2のミラー部材M2を光路上から外し(ステップS48)、測距計50によりこのレーザー照射装置から対象物(不図示)までの距離を計測させ(ステップS49)、その距離に応じて、対象物にレーザー光を集光させるために必要な副鏡12の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し(ステップS50)、この演算結果に基づいて副鏡12が光軸AXに沿って移動するように、制御装置70は駆動機構60の駆動制御を行う(ステップS51)。そして、レーザー光源20からレーザー光を射出させる(ステップS52)。射出されたレーザー光は、上記のように対象物への照準動作が終了した反射光学系10(より詳しくは、副鏡12の反射面12a、主鏡11の反射面11aを順に)を介して、対象物に対して正確に照射(集光)される。
【0034】
なお、このレーザー照射装置を用いて平行光の照射を行う場合には、ステップS44において検出系30により反射光学系10からの射出光が平行光であると検出されたときに、第1のミラー部材M1を光路上から外して、レーザー光源20からレーザー光を射出させればよい。射出されたレーザー光は、主鏡11と副鏡12との間隔がアフォーカルな状態に調整された反射光学系10を介して、高い精度の平行光となって照射される。
【0035】
以上のような構成の第4の実施形態に係るレーザー照射装置によれば、反射光学系10がアフォーカル状態である場合の、副鏡12の基準位置を調整し、温度変動や経時変化の影響等により主鏡11と副鏡12との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正してから、反射光学系10を介してレーザー光の照射を行うように構成されているため、有限距離の対象物に対して正確に集光させたり、平行度が高いレーザー光の照射を行ったりすることが可能である。さらに、コリメータ光学系34の調整機能を有して、常に該光学系から平行度の高い光を射出させることができるため、副鏡12の位置調整の精度を高め
、ひいては対象物への集光性能や、平行度の確保に繋げることができる。
【0036】
第5の実施形態に係るレーザー照射装置では、図12に示すように、コリメータ光学系34Aをアサーマル(温度無依存)レンズとし、照明レチクル32、コリメータ光学系34A及び撮像素子35を、照明レチクル32からコリメータ光学系34Aまでの距離と、撮像素子35からコリメータ光学系34Aまでの距離とが一致するように、極低膨張部材製の鏡筒37Aで保持することで、温度変動に係わらず、コリメータ光学系34Aから平行光が射出されるように構成している。このように、温度が変動しても、照明レチクル32からコリメータ光学系34Aまでの距離と、撮像素子35からコリメータ光学系34Aまでの距離とが変化せず、該光学系34Aから平行度の高い光を射出することが可能であるため、常にこのような平行度の高い光を用いて副鏡12の位置調整を行い、その精度の向上を図ることが可能である。さらに、一旦固定してしまえば、コリメータ光学系34Aの調整は不要となり、その手間を省くことができる。
【0037】
第5の実施形態に係るレーザー照射装置を用いてレーザー光を照射する場合は、温度変動に係わらずコリメータ光学系34Aから射出される平行光を用いて、反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから(図2参照)、対象物へのレーザー光の照射を行う(図1参照)ように構成されている。なお、このレーザー照射装置を用いたレーザー光の照射手順については、第1の実施形態に係るレーザー照射装置1を用いた場合とほぼ同様であるため(図3参照)、ここでの説明を省略する。
【0038】
また、第6の実施形態に係るレーザー照射装置では、図13に示すように、コリメータ光学系34Bを、光軸(紙面上下方向)に沿って対向配置された第1及び第2のアサーマル(温度無依存)ミラー341,342を有し、照明レチクル32を透過した光が、第1のアサーマルミラー341の反射面、第2のアサーマルミラー342の反射面を順に経て、平行光に変換されるとともに、第1のミラー部材M1を介して反射光学系10から入射した光を、第2のアサーマルミラー342の反射面、第1のアサーマルミラー341の反射面を順に経て、撮像素子35の撮像面上に結像されるように構成し、照明レチクル32、コリメータ光学系34B及び撮像素子35を、照明レチクル32からコリメータ光学系34Bまでの距離と、撮像素子35からコリメータ光学系34Bまでの距離とが一致するように、極低膨張部材製の鏡筒37Bで保持されることにより、温度変動に係わらず、コリメータ光学系34Bから平行光が射出されるように構成している。このように、温度が変動しても、照明レチクル32からコリメータ光学系34Bまでの距離と、撮像素子35からコリメータ光学系34Bまでの距離とが変化せず、該光学系34Bから平行度の高い光を射出することが可能であるため、常にこのような平行度の高い光を用いて副鏡12の位置調整を行い、その精度の向上を図ることが可能である。さらに、一旦固定してしまえば、コリメータ光学系34Bの調整は不要となり、その手間を省くことができる。
【0039】
第6の実施形態に係るレーザー照射装置を用いてレーザー光を照射する場合は、温度変動に係わらずコリメータ光学系34Bから射出される平行光を用いて、反射光学系10からの射出光が平行光となるように副鏡12の位置調整を行ってから(図2参照)、対象物へのレーザー光の照射を行う(図1参照)ように構成されている。なお、このレーザー照射装置を用いたレーザー光の照射手順については、第1の実施形態に係るレーザー照射装置1を用いた場合とほぼ同様であるため(図3参照)、ここでの説明を省略する。
【0040】
以上説明したように、上記実施形態に係るレーザー照射装置は、いずれも反射光学系がアフォーカル状態である場合の、副鏡の基準位置調整を行うことで、温度変動や経時変化の影響等により主鏡と副鏡との間隔に生じたアフォーカル状態からのずれを修正し、対象物に対してより正確にレーザー光を照射することができる。
【0041】
ここまで本発明を分かりやすくするために、実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1 レーザー照射装置
10 (カセグレン型反射)光学系
11 主鏡
12 副鏡
20 レーザー光源
30 検出系
40 位置センサ
50 測距計
60 駆動機構
70 制御装置
AX 光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸に沿って対向配置された主鏡と副鏡とを有する光学系を介して、レーザー光源から射出されたレーザー光を対象物に照射するレーザー照射装置において、
前記光学系からの射出光が平行光であるか否かを検出する検出系と、
前記副鏡の光軸方向の位置を検出する位置センサと、
前記対象物までの距離を計測する測距計と、
前記副鏡を光軸に沿って移動させる駆動機構と、
前記検出系により前記光学系からの射出光が平行光であると検出されるまで前記副鏡を光軸に沿って移動させ、前記検出系により前記光学系からの射出光が平行光であると検出されると、このときに前記位置センサにより検出された前記副鏡の位置を基準位置として記憶し、前記測距計により計測された前記対象物までの距離に応じて、前記対象物にレーザー光を集光させるために必要な前記副鏡の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し、この演算結果に基づいて前記副鏡が光軸に沿って移動するように、前記駆動機構の駆動制御を行う制御装置とを有することを特徴とするレーザー照射装置。
【請求項2】
前記検出系は、
検出用光源と、
前記検出用光源からの射出光を透過させる照明レチクルと、
前記照明レチクルを透過した光を平行光に変換するコリメータ光学系と、
前記コリメータ光学系から射出された光を、前記副鏡の反射面へと偏向する第1のミラー部材と、
前記第1のミラー部材により偏向され、前記副鏡の反射面、前記主鏡の反射面を順に経た光を反射して折り返す第2のミラー部材と、
前記第2のミラー部材により反射して折り返され、前記主鏡の反射面、前記副鏡の反射面を順に経て、前記第1のミラー部材により偏向され、前記コリメータ光学系により撮像面上に結像された前記照明レチクルの像を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子により撮像された前記照明レチクルの像の合焦状態に基づいて、前記光学系からの射出光が平行光であるか否かを検出する画像処理装置とを有して構成されることを特徴とする請求項1に記載のレーザー照射装置。
【請求項3】
前記第1のミラー部材及び前記第2のミラー部材は、光路上から挿脱可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザー照射装置。
【請求項4】
前記第1のミラー部材は、光路上から挿脱可能に構成され、
前記第2のミラー部材は、光路上に常に固定され、その半径が前記主鏡に形成されている中央開口部の半径より大きく、前記主鏡の外径よりも小さく構成されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザー照射装置。
【請求項5】
前記第1のミラー部材及び前記第2のミラー部材は、光路上に常に固定され、前記レーザー光源から射出されたレーザー光を透過し、前記検出用光源から射出された光を反射するダイクロイックミラーで構成されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザー照射装置。
【請求項6】
前記コリメータ光学系を光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動機構と、
前記第1のミラー部材と前記主鏡との間に設けられ、光路上から挿脱可能に構成された第3のミラー部材とを有し、
前記画像処理装置は、前記検出用光源からの射出光が、前記照明レチクルを透過し、前記コリメータ光学系により平行光に変換され、前記第1のミラー部材により偏向され、前記第3のミラー部材で反射して折り返され、前記第1のミラー部材により偏向され、前記
コリメータ光学系により結像され、前記撮像素子により撮像された前記照明レチクルの像の合焦状態に基づいて、前記コリメータ光学系からの射出光が平行光であるか否かを検出するように構成され、
前記レンズ駆動機構は、前記画像処理装置による検出結果に応じて、前記コリメータ光学系からの射出光が平行光となるように、前記コリメータ光学系の位置調整を行うように構成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のレーザー照射装置。
【請求項7】
前記コリメータ光学系は、アサーマル(温度無依存)レンズにより構成され、
前記照明レチクル、前記コリメータ光学系及び前記撮像素子は、前記照明レチクルから前記コリメータ光学系までの距離と、前記撮像素子から前記コリメータ光学系までの距離とが一致するように、極低膨張部材製の鏡筒で保持されることにより、
温度変動に係わらず、前記コリメータ光学系から平行光を射出することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のレーザー照射装置。
【請求項8】
前記コリメータ光学系は、光軸に沿って対向配置された第1及び第2のアサーマル(温度無依存)ミラーを有し、前記照明レチクルを透過した光を、前記第1のアサーマルミラーの反射面、前記第2のアサーマルミラーの反射面を順に経て、平行光に変換し、前記第1のミラー部材を介して前記光学系から入射した光を、前記第2のアサーマルミラーの反射面、前記第1のアサーマルミラーの反射面を順に経て、前記撮像素子の撮像面上に結像するように構成され、
前記照明レチクル、前記コリメータ光学系及び前記撮像素子は、前記照明レチクルから前記コリメータ光学系までの距離と、前記撮像素子から前記コリメータ光学系までの距離とが一致するように、極低膨張部材製の鏡筒で保持されることにより、
温度変動に係わらず、前記コリメータ光学系から平行光を射出することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のレーザー照射装置。
【請求項1】
光軸に沿って対向配置された主鏡と副鏡とを有する光学系を介して、レーザー光源から射出されたレーザー光を対象物に照射するレーザー照射装置において、
前記光学系からの射出光が平行光であるか否かを検出する検出系と、
前記副鏡の光軸方向の位置を検出する位置センサと、
前記対象物までの距離を計測する測距計と、
前記副鏡を光軸に沿って移動させる駆動機構と、
前記検出系により前記光学系からの射出光が平行光であると検出されるまで前記副鏡を光軸に沿って移動させ、前記検出系により前記光学系からの射出光が平行光であると検出されると、このときに前記位置センサにより検出された前記副鏡の位置を基準位置として記憶し、前記測距計により計測された前記対象物までの距離に応じて、前記対象物にレーザー光を集光させるために必要な前記副鏡の前記基準位置からの移動量及び移動方向を演算し、この演算結果に基づいて前記副鏡が光軸に沿って移動するように、前記駆動機構の駆動制御を行う制御装置とを有することを特徴とするレーザー照射装置。
【請求項2】
前記検出系は、
検出用光源と、
前記検出用光源からの射出光を透過させる照明レチクルと、
前記照明レチクルを透過した光を平行光に変換するコリメータ光学系と、
前記コリメータ光学系から射出された光を、前記副鏡の反射面へと偏向する第1のミラー部材と、
前記第1のミラー部材により偏向され、前記副鏡の反射面、前記主鏡の反射面を順に経た光を反射して折り返す第2のミラー部材と、
前記第2のミラー部材により反射して折り返され、前記主鏡の反射面、前記副鏡の反射面を順に経て、前記第1のミラー部材により偏向され、前記コリメータ光学系により撮像面上に結像された前記照明レチクルの像を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子により撮像された前記照明レチクルの像の合焦状態に基づいて、前記光学系からの射出光が平行光であるか否かを検出する画像処理装置とを有して構成されることを特徴とする請求項1に記載のレーザー照射装置。
【請求項3】
前記第1のミラー部材及び前記第2のミラー部材は、光路上から挿脱可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザー照射装置。
【請求項4】
前記第1のミラー部材は、光路上から挿脱可能に構成され、
前記第2のミラー部材は、光路上に常に固定され、その半径が前記主鏡に形成されている中央開口部の半径より大きく、前記主鏡の外径よりも小さく構成されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザー照射装置。
【請求項5】
前記第1のミラー部材及び前記第2のミラー部材は、光路上に常に固定され、前記レーザー光源から射出されたレーザー光を透過し、前記検出用光源から射出された光を反射するダイクロイックミラーで構成されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザー照射装置。
【請求項6】
前記コリメータ光学系を光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動機構と、
前記第1のミラー部材と前記主鏡との間に設けられ、光路上から挿脱可能に構成された第3のミラー部材とを有し、
前記画像処理装置は、前記検出用光源からの射出光が、前記照明レチクルを透過し、前記コリメータ光学系により平行光に変換され、前記第1のミラー部材により偏向され、前記第3のミラー部材で反射して折り返され、前記第1のミラー部材により偏向され、前記
コリメータ光学系により結像され、前記撮像素子により撮像された前記照明レチクルの像の合焦状態に基づいて、前記コリメータ光学系からの射出光が平行光であるか否かを検出するように構成され、
前記レンズ駆動機構は、前記画像処理装置による検出結果に応じて、前記コリメータ光学系からの射出光が平行光となるように、前記コリメータ光学系の位置調整を行うように構成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のレーザー照射装置。
【請求項7】
前記コリメータ光学系は、アサーマル(温度無依存)レンズにより構成され、
前記照明レチクル、前記コリメータ光学系及び前記撮像素子は、前記照明レチクルから前記コリメータ光学系までの距離と、前記撮像素子から前記コリメータ光学系までの距離とが一致するように、極低膨張部材製の鏡筒で保持されることにより、
温度変動に係わらず、前記コリメータ光学系から平行光を射出することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のレーザー照射装置。
【請求項8】
前記コリメータ光学系は、光軸に沿って対向配置された第1及び第2のアサーマル(温度無依存)ミラーを有し、前記照明レチクルを透過した光を、前記第1のアサーマルミラーの反射面、前記第2のアサーマルミラーの反射面を順に経て、平行光に変換し、前記第1のミラー部材を介して前記光学系から入射した光を、前記第2のアサーマルミラーの反射面、前記第1のアサーマルミラーの反射面を順に経て、前記撮像素子の撮像面上に結像するように構成され、
前記照明レチクル、前記コリメータ光学系及び前記撮像素子は、前記照明レチクルから前記コリメータ光学系までの距離と、前記撮像素子から前記コリメータ光学系までの距離とが一致するように、極低膨張部材製の鏡筒で保持されることにより、
温度変動に係わらず、前記コリメータ光学系から平行光を射出することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のレーザー照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−103487(P2012−103487A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251964(P2010−251964)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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