説明

レーザ光源モジュール及びレーザ光源モジュールの製造方法

【課題】受光素子を有するレーザ光源モジュールであって、小型化が可能な構成を備えるレーザ光源モジュール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】レーザ光源モジュールは、レーザ光源と、レーザ光源から出射されたレーザ光をモニタするための受光素子と、レーザ光源を収納するケース部と、レーザ光を受光素子に導く光学素子と、を備え、ケース部には、光学素子によって導かれたレーザ光が照射される位置に開口が設けられており、受光素子は、開口の位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、プロジェクタやペッドアップディスプレイなどに用いられるレーザ光源モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザ光を出力するレーザ光源モジュールが知られている。例えば、特許文献1には、金属板の上に受光素子と発光素子とを含む受発光部が設けられ、上面のガラス基板及び側面の封止基板により受発光部が封止された構成を備えるレーザ光源モジュールが開示されている。また、特許文献2には、基板と、半導体素子を含む内部構造物を封止するための気密構造を備え、端部で複数の配線を接続するためのリードフレームを配置したパッケージを備えると共に、基板とパッケージを構造接着剤により接着、封止する構造を有するレーザ光源モジュールが開示されている。また、特許文献3には、半導体レーザチップと、受光素子と、当該半導体レーザチップを収納するパッケージと、封止用透明部材とを有し、受光素子のモニタ電流に応じて半導体レーザチップの光出力が制御されるレーザ光源モジュールが開示されている。また、特許文献4には、各レーザ光源をチップ状態のまま位置調整後に固定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−035884号公報
【特許文献2】特開2003−069125号公報
【特許文献3】特開平11−273138号公報
【特許文献4】特許第3914670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、発光素子や受光素子のチップを基板(ケース)上にマウントする際に、チャックなどの治具が入るスペース等を設ける必要がある。具体的には、特許文献4と同様、レーザ光源がチップ状態の場合、当該チップを治具でつかみながら位置決めして半田で固定した後、当該チップから治具を離す。そのため、治具が入るスペース及び治具を当該チップから離すのに必要なスペースが必要となる。これについて、図7を参照して説明する。図7(a)乃至(c)は、基板のマウント面203上に、治具201によりチップ状のレーザ光源であるチップLD202を取り付ける手順を簡略的に示す図である。図7(c)に示すように、この場合、チップLD202の幅に加えて、矢印204及び矢印205に相当するスペースを設ける必要がある。
【0005】
また、一般に、受光素子をケースに取り付けるには、図8(a)に示すように、これを固定するための突部が必要となる。図8(a)は、マウント面203上に取り付けられた受光素子207及び受光素子207を固定するための突部208A、208Bを示す。
【0006】
以上を勘案すると、チップ状態のレーザ光源を固定する際に、治具が突部に干渉しないように、チップ状態のレーザ光源は、治具のために必要なスペース分、即ち、治具をいれるためのスペースとチャックをはずすためのスペースを確保して突部から離した位置にとりつけられることが必要となる。図8(b)及び図8(c)は、チップLD202を取り付けた後、受光素子207を同一の基板上のマウント面203に取り付ける手順を簡略的に示した図である。図8(b)に示すように、突部208Bと、受光素子207との間には、矢印205に相当する幅だけ治具のスペースが設けられている。従って、図8(c)に示すように、受光素子207をチップLD202と同一の基板上であるマウント面203に取り付ける場合、矢印204の幅と突部208Bの幅に相当する幅分(矢印209参照)だけ、受光素子207とチップLD202との間に間隔を設ける必要がある。
【0007】
また、受光素子を他のチップと共に封止した場合、受光素子の電流経路としてリードフレームが必要となり、この場合、さらにその分のスペースが必要なる。
【0008】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、受光素子を有するレーザ光源モジュールであって、小型化が可能な構成を備えるレーザ光源モジュール及びその製造方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光をモニタするための受光素子と、前記レーザ光源を収納するケース部と、前記レーザ光を前記受光素子に導く光学素子と、を備え、前記ケース部には、前記光学素子によって導かれた前記レーザ光が照射される位置に開口が設けられており、前記受光素子は、前記開口の位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光をモニタするための受光素子と、前記レーザ光を前記受光素子に導く光学素子と、前記レーザ光源収納し、前記光学素子によって導かれた前記レーザ光が照射される位置に開口を備えるケース部と、を備えるレーザ光源モジュールの製造方法であって、前記光学素子を前記ケース部に取り付ける第1工程と、前記第1工程の実行後、前記レーザ光源を前記ケース部に取り付ける第2工程と、前記第2工程の実行後、前記受光素子を前記開口の位置に配置する第3工程と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例に係る光源ユニットの概略構成図である。
【図2】図1の矢印Y1の方向からレーザ光源モジュールを図示したものである。
【図3】図1に示す切断面Aa−Abによるレーザ光源モジュールの断面図である。
【図4】レーザ光源モジュールの製造方法の処理手順を示すフローチャートの一例である。
【図5】第2構成例に係る図3に相当するレーザ光源モジュールの断面図の一例である。
【図6】第3構成例に係る図3に相当するレーザ光源モジュールの断面図の一例である。
【図7】チップLDをマウント面上に載置する際に必要となるスペースについて説明した図である。
【図8】チップLDと受光素子とを同一の基板に取り付ける際に必要な間隔について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態によれば、それぞれ波長が異なる複数のレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を重ね合わせる合成素子と、前記合成素子によって重ね合わせたレーザ光を出力する出力部と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光をモニタするための受光素子と、前記複数のレーザ光源と前記合成素子とを収納するケース部と、前記ケース部を封止する封止部と、を備え、前記受光素子は、前記封止部に取り付けられている。
【0013】
上記のレーザ光源モジュールは、複数のレーザ光源と、合成素子と、出力部と、受光素子と、ケース部と、封止部と、を備える。合成素子は、レーザ光源から出射されたレーザ光を重ね合わせる。出力部は、合成素子によって重ね合わせたレーザ光を出力する。受光素子は、レーザ光源から出射されたレーザ光の強度を検出する。ケース部は、レーザ光源と、合成素子とを収納する。封止部は、ケース部を封止する。そして、受光素子は、封止部に取り付けられている。
【0014】
この実施形態によれば、受光素子は、封止部に取り付けられていることから、ケース部に受光素子を載置する際に必要な治具のスペースが必要ない。従って、レーザ光源モジュールを小型化することができる。
【0015】
上記のレーザ光源モジュールの一態様では、前記レーザ光を集光して前記受光素子に入射させる集光レンズを備え、前記集光レンズは、前記封止部に取り付けられている。この態様では、集光性のある集光レンズを介してレーザ光を受光素子に入射させるため、受光効率を上げることができる。また、集光レンズは封止部に取り付けられるため、設置スペースを抑制することができる。
【0016】
上記のレーザ光源モジュールの他の一態様では、前記集光レンズによって集光された光を反射して前記受光素子に入射させる反射ミラーを備え、前記反射ミラーは、前記封止部に取り付けられているか当該封止部と一体形成されている。この態様では、合成素子と、集光レンズと、受光素子とが直線状に配置されていない場合であっても、反射ミラーによりレーザ光を反射させることで、受光素子にレーザ光を受光させることができる。従って、受光素子の設置場所を柔軟に定めることができる。また、反射ミラーは封止部に取り付けられ又は一体形成されるため、設置スペースを抑制することができる。
【0017】
上記のレーザ光源モジュールの他の一態様では、前記封止部は、前記レーザ光が透過可能であり、前記受光素子は、前記ケース部と前記封止部とにより封止されない位置に取り付けられ、前記受光素子と接着し、前記受光素子が生成した信号を伝送するプリント基板をさらに備える。この態様では、レーザ光源モジュールは、受光素子が封止されない位置に取り付けられていることから、受光素子とプリント基板とが直接電気的に接続される。従って、この態様では、レーザ光源モジュールは、リードフレームを必要としない。従って、さらにレーザ光源モジュールを小型化することができる。
【0018】
上記のレーザ光源モジュールの他の一態様では、前記封止部は、前記ケース部と対向する面の反対面に凹部を有し、前記プリント基板は、前記凹部を覆う位置であって、前記受光素子が前記凹部に収納される位置に、前記反対面に対して接着される。この態様では、プリント基板を曲げることなく受光素子の位置を調整することができ、プリント基板にかかる応力を低減させることができる。また、受光素子を凹部に収納することで、ケース部内のスペースを有効活用することができ、レーザ光源モジュールを小型化することができる。
【0019】
レーザ光源モジュールの製造方法の好適な実施形態では、それぞれ波長が異なる複数のレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を重ね合わせる合成素子と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光をモニタするための受光素子と、前記複数のレーザ光源と前記合成素子とを収納するケース部と、前記ケース部を封止する封止部と、を備え、前記合成素子によって重ね合わせたレーザ光を出力するレーザ光源モジュールの製造方法であって、前記複数のレーザ光源と、前記合成素子とを前記ケース部に取り付ける第1工程と、前記第1工程の実行後、前記ケース部を封止する位置に、前記封止部を取り付ける第2工程と、前記第2工程の実行後、前記受光素子を前記封止部に取り付ける第3工程と、を備える。
【0020】
上述の製造方法によれば、レーザ光源及び合成素子をケース部に取り付け、さらに封止部をケース部に取り付けた後、受光素子を封止部に取り付ける。これにより、ケース部に受光素子を設置するための治具のスペースが不要であると共に、受光素子が封止されていないため、リードフレームが不要となる。従って、上述の製造手順に基づきレーザ光源モジュールを製造することで、レーザ光源モジュールの小型化を実現することができる。
【実施例】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0022】
図1は、本実施例に係るレーザ光源ユニット1の概略構成図である。図1に示すように、レーザ光源ユニット1は、画像信号入力部2と、コントロールユニット20と、レーザ光源モジュール100と、MEMSミラー10と、を備える。なお、図1は、レーザ光源モジュール100を俯瞰した状態で示し、説明の便宜上、封止透明カバー4を一点鎖線により外縁部分のみ示す。また、図1では、レーザ光の代表的な光路を、矢印付きの破線により表示している。さらに、図1において、直接視認できない要素を適宜破線枠付きの斜線により図示している。
【0023】
レーザ光源モジュール100は、概略的には、赤色レーザ光源LD1、緑色レーザ光源LD2、及び青色レーザ光源LD3から出射したそれぞれ波長が異なる光をプリズムPZによって重ね合わせたレーザ光を出力すると共に、当該レーザ光を受光素子PDにより検出する。レーザ光源モジュール100は、図1に示すように、主に、ケース部3と、封止透明カバー4と、プリズムPZと、赤色レーザ光源LD1及び緑色レーザ光源LD2及び青色レーザ光源LD3(単に、「レーザ光源LD」とも総称する。)と、受光素子PDと、プリント基板5と、出力用レンズ6と、を備える。
【0024】
ケース部3は、プリズムPZ、赤色レーザ光源LD1、緑色レーザ光源LD2、青色レーザ光源LD3、及び出力用レンズ6を収納するケース部であり、上面32が一部開放されて形成される。そして、ケース部3は、封止透明カバー4により封止された状態で略直方体状に形成される。
【0025】
封止透明カバー4は、光の透過性を有し、ケース部3を上面32から封止する。封止透明カバー4は、ケース部3と対向する面の反対面である表面41に対して凹状に形成された受光素子PDを収納する収納部40を備える。そして、封止透明カバー4は、本発明における「封止部」の一例であり、収納部40は、本発明における「凹部」の一例である。封止透明カバー4の詳細については後述する。
【0026】
プリズム(合成素子)PZは、例えばトリクロイックプリズムであり、赤色レーザ光源LD1から出射されたレーザ光を出力用レンズ6へ向かって透過させると共に、当該レーザ光の一部を反射面92bで受光素子PDに向かって反射させる。また、プリズムPZは、緑色レーザ光源LD2から出射されたレーザ光を反射面92aで出力用レンズ6に向かって反射させると共に、当該反射させたレーザ光の一部を反射面92bで受光素子PDに向かって反射させる。さらに、プリズムPZは、青色レーザ光源LD3から出射されたレーザ光を受光素子PDに向かって透過させると共に、当該レーザ光の一部を反射面92bで出力用レンズ6に向かって反射させる。このようにすることで、プリズムPZは、各レーザ光源LDからの出射光を重ね合わせ、重ね合わせた後のレーザ光を、それぞれ出力用レンズ6及び受光素子PDに供給する。プリズムPZは、図1に示す平面視で、Y方向においては受光素子PD及び緑色レーザ光源LD2と青色レーザ光源LD3との間、かつ、X方向においては出力用レンズ6と赤色レーザ光源LD1との間に設置される。
【0027】
赤色レーザ光源LD1は、チップ状態のレーザ光源であり、赤色のレーザ光を出射する。赤色レーザ光源LD1は、X方向においてケース部3内のプリズムPZ及び出力用レンズ6と略直線上に配置され、後述する図2に示すマウント部30上に固定されている。
【0028】
緑色レーザ光源LD2は、チップ状態のレーザ光源であり、緑色のレーザ光を出射する。緑色レーザ光源LD2は、マウント部30上であって出射したレーザ光が反射面92aによって出力用レンズ6へ向かって反射される位置に固定されている。
【0029】
青色レーザ光源LD3は、CANパッケージに取り付けられた状態のレーザ光源であり、青色のレーザ光を出射する。具体的には、青色レーザ光源LD3は、CANパッケージ内に青色のレーザ光を発生する半導体レーザ光源チップBが取り付けられており、ケース部3の側面部37aに形成された孔に嵌め込まれて固定されている。青色レーザ光源LD3と、反射面92bと、受光素子PDとは、この順序に従い図1に示す平面視でY方向に略直線上の位置になるように配置される。
【0030】
なお、青色レーザ光源LD3は、フレームパッケージに取り付けられた状態であってもよい。また、青色レーザ光源LD3に代えて、赤色レーザ光源LD1又は緑色レーザ光源LD2がCANパッケージ又はフレームパッケージに取り付けられてもよい。また、青色レーザ光源LD3を、赤色レーザ光源LD1、緑色レーザ光源LD2と同様にチップ状態のレーザ光源とし、全てのレーザ光源をチップ状態のレーザ光源としてもよい。
【0031】
出力用レンズ6は、プリズムPZから入射したレーザ光を平行光にしてMEMSミラー10へ出射するコリメータレンズである。出力用レンズ6は、例えばUV系接着剤などにより、青色レーザ光源LD3が設置される側面部37aと直交する側面部37bに形成された孔に嵌め込まれて固定される。出力用レンズ6は、本発明における「出力部」の一例である。
【0032】
画像信号入力部2は、外部から入力される画像信号を受信してコントロールユニット20に出力する。
【0033】
MEMSミラー10は、レーザ光源モジュール100から出射されたレーザ光をスクリーン11に向けて反射する。また、MEMSミラー10は、画像信号入力部2に入力された画像を表示するためにコントロールユニット20からの制御によりスクリーン11上を走査するように回転し、その際の走査位置情報10x(例えば当該ミラーの角度などの情報)をコントロールユニット20へ出力する。
【0034】
受光素子(フォトダイオード)PDは、プリズムPZで合成されたレーザ光の強度をモニタするための光検出器である。受光素子PDは、所定面がプリント基板5に接着されている。そして、受光素子PDは、収納部40内に載置される。このように、受光素子PDは、ケース部3と封止透明カバー4とにより封止されない位置に載置される。そして、受光素子PDは、受光したレーザ光の強度に応じた電流又は電圧の信号Spd(「検出信号」とも呼ぶ。)を生成し、プリント基板5を介してコントロールユニット20に当該検出信号Spdを供給する。
【0035】
プリント基板5は、ケース部3と対向する面と反対面である封止透明カバー4の表面41上であって、収納部40を覆う位置に固定される。プリント基板5は、コントロールユニット20及び受光素子PDと電気的に接続している。
【0036】
コントロールユニット20は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びフレームメモリなどを有し、レーザ光源ユニット1の全般的な制御を行う。例えば、コントロールユニット20は、画像信号入力部2から入力される画像信号、MEMSミラー10から入力される走査位置情報10xに基づいて、MEMSミラー10やレーザ光源LDの駆動制御を行う。また、コントロールユニット20は、受光素子PDから供給された検出信号に基づき、レーザ光の品質の監視を行う。
【0037】
ここで、レーザ光源モジュール100の構成について、図2及び図3を参照してさらに詳細に説明する。
【0038】
図2は、図1の矢印「Y1」の方向からレーザ光源モジュール100を図示したものである。また、図3は、図1に示す切断面Aa−Abによるレーザ光源モジュール100の断面図である。なお、図2では、説明の便宜上、ケース部3を透過して破線により図示している。また、以後では、垂直上方向「VH」とは、マウント部30に対して封止透明カバー4が存在する方向を指し、垂直下方向「VL」とは、その逆方向を指す。
【0039】
図2に示すように、ケース部3の底部38には、赤色レーザ光源LD1、緑色レーザ光源LD2及びプリズムPZの位置を調整するためのマウント部30が設けられている。これにより、垂直上方向VHを基準とした、赤色レーザ光源LD1、緑色レーザ光源LD2及びプリズムPZから入出力される光の高さが調整されている。
【0040】
また、図2及び図3に示すように、封止透明カバー4は、収納部40の底面411上に形成され、集光レンズ60及び反射ミラー61が固定される突設部44を備える。突設部44は、収納部40の底面411に対し垂直下方向VLに向かって形成された6面体の形状を有する。そして、突設部44は、プリズムPZと対向するプリズム対向側面440に、集光レンズ60が設置される。また、突設部44は、プリズム対向側面440と対向し、図2の側面視で、底面411と約45度をなす斜面441を有する。そして、斜面441には、集光レンズ60から突設部44を透過したレーザ光を垂直上方向VHに反射する反射ミラー61が取り付けられている。なお、反射ミラー61は、斜面441と一体形成されていてもよい。
【0041】
好適には、突設部44及び収納部40は、ケース部3を封止透明カバー4で封止した状態で、プリズムPZやレーザ光源LD等のケース部3に載置するチップを取り付ける際に必要となる治具のスペースを利用した位置に設計される。
【0042】
そして、図2及び図3に示すように、集光レンズ60は、プリズムPZから出射されたレーザ光が反射ミラー61に向けられるように集光する。そして、反射ミラー61は、集光レンズ60から底面411に対し略平行に通過したレーザ光を、垂直上方向VHに存在する受光素子PDへ向けて反射する。そして、受光素子PDは、入射したレーザ光に応じた検出信号Spdを生成する。
【0043】
ここで、図1乃至図3に示すレーザ光源モジュール100の構成に基づく主な作用及び効果について説明する。
【0044】
図1乃至図3に示すように、プリズムPZや各レーザ光源LD等がケース部3に取り付けられているのと異なり、受光素子PDは、封止透明カバー4に取り付けられている。これにより、受光素子PDを取り付ける際に必要な突部(図8(a)乃至(c)の突部208A、B参照。)、及び、当該突部とレーザ光源LDとの間の治具のスペース分(図7(c)及び図8(b)の矢印205参照。)をケース部3に設ける必要がない。従って、レーザ光源モジュール100の小型化が可能である。
【0045】
また、好適には、封止透明カバー4及びこれに付設される受光素子PD及び集光レンズ60並びに反射ミラー61の設置位置は、チップ状態のレーザ光源LDをケース部3に取り付ける際に必要な治具のスペースを活用した位置に設計される。従って、レーザ光源モジュール100の小型化が可能である。
【0046】
また、受光素子PDは、封止透明カバー4の表面41に対して凹状に形成された収納部40に収納され、封止透明カバー4によりケース部3内に封止されない位置に配置される。従って、レーザ光源モジュール100は、プリント基板5に対して受光素子PDが直接に接着されるため、リードフレームを必要としない。よって、リードフレームを設置しない分、レーザ光源モジュール100の小型化が可能である。
【0047】
さらに、プリント基板5は、表面41と同一面上に延在した状態で、受光素子PDを支持している。即ち、プリント基板5は、曲げられることなく、受光素子PDと接着し、かつ表面41に貼り付けられている。従って、上述の実施例では、プリント基板5には、曲げ応力がかからない。
【0048】
また、受光素子PDは、上述のように、封止透明カバー4の表面41に対して凹状に形成された収納部40に収納されている。これにより、ケース部3内のスペースを有効活用することができ、レーザ光源モジュール100の小型化が可能である。
【0049】
また、受光素子PDは、集光性のある集光レンズ60を介してレーザ光を受光する。従って、レーザ光源モジュール100は、集光レンズ60を有することで受光効率を高めることができる。
【0050】
(製造方法)
次に、レーザ光源モジュール100の製造方法について、図4を参照して説明する。図4は、レーザ光源モジュール100を組み立てる手順を示すフローチャートの一例である。
【0051】
まず、予めプリズムPZが取り付けられているケース部3にCANレーザ(即ち、青色レーザ光源LD3)を取り付ける(ステップS1)。この際、ケース部3に対してCANレーザを所定の取り付け位置に固定するのみであり、その他の調整は行わない。
【0052】
次に、出力用レンズ6のケース部3に対する取り付け位置を調整する(ステップS2)。具体的には、青色レーザ光源LD3の出射光の位置がレーザ光源モジュール100の外部に設けられたターゲット上の目標位置と合っているか、ターゲット上の光径が予め定めた大きさになっているか否か判断する。そして、出射光の位置が目標位置と合い光径が予め定めた大きさになっている場合(ステップS3;Yes)、その位置に出力用レンズ6を固定する(ステップS4)。一方、出射光の位置が目標位置と合っておらず、又は、光径が予め定めた大きさになってない場合(ステップS3;No)、引き続きステップS2で出力用レンズ6の取り付け位置を調整する。
【0053】
次に、赤色レーザ光源LD1又は緑色レーザ光源LD2のいずれか一方(以後、「第1チップ」とも呼ぶ。)のケース部3に対する固定位置の調整を行う(ステップS5)。具体的には、第1チップをチャック等で掴み触針を落として点燈させながら第1チップの出射光がターゲット上で青色レーザ光源LD3の出射光の位置及び光径と一致するように調整する。そして、第1チップの出射光がターゲット上で青色レーザ光源LD3の出射光の位置及び光径と一致する場合(ステップS6;Yes)、半田などにより第1チップを固定する(ステップS7)。一方、第1チップの出射光がターゲット上で青色レーザ光源LD3の出射光の位置及び光径と一致していない場合(ステップS6;No)、引き続きステップS5で第1チップの位置を調整する。
【0054】
次に、赤色レーザ光源LD1又は緑色レーザ光源LD2のうち、ステップS7で固定していないレーザ光源LD(「第2チップ」とも呼ぶ。)の固定位置の調整を行う(ステップS8)。具体的には、ステップS5と同様、第2チップをチャック等で掴み触針を落として点燈させながら第2チップの出射光がターゲット上で青色レーザ光源LD3と第1チップとの出射光の位置及び光径と一致するように調整する。そして、第2チップの出射光がターゲット上で青色レーザ光源LD3と第1チップとの出射光の位置及び光径と一致する場合(ステップS9;Yes)、半田などにより第2チップを固定する(ステップS10)。一方、第2チップの出射光がターゲット上で青色レーザ光源LD3と第1チップとの出射光の位置及び光径と一致していない場合(ステップS9;No)、引き続きステップS8で第2チップの位置を調整する。
【0055】
次に、封止透明カバー4をケース部3に取り付ける(ステップS11)。これにより、ケース部3の内部が封止透明カバー4により封止される。そして、プリント基板5に予め接着して固定された受光素子PDの位置調整を行う(ステップS12)。具体的には、受光素子PD及びプリント基板5をチャック等で掴み、受光素子PDの検出信号Spdをモニタしながら、プリズムPZにより合成されたレーザ光が正確に検出されているか否かを判断する。これにより、受光素子PDは、プリズムPZで合成されて反射ミラー61で反射したレーザ光が達する位置に調整される。そして、受光素子PDによりレーザ光が検出されていると判断した場合(ステップS13;Yes)、接着剤などを用いて封止透明カバー4の表面41にプリント基板5を固定する(ステップS14)。一方、受光素子PDによりレーザ光が正しく検出されていないと判断した場合(ステップS13;No)、引き続きS12で受光素子PDの位置を調整する。
【0056】
このように、受光素子PDは、CANレーザ、第1チップ及び第2チップと異なり、封止透明カバー4がケース部3に取り付けられた後、封止透明カバー4に対して位置調整がなされる。従って、この場合、ケース部3の内部には、チャック等の治具で受光素子PDを取り付ける際に必要な当該治具のスペースが必要ない。よって、レーザ光源モジュール100の小型化を実現することができる。
【0057】
(他の構成例)
図1乃至図3で示した構成(「第1構成例」とも呼ぶ。)は一例であり、本発明が適用可能なレーザ光源モジュール100の構成は、これに限定されない。ここで、図5及び図6を参照して、本発明に適用可能なレーザ光源モジュール100の他の構成例である第2構成例及び第3構成例について説明する。なお、第1構成例と同様の部分については、適宜同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
図5は、第2構成例に係る図3に相当するレーザ光源モジュール100の断面図の一例である。図5に示すように、第2構成例に係るレーザ光源モジュール100は、反射ミラー61を有しない点で、第1構成例と異なる。
【0059】
図5に示すように、受光素子PDが設置される収納部40Aは、垂直下方向VLを基準として、プリズムPZの出射光が到達可能な範囲まで延在している。そして、集光レンズ60は、収納部40Aの外側面であってプリズムPZと対向するプリズム対向側面400に固定される。そして、受光素子PDは、収納部40A内であって、プリズムPZ及び集光レンズ60と略直線上となる位置に固定される。言い換えると、受光素子PDは、プリズムPZから出射されて集光レンズ60を通過したレーザ光が入射可能な位置に設けられる。
【0060】
また、プリント基板5は、表面41と接着するカバー接着部51と、受光素子PDと接着する受光素子接着部52と、を同一面上に有する。図5に示すように、カバー接着部51及び受光素子接着部52は、互いが垂直となる方向に延在している。従って、プリント基板5は、表面41の延在方向と垂直下方向VLとに向けて曲げられた状態で固定されている。そして、受光素子PDが生成する検出信号は、プリント基板5を介してコントロールユニット20へ供給される。
【0061】
図6は、第3構成例に係る図3に相当するレーザ光源モジュール100の断面図の一例である。図6に示すように、第3構成例に係るレーザ光源モジュール100は、集光レンズ60及び反射ミラー61を有しない点で、第1構成例と異なり、集光レンズ60を有しない点で、第2構成例と異なる。
【0062】
図6に示すように、第3構成例では、第2構成例と同様、受光素子PDは、収納部40A内であって、プリズムPZ及び集光レンズ60と略直線上となる位置に固定される。そして、プリズムPZから出射されたレーザ光は、プリズム対向側面400を透過して受光素子PDへ入射する。プリント基板5は、第2構成例と同様、表面41と接着するカバー接着部51と、受光素子PDと接着する受光素子接着部52と、を有し、表面41の延在方向と垂直下方向VLとに向けて曲げられた状態で固定されている。そして、受光素子PDが生成する検出信号は、プリント基板5を介してコントロールユニット20へ供給される。
【0063】
以上のように、第2構成例及び第3構成例の場合であっても、レーザ光源モジュール100は、封止透明カバー4に受光素子PDが取り付けられ、受光素子PDと直接接続したプリント基板5を介してプリズムPZで合成されたレーザ光の検出信号がコントロールユニット20へ供給される。従って、第2構成例及び第3構成例によっても、レーザ光源モジュール100は、チャック等の治具で受光素子PDを取り付ける際に必要な当該治具のスペースをケース部3の内部に必要としないため、小型化が実現される。また、第1構成例と同様、第2構成例及び第3構成例に係るレーザ光源モジュール100は、リードフレームを必要としないため、リードフレームを必要とする構成に比べて、小型化が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、ヘッドアップディスプレイの光源ユニット、その他映像や画像を投影する際に光源となる光源モジュールに好適に適用される。
【符号の説明】
【0065】
1 レーザ光源ユニット
2 画像信号入力部
3 ケース部
4 封止透明カバー
5 プリント基板
6 出力用レンズ
11 スクリーン
20 コントロールユニット
100 レーザ光源モジュール
LD1 赤色レーザ光源
LD2 緑色レーザ光源
LD3 青色レーザ光源
PZ プリズム
PD フォトダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光をモニタするための受光素子と、
前記レーザ光源を収納するケース部と、
前記レーザ光を前記受光素子に導く光学素子と、
を備え、
前記ケース部には、前記光学素子によって導かれた前記レーザ光が照射される位置に開口が設けられており、
前記受光素子は、前記開口の位置に配置されていることを特徴とするレーザ光源モジュール。
【請求項2】
前記受光素子は、前記ケース部の外部から前記開口の位置に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源モジュール。
【請求項3】
前記光学素子を前記受光素子と共に前記開口の位置に配置することを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ光源モジュール。
【請求項4】
前記受光素子は、前記開口の位置に間接的に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のレーザ光源モジュール。
【請求項5】
前記開口の位置に設けられた封止部を有し、
前記受光素子は、前記封止部を介して前記開口の位置に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレーザ光源モジュール。
【請求項6】
前記光学素子は、プリズムと前記レーザ光を集光させる集光レンズからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレーザ光源モジュール。
【請求項7】
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光をモニタするための受光素子と、
前記レーザ光を前記受光素子に導く光学素子と、
前記レーザ光源収納し、前記光学素子によって導かれた前記レーザ光が照射される位置に開口を備えるケース部と、を備えるレーザ光源モジュールの製造方法であって、
前記光学素子を前記ケース部に取り付ける第1工程と、
前記第1工程の実行後、前記レーザ光源を前記ケース部に取り付ける第2工程と、
前記第2工程の実行後、前記受光素子を前記開口の位置に配置する第3工程と、
を備えることを特徴とするレーザ光源モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−94891(P2012−94891A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−283661(P2011−283661)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【分割の表示】特願2011−543945(P2011−543945)の分割
【原出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】