説明

レーザ加工方法、レーザ加工装置及びソーラパネル製造方法

【課題】レーザ光加工時のタクトタイムを短くし、全体的なスループットを大幅に向上する。
【解決手段】ステージが一定速度で移動する前後の時間、すなわちステージが一定速度に到達するまでの加速時及びステージが停止するまでの減速時の両方又はいずれか一方でレーザ加工処理を行なう。この場合、レーザ加工処理時のレーザパワー及びレーザ周波数をステージの移動速度に応じて制御する。例えば、ステージ速度が徐々に加速して一定速度v0となるまでの加速時は、ステージ速度の増大に応じてレーザ周波数を徐々大きくすると共に最大限抑制していたレーザパワーを徐々に解除していくように制御する。一方、ステージ速度が停止するまでの減速時は、ステージ速度の減少に応じてレーザ周波数を徐々小さくすると共にレーザパワーの抑制値を徐々に大きくするように制御してレーザ加工処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いて薄膜等を加工するレーザ加工方法、レーザ加工装置及びソーラパネル製造方法に係り、特にソーラーパネル作成時に行なわれるレーザスクライブ加工処理の主走査軸の可動距離を大幅に改善したレーザ加工方法、レーザ加工装置及びソーラパネル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソーラパネルの製造工程では、透光性基板(ガラス基板)上に、透明電極層、半導体層、金属層を順次形成し、形成後の各工程で各層をレーザ光で短冊状に加工してソーラパネルモジュールを完成している。このようにしてソーラパネルモジュールを製造する場合、ガラス基板上の薄膜に例えば約10mmピッチでレーザ光でスクライブ線を形成している。このスクライブ線の線幅は約30μmで、線と線の間隔は約30μmとなるような3本の線で構成されている。レーザ光でスクライブ線を形成する場合、通常は定速度で移動するガラス基板上にレーザ光を照射していた。これによって、深さ及び線幅の安定したスクライブ線を形成することが可能であった。
【0003】
図1は、ガラス基板を搭載したステージの移動速度(レーザ光とステージとの間の相対的な移動速度のことである)と時間との関係を示す図である。図に示すように、ステージが移動して、所定速度v0(安定領域)に到達するまでに時間t0を要する。ステージ速度が所定速度v0に到達してから、レーザ光による加工処理(スクライブ線形成処理)を実行し、時間t1前に加工を終了し、ステージを減速して停止させていた。このようなソーラパネルの製造方法については、特許文献1,2に記載のようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−098404号公報
【特許文献2】特開2006−054255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、移動機構の移動に伴ってレーザ光でガラス基板上の薄膜を加工するものが記載されている。特許文献2には、レーザビームの直径と繰り返し周波数の積によって、スクライブ線の加工時におけるXYテーブルの移動速度が規定されるとの記載がある。
しかしながら、これらの従来の文献は、スクライブ線の加工速度すなわちタクトタイムを向上するための手法については全く言及していないので、スクライブ線の加工時のステージが所定速度v0に到達するまでの加速時間、加工終了から停止するまでの減速時間がタクトタイムに対して大きな値をとるため、タクトタイムが長くなって、スループットが低下するという問題を有していた。
【0006】
本発明の目的は、上述の点に鑑みてなされたものであり、レーザ光加工時のタクトタイムを短くし、全体的なスループットと主走査軸の可動距離を向上することのできるレーザ加工方法、レーザ加工装置及びソーラパネル製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るレーザ加工方法の第1の特徴は、ワークに対してレーザ光を相対的に移動させながら照射することによってワークに所定の加工を施すレーザ加工方法において、前記相対的な移動の速度が一定速度の場合及びこの一定速度の前後で前記移動速度が加減速している場合に、前記相対的な移動の速度に応じて前記レーザ光のレーザ周波数及びレーザパワーを制御してレーザ加工を行なうことにある。
従来は、ワークを保持したステージが移動して、一定速度v0(安定領域)に到達してから、レーザ光をワークに照射してレーザ加工処理を行なっていたため、ステージが一定速度に到達するまでの時間及びレーザ加工処理終了後にステージが停止するまでの間はレーザ加工処理を行なっていなかった。この発明では、ステージが一定速度で移動する前後の時間、すなわちステージが一定速度に到達するまでの加速時及びステージが停止するまでの減速時の両方又はいずれか一方でレーザ加工処理を行なう。この場合、レーザ加工処理時のレーザパワー及びレーザ周波数をステージの移動速度に応じて制御する。例えば、ステージ速度が徐々に加速して一定速度v0となるまでの加速時は、ステージ速度の増大に応じてレーザ周波数を徐々に大きくすると共に最大限抑制していたレーザパワーを徐々に解除していくように制御する。一方、ステージ速度が停止するまでの減速時は、ステージ速度の減少に応じてレーザ周波数を徐々に小さくすると共にレーザパワーの抑制値を徐々に大きくするように制御してレーザ加工処理を行なうようにした。これによって、レーザ光加工時のタクトタイムを短くし、全体的なスループットと主走査軸の可動距離を向上することができる。
【0008】
本発明に係るレーザ加工方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載のレーザ加工方法において、前記一定速度におけるレーザパワーを100パーセントとした場合に、前記加減速時に100パーセント以上に上がるレーザパワーを前記移動速度に応じて前記100パーセントに抑制して出力することにある。
これは、ステージ速度が一定速度v0の場合におけるレーザパワーを100パーセントとした場合、ステージ速度が徐々に加速して一定速度v0となるまでの加速時及びステージ速度が一定速度から減速して停止するまでの減速時におけるレーザパワーをステージ速度に応じ、100パーセントに抑制するようにしたものである。
【0009】
本発明に係るレーザ加工方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載のレーザ加工方法において、前記レーザ光のレーザ周波数とレーザパワーとの関係を示す曲線に基づいて作成された前記移動速度とパワー制御値との関係を示すパワー変換テーブルを用いて、前記移動速度を前記パワー制御値に変換し、前記レーザ光のレーザパワーを前記パワー制御値に応じて抑制して出力することにある。
レーザ光のレーザ周波数とレーザパワーとの関係は、図5(A)に示すような曲線LPとなり、レーザ周波数が20kHz付近でほぼ最大の値LPmaxとなり、レーザ周波数が100kHz付近で安定した値LPminとなるような特性を示す。そこで、レーザ周波数が100kHzよりも小さい場合でも、レーザ周波数100kHzの時と同じレーザパワー値LPminとなるようにレーザパワーを抑制する値(パワー制御値:曲線LPC)を曲線LPに基づいて算出し、レーザ周波数(ステージ速度)に対応したパワー制御値を用いてレーザパワーを抑制して出力するようにしたものである。これによって、レーザ周波数が低い場合でもレーザパワーは一定の値となり、安定したレーザ加工を行なうことができるようになる。
【0010】
本発明に係るレーザ加工装置の第1の特徴は、保持手段に保持されたワークに対してレーザ光を相対的に移動させながら照射することによってワークに所定の加工を施すレーザ加工装置において、前記相対的な移動速度が一定速度の場合及びこの一定速度の前後で前記移動速度が加減速している場合に、前記移動速度に応じて前記レーザ光のレーザ周波数及びレーザパワーを制御してレーザ加工を行なう制御手段を備えたことにある。これは、前記レーザ加工方法の第1の特徴に対応したレーザ加工装置の発明である。
【0011】
本発明に係るレーザ加工装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段が、前記一定速度におけるレーザパワーを100パーセントとした場合に、前記加減速時に100パーセント以上に上がるレーザパワーを前記移動速度に応じて前記100パーセントに抑制して出力するように制御することにある。これは、前記レーザ加工方法の第2の特徴に対応したレーザ加工装置の発明である。
【0012】
本発明に係るレーザ加工装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段が、前記レーザ光のレーザ周波数とレーザパワーとの関係を示す曲線に基づいて作成された前記移動速度とパワー制御値との関係を示すパワー変換テーブルを用いて、前記移動速度を前記パワー制御値に変換し、前記レーザ光のレーザパワーを前記パワー制御値に応じて抑制して出力するように制御することにある。これは、前記レーザ加工方法の第3の特徴に対応したレーザ加工装置の発明である。
【0013】
本発明に係るソーラパネル製造方法の特徴は、前記第1から第3までのいずれか1に記載のレーザ加工方法、又は前記第1から第3までのいずれか1に記載のレーザ加工装置を用いて、ソーラパネルを製造することにある。前記レーザ加工方法又は前記レーザ加工装置のいずれかを用いて、ソーラパネルを製造するようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レーザ光加工時のタクトタイムを短くし、全体的なスループットと主走査軸の可動距離を向上することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ガラス基板を搭載したステージの移動速度と時間との関係を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す図である。
【図3】制御装置の処理の詳細を示すブロック図である。
【図4】本発明のスクライブ処理の動作を説明するための図であり、ガラス基板を搭載したステージの移動速度と時間と関係を示す図である。
【図5】図3のパワー変換手段の動作を説明するための図であり、図5(A)は、レーザ周波数とレーザパワーとの関係を示す図であり、図5(B)は、図3のパワー変換手段に内蔵されるパワー変換テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図2は、本発明の一実施の形態に係るレーザ加工装置の概略構成を示す図である。このレーザ加工装置は、ソーラパネル製造装置のレーザ光加工処理(レーザスクライブ)工程を行なうものである。
【0017】
図2のソーラパネル製造装置は、台座10、XYテーブル20、レーザ発生装置40と、光学系部材50、アライメントカメラ装置60、リニアエンコーダ70、制御装置80及び検出光学系部材等によって構成されている。台座10上には台座10上でX軸方向及びY軸方向(XY平面)に沿って駆動制御されるXYテーブル20が設けられている。
【0018】
XYテーブル20は、X方向及びY方向へ移動制御される。なお、XYテーブル20の駆動手段としては、ボールネジやリニアモータ等が用いられるが、これらの図示は省略してある。XYテーブル20の上側にはレーザ加工の対象となるワーク1が保持されている。また、台座10の上には光学系部材を保持しながらY軸方向にスライド駆動されるスライドフレーム30が設けられている。XYテーブル20は、Z軸を回転軸としてθ方向に回転可能に構成されている。なお、スライドフレーム30によりY軸方向の移動量が十分に確保できる場合には、XYテーブル20は、X軸方向の移動だけを行なう構成であってもよい。この場合、XYテーブル20はX軸テーブルの構成でもよい。
【0019】
スライドフレーム30は、台座10上の四隅に設けられた移動台に取り付けられている。スライドフレーム30は、この移動台によってY軸方向へ移動制御される。ベース板31と移動台との間には除振部材(図示せず)が設けられている。スライドフレーム30のベース板31には、レーザ発生装置40、光学系部材50、制御装置80及び検出光学系部材が設置されている。光学系部材50は、ミラーやレンズの組み合わせで構成され、レーザ発生装置40で発生したレーザ光を4系列に分割してXYテーブル20上のワーク1上に導くものである。なお、レーザ光の分割数は4系列に限るものではなく、2系列以上であればよい。
【0020】
アライメントカメラ装置60は、XYテーブル20上であってワーク1の両端部(X軸方向の前後縁部)付近の画像を取得する。このアライメントカメラ装置60で取得された画像は、制御装置80に出力される。制御装置80は、アライメントカメラ装置60からの画像を、ワーク1のIDデータと共にデータベース手段に格納し、これ以降のワーク1のアライメント処理に利用する。リニアエンコーダ70は、XYテーブル20のX軸移動テーブルの側面に設けられたスケール部材と検出部とから構成される。
【0021】
リニアエンコーダ70は、XYテーブル20のX軸移動テーブルの側面に設けられたスケール部材と検出部とか構成される。リニアエンコーダ70の検出信号は、制御装置80に出力される。制御装置80は、リニアエンコーダ70からの検出信号に基づいてXYテーブル20のX軸方向の移動速度(移動周波数)を検出し、レーザ発生装置40の出力(レーザ周波数)を制御する。
【0022】
光学系部材50は、図示のように、ベース板31の下面側に設けられている。レーザ発生装置40から出射されるレーザ光を光学系部材50に導くための反射ミラー33,35がベース板31上に設けられている。レーザ発生装置40から出射されたレーザ光は、反射ミラー33によって反射ミラー35へ向かって反射され、反射ミラー35は、反射ミラー33からの反射レーザ光をベース板31に設けられた挿通穴を介して光学系部材50に導く。なお、レーザ光発生装置40から出射されたレーザ光は、ベース板31に設けられた挿通穴から光学系部材50に対して上側から導入されるように構成されれば、どのような構成のものであってもよい。例えば、レーザ発生装置40を挿通穴の上側に設け、挿通穴を介して光学系部材50に直接レーザ光を導くようにしてもよい。
【0023】
図3は、制御装置80の処理の詳細を示すブロック図である。制御装置80は、分岐手段81、周波数計測手段82、パワー変換手段83及びレーザコントローラ84から構成される。分岐手段81は、リニアエンコーダ70の検出信号(クロックパルス)を分岐して後段の周波数計測手段82及びレーザコントローラ84に出力する。周波数計測手段82は、分岐手段81によって分岐されたリニアエンコーダ70の検出信号に基づいて周波数、すなわちXYテーブル20の移動速度vを計測してパワー変換手段83に出力する。
【0024】
パワー変換手段83は、パワー変換テーブルに基づいて、周波数計測手段82からの周波数(移動速度)に基づいてレーザ発生装置40のパワー制御値をレーザコントローラ84に出力する。レーザコントローラ84は、パワー変換手段83から出力されるパワー制御値に基づいてレーザ発生装置40のパワーを制御すると共に分岐手段81によって分岐されたリニアエンコーダ70の検出信号に基づいてレーザ発生装置40のレーザ発振周波数を制御するものである。
【0025】
図4は、本発明のスクライブ処理の動作を説明するための図であり、ガラス基板を搭載したXYテーブル20の移動速度(ステージ速度)と時間の関係を示す図である。この実施の形態では、図4に示すように、XYテーブル20が移動を開始して速度v1に達した時刻t2でレーザ光をワーク1に照射して、レーザ加工すなわちスクライブ処理を開始する。そして、ステージ速度がv0(安定領域)に達する時刻t3までは、レーザ周波数及びレーザパワーをステージ速度に同期させたステージ同期加工処理を行なう。その後、時刻t3から時刻t4までの間では、ステージ速度がv0(安定領域)と安定しているので、この期間は従来と同様に、レーザ周波数100kHz、レーザパワーLPminのレーザ光をワーク1に照射する通常のスクライブ処理を行なう。そして、時刻t4から時刻t5までの間は、前述と同様にレーザ周波数及びレーザパワーをステージ速度に同期させたステージ同期加工処理を行なう。
【0026】
図5は、図3のパワー変換手段の動作を説明するための図であり、図5(A)は、レーザ周波数とレーザパワーとの関係を示す図であり、図5(B)は、図3のパワー変換手段に内蔵されるパワー変換テーブルの一例を示すである。図5(A)に示すように、レーザ発生装置40の出力であるレーザパワーは、曲線LPのように、レーザ周波数が20kHz付近でほぼ最大の値LPmaxとなり、レーザ周波数が100kHz付近で安定した値LPminとなるような特性を示す。すなわち、レーザ周波数に応じてレーザパワーは曲線LPのように変化する。
【0027】
従って、この実施の形態では、図4に示すように時刻t2から時刻t3までの間、及び時刻t4から時刻t5までの間のステージ同期加工処理期間では、レーザ周波数及びレーザパワーがステージ速度に応じて変化するように制御している。時刻t2から時刻t3までの間は、ステージ速度がv1から徐々に加速してv0となり、時刻t4から時刻t5までの間は、ステージ速度がv0から徐々に減速してv1となるので、この実施の形態では、図4に示すように、ステージ速度v1でレーザ周波数約20kHzでスクライブ処理を開始し、その後徐々にステージ速度の増大に応じてレーザ周波数を大きくしながらスクライブ処理を行なう。
【0028】
このとき、図5(A)に示すように、レーザ周波数が100kHzを基準にしてこれより小さくなるに従って、レーザパワーは徐々に大きくなるような特性を示す。従って、ステージ速度v0でレーザ周波数約50kHzのレーザ光を用いてスクライブ処理を行なう場合は、ステージ速度v1の時点ではレーザパワーは大きく、かつステージ速度がv0に比べて半分の速度と遅いためにワーク1に対するレーザの照射時間も長くなる。その結果、スクライブ線の加工による深さが通常よりも増大し、所望形状のスクライブ線を形成することができなくなるという問題がある。
【0029】
この実施の形態では、図5(B)に示すようなパワー変換テーブルを用いて、時刻t2から時刻t3までの間、及び時刻t4から時刻t5までの間のステージ同期加工処理期間では、レーザパワーをこのパワー変換テーブルに基づいて制御(抑制)するようにした。このパワー変換テーブルは、レーザ周波数100kHz時のレーザパワー制御値を100%とし、レーザ周波数が徐々に小さくなるに従って、レーザパワーを抑制するような曲線で構成されている。実際に使用する時は、ステージ速度v0の加工周波数を100%とし、パワー変換テーブルを再計算する。従って、パワー変換手段83は、レーザ周波数が100kHz以下の場合は、パワー変換テーブルの曲線LPCに従ってパワー制御値をレーザコントローラ84に出力する。レーザコントローラ84は、レーザパワーを可変制御して、ワーク1にレーザ光を照射する。これによって、時刻t2から時刻t3までの間、及び時刻t4から時刻t5までの間のステージ同期加工処理期間中にワーク1に照射されるレーザ光のパワーは、時刻t3から時刻t4までの通常の加工期間中と同じ値となり、所望形状のスクライブ線を形成することが可能となる。このように、時刻t2から時刻t3までの間、及び時刻t4から時刻t5までの間にスクライブ処理を行なうことができるようになるので、スクライブ処理に要する時間と主走査軸の可動距離を短縮することが可能となる。
【0030】
上述の実施の形態では、薄膜の形成されたワーク1の表面からレーザ光を照射して薄膜にスクライブ線(溝)を形成する場合について説明したが、ワーク1の裏面からレーザ光を照射して、ワーク表面の薄膜にスクライブ線を形成するようにしてもよい。
【0031】
上述の実施の形態では、ソーラパネル製造装置を例に説明したが、本発明はELパネル製造装置、ELパネル修正装置、FPD修正装置などのレーザ加工を行なう装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…ワーク
10…台座
20…XYテーブル
30…スライドフレーム
31…ベース板
40…レーザ発生装置
50…光学系部材
60…アライメントカメラ装置
70…リニアエンコーダ
80…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対してレーザ光を相対的に移動させながら照射することによってワークに所定の加工を施すレーザ加工方法において、前記相対的な移動の速度が一定速度の場合及びこの一定速度の前後で前記移動速度が加減速している場合に、前記相対的な移動の速度に応じて前記レーザ光のレーザ周波数及びレーザパワーを制御してレーザ加工を行なうことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工方法において、
前記一定速度におけるレーザパワーを100パーセントとした場合に、前記加減速時に100パーセント以上に上がるレーザパワーを前記移動速度に応じて前記100パーセントに抑制して出力することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザ加工方法において、
前記レーザ光のレーザ周波数とレーザパワーとの関係を示す曲線に基づいて作成された前記移動速度とパワー制御値との関係を示すパワー変換テーブルを用いて、前記移動速度を前記パワー制御値に変換し、前記レーザ光のレーザパワーを前記パワー制御値に応じて抑制して出力することを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項4】
保持手段に保持されたワークに対してレーザ光を相対的に移動させながら照射することによってワークに所定の加工を施すレーザ加工装置において、
前記相対的な移動速度が一定速度の場合及びこの一定速度の前後で前記移動速度が加減速している場合に、前記移動速度に応じて前記レーザ光のレーザ周波数及びレーザパワーを制御してレーザ加工を行なう制御手段を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項5】
請求項4に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段は、前記一定速度におけるレーザパワーを100パーセントとした場合に、前記加減速時に100パーセント以上に上がるレーザパワーを前記移動速度に応じて前記100パーセントに抑制して出力するように制御することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のレーザ加工装置において、
前記制御手段は、前記レーザ光のレーザ周波数とレーザパワーとの関係を示す曲線に基づいて作成された前記移動速度とパワー制御値との関係を示すパワー変換テーブルを用いて、前記移動速度を前記パワー制御値に変換し、前記レーザ光のレーザパワーを前記パワー制御値に応じて抑制して出力するように制御することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか1に記載のレーザ加工方法、又は請求項4から6までのいずれか1に記載のレーザ加工装置を用いて、ソーラパネルを製造することを特徴とするソーラパネル製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−184289(P2010−184289A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31902(P2009−31902)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】