説明

レーザ加工機械のミラーの傾き調整のための装置

レーザ加工機械(21)の変向ミラー(33)の傾き調整のための装置(1)が、機械フレーム(32)に固定配置可能な第1の装置部分(2)と、この第1の装置部分(2)に可動に結合されている第2の装置部分(3)とを有している。変向ミラー(33)は、第2の装置部分(3)に取り付けられている。制御ユニットには、傾きセンサ(5)と、電子装置(7)と、伝動モータ(8)とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザ加工機械のミラーの傾き調整のための装置に関する。当該装置は機械フレームに固定配置可能な第1の装置部分と、前記第1の装置部分に可動に結合された第2の装置部分とを有している。この場合、変向ミラーは第2の装置部分に取り付けられている。この構成では、制御ユニットには、傾きセンサと電子装置と伝動モータとが設けられている。
【0002】
この種の装置は、たとえばWO02/099494により公知になった。
【0003】
レーザ加工機械は通常、たとえば温度変動といった変動する周辺影響にさらされている。この影響に基づき、レーザ加工機械の機械フレームが歪むかまたは変形することが起こる場合がある。その結果、レーザ加工機械の変向ミラーの傾きが変わることがある。このことはレーザ光の誤った調整、いわゆる「レーザ光ポインティング」に繋がる。
【0004】
変向ミラーの誤った傾きを修正するために、冒頭で述べた刊行物に記載されているような機械的な装置、または変向ミラーの傾き調整のための手動による装置が公知である。
【0005】
公知の手動による装置は、変向ミラーの傾きを調整するために、水準器および調整ねじを有している。
【0006】
自動的な構成では、手動による調整装置は傾きセンサおよび伝動モータに交換される。さらに従来必要とされた水準器を、使用者が付加的な光学的制御のために使用することができる。傾きは傾きセンサにより自動的に検出される。検出された傾き誤差は、評価ユニット(電子装置)において伝動モータのための作動量に変換され、次いで伝動モータがスピンドルを駆動する。
【0007】
不都合なことに機械フレームには振動が発生する。この振動は傾きセンサの測定結果にネガティブに影響する。機械フレームの変形は、ミラーの傾き調整を再調整することにより常に補償され得るわけではない。
【0008】
先行技術とは異なり、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の装置を改良して、変向ミラーの傾き調整の自動的な修正が、機械フレームに振動が発生した場合であっても確実に可能である装置を提供することである。
【0009】
この課題は、本発明によれば冒頭で述べた形式の装置により解決される。本発明は、機械フレームの振動を検出するための手段が設けられていることを提案する。この場合、電子装置が適切なフィルタを有している。傾きセンサの信号に影響を与える振動はフィルタアウトすることができる。このことは本発明の改良形では、さらに閾値と低域フィルタとを使用することにより改良することができる。
【0010】
本発明に係るレーザ加工機械のミラーの傾き調整のための装置は、レーザ加工機械の変向ミラーの傾き調整のための装置であって、機械フレームに固定配置可能な第1の装置部分と、該第1の装置部分に可動に結合された第2の装置部分とが設けられており、変向ミラーが、第2の装置部分に取り付けられており、制御ユニットに傾きセンサと、電子装置と、伝動モータとが設けられている形式のものにおいて、機械フレームの振動を検出するための手段が設けられており、電子装置が、適切なフィルタを有していることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る装置は、有利には、各機械に特有の傾き誤差(閾値)および予め規定された時間にわたって平均的な傾き誤差(低域フィルタ)が、超過される場合に制御を行うように、制御ユニットが構成されている。
【0012】
本発明の有利な実施例を概略図に基づき説明する。
【0013】
図1からはCOレーザ22とレーザ加工ヘッド24と被加工物支持台25とを備えた、レーザ切断のためのレーザ加工装置21の構造が明らかである。形成されたレーザ光26は変向ミラーによってレーザ加工ヘッド24へと案内され、ミラーによって被加工物28に配向される。
【0014】
一貫した切断溝が生じる前に、レーザ光26は未加工品28を貫通しなければならない。薄板28は所定の個所で点状に溶融または酸化されなければならず、溶融物は吹き飛ばす必要がある。
【0015】
傾斜体によるゆっくりとした穴あけ、つまりピアシングの際には、レーザ出力を徐々に高め、減じ、ピアシング孔が形成されるまで規定の時間にわたってコンスタントに保持することができる。ピアシングもレーザ切断もガスの付加によりサポートされる。切断ガス29として、酸素、窒素、圧縮空気および/または使用特性に合ったガスを使用することができる。どのガスが最終的に使用されるかは、どのような材料を切断し、未加工品に対してどのような品質要求を課すかに依る。
【0016】
薄板28においてレーザ光26が当たる所の材料は、溶融され大部分は酸化される。生じた溶融物は酸化鉄と共に吹き飛ばされる。発生した粒子とガスとを、サクション装置30によってサクション室31から吸い込むことができる。
【0017】
機械フレーム32が周辺影響に基づき歪むかまたは変形すると、変向ミラー33の位置も変わる。当然ながらこれはレーザ光の位置の変化を意味する。変向ミラー33のこの変位を自動的に修正するために、そこで機械フレーム32に本発明による装置が配置されていてよい。
【0018】
図2の本発明による装置1は、フラットベッドレーザ機械におけるポインティング補整のために制御されたシステムである。レーザ光ポインティングの大部分は、左側のサイドキャリアの熱的変形により引き起こされる。このサイドキャリアには、その変形に基づいて傾く175°変向ミラーが配置されてもいる。ミラーの傾き変化のため、変向されるレーザ光の方向も変わり、ポインティングが生じる。
【0019】
当該装置1によりミラーの傾きは自動的に補整される。このことはミラーの傾きが、定値に対して±0,02mm/mの許容誤差をもって保持されることにより起きる。
【0020】
当該装置1は機械フレーム32に固定配置される第1の装置部分2と、第2の装置部分3とを有している。この第2の装置部分3は第1の装置部分2に可動に結合されている。第1の装置部分2は機械フレーム32内に組み込まれていてもよい。第2の装置部分3には変向ミラーが取り付けられている。ジョイントと差動スピンドル4とによって、装置部分3は手動により調整することもできる。差動スピンドル4は機械フレームに取り付けられていてもよい。装置部分3の調整を制御するために、傾きセンサ5と電子装置7とカップリング6と伝動モータ8が設けられている。カップリング6によって、差動スピンドル4と電動モータ8との間の軸ずれと整合誤差とは補償される。傾きセンサ5は装置部分3の傾きを検出することができる。電子装置7によって実際値を目標値と比較することができる。電子装置7は伝動モータ8を制御するので、装置部分3の移動により変向ミラー33の傾き調整の補整は自動的に実施される。各機械に特有の傾き誤差を上回り(閾値)、予め規定された時間にわたって平均の傾き誤差を上回る(低域フィルタ)と制御が行われる。こうして、たとえば機械フレームの振動といった小さなおよび/または短期間の障害は再調整されないということが保証される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】レーザ切断機械を示した図である。
【図2】レーザ切断機械の変向ミラーの自動的な傾き調整のための装置を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工機械(21)の変向ミラー(33)の傾き調整のための装置(1)であって、機械フレーム(32)に固定配置可能な第1の装置部分(2)と、該第1の装置部分(2)に可動に結合された第2の装置部分(3)とが設けられており、変向ミラー(33)が、第2の装置部分(3)に取り付けられており、制御ユニットに傾きセンサ(5)と、電子装置(7)と、伝動モータ(8)とが設けられている形式のものにおいて、
機械フレームの振動を検出するための手段が設けられており、電子装置が、適切なフィルタを有していることを特徴とする、レーザ加工機械の変向ミラーの傾き調整のための装置。
【請求項2】
各機械に特有の傾き誤差(閾値)および予め規定された時間にわたって平均的な傾き誤差(低域フィルタ)が、超過される場合に制御を行うように、制御ユニットが構成されている、請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−502514(P2009−502514A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524433(P2008−524433)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007649
【国際公開番号】WO2007/014767
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(508035218)トルンプフ マシーネン グリュッシュ アクチエンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Maschinen Gruesch AG
【住所又は居所原語表記】Ausserfeld, CH−7214 Gruesch, Switzerland
【Fターム(参考)】