説明

レーザ捕獲顕微解剖のための凸形状接着性フィルムシステム

【課題】レーザ捕獲顕微解剖を行うためのフィルムを提供すること。
【解決手段】組織サンプルは、顕微鏡において可視化される。選択的に活性化された凸状表面が、好ましくはロッドの遠位端に、提供される。この選択的に活性化された凸状表面は、活性化された場合(典型的には、顕微鏡における光学光路を通るレーザを用いて)、接着特性を有する活性化された領域を提供する。摘出されるべき組織サンプルの少なくとも一部が、同定される。この同定された部分は、ロッドの端の選択的に活性化された凸状表面の一部と接触される。凸状表面が活性化された場合、選択的に活性化された凸状表面上の接着性輸送表面が提供され、これは、所望のサンプルのフットプリントにおける所望の細胞に接着する。その後、接着性輸送表面は、所望の細胞との接着を維持しつつ、組織サンプルの残りから切り離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ捕獲顕微解剖(LCM)(簡便で迅速な様式で、病理スライドから微小量の組織を取り除くための技術)を行うために使用されるレーザ作動接着性フィルムのための凸形状を扱う。LCMにおいて直面する様々な問題を解決するためのいくつかの構成、ならびにその手順に関与するいくつかの機械的働きを行うための機械的機構を記載する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
具体的には、多くの疾患は、現在、分子レベルおよび遺伝子レベルで理解されている。このような分子の分析は、疾患の診断および予後に重要である。組織サンプルから細胞組織材料を直接摘出するための現在の方法は、制限されている。なぜならば、この摘出は、平均含量の疾患関連マーカーのみを反映するからである。現実には、組織は非常に不均一であり、組織の最も診断的な部分は、病変の数百個の細胞以下に限定され得る。従って、ヒトの病理切片の分子分析は、標本内からの均一な細胞の純粋な集団を標的化し、そして取り出すことが必要である(ここで、これらの細胞は、全局所組織の数パーセントまたはさらにずっとそれ未満(例えば、1000細胞中1細胞またはさらにそれ未満)のみを含み得る)。本願に包含されるLCM発明の改変は、組織内の低密度または希少な細胞の収集、およびこのような細胞が、様々な標本から、病理の正確な統計的説明に十分な材料を提供するために収集されなければならない場合に、特に重要である。例としては、AIDSウイルスに感染した単離細胞、感染性結核性細菌を含有するマクロファージ、タンパク尿を示す患者における腎糸球体内の細胞、アルツハイマー症候群を示す脳における脳細胞および斑、ならびに癌性組織が挙げられる。それぞれの場合において、異なった自然病因に関連し得る種々の疾患および異なった治療に対する特定の患者の反応の正確な分子的説明は、周辺細胞からの分子の甚だしい混入なしでのみ達成され得る。本発明者らは、具体的には、いかにレーザ顕微解剖が癌の分子的分析に重要かを議論するが、同様の原理が種々の疾患および薬物処置に対するその応答、ならびに正常なヒトの発育および老化の分子的説明(例えば、DNA変異、遺伝子発現の変化、およびタンパク質の転写後改変)に適用される。
【0003】
正常組織サンプルは、浸潤前および浸潤腫瘍細胞を取り囲むおよびこれに隣接する種々の細胞型を含有する。生検および診断に供される、1.0mm程度の腫瘍細胞の一領域には、正常上皮、浸潤前段階の癌、インサイチュの癌、浸潤癌、および炎症領域が含まれ得る。結果的に、慣用的なひっかく方法および切り取る方法が、全てのこれらの型の細胞を集め、それ故、対立遺伝子の欠失が、混入している非悪性細胞における対立遺伝子の正常複製物の存在により、隠される。組織の一部を切り離すまたはマスキングする既存の方法は、必要とされる分解能を有さない。それ故、これらの以前の方法による遺伝子的結果の分析は、正常細胞、所望でない細胞、または血管細胞由来の対立遺伝子の混入によって、いつも苦しめられる。
【0004】
ヒト腫瘍の分子的研究は、現在、そのキャラクタリゼーションに利用可能な技術およびモデル系に制限されている。ヒト腫瘍細胞におけるタンパク質または核酸発現を定量的または定性的に評価するための研究が、バルク腫瘍標本に存在する様々な細胞集団により損なわれている。浸潤腫瘍の組織学的分野は、典型的には、腫瘍細胞、間質細胞、内皮細胞、正常内皮細胞、および炎症細胞を含む多数の細胞型を示す。腫瘍細胞は、しばしば、総細胞集団のうち比較的少ない割合であるので、これらの標本における正味のタンパク質または核酸変化の重要性を解釈するのは、困難である。
【0005】
培養中のヒト腫瘍細胞の研究は、腫瘍細胞と宿主細胞および細胞外マトリクスとの複雑な相互作用、ならびにいかにしてそれらが腫瘍細胞のプロテアーゼ産生能または活性化を調整し得るかについて説明しない。免疫組織化学的染色は、腫瘍浸潤領域における酵素分布を試験することを可能にするが、結果は、組織固定法および抗体-抗原親和性により変化し、タンパク質レベルの半定量的評価のみを提供する。さらに、染色結果の定量的解釈は、組織切片内の染色パターンの変化性、染色強度の主観的評価、および間質染色の有意性の解釈の困難さにより、複雑化される。さらに、プロテアーゼの研究において利用される多くの抗体は、プロ酵素と活性酵素種とを区別しない。ヒト腫瘍のホモジネート由来の酵素またはmRNAレベルのアッセイは、標本内の細胞の混合した集団、または組織において起こり得る付随した病態生理的なプロセスのいずれの理由も説明しない。
【0006】
従来の研究方法は、研究者が、浸潤前病変における遺伝子的変化を具体的に試験することを可能にする。今日までの最も洗練された遺伝子的試験技術は、限られた価値を有する。なぜならば、分析されるべき入力DNA、RNAまたはタンパク質は、疾患の形態を示す純粋な細胞集団由来ではないからである。いくつかの方法が、この問題に取り組むために、組織顕微解剖のために報告されている。これらには、特定の細胞集団を富ませるための凍結組織塊の全体解剖、所望でない遺伝物質を破壊するための手動でインク染色した切片の照射、凍結組織標本の接触調製、および手動の器具を用いた顕微解剖が含まれる。しかし、これらの方法は、慣用的な研究または高処理能力臨床分子診断用途には、十分には正確および効果的ではない。手動の顕微解剖は、例えば、良好な精度を有するが、時間がかかり、労働集約的であり、高度の手先の器用さを必要とし、そして一般的に普通の技術者に適していない。
【0007】
Lance A.Liottaら、1997年2月7日に出願された米国仮特許出願番号第60/036,927号、表題「Isolation of Cellular MaterialUnder Microscope Visualization」には、本発明者らがレーザ捕獲顕微解剖(LCM)と呼ぶようになった技術についての記載がある。簡単に述べると、組織サンプルが顕微鏡における観察下で典型的にはスライド上に提供される方法および装置が開示された。組織は、その選択的領域に接着性を与えるために活性化され得る、選択的に活性化された表面と接触された。組織サンプルは顕微鏡を介して可視化され、そして摘出されるべき組織サンプルの少なくとも一部が同定される。その後、選択的に活性化された表面は、典型的には、所望の組織のフットプリントにおける選択的に活性化された表面上に向けられた光ファイバを介して送られたレーザによって、活性化される。これは、選択的に活性化された表面の一領域が、選択された組織サンプルの部分と接触している間に行われる。選択的に活性化された表面の活性化された領域は、組織サンプルの選択された部分に接着する。その後、選択的に活性化された表面の活性化された領域と組織サンプルの部分との間の接着が維持されつつ、活性化された表面が組織サンプルから分離される。組織サンプルのこの部分は、上記組織サンプルの残りの部分から摘出される。
【0008】
上記権利を与えられた特許において開示される基本的技術は、EVAフィルムの大きな遊離した片をスライド上の組織サンプルに適用することを扱うが、従来の顕微鏡を用いて比較的訓練されていない作業者によって利用され得る実用的な方法および装置へのこの技術の縮小は行われていない。従って、以下の明細書において、この技術の1実用的実施態様を記載する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
組織サンプルは、慣習的に、顕微鏡で可視化される。選択的に活性化された凸状表面が、好ましくは、ロッドの遠位端に備えられる。この選択的に活性化された凸状表面は、活性化された場合(典型的には、顕微鏡の光学的光路を介したレーザを用いて)、接着性を有する活性化領域を提供する。摘出されるべき組織サンプルの少なくとも一部が、同定される。この同定された部分は、ロッドの末端の選択的に活性化された凸状表面の一部と接触する。凸状表面が活性化された場合(典型的には、所望のサンプルのフットプリントにおけるレーザ光への曝露によって)、選択的に活性化された凸状表面上の接着性伝達表面が提供され、これは、所望のサンプルのフットプリントにおける所望の細胞に接着する。その後、この接着性伝達表面は、組織サンプルの残りから、所望の細胞との接着を維持しつつ、分離される。このようにして、組織サンプルの所望の部分が摘出される。開示された選択的に活性化された凸状表面は、好ましくは、同一のスライド上または異なるスライドからの1つより多い部位で、所望の組織サンプルを収集するために利用される。収集された組織サンプルは、その後、所望ならば、凸状表面上で回収された状態で、および次いで(例えば、サンプルのタンパク質を溶解することによって)遊離されて、検査され得る。これは、分析に十分に純粋な材料を得るために、生じた残りの細胞を効果的に濃縮し得る。選択的に活性化された材料とともに凸状表面を有するロッドは、この装置およびプロセスを用いた使用の主要素として記載される。この凸状表面の好ましい形状および得られる棒状物品とともにロッドをコーティングする方法が、開示される。
【0010】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1)組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法であって、
組織サンプルを提供する工程;
選択的に活性化される領域に接着特性を与えるように活性化され得る選択的に活性化される表面を提供する工程;
凸状表面を提供する工程;
摘出されるべき該組織サンプルの少なくとも一部を同定する工程;
該組織サンプルの少なくとも一部と該凸状表面とを並べる工程;
該選択的に活性化可能な凸状表面の一部を選択的に活性化して、該接着性輸送表面を形成する工程;
該組織サンプルと該接着性輸送表面とを接触させる工程;および
該組織サンプルの該少なくとも一部との接着を維持しつつ、該接着性輸送表面を該組織サンプルから引き離し、その結果、該組織サンプルの該少なくとも一部が該組織サンプルの残りの部分から摘出され、該接着性輸送表面に付着される工程、
を包含する、方法。
(項目2)前記接触させる工程が前記選択的に活性化する工程の前に起こる、項目1に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目3)前記接触させる工程が前記選択的に活性化する工程の後に起こる、項目1に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目4)前記選択的に活性化された表面が、前記凸状表面に取り付けられる、項目1に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目5)前記凸状表面が円柱状である、項目1に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目6)前記円柱状表面が前記組織サンプルと直線的に接触する、項目5に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目7)前記凸状表面が円錐形である、項目1に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目8)前記円錐形表面が円錐台である、項目7に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目9)前記凸状表面が前記組織サンプルと直線的に接触する、項目7に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目10)前記凸状表面が彫面を備えて提供される、項目1に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目11)一度に1つの彫面のみが前記組織サンプルと接触するようになる、項目10に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目12)前記凸状表面がロッドの端に位置する、項目1に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目13)前記凸状表面が球形である、項目1に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目14)前記球形表面が前記組織サンプルと環状に接触している、項目13に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目15)前記凸状表面が偏球面である、項目1に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目16)前記偏球面が楕円形パッチで前記組織サンプルに接触する、項目15に記載の組織サンプルからの細胞材料の直接摘出の方法。
(項目17)多様な細胞材料を有する組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、以下の工程:
a.該組織サンプル全体にわたって点在する散在した所望の細胞材料を有する組織サンプルを提供する工程;
b.選択的に活性化される凸状表面を提供する工程であって、該表面が活性化されて該表面の選択領域に接着特性を提供し得る、工程;
c.摘出されるべき所望の細胞材料を有する該組織サンプルの少なくとも一部を同定する工程;
d.該組織サンプルの少なくとも一部と該選択的に活性化可能な凸状表面とを接触させる工程;
e.該組織サンプルの該所望の細胞材料と接触する該選択的に活性化可能な凸状表面の一領域を選択的に活性化し、該所望の細胞材料に選択的に接着する接着領域を形成する工程;
f.該接着領域と該組織サンプルの該所望の細胞材料との間の接着を維持しつつ、該組織サンプルから該接着領域を引き離し、その結果、該組織サンプルの該少なくとも一つの部分の少なくとも一部が、該組織サンプルの残りの部分から摘出される工程;
g.該組織サンプルに対して該凸状表面を再び方向付ける工程;および、
h.工程c.、d.、e.、およびf.を繰り返して、所望の細胞材料を、該選択的に活性化可能な凸状表面の異なる領域に配置する工程、
を包含する、方法。
(項目18)項目17に記載の組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、
工程hが、工程c.、d.、e.、f.、およびg.を繰り返して、該選択的に活性化された凸状表面の異なる領域上に、所望の細胞材料を蓄積する工程を包含する、方法。
(項目19)項目17に記載の組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、
前記凸状表面を前記再び方向付ける工程が、該組織サンプルにわたって該凸状表面を転がす工程を包含する、方法。
(項目20)項目17に記載の組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、
前記凸状表面を前記再び方向付ける工程が、該組織サンプルから前記凸状表面を上げて離し、次いで、該凸状表面を再び方向付ける工程を包含する、方法。
(項目21)項目20に記載の組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、
前記再び方向付ける工程が、前記凸状表面を回転させる工程を包含する、方法。
(項目22)項目20に記載の組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、
前記繰り返し工程が、同一スライド上の組織サンプルの別々の部分で起こる、方法。
(項目23)項目20に記載の組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、
前記繰り返し工程が、異なるスライド上の組織サンプルの別々の部分で起こる、方法。
(項目24)項目20に記載の組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、以下の工程:
前記凸状表面上の前記所望の細胞材料を検査する工程;および、
前記所望の細胞材料の少なくともいくらかを、該見る工程の後に、該凸状表面から脱着し、そして分析する工程、
を包含する、方法。
(項目25)項目20に記載の組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、以下の工程:
前記凸状表面上に移された細胞材料を検査する工程;および、
該凸状表面に移され得た任意の所望でない細胞材料をカプセル化して、その続いての分析を防止する工程、
を包含する、方法。
(項目26)項目20に記載の組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、
前記凸状表面上の任意の所望でない細胞材料が、放射線または熱によって、不活化される、方法。
(項目27)項目18に記載の組織サンプルからの所望の細胞材料の直接摘出の方法であって、
前記凸状表面上に収集された所望の細胞が検査される、方法。
(項目28)顕微鏡との組み合わせであって、該顕微鏡が、以下:
組織サンプルを上に有するスライドを保持するためのステージ;
該組織サンプルを照射するための光源および集光装置;および
該組織サンプルの見られる部分を調べるための対物レンズ/接眼レンズの組み合わせ、
を備え、該顕微鏡の改良として、以下を組み合わせて備える:
選択的に活性化される領域に接着特性を与えるように活性化され得る選択的に活性化される凸状表面;
該組織サンプルの見られる部分と接触するようにおよび接触から外れるように、該選択的に活性化される凸状表面を移動させるための手段;
該組織サンプルと接触する選択的に活性化される凸状表面の部分を選択的に活性化して接着領域を形成し、それによって、該活性化される凸状表面が該組織サンプルとの接触から外れるように動く場合に、該組織サンプルの見られる部分の少なくとも一部の接着領域が、該選択的に活性化される凸状表面に接着するための手段;および
該選択的に活性化される凸状表面を再び方向付け、それによって、選択的に活性化されていない該選択的に活性化される凸状表面の部分が、該組織サンプルと接触するために曝露される、手段。
(項目29)請求項28に記載の顕微鏡との組み合わせであって、
前記組織サンプルの見られる部分と接触するようにおよび接触から外れるように移動させるための手段が、該組織サンプルから前記対物レンズ/接眼レンズの組み合わせへのビューパスから前記凸状表面を移動させるための手段を備える、組み合わせ。
(項目30)請求項28に記載の顕微鏡との組み合わせであって、前記凸状表面が透明である、組み合わせ。
(項目31)請求項28に記載の顕微鏡との組み合わせであって、
前記選択的に活性化される凸状表面がロッドの先端であり;
前記組織サンプルの見られる部分と接触するようにおよび接触から外れるように移動させるための手段が、該組織サンプルを見るための該組織サンプルから前記対物レンズ/接眼レンズへの光路内におよび光路外にロッドを旋回させるための、該選択的に活性化される凸状表面から離れた該ロッドに取り付けられた旋回点を備え;そして
前記選択的に活性化される凸状表面が、前記ロッドを回転させるための手段を備える、
組み合わせ。
(項目32)請求項28に記載の顕微鏡との組み合わせであって、
前記組織サンプルの見られる部分と接触するようにおよび接触から外れるように移動させるための手段が、前記組織サンプルの見られる部分と測定される予め負荷される力と接触させるための手段を備える、組み合わせ。
(項目33)請求項28に記載の顕微鏡との組み合わせであって、
前記選択的に活性化される凸状表面が、ロッドの先端に位置しており;そして
選択的に活性化される凸状表面を有するロッドが、選択的に活性化される凸状表面を有する他の類似のロッドと交換可能である、
組み合わせ。
(項目34)顕微鏡のための付属部品であって、該顕微鏡が、組織サンプルを上に有するスライドを保持するためのステージ、該組織サンプルを照射するための光源および集光装置、および該組織サンプルの見られる部分を調べるための対物レンズ/接眼レンズの組み合わせを備え;
該付属部品が、以下を組み合わせて備える:
選択的に活性化される領域に接着特性を与えるように活性化され得る選択的に活性化される凸状表面;
該組織サンプルの見られる部分と接触するようにおよび接触から外れるように、該選択的に活性化される凸状表面を移動させるための手段;
該組織サンプルと接触する選択的に活性化される凸状表面の部分を選択的に活性化して接着領域を形成し、それによって、該活性化される凸状表面が該組織サンプルとの接触から外れるように動く場合に、該組織サンプルの見られる部分の少なくとも一部の接着領域が、該選択的に活性化される凸状表面に接着するための手段;および
該選択的に活性化される凸状表面を再び方向付け、それによって、選択的に活性化されていない該選択的に活性化される凸状表面の部分が、該組織サンプルと接触するために曝露されるための手段。
(項目35)レーザ捕獲顕微解剖のための装置であって、接触表面が、以下:
凸状表面;
ロッドの先端に取り付けられた該凸状表面を有するロッド;および
該凸状表面の上に配置される、選択的に活性化されるコーティング、
を備える、装置。
(項目36)請求項35に記載のレーザ捕獲顕微解剖のための装置であって、
前記凸状表面が球形である、装置。
(項目37)請求項35に記載のレーザ捕獲顕微解剖のための装置であって、
前記凸状表面が、彫面である、装置。
(項目38)請求項35に記載のレーザ捕獲顕微解剖のための装置であって、
前記凸状表面が円柱状である、装置。
(項目39)請求項35に記載のレーザ捕獲顕微解剖のための装置であって、
前記凸状表面が錐台のプロフィールを有する、装置。
(項目40)請求項35に記載のレーザ捕獲顕微解剖のための装置であって、
前記ロッドおよび凸状表面が透明である、装置。
(項目41)レーザ捕獲顕微解剖のための装置であって、
接触表面およびバイアルが、以下:
凸状表面;
前記凸状表面の上に配置される選択的に活性化されるコーティング;
前記凸状表面がバイアル内に配置されることを可能にする寸法を有するバイアル;および
該選択的に活性化される凸状表面に接着された組織サンプルの少なくとも一部を遊離するための該バイアル中の流体、
を含む、装置。
(項目42)レーザ捕獲顕微解剖のための凸状表面を作製するための方法であって、以下:
凸状表面を有するロッドを提供する工程;
該ロッドを該凸状表面において、溶媒中に溶解した活性化可能な接着剤でコーティングする工程;および
該凸状表面において該ロッド上に凝固した活性化可能な接着剤を残すように、溶媒を溶解する工程、
を包含する、方法。
(項目43)請求項42に記載のレーザ捕獲顕微解剖のための凸状表面を作製するための方法であって、さらに、
コーティングする工程が、前記ロッドを前記凸状表面において、溶媒に溶解した活性化可能な接着剤中に浸積する工程
を包含する、方法。
(項目44)請求項42に記載のレーザ捕獲顕微解剖のための凸状表面を作製するための方法であって、さらに、
コーティングする工程が、前記ロッドを前記凸状表面において、溶媒に溶解した活性化可能な接着剤で噴霧する工程
を包含する、方法。
(項目45)請求項42に記載のレーザ捕獲顕微解剖のための凸状表面を作製するための方法であって、さらに、
コーティングする工程が、溶媒中の測定された量の活性化可能な接着剤を、前記ロッドに前記凸状表面において塗布する工程
を包含する、方法。
(項目46)請求項42に記載のレーザ捕獲顕微解剖のための凸状表面を作製するための方法であって、さらに、
コーティングする工程が、前記活性化可能な接着剤を凹状鋳型内で押し付けて、所望の凸状形状を与える工程
を包含する、方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
好ましい実施態様の詳細な説明
図1を参照する場合、サンプル収集装置Cは、反転した顕微鏡Mの付属部品として示される。従来のように、反転した顕微鏡Mは、接眼レンズE、対物レンズO、従来の光源Lを含み、これらの全てが、サンプルAを有するスライドSを観察する場合に補助する。
【0012】
サンプル収集装置Cは、図1に概略的にのみ示されるが、付属部品である。それは、サンプル収集ロッドRを含み、これは垂直回転軸Vの周りを回転する。サンプル収集ロッドRは、コーティングされた収集先端部Tを有し、収集されるべき所望の細胞のサンプルA上の位置にある。
【0013】
レーザからの光Zは、エピ照射ポートを介して顕微鏡に入り、そしてスライド上の公知の予備決定された地点(例えば、視野の中心)にて集光される。
【0014】
Rの補充可能な部分を都合良く取り替えたりおよび除去したりするために、破線のサンプル収集ロッドR’によって示されるように、サンプル収集装置Cのサンプル収集ロッドRは、軸Vの周りを回転され得、対物レンズOから接眼レンズEの光路までそれを移動する。このシステムは、図2に関してより完全に記載される。
【0015】
操作は単純に記載され得る。最初に、顕微鏡ステージが中心に置かれ、そしてサンプル収集ロッドRはスライド上の位置に置かれる。次に、所望の細胞、すなわちサンプルAが位置づけされるまで、スライドSは調べられる。このスライドは、サンプルAが視野の中心に来るようにステージ上で位置づけされる。次いで、コーティングされた収集先端部Tを有するサンプル収集ロッドRは、後に図2にて説明されるメカニズムを用いて、水平軸の周りを回転されることによって下げられ、これによって、収集先端部Tと所望の細胞におけるサンプルAとの間で接触が起こる。次いで、レーザZは、コーティングされた収集先端部Tを活性化し、そして所望の細胞における接着を誘導する。所望される場合、顕微鏡ステージの小さな運動は、1つのレーザスポットに対応するAの組織の単一地点より多く収集するために、レーザビームにおいてAの拡張された領域および収集先端部Tを位置づけするために使用され得る。Aおよび先端部Tの組み合わせの全ての部分がレーザに曝露される場合、次いで、それに接着した所望の細胞を有するコーティングされた収集先端部TはサンプルAから離昇され、サンプル収集ロッドRは、ほんのわずかにその軸の周りを回転され、そして上記の全体のプロセスが異なるサンプル、Aにおいても繰り返される。
【0016】
作業を大幅に要約して、好ましい実施態様の記載を続ける。
【0017】
図2を参照する場合、サンプル収集装置Cは、サンプル収集ロッドRの部分と一緒に示される。ステージマウンティング14は、分割環マウンティング16にて、主軸受筒18に載備する。主軸受筒18は、ベアリングブロック20を支える。ベアリングブロック20は、順番に、サンプル収集装置基部22を支える。垂直回転軸Vは、ベアリングブロック中心開口24にて、ベアリングブロック20に適合し、そして相対回転に対しロックされる。
【0018】
移動止めブロック26は、垂直回転軸Vにロックし、そしてスプリング載備移動止め28を支える。移動止めブロック26の垂直回転軸Vへのロックは、移動止め軸ロック30で起こる。
【0019】
サンプル収集装置基部22は、スライド一致移動止め溝32および遠隔配置移動止め溝34を規定する。簡単に述べると、サンプル収集装置基部22がスライド一致移動止め溝32の上に重なるスプリング載備移動止め28で一致される場合、コーティングされた収集装置先端部Tを有するサンプル収集ロッドRは、スライドS上のサンプルAの中心観察地点の上に重なる。このステージが中心にある場合、この中心観察地点は、レーザビームの位置と一致する。サンプル収集装置基部22が遠隔配置移動止め溝34の上に重なるスプリング載備移動止め28と一致される場合、コーティングされた収集先端部Tにおけるサンプル収集ロッドRは、スライドSおよびそのサンプルAから離れ、スライドSから離れたロッドRの補充可能な部分の都合の良い装填および非装填を可能にする(図1を参照)。
【0020】
図2に示されるサンプル収集ロッドRは、その遠位にて、種々の一連のサンプル収集補充可能ロッド先端部のそれぞれと、それら自身のコーティングした収集先端部Tとの接続のために、末端カップリング40を含む。このようなチップは、図5A〜図5Eに関して後に議論される。反対側の末端におけるこれと同じサンプル収集ロッドRは、回転ステッパーモーター42に接続する。各サンプルがコーティングされた収集先端部T上に収集された後、コーティングされた収集先端部Tが周辺全体付近に(または、所望であるならば、より少ない)サンプルを有するまで、回転ステッパーモーター42の完全な回転の一部による回転が起こる。
【0021】
組織の剪断および起こり得る汚染が生じるのをさけるため、コーティングされた収集先端部Tにおけるサンプル収集ロッドRは、それが回転する前に、スライドS上のサンプルAとの接触から逃れることが必要である。従って、回転ステッパーモーター42は回転ブロック44に載備される。回転ブロック44は、サンプル収集装置基部22の末端の回転開口48内の水平回転軸46の周りを順番にロックする。従って、コーティングされた収集先端部Tにおけるサンプル収集ロッドRは、スライドS上のサンプルAと接触するようにおよび接触しないように移動し得ることがわかる。ロッドが回転した後、ステージは再び中心に置かれ、そしてこのスライドは視野の中心に所望の細胞を有する新たな位置に移動され、ロッドは下げられる。
【0022】
スライドS上にサンプルAを有するコーティングされた収集先端部Tの接触は、精密に制御されなければならない。これは、板バネアクチュエーターを使用することによって行われ、サンプル収集ロッドRの各々の接触のために利用される力の量を制御する。
【0023】
サンプル収集ロッドRの末端におけるコーティングされた収集先端部Tのこの制御された接触は、垂直ステッパーモーター54(これはサンプル収集装置基部22の下に接続する)によって決定される。垂直伸張ステッパー軸56を有するモーター54は、モーターが作動する場合、直線垂直運動を起こす。垂直伸張ステッパー軸56は、線膨張カーブ62に隣接する板バネ60の末端にて固定される。反対側の末端にて、板バネ60は、回転ブロックボルト65(回転ブロックボルト開口67にて回転ブロック44に接続する)を有する。
【0024】
この構造を記載したことによって、スライドS上のサンプルAと接触したり接触しなかったりするコーティングされた収集先端部Tにおけるサンプル収集ロッドRを回転するためのサンプル収集装置Cの操作は、容易に理解され得る。詳細には、垂直ステッパーモーター54は、制御された(例えば、コンピューター)量の垂直運動で作動され、垂直伸張ステッパー軸56の高さを慎重に調節する。ステッパー軸56により、板バネ60が回転ブロックボルト65を傾斜させる。回転ブロックボルトは、回転ブロック44および接続されたサンプル収集ロッドRを有する載備された回転ステッパーモーター42を順番に回転させる。ロッドRは遠位の末端にてコーティングされた収集先端部Tを有するので、サンプルAの制御された接触は起こり得る。
【0025】
開示されたメカニズムが極度に繊細であることが理解され得る。板バネ60の長レバーアームが提供される場合、サンプルAにおける力の精密な制御は、容易に達成される。さらに、接触に利用される力の量は、制限内で、収集したサンプルの「ライン(line)」接触領域の幅を制御し得る。減少した力による接触は、減少した量のサンプルAを収集し;増大した力による接触は、増大した量のサンプルAを収集する。
【0026】
収集のためのスライドS上のサンプルAの所望の細胞を位置づけする場合、2つの移動が利用され得る。第1に、図1を参照すると、スライドSは、従来の顕微鏡ステージSに対して鈍い動きで提供され得、サンプルAが視野の中心に来る。この滑り運動は、顕微鏡を操作する何人においても周知である。
【0027】
第二に、従来の顕微鏡ステージ70のいくらか微妙な動きは、Rの接触ゾーン内の任意の箇所に位置される所望の細胞を収集するために所望される。
【0028】
ロッドRを上昇し、次いで回転し、そして下降することの代替は、組織の剪断が存在しないステージの制御された運動と組み合わせて、領域A上でロッドを回転することである。
【0029】
小さなステージの運動の代替は、レーザビームを走査し、所望の細胞および隣接する接着物のみがレーザによって照射されるようにそれを回転したりしなかったりすることである。
【0030】
サンプル収集ロッドRおよびコーティングされた収集先端部Tを有するサンプル収集装置Cについて記載すると、ここでサンプルに関する先端部の運動は上記のようであり得る。
【0031】
円柱幾何概念における幾つかの効率パラメーターを評価するために、近距離xにおいて良好な円の以下の放物線の近似を使用することが便利である:
y=(x)/2R
これは、半径Rの円を近似し、この円の中心はy=Rおよびx=0である(例えば、その最も低い地点は、ロッド/フィルムと組織との間の接触の地点であると仮定される原点である)。2R=3/16インチ(=4.68mm)である場合、次いで円周は、14.7 mm である。次の移動部位における組織の汚染を避けるために、yを50 ミクロン(.002 インチ)下げるために、上記の関係を使用するとx=0.48mm である。これによって、外周全体が使用されると仮定して単一ロッド上の30通りの移動を可能にし、そして、この移動は中心において0.48 mm の間隔で離れる。視覚化するために、湾曲した表面上にある場合、組織上における集光を維持するためにYの最大値を1ミクロンにした場合、その結果、x=.070mm となる。従って、約140ミクロンの幅の領域は、湾曲表面上に再集光する必要もなく、後の観察において、鋭い集光内にある。
【0032】
接触領域が有用であるほど十分に大きいかどうかという疑問が生じる。古典的Hertzian 接触圧力方程式(平らな表面を有する弾性準無限媒体と接触する「ライン」において、半径Rおよび長さLおよび弾性係数Eの弾性円柱に適用する)を使用して、接触面積を粗く見積もり得る。後者の特性がスライドガラス(そして、約7ミクロン厚さの組織ではない)の特性によって与えられると仮定すると、可塑物の特性が支配し、そして関連したパラメーターは、およそ1/Eである。
【0033】
接触圧pは、p=p(1-y/b)1/2によって与えられ、ここでp=1/2(PE/RL)1/2である。接触準幅bは、b=(PR/EL)1/2によって与えられる。2R=3/16インチの値を使用する場合、L=1mm、p=11b、そしてE=10psi、bは125ミクロンであり、そしてpは、2500psiである。次いでp=1oz である場合、b=30ミクロン、そしてp=625psiである。次いで、Eが10psi(見込み)である場合、p=11bについて、b=400ミクロンおよびp=800psiであり、そして、p=1oz について、b=100 ミクロンおよびp=200 psiである。
【0034】
従って、それは、「ライン」接触領域が有用であるのに十分に大きく、そして外周上の隣接するサンプルが分離した状態を維持され得るほど十分小さいように、思われる。しかし、これらの計算は、留意して行われるべきである。というのも、好ましいコーティングのために使用されるEVAフィルムは、組織特性を考慮に入れて、接触面積を増大する傾向にある高接触圧の場合に可塑的に変形し得るからである。他方で、対応する弾性は、接触面積をより小さくする傾向にある相対的に強固なシリンダー上の薄膜内にのみに存在する。本発明者らの実験は、合理的な接触力を用いた場合、所望の領域が得られ得ることを示す。
【0035】
理論的圧力分布が放物線的であるため(理論Hertzian モデルからの偏差によってスムーズ化される)、うまく移動するが非特異的なピックアップ(pickup)を誘導しないようにするのに十分に圧力が制御され得るかどうかの疑問が生じる。(この状況は、平面幾何学を有する存在する状況より悪くない−それは「分析する」ことがより容易であるため、それはより明白である。)再びもう一度、本発明者らの実験は、これが可能であることを示す。本発明者らは、しばしば、約40psiの最大圧pおよび約20μのbを導く1gm の接触力を使用する。
【0036】
この状況は、多角形の断面のロッドを用いると、より単純になる。次いで、外周方向において面が1 mm 長、そしてロッド軸方向において1 mm 幅である場合、接触面積は1/625 インチである。接触力が1oz であり、そして接触圧が均一である(平らな表面による)と仮定する場合、次いで、その値は、1/16 1b/1/625 in=40lb/inpsiであり、良好な結果を与えることが公知の値である。
【0037】
組織サンプルを有する接触表面の整列の問題は、的を得ている。ロッドが変化を与えられると仮定すると、その1mm 長のみ(ここで、フィルムが堆積されている)が組織と接触する。機械的機構が調整されていると仮定すると、全てが完全に整列している(すなわち、接触表面は、下げられてスライドに接触し、その結果2つの間のギャップが均一に消滅する場合、スライドに対して消滅する場合、スライドに対して正確に平行である。仮の設計において、ロッドを下げるための関連した回転地点は、組織を有する接触地点から約4インチである。回転地点が、メカニズムの操作により垂直に0.005インチ変化する場合でさえ(合理的に良好なメカニズムにおいて異なる)、接触角の変化は、約.00125ラジアンのみである。フィルム接触領域の1mm (1000 ミクロン)長を越えると、接触角におけるこの微妙な変化は、組織のフィルムを持ち上げる際にほんのわずかに1ミクロンをこえる変化を引き起こす。これは、フィルムおよび組織内の予測される不均一性内にあり、そして有意な効果を有しない。
【0038】
サンプル収集ロッドR上のコーティングされた収集先端部TとスライドS上のサンプルAとの接触に関する物理学を記載すると、サンプル収集ロッドRの末端におけるコーティングされた収集先端部Tにて使用され得る特定の配置について、幾つかの注意が与えられ得る。
【0039】
図3を参照する場合、この開示が関連する全体的な問題が議論され得る。サンプルAを有するスライドSは、サンプルAを有するサイドスライドSに沿って示される。例示された所望の細胞88の検査(そして非常に単純化された例示されたサンプル)は、所望されない細胞90と別に示される。読者は、実際の生物学的世界はこの例示より莫大により複雑であることを理解する。しかし、本明細書中で上記のこれらのスライドを使用し、そして収集装置および方法を参照して、この開示についての3つの重要な観察がなされ得る。
【0040】
第1に、所望の細胞88が収集される場合、さらなる分析における十分な量の所望の細胞をしばしば収集するという問題がある。例示されたスライドにおいて、所望の細胞88の3つのグループの内の1つの収集は、さらなる試験において不十分な量を生成し得ることが理解されるべきである。さらに、両方のスライドを観察する場合、すなわち1スライド上に存在する細胞は、十分であり得ない;第二スライドSまたは追加のスライド上の第二サンプルAからの細胞の収集は、必要とされ得る。従って、単一の収集先端部Tは、多量の組織学的組織から多くのかろうじて発生する細胞を効果的に濃縮し得る。さらに、1より多いコーティングされた収集先端部T上における収集が起こり得る。簡単に述べると、所望の細胞88の収集のプロセスは、所望の量が存在し、試験のために準備されるまで継続し得る。
【0041】
第二に、図4Aおよび4Bを参照して、本明細書中に開示される凸状表面は、このような細胞を収集し濃縮するための理想的方法であることが理解される。図4Aを参照した場合、コーティングされた収集先端部T上における所望の細胞88の誇張された収集が示される。図4Bを参照して、所望の細胞88のより濃い濃度が示される。実際に、代表的に30のこのようなサンプルが、コーティングされた収集先端部Tの周辺付近に収集され得ることが考慮される。これは、さらなる試験のための十分なサンプルの収集を保証するはずである。
【0042】
第三に、一旦、所望の細胞88がコーティングされた収集先端部T上に収集されると、後に、それらはさらなる処理の前に検査され得る。例えば、病理学者は、細胞の収集のために必要とされる退屈さ(アルバイトは退屈さを軽減する)を受けたがり得ない。同時に、病理学者は、収集のための所望の細胞88の正確な性質について知っている。一旦、技術者が細胞を収集すると、コーティングされた収集先端部T上における細胞の検査は、病理学者または他の技術者によって達成され得る。これは、代表的に、反転した顕微鏡M下で起こるが、本明細書中では、アイループ(eyeloop)92にて概略的に示される。
【0043】
特定の収集された標本はそのような検査をパスし得ないことがよくあり得る。これらの標本は、接着物を再融解するためにレーザを使用する精密な封入、あるいはDNAを損傷するために、照射(例えば、UV)またはレーザを用いて莫大な焦点熱パルスを介する破壊のいずれかによって後の処理から防がれ得る。これは、図4Aにおける接着後処理110によって例示される。
【0044】
所望の細胞88の少なくとも一部の解放は、多くの好都合のエクスペディエント(expedient)によって起こり得る。例えば、細胞内に存在するタンパク質の溶解は、さらなる試験において存在するDNAおよびRNAを解放し得る。
【0045】
図4Aに示されるコーティングされた収集先端部Tへの留意に限定して、一般的な議論がなされ得る。コーティングされた収集先端部Tは、下に置かれた凸状表面Xを含む。重なる凸状表面X、コーティング94が示される。コーティング94についての幾つかの一般的議論を順番に並べる。
【0046】
第一に、コーティング94は、所望の接着特性を生成するために活性化し得なければならない。第二に、コーティング94は、凸表面Xに接着され得なければならない。第三に、凸表面Xにおいてサンプル収集ロッドRが透明であることが望ましい。これは、収集手順の全段階の間サンプルAの所望の細胞88の便利な透過観察を可能にする。
【0047】
熱可塑性ポリマーフィルムは、表面を接着するための熱-および圧-活性化接着剤として、広く使用される。これらのポリマーフィルムのほとんどは、従来の光学顕微鏡において使用される可視光に対し透明かまたは半透明である。しかし、これらのフィルムは、電磁スペクトルの特定の領域(例えば、3000、1800、1400〜960cm−1のような強い分子振動モードに関連した赤外領域において)において強い吸収をもつ。
【0048】
活性化可能な接着フィルム94は、電磁的にまたは熱的に活性化可能な広く多様な材料から構成され得る(例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリウレタン、ポリビニルアセテートなど)。本発明の実施において有用であることが見出された特定の他の選択的に活性化可能な材料は、以下の通りである:感熱性接着剤および蝋(例えば、PrecisionCoatings product カタログ番号HAL-2 180C);熱活性化温接着剤および封止剤(例えば、Ban FasteningSystems(Brooklyn, NY)からのそれら;紫外線感応性接着剤または硬化光学接着剤(例えば、ThorLabs, Inc. productN060-NOA81);熱的または光学的エマルジョン(例えば、シルクスクリーンをコーティングした乳濁液B6、高メッシュ粉末状の再構成されたlelt fixit乳濁液(Riso Kagaku Corp.)および種々の他の化合物(アセタール、アクリル樹脂、アロイ類およびブレンド、アリル、ビスマレイミド類、セルロース類、エポキシ、フッ素樹脂類、ケトンをベースにした樹脂類、液晶ポリマー類、メラミン-ホルムアルデヒド、ニトリル、ナイロン、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリベンズイミダゾール、ポリブチレン、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、工学等級ポリエチレンテレフタレート(PET)、標準等級ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱硬化性ポリエーテルイミドポリエチレンポリエステル、分枝ポリエチレン、エチレン酸コポリマー、エチレン-エチルアクリレート(EEA)、エチレン-メチルアクリレート(EMAC)、エチレン-ビニルアルコールコポリマー(EVOH)、高密度ポリエチレン、HMW-高密度ポリエチレン、イオノマー、直鎖低密度ポリエチレン、直鎖ポリエチレン、低密度ポリエチレン、UHMWポリエチレン、超低密度ポリエチレン、熱可塑性ポリイミド、熱硬化性ポリイミド、ポリメチルペンテン、修飾ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ブロー成形PPS、ポリフタラミド、ポリプロピレン、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレン衝撃コポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、シリコーン類、スチレン樹脂類、ABS、ACS、アクリル-スチレン-アクリロニトリル、発泡性ポリスチレン、一般用途のポリスチレン、衝撃ポリスチレン、オレフィン修飾SAN、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル(SAN)およびスチレン-ブタジエンコポリマーを含む)。
【0049】
可視光に対するフィルム透明度を変えることなく、他の特定の赤外波長における強い吸収を提供するために、熱可塑性フィルム94に赤外吸収色素を添加することもまた、可能である。このような色素は、好ましくはIR吸収色素であり、これらは、可塑性フィルムに容易に可溶であり、そして種々のIRまたは近IRレーザ(特に、レーザダイオードを含む)に一致され得る非常に強い、狭いIRまたは近IR吸収バンドを有する。電磁放射線(例えば、レーザ)の集光されたパルスがフィルムによって強く吸収される波長にて送達される場合、フィルムは、効率よく焦点に加熱され得る。
【0050】
多くの色素のタイプは、IR吸収のために考慮され得る。というのも、ほとんどのクラスの可視吸収色素が、分子修飾によって波長を拡張され得るからである。フタロシアニン類およびシアニン類は、安定性、調製の容易さ、溶解度、光学的および他の特性のために、最も一般的な色素である。さらに、これらの色素の可能な改変の数は、非常に多い。というのも、種々の中心金属原子が添加され得、そして種々の環の付加がそれらになされ得るからである。IRを吸収する色素の一般的概要を与える書籍は、以下である:
INFRAREDABSORBING DYES
Masaru Matsuoka編(U.of Osaka, Sakai, Osaka)
Plenum Press NY1990
0-30843478-4
TA1690.I53 1990NBS図書館において入手可能
シリーズ:AppliedChemistryにおけるトピックス, A.R.KatritzkyおよびG.J. Sabong 編
フタロシアニン色素の例として、以下の60の登録が、Aldrich Chemical カタログにある:
表1:フタロシアニン色素(Aldrich Chemical Company)
#412066 名称:テトラキス(4-クミルフェノキシ)フタロシアニン、97%
#404543 名称:スズ(II)フタロシアニン
#406481 名称:シリコンフタロシアニンジヒドロキシド カタ
#414387 名称:バナジル2,9,16,23-テトラフェノキシ-29H,31H-フタロシアニン
#393932 名称:マンガン(III)フタロシアニンクロリド
#410160 名称:鉄(II)フタロシアニンビス(ピリジン)錯体
#404551 名称:チタニルフタロシアニン
#418145 名称:1,8,15,22-テトラフェノキシ-29H,31H-フタロシアニン
#418153 名称:2,9,16,23-テトラフェノキシ-29H,31H-フタロシアニン
#379573 名称:鉄(III)フタロシアニンクロリド カタロ
#406473 名称:スズ(IV)フタロシアニンジクロリド カタロ
#415448 名称:ニッケル(II)テトラキス(4-クミルフェノキシ)フタロシアニン
#418161 名称:1,8,15,22-テトラキス(フェニルチオ)-29H, 31H-フタロシアニン
#418188 名称:2,9,16,23-テトラキス(フェニルチオ)-29H, 31H-フタロシアニン
#408808 名称:ガリウム(III)フタロシアニンクロリド カ
#418986 名称:アルミニウム 2,9,16,23-テトラフェノキシ-29H, 31H-フタロシアニン
#310204 名称:銅(II)4,4’,4’’,4’’’-テトラアザ-29H, 31H-フタロシアニン
#402737 名称:マグネシウムフタロシアニン
#402745 名称:二ナトリウムフタロシアニン
#418250 名称:アルミニウム2,9,1
#341169 名称:亜鉛フタロシアニン
#379557 名称:マンガン(II)フタロシアニン カタログ番
#414379 名称:ニッケル(II)2,9,16,23-テトラフェノキシ-29H,31H- フタロシアニン
#433462 名称:メチルシリコン(
#418234 名称:亜鉛2,9,16,23-テトラキス(フェニルチオ)-29H,31H- フタロシ
#418242 名称:アルミニウム1,8,1
#379549 名称:鉄(II)フタロシアニン
#408875 名称:鉛(II)テトラキス(4-クミルフェノキシ) フタロシアニン
#393894 名称:バナジル3,10,17,24-テトラ-TERT-ブチル-1,8,15,22-テトラキ
#432946 名称:銅(II) テト
#441082 名称:ガリウム(III) フ
#423157 名称:2,9,16,23-テトラ
#393886 名称:銅(II) 3,10,17,24-テトラ-TERT-ブチル-1,8,15,22-テトラ
#418269 名称:アルミニウム1,8,1
#423165 名称:銅(II) 2,9
#430994 名称:亜鉛2,9,16,23
#307696 名称:コバルト(II)フタロシアニン カタログ番号
#432180 名称:シリコン2,9,16
#446637 名称:アルミニウムフタ
#253103 名称:29H,31H-フタロシアニン、98% カタログ番
#379565 名称:鉛(II) フタロシアニン
#418277 名称:アルミニウム2,9,1
#362530 名称:アルミニウムフタロシアニンクロリド カタロ
#444529 名称:亜鉛1,2,3,4,8
#452521 名称:鉄(III) フタ
#446645 名称:コバルト(II) 1,2
#446653 名称:銅(II) 1,2
#448044 名称:鉄(II)1,2,3
#386626 名称:アルミニウム1,4,8,11,15,18,22,25-オクタブトキシ-29H,31H-フタ
#360635 名称:ニッケル(II) フタロシアニン カタログ番号
#448311 名称:銅(II) 1,2
#428159 名称:シリコン(IV) フ
#386618 名称:銅(II) 1,4,8,11,15,18,22,25-オクタブトキシ-29H,31H-フ
#287768 名称:シリコンフタロシアニンジクロリド カタロ
#408883 名称:ニッケル(II) 1,4,8,11,15,18,22,25-オクタブトキシ-29H,31H-フ
#383813 名称:亜鉛1,4,8,11,15,18,22,25-オクタブトキシ-29H,31H-フタロシ
#362549 名称:ジリチウムフタロシアニン
#383805 名称:1,4,8,11,15,18,22,25-オクタブトキシ-29H,31H-フタロシアニン
#252980 名称:銅(II) フタロシアニン カタログ番号
#245356 名称:銅(II) フタ
診断の目的でも使用される従来の近IR吸収色素の例は、Aldrich #22886-9色素、インドシアニングリーンである。別の生物学的染色として使用されるのは、Aldrich#11991-1、ナフトールグリーンBである。全てのこれらの色素のうちで、本願に特に良好な選択は、低い水溶性を有するが、非極性ポリマーに高い溶解性を有するナフタロシアニン色素である。例えば、1084ダルトンの分子式量を有するバナジル5,14,23,32-テトラフェニル2,3-ナフタロシアニン[Aldrich39, 317-7(CA 131220-68-3)]は、強い吸収ピーク(846 nm に約200,000のモル吸光係数を有する)およびエチレンビニルアセテート(EVA)低融点ポリマー(例えば、DupontELVAXTM 410)への高い溶解性を示す。この色素吸収ピークは、選択されたGaAlAsレーザダイオードの発光波長と良く一致する。同様に、バナジル2,11,20,29-テトラ-tert-ブチル-2,3-ナフタロシアニン[CA105011-00-5] FW1004は、固体状態Nd:YAGレーザを励起するために広く使用されるGaAlAs レーザダイオードの発光波長([Al]の異なる値を選択することによって選択される)とかなり一致する808nm に狭いピークを有する近IRを吸収する。全てのこれらのナフタロシアニン色素類(表2)は、熱可塑性EVAポリマーおよび他の類似の熱可塑性物質に非常に溶解性である。これらは、特に約300℃までの加熱に対して非常に安定な化合物であり、組織における生物学的高分子に影響を与え得る不利な光化学を示さない。
【0051】
Aldrich カタログ に示されるナフタロシアニン色素の表は、以下に示される:
表2:ナフタロシアニン色素(Aldrich Chemical Company)
1) バナジル5,14,23,32-テトラフェニル2,3-ナフタロシアニン
Aldrich 39,317-7CA 131220-68-3FW1084 846nm 104頁
2) スズ(IV)2,3-ナフタロシアニンジクロリド
Aldrich 40,651-1CA 26857-61-4 FW902 828nm 102頁
3) シリコン(IV)2,3-ナフタロシアニンジヒドロキシド
Aldrich 40,653-8CA 92396-90-2 FW775 785nm 94頁
4) シリコン(IV)2,3-ナフタロシアニンジオクチルオキシド
Aldrich 40,767-4CA 92941-50-9 FW941 798nm 94頁
5)5,9,14,18,23,27,32,36-オクタブトキシ2,3-ナフタロシアニン
Aldrich 41,207-4CA 105528-25-4FWl292 867nm 181頁
6) 銅(II)5,9,14,18,23,27,32,36-オクタブトキシ2,3-ナフタロシアニン
Aldrich 41,528-6CA 155773-67-4FW 853nm 33頁
7) ニッケル(II)5,9,14,18,23,27,32,36-オクタブトキシ2,3-ナフタロシアニンAldrich 41,885-4CA 155773-70-9FW1348 848nm 78頁
8) バナジル2,11,20,29-テトラ-tert-ブチル-2,3ナフタロシアニン
Aldrich 43,296-2CA 105011-00-5FW1004 808nm 1524頁 ’96
レーザビームZまたは他の活性化する光源の相互作用は、図1に示される。最も簡便には、たいていの従来の顕微鏡は、サンプルへのこのようなエピ照射を導入するための設備を有する。活性化する光(例えばレーザZ)は、このような光路に都合良く導入され得る。
【0052】
電磁エネルギーの種々の波長は、適切な材料が使用される場合、本発明の実施において、使用され得る。特に、輸送フィルム94は、標的にされた領域において熱可塑性ポリマーを融解またはほとんど融解するために選択された波長において、十分なエネルギーを吸収する(すなわち、十分なエネルギーを吸収する1個以上の色素を含む)。熱可塑性材料(例えば、エチレンビニルアセテート(EVA))において、約3〜約10マイクロメーターの波長は、これらの材料がこの範囲において内因的に吸収するので、好ましい。1実施態様において、レーザの出力は、通常、標的のサイズに依存して(すなわち、標的サイズの増大に伴い、出力を増大させる)、約1mW〜約200 mW の範囲において使用される。レーザ活性化およびフィルム吸収のための波長が、顕微鏡画像のために使用される通常の範囲の外側に選択されることもまた好ましい。組織の再生可能なミクロ輸送は、レーザから種々の赤外波長を使用して得られ得る。
【0053】
本発明における使用のための適切なレーザは、二酸化炭素レーザ(9.6〜11μm 波長)、レーザダイオード、チューナブル単一周波数Ti:サファイアレーザおよびダイオード励起NdYAGレーザを含む。これらのレーザからの波長出力は、紫外から赤外までの範囲が好ましくあり得る。本発明での使用のための特に所望のレーザは、690nmと1300nm との間に波長を有するレーザダイオードである。この波長範囲において、従来のガラス顕微鏡光学は、高度に伝達可能であり、そして、レーザを集光するために使用され得る。これは、二酸化炭素レーザのためのより長いレーザ波長(例えば、9.6〜11μm)またはレーザダイオード励起を有するEr:YAGを用いたもしくは内因性の約3μmを使用した、レーザ捕獲顕微解剖を超える著しい改良である。
【0054】
図4Bを参照すると、本発明の重要な特徴が観察され得る。詳細には、コーティングされた収集先端部TとサンプルAとの接触のフットプリントは、サンプルAの所望の細胞88のフットプリントより大きくあり得る。所望の細胞88のフットプリントの断面においてのみ、コーティングされた収集先端部Tを活性化する都合によって、精密な収集が起こり得る。従って、接触領域内の全ての細胞が必ず取り出されるわけではない。これは、図4Aおよび4Bに示されることである。
【0055】
さらに、および上記の議論から、2つの特徴が、サンプルAを有するコーティングされた収集先端部Tの接触のフットプリント(活性化のフットプリントから区別されている)を制御し得ることが理解される。第一に、および上記の議論から、接触力は、いくつかの測定において、図4Bの破線間に示される接触のフットプリント96のサイズを制御する。
【0056】
第二に、凸状表面の特別な形状が、同様に、接触のフットプリントのサイズを制御し得る。このために、参照が図5A〜5Eになされる。接触表面がサンプルAの表面に対して実質的に平行である(少なくとも局所的に)ことが仮定される。
【0057】
図5Aは、完全に円柱状の形状を有するコーティングされた収集先端部Tを表す。印加された力に依存して、円柱状の接触フットプリント100は、直線または直線パッチのいずれかである。サンプルAに対してサンプル収集ロッドRの角が与えられると、このような表面は所望でない。
【0058】
図5Bは、偏球(フットボールの形状)の半分の断面を有するコーティングされた収集先端部Tを例示する。このようなコーティングされた収集先端部Tは、およそ楕円形の接触断面102を有する。
【0059】
図5Cは、偏球表面を有するコーティングされた収集先端部Tを例示する。このようなコーティングされた収集先端部Tは、円形接触断面104を有し、ここで、接触力の縮小が効率的に点に縮まる。
【0060】
図5Dは、不連続彫面106で削られた球を有するコーティングされた収集先端部Tを示す。このような不連続彫面106は、それ自身、接触領域を規定する。
【0061】
図5Eは、円錐の長さに沿って伸張する平面彫面108を有するコーティングされた収集先端部Tを含む。再び、彫面はサンプルAとの接触の領域を規定する。
【0062】
一旦、凸状表面Xが生成されると、接触表面上に選択的に活性化可能な接着剤のコーティングが、所望される任意の様式で形成され得ることが理解される。例えば、凸状表面Xの溶液(ここで、乾燥または硬化は要求されるコーティングを形成する)への浸漬は、本発明の実施に十分である。あるいは、特別に輪郭が描かれた鋳型空洞におけるコーティングの形成は、凸状表面の外側に付着された溶融材料を使用して行われ得、これは次いで空洞内部に配置される。
【0063】
図6Aを参照すると、活性化可能な接着剤を用いたサンプル収集ロッドRの浸漬コーティングは、適切に概略的に示された回転デバイス112においてそれを載置し、ロッドを回転させながらテトラクロロエチレン中の20w/v%EVA(DuPontElvax 410)の加熱した溶液114中に垂直に引き下げて挿入し、コーティングの所望の深さまで先端部を浸漬し、そしてロッドを引き上げることによって行われる。図6Bに示されるように、次いで、サンプル収集ロッドRは、連続して回転しながら、水平位置まで移動され、溶媒をエバポレートさせた。フード内での操作を行うような、空気のドラフトが所望である。正確に水平よりほかにロッドを位置づけする上での適切な角度が、コーティングの最良の分配に所望され得、そして、エバポレーション前に、ロッドの末端から溶液を除去することが所望され得る。溶液の温度は、変化され得、そして例として、50℃が使用され得る。多重コーティングは、所望の厚みを得るためになされ得、そして、浸漬の間のエバポレーションを用いて形成される2層または3層のコーティングが行われる。サンプル収集ロッドR上にコーティング94を得る。
【0064】
示されるように、コーティングの方法は、ロッドの浸漬(図6Aおよび6Bを参照)、ノズル116でのロッド上への溶液の噴射(図7を参照)および、マイクロピペット118を用いて制御された容量の溶液のロッドへの添加(図8を参照)を含む。溶液を用いてロッドをコーティングするこれらの各々の方法の後に、溶媒をエバポレーションし、そして、各方法とともに、溶液の添加およびエバポレーションの間のロッドの回転は、概略的に示される回転デバイス112によることが所望される。特別に輪郭が描かれた鋳型空洞111(この凹状輪郭は所望される凸状表面を生成する)内にコーティングされたロッドRを押し込むことは多くの例において所望されることが見いだされる。コーティングもしくは鋳型または両方は、この成形操作を達成するために加熱されるべきである。
【0065】
熱溶融接着剤の溶液は、種々の溶媒において調製され得る。エチレンビニルアセテート(EVA)が使用される場合、トルエン(109-88-3)および種々の塩素化炭化水素溶媒が使用され得る。使用され得る塩素化溶媒の例には、塩化メチレン(75-09-2)、四塩化炭素(56-23-5)、クロロホルム(67-66-3)、テトラクロロエタン(630-20-6)、テトラクロロエチレン(127-18-4)、トリクロロエチレン(79-01-6)および1,1,1-トリクロロエタン(71-55-6)がある。ポリマーおよびビニル溶液に使用される他の溶媒は適切であることが予想される。溶媒の選択は、安全性、溶媒効果、および揮発性の考慮によって決定される。後者は、プロセスの効果ならびにコーティングの特性(例えば、平坦さ、平滑さ、コーティングの深さおよび乾燥速度)に揮発性を適合させることにおいて特に重要である。
【0066】
EVAの溶液は、種々の濃度およびより高い濃度(ある溶媒については15w/v%または20w/v%より高い濃度)で、調製され得、液体を維持するために、室温より高く加熱されなければならない。最適な濃度は、コーティングの方法に依存し、例えば、噴霧は、より低い濃度で最良に働き、そしてより高い濃度は、浸漬に最良である。より高い濃度の溶液(液体を維持するために加熱される)を用いた浸漬の利点は、ロッド上へのコーティングの冷却が結果として、厚いフィルムの堆積を得ることである。
【0067】
コーティングおよびエバポレーションの間のロッドの回転は、コーティングの最良の分配を得るために所望される。
【0068】
数ミクロン(マイクロメーター)から100ミクロン(0.004インチ)以上のフィルムのコーティングは、これらの方法によって得られ得る。溶媒の乾燥後、コーティングは、鋳型における熱処理または成形によって滑らかにされ得る。
【0069】
以下の請求の範囲において、本発明者らは、用語「凸状」を利用する。本発明者らがスライドおよびフィルムと接触する中心位置に置き、そしてスライドとの接触から離れる末梢表面を有する全ての表面を含むことは、この命名によって理解されるべきである。表面の少なくとも一部が、スライドと接触していようと、またはスライドと接触していなかろうと、選択的に活性化された表面をサンプル上に押しつけることが理解される。活性化において、これは接着領域を生成する。従って、接着領域は、非活性化または選択的に活性化されたいずれかの表面(これは、接触しなくなる)によって、境界をつけられる。従って、再方向付け時、末梢領域は、活性化および収集のために利用され得る。
【0070】
それゆえに、本発明者らは、球、偏球(フットボール形状)、円錐、円錐台形状(先端を切り取った円錐)、円柱などである凸状表面を含む。
【0071】
上記の表面の全てが削られ得ることは、さらに理解される。それゆえに、本発明者らは、「凸状」形状に配置されるこのような削られた表面を含む。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、従来の倒立顕微鏡の側面図である。この顕微鏡は、実線で示されるレーザ捕獲顕微解剖によるサンプルの収集のための本発明の凸形状接着性フィルムシステムを有し、光路から新しいロッドを簡便に取り付けるおよび取り外すことを可能にする装置の回転部位が点線で示される。
【図2A】図2は、本発明の凸形状接着性フィルムシステムの機構の、顕微鏡への取り付けなしの、分解図である。
【図2B】図2は、本発明の凸形状接着性フィルムシステムの機構の、顕微鏡への取り付けなしの、分解図である。
【図3】図3は、並んだ2つの典型的なスライドの図である。これらはそれぞれ組織サンプルを含み、凸形状接着性フィルムシステムにより収集するために、お互いに離れたスライド上の細胞位置が示されている。
【図4】図4Aは、錐表面上の選択的に活性化されたフィルム上に収集された所望の細胞を有する錐形表面の斜視図であり、この図は、収集された細胞の顕微鏡による検査を図解的に示している。図4Bは、図4Aの収集表面の拡大図であり、単一の凸状表面上に収集され得る多数のサンプルを示している。
【図5】図5A〜5Eは、以下を有するサンプル上に配置され得る可能な凸形状を記載した一連の図である:図5Aは、円柱を示す;図5Bは、偏球の一部を示す;図5Cは、球の一部を示す;図5Dは、彫面を有する球の一部を示す;図5Eは、彫面を有する偏球を示す;
【図6】図6Aおよび6Bは、ロッドの液浸および乾燥を示す;
【図7】図7は、ロッドのスプレーコーティングを示す;
【図8】図8は、ロッドに対する測定されたコーティングの適用を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−76411(P2008−76411A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290203(P2007−290203)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【分割の表示】特願平11−505766の分割
【原出願日】平成10年6月25日(1998.6.25)
【出願人】(505395582)ザ ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ,アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリーオブ ザ デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ (1)
【Fターム(参考)】