説明

レーザ照射アーク溶接ヘッド

【課題】治具と干渉することが減少され、狭隘な溶接箇所を溶接することができ、操作性を著しく向上させることができるレーザ照射アーク溶接ヘッドを提供する。
【解決手段】レーザ光を被溶接物の溶接箇所に照射するレーザトーチ12と、溶接箇所に消耗電極ガスシールドアーク溶接を行う溶接トーチ5と、レーザトーチ12内に設けられて光ファイバ11によって伝送されたレーザ光を平行光に変換する1枚又は複数枚のコリメートレンズ13と平行光に変換されたレーザ光を被溶接物へ集光する1枚又は複数枚の集光レンズ15とからなる集光レンズ光学系とを備え、集光レンズ光学系のうちレーザトーチ先端に設けられた1枚のレンズが固定され、その他のレンズのうち被溶接物上に照射されるレーザ光のスポット径によって予め選択された1枚又は複数枚のレンズを光軸に沿って移動させるレンズスライド機構とを備えたレーザ照射アーク溶接ヘッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザトーチから被溶接物にレーザ光を照射すると共にガスシールドアーク溶接を行うための改善されたレーザ照射アーク溶接ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、半導体レーザ等を利用したレーザ溶接は、高エネルギー密度の熱源であるので、2[m/分]を超える高速溶接が可能である。しかし、このレーザ溶接では、重ね継手、突き合わせ継手等への溶接において、その継手部分にギャップがある場合には、レーザ照射部のビームスポットが小さいために溶融金属量が少なく、ギャップを埋めながら溶接することが難しい。従って、レーザ溶接においては、被溶接物の継手部分をギャップがない状態にする必要があるために、実用上の適用範囲は非常に限定されていた。
【0003】
上述したレーザ溶接の問題点を解決する1つの方法として、レーザ照射と消耗電極ガスシールドアーク溶接又はティグ溶接とを併用するレーザ照射アーク溶接方法が提案されている。この溶接方法は、前述したレーザ照射によって形成される高エネルギー密度の熱源による高速溶接性を確保した上で、アークによって形成される広がりのある熱源によって継手部分を幅広く溶融する。それと共に溶接ワイヤをギャップ部分に充填することによって、ギャップのある継手部分に対しても良好な高速溶接を行うことができる。
【0004】
図8は、一般的なレーザ照射アーク溶接装置を示す図であり、図9は一般的なレーザ照射アーク溶接ヘッド6を示す図である。また、図8及び図9は、例えばYAGレーザ又は半導体レーザと消耗電極ガスシールドアーク溶接装置とを使用する場合を示している。
【0005】
図8において、アーク溶接用電源装置1によって、溶接ワイヤ送給機2の溶接ワイヤ送給ロール3の回転が制御されて、溶接ワイヤ4が溶接トーチ5を通して送給される。また、アーク溶接用電源装置1によって、溶接トーチ5内に設けられた給電チップと被溶接物7との間に電力が供給されて、アーク8が発生される。
【0006】
また、レーザ発振機9から出力されたレーザ光10は、光ファイバ11によってレーザトーチ12に伝送され、このレーザトーチ12内の集光レンズ光学系によって被溶接物7に焦点が生じるように収束されて照射される。上記のレーザ光10を照射する位置は、被溶接物7のアーク8の発生部に対し適宜な距離を持つ位置である。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
レーザ照射アーク溶接を行う場合、被溶接物の材質や板厚に対応して、最適なレーザ光のスポット径を選択することによって、適切な溶接ビードを形成することができる。また、レーザ照射アーク溶接によって、ギャップを有する突合せ継手やフレア継手の溶接を行う場合、ギャップ長さよりも小さいレーザスポット径のとき、レーザ光がギャップを突き抜けて、溶接することができない場合がある。このような場合に、継手形状やギャップ長さに対して、最適なレーザスポット径を選択して溶接を行う必要がある。
【0008】
ここで、レーザ光のみで溶接を行う場合に、レーザスポット径を変化させる方法として、従来から提案されている幾つかの方法を説明する。図10は、レーザ光のみで溶接を行う場合に、レーザスポット径を変化させる方法を説明するための図である。同図において、図8に示したレーザ発振機9から出力されたレーザ光10は、光ファイバ11によってレーザトーチ12に伝送される。そして、光ファイバ11の先端から出力されたレーザ光10は、図10に示すコリメートレンズ13によって、平行光に変換される。そして、この平行光に変換されたレーザ光は、集光レンズ15によって被溶接物7に焦点が生じるように収束されたのち、レーザトーチ12から出力されて、被溶接物7に照射される。
【0009】
レーザ溶接のみにおいてスポット径を変化させる方法としては、例えば、同図(A)に示すように、レーザトーチ12全体を移動させて、レーザスポット径を変化させる方法がある。又は、同図(B)に示すように、光ファイバの先端11aの位置を移動させて、レーザスポット径を変化させる方法がある。又は、同図(C)に示すように、集光レンズ15の位置を移動させて、レーザスポット径を変化させる方法がある。
【特許文献1】特開2003−205378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの方法のうち1つ、又は幾つかの方法を組み合わせて被溶接物上のレーザスポット径を変更するためには、同図(D)に示すように、光ファイバの先端11a、集光レンズ15、又はレーザトーチ12全体を移動させるためのスペースを、予め設けておく必要があるために、レーザトーチ12が大型化する。特に、光ファイバの先端11aやレーザトーチ12全体を移動させるには、そのための駆動部が大きくなり、さらに、レーザトーチ12が大型化する。このようにレーザトーチ12が大型化すると、図9に示した溶接トーチ5と組み合わせたレーザ照射アーク溶接ヘッド6においては、小型化の妨げとなる。そのために、大型化したレーザ照射アーク溶接ヘッドを使用すると、治具と干渉したり、狭隘な溶接箇所を溶接することができなくなり、レーザ照射アーク溶接ヘッドの操作性が、著しく低下する。
【0011】
本発明は、治具と干渉することが減少され、狭隘な溶接箇所を溶接することができ、操作性を著しく向上させることができるレーザ照射アーク溶接ヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、第1の発明は、
レーザ発振器から光ファイバによって伝送されたレーザ光を被溶接物の溶接箇所に照射するレーザトーチと、
前記溶接箇所に消耗電極ガスシールドアーク溶接を行う溶接トーチと、
前記レーザトーチ内に設けられて前記光ファイバによって伝送されたレーザ光を平行光に変換する1枚又は複数枚のコリメートレンズと前記平行光に変換されたレーザ光を被溶接物へ集光する1枚又は複数枚の集光レンズとからなる集光レンズ光学系とを備えたレーザ照射アーク溶接ヘッドにおいて、
前記集光レンズ光学系のうち前記レーザトーチ先端に設けられた1枚のレンズが固定され、
その他のレンズのうち前記被溶接物上に照射されるレーザ光のスポット径によって予め選択された1枚又は複数枚のレンズを光軸に沿って移動させるレンズスライド機構と、
を備えたことを特徴とするレーザ照射アーク溶接ヘッドである。
【0013】
第2の発明は、
第1の発明に記載のレンズスライド機構が、
モータと、
このモータに連結されたねじとナットとからなるねじアセンブリと、
前記ナットに取り付けられて1枚のレンズを支持するスライド部材とこのスライド部材をガイドするガイドレールとからなるリニアガイドと、
を備えたことを特徴とするレーザ照射アーク溶接ヘッドである。
【0014】
第3の発明は、
第1の発明に記載のレンズスライド機構が、
シリンダとピストンとこのピストンに取り付けられたロッドとからなるシリンダアセンブリと、
前記ロッドに取り付けられて1枚のレンズを支持するスライド部材とこのスライド部材をガイドするガイドレールとからなるリニアガイドと、
を備えたことを特徴とするレーザ照射アーク溶接ヘッドである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のレーザ照射アーク溶接ヘッドは、治具と干渉することが減少され、狭隘な溶接箇所を溶接することができ、操作性を著しく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施の形態1]
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態1のレーザ照射アーク溶接ヘッド20及びスライド機構制御装置22を示す図である。同図において、溶接トーチ5は図9に示した溶接トーチ5と同様の構造であるので、説明を省略する。
【0017】
レーザトーチ21について説明する。光ファイバの先端11aがレーザトーチ21に接続されていて、レーザ発振機9(図8参照)から出力されたレーザ光10が、光ファイバ11によってレーザトーチ21に伝送される。そして、このレーザトーチ21内に設けられたコリメートレンズ13、14によって、光ファイバの先端11aから出力されたレーザ光10が、平行光に変換される。そして、この平行光に変換されたレーザ光10が、集光レンズ15によって被溶接物7に焦点が生じるように収束されたのち、レーザトーチ21から出力されて、被溶接物7に照射される。
【0018】
図1に示したレーザトーチ21おいては、コリメートレンズ13、14が2枚、集光レンズ15が1枚の場合が示されている。しかし、これらのレンズの枚数は、同図に示す枚数に限定されるものではなく、それぞれ1枚又は複数枚のレンズから成る。これらのコリメートレンズ13、14及び集光レンズ15から集光レンズ光学系16は成る。この集光レンズ光学系16のうちレーザトーチ21先端に設けられた1枚の集光レンズ15が固定されている。
【0019】
スライド機構制御装置22内のデータベース23には、被溶接物7の材質、板厚や継手形状等のデータが予め蓄積されている。これらのデータの中から選択された被溶接物データ信号S1が、レーザスポット径設定回路24に入力されて、被溶接物7に対応する最適なレーザスポット径が設定される。そして、設定されたレーザスポット径信号S2が、レンズスライド指令回路25に入力される。この回路において、固定された1枚の集光レンズ以外の集光レンズ光学系16のうち、選定されたレーザスポット径に対応して、スライドされる1枚又は複数枚のレンズが選択される。そして、選択されたレンズをスライドさせるスライド指令信号S3がレンズスライド機構26に入力される。
【0020】
図2は、第1のレンズスライド機構30を示す図であって、同図(A)は側面図であり、同図(B)は正面図である。同図において、モータ31にねじ32が連結されていて、このねじ32にナット33が取り付けられている。これらのねじ32とナット33とからねじアセンブリ34が成る。このナット33にスライド部材35が取り付けられていて、このスライド部材35に1枚のレンズを支持するレンズホルダ36(図1参照)が取り付けられている。このスライド部材35は、ガイドレール37によってガイドされていて、これらのスライド部材35とガイドレール37とからリニアガイド38が成る。スライドさせるレンズの枚数に対応した個数の第1のレンズスライド機構が、レーザトーチ21の周囲に設けられる。
【0021】
図3は、第2のレンズスライド機構40を示す図であって、同図(A)は側面図であり、同図(B)は正面図である。同図において、エアコンプレッサ41から出力された圧縮空気が電磁弁42を介してシリンダ43に供給される。シリンダ43内をピストン44が摺動して、このピストン44にロッド45が取り付けられている。これらのシリンダ43、ピストン44及びロッド45からシリンダアセンブリ46は成る。このロッド45にスライド部材47が取り付けられていて、このスライド部材47に1枚のレンズを支持するレンズホルダ36(図1参照)が取り付けられている。このスライド部材47は、ガイドレール48によってガイドされていて、これらのスライド部材47とガイドレール48とからリニアガイド49が成る。スライドさせるレンズの枚数に対応した数の第2のレンズスライド機構が、レーザトーチ21の周囲に設けられる。
【0022】
以下、図1、図4及び図5を参照して、動作を説明する。図4は、集光レンズ光学系内のレンズのスライド状態を説明するための図であり、図5は、レンズをスライドさせたときのレンズスライド量(mm)とレーザスポット径(mm)との関係を示す図である。図1において、溶接作業者によって、スライド機構制御装置22に設けられたデータベース23内のデータが選択されると、この選択された被溶接物データ信号S1が、レーザスポット径設定回路24に入力されて、最適なレーザスポット径が設定される。そして、設定されたレーザスポット径信号S2が、レンズスライド指令回路25に入力されて、集光レンズ光学系の固定された1枚の集光レンズ以外のスライドされる1枚又は複数枚のレンズが、選択される。そして、選択されたレンズをスライドさせるスライド指令信号S3がレンズスライド機構26に入力される。
【0023】
そして、図2又は図3に示したレンズスライド機構30、40によって、選択されたレンズがスライドされる。この結果、被溶接物7上のレーザスポット径を溶接条件に対応したスポット径とすることができる。このレンズがスライドされてレーザスポッと径が変化する状態を、図4を参照して説明する。同図において、レーザトーチ21内に2枚のコリメートレンズ13、14と1枚の集光レンズ15が設けられていて、2枚のコリメートレンズ13、14のうち第1のコリメートレンズ13がスライドされる場合を説明する。
【0024】
図4(A)は、集光レンズ15の焦点距離が被溶接物7上にあるときのレンズの位置を示している。そして、第1のコリメートレンズ13を、同図(A)に示す位置から同図(B)に示す位置までX1方向へスライドさせた場合、集光レンズ光学系16の焦点距離がX2方向に移動する。この結果、被溶接物7上のレーザスポット径が大きくなる。逆に、第1のコリメートレンズを、同図(A)に示す位置から同図(C)に示す位置までX2方向へスライドさせた場合、集光レンズ光学系16の焦点距離がX1方向に移動して、この場合も被溶接物上のレーザスポット径が大きくなる。
【0025】
このようにして第1のコリメートレンズ13がレンズスライド機構30、40によって移動されると、図5に示すように、レーザスポット径が変化する。同図において、第1のコリメートレンズ13がスライドされる方向として、図4に示すX2方向を正とし、X1方向を負としている。第1のコリメートレンズ13がX2方向に0mmから14mmまでスライドされることによって、被溶接物7上のレーザスポット径を、最小スポット径の0.3mmから5.7mmまで増加させることができる。逆に、第1のコリメートレンズ13がX1方向に0mmから12mmまでスライドされることによって、被溶接物7上のレーザスポット径を、最小スポット径の0.3mmから5.7mmまで増加させることができる。
【0026】
上述したように、本発明の実施の形態1のレーザ照射アーク溶接ヘッドは、集光レンズ光学系のレーザトーチのレーザ光出力側に設けられた1枚のレンズが、レーザトーチのレーザ光出力側先端に固定されている。そして、その他のレンズのうち、被溶接物7上に照射されるレーザ光10のスポット径によって予め選択された1枚又は複数枚のレンズが、レンズスライド機構によって、光軸に沿って移動される。
【0027】
従って、被溶接物7上のレーザスポット径を変更するために、従来技術のように、光ファイバの先端11a、集光レンズ15、又はレーザトーチ21全体を移動させるためのスペースを、設ける必要がないので、レーザトーチを小型化することができる。この結果、レーザ照射アーク溶接ヘッドが治具と干渉することが減少され、狭隘な溶接箇所を溶接することができ、レーザ照射アーク溶接ヘッドの操作性を、著しく向上させることができる。
【0028】
さらに、スライド機構制御装置22内で、被溶接物7の材質や板厚などに対するレーザスポット径を選択することができるので、最適なレーザスポット径に容易に調整することができ、作業効率を著しく向上させることができる。
【0029】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2のレーザ照射アーク溶接ヘッド及びスライド機構制御装置を示す図である。同図においても、説明を容易にするために、溶接トーチ5は図1及び図2示した溶接トーチ5と同様の構造であるので、説明を省略する。同図において、ギャップ検出器50をレーザトーチ21の溶接方向の前方に設けている。このギャップ検出器50としては、例えば、線上のレーザ光を溶接継手部に照射して、反射光を受光部で検出することによって、ギャップ長さを解析する方法がある。そして、ギャップ検出器50から出力されたギャップ検出信号S4が、スライド機構制御装置51内のスポット径補正回路52に入力される。この補正回路52は、ギャップ検出信号S4が入力されて、レーザスポット径の補正値を算出し、スポット径補正信号S5を出力する。この信号S5が、レーザスポット径設定回路24に入力されて、被溶接物データ信号S1によって設定されたレーザスポット径が、ギャップ長さに対応した最適なレーザビームスポット径に補正される。その他の機能は、図1に示した実施の形態1の機能と同機能に同符号を付して、説明を省略する。
【0030】
以下、動作を説明する。図6において、溶接作業者によって、スライド機構制御装置51に設けられたデータベース23内のデータが選択されると、この選択された被溶接物データ信号S1が、レーザスポット径設定回路24に入力される。一方、ギャップ検出器50によって被溶接物7のギャップ長さが検出されて、このギャップ検出器50から出力されたギャップ検出信号S4が、スライド機構制御装置51内のスポット径補正回路52に入力される。この補正回路52は、ギャップ検出信号S4が入力されて、レーザスポット径の補正値を算出し、スポット径補正信号S5を出力する。この信号S5が、レーザスポット径設定回路24に入力されて、被溶接物データ信号S1によって設定されたレーザスポット径が、ギャップ長さに対応した最適なレーザスポット径に補正される。そして、設定されたレーザスポット径信号S2が、レンズスライド指令回路25に入力されて、集光レンズ光学系のうち、固定された1枚の集光レンズ以外のスライドされる1枚又は複数枚のレンズが選択される。そして、選択されたレンズをスライドさせるスライド指令信号S3がレンズスライド機構26に入力される。
【0031】
そして、図2又は図3に示したレンズスライド機構30、40によって、選択されたレンズがスライドされる。この結果、被溶接物7上のレーザスポット径を溶接条件及びギャップ長さに対応したスポット径とすることができる。
【0032】
この結果、実施の形態1のレーザ照射アーク溶接ヘッドが奏する効果に加えて、ギャップ検出器によって検出されたギャップ長さに対応するように、レーザビーム径を補正することができる。そのために、溶接継手部のギャップ長さが変化しても、適切な溶接ビードを形成することができる。
【0033】
なお、図1乃至図3と図6とに示した電動又は圧縮空気によって自動でスライドするためのレンズスライド機構及びスライド機構制御装置を設ける代わりに、図7に示す手動の第3のレンズスライド機構53を設けてもよい。図7は、第3のレンズスライド機構53を示す図である。同図において、スライド部材54に1枚のレンズを支持するレンズホルダ36が取り付けられている。このスライド部材54は、ガイドレール55によってガイドされている。レーザトーチ21に目盛56が設けられていて、スライドさせるレンズの枚数に対応した個数の第3のレンズスライド機構が、レーザトーチ21の周囲に設けられる。
【0034】
この結果、第3のレンズスライド機構によってレンズを手動でスライドさせることができるために、レンズスライド機構に駆動装置を設ける必要がない。従って、レーザ照射アーク溶接ヘッドを小型かつ軽量にすることができ、このヘッドの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1のレーザ照射アーク溶接ヘッド20及びスライド機構制御装置22を示す図である。
【図2】第1のレンズスライド機構30を示す図である。
【図3】第2のレンズスライド機構40を示す図である。
【図4】集光レンズ光学系内のレンズのスライド状態を説明するための図である。
【図5】レンズをスライドさせたときのレンズスライド量(mm)とレーザスポット径(mm)との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2のレーザ照射アーク溶接ヘッド及びスライド機構制御装置を示す図である。
【図7】第3のレンズスライド機構53を示す図である。
【図8】一般的なレーザ照射アーク溶接装置を示す図である。
【図9】一般的なレーザ照射アーク溶接ヘッド6を示す図である。
【図10】レーザ光のみで溶接を行う場合に、レーザスポット径を変化させる方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0036】
1 アーク溶接用電源装置
2 溶接ワイヤ送給機
3 溶接ワイヤ送給ロール
4 溶接ワイヤ
5 溶接トーチ
6 レーザ照射アーク溶接ヘッド
7 被溶接物
8 アーク
9 レーザ発振機
10 レーザ光
11 光ファイバ
11a 光ファイバの先端
12 レーザトーチ
13 コリメートレンズ
15 集光レンズ
16 集光レンズ光学系
20 レーザ照射アーク溶接ヘッド
21 レーザトーチ
22 スライド機構制御装置
23 データベース
24 レーザスポット径設定回路
25 レンズスライド指令回路
26 レンズスライド機構
30 レンズスライド機構
31 モータ
33 ナット
34 アセンブリ
35 スライド部材
36 レンズホルダ
37 ガイドレール
38 リニアガイド
40 レンズスライド機構
41 エアコンプレッサ
42 電磁弁
43 シリンダ
44 ピストン
45 ロッド
46 シリンダアセンブリ
47 スライド部材
48 ガイドレール
49 リニアガイド
50 ギャップ検出器
51 スライド機構制御装置
52 スポット径補正回路
53 レンズスライド機構
54 スライド部材
55 ガイドレール
56 目盛
S1 被溶接物データ信号
S2 レーザスポット径信号
S3 スライド指令信号
S4 ギャップ検出信号
S5 スポット径補正信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振器から光ファイバによって伝送されたレーザ光を被溶接物の溶接箇所に照射するレーザトーチと、
前記溶接箇所に消耗電極ガスシールドアーク溶接を行う溶接トーチと、
前記レーザトーチ内に設けられて前記光ファイバによって伝送されたレーザ光を平行光に変換する1枚又は複数枚のコリメートレンズと前記平行光に変換されたレーザ光を被溶接物へ集光する1枚又は複数枚の集光レンズとからなる集光レンズ光学系とを備えたレーザ照射アーク溶接ヘッドにおいて、
前記集光レンズ光学系のうち前記レーザトーチ先端に設けられた1枚のレンズが固定され、
その他のレンズのうち前記被溶接物上に照射されるレーザ光のスポット径によって予め選択された1枚又は複数枚のレンズを光軸に沿って移動させるレンズスライド機構と、
を備えたことを特徴とするレーザ照射アーク溶接ヘッド。
【請求項2】
請求項1記載のレンズスライド機構が、
モータと、
このモータに連結されたねじとナットとからなるねじアセンブリと、
前記ナットに取り付けられて1枚のレンズを支持するスライド部材とこのスライド部材をガイドするガイドレールとからなるリニアガイドと、
を備えたことを特徴とするレーザ照射アーク溶接ヘッド。
【請求項3】
請求項1記載のレンズスライド機構が、
シリンダとピストンとこのピストンに取り付けられたロッドとからなるシリンダアセンブリと、
前記ロッドに取り付けられて1枚のレンズを支持するスライド部材とこのスライド部材をガイドするガイドレールとからなるリニアガイドと、
を備えたことを特徴とするレーザ照射アーク溶接ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−181840(P2007−181840A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380545(P2005−380545)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】