説明

レーザ集光プリズム

【課題】一体的に形成して位置決めが比較的容易なレーザ集光プリズムにおいて、比較的高出力なレーザ光を集光する場合であっても、よりシンプルな構造で、発熱をより低減することができるレーザ集光プリズムを提供する。
【解決手段】第1直角二等辺三角形を底面とする三角柱形状の第1プリズム31と、第1直角二等辺三角形と同一形状の第2直角二等辺三角形を底面とする三角柱形状の第2プリズム32と、第1直角二等辺三角形の斜辺の長さと、第2直角二等辺三角形の斜辺の長さとで、直角を挟む2辺を構成した第3直角二等辺三角形を底面とする三角柱形状の第3プリズム33と、板状形状を有し、入射されたレーザ光を入射方向に向けて反射するとともに反射光の偏光方向を変換する偏光反射領域34aと、入射されたレーザ光を透過する透過領域34bと、を有する反射透過板34と、を一体的に組み付けて構成されたレーザ集光プリズム30。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力が比較的高いレーザ光を集光するためのレーザ集光プリズムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば楕円状に広がりながら進行するレーザ光を出射する発光部が前記楕円の短軸方向に所定間隔で複数並べられた半導体レーザ光源からのレーザ光を集光して高出力レーザを得ることができる種々のレーザ発振器が提案されている。
半導体レーザは発振効率が高い(〜50%)ことから、固体レーザの励起光として、あるいは直接加工光源として利用するニーズが高まっている。また、半導体レーザメーカからは、複数のエミッタ(発光部)を一次元状に配置した半導体レーザバーや、半導体レーザバーを積層して複数のエミッタ(発光部)を二次元状に配置した半導体レーザスタックが商品化されている。
例えば一般的な半導体レーザバーは、長さ約10mm、厚さ約0.2mm、幅約1mmの外形寸法の半導体レーザチップをヒートシンクにマウントしたもので、この中に厚さ方向に約1μm、長さ方向に約150μmの発光部がピッチ約500μmで10数個集積化されている。そして1個の発光部からは約2Wの出力のレーザ光が出射される。これらを集光してパワー密度を高くして励起光として用いたり、直接加工光源として用いたりすれば、金属の溶接や穴あけ、切断等を行うことができる。
なお、本明細書では、半導体レーザバーも半導体レーザスタックもまとめて半導体レーザ光源と呼ぶ。
【0003】
一般的な半導体レーザ光源において、図5(A)の例(発光部が一次元配置の例)に示すように、発光部(12a〜12h)から出射されるレーザ光L1は長軸方向及び短軸方向にほぼ楕円状に広がりながら進行する。また、図5(B)の例に示すように、長軸方向の広がり角θfは数10度(例えば30度〜40度)程度あり、短軸方向の広がり角θsは数度(例えば3度〜4度)程度である。また各発光部(12a〜12h)の寸法は、上述したように、一般的な半導体レーザ光源では長軸方向が1μm程度、短軸方向が100〜200μm程度である。また、出射された時点のレーザ光は、偏光方向が所定の方向(例えば長軸方向)に揃っている。
レーザ光の集光性は「ビーム径*広がり角」で示されるビームパラメータプロダクトに依存し、上述のような半導体レーザアレイの場合、長軸方向のビームパラメータプロダクトは0.2mm・mrad程度で、短軸方向のビームパラメータプロダクトは200mm・mradである。このため、集光する場合、長軸方向には比較的容易に小さく集光できるが、短軸方向に小さく集光することは比較的困難である。
【0004】
なお、ビームの集光については、図5(D)に示すように、出射側部材B1から幅(あるいは径)D1、角度θ1の広がり角を有するビームを出射し、集光レンズSLにて集光し、集光側部材B2に幅D2、角度θ2の入射角となるように集光した場合、以下の式が成立する。
D2=(tanθ1/tanθ2)*D1
より小さく集光するためには、上記D2がより小さくなるように、出射側の広がり角θ1を小さくするか、集光側の入射角θ2を大きくするか、出射側の幅D1を小さくすればよい。なお、集光側部材B2に光ファイバを用いた場合、集光側の入射角θ2は、開口数NAによる限界があるため、集光側の入射角θ2を大きくすることは好ましくない。
【0005】
例えば、特許文献1に記載された従来技術では、図6(A)に示すように、発光部12a〜12hが短軸方向(X軸方向)に複数並べられた半導体レーザ光源10からのレーザ光束L1(P)、L2(P)を、長軸方向コリメートレンズ20を用いて長軸方向(Y軸方向)に対して平行光に変換した後、レーザ光の偏光方向を変換する偏光変換板132と、ある偏光方向の光を透過して別の偏光方向の光を反射する合波プリズム131と、前記合波プリズム131に向けてレーザ光を反射する全反射面133aを備えたプリズム133との3つの光学部材を一体的に組み付けた分割合波ユニット130(レーザ集光プリズムに相当)を用いて、レーザ光束の短軸方向の幅LWinが半分となるように集光している。これにより、図5(D)における出射側の幅LWoutを1/2にしており、より小さな径の光ファイバに集光することができる。なお、図6(B)は、分割合波ユニット130を各光学部材に分離した状態を示している。
また、特許文献2に記載された従来技術では、図7に示すように、発光部12a〜12hが短軸方向に複数並べられた半導体レーザ光源10からのレーザ光束L1(P)、L2(P)を、長軸方向コリメートレンズ20を用いて長軸方向に対して平行光に変換した後、短軸方向コリメートレンズ140を用いて短軸方向に対して平行光に変換し、前記偏光変換板132と、前記合波プリズム131と、全反射面133aを備えたプリズム133とを用いて、レーザ光束の短軸方向の幅LWinが半分となるように集光している。これにより、図5(D)における出射側の幅LWoutを1/2にしており、より小さな径の光ファイバに集光することができる。
【特許文献1】特開2007−286481号公報
【特許文献2】特開2003−103389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載された従来技術では、長軸方向コリメートレンズ、短軸方向コリメートレンズ、位相差部、合波部材、伝播部材(全反射面)が一体的に形成されていないため、それぞれを位置決めしなければならないので、位置決めが非常に困難である。
これに対して特許文献1に記載された従来技術では、一体的に組み付けたレーザ集光プリズム内(分割合波ユニット130内)にレーザ光を導光することで、広がり角が比較的小さな短軸方向に対してレーザ光を閉じ込めており、短軸方向コリメートレンズを省略し、長軸方向コリメートレンズとレーザ集光プリズムとを位置決めすればよいので、位置決めが容易である。しかし、位相差部と合波部材と伝播部材とを一体的に組み付けてレーザ集光プリズムを形成するには、各光学部材を接着剤で固定することになる。この場合、図4(A)に示すように境界部Kcでは、比較的長い距離の接着剤層をレーザ光が伝播することになり、接着剤がレーザ光を吸収して発熱する可能性があるため、高出力レーザの集光にはあまり適していない。なお、レーザ光が接着剤層を厚さ方向に横切る場合は、接着剤の層を透過する距離が短いため、問題となるような発熱は発生しない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、一体的に形成して位置決めが比較的容易なレーザ集光プリズムにおいて、比較的高出力なレーザ光を集光する場合であっても、よりシンプルな構造で、発熱をより低減することができるレーザ集光プリズムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりのレーザ集光プリズムである。
請求項1に記載のレーザ集光プリズムは、第1直角二等辺三角形を底面とする三角柱形状の第1プリズムと、前記第1直角二等辺三角形と同一形状の第2直角二等辺三角形を底面とする三角柱形状の第2プリズムと、前記第1直角二等辺三角形における斜辺の長さと、前記第2直角二等辺三角形における斜辺の長さとで、直角を挟む2辺を構成した第3直角二等辺三角形を底面とする三角柱形状の第3プリズムと、板状形状を有し、板状の面に直交する方向から入射されたレーザ光を入射方向に向けて反射するとともに第1偏光方向のレーザ光が入射されると反射光を前記第1偏光方向とは異なる偏光方向である第2偏光方向に変換する偏光反射領域と、前記板状の面に直交する方向から入射されたレーザ光を透過する透過領域と、を有する反射透過板と、を一体的に組み付けて構成されたレーザ集光プリズムである。
前記第3プリズムにおける前記第3直角二等辺三角形の直角を挟む一方の辺を含む側面である第3A入射面、及び前記第3直角二等辺三角形の直角を挟む他方の辺を含む側面である第3B入射面は、前記第1偏光方向のレーザ光を透過するとともに前記第2偏光方向のレーザ光を反射する選択反射面に形成されている。
前記第1プリズムにおける前記第1直角二等辺三角形の斜辺を含む側面である第1出射面は前記第3A入射面と対向させて固定されており、更に前記第2プリズムにおける前記第2直角二等辺三角形の斜辺を含む側面である第2出射面は前記第3B入射面と対向させて固定されていることで、前記第1プリズムにおける前記第1直角二等辺三角形の直角を挟む一方の辺を含む側面である第1入射面と、前記第2プリズムにおける前記第2直角二等辺三角形の直角を挟む一方の辺を含む側面である第2入射面と、が同一方向を向いて隣り合わせて密着して並んでいる。
前記反射透過板は、前記第3プリズムにおける前記第3直角二等辺三角形の斜辺を含む側面である第3出射面を覆うように固定されており、前記第3プリズムの底面に直交する方向に沿って2等分された一方の面が前記偏光反射領域に形成され、他方の面が前記透過領域に形成されている。
そして、前記第1入射面及び前記第2入射面に直交する方向から、前記第1入射面に入射された前記第1偏光方向のレーザ光と、前記第2入射面に入射された前記第1偏光方向のレーザ光とを、前記第1入射面と前記第2入射面とが並んでいる方向に重ね合わせて、前記反射透過板における前記透過領域から出射する。
【0008】
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりのレーザ集光プリズムである。
請求項2に記載のレーザ集光プリズムは、請求項1に記載のレーザ集光プリズムであって、前記レーザ光を透過する接着剤にて、前記第1プリズムと前記第3プリズム、及び前記第2プリズムと前記第3プリズム、及び前記第3プリズムと前記反射透過板とが接着されている。
【0009】
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりのレーザ集光プリズムである。
請求項3に記載のレーザ集光プリズムは、請求項2に記載のレーザ集光プリズムであって、前記第1入射面と、前記第2入射面と、前記反射透過板の前記透過領域における前記第3プリズムと対向している面に対して反対側の面に、レーザ光の反射光を減衰する無反射コーティングが施されている。
【0010】
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりのレーザ集光プリズムである。
請求項4に記載のレーザ集光プリズムは、請求項1に記載のレーザ集光プリズムであって、更に、前記反射透過板における前記第3プリズムと対向している面に対して反対側の面を覆うように、前記レーザ光を透過する板状形状の透過板が設けられており、前記レーザ光を透過する接着剤にて、前記第1プリズムと前記第3プリズム、及び前記第2プリズムと前記第3プリズム、及び前記第3プリズムと前記反射透過板、及び前記反射透過板と前記透過板とが接着されている。
そして、前記第1入射面と、前記第2入射面と、前記透過板における前記反射透過板と対向している面に対して反対側の面の少なくとも前記透過領域を覆う領域に、レーザ光の反射光を減衰する無反射コーティングが施されている。
【0011】
また、本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりのレーザ集光プリズムである。
請求項5に記載のレーザ集光プリズムは、請求項1に記載のレーザ集光プリズムであって、前記第1プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第2プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第3プリズムと前記反射透過板との境界部、に空気層が形成されるように、所定の微小間隔を開けて前記第1プリズムと前記第2プリズムと前記第3プリズムと前記反射透過板とが配置されている。
そして、保持部材にて、前記第1プリズムと前記第2プリズムと前記第3プリズムと前記反射透過板と、が前記第1入射面及び前記第2入射面の側から入射されるレーザ光の進行方向に直交する方向、且つ前記第1入射面と前記第2入射面とが並んでいる方向に直交する方向から、接着剤を用いることなく挟み込まれて保持されて固定されている。
【0012】
また、本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりのレーザ集光プリズムである。
請求項6に記載のレーザ集光プリズムは、請求項1に記載のレーザ集光プリズムであって、所定厚さのスペーサ部材が、前記第1プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第2プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第3プリズムと前記反射透過板との境界部、且つ前記レーザ光の導光経路を外れた個所に、接着剤にて接着されていることで、前記第1プリズムと前記第3プリズム、及び前記第2プリズムと前記第3プリズム、及び前記第3プリズムと前記反射透過板と、の各々の境界部に空気層が形成されて固定されている。
【0013】
また、本発明の第7発明は、請求項7に記載されたとおりのレーザ集光プリズムである。
請求項7に記載のレーザ集光プリズムは、請求項1に記載のレーザ集光プリズムであって、所定厚さに塗付された接着剤にて、前記第1プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第2プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第3プリズムと前記反射透過板との境界部、且つ前記レーザ光の導光経路を外れた個所に、接着剤にて接着されていることで、前記第1プリズムと前記第3プリズム、及び前記第2プリズムと前記第3プリズム、及び前記第3プリズムと前記反射透過板と、の各々の境界部に空気層が形成されて固定されている。
【0014】
また、本発明の第8発明は、請求項8に記載されたとおりのレーザ集光プリズムである。
請求項8に記載のレーザ集光プリズムは、請求項5〜7のいずれかに記載のレーザ集光プリズムであって、前記第1プリズムにおける前記第1入射面と前記第1出射面、前記第2プリズムにおける前記第2入射面と前記第2出射面、前記第3プリズムにおける前記第3出射面、前記反射透過板における前記第3出射面と対向している面、前記反射透過板の前記透過領域における前記第3プリズムと対向している面に対して反対側の面に、レーザ光の反射光を減衰する無反射コーティングが施されている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載のレーザ集光プリズムによれば、例えば図1(A)、図3(A)、図4(A)に示すように、各光学部材(第1プリズム、第2プリズム、第3プリズム、反射透過板)を一体的に形成したレーザ集光プリズムにおいて、当該レーザ集光プリズム内に導光したレーザ光を種々の方向に反射あるいは透過させる導光経路に対して、各光学部材の境界部が導光経路に沿う方向にならないように構成することができる。
これにより、各光学部材を接着しても、レーザ光の導光経路に沿うような比較的長い距離の接着剤層が形成されることがないため、高出力レーザの集光に用いても、従来よりも発熱を低減することができる。
【0016】
また、請求項2に記載のレーザ集光プリズムによれば、各光学部材を接着剤で接着してレーザ集光プリズムを形成するが、レーザ光の入射方向に沿う比較的長い距離の接着剤の層が形成されることがないため、高出力レーザの集光に用いても、従来よりも接着剤の層の発熱を低減することができる。
【0017】
また、請求項3に記載のレーザ集光プリズムによれば、レーザ光の入射面と出射面に無反射コーティングを施すことで、集光効率をより向上させることができる。
【0018】
また、請求項4に記載のレーザ集光プリズムによれば、透過板を追加することで、反射透過板の出射面の側に、全反射コーティングと無反射コーティングとを施す必要がなくなり、反射透過板については出射面の偏光反射領域に全反射コーティングを施すだけでよく、透過板については出射面における(反射透過板の)透過領域を覆う領域に無反射コーティングを施すだけでよい。
従って、コーティングの処理を単純化することができるので、実現が容易である。
【0019】
また、請求項5に記載のレーザ集光プリズムによれば、各光学部材(第1プリズム、第2プリズム、第3プリズム、反射透過板)を一体的に形成する際、接着剤で固定するのでなく、保持部材にて各光学部材を挟み込んで固定する。これにより、接着剤層が存在しないので、高出力レーザの集光に用いても、発熱を低減することができる。
【0020】
また、請求項6に記載のレーザ集光プリズムによれば、各光学部材(第1プリズム、第2プリズム、第3プリズム、反射透過板)の境界部(において導光経路を外れた個所)にスペーサ部材を挟み込み、スペーサ部材を接着剤で接着する。これにより、導光経路において接着剤層が存在しないので、高出力レーザの集光に用いても、発熱を低減することができる。
【0021】
また、請求項7に記載のレーザ集光プリズムによれば、各光学部材の境界部(において導光経路を外れた個所)にスペーサ部材の代わりに接着剤を所定厚さに塗付し、各光学部材を接着して固定する。これにより、導光経路において接着剤層が存在しないので、高出力レーザの集光に用いても、発熱を低減することができる。
【0022】
また、請求項8に記載のレーザ集光プリズムによれば、空気層と接している面であって何もコーティングが施されていない面に無反射コーティングを施すことで、レーザ光の入射時または出射時の反射光を減衰させ、レーザ光の集光効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1(A)は、本発明のレーザ集光プリズム30を用いて半導体レーザ光源10の発光部12a〜12hから出射されるレーザ光束の短軸方向(この場合、X軸方向)の幅LWinを1/2にして集光するレーザ集光装置1の概略外観図の例を示している。また、図1(B)は、レーザ集光プリズム30を、各光学部材に分離した状態を示している。以下、X軸、Y軸、Z軸が記載されている図において、X軸とY軸とZ軸は直交しており、Z軸方向はレーザ集光プリズム30に入射されるレーザ光束の入射方向を示しており、X軸方向はレーザ集光プリズム30に入射されるレーザ光束の短軸方向を示しており、Y軸方向はレーザ集光プリズム30に入射されるレーザ光束の長軸方向を示している。なお、Y軸方向はいわゆる縦方向を示しており、X軸方向はいわゆる横方向を示している。
【0024】
●[レーザ集光プリズム30の構造と集光動作(図1)]
次に、図1(A)及び(B)を用いて、半導体レーザ光源10の発光部12a〜12hから出射されるレーザ光束の短軸方向(この場合、X軸方向)の幅を、レーザ集光プリズム30にて1/2にして集光する動作と、レーザ集光プリズム30の構成(構造)について説明する。
図1(B)に示すように、レーザ集光プリズム30は、略三角柱形状の第1プリズム31、第2プリズム32、第3プリズム33、及び平板形状の反射透過板34、透過板35、を一体的に組み付けて構成されている。なお、透過板35は省略してもよいが、本実施の形態では省略しない例で説明する。
第1プリズム31は直角二等辺三角形(第1直角二等辺三角形に相当)を底面とする略三角柱形状であり、第2プリズム32は第1プリズム31の底面と同じ直角二等辺三角形(第2直角二等辺三角形に相当)を底面とする略三角柱形状である。
第3プリズム33は、第1プリズム31における底面の前記直角二等辺三角形の斜辺の長さと、第2プリズム32における底面の前記直角二等辺三角形の斜辺の長さとで、直角を挟む2辺を構成した第3直角二等辺三角形を底面とする略三角柱形状である。また、第1プリズム31の底面、第2プリズム32の底面、第3プリズム33の底面は、どれも直角二等辺三角形であるので、角度θb=45度である。
なお、各光学部材の境界は、図2(A)のハッチング部に示すように接着剤で充填されており、接着の詳細については後述する。
【0025】
次に、各光学部材(第1プリズム31、第2プリズム32、第3プリズム33、反射透過板34、透過板35)の各々における特殊な面、及び各光学部材の組み付けについて説明する。
第3プリズム33における底面の直角二等辺三角形の直角を挟む一方の辺を含む側面である第3A入射面33Ain(図1(B)参照)、及び前記直角二等辺三角形の直角を挟む他方の辺を含む側面である第3B入射面33Bin(図1(B)参照)は、第1偏光方向(この場合、P偏光)のレーザ光を透過するとともに第2偏光方向(この場合、S偏光)のレーザ光を反射する選択反射面に構成されている(PS分離コーティング33a、33bが施されている)。
また、反射透過板34は、第3プリズム33における底面の直角二等辺三角形の斜辺を含む側面である第3出射面33out(図1(B)参照)を覆うように固定されており、第3プリズム33の底面に直交する方向に沿って2等分された一方の面が偏光反射領域34aに形成されており、他方の面が透過領域34bに形成されている。例えば反射透過板34は1/4波長板であり、偏光反射領域34aにおける入射面の反対側には全反射コーティング34c(図3参照)が施されており、反射透過板34の入射面34inに直交する方向から入射されたレーザ光を入射方向に向けて反射するとともに、反射光の偏光方向を変換する。例えば第1偏光方向(または第2偏光方向)のレーザ光が入射されると反射光を第2偏光方向(または第1偏光方向)のレーザ光とする。この場合、P偏光のレーザ光が入射されると反射光はS偏光のレーザ光となる。また、透過領域34bでは、入射面34inに直交する方向から入射されたレーザ光を出射面34outに導光する。
【0026】
そして図1(B)に示すように、第3プリズム33の第3A入射面33Ainには、第1プリズム31における底面の直角二等辺三角形の斜辺を含む側面である第1出射面31outが重ね合わされて固定されており、第3プリズム33の第3B入射面33Binには、第2プリズム32における底面の直角二等辺三角形の斜辺を含む側面である第2出射面32outが重ね合わされて固定されている。そして、同一方向を向いて隣り合わせて密着して並んだ第1プリズム31の側面と第2プリズム32の側面は、それぞれ第1入射面31in、第2入射面32inとなる。
また、反射透過板34は、上述したように第3プリズム33の第3出射面33outを覆うように入射面34inが対向配置されて固定されており、反射透過板34の出射面34outを覆うように入射面35inが対向配置された透過板35が固定されている。
以上のようにレーザ集光プリズム30を一体的に構成することで、図1(A)に示すように、レーザ光束L1(P)(L1(S))、L2(P)の導光経路に沿って、各光学部材の境界部が形成されないようにしている。
【0027】
図1(A)に示すように、半導体レーザ光源10の発光部12a〜12hの各々から図5(A)に示すレーザ光が出射され、各レーザ光が集まったレーザ光束となって出射される。以下の説明では、発光部12a〜12hから出射されたレーザ光束を、第1プリズム31の第1入射面31inに入射されるレーザ光束L1(P)と、第2プリズム32の第2入射面32inに入射されるレーザ光束L2(P)に分けて説明する。
なお、半導体レーザ光源10の発光部12a〜12hから出射されるレーザ光の各々の偏光方向はP偏光(第1偏光方向に相当)であるとする。
【0028】
レーザ光束L1(P)は、長軸方向コリメートレンズ20にて長軸方向(この場合、Y軸方向)に対して平行光に変換されて、第1プリズム31の第1入射面31inに入射される。
また、レーザ光束L2(P)は、長軸方向コリメートレンズ20にて長軸方向に対して平行光に変換されて、第2プリズム32の第2入射面32inに入射される。
【0029】
第2プリズム32は、空気よりも大きな屈折率を有するガラス材料(例えば石英)を材質としており、第2入射面32inはレーザ光束L2(P)の進行方向に直交するように向けられている。また、第2プリズム32における第2出射面32outは、第2入射面32inに対して所定角度θb(45度)に設定されている。そして、第2プリズム32は、第2入射面32inから入射されたレーザ光束L2(P)を、偏光方向を変換することなく第2出射面32outから出射する(レーザ光束L2(P)は偏光方向を変換されることなく第2プリズム32を透過する。)
また、側面32sはレーザ光束L2(P)の進行方向に対して平行に設定されており、第2入射面32inから第2出射面32outに向かって導光されるレーザ光束L2(P)の一部が側面32sから第2プリズム32の外部に漏れないように、第2プリズム32内に閉じ込める(短軸方向に対して閉じ込める)役目を果たす。
【0030】
第1プリズム31は、空気よりも大きな屈折率を有するガラス材料(例えば石英)を材質としており、第1入射面31inはレーザ光束L1(P)の進行方向に直交するように向けられている。また、第1プリズム31における第1出射面31outは、第1入射面31inに対して所定角度θb(45度)に設定されている。そして、第1プリズム31は、第1入射面31inから入射されたレーザ光束L1(P)を、偏光方向を変換することなく第1出射面31outから出射する(レーザ光束L1(P)は偏光方向を変換されることなく第1プリズム31を透過する。)
また、側面31sはレーザ光束L1(P)の進行方向に対して平行に設定されており、第1入射面31inから第1出射面31outに向かって導光されるレーザ光束L1(P)の一部が側面31sから第1プリズム31の外部に漏れないように、第1プリズム31内に閉じ込める(短軸方向に対して閉じ込める)役目を果たす。
【0031】
第3プリズム33は、空気よりも大きな屈折率を有するガラス材料(例えば石英)を材質としている。
第3B入射面3Binから入射されたレーザ光束L2(P)は、進行方向を変えることなく、第3出射面33outにおける反射透過板34の透過領域34bに対向している部分に導光され、更に反射透過板34の透過領域34bを透過し、透過板35を透過する。
第3A入射面3Ainから入射されたレーザ光束L1(P)は、進行方向を変えることなく、第3出射面33outにおける反射透過板34の偏光反射領域34aに対向している部分に導光されるが、偏光反射領域34aにて反射されて進行方向が逆になり、更に偏光方向を変換されたレーザ光束L1(S)となる。そしてレーザ光束L1(S)は、第3A入射面33Ainに到達すると第3B入射面33Binに向けて反射され、第3B入射面33Binに到達すると第3出射面33outに向けて反射される。第3出射面33outに到達したレーザ光束L1(S)は、反射透過板34の透過領域34bを透過し、透過板35を透過する。
以上により、半導体レーザ光源10の発光部12a〜12hの短軸方向の幅LWinのレーザ光束(レーザ光束L1(P)とレーザ光束L2(P))を、レーザ集光プリズム30にて、レーザ光束L1(P)とレーザ光束L2(P)とを短軸方向に重ね合わせて短軸方向の幅をほぼ半分の幅LWoutにして出射することで集光する。
なお、反射透過板34は、空気よりも大きな屈折率を有する光学用結晶材料(例えば水晶)を材質としており、透過板35は、空気よりも大きな屈折率を有するガラス材料(例えば石英)を材質としている。
【0032】
●[接着剤によるレーザ集光プリズム30の一体化(図2〜図4)]
本実施の形態では、導光経路における各境界部に接着剤を充填して集光プリズム30を一体的に構成する。この構造では、レーザ光が接着剤の層を透過するが、レーザ光が接着剤の層を透過する距離を短くすることで、接着剤の層の発熱を抑制している。
次に図2(A)及び(B)を用いて、本実施の形態におけるレーザ集光プリズム30の構造について説明する。図2及び図3は本実施の形態の構造を示しており、図4は特開2007−286481号公報に開示されている従来技術を示している。
図4(A)及び(B)に示す従来の構造では、各光学部材に分解した図4(B)に示すように、四角柱形状(底面は台形形状)のプリズム133、角度θ(C)の選択反射面131bを内部に備えた四角柱形状の合波プリズム131、板状形状の偏光変換板132にてレーザ集光プリズム130を構成している。なお、プリズム133の傾斜面は全反射面133aである。
図4(B)の各光学部材の境界部を接着剤で充填して一体化した状態を、図4(A)に示す。図4(A)においてハッチング部分が接着剤の層である。
図4(A)に示す構成では、図1(A)におけるレーザ光束L1(P)の導光経路、レーザ光束L2(P)の導光経路、のどちらも、プリズム133と偏光変換板132との境界部、及びプリズム133と合波プリズム131との境界部、である境界部Kcにて、非常に長い距離の接着剤の層をレーザ光が透過する。このため、レーザ光束L1(P)、レーザ光束L2(P)として所定値以上の出力の高出力レーザを用いると、境界部Kcにて接着剤の層の発熱量が増加し、接着剤が変質する可能性がある。
なお、131m、132m、133mは、無反射コーティングが施されていることを示している。
【0033】
これに対して、図2(A)に示す本実施の形態の構造では、各光学部材に分解した図2(B)に示すように、直角二等辺三角形を底面とする三角柱形状の第1プリズム31、第2プリズム32、第3プリズム33、及び板状形状の反射透過板34、透過板35にてレーザ集光プリズム30を構成している。
図2(B)の各光学部材の境界部を接着剤で充填して一体化した状態を、図2(A)に示す。図2(A)においてハッチング部分が接着剤の層である。なお、接着剤には各光学部材の屈折率と同等の屈折率となるものを選定することが好ましい。第1プリズム31(の第1出射面31out)と第3プリズム33(の第3A入射面33Ain)、第2プリズム32(の第2出射面32out)と第3プリズム33(の第3B入射面33Bin)、第3プリズム33(の第3出射面33out)と反射透過板34(の入射面34in)、反射透過板34(の出射面34out)と透過板35の入射面35in、の間(境界部)に接着剤を充填して一体化するように固定する。
【0034】
図2(A)に示す構成では、図1(A)におけるレーザ光束L1(P)の入射方向、レーザ光束L2(P)の入射方向、のどちらも、接着剤の層を透過する距離は、接着剤の厚さ方向の距離であり、充分短い距離であるため、接着剤の層の発熱は問題ない程度である。このように、レーザ集光プリズム30の内部に導光するレーザ光の導光経路(反射して進行方向を変える経路も含む)に沿う方向に境界部が形成されないように、各光学部材の形状を考慮して決定している。
なお、第3プリズム33と反射透過板34との境界部は、第3A入射面33Ainから第3B入射面33Binに向けて反射されたレーザ光束L1(S)に沿う方向に接着剤の層が形成されているが、レーザ光束L1(S)は、前記境界部に沿う方向に反射される前に、反射透過板34にて反射透過板34から離れる方向に反射されているので、当該境界部に沿う方向に透過するレーザ光が少なく、発熱は抑制されている。
また、図2(A)に示すレーザ集光プリズム30において無反射コーティングを施す面は、第1プリズム31の第1入射面31in、第2プリズム32の第2入射面32in、透過板35の出射面35outである。なお、出射面35outについては全領域に無反射コーティングを施す必要はなく、少なくとも反射透過板34の透過領域34bを覆う領域に施してあればよい。
また、透過板35を省略してもよい。透過板35を省略した場合、反射透過板34の出射面34outにおいて、偏光反射領域34aには全反射コーティング34cを施し、透過領域34bには無反射コーティングを施せばよいが、コーティング処理がやや複雑になる。
【0035】
上記に説明したレーザ集光プリズム30は、第3プリズム33と反射透過板34との境界部において接着剤の層がレーザ光の導光経路に沿う(平行)が、これを改良した例を説明する。
図3(A)及び(B)は、第3プリズム33と反射透過板34との境界部において、レーザ光の導光領域に接着剤を含まないように構成する例を示している。図3(A)に示すレーザ集光プリズム30は、図3(B)に示すようにスペーサ部材Sを用いて、第3プリズム33と反射透過板34との境界部を所定距離だけ離間させて接着している(図3(A)ではスペーサ部材Sの記載を省略している)。
また、スペーサ部材Sは、集光するレーザ光束の導光経路として用いる導光領域から外れた個所に設けられており、紫外線硬化樹脂等の光学系用の接着剤を用いて各光学部材と接着されている。紫外線硬化樹脂を使用する場合は、接着剤を硬化させるために、スペーサ部材Sは紫外線を透過する石英等の透明な部材で形成されていることが好ましいが、接着剤が紫外線硬化樹脂でない場合は、石英、ステンレス等、種々の材質でスペーサ部材Sを構成することができる。
図3(A)に示すレーザ集光プリズム30では、第1入射面31in、第2入射面32in、第3出射面33out、反射透過板34の入射面34in、透過板35の出射面35outに無反射コーティング31m、32m、33m、34m、35mを施せばよい。なお、出射面35outについては全領域に無反射コーティングを施す必要はなく、少なくとも反射透過板34の透過領域34bを覆う領域に施してあればよい。
また、透過板35を省略してもよい。透過板35を省略した場合、反射透過板34の出射面34outにおいて、偏光反射領域34aには全反射コーティング34cを施し、透過領域34bには無反射コーティングを施せばよいが、コーティング処理がやや複雑になる。
【0036】
また、スペーサ部材Sの厚さは、確実に空気層を形成できて可能な限り薄い約50μm程度に設定することが好ましい。
これにより、レーザ光の導光経路に沿って接着剤の層が存在しない構造とすることができるので、接着剤の層の発熱を抑制することができる。
なお、各光学部材の境界部に間隔を設けて空気層を形成することなく密着させる(接着剤も用いない)ことも考えられるが、各光学部材の面の平面度を高くしても、拡大して見れば必ず凹凸が形成されており、光学部材同士が接する個所と、光学部材同士が接することなく空気層が形成されている個所とがランダムに存在することになる。各種のコーティングの設計は、2つの媒質(光学部材)の屈折率を基にして設計されるため、凹凸によってランダムな空気層が介入してしまうと、光学部材の接触部と非接触部とで屈折率が変化してしまい、透過効率が低下するので、あまり好ましくない。
【0037】
以上の説明では、スペーサ部材Sを用いて第3プリズム33と反射透過板34とを接着し、第3プリズム33と反射透過板34との境界部に空気層を形成する例を説明したが、スペーサ部材Sの代わりに、接着剤を所定厚さに塗付して空気層を形成するようにしてもよい。
また、第3プリズム33と反射透過板34との境界部において、スペーサ部材Sを用いて、当該境界部に空気層が形成されるように、第1プリズム31と第2プリズム32と第3プリズム33とを接着した第1ユニットと、反射透過板34と透過板35とを接着した第2ユニットを、微小間隔を開けて配置して、接着剤で固定する代わりに、発光部12a〜12hから出射されるレーザ光束の進行方向(この場合、Z軸方向)に直交する方向、且つ短軸方向(第1入射面31inと第2入射面32inとが並んでいる方向に相当し、この場合、X軸方向)に直交する方向から(この場合、Y軸方向)、第1ユニットと第2ユニットを固定治具(保持部材に相当)によって挟み込んで固定するようにしてもよい。
【0038】
また、第1プリズム31と第3プリズム33との境界部、及び第2プリズム32と第3プリズム33との境界部においても、上記と同様にして空気層を形成してもよい。
例えば、第1プリズム31と第3プリズム33との境界部、第2プリズム32と第3プリズム33との境界部、第3プリズム33と反射透過板34との境界部、における導光領域から外れた個所にスペーサ部材S(接着剤は用いない)を挟み込んで所定間隔の空気層を形成して各光学部材を配置する(反射透過板34と透過板35は接着してよい)。そして、発光部12a〜12hから出射されるレーザ光束の進行方向(この場合、Z軸方向)に直交する方向、且つ短軸方向(第1入射面31inと第2入射面32inとが並んでいる方向に相当し、この場合、X軸方向)に直交する方向から(この場合、Y軸方向)、各光学部材を固定治具(保持部材に相当)によって挟み込んで固定するようにしてもよい。
あるいは、スペーサ部材Sに接着剤を塗付しておいて、スペーサ部材Sにて各光学部材(第1プリズム31、第2プリズム32、第3プリズム33、反射透過板34(透過板35が接着されている))を固定するようにしてもよい。
また、スペーサ部材Sの代わりに、スペーサ部材Sと同等の厚さとなるように接着剤を所定厚さに塗付して各光学部材を固定するようにしてもよい。
この場合、空気層と接している面であって何もコーティングが施されていない面に無反射コーティングを施すことで、レーザ光の入射時または出射時の反射光を減衰させ、レーザ光の集光効率を向上させることができる。従って、無反射コーティングを施す面は、第1入射面31inと第1出射面32out、第2入射面32inと第2出射面32out、第3出射面33out、反射透過板34の入射面34in、透過板35の出射面35outにおける少なくとも透過領域34bに対応する部分である。なお、透過板35を省略した場合は、反射透過板34の出射面34outにおける少なくとも透過領域34bに対応する部分である。
【0039】
本発明のレーザ集光プリズム30は、本実施の形態で説明した外観、構成、構造等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態の説明では、P偏光が第1偏光方向に相当し、S偏光が第2偏光方向に相当する、と説明したが、P偏光が第2偏光方向に相当し、S偏光が第1偏光方向に相当する、としてもよい。
また、本実施の形態の説明では、レーザ集光プリズム30に半導体レーザ光源10からのレーザ光束を入射しており、半導体レーザ光源10からのレーザ光束L1(P)、L2(P)がP偏光である例を説明したが、レーザ集光プリズム30に入射するレーザ光がP偏光でなくS偏光である場合は、第3A入射面33Ainと第3B入射面33Binを、S偏光のレーザ光を透過してP偏光のレーザ光を反射するように変更し、偏光反射領域34aを、S偏光のレーザ光が入射されるとP偏光に変換して反射するように変更すればよい。
また、本実施の形態にて説明したレーザ集光プリズム30は、他の高出力レーザであるCO2レーザや、YAGレーザを集光するプリズムに適用することができる。
また、出射面35outにおける透過領域34b側からP偏光とS偏光が混在したレーザ光を入射すれば、ビームスプリッタとして用いることが可能であり、第1入射面31in及び第2入射面32inから、分離したレーザ光を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のレーザ集光プリズム30を用いて半導体レーザ光源10から出射されるレーザ光束の短軸方向(この場合、X軸方向)の幅を1/2にして集光するレーザ集光装置1の概略外観図の例と、レーザ集光プリズム30を各光学部材に分離した状態を示す図である。
【図2】レーザ集光プリズム30の構造(各光学部材の組み付け状態)を説明する図である。
【図3】レーザ集光プリズム30の構造(各光学部材の組み付け状態)を説明する図である。
【図4】従来のレーザ集光プリズム130の構造(各光学部材の組み付け状態)を説明する図である。
【図5】半導体レーザ光源10から出射されるレーザ光を説明する図である。
【図6】従来のレーザ集光プリズム130を用いて半導体レーザ光源10から出射されるレーザ光束の短軸方向の幅を1/2にして集光するレーザ集光装置100の概略外観図の例と、従来のレーザ集光プリズム130を各光学部材に分離した状態を示す図である。
【図7】従来のレーザ集光プリズム130における別の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0041】
1 レーザ集光装置
10 半導体レーザ光源
12a〜12h 発光部
20 長軸方向コリメートレンズ
30 レーザ集光プリズム
31 第1プリズム
31in 入射面(第1入射面)
31out 出射面(第1出射面)
31s 側面
32 第2プリズム
32in 入射面(第2入射面)
32out 出射面(第2出射面)
32s 側面
33 第3プリズム
33Ain 第3A入射面
33Bin 第3B入射面
33out 第3出射面
33a、33b PS分離コーティング
34 反射透過板
34in 入射面
34out 出射面
34a 偏光反射領域
34b 透過領域
34c 全反射コーティング
35 透過板
35in 入射面
35out 出射面
31m、32m、33m、34m、35m 無反射コーティング
S スペーサ部材
Kc 境界部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1直角二等辺三角形を底面とする三角柱形状の第1プリズムと、
前記第1直角二等辺三角形と同一形状の第2直角二等辺三角形を底面とする三角柱形状の第2プリズムと、
前記第1直角二等辺三角形における斜辺の長さと、前記第2直角二等辺三角形における斜辺の長さとで、直角を挟む2辺を構成した第3直角二等辺三角形を底面とする三角柱形状の第3プリズムと、
板状形状を有し、板状の面に直交する方向から入射されたレーザ光を入射方向に向けて反射するとともに第1偏光方向のレーザ光が入射されると反射光を前記第1偏光方向とは異なる偏光方向である第2偏光方向に変換する偏光反射領域と、前記板状の面に直交する方向から入射されたレーザ光を透過する透過領域と、を有する反射透過板と、を一体的に組み付けて構成されたレーザ集光プリズムであって、
前記第3プリズムにおける前記第3直角二等辺三角形の直角を挟む一方の辺を含む側面である第3A入射面、及び前記第3直角二等辺三角形の直角を挟む他方の辺を含む側面である第3B入射面は、前記第1偏光方向のレーザ光を透過するとともに前記第2偏光方向のレーザ光を反射する選択反射面に形成されており、
前記第1プリズムにおける前記第1直角二等辺三角形の斜辺を含む側面である第1出射面は前記第3A入射面と対向させて固定されており、更に前記第2プリズムにおける前記第2直角二等辺三角形の斜辺を含む側面である第2出射面は前記第3B入射面と対向させて固定されていることで、前記第1プリズムにおける前記第1直角二等辺三角形の直角を挟む一方の辺を含む側面である第1入射面と、前記第2プリズムにおける前記第2直角二等辺三角形の直角を挟む一方の辺を含む側面である第2入射面と、が同一方向を向いて隣り合わせて密着して並んでおり、
前記反射透過板は、前記第3プリズムにおける前記第3直角二等辺三角形の斜辺を含む側面である第3出射面を覆うように固定されており、前記第3プリズムの底面に直交する方向に沿って2等分された一方の面が前記偏光反射領域に形成され、他方の面が前記透過領域に形成されており、
前記第1入射面及び前記第2入射面に直交する方向から、前記第1入射面に入射された前記第1偏光方向のレーザ光と、前記第2入射面に入射された前記第1偏光方向のレーザ光とを、前記第1入射面と前記第2入射面とが並んでいる方向に重ね合わせて、前記反射透過板における前記透過領域から出射する、
レーザ集光プリズム。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ集光プリズムであって、
前記レーザ光を透過する接着剤にて、前記第1プリズムと前記第3プリズム、及び前記第2プリズムと前記第3プリズム、及び前記第3プリズムと前記反射透過板とが接着されている、
レーザ集光プリズム。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ集光プリズムであって、
前記第1入射面と、前記第2入射面と、前記反射透過板の前記透過領域における前記第3プリズムと対向している面に対して反対側の面に、レーザ光の反射光を減衰する無反射コーティングが施されている、
レーザ集光プリズム。
【請求項4】
請求項1に記載のレーザ集光プリズムであって、
更に、前記反射透過板における前記第3プリズムと対向している面に対して反対側の面を覆うように、前記レーザ光を透過する板状形状の透過板が設けられており、
前記レーザ光を透過する接着剤にて、前記第1プリズムと前記第3プリズム、及び前記第2プリズムと前記第3プリズム、及び前記第3プリズムと前記反射透過板、及び前記反射透過板と前記透過板とが接着されており、
前記第1入射面と、前記第2入射面と、前記透過板における前記反射透過板と対向している面に対して反対側の面の少なくとも前記透過領域を覆う領域に、レーザ光の反射光を減衰する無反射コーティングが施されている、
レーザ集光プリズム。
【請求項5】
請求項1に記載のレーザ集光プリズムであって、
前記第1プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第2プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第3プリズムと前記反射透過板との境界部、に空気層が形成されるように、所定の微小間隔を開けて前記第1プリズムと前記第2プリズムと前記第3プリズムと前記反射透過板とが配置されており、
保持部材にて、前記第1プリズムと前記第2プリズムと前記第3プリズムと前記反射透過板と、が前記第1入射面及び前記第2入射面の側から入射されるレーザ光の進行方向に直交する方向、且つ前記第1入射面と前記第2入射面とが並んでいる方向に直交する方向から、接着剤を用いることなく挟み込まれて保持されて固定されている、
レーザ集光プリズム。
【請求項6】
請求項1に記載のレーザ集光プリズムであって、
所定厚さのスペーサ部材が、前記第1プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第2プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第3プリズムと前記反射透過板との境界部、且つ前記レーザ光の導光経路を外れた個所に、接着剤にて接着されていることで、前記第1プリズムと前記第3プリズム、及び前記第2プリズムと前記第3プリズム、及び前記第3プリズムと前記反射透過板と、の各々の境界部に空気層が形成されて固定されている、
レーザ集光プリズム。
【請求項7】
請求項1に記載のレーザ集光プリズムであって、
所定厚さに塗付された接着剤にて、前記第1プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第2プリズムと前記第3プリズムとの境界部、及び前記第3プリズムと前記反射透過板との境界部、且つ前記レーザ光の導光経路を外れた個所に、接着剤にて接着されていることで、前記第1プリズムと前記第3プリズム、及び前記第2プリズムと前記第3プリズム、及び前記第3プリズムと前記反射透過板と、の各々の境界部に空気層が形成されて固定されている、
レーザ集光プリズム。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載のレーザ集光プリズムであって、
前記第1プリズムにおける前記第1入射面と前記第1出射面、前記第2プリズムにおける前記第2入射面と前記第2出射面、前記第3プリズムにおける前記第3出射面、前記反射透過板における前記第3出射面と対向している面、前記反射透過板の前記透過領域における前記第3プリズムと対向している面に対して反対側の面に、レーザ光の反射光を減衰する無反射コーティングが施されている、
レーザ集光プリズム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−294397(P2009−294397A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147205(P2008−147205)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】