説明

レーダ装置及びレーダ画像表示方法

【課題】異なるパルス幅の信号から得られた画像を同一画面上に同時に表示する場合であっても、すべてのレンジで同じ内容の追尾物標の運動情報を表示できるレーダ装置及びレーダ画像表示方法を提供することを目的とする。
【解決手段】所定の送信パターンで送信した2以上の異なるパルス幅信号を受信し、該受信した同じ送信パルス幅のエコー信号毎に、探知レンジに対応する表示用エコーデータを生成するエコーデータ生成部と、異なる送信パルス幅のエコー信号を用いて、表示用エコーデータと重畳する1つの追尾物標の運動情報を生成するARPA処理部と、前記ARPA処理部で生成された追尾物標の運動情報を、前記表示用エコーデータに重畳する表示出力合成部と、前記表示出力合成部で重畳した画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置に関し、特に、レンジ毎に割り当てられた各パルス幅信号を一つのアンテナで送受信する際のARPA(Automatic Radar Plotting Aid)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船舶等に用いられるレーダ装置は、アンテナから所定のパルス信号を送信し、物標に当たって返ってきた信号を受信してそのアンテナの方向から物標の方位(θ)を知るとともに、パルス信号を送信してから反射パルスを受信するまでの時間から物標の距離(r)を知る。
【0003】
アンテナから送信されるパルス信号は、要求される探知距離、距離分解能に応じて決定され、通常、表示画面上に表示する表示レンジ毎に送信パルス幅が決められる。例えば、近距離レンジの時には強い反射パルスを得ることができるため、パルス幅を短くして距離分解能を上げている。一方で、遠距離レンジの時には遠距離に存在する物標からの反射パルスが弱いため、パルス幅を長くしてより多くの情報を受信し、物標視認性を向上させている。
【0004】
しかしながら、送信パルス幅を長くすると距離分解能が悪くなるため、遠距離用のレンジを用いて近接する物標を見た場合には、これらの物標を分離識別できないといった欠点がある。この欠点は、遠距離用のレンジ使用時に近距離の物標を見る際に特に顕著にあらわれる。そのため、レーダ装置の観測者は視認したい物標の自船からの距離に応じて、最適な表示レンジの切替えを行い、自船と対象物標との距離に応じた探知レンジの切替え作業が必要であった。
【0005】
また、これに付帯する従来技術としてズーム表示機能があるが、これは選択中の探知レンジに応じた送信パルス信号の一部を拡大して表示しているにすぎず、ズーム処理されている箇所の距離分解能が上がる訳ではなく、上記と同様の問題を有する。
【0006】
これに対し、特許文献1、2は、レンジ毎に割り当てられたパルス幅の信号を選定された送信パルスシーケンスに従って送信することにより、2つ以上の距離範囲の画像を同時に表示器上に表示する技術を開示している。この技術を用いれば、探知距離に応じたパルス幅の信号を表示器上で同時に表示することができ、異なる探知レンジの画像を高い物標視認性で提供することが可能になる。
【特許文献1】特開平04−98179号公報
【特許文献2】特許第3507717号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来からレーダ装置には、他船などとの衝突を予防することを目的として、自動衝突予防援助機能(ARPA:Automatic Radar Plotting Aid)(以下「ARPA」という。)が多数の船舶で利用されている。
【0008】
このARPAは、レーダ映像信号をデジタル化して求めた所定探知領域の探知データを演算処理して、利用者が指定した物標、或いは自動的に選択された物標を捕捉し、捕捉した物標の位置を自動追尾するものであり、追尾中の物標の移動方向、速度などの運動情報を算出し、それらを分かりやすい形で表示するとともに、危険な状態となったときにはそれを警報する機能を備えている。
【0009】
しかしながら、前述の特許文献1、2に開示された技術において、このARPA機能を実現しようとした場合、短いパルス幅の場合には分割されていた2つの物標が、長いパルス幅の場合には送信パルスの距離分解能の悪さから同一物標となり、追尾する物標の補足結果がパルス幅によって異なるという問題が発生する。
【0010】
特に、同一表示画面上に異なるパルス幅の信号から得られた画像を同時に表示するような場合には、長いパルス幅の信号から得られる画像と、短いパルス幅の信号から得られる画像とでARPA機能の表示結果が異なることになり、ユーザの混乱を招く恐れがある。
【0011】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、表示画面上に表示される追尾物標の運動情報を正確に表示することを目的とする。また、異なるパルス幅の信号から得られた画像を同一画面上に同時に表示する場合であっても、ARPA機能の追尾誤りを起こすことなく、すべてのレンジで同じ内容の追尾物標の運動情報を表示できるレーダ装置及びレーダ画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は、少なくとも2以上のパルス幅の信号を1つのアンテナで送受信するレーダ装置において、2以上の異なるパルス幅信号を所定の送信パターンで送信する送信機と、前記送信したパルス幅信号の反射波を受信する受信機と、異なる送信パルス幅のエコー信号を用いて、表示用エコーデータと重畳する1つの追尾物標の運動情報を生成するARPA処理部とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、少なくとも2以上のパルス幅の信号を1つのアンテナで送受信するレーダ装置において、2以上の異なるパルス幅信号を所定の送信パターンで送信する送信機と、前記送信したパルス幅信号の反射波を受信する受信機と、前記受信機で得られた同じ送信パルス幅のエコー信号を用いて、探知レンジに対応する表示用エコーデータを生成するエコーデータ生成部と、異なる送信パルス幅のエコー信号を用いて、表示用エコーデータと重畳する1つの追尾物標の運動情報を生成するARPA処理部と、前記ARPA処理部で生成された追尾物標の運動情報を、前記表示用エコーデータに重畳する表示出力合成部と、前記表示出力合成部で重畳した画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0014】
前記ARPA処理部では、例えば、各送信パルス幅のエコー信号毎に追尾物標の運動情報を生成し、自船の位置からの距離範囲に応じて、各送信パルス幅のエコー信号毎に生成された追尾物標の運動情報を選択的に組合せることにより、表示用エコーデータと重畳する追尾物標の運動情報を生成する。
【0015】
また、前記ARPA処理部は、自船の位置からの距離範囲に応じて、異なる送信パルス幅のエコー信号を選択し、該選択したエコー信号を用いて表示用エコーデータと重畳する追尾物標の運動情報を生成することも可能である。このように、異なる送信パルス幅のエコー信号を選択的に処理することにより、エコー信号毎に追尾物標の運動情報を生成する場合に比べ演算量を約半分に削減することができる。
【0016】
また、前記表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報を生成する際には、パルス幅の短い、すなわち距離分解能の高いエコー信号から得られた追尾物標の運動情報を優先的に使用することが好ましく、例えば、自船周辺領域に、近距離レンジに対応する送信パルス幅のエコー信号から得られた追尾物標の運動情報を配置し、遠距離領域に、遠距離レンジに対応する送信パルス幅のエコー信号から得られた追尾物標の運動情報を配置する。また、自船周辺の所定の距離範囲には、最も短いパルス幅の送信信号から得られた追尾物標の運動情報を配置することが好ましい。
【0017】
なお、前述の記追尾物標の運動情報としては、追尾物標の移動方向、移動速度、自船から追尾物標までの距離、或いは追尾物標までの方位のうちの少なくとも1つ以上の情報が考えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、異なる送信パルス幅のエコー信号を用いて生成された1つの追尾物標の運動情報を、各探知レンジの表示用エコーデータに重畳するようにしたことにより、異なる探知レンジを表示する場合であっても、同じ追尾物標の運動情報を表示することができる。
【0019】
また、自船周辺領域に、パルス幅の短い、すなわち距離分解能の高いエコー信号から得られた追尾物標の運動情報を優先的に使用することにより、より詳細な追尾物標の運動情報を提供することが可能となる。この利点は、特に遠距離レンジの距離分解能が悪いという欠点を補うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1によるレーダ装置について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1において、本発明の実施の形態1によるレーダ装置は、探知レンジ決定部1と、処理パラメータ用レジスタ2と、送信パルス発生部3と、レンジ選択信号発生部4と、送信機5と、アンテナ6と、受信機7と、同調電圧設定タイミング発生部8と、同調処理部9と、エコーデータ生成部10と、ARPA処理部11と、表示出力合成部12と、表示部13とからなる。
【0022】
探知レンジ決定部1は、ユーザ入力に基づき、表示画面上に表示する探知レンジを決定するものである。例えば、表示画面上に2種類の探知画像を同時に表示する場合を想定すると、ユーザは操作手段を操作して2画面同時表示モードを選択するとともに表示を行う2つの探知レンジを選択する。探知レンジ決定部1は、この選択に基づいて表示画面上に表示する2種類の探知レンジの組合せを決定する。その後、探知レンジ決定部1で決定した探知レンジの組合せは、処理パラメータ用レジスタ2に出力され、各探知レンジにそれぞれ対応する送信パルス幅が処理パラメータ用レジスタ2で決定される。
【0023】
処理パラメータ用レジスタ2は、送信するパルス幅信号に応じた各構成回路の処理パラメータを保持するレジスタであり、探知レンジ決定部1により決定された探知レンジに対応する送信パルス幅、送信パルス発生部3から出力されるパルス信号、及びレンジ選択信号発生部4から出力されるレンジ選択パルスに基づいて、各構成要素に所定の処理パラメータを供給する。
【0024】
送信パルス発生部3は、処理パラメータ用レジスタ2からの情報をもとに各探知レンジに対応するパルス幅の信号の送信間隔を与えるとともに、次に送信する送信パルスの波形を発生するものである。処理パラメータ用レジスタ2から送信パルス発生部3に対しては、レンジ選択信号発生部4からのレンジ選択信号に基づいて、次に送信する信号のパルス幅、振幅情報、及び次回の信号送信タイミングが与えられる。送信パルス発生部3は、処理パラメータ用レジスタ2から与えられた次回の信号送信タイミングに基づいて、次回の信号送信タイミングまでの時間をカウントし、信号の送信タイミングに達すると、所定のパルス幅、振幅を有するパルス信号を発生する。
【0025】
レンジ選択信号発生部4は、探知レンジ決定部1で決定された探知レンジの組合せに対応する送信シーケンスを予め保持しており、探知レンジの組合せに応じた送信シーケンスに基づいて、各構成要素に次に送信するパルス幅信号を知らせるレンジ選択信号を出力する。なお、ここで送信シーケンスとは、各探知レンジに対応するパルス幅の信号の送信順序を決定するものであり、例えば、表示画面上に2種類の探知画像(レンジ0、レンジ1)を同時に表示する場合には、送信シーケンスは探知レンジにそれぞれ対応するレンジ0送信パルス及びレンジ1送信パルスをどのような順序で送信するのかを示す。送信シーケンスの一例としては、レンジ0、レンジ1の送信パルスの交互送信する送信シーケンスや、レンジ0、レンジ0、レンジ1のようにレンジ0送信パルスを2回送信後、レンジ1送信パルスを1回送信する送信シーケンス等が考えられる。
【0026】
そして、図1に示すような本発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成では、送信を行うパルス幅信号の送信順序、間隔を決定する送信パターンが、処理パラメータ用レジスタ2、送信パルス発生部3、及びレンジ選択信号発生部4により決定されることとなる。すなわち、パルス信号の送信順序がレンジ選択信号発生部4からのレンジ選択信号によって決められるとともに、各パルス信号間の送信間隔が処理パラメータ用レジスタ2及び送信パルス発生部3によって決められる。
【0027】
送信機5は、送信パルス発生部3から出力される信号のパルス幅、タイミングで、送信を行う電波を生成し、生成した電波信号をアンテナ6から送信する。なお、電波を発振する発振器としては一般にマグネトロンが用いられるが半導体等であってもよい。
【0028】
アンテナ6は、周期的に回転しながら、送信機5で発生させた電波信号を送信すると同時に、物標で反射した電波信号の反射波を受信する。
【0029】
受信機7は、パルス信号の送信毎に、物標で反射した信号の反射波を局部発振周波数を用いてダウンコンバートし、送信信号のパルス幅に対応する帯域のフィルタを用いて受信する。受信機7で使用する帯域フィルタのパラメータは、処理パラメータ用レジスタ2から供給される。受信機7で受信された信号はメインバング信号とエコー信号とに分けられ、メインバング信号は同調処理部8に、エコー信号はレーダエコー生成部10にそれぞれ出力される。なお、この信号の分岐処理は、例えばパルス信号の送信からの時間に応じてセレクタを切替えることにより実現できる。
【0030】
同調電圧設定タイミング発生部8は、同調処理部9による同調処理を行う際の同調電圧の切替えタイミングを与えるものであり、受信信号のサンプリング期間、及び同調電圧の設定開始から所望の局発周波数に達するまでの遅延時間に基づいて同調処理部9で設定する同調電圧の設定タイミングを発生する。なお、受信信号のサンプリング期間は、一般的に探知レンジに応じて決定されるものであり、通常、探知レンジの約1.5倍程度のデータをサンプリングする。
【0031】
また、発振器としてマグネトロンを使用するような場合には、パルス信号の送信タイミングの決定にあたって、前回の信号送信から次の信号送信までのマグネトロンの休止時間を考慮する必要がある。そのため、送信信号の送信パターンの決定に際しては、前回の信号送信から次の信号送信までのマグネトロンの休止時間をさらに考慮することが望ましい。
【0032】
同調処理部9は、同調電圧を生成するとともに、該生成した同調電圧をレジスタ等の記憶手段に格納しておき、同調電圧設定タイミング発生部8から与えられる同調電圧の設定タイミングに基づいて、レンジ選択信号で指示されるレンジに応じた同調電圧を設定するものである。
【0033】
ここで、同調処理部9による同調電圧の生成処理は、先ず、送信パルス幅に応じたサンプリング数を処理パラメータ用レジスタ2から受け、所定サンプリング数のメインバング信号を抽出する。この時、サンプリングデータは、同じパルス幅信号の受信信号毎に抽出される。その後、抽出した前記サンプリング数のメインバング信号から周波数情報を得ることにより、この周波数情報に相当するパルス幅信号毎の同調電圧を生成する。そして、このように生成された同調電圧は、一旦、同調処理部9が有するレジスタ等の記憶手段に格納される。その後、同調処理部9が、同調電圧設定タイミング発生部8から出力される同調タイミングに基づいて、所望のIF周波数に同調する局部発振周波数を生成するための同調電圧を出力する。
【0034】
なお、同調電圧は上述のように、メインバング信号を用いて求めるものの他、例えば、処理パラメータ用レジスタ2が予め各パルス幅に応じた同調電圧を保持しておき、同調処理部9が処理パラメータ用レジスタ2から供給される同調電圧をそのまま使用するようにしてもよい。
【0035】
エコーデータ生成部10は、受信機7から得られる同じ送信パルス幅のエコー信号を用いて表示用エコーデータを生成するものであり、レーダエコー信号処理部10a、描画アドレス発生部10b、画像メモリ10cから構成されている。
【0036】
レーダエコー信号処理部10aは、処理パラメータ用レジスタ2から出力される処理パラメータに基づいて、受信機5から出力されたエコー信号に対して、GAIN調整、不要波除去、表示レンジに応じたリサンプリングなどの信号処理を行う。
【0037】
描画アドレス発生部10bは、スイープの中心を開始番地として、中心から周辺に向かって、例えば船首方向を基準としたアンテナ角度θと送信からの時間tより、レーダエコー信号処理部10aから出力される画素データの、対応する直交座標で配列された画像メモリ10c上の番地を生成する。
【0038】
具体的には次式を実現するハードウェアにより構成される。
X = Xs + r・t・sinθ
Y = Ys + r・t・cosθ
X,Y:画像メモリ上の番地
Xs,Ys:中心番地
r:中心からの距離
t:送信からの時間
θ:スイープの角度
【0039】
画像メモリ10cは、少なくともアンテナ一回転で得られる受信データを記憶する容量を持つメモリで、レーダエコー信号処理部10aから順次出力される画素データを、描画アドレス発生部10bで生成される番地に書き込み、記憶し、表示操作と同期して、記憶したデータを出力する。これにより、表示を行う探知レンジに対応するエコーデータが生成される。
【0040】
ARPA処理部11は、受信機7で得られた、異なる送信パルス幅のエコー信号を用いて、表示用エコーデータと重畳する1つの追尾物標の運動情報を生成するものである。より詳細には、ARPA処理部11は、各送信パルス幅のエコー信号毎に追尾物標の運動情報を生成し、自船の位置からの距離範囲に応じて、各送信パルス幅のエコー信号毎に生成された追尾物標の運動情報を選択的に組合せることにより、表示用エコーデータと重畳する追尾物標の運動情報を生成する。なお、ARPA処理部11で使用する処理パラメータは処理パラメータ用レジスタ2から供給される。
【0041】
図2は、本発明の実施の形態1によるレーダ装置のARPA処理部11に入力されるエコー信号を説明するための説明図であり、図2(a)は探知領域を示す図、図2(b)はエコー検出部21のメモリに入力されるエコー信号を模式的に示した図である。なお、ここではレーダ装置が、2種類のパルス幅信号(パルス幅が短い近距離用のパルス幅信号Sとパルス幅が長い遠距離用のパルス幅信号L)を交互に送信した場合の一例を示している。
【0042】
図2(a)において、A、Bは追尾物標であり、図中の矢印方向に探知した際の探知情報を図2(b)に模式的に示している。なお、エコー収録範囲Sはパルス幅Sの送信信号に対するエコーのサンプリングデータ収録距離範囲、エコー収録範囲Lはパルス幅Lの送信信号に対するエコーのサンプリングデータ収録距離範囲を示している。
【0043】
また、図2(b)の塗潰部分は、図2(a)に示した追尾物標A、Bに対応するエコーである。S1〜S6はパルス幅が短い近距離用のパルス幅Sのエコー信号、L1〜L6はパルス幅が長い遠距離用のパルス幅信号Lのエコー信号である。なお、物標Bのエコー幅がS2〜S5とL2〜L5とで異なっているのは、S1〜S6とL1〜L6とで送信パルス幅が異なっているからである。
【0044】
所定パルス幅の各送信信号に対するエコー信号は、S1から順次、エコー検出部21の有するメモリに入力される。ARPA処理部11は、順次入力されるエコー信号を同じ送信パルス幅のエコー信号毎に切り分け、同じ送信パルス幅のエコー信号毎に別々に追尾物標の運動情報(ARPAの情報)を生成する。すなわち、ARPA処理部11では、入力されたS1〜S6のエコー信号とL1〜L6のエコー信号とが別々に処理されることとなる。
【0045】
以下、このARPA処理部11の処理について図3を用いて詳細に説明する。
図3は、ARPA処理部11の詳細な構成を示すブロック図である。
先ず、受信機7から順次入力されたエコー信号は、同じ送信パルス幅のエコー信号毎に切分けられ、エコー検出部21a、bに入力される。ここでは、2種類のパルス幅信号が交互送信されているため、受信機7から順次入力される信号は交互にエコー検出部21a、bに入力されることとなる。エコー検出部21a、bでは、それぞれ、方位信号に基づいてターゲットと見なせるエコーが抽出されるとともにエコーの代表位置が求められる。なお、入力される方位信号は受信したエコー信号の到来方向を知るための情報であり、アンテナの回転角と自船の船首方向を基準とした自船方位から求められる。
【0046】
エコー選別部22a、bは、エコー検出部21a、bからの出力を用いて追尾中のターゲットに該当するエコーだけを選択する。つまり次段の運動推定部23a、bから出力された前回の追尾ターゲットの推定位置、推定速度に基づいて、複数入力されるエコー信号から追尾中の物標のエコーに最も該当すると思われる受信エコーを1つ選択し、運動推定部23a、bに出力する。
【0047】
次に、運動推定部23a、bでは、エコー選別部22a、bで選択されたエコー位置から、同じ送信パルス幅のエコー信号毎に、追尾物標の移動方向や移動速度、或いは自船から追尾物標までの距離や追尾物標までの方位などの運動情報を推定する。運動推定部23は、例えば、前回のスキャンで得られた物標の推定移動位置とエコー検出部22a、bで得られたエコーの代表位置との中間位置の推移を平滑化し、追尾物標の推定位置を算出する。これにより、自船から追尾物標までの距離や追尾物標までの方位を推定できる。また、前回の推定位置と今回の推定位置の位置関係より、追尾物標の移動方向を推定できる。さらに、追尾物標の移動速度は、今回の推定位置と前回の推定位置の差をその変化に要した時間で除することにより追尾物標の相対速度を推定し、該推定した相対速度に、LOGやGPSセンサ出力で求まる自船速度量を加算することにより求めることができる。運動推定部23による追尾物標の位置、速度の推定にはαβトラッカーやカルマンフィルタなどが使われる。
【0048】
運動推定部23a、bで得られた推定位置、推定速度はデータ選択部24に出力される。
データ選択部24では、送信パルス幅信号毎の追尾物標の運動情報を選択し、表示データ作成部25により、表示用エコーデータに重畳するための追尾物標の運動情報が生成される。
【0049】
図4は、本発明の実施の形態1によるレーダ装置のARPA処理部11による追尾物標の運動情報の生成処理を説明するための説明図であり、図4(a)はパルス幅信号毎の追尾物標の運動情報を示す図、図4(b)は表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報を示す図である。図4において、41bから46bは追尾物標の運動情報を示している。
【0050】
データ選択部24は、先ず、運動推定部23a、bによって、パルス幅信号毎に生成される追尾物標の運動情報から表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報を選択する。表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報は、送信パルス幅信号毎に得られる複数の追尾物標の運動情報を、自船の位置からの距離範囲毎に応じて選択的に組み合わせることにより生成される。基本的には、パルス幅の短い、すなわち距離分解能の高いエコー信号から得られた追尾物標の運動情報を優先的に自船の周辺領域に使用するように制御が行われ、例えば、最も近距離レンジに対応する送信パルス幅信号から得られた追尾物標の運動情報が自船の周辺領域に配置されるとともに、それ以遠については物標の距離範囲に応じて順次遠距離レンジに対する送信パルス幅信号から得られた追尾物標の運動情報が配置される。
【0051】
図4(b)に示す例は、各探知レンジの表示対象となる距離範囲に応じて追尾物標の運動情報を切替えた例であり、自船位置からの距離がR0の範囲内はパルス幅Sのエコー信号を用いて生成した追尾物標の運動情報を使用し、自船からの距離がR0からR1の範囲内では長いパルス幅Lのエコー信号を用いて生成した追尾物標の運動情報を使用している。この時、追尾物標が何れの領域に属するかの判断は、エコー検出部21で検出されるエコーの代表位置が何れの領域に入っているかを基準に行う。また、エコー検出部21で検出される物標の代表位置が境界線上にある場合には、いずれの領域に属するかを予め決めておけばよい。なお、図4(b)の例では、境界線上に代表位置のある追尾物標33が近距離レンジ側に属するようにした例を示しており、表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報として、近距離レンジ側の追尾物標の運動情報43bが使用されている。
【0052】
次に、追尾物標が境界領域を超えて移動した場合について説明する。
追尾物標が境界領域を超えて移動した場合、境界線上を移動する前後で移動もとの追尾物標の運動情報と移動先の追尾物標の運動情報とを切替えてもよいが、表示の対象となる追尾物標の運動情報の基データが異なることとなるため、境界線前後で表示される追尾物標の運動情報が相違する恐れもある。そのため、境界線を越えて移動する追尾物標に対しては、当該追尾物標に対する運動情報が求まっている限りで、継続的に移動もとの追尾物標の運動情報を選択するようにしてもよい。
【0053】
また、反射強度の弱い物標については、送信パルス幅が長いパルス幅Lのエコー信号を用いた方が映りやすいため、例えば、エコー選別部24がエコー面積やレベル毎のスキャンのエコー出現率をターゲット毎に記憶しておき、弱いエコーと判断したものに対してのみ、パルス幅の長いエコー信号を用いて生成した追尾物標に対する運動情報を選択するようにしてもよい。
【0054】
また、追尾物標の運動情報を切替える境界であるが、図4に示す例では各探知レンジの表示対象となる距離範囲をもとに境界を決定している。しかしながら、通常のレーダ装置では探知レンジの約1.5倍程度の距離範囲にわたってエコー信号がサンプリングされているため、実質的には2以上のエコー信号が重複してサンプリングされている領域内で自由に境界を変更することが可能である。そのため、例えば、自船からの距離が離れ、近距離レンジ側の追尾物標の運動情報が得られなくなった時点で、遠距離レンジ側の追尾物標の運動情報に切替えるようにしてもよい。また、追尾物標の運動情報を切替える境界は、特定の物標毎に切替えることもでき、物標のエコー面積や信号強度に応じて物標毎に切替え境界を設定してもよい。
【0055】
そして、このように生成された図4(c)に示す追尾物標の運動情報は、表示データ作成部25により表示画面上に表示するためのベクトル情報などに変換され、表示出力合成部部12に出力される。
【0056】
表示出力合成部12は、各探知レンジの表示用エコーデータにARPA処理部11から出力される追尾物標の運動情報を重畳して表示部13に出力する。
【0057】
図5は、表示出力合成部12の処理を説明するための説明図であり、R0とR1の2つのレンジに対応する2種類のパルス幅信号(S、L)を交互に送信した場合の例を示す。図5(a)はエコーデータ生成部10から出力される表示用エコーデータを示す図、図5(b)はARPA処理部11から出力される表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報を示す図、図5(c)は表示部13に出力される合成情報を示す図である。なお、ここでは運動情報を速度ベクトルとして表している。また、図5中、41aから46aは物標のエコーを示し、41bから46bは物標エコー41aから46aにそれぞれ対応する追尾物標の運動情報を示している。
【0058】
図5に示すように、レンジR0の表示データは、パルス幅Sのエコー信号から得られた表示用エコーデータとパルス幅Sのエコー信号から得られた追尾物標の運動情報とをそのまま重ねた表示画像になる。一方で、レンジR1の表示データは、パルス幅Lのエコー信号から得られた表示用エコーデータに図5(b)が重畳されたものとなり、自船位置からR0までの距離範囲はパルス幅Sのエコー信号から得られた追尾物標の運動情報が重畳され、R0からR1までの距離範囲はパルス幅Lのエコー信号から得られた追尾物標の運動情報が重畳される。
【0059】
表示部13はCRTやLCDの指示器であり、表示出力合成部12の出力を表示する。表示形態としては、図5(c)に示す、異なる探知レンジの画像を同じ画面上に同時に表示するようにしても良いし、もちろん、何れか一方の画像を表示するようにしてもよい。
【0060】
このように、異なるレンジの表示用エコーデータに、同じ追尾物標の運動情報を重畳するようにしたことにより、近距離レンジR0の追尾物標の運動情報と遠距離レンジR1の追尾物標の運動情報との整合とることができ、探知レンジが異なる場合であっても同じ追尾物標の運動情報を提供することができる。
【0061】
また、自船周辺領域に、近距離レンジに対応する送信パルス幅信号から得られた追尾物標の運動情報を使用することにより、より詳細な追尾物標の運動情報を提供することが可能となる。この利点は、特に遠距離レンジの距離分解能の悪いという欠点を補うことができる点にある。つまり、図5のエコー45aに示すように、遠距離側のエコーデータとして2つの物標が重なって1つのエコーに見えてしまう場合であっても、距離分解能の高い近距離側のエコー信号を用いて生成した追尾物標の運動情報を重畳することにより、図5のエコー45aが実際には2つの物標であることを正確に表示することができる。
【0062】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2によるレーダ装置について説明する。
【0063】
本発明の実施の形態2によるレーダ装置は、ARPA処理部11が、自船の位置からの距離範囲に応じて、異なる送信パルス幅のエコー信号を選択し、該選択したエコー信号を用いて表示用エコーデータと重畳する追尾物標の運動情報を生成するものである。なお、前記本発明の実施の形態1によるレーダ装置と同様の構成要素については説明を省略する。
【0064】
図6は本発明の実施の形態2によるレーダ装置のARPA処理部11におけるエコー検出部21cの動作を説明するための説明図であり、2種類のパルス幅信号(パルス幅が短い近距離用のパルス幅信号Sとパルス幅が長い遠距離用のパルス幅信号L)を交互に送信した場合の一例を示している。また、図7は、ARPA処理部11の詳細な構成を示すブロック図である。
【0065】
図6(a)は探知領域を示す図、図6(b)はエコー検出部21cのメモリに入力されるエコー信号を模式的に示した図である。
【0066】
図6(a)において、A、Bは追尾物標であり、図中の矢印方向に探知した際の探知情報を図6(b)に模式的に示している。なお、エコー収録範囲Sはパルス幅Sの送信信号に対するエコーのサンプリングデータ収録距離範囲、エコー収録範囲Lはパルス幅Lの送信信号に対するエコーのサンプリングデータ収録距離範囲を示している。
【0067】
また、図6(b)の塗潰部分は、図6(a)に示した追尾物標A、Bに対応するエコーである。S1〜S6はパルス幅が短い近距離用のパルス幅Sのエコー信号、L1〜L6はパルス幅が長い遠距離用のパルス幅信号Lのエコー信号である。なお、物標Bのエコー幅がS2〜S5とL2〜L5とで異なっているのは、S1〜S6とL1〜L6とで送信パルス幅が異なっているからである。
【0068】
所定パルス幅の各送信信号に対するエコー信号は、S1から順次、エコー検出部21cの有するメモリに入力される。この時、エコー検出部21cは、自船位置からの距離範囲に応じて、追尾物標の運動情報を作成するためのエコー信号の選択を行う。図6(b)中、網掛け部分が選択されたエコー信号であり、エコー信号のサンプリング数が所定の閾値以下の範囲ではS1〜S6の信号を使用し、サンプリング数が所定の閾値より大きくなった時点でL1〜L6を使用している。つまり、エコー信号のサンプリング数は自船位置からの距離に相当するため、エコー検出部21cは自船位置からの距離範囲に応じて近距離用のパルス幅信号Sと遠距離用のパルス幅信号Lとを選択し、選択したエコー信号からエコーを抽出し、その代表位置を算出する。また、物標がエコー信号の切替えを行う境界を跨って存在するような場合には、例えば、最初に現れたエコーの特定位置(エコーの中心位置等)が何れの領域に存在するかを基準に、連続的に現れる物標エコーに対して使用する、パルス幅信号を選択すればよい。
【0069】
その後、エコー検出部21cで抽出されたエコー信号は、エコー選別部22cによるエコー選別や運動推定部23cによる位置、速度の推定が行われ、表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報が生成される。図6に示す例ではエコー信号を切替える境界より自船側の領域に存在する物標BについてはS2〜S5のエコー信号が使用され、物標Bの運動情報が生成される。一方で、境界より外側の領域に存在する物標AについてはL3、L4のエコー信号が使用され、物標Aの運動情報が生成される。これにより、自船位置からの距離範囲に応じて使用するエコー信号の異なった、エコー信号に重畳するための1つの追尾物標の運動情報が生成される。
【0070】
ARPA処理部11で生成された表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報は、表示出力合成部12によってエコーデータ生成部10から出力される、各探知レンジの表示用エコーデータに重畳され、表示部13に出力される。なお、表示部13に出力される結果自体は、前述の実施の形態1で図5(c)を用いて説明したものと同様である。
【0071】
表示部13はCRTやLCDの指示器であり、表示出力合成部12の出力を表示する。この時の表示画像は、ARPA処理時のエコー信号の切替え境界内外で、それぞれ異なるエコー信号から生成された追尾物標の運動情報が表示される。
【0072】
このように、ARPA処理部11が自船の位置からの距離範囲に応じて、異なる送信パルス幅のエコー信号を選択し、該選択したエコー信号を用いて表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報を生成するようにしたことにより、異なる送信パルス幅のエコー信号毎に追尾物標の運動情報を作成する場合に比べ、ARPA処理部11での演算処理負担を軽減することができる。
【0073】
なお、本発明の各実施形態では2種類のパルス幅信号を送信するものを例に挙げて説明したが、送信するパルス幅信号が3種類以上であっても同様に適用可能であり、前述した本発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態1によるレーダ装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1によるレーダ装置のARPA処理部に入力されるエコー信号を説明するための説明図
【図3】本発明の実施の形態1によるレーダ装置のARPA処理部の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態1によるレーダ装置のARPA処理部による追尾物標の運動情報の生成処理を説明するための説明図
【図5】本発明の実施の形態1によるレーダ装置の表示出力合成部の処理を説明するための説明図
【図6】本発明の実施の形態2によるレーダ装置のARPA処理部を説明するための説明図
【図7】本発明の実施の形態2によるレーダ装置のARPA処理部の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0075】
1 探知レンジ決定部
2 処理パラメータ用レジスタ
3 送信パルス発生部
4 レンジ選択信号発生部
5 送信機
6 アンテナ
7 受信機
8 同調電圧設定タイミング発生部
9 同調処理部
10 エコーデータ生成部
10a レーダエコー信号処理部
10b 描画アドレス発生部
10c 画像メモリ
11 ARPA処理部
12 表示出力合成部
13 表示部
21a、21b、21c エコー検出部
22a、22b、22c エコー選別部
23a、23b、23c 運動推定部
24 データ選択部
25 表示データ作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上のパルス幅の信号を1つのアンテナで送受信するレーダ装置において、
2以上の異なるパルス幅信号を所定の送信パターンで送信する送信機と、
前記送信したパルス幅信号の反射波を受信する受信機と、
異なる送信パルス幅のエコー信号を用いて、表示用エコーデータと重畳する1つの追尾物標の運動情報を生成するARPA処理部とを備えることを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
少なくとも2以上のパルス幅の信号を1つのアンテナで送受信するレーダ装置において、
2以上の異なるパルス幅信号を所定の送信パターンで送信する送信機と、
前記送信したパルス幅信号の反射波を受信する受信機と、
前記受信機で得られた同じ送信パルス幅のエコー信号を用いて、探知レンジに対応する表示用エコーデータを生成するエコーデータ生成部と、
異なる送信パルス幅のエコー信号を用いて、表示用エコーデータと重畳する1つの追尾物標の運動情報を生成するARPA処理部と、
前記ARPA処理部で生成された追尾物標の運動情報を、前記表示用エコーデータに重畳する表示出力合成部と、
前記表示出力合成部で重畳した画像を表示する表示部とを備えることを特徴とするレーダ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーダ装置において、
前記ARPA処理部は、各送信パルス幅のエコー信号毎に追尾物標の運動情報を生成し、自船の位置からの距離範囲に応じて、各送信パルス幅のエコー信号毎に生成された追尾物標の運動情報を選択的に組合せることにより、表示用エコーデータと重畳する追尾物標の運動情報を生成することを特徴とするレーダ装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のレーダ装置において、
前記ARPA処理部は、自船の位置からの距離範囲に応じて、異なる送信パルス幅のエコー信号を選択し、該選択したエコー信号を用いて表示用エコーデータと重畳する追尾物標の運動情報を生成することを特徴とするレーダ装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載のレーダ装置において、
前記ARPA処理部は、自船周辺領域に、近距離レンジに対応する送信パルス幅のエコー信号から得られた追尾物標の運動情報を配置し、遠距離領域に、遠距離レンジに対応する送信パルス幅のエコー信号から得られた追尾物標の運動情報を配置して、前記表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報を生成することを特徴とするレーダ装置。
【請求項6】
請求項1から4の何れかに記載のレーダ装置において、
前記ARPA処理部は、前記表示用エコーデータに重畳する追尾物標の運動情報の、自船周辺の所定の距離範囲に、最も短いパルス幅の送信信号から得られた追尾物標の運動情報を配置することを特徴とするレーダ装置。
【請求項7】
請求項1から4の何れかに記載のレーダ装置において、
前記追尾物標の運動情報は、追尾物標の移動方向、移動速度、自船から追尾物標までの距離、或いは追尾物標までの方位のうちの少なくとも1つ以上の情報を含むことを特徴とするレーダ装置。
【請求項8】
少なくとも2以上のパルス幅信号を、1つのアンテナで送受信するレーダ画像表示方法において、
2以上の異なるパルス幅信号を所定の送信パターンで送信する送信ステップと、
前記送信したパルス幅信号の反射波を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した同じ送信パルス幅のエコー信号毎に、探知レンジに対応する表示用エコーデータを生成するエコーデータ生成ステップと、
異なる送信パルス幅のエコー信号を用いて、表示用エコーデータと重畳する1つの追尾物標の運動情報を生成するARPA処理ステップと、
前記ARPA処理ステップで生成された追尾物標の運動情報を、各探知レンジの表示用エコーデータに重畳する表示出力合成ステップと、
前記表示出力合成ステップで合成した画像を表示する表示ステップとを含むことを特徴とするレーダ画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−333482(P2007−333482A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163914(P2006−163914)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】