説明

レーダ装置

【課題】 2周波CWモノパルス方式のレーダ装置において、移動する人からの反射波はドップラ信号の周波数スペクトルに先鋭なピークを生じにくく検出しにくい。
【解決手段】 2つの受信部によりLチャンネル、Rチャンネルのドップラ信号を取得する。各チャンネルの2周波の送信波に対するドップラ信号からLチャンネルの距離情報350,Rチャンネルの距離情報352を取得する。周波数毎に両距離情報の差の絶対値354を求め、その絶対値が所定の閾値DErrを越える帯域358はノイズ信号を含むものとして除去し、物体からの反射波に基づくドップラ信号を含む有効周波数帯域を取得する。同様に、両チャンネルのドップラ信号に基づいて、反射波の到来する角度情報を送信周波数に対応して2種類取得し、それらの相関に基づいて有効周波数帯域を抽出する。取得した有効周波数帯域の情報に基づいて移動物体の検知、位置等の測定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信周波数を時分割で切り換え、かつ複数の受信部で反射波を受信して移動物体に基づくドップラ信号を検出するレーダ装置に関し、特に、受信信号のスペクトルに現れるノイズと移動物体によるドップラ信号との弁別に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波を照射し、物体によって反射された電波を受信し、その受信信号の遅延時間や信号の強さ、位相の変化などを利用して、物体までの距離、物体の存在する方位角度や相対速度を測定するマイクロ波レーダ装置がある。このレーダ装置は、移動物体の監視システム(以下、センサと呼ぶ)に利用されている。
【0003】
電波による距離測定の方法としてはFMCW(Frequency-Modulated Continuous Wave)方式、2周波CW(Continuous Wave)方式等が知られている。特に、2周波CW方式はわずかに異なる周波数の送信波を時分割で交互に切換えて送出するものである。この方式は、移動物体からの反射波を受信した受信信号に含まれるドップラ信号を各送信周波数毎に抽出し、そのドップラ信号の位相差に基づいて距離を測定するものであり、狭い占有周波数帯域幅で監視領域内の移動物体までの距離を近距離まで高精度に測定可能である。
【0004】
一方、電波による角度測定の方法としては、アンテナ切換方式、フェーズドアレイ方式、モノパルス方式などがある。特にモノパルス方式は2つのアンテナで受信した信号の位相差を利用して反射波の到来方向が得られる方式であり、上述の他の方式よりも少ないアンテナで高い角度分解能を得ることが可能である。
【0005】
下記特許文献1、2には、自動車用の衝突防止装置として測距に2周波CW方式、測角にモノパルス方式を利用した車載レーダ装置(以下、2周波CWモノパルス方式と呼ぶ)が記載されている。
【0006】
電波を利用したレーダは、風雨など天候の影響を受けにくく、監視範囲内での物体の位置を特定できることから、屋外における侵入検知センサとしても非常に有望視されている。
【0007】
一般に2周波CWモノパルス方式では、受信したドップラ信号を周波数解析しパワースペクトルのピークから物体の存在を判断し、また当該ピーク位置に対応するドップラ周波数での位相情報から距離及び角度を算出する。
【特許文献1】特開2003−232853号公報
【特許文献2】特開2002−71793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、侵入検知センサの場合は、検知対象が人体などであり、車両等に比べて受信強度が弱く、パワースペクトルの明確なピークを得ることが難しい。図8は、人体からの反射波を含むパワースペクトルの一例を示す模式図である。同図に示すように、移動物体の存在に起因するスペクトル上の成分2と、その他の周波数範囲に現れるノイズによる成分との識別が困難であり、物体の検出精度が低下するという問題がある。
【0009】
2周波CWモノパルス方式は、その構成上、距離及び角度の測定値を2組得ることができる。特許文献2には、この各々の組の結果を平均することにより誤差を低減できることが示されている。すなわち、2組の平均により、ドップラ信号のピーク検出の精度を補った測定が可能となる。しかし、そもそもピークを検出できないような場合には、このような単純な平均による方法だけでは、物体を精度良く検出することができない。
【0010】
ここで、人体が移動したときに発生するドップラ信号には、人体全体としての移動速度だけでなく、人体全体内での各部の移動速度成分も含んで検出される。そのため、ドップラ信号のスペクトル上において、人体に起因する周波数成分は人体全体の移動速度成分を中心として拡がり、このことがスペクトル上、先鋭なピークの形成を妨げる一因となり、ピークの検出をより困難とする要因となっている。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、2周波CWモノパルス方式のセンサにおいて、移動物体に起因するドップラ信号が先鋭なピークを形成しない場合においても、当該ドップラ信号の検出を可能とし、移動物体の位置等の測定精度の向上が図られるレーダ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るレーダ装置は、複数の受信部を備え、送信部から送信周波数が互いに異なる2種類の送信波を時分割送信し、前記各受信部それぞれによって前記各送信波に対する反射波を受信して、移動物体に基づくドップラ信号を検出するものにおいて、前記2種類の送信波に対し前記各受信部にて得られる受信信号それぞれについて周波数解析を行う手段と、前記各受信部毎に、前記各送信波それぞれに対応する前記周波数解析の結果に基づいて周波数成分毎に求めた前記反射波の伝播距離からなる距離情報を生成する距離情報生成手段と、前記複数の受信部に対応して生成された複数の前記距離情報に基づいて、前記受信信号の周波数スペクトルのうち前記移動物体の前記ドップラ信号を含む周波数範囲に対応した関心周波数帯域を抽出する関心帯域抽出手段と、を有するものである。
【0013】
他の本発明に係るレーダ装置は、複数の受信部を備え、送信部から送信周波数が互いに異なる2種類の送信波を時分割送信し、前記各受信部それぞれによって前記各送信波に対する反射波を受信して、移動物体に基づくドップラ信号を検出するものにおいて、前記2種類の送信波に対し前記各受信部にて得られる受信信号それぞれについて周波数解析を行う手段と、前記送信波の種類毎に、前記各受信部に対応する前記周波数解析の結果に基づいて周波数成分毎に求めた前記反射波の到来角度からなる角度情報を生成する角度情報生成手段と、前記送信波の種類に対応して生成された2つの前記角度情報に基づいて、前記受信信号の周波数スペクトルのうち前記移動物体の前記ドップラ信号を含む周波数範囲に対応した関心周波数帯域を抽出する関心帯域抽出手段と、を有するものである。
【0014】
さらに他の本発明に係るレーダ装置は、複数の受信部を備え、送信部から送信周波数が互いに異なる2種類の送信波を時分割送信し、前記各受信部それぞれによって前記各送信波に対する反射波を受信して、移動物体に基づくドップラ信号を検出するものにおいて、前記2種類の送信波に対し前記各受信部にて得られる受信信号それぞれについて周波数解析を行う手段と、前記各受信部毎に、前記各送信波に対応する前記周波数解析の結果に基づいて周波数成分毎に求めた前記反射波の伝播距離からなる距離情報を生成する距離情報生成手段と、前記送信波の種類毎に、前記各受信部に対応する前記周波数解析の結果に基づいて周波数成分毎に求めた前記反射波の到来角度からなる角度情報を生成する角度情報生成手段と、前記複数の受信部に対応して生成された複数の前記距離情報及び前記送信波の種類に対応して生成された2つの前記角度情報に基づいて、前記受信信号の周波数スペクトルのうち前記移動物体の前記ドップラ信号を含む周波数範囲に対応した関心周波数帯域を抽出する関心帯域抽出手段と、を有するものである。
【0015】
別の本発明に係るレーダ装置においては、前記関心帯域抽出手段が、各周波数成分での前記複数の距離情報相互の相関に基づいて前記関心周波数帯域を抽出する。
【0016】
また別の本発明に係るレーダ装置においては、前記関心帯域抽出手段が、各周波数成分での前記複数の角度情報相互の相関に基づいて前記関心周波数帯域を抽出する。
【0017】
さらに別の本発明に係るレーダ装置においては、前記関心帯域抽出手段が、さらに前記各周波数成分にて、前記受信信号の前記周波数スペクトルの強度を考慮して前記関心周波数帯域を抽出する。
【0018】
また他の本発明に係るレーダ装置は、前記関心周波数帯域内における前記距離情報及び前記角度情報それぞれの変動幅が所定の許容値以下の周波数範囲である共通属性帯域を求め、当該共通属性帯域を単一の前記移動物体に対応するものとしてラベル付けを行うラベリング手段を有する。
【0019】
さらに他の本発明に係るレーダ装置は、前記関心周波数帯域内における前記距離情報、前記角度情報及び、前記受信信号の前記周波数スペクトルの強度それぞれの変動幅が所定の許容値以下の周波数範囲である共通属性帯域を求め、当該共通属性帯域を単一の前記移動物体に対応するものとしてラベル付けを行うラベリング手段を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、個々の受信部にて、2種類の周波数の送信波それぞれに対応する受信信号に基づいて、受信信号の各周波数成分に対応する反射波の伝播距離が算出される。周波数の関数として得られる伝播距離である距離情報は、受信部の数に対応して、複数得られる。また、複数の受信部それぞれにより得られる受信信号に基づいて、受信信号の各周波数成分に対応する反射波の到来角度が算出される。周波数の関数として得られる到来角度である角度情報は、送信波の周波数の種類に対応して、2つ得られる。
【0021】
距離情報や角度情報は、受信信号の周波数成分が実際には物体からの反射に基づくものではなく、ノイズによるものであっても形式的に算出される。しかしながら、距離情報や角度情報のうちノイズに起因する周波数範囲では、算出値のばらつきが大きくなる。また、受信部の数に応じて複数得られる距離情報相互間においては、同じ周波数成分での伝播距離の算出値の間にはノイズに起因する周波数範囲では原理的に関連が存在しない。同様に、送信周波数の種類に応じて複数得られる角度情報相互間においても、同じ周波数成分での到来角度の算出値の間にはノイズに起因する周波数範囲では原理的に関連が存在しない。
【0022】
これに対して、受信信号の周波数成分が物体からの反射に基づくものである場合には、送信周波数や受信部を変えても、得られる距離や角度の算出値は一致又は同程度となることを期待できる。ここで、その物体が人体のように速度分布に拡がりを有するものである場合には、周波数スペクトル上でピークが形成されにくい。しかし、この場合には、距離情報や角度情報のうち当該物体の速度分布に対応した周波数範囲では、距離や角度の算出値は当該物体との実際の距離や角度に基づく、ほぼ一定の値となることを期待できる。
【0023】
よって、距離情報や角度情報において、ノイズに起因する周波数範囲と実際の物体からの反射波に起因する周波数範囲とでは、算出値の分布形態に差異が存在する。本発明によれば、複数の距離情報の組み合わせ、複数の角度情報の組み合わせ、又はそれら両情報をさらに組み合わせることにより、距離情報や角度情報での算出値の分布形態の差異に基づいて、移動物体によるドップラ信号の周波数範囲をノイズの周波数範囲から精度良く弁別することができる。また、受信信号の周波数スペクトルのうち同一の物体の反射波の周波数範囲での強度もほぼ一定となることを期待できるので、当該強度を距離情報や角度情報と組み合わせることで、さらに弁別精度を向上させることが可能となる。
【0024】
そして、本発明によれば、移動物体からのドップラ信号を精度良く抽出することができることにより、移動物体の位置を精度良く検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、実施形態に係る侵入検知装置の概略の構成を示すブロック図である。本装置は2周波CWモノパルス方式のレーダ装置をセンサとして含み、監視領域に出現する人等の移動物体を検知するものであり、送信部10、2つの受信部20,22、A/D(Analog to Digital)変換部30、信号処理部40、記憶部50、及び出力部60を含んで構成される。
【0027】
送信部10は、電圧制御発振器100、切換信号発生器102及び送信アンテナ104を含んで構成される。電圧制御発振器100は、異なる2つの周波数f,fを有するマイクロ波帯の送信信号W,Wを発生可能に構成され、W1,W2の切り換えは切換信号発生器102により制御される。
【0028】
切換信号発生器102は、電圧制御発振器100におけるW1,W2の発生を時分割で切換えるための切換タイミング信号を発生する。切換周波数は、基本的に、本装置が検知対象とする物体の移動によって発生し得るドップラ周波数の2倍以上に設定される。
【0029】
送信アンテナ104は、電圧制御発振器100が出力する送信信号を空中へ送出する。
【0030】
受信部20は受信アンテナ120、ミキサ122及び切換器124を含んで構成され、同様に、受信部22は受信アンテナ121、ミキサ123及び切換器125を含んで構成される。
【0031】
受信アンテナ120,121はそれぞれ、送信部10が送出した送信波に対する反射波を受信し、受信信号をミキサ122,123へ伝える。受信アンテナ120,121はモノパルス測角できるよう、指向性特性が同じ2つのアンテナで構成され、かつ所定の間隔を置いて配置される。センサから監視領域を臨む向きを基準として、右側のアンテナをアンテナRとしその信号系統をRチャンネル、また左側のアンテナをアンテナLとしその信号系統をLチャンネルとする。
【0032】
ここで、アンテナRとアンテナLとの間隔は、モノパルス測角の原理から送信波の波長より短く設定される。例えば、送信波の周波数を24GHz帯とし、受信アンテナ間隔をその半波長に設定する場合、具体的な間隔は6mm程度となる。なお、モノパルス測角の原理については後述する。原理的にはこの2つの受信アンテナの位置の違いに起因して、アンテナR,Lそれぞれによって測定される物体までの距離に差異が生じる。しかし、その差異は、本装置が対象とする物体までの距離(例えば1mや10m)に比べ極めて小さく、両アンテナR,Lによる測定距離は実質的に同じと考えることができる。さらに、2つの受信アンテナの指向性特性が同じであり、アンテナR,Lが受信対象とする空間は実質的に一致する。つまり、アンテナR,Lは同じ空間からの反射波を受信するので、R,Lチャンネルそれぞれの受信信号にて検知される移動物体に基づくドップラスペクトルは、基本的に同じとなる。
【0033】
ミキサ122,123はそれぞれ、受信アンテナ120,121からの受信信号と、電圧制御発振器100からの送信信号をミキシングしドップラ信号を生成する。
【0034】
切換器124,125はそれぞれ、ミキサ122,123から出力されるドップラ信号を、切換信号発生器102が出力する切換タイミング信号に連動して振り分ける。これら切換器124,125により、ミキサ122,123で生成されたドップラ信号が、送信信号Wに対応するドップラ信号と送信信号Wに対応するドップラ信号とに分離される。
【0035】
A/D変換部30は、切換器124,125から得られたドップラ信号に、適切な帯域制限を行い、信号処理部40で扱えるデジタルデータに変換する。ここで、適切な帯域制限とは、ナイキスト周波数、つまりデジタル変換する際のサンプリング周波数の1/2以下の周波数のみに帯域を制限することである。
【0036】
信号処理部40は、A/D変換部30から入力される波形データに基づいて、監視領域内の物体の位置を特定する処理を行うと共に、監視領域に侵入者がいるかどうかの判断を行い、結果を出力部60へ伝える。信号処理部40は、FFT(Fast Fourier Transform)計算部140、距離算出部142、角度算出部144、ノイズ帯域除去部146、物体位置特定部148、判定部150を含んで構成される。
【0037】
FFT計算部140は、A/D変換部30から順次入力される波形データから所定時間幅分のデータを取り出して周波数解析を行い、強度と位相とを得る。ここで、Rチャンネルの送信信号Wに対応するドップラ信号から求めた位相を位相情報φR1(f)、送信信号Wに対応するドップラ信号から求めた位相を位相情報φR2(f)とする。同様にLチャンネルに関する送信信号W,Wに対応するドップラ信号からそれぞれ求めた位相を位相情報φL1(f),φL2(f)とする。また、送信信号W,Wに対応するRチャンネルのドップラ信号から求めた強度情報をPR1(f),PR2(f)、Lチャンネルのドップラ信号から求めた強度情報をPL1(f),PL2(f)とする。
【0038】
距離算出部142は、FFT計算部140で得られた位相情報に基づき、後述する処理を行って、物体とセンサとの距離に関する距離情報を生成する。距離算出部142は、Rチャンネルの位相情報φR1(f),φR2(f)からRチャンネルの距離情報D(f)を生成し、同様にLチャンネルの位相情報φL1(f),φL2(f)からLチャンネルの距離情報D(f)を生成する。
【0039】
角度算出部144は、FFT計算部140で得られた位相情報に基づき、後述する処理を行って、センサに対する物体の方位角度に関する角度情報を生成する。角度算出部144は、送信信号Wに対するドップラ信号の位相情報φR1(f),φL1(f)から角度情報θ(f)を生成し、同様に送信信号Wに対するドップラ信号の位相情報φR2(f),φL2(f)から角度情報θ(f)を生成する。
【0040】
ノイズ帯域除去部146は、距離算出部142で生成されたRチャンネル、Lチャンネルそれぞれに関する距離情報D(f),D(f)及び、角度算出部144で生成された送信信号W,Wそれぞれに関する角度情報θ(f),θ(f)に基づき、それらの間の相関関係を利用した後述する処理を行って、ミキサ122,123にて得られるドップラ信号の周波数スペクトルのうち、ノイズ信号を含む帯域を除外し、物体の位置特定が可能な信号を含む有効周波数帯域(関心周波数帯域)を抽出する。ここでいうノイズとは、物体の存在以外によって発生する不要な信号を意味し、暗騒音によるものや、機器に発生するスパイクノイズなど様々なものを含むものである。一方、有効周波数帯域には、物体からの反射波に基づくドップラ信号が含まれる。
【0041】
物体位置特定部148は、ノイズ帯域除去部146にて得られた有効周波数帯域の距離情報と角度情報とに基づいて、後述するラベリング処理を実行する。監視領域に複数物体がある場合は、有効周波数帯域のうち各物体に対応する部分を判別、分離し、それぞれの位置、速度、反射断面積を特定し、物体情報として判定部へ出力する。
【0042】
判定部150は、物体位置特定部148にて生成された物体情報から、侵入判定を行う。侵入と判定した場合には出力部60へ通知する。
【0043】
記憶部50は、ノイズ帯域除去部146で利用する距離差及び角度差の閾値や、判定部150で利用する監視領域、対象とすべき反射強度の閾値などの情報を保存しておく。
【0044】
出力部60は、判定部150からの侵入者ありとの通知を受けると、光や音によって警報を発したり、本装置に接続された通信回線を介して監視センターなどへ異常検出信号を送信する。
【0045】
次に本装置の動作について説明する。図2は、本装置の全体的な動作を示す概略のフロー図である。送信部10が送信信号W,Wを時分割で交互に送信する動作に同期して、波形データが取得される(S200)。各送信信号に対する反射波は、受信アンテナ120,121により受信され、Rチャンネル及びLチャンネルそれぞれの受信信号が得られる。各チャンネルの受信信号はミキサ122,123にて送信信号をミキシングされ、ドップラ信号に変換された後、送信信号Wに対する信号と送信信号Wに対する信号とに分離される。これら各チャンネルの送信信号別に分離されたドップラ信号は、A/D変換部30により、所定周波数でサンプリングされデジタルデータに変換され波形データが生成される。生成された波形データはA/D変換部30内のメモリに蓄積される。
【0046】
信号処理部40により、受信信号から得られた波形データから物体の距離と方位角度とを特定し、監視領域内での物体の二次元位置を求める処理が行われる(S205)。その処理の詳細については後述する。
【0047】
二次元位置特定処理S205により得られた情報に基づいて、監視領域内に検知対象サイズの物体が存在するか否かが判定される(S210)。すなわち、処理S205によって得られた物体の大きさが所定条件、例えば、人体とみなせる大きさ以上である等の条件を満たし、かつ検出された位置が予め設定された監視領域内であるかが判断される。ここで、物体が複数検出されている場合は、それぞれ個別に判断する。
【0048】
監視領域内に検知対象サイズの物体が検出された場合には(S210)、当該物体の監視領域内に存在している時間が測定される。具体的には、信号処理部40は、検出された物体ごとにタイマを割り当てて計時する。処理S210にて物体が検出された場合、当該物体が、既にタイマが起動中の物体であるか判断される(S215)。タイマが起動していなければ、当該物体にタイマを割り当てて起動し、計時が開始される(S220)。
【0049】
このタイマは監視領域外の木の枝が揺れるなどして監視領域に一瞬だけ入った物体を侵入者として検知しないためのもので、一定時間、監視領域内に滞在した場合に侵入者と判断するためのものである。この目的から、判定処理S210にて、物体が監視領域外であると判定された場合には、当該物体に割り当てたタイマをクリアする(S225)。一方、起動している全てのタイマのうちいずれか1つでも規定値を超えている場合は、そのタイマに対応する物体は侵入者として取り扱い(S230)、出力部60へ警報の発生を指示する(S235)。出力部60は、光や音によって警報を発したり、通信回線で監視センターなどへ異常検出信号を送信する。処理S230にて、起動中のタイマのいずれも規定値を超えていなければ、処理S200〜S230の監視処理を反復する。
【0050】
続いて、信号処理部40での二次元位置特定処理S205を説明する。図3は、当該処理の概略のフロー図である。まず、A/D変換部30にて生成された波形データは、FFT計算部140により周波数解析され、ドップラ信号の位相情報φR1(f),φR2(f),φL1(f),φL2(f)及び強度情報PR1(f),PR2(f),PL1(f),PL2(f)が算出される(S250)。ここで、各位相情報、各強度情報は周波数fの関数であり、この周波数はドップラ周波数fに対応する。得られた位相情報は距離算出部142での距離計算S255、及び角度算出部144での角度計算S260に用いられる。
【0051】
距離算出部142は、Rチャンネル、Lチャンネルそれぞれの位相情報に基づいて周波数毎に距離値を計算する。これにより、Rチャンネルの距離情報D(f)、Lチャンネルの距離情報D(f)が得られる。ここで距離は2周波CW方式の原理に基づいて計算され、具体的には次式により、各周波数成分ごとに算出される。
【0052】
【数1】

【0053】
この式において、Dは距離[m]、cは光速[m/s]、ΔφはWに対する位相情報とWに対する位相情報とから与えられる位相差[rad]を表す。
【0054】
また、ドップラ周波数は対象物体の移動速度に対応しており、その対応関係は次式で与えられる。
【0055】
【数2】

【0056】
この式において、vはセンサとの相対速度[m/s]、cは光速[m/s]、fは送信周波数[Hz]、fはドップラ周波数[Hz]である。
【0057】
角度算出部144は、各送信信号それぞれに対する位相情報に基づいて周波数毎に反射波が到来する方位角度を計算する。これにより、送信周波数fでの角度情報θ(f)、送信周波数fでの角度情報θ(f)が得られる。ここで角度はモノパルスレーダの原理に基づいて計算され、具体的には次式により、各周波数成分ごとに算出される。
【0058】
【数3】

【0059】
この式において、θはセンサを中心とした方位角度[deg]、cは光速[m/s]、ΔφはRチャンネルの位相情報とLチャンネルの位相情報とから与えられる位相差[rad]、dはアンテナの配置間隔[m]、fは送信周波数[Hz]を表す。
【0060】
ここで、受信アンテナ120,121の間隔dを送信波長λの半分に設定すると、
【数4】

である。この場合、上記θを与える(3)式は、位相差Δφだけをパラメータとした次式に単純化できる。
【0061】
【数5】

【0062】
処理S255、S260で求めた距離情報D(f),D(f)及び角度情報θ(f),θ(f)は、受信部20,22にて抽出されたドップラ信号の周波数スペクトルのうち、物体からの反射波に基づく成分を含む有効周波数帯域と、ノイズ成分からなる帯域とを弁別する処理に用いられる(S265)。ノイズ帯域除去部146は、有効周波数帯域を求め、距離情報D(f),D(f)及び角度情報θ(f),θ(f)それぞれから、不要なノイズ部分を除去し、有効周波数帯域における距離情報D(f) とD(f)とを平均した距離情報DAve(f)及び、角度情報θ(f)とθ(f)とを平均した角度情報θAve(f)を生成し出力する。
【0063】
このノイズ帯域除去部146における処理についてさらに詳しく説明する。距離角度変換によって、距離情報はD(f)とD(f)とが対で得られ、角度情報もθ(f)とθ(f)とが対で得られている。
【0064】
本装置の構成では2つの受信アンテナ120,121の位置が近いので、各アンテナから物体までの距離は同じと見なすことができる。すなわち、センサにて物体からの反射波が受信される場合には、基本的に、反射波の各周波数に対応する距離は、距離情報D(f)と距離情報D(f)とで同じ値となる。
【0065】
また、角度情報に関しても、同じ一対のアンテナで受信した信号に基づいて生成したものであるので、基本的に、反射波の各周波数に対応する角度は、角度情報θ(f)と角度情報θ(f)とで同じ値となる。
【0066】
ここで、(2)式から理解されるようにドップラ信号の周波数fは、物体の速度vに対応する。従って監視空間に移動物体が存在する場合は、その移動速度に対応する周波数帯域に反射波による信号成分が検出される。一方、反射波による信号成分の周波数帯域以外の周波数帯域は、ノイズ成分が検出される。
【0067】
図4のグラフ350,352は、ドップラ周波数成分ごとの距離情報の一例を示す模式図であり、横軸がドップラ周波数、縦軸が距離を表す。グラフ350はD(f)を表し、グラフ352は当該D(f)と対を成して生成されるD(f)を表す。移動物体からの反射波が有る周波数成分に対する距離の算出値の分布300,302は、距離情報D(f),D(f)それぞれにおいて、ほぼ等しい値となり、一方、反射波が無い周波数成分に対する距離の算出値の分布304,306の距離軸方向の範囲は幅広い。さらに、距離情報D(f)とD(f)との間においても、移動物体からの反射波が有る周波数成分に対する距離の算出値の分布300の距離の値と分布302の距離の値とは相関を有し、それらの値は基本的に等しくなり、一方、反射波が無い周波数成分に対する距離の算出値の分布304と分布306との間には基本的に相関がない。ここでは、図4により、距離情報の例を示したが、角度情報についても同様である。
【0068】
上述のように、移動物体からの反射波が有る周波数成分においては、距離情報D(f)及び距離情報D(f)、角度情報θ(f)及び角度情報θ(f)各々に対し強い相関がある。逆に移動物体からの反射波がない周波数成分では相関がない。ノイズ帯域除去部146は、この性質を利用して、距離情報D(f),D(f)と角度情報θ(f),θ(f)とから反射波のない周波数成分を除去し、残った周波数を物体からの反射による周波数成分(有効周波数帯域)として抽出する。その具体的な処理を以下に示す。
【0069】
ノイズ帯域除去部146は距離算出部142から得られた距離情報D(f),D(f)について周波数成分ごとに差を求め、差の絶対値を計算し、その絶対値が所定の閾値DErrよりも大きい周波数を抽出し、距離ノイズ周波数とする。図4は、この処理の模式的な説明図である。グラフ354は、グラフ350,352に示すD(f)とD(f)との差の絶対値を表している。その差の絶対値が、当該グラフ354に点線で示す閾値DErrより大きい周波数が距離ノイズ周波数とされる。グラフ356に斜線で示す範囲358が距離ノイズ周波数に相当する帯域である。
【0070】
周波数が距離ノイズ周波数の帯域に属するか否かを示す状態値として距離ノイズ識別値D(f)を以下のように定義する。
【0071】
【数6】

【0072】
角度情報に対しても上記距離情報と同様の処理が行われる。すなわち、角度算出部144から得られた角度情報θ(f),θ(f)について周波数成分ごとに差を求め、差の絶対値を計算し、その絶対値が所定の閾値θErrよりも大きい周波数を角度ノイズ周波数とする。そして、周波数が角度ノイズ周波数の帯域に属するか否かを示す状態値として角度ノイズ識別値θ(f)を以下のように定義する。
【0073】
【数7】

【0074】
ここで、距離誤差に関する閾値DErr及び角度誤差に関する閾値θErrは予め記憶部50に記憶しておく。これら閾値は、例えば、実験的に求めた、反射波の有無それぞれにおける距離・角度の算出値のばらつき具合より定めることができる。
【0075】
ノイズ帯域除去部146は次に、距離ノイズ周波数と角度ノイズ周波数とのどちらか一方にでも含まれている周波数は、物体からの反射による周波数成分ではないものとして、後の位置検出に用いる計算対象から除外し、残された周波数成分を有効周波数帯域として抽出する。すなわち、D(f)・θ(f)を計算し、その値が0であるときノイズ領域とし、一方、その値が1であるとき有効周波数帯域とする。
【0076】
ここで述べる有効周波数帯域とは、距離情報、角度情報からノイズ周波数成分を除外した周波数成分を意味し、複数の連続する成分を1つにまとめたものではないことに留意する。
【0077】
次に、距離情報D(f),D(f)の有効周波数帯域ごとにD(f),D(f)を平均し、平均距離情報DAve(f)を求める。角度についても同様にして、平均角度情報θAve(f)を求める。
【0078】
なお、上述の構成は、距離誤差閾値DErrと角度誤差閾値θErrが一定である例である。この点に関して、同じ物体の場合、物体が遠くなるほどセンサから見た時の角度が小さくなる。そこで、距離が大きい場合ほど角度誤差閾値を小さくするようにしてもよい。その場合、例えば、距離の誤差情報|D(f)−D(f)|と距離誤差閾値DErrによって、有効周波数帯域の平均距離情報DAve(f)を先に求め、この平均距離情報DAve(f)に応じて角度誤差閾値θErrを変化させ、角度の誤差情報|θ(f)−θ(f)|から角度情報の有効周波数帯域を抽出するという手順とすることができる。
【0079】
例えば、物体の幅が50cmの場合、センサからの距離が1mであれば28度の広がりを持って測定され、距離が5mの場合は6度、10mの場合は3度となり、そのように角度誤差閾値θErrを設定することができる。
【0080】
なお、有効周波数帯域の抽出方法は上述のものに限らない。例えば、距離情報同士の相関関係と角度情報同士の相関関係とのいずれか一方だけを用いて有効周波数帯域を抽出する構成も可能である。
【0081】
また、FFT計算部140で求めた強度情報PR1(f),PR2(f),PL1(f),PL2(f)に関しても、距離情報、角度情報と同様に、物体からの反射に基づく周波数帯域では強度のばらつきが小さく、ノイズ部分ではばらつきが大きくなり、また、各チャンネル及び各周波数毎の強度情報間にて物体からの反射に基づく周波数帯域では強い相関があり、ノイズ部分では相関が弱くなることが起こる。そこで、この強度情報の相関を利用して有効周波数帯域とノイズ部分との弁別をすることも可能である。その際、強度情報による弁別を距離情報、角度情報による弁別と組み合わせることにより、精度の高い有効周波数帯域の抽出が実現され得る。
【0082】
また、FFT計算部140で求めた強度情報に対し、閾値処理を行ってパワーの低いノイズを除いてから前述の処理を行ってもよい。また、監視空間に移動物体が存在しない場合のノイズ成分の強度を記憶部50に記憶して、物体が存在する時の成分との差分を利用することにより有効周波数帯域の抽出を行ってもよい。
【0083】
以上のようにして、有効周波数帯域に関する情報が得られると、それを用いて物体位置特定部148が処理を開始する。まず、物体位置特定部148は、ノイズ帯域除去部146によって抽出された有効周波数帯域の平均距離情報DAve(f)と平均角度情報θAve(f)とから、同じ距離、同じ角度、同じ移動速度(周波数成分が連続する)のものを同じ物体からの反射信号と判定し、固有のラベル付け(以下、ラベリング)を行う(S270)。
【0084】
人が移動したときなど様々な速度を持った物体が移動している場合は、図4の分布300,302における距離の例のように、距離情報や角度情報の広い周波数帯域において同じ距離や角度となる。
【0085】
この性質を利用して、隣り合う周波数の距離や角度の値が近い場合は1つのグループにまとめ(以下、グルーピング)、それぞれにラベリングを行う。
【0086】
グルーピングの条件としては例えば、距離及び角度がA/D変換部30で得られる一定時間中に人間が移動できる移動範囲内であるという条件や、人の発生させるドップラ周波数範囲という条件や、単に距離が±0.5m以内、角度が±1度以内という条件でもよい。例えば、この条件は検出したい物体の特性に合わせて設定する。また、この条件は記憶部50に予め保存しておき、必要な時に読み出して利用するように構成できる。
【0087】
有効周波数帯域の全てのドップラ周波数に対して、速度の近い物体が複数存在する場合、それらのドップラ周波数が周波数軸で連続になり、ノイズ除去処理の結果、連続する有効周波数帯域内に複数の物体が存在する場合がある。図5はそのような例を示す模式図である。同図のID1,ID2,ID3はそれぞれラベリングされた周波数帯域である。これらのうちID1とID2とが、連続する有効帯域内に複数の物体が存在する例である。ID1,ID2に対応する2つの物体が同じ距離で存在し、かつ移動速度が近くドップラの周波数が連続しているために、距離情報においては1つの物体として抽出される。しかし、角度情報が異なるため、結果として2つの物体としてラベリングされる。ちなみに、グルーピングの条件である距離や角度を有効帯域抽出処理のように、検出したい物体のサイズに合わせておくことで、ID1,ID2のような場合を2つの物体へと分離できる。
【0088】
次に物体位置特定部148は、ラベリングによって分離されたラベルごとに、距離、角度、速度、強度の代表値を計算し、二次元平面にマッピングする(S275)。強度は強度情報PR1(f),PR2(f),PL1(f),PL2(f)を周波数ごとに平均し、距離情報や角度情報の有効周波数帯域に対応する部分のみを抽出した平均強度情報PAve(f)を利用する。ここで距離、角度、速度は一致するが、強度が著しく異なる場合は、平均の対象から除外するか、或いは、別の物体としてラベリングを行うようにしてもよい。
【0089】
代表値の計算は、各ラベルに含まれる値の平均値や、平均強度情報PAve(f)での重み付け平均により算出し、ラベルごとに物体情報とする。
【0090】
図6は、マッピングする二次元平面の座標系の設定例を示す模式図である。マッピングする二次元平面は、例えば、図6(a)に示すように、センサ400の正面方向をy軸、右方向をx軸とするような座標系や、図6(b)に示すように、センサ400をポール402の上に設置して斜め下を監視した場合に地面平面上の奥行き方向をy軸、横方向をx軸とするような地面上の座標系とすることができる。
【0091】
図7はマッピングの例を示す模式図である。図7には、図5にてID1,ID2,ID3とラベリングされた物体の位置が示されている。
【0092】
物体位置特定部148は続いて、再ラベリング処理S280を行う。人体のように様々な速度成分を持つ物体はドップラ周波数の周波数帯域が広いが、一様に分布するとは限らず周波数軸上のところどころでドップラ成分が不連続となる場合がある。この場合、ラベリング処理S270において、同じ物体にもかかわらずラベルが分断されてしまう。これを一つにまとめるために、再ラベリングを行う。
【0093】
マッピングによって得られた二次元位置上での各ラベルの位置と速度と強度とが近い場合には、それらのラベルの結合を行って1つのラベルとする。なお、ここでは、不連続点が存在した場合に1つのラベルとするか否かの判定を二次元平面上にマッピングしてから行うようにしているが
、処理S270の段階で距離情報、角度情報の各々について行ってもよい。
【0094】
結合の判断は、ラベリング処理S270の判断と同様、A/D変換部30で得られる一定時間中に人間が移動できる距離範囲、人の発生させるドップラ周波数範囲などを考慮して行うことができる。
【0095】
この再ラベリングに伴い、各ラベルの物体情報を更新する。二次元平面上にマッピングされた距離情報、角度情報は、物体の大きさに応じて広がりを持つ。前述のように二次元平面上で1つの物体としてラベリングされた後、ラベリングされた範囲を物体の大きさの判定に用いることもできる。
【0096】
これは、物体は大きさに応じて、各部位からの距離と角度とが異なるが、周波数スペクトル上から、物体が存在することに起因して発生する情報が含まれる周波数帯域を有効周波数帯域として抽出することにより、物体の大きさ情報を求めることができるものである。
【0097】
以上の説明した本発明に係るレーダ装置によれば、移動物体によるドップラスペクトルのピークが明確でない場合でも、良好な位置の測定が可能になる。このため、反射が弱い物体や、様々な速度を有する物体位置など、幅広い物体に関して検出が可能になり、当該レーダ装置を用いた侵入検知装置は、失報や誤報を低減でき信頼性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施形態に係る侵入検知装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る侵入検知装置の全体的な動作を示す概略のフロー図である。
【図3】信号処理部での二次元位置特定処理の概略のフロー図である。
【図4】ノイズ帯域除去部による有効周波数帯域の抽出処理の模式的な説明図である。
【図5】ラベリングの一例を説明する模式図である。
【図6】マッピングする二次元平面の座標系の設定例を示す模式図である。
【図7】マッピングの例を示す模式図である。
【図8】人体からの反射波を含むパワースペクトルの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0099】
10 送信部、20,22 受信部、30 A/D変換部、40 信号処理部、50 記憶部、60 出力部、100 電圧制御発振器、102 切換信号発生器、104 送信アンテナ、120、121 受信アンテナ、122,123 ミキサ、124,125 切換器、140 FFT計算部、142 距離算出部、144 角度算出部、146 ノイズ帯域除去部、148 物体位置特定部、150 判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信部を備え、送信部から送信周波数が互いに異なる2種類の送信波を時分割送信し、前記各受信部それぞれによって前記各送信波に対する反射波を受信して、移動物体に基づくドップラ信号を検出するレーダ装置において、
前記2種類の送信波に対し前記各受信部にて得られる受信信号それぞれについて周波数解析を行う手段と、
前記各受信部毎に、前記各送信波それぞれに対応する前記周波数解析の結果に基づいて周波数成分毎に求めた前記反射波の伝播距離からなる距離情報を生成する距離情報生成手段と、
前記複数の受信部に対応して生成された複数の前記距離情報に基づいて、前記受信信号の周波数スペクトルのうち前記移動物体の前記ドップラ信号を含む周波数範囲に対応した関心周波数帯域を抽出する関心帯域抽出手段と、
を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
複数の受信部を備え、送信部から送信周波数が互いに異なる2種類の送信波を時分割送信し、前記各受信部それぞれによって前記各送信波に対する反射波を受信して、移動物体に基づくドップラ信号を検出するレーダ装置において、
前記2種類の送信波に対し前記各受信部にて得られる受信信号それぞれについて周波数解析を行う手段と、
前記送信波の種類毎に、前記各受信部に対応する前記周波数解析の結果に基づいて周波数成分毎に求めた前記反射波の到来角度からなる角度情報を生成する角度情報生成手段と、
前記送信波の種類に対応して生成された2つの前記角度情報に基づいて、前記受信信号の周波数スペクトルのうち前記移動物体の前記ドップラ信号を含む周波数範囲に対応した関心周波数帯域を抽出する関心帯域抽出手段と、
を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項3】
複数の受信部を備え、送信部から送信周波数が互いに異なる2種類の送信波を時分割送信し、前記各受信部それぞれによって前記各送信波に対する反射波を受信して、移動物体に基づくドップラ信号を検出するレーダ装置において、
前記2種類の送信波に対し前記各受信部にて得られる受信信号それぞれについて周波数解析を行う手段と、
前記各受信部毎に、前記各送信波に対応する前記周波数解析の結果に基づいて周波数成分毎に求めた前記反射波の伝播距離からなる距離情報を生成する距離情報生成手段と、
前記送信波の種類毎に、前記各受信部に対応する前記周波数解析の結果に基づいて周波数成分毎に求めた前記反射波の到来角度からなる角度情報を生成する角度情報生成手段と、
前記複数の受信部に対応して生成された複数の前記距離情報及び前記送信波の種類に対応して生成された2つの前記角度情報に基づいて、前記受信信号の周波数スペクトルのうち前記移動物体の前記ドップラ信号を含む周波数範囲に対応した関心周波数帯域を抽出する関心帯域抽出手段と、
を有することを特徴とするレーダ装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項3に記載のレーダ装置において、
前記関心帯域抽出手段は、各周波数成分での前記複数の距離情報相互の相関に基づいて前記関心周波数帯域を抽出すること、を特徴とするレーダ装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載のレーダ装置において、
前記関心帯域抽出手段は、各周波数成分での前記複数の角度情報相互の相関に基づいて前記関心周波数帯域を抽出すること、を特徴とするレーダ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のレーダ装置において、
前記関心帯域抽出手段は、さらに前記各周波数成分にて、前記受信信号の前記周波数スペクトルの強度を考慮して前記関心周波数帯域を抽出すること、を特徴とするレーダ装置。
【請求項7】
請求項3に記載のレーダ装置において、
前記関心周波数帯域内における前記距離情報及び前記角度情報それぞれの変動幅が所定の許容値以下の周波数範囲である共通属性帯域を求め、当該共通属性帯域を単一の前記移動物体に対応するものとしてラベル付けを行うラベリング手段を有すること、を特徴とするレーダ装置。
【請求項8】
請求項3に記載のレーダ装置において、
前記関心周波数帯域内における前記距離情報、前記角度情報及び、前記受信信号の前記周波数スペクトルの強度それぞれの変動幅が所定の許容値以下の周波数範囲である共通属性帯域を求め、当該共通属性帯域を単一の前記移動物体に対応するものとしてラベル付けを行うラベリング手段を有すること、を特徴とするレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−33156(P2007−33156A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214870(P2005−214870)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】