説明

レーダ装置

【課題】補助空中線で受信する任意の繰り返し周期やパルス幅の妨害波信号に適応して、存在する妨害波信号のみを的確に抽出可能にする。
【解決手段】妨害情報収集・解析部により、補助空中線による受信信号から妨害波信号を直接検出し、検出した妨害波信号列に基づいて、妨害波信号情報とする妨害波信号のパルス幅と妨害パルス間隔を算出し、補助空中線受信ゲート制御部により、妨害波信号情報に基づいて、少なくとも主空中線による反射波信号を抽出するための主空中線送信ゲート期間を避け、かつ補助空中線による妨害波信号と同一のタイミングを持って同期する補助空中線受信ゲート期間を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サイドローブキャンセラ装置を用いて、妨害波信号を抑圧するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
目標を探知するレーダ装置に対して、目標の探知を妨害するためにレーダ装置に対して妨害波を発射する電波妨害装置がある(例えば特許文献1参照)。このような電波妨害装置は、相手レーダ装置から送信ビームが指向されると、受信したレーダ波(レーダパルス信号)の周波数、偏波、変調方式等を解析し、上記レーダ波と等価な周波数、偏波または変調方式の妨害波を生成して、敵対するレーダ装置に対して継続して放射する。そのため、レーダ装置では、電波妨害装置からの妨害波により電波干渉の影響を受け、信号処理による目標物の検出が困難となる。一方、レーダ装置では、このような電波妨害装置からの妨害波に対処するため、自己が発射した電波の目標により反射した受信電波から妨害波成分を除去する妨害波除去装置を備えている。
【0003】
上記のような妨害波除去装置は、アンテナの放射電磁界として発生する不要なサイドローブを取り除くためのサイドローブキャンセラ装置で兼ねることができる(例えば特許文献2参照)。図9に、レーダ装置に設けたサイドローブキャンセラ装置の基本的な機能構成を示し、サイドローブキャンセラ動作について説明する。
主空中線受信ゲート41により、主空中線12で受信した信号から目標による反射波信号(繰り返しパルス)を抽出するが、また、補助空中線受信ゲート23により、無指向性の補助空中線11で受信した信号から目標による反射波信号を抽出する。相関処理部13において、抽出された主空中線12による反射波信号と補助空中線11による反射波信号の相関をとる。ウェイティング処理部14では、この相関値に基づいて、主空中線12からの反射波信号に合わせて、補助空中線11からの反射波信号の位相、信号レベルを調節してサイドローブを抑圧するための抑圧信号を生成する。次に、加算部15において、主空中線12からのサイドローブを含む反射波信号に抑圧信号を加算してサイドローブ成分を取り除いた信号を取り出す。
【0004】
このようなサイドローブキャンセラ装置において、補助空中線受信ゲート23で補助空中線11で受信した反射波信号を抽出(ゲート)するタイミングを説明する。図10のタイムチャートに示すように、主空中線12の受信ゲートの開放期間(以下、受信ゲート期間とする)(c)の後半でウェイティング処理に用いる妨害波信号を保存するメモリが丁度満杯になる間隔分を補助空中線受信ゲート期間(e)とし、補助空中線受信ゲート23を開放する。特許文献1にも示されるように、一般的に、主空中線受信ゲート期間(c)は、送信種信号(b)の送信タイミングを避けたタイミングの長時間である。なお、図中、STEP TRG(ステップトリガ)(a)は、レーダで送信種信号を送信する直前に出す合図の信号である。
【0005】
【特許文献1】特開2002−207075号公報
【特許文献1】特開2007−240415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来のサイドローブキャンセラ装置を用いて妨害波除去を行う場合、図10に示したと同じタイミングで補助空中線11で受信した妨害波信号(繰り返しパルス)を抽出することになる。しかし、妨害波攻撃を受けている状況下において、図11のタイムチャートに示すように、到来する妨害波信号(繰り返しパルス)(d)が補助空中線受信ゲート期間(e)とタイミングが極端にずれて到来する場合がある。これは、補助空中線受信ゲート期間(e)がサイドローブキャンセル時の反射波の到来タイミングに合わせて設定されているのに対して、妨害波信号の場合、電波妨害装置側で勝手に設定した任意の繰り返し周期やパルス幅で送信することに因り起こる。このように補助空中線受信ゲート期間(e)が妨害波信号のタイミングと同期がとれていない場合、ウェイティング処理に用いる妨害波信号が抽出できなくなり、主空中線12からの反射波信号に含まれる妨害波信号を抑圧できないという問題が発生する。また、従来のサイドローブキャンセラ装置の場合、補助空中線受信ゲート期間(e)が長時間であるため、妨害波信号が存在しないタイミングにおける抽出データもメモリに保存してしまうことになる。この妨害波信号の存在しないタイミングの抽出データは、妨害波信号の抑圧処理には使用しないにもかかわらず収集されるため、その分メモリ容量を大きくしておかなければならないという問題があった。
なお、特許文献2の記載は、妨害波が、高い頻度で到来し受信される場合にウェイト値をコントロールして妨害波を抑圧することについての技術であり、上記の問題を解決について示唆していない。
【0007】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、補助空中線で受信する任意の繰り返し周期やパルス幅の妨害波信号に適応して、存在する妨害波信号のみを的確に抽出可能にするレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るレーダ装置は、サイドローブキャンセラ機能を用い、主空中線による受信信号から送信波の目標による反射波信号を抽出し、補助空中線による受信信号から妨害波信号を抽出し、当該妨害波信号と主空中線による反射波信号に基づいて妨害波信号を抑圧するための抑圧信号を生成し、生成した抑圧信号を用いて主空中線による反射波信号に含まれる妨害波信号成分を抑圧するレーダ装置において、補助空中線による受信信号から妨害波信号を直接検出し、検出した妨害波信号列に基づいて、妨害波信号情報とする妨害波信号のパルス幅と妨害パルス間隔を算出する妨害情報収集・解析部と、妨害情報収集・解析部で得られた妨害波信号情報に基づいて、少なくとも主空中線による反射波信号を抽出するための主空中線送信ゲート期間を避け、かつ補助空中線による妨害波信号と同一のタイミングを持って同期する補助空中線受信ゲート期間を算出し、当該補助空中線受信ゲート期間を持つゲート信号により、抑圧信号の生成に用いるための補助空中線による妨害波信号を抽出する補助空中線受信ゲートを開放制御する補助空中線受信ゲート制御部を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、補助空中線で受信する妨害波信号の種類、すなわち繰り返し周期やパルス幅の異なる妨害波信号に対して、補助空中線受信ゲート期間のサイズやタイミングを変化させて、レーダ波の送信期間を除いた期間で、妨害波信号の存在するタイミングでのみ補助空中線受信ゲートを開くようにしたので、妨害波信号の種類にかかわらず、妨害波信号のみを的確に抽出することができる。そのため、従来のように妨害波信号を抽出できない状態を回避でき、サイドローブキャンセラ機能の妨害抑圧効果の高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるレーダ装置に設けたサイドローブキャンセラ装置の基本的な機能構成を示すブロック図である。
図1において、サイドローブキャンセラ装置は、図9の従来のサイドローブキャンセラ装置を構成する補助空中線11、主空中線12、相関処理部13、ウェイティング処理部14、加算部15、送信系16、送受切替スイッチ17、送受切替スイッチ、サイドローブ切替スイッチ18、補助空中線受信ゲート23、主空中線送受信ゲート41に加え、妨害情報解析・収集部22、補助空中線受信ゲート23、補助空中線受信ゲート制御部24を備えている。図1の破線で囲んだ部分21を詳細に示すと、図2のようになる。すなわち、補助空中線11、妨害情報解析・収集部22、補助空中線受信ゲート制御部24の他に、増幅部31、ミキサ32、発振器33、検波部34、A/D変換部35を備えている。また、図2において、妨害情報解析・収集部22は、基準妨害レベル設定部36、比較演算部37、エッジ検出部38、カウンタ39、妨害情報収集部40等から構成されている。ここで、基準妨害レベル設定部36では、妨害レベル閾値をパラメータとして調整することができ、これにより比較演算部37の動作を調整できるようにしている。
【0011】
次に動作について説明する。
補助空中線11の受信ゲート期間に補助空中線11で受信された受信信号は、増幅部31で増幅された後、ミキサ32で、発振器33が発生するキャリア周波数F1〜F2と混合することで、レーダ装置で使用する主空中線系の周波数に変換する。この場合、発振器33は、レーダ装置の使用周波数に対応した複数の発振器を表す。検波部34では、ミキサ32で変換された周波数の信号からベースバンド信号を検波する。検波されたベースバンド信号はA/D変換部35でデジタル信号に変換され、妨害情報解析・収集部22の比較演算部37に入力される。
【0012】
比較演算部37では、デジタル信号を、基準妨害レベル設定部36にて設定された妨害レベル閾値と比較して妨害波信号の有無を判定する。そして、妨害波信号が存在する場合は、妨害波信号列から、図3(a)に示すような妨害波信号の存在期間を表す方形信号を出力する。エッジ検出部38では、比較演算部37より入力される方形信号列から方形波の立上り、立下りを検出し、図3(b)、(c)に示すような立上り、立下りの検出パルスを出力する。ここで、Aは妨害波信号開始、Bは妨害波信号停止、Cは次の妨害波信号開始、Dは次の妨害波信号停止のタイミングを表す。
【0013】
カウンタ39では、エッジ検出部38から入力される立上り、立下りの検出パルスについて、図3のA−B間の時間を測定し、妨害波信号のパルス幅を検出する。また、A−C間の時間を測定し、パルス繰返し周期を検出する。妨害情報収集部40では、カウンタ39で得られる妨害波信号のパルス幅とパルス繰返し周期から妨害パルス間隔を算出し、この妨害パルス間隔と妨害波信号のパルス幅を妨害波信号情報として補助空中線受信ゲート制御部24に出力する。
【0014】
補助空中線受信ゲート制御部24では、妨害情報収集部40より入力される妨害波信号情報(妨害パルス間隔と妨害波信号のパルス幅)と主空中線送受信ゲート41から得られる主空中線送信ゲート期間に基づいて、主空中線送信期間を避けて、補助空中線11で受信した妨害波信号と同一のタイミングと同期するように設定した補助空中線受信ゲート期間を持つゲート信号を生成し、このゲート信号により補助空中線受信ゲート23の開放を制御する。上記処理の結果における、各信号に対する各部の動作の関係のタイムチャートを図4に示す。図に示すように、妨害波信号(e)の存在するタイミングに同期させた補助空中線11の受信ゲート期間(f)が、主空中線送信ゲート期間(b)を除いた位置に設定されている。したがって、補助空中線受信ゲート23は、補助空中線11の受信ゲート期間(f)において、ウェイティング処理に必要な妨害波信号を抽出できるようになる。この方法は、複数の妨害諸元が同時に存在した場合にも対応できるものである。
【0015】
補助空中線受信ゲート23で抽出された妨害波信号は、相関処理部13に与えられ、主空中線12で受信した信号との相関を取る。ウェイティング処理部14では、得られた相関値に基づく妨害波信号の位相、信号レベルを、主空中線12から入力される信号に合わせるよう調節される。そして、加算器15で、この調節された妨害波信号と主空中線12で受信した信号を加算することで妨害波信号のみが抑圧された信号を取り出す。
なお、妨害波信号収集部40は、検出したパルス幅、パルス繰返し周期をレーダの表示部等に出力することで、現在の妨害状況を操作員に知らせるようにしてもよい。
【0016】
以上のように、この実施の形態1によれば、妨害情報収集・解析部により、補助空中線による受信信号から妨害波信号を直接検出し、検出した妨害波信号列に基づいて、妨害波信号情報とする妨害波信号のパルス幅と妨害パルス間隔を算出し、補助空中線受信ゲート制御部により、妨害波信号情報に基づいて、少なくとも主空中線による反射波信号を抽出するための主空中線送信ゲート期間を避け、かつ補助空中線による妨害波信号と同一のタイミングを持って同期する補助空中線受信ゲート期間を算出している。したがって、補助空中線で受信する妨害波信号の種類、すなわち繰り返し周期やパルス幅の異なる妨害波信号に対して、補助空中線受信ゲート期間のサイズやタイミングを変化させて、レーダ波の送信期間を除いた期間で、妨害波信号の存在するタイミングでのみ補助空中線受信ゲートを開くようにしたので、妨害波信号のみを的確に抽出することができる。そのため、従来のように妨害波信号を抽出できない状態を回避でき、妨害抑圧効果の高いサイドローブキャンセラ装置を実現できる。
【0017】
実施の形態2.
上記実施の形態1のサイドローブキャンセラ装置では、補助空中線受信ゲートの制御により、補助空中線11で受信する、主空中線12の送信タイミングを避けた全ての妨害波信号のタイミングで受信ゲートを開放するようになっている。そのため、補助空中線受信ゲート23で抽出された妨害波信号の全てが、主空中線送受信ゲート41によって抽出された主空中線12による反射波信号から妨害波信号を抑圧処理するまで、ウェイティング処理に用いるメモリに格納し続けられる。そのため、妨害波信号でメモリが満杯になって、ウェイティング処理の限界を超えてしまう場合が考えられる。この実施の形態2では、このようなウェイティング処理の限界を回避するための手段を提案する。
【0018】
図5は、この発明の実施の形態2および実施の形態4に係るサイドローブキャンセラ装置の主要部分の詳細構成を示すブロック図である。図において、実施の形態1の図2に相当する部分には同一の符号を付し、その説明は原則として省略する。
図5において、補助空中線受信ゲート制御部24では、妨害波信号を格納するウェイティング処理のメモリ42の最終アドレスを監視しており、妨害波信号が最終アドレスに書き込みされたタイミングを取得する。次に、図6のタイムチャートに示すように、主空中線送信ゲート期間(b)の終了時から、ウェイティング処理に用いるメモリ42が補助空中線受信ゲート23で抽出された妨害波信号で満杯状態となる時点までの期間を補助空中線受信ゲート開放許可期間(f)として算出する。次に、この補助空中線受信ゲート開放許可期間(f)の信号と妨害情報収集部40から出力される妨害波信号情報のアンド処理を行い、補助空中線受信ゲート期間(g)を得る。補助空中線受信ゲート23は、この補助空中線受信ゲート期間(g)を持つゲート信号に従って開放し、制限された数の妨害波信号を抽出する。
【0019】
この実施の形態2によれば、補助空中線受信ゲートで主空中線送信ゲート期間の終了時点から妨害波信号を取得し始め、ウェイティング処理のメモリが、抽出された妨害波信号で満杯になった時点で妨害波信号の取得を停止するように補助空中線受信ゲート期間を設定したので、妨害波信号を抽出するタイミングを実施の形態1の場合よりも制限することができる。メモリの満杯後は補助空中線受信ゲートが開放されないので、ウェイティング処理は、それ以前に受信した妨害波信号のみで行えばよく、ウェイティング処理の処理負荷を、実施の形態1によるよりも低減することができる。
【0020】
実施の形態3.
この実施の形態3も、実施の形態2と同様に、ウェイティング処理の限界を回避するための手段を提案するものである。
図2の構成において、補助空中線受信ゲート制御部24では、主空中線送受信ゲート41の受信ゲート期間のタイミングを取得する。図7に示すように、主空中線受信ゲート期間(c)の開始から一定時間後(好ましくは、ゲート期間の後半)に、補助空中線受信ゲート23を開放許可とし、主空中線受信ゲート期間(c)の終了時に補助空中線受信ゲートの開放を禁止にする補助空中線受信ゲート開放許可期間(e)を算出する。補助空中線受信ゲート制御部24では、補助空中線受信ゲート23に与える補助空中線受信ゲート開放許可期間(e)と妨害情報収集部40から出力される妨害波信号情報のアンド処理を行って補助空中線受信ゲート期間(f)を得る。補助空中線受信ゲート23は、この補助空中線受信ゲート期間(f)を持つゲート信号に従って開放し、制限された数の妨害波信号を抽出する。
【0021】
この実施の形態3によれば、主空中線受信ゲート期間の開始から一定時間後から妨害波信号を取得し始め、当該主空中線受信ゲート期間の終了時点で妨害波信号の取得を停止するように補助空中線受信ゲート期間を設定したので、妨害波信号を抽出するタイミングを実施の形態1の場合よりも制限することができる。そのため、制限された期間に抽出した妨害波信号のみを使用してウェイティング処理を行えばよく、ウェイティング処理の処理負荷を、実施の形態1によるよりも低減できる。
【0022】
実施の形態4.
上記実施の形態3においても、主空中線受信ゲート期間の後半に多くの妨害波信号が受信されるような場合、ウェイティング処理の限界を超えることが考えられる。この問題を解決するため、この実施の形態4では、実施の形態2と実施の形態3の方法を組み合わせた方法を提案する。
図5において、補助空中線受信ゲート制御部24は、ウェイティング処理の妨害波信号を格納するメモリ42の最終アドレスを監視しており、妨害波信号が最終アドレスに書き込みされた時点を取得する。図8に示すように、主空中線送信ゲート期間(b)の終了時から、メモリ42が補助空中線受信ゲート23で抽出された妨害波信号で満杯状態となるまでの期間を、メモリ書き込み可能期間(f)(実施の形態2では図6(f)の「補助空中線受信ゲート開放許可期間」)として算出する。また、主空中線受信ゲート期間(b)の後半から終了時までを補助空中線受信ゲート開放許可期間(g)(実施の形態3では図7(e)の「補助空中線受信ゲート開放許可期間」)として算出する。次に、補助空中線受信ゲート制御部24では、メモリ書き込み可能期間(f)、補助空中線受信ゲート開放許可期間(g)および妨害波信号収集部40から出力される妨害波信号情報のアンド処理を行って補助空中線受信ゲート期間(h)を得る。補助空中線受信ゲート23は、この補助空中線受信ゲート期間(h)を持つゲート信号に従って開放し、制限された数の妨害波信号を抽出する。
【0023】
この実施の形態4によれば、補助空中線受信ゲートで主空中線受信ゲート期間の後半から妨害波信号を取得し始め、ウェイティング処理のメモリが、抽出された妨害波信号で満杯になった時点で妨害波信号の取得を停止するように補助空中線受信ゲート期間を設定したので、妨害波信号を抽出するタイミングを実施の形態3よりも制限できる。そのため、主空中線受信ゲート期間の後半に多くの妨害波信号が受信されるような場合でも、制限された期間に抽出した少ない妨害波信号のみを使用してウェイティング処理を行えばよく、ウェイティング処理の処理負荷を、実施の形態1によるよりも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ装置に設けたサイドローブキャンセラ装置の基本的な機能構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態1および実施の形態3に係るサイドローブキャンセラ装置の主要部分の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】同実施の形態1に係る比較演算部とエッジ検出部の出力波形を示すタイムチャートである。
【図4】同実施の形態1に係る補助空中線受信ゲート期間の設定方法を示すタイムチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2および実施の形態4に係るサイドローブキャンセラ装置の主要部分の詳細構成を示すブロック図である。
【図6】同実施の形態2に係る補助空中線受信ゲート期間の設定方法を示すタイムチャートである。
【図7】この発明の実施の形態3に係る補助空中線受信ゲート期間の設定方法を示すタイムチャートである。
【図8】この発明の実施の形態4に係る補助空中線受信ゲート期間の設定方法を示すタイムチャートである。
【図9】従来のレーダ装置に設けたサイドローブキャンセラ装置の基本的な機能構成を示すブロック図である。
【図10】従来のサイドローブキャンセラ装置における補助空中線受信ゲート期間の設定方法を示すタイムチャートである。
【図11】従来の補助空中線受信ゲート期間で妨害波を抽出できない場合を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
【0025】
11 補助空中線、12 主空中線、13 相関処理部、14 ウェイティング処理部、15 加算部、16 送信系、17 送受切替スイッチ、18 サイドローブ切替スイッチ、22 妨害情報解析・収集部、23 補助空中線受信ゲート、24 補助空中線受信ゲート制御部、31 低雑音増幅部、32 ミキサ、33 発振部、34 検波部、35 A/D変換部、36 基準妨害レベル設定部、37 比較演算部、38 エッジ検出部、39 カウンタ、40 妨害情報収集部、41 主空中線送受信ゲート、42 メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドローブキャンセラ機能を用い、主空中線による受信信号から送信波の目標による反射波信号を抽出し、補助空中線による受信信号から妨害波信号を抽出し、当該妨害波信号と前記主空中線による反射波信号に基づいて妨害波信号を抑圧するための抑圧信号を生成し、生成した抑圧信号を用いて主空中線による反射波信号に含まれる妨害波信号成分を抑圧するレーダ装置において、
前記補助空中線による受信信号から妨害波信号を直接検出し、検出した妨害波信号列に基づいて、妨害波信号情報とする妨害波信号のパルス幅と妨害パルス間隔を算出する妨害情報収集・解析部と、
前記妨害情報収集・解析部で得られた妨害波信号情報に基づいて、少なくとも前記主空中線による反射波信号を抽出するための主空中線送信ゲート期間を避け、かつ前記補助空中線による妨害波信号と同一のタイミングを持って同期する補助空中線受信ゲート期間を算出し、当該補助空中線受信ゲート期間を持つゲート信号により、抑圧信号の生成に用いるための前記補助空中線による妨害波信号を抽出する補助空中線受信ゲートを開放制御する補助空中線受信ゲート制御部を備えたことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
妨害情報収集・解析部は、
補助空中線による受信信号のベースバンド信号を変換したデジタル信号を、予め設定した妨害レベル閾値と比較することにより妨害波信号の有無を判定し、妨害波信号を検出した場合には、妨害波信号の存在期間を表す方形信号の列を生成する比較演算部と、
前記生成された方形信号の列に基づいて、方形信号の立上り、立下りを検出するエッジ検出部と、
前記検出された方形信号の立上り、立下りのパルスに基づいて、妨害波信号のパルス幅、パルス繰返し周波数を算出するカウンタと、
前記算出された妨害波信号のパルス幅、パルス繰返し周波数に基づいて、妨害波信号の妨害パルス間隔を算出し、妨害波信号のパルス幅と妨害パルス間隔からなる妨害波信号情報を出力する妨害情報収集部を有したことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
補助空中線受信ゲート制御部は、抑圧信号を生成するために補助空中線受信ゲートで抽出された妨害波信号を格納するメモリの最終アドレスに妨害波信号が書き込みされた時点を取得し、主空中線送信ゲート期間の終了時から前記メモリの最終アドレスに妨害波信号が書き込みされた時点までの期間を補助空中線受信ゲート開放許可期間として算出し、この補助空中線受信ゲート開放許可期間と妨害情報収集・解析部からの妨害波信号情報のアンド処理を行って得た期間を補助空中線受信ゲート期間として算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーダ装置。
【請求項4】
補助空中線受信ゲート制御部は、主空中線受信ゲート期間の開始から一定時間後の時点から終了時までを補助空中線受信ゲートの開放を禁止にする補助空中線受信ゲート開放許可期間として算出し、この補助空中線受信ゲート開放許可期間と妨害情報収集・解析部からの妨害波信号情報のアンド処理を行って得た期間を補助空中線受信ゲート期間として算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーダ装置。
【請求項5】
補助空中線受信ゲート制御部は、抑圧信号を生成するために補助空中線受信ゲートで抽出された妨害波信号を格納するメモリの最終アドレスに妨害波信号が書き込みされた時点を取得し、主空中線送信ゲート期間の終了時から前記メモリの最終アドレスに妨害波信号が書き込みされた時点までの期間をメモリ書き込み可能期間として算出すると共に、主空中線受信ゲート期間の後半から終了時までを補助空中線受信ゲートの開放を禁止にする補助空中線受信ゲート開放許可期間として算出し、メモリ書き込み可能期間、補助空中線受信ゲート開放許可期間および妨害波信号収集部からの妨害波信号情報のアンド処理を行って得た期間を補助空中線受信ゲート期間として算出することを特徴とする請求項1または請求項2記載のレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−257837(P2009−257837A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104858(P2008−104858)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】