説明

ロボットシステム

【課題】所望する目的のロボット動作を安定して得られ、しかもロボットの小型軽量化とコスト低減を図ることができるロボットシステムを提供する。
【解決手段】巡回路に沿って走行される警備ロボット10の電源として充電式電池21を使用し、また、巡回路11の途中に複数の充電ステーション13a〜13cを配置し、これら充電ステーション13b〜13cに警備ロボット10が達するごとに、それぞれの充電部31により前記充電式電池21を満充電まで充電し巡回警備のための走行を継続させるようにした。また、組み込まれる充電式電池21として10C以上の電流で急速充電できるリチウムイオン二次電池が用いられことも特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行するロボットを用いたロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、ロボットは、各方面に広く応用されており、例えば、警備用のロボット(以下、警備ロボットと称する。)を使って施設内を警備するロボットシステムが実用化されている。
【0003】
このようなロボットシステムでは、各種センサやカメラなどの監視機器を搭載した自律走行型の警備ロボットを使用し、この警備ロボットを夜間などに施設内の予め決められた順路を自律走行により巡回させ、センサやカメラによって異常の有無を監視するとともに、監視状況を管理センター等に伝えることにより警備を行うようにしている。
【0004】
このようなシステムを採用することは、従来、人間が主体であった警備システムに対し、警備員の負担を減らすことができるなど、コスト削減につなげることが可能となり、また、人間では常時警備を続けることは困難であるが、警備ロボットであれば、決められた警備時間の間は、常に巡回し続けるということも可能であり、セキュリティーのレベルも格段に向上できることになる。
【0005】
ところで、自律走行型の警備ロボットは、外部電源を使用することができないため、例えば、ニッケル水素蓄電池やリチウムイオン二次電池などの充電式電池が搭載されている。
【特許文献1】特開2005−123183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、充電式電池は、一般的に用いられる、例えばニッケル水素蓄電池の場合、普通充電で12時間程度、急速充電で2〜3時間の充電時間が必要である。このため、このような充電式電池を用いた警備ロボットでは、多大な時間を費やして電池充電を行うなど事前の準備をしなくてはならず、また、この充電期間中は巡回警備ができないことにもなる。このことは、決められた時間毎に警備ロボットを走行させて巡回警備するといった運用法に限られてしまうという問題がある。
【0007】
そこで、常に警備ロボットを走行可能にして巡回警備を実現するため、例えば一晩中警備ロボットを走行可能にするだけの大容量の充電式電池を搭載することも考えられるが、これでは、充電式電池自体が非常に大きなものになるため、警備ロボット全体が大型で重くなってしまい巡回警備に必要な機動性に欠けるとともに、コスト的にも高価になってしなう。また、常時巡回警備をしなくとも巡回する際の走行距離が長くなると、必要とする電池容量が大きくなり、この場合も、警備ロボット自体が非常に大きなものになってしまう。このため、警備ロボットの巡回する走行距離を短くするか、複数の警備ロボットを使用してシステムの運用でカバーするかといった対処法となってしまうが、これではセキュリティーレベルの向上やコスト削減といった警備ロボット導入の初期の目的が果たせなくなるという問題を生じる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、所望する目的のロボット動作を安定して得られ、しかもロボットの小型軽量化とコスト低減を図ることができるロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、ロボット本体と、該ロボット本体内部に設けられる10C以上の電流で急速充電可能な充電式電池と、該充電式電池の出力を電源として前記ロボット本体を自律走行させる駆動手段を有するロボットと、前記ロボットが自律走行される走行路と、前記走行路に少なくとも1個配置され、前記充電式電池を充電する充電手段を有する充電ステーションと、を具備し、前記ロボットは、前記走行路を自律走行され、且つ前記充電ステーションで前記充電手段により前記充電式電池が充電されることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ロボット及び充電ステーションは、これらロボット及び充電ステーションの間を連結可能にする連結手段と、該連結手段の連結状態で前記充電式電池を前記充電手段に接続する接続端子を有することを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記充電ステーションは、前記走行路に沿って所定間隔をおいて複数配置されることを特徴としている。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記充電式電池は、前記ロボットの少なくとも次の充電ステーションまでの距離の自律走行に必要な電池容量を有することを特徴としている。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、さらに前記充電式電池の過充電、過放電及び過電流の少なくとも一つを検出し、前記充電式電池の充電又は放電を停止させる監視保護手段を有することを特徴としている。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ロボットは、周囲の状態を検出する状態検出手段と、該状態検出手段の検出情報を無線信号で送信する通信手段を有する警備ロボットであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所望する目的のロボット動作を安定して得られ、しかもロボットの小型軽量化とコスト低減を図ることができるロボットシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1(a)(b)(c)は、本発明のロボットシステムに適用される警備ロボットの概略構成を示すもので、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図、同図(c)は背面図である。
【0018】
図1において、10は警備ロボットを示している。この警備ロボット10は、ロボット本体1を有し、このロボット本体1の下端部に、ロボット本体1を自律走行させるための走行用車輪2が設けられている。この走行用車輪2は、ロボット本体1の前進、後退及び左右の移動をも可能にするものである。また、走行用車輪2には、振動を最小限にしてロボット走行を円滑にするためゴムタイヤなどが用いられる。
【0019】
ロボット本体1の正面中央部には、センサ群3が配置されている。この場合、センサ群3には、熱センサ、煙センサなど周囲の異常を感知するものが用いられる。センサ群3の上方には、ライト4が配置されている。このライト4は、ロボット本体1の走行方向、つまり前方に光を照射するもので、後述する監視カメラ5の撮影用照明として用いられる。また、ライト4は、監視カメラ5の撮影方向に合わせて照明光の照射方向を変更できるようにもなっている。
【0020】
ロボット本体1の上端部には、監視カメラ5が設けられている。この監視カメラ5は、撮影方向を上下左右に移動できるようにしている。
ロボット本体1の一方側面には、警報手段として警報用スピーカ6が設けられている。この警報用スピーカ6は、警備上の異常の際に、サイレン音などの警報や音声による警告などを発生する。また、ロボット本体1の他方側面には、通信アンテナ7が設けられている。この通信アンテナ7は、センサ群3で検出した検出情報、監視カメラ5の撮影画像などの情報の無線信号を不図示の管理センターに送信する。
【0021】
一方、ロボット本体1の背面には、ドッキング部8を有している。このドッキング部8は、後述する充電ステーション13a(〜13c)にドッキングして、後述する充電式電池21の充電を可能にするものである。このドッキング部8についての詳細は、後述する。
【0022】
このように構成される警備ロボット10は、走行路として図2に示すような巡回路11に沿って走行される。巡回路11は、予め設定されるもので、警備ロボット10の巡回警備の起点となるホーム12と、巡回路11に沿って複数(図示例では3個)配置された充電ステーション13a〜13cを有し、ホーム12を出発した警備ロボット10が各充電ステーション13a〜13cを経由して、再びホーム12に戻るように構成されている。この場合、ホーム12と充電ステーション13aの間、各充電ステーション13a〜13cの間及び充電ステーション13cとホーム12の間は、それぞれ後述する充電式電池21の1回の充電で走行可能な距離に設定されている。
【0023】
図3は、警備ロボット10と充電ステーション13a(〜13c)の連結部の構成を示している。この場合、連結手段として、警備ロボット10のドッキング部8に対し、充電ステーション13a(〜13c)にもドッキング部14が設けられている。
【0024】
警備ロボット10のドッキング部8は、ドッキング部本体801の円弧状に突出したドッキング面801aに接続端子として凹状の充電端子802,803が並んで配置され、これら充電端子802,803の両側にドッキングセンサ804、805が配置されている。
【0025】
一方、充電ステーション13a(〜13c)のドッキング部14は、ドッキング部本体141の円弧状に凹んだドッキング面141aに接続端子として凸状の充電端子142,143が並んで配置され、これら充電端子142,143の両側にドッキングセンサ144、145が配置されている。この場合、前記ドッキング部8の円弧状に突出したドッキング面801aが前記ドッキング部14の円弧状に凹んだドッキング面141aに当接した状態、つまりドッキング状態で、前記凸状の充電端子142,143が前記凹状の充電端子802,803内に嵌合され、これらの間が電気的に接続される。また、ドッキングセンサ804、805、144、145は、前記ドッキング部8とドッキング部14の間のドッキング状態を検出するもので、ここでは、ドッキングセンサ804と144、ドッキングセンサ805と145がそれぞれ対になっている。図示例では、ドッキングセンサ144、145にLED、ドッキングセンサ804、805にフォトダイオードが用いられ、LEDから発せられる光をフォトダイオードで受光するようにしている。
【0026】
図4は、このように構成されたロボットシステムの回路構成を示している。なお、図4は、上述した図1及び図3と同一部分には同符号を付している。
【0027】
図4において、21は充電式電池で、この充電式電池21は、前記ロボット本体1内部に設けられている。充電式電池21には、急速充電が可能なリチウムイオン二次電池が用いられる。リチウムイオン二次電池は、アルミニウムラミネートフィルムからなる外装部材による容器と、この容器内に収容された非水電解質と、前記容器内に収納されアルミニウム箔よりなる正極集電体にリチウムコバルト酸化物を正極作用物質として含む正極層が担持された正極と、前記容器内に収納されアルミニウム箔よりなる負極集電体に平均粒子径が1μm以下の粒度分布を有するチタン酸リチウムを負極活物質粒子として含む負極層が担持された負極とを備えた構造を有している。
【0028】
ここで、リチウムイオン二次電池についてさらに詳細に説明する。かかる、リチウムイオン二次電池は、リチウムチタン酸化物を活物質として含む負極を備えている。活物質であるリチウムチタン酸化物は、特許文献1に開示される通り、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、リチウムイオンの挿入・離脱が1.4Vから1.7V/Li付近で行われる。このため、この二次電池は大電流での急速充電を行っても、従来の負極活物質に炭素材料を用いた場合と比べてリチウムの析出が起こらずに安全性を確保できる。また、リチウムの吸蔵放出に伴う膨張収縮が生じるのを抑制することができるため、20C電流の急速充電を繰り返し行った際にも負極活物質の構造破壊を抑えることができる。その結果、充放電を繰り返し行った場合においても長い寿命を維持できる。電池の電位としては2.4V程度であることから、従来のニッケル水素蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池の2本直列分に相当するため、使用本数で50%の減量化が達成できる。
【0029】
具体的には、以下のような方法で組み立てたリチウムイオン二次電池は20Cで3分間充電することにより約80%電池容量まで充電することが可能な急速充電二次電池であることが確認されている。ここで、『C』は充放電率を表す単位であり、完全放電から完全充電(または完全充電から完全放電)までを定電流充電した場合に計算上1時間で行えるレートを1Cとして表現する。1/10時間の場合、10Cと表現する。したがって、例えば20C充電とは、1C充電の20倍の電流が必要になる。
【0030】
<負極の作製>
活物質として、平均粒子径5μmでLi吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li+)のチタン酸リチウム(Li4Ti512)粉末と、導電剤として平均粒子径0.4μmの炭素粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で90:7:3となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。
【0031】
なお、活物質の粒子径の測定には、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所株式会社 型番SALD−300)を用いた。まず、ビーカー等に試料約0.1gを入れた後、界面活性剤と1〜2mLの蒸留水を添加して十分に攪拌し、攪拌水槽に注入した。2秒間隔で、64回光強度分布を測定し、粒度分布データを解析し、累積度数分布が50%の粒径(D50)を平均粒子径とした。
【0032】
次いで、厚さ10μmのアルミニウム箔(純度99.99%)を負極集電体に前記スラリーを塗布し、乾燥した後、プレスを施すことにより電極密度2.4g/cm3の負極を作製した。
【0033】
<正極の作製>
活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)と、導電材として黒鉛粉末と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比で87:8:5となるように配合し、これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散させてスラリーを調製した。厚さ15μmのアルミニウム箔(純度99.99%)にスラリーを塗布し、乾燥した後、プレスすることにより電極密度3.5g/cm3の正極を作製した。
【0034】
<二次電池の組み立て>
容器(外装部材)の形成材料として、厚さが0.1mmのアルミニウム含有ラミネートフィルムを用意した。このアルミニウム含有ラミネートフィルムのアルミニウム層は、膜厚約0.03mmであった。アルミニウム層を補強する樹脂には、ポリプロピレンを使用した。このラミネートフィルムを熱融着で貼り合わせることにより、容器(外装部材)を得、さらに金属アルミニウムの容器に収めた。
【0035】
次いで、前記正極に正極端子を電気的に接続すると共に、前記負極に負極端子を電気的に接続した。厚さ12μmのポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを正極に密着させて被覆した。セパレータで被覆された正極に負極を対向するように重ね、これらを渦巻状に捲回して電極群を作製した。この電極群をプレスして扁平状に成形した。容器(外装部材)に扁平状に成形した電極群を挿入した。
【0036】
エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチルラクトン(GBL)が体積比(EC:GBL)で1:2の割合で混合された有機溶媒にリチウム塩であるLiBF4を1.5mol/L溶解させ、液状の非水電解質を調製した。得られた非水電解質を前記容器内に注液し、リチウム二次電池を組み立てた。このようなリチウム二次電池は、満充電時電圧2.8V、放電終止電圧1.5Vで使用することができる。
【0037】
この実施の形態では、前記充電式電池21として、10C以上の電流で急速充電可能なリチウムイオン二次電池が使用される。勿論、かかる充電式電池21は、上述した20Cで3分間充電することにより約80%電池容量まで充電可能なものである。
【0038】
このような充電式電池21には、前記充電端子802、803が接続され、また、電源スイッチ22を介して制御手段としての制御部23及び自律走行のための駆動手段としてモータ24が接続されている。電源スイッチ22は、手動により操作され、前記制御部23及びモータ24への電源の入り切りを行う。モータ24は、後述するモータ駆動部25の指示により前記走行用車輪2を回転駆動する。
【0039】
制御部23には、上述したセンサ群3、監視カメラ5、警報用スピーカ6、ドッキングセンサ804(805)の他、モータ駆動部25及び通信部26が接続されている。また、制御部23は、走行制御手段231、状態検出手段232、充電ステーション検出手段233を有している。走行制御手段231は、予め用意されたプログラムに従って前記巡回路11に沿った警備ロボット10の走行を制御するもので、前記モータ駆動部25を介してモータ24を駆動制御する。状態検出手段232は、前記センサ群3を構成する熱センサ、煙センサなど検出出力により周囲の異常を検出するもので、警報用スピーカ6よりサイレン音や音声による警告を発生させる。充電ステーション検出手段233は、ドッキングセンサ804、805の出力により充電ステーション13a(〜13c)を検出するとともに、充電ステーション13a(〜13c)とのドッキング状態を検出する。この場合、充電ステーション検出手段233は、例えばドッキング部8のドッキングセンサ804,805を構成するフォトダイオードが、充電ステーション13a(〜13c)側のドッキング部14のドッキングセンサ144、145を構成するLEDからの光を受光することにより充電ステーション13a(〜13c)を検出し、さらに前記フォトダイオードがそれぞれ対応するLEDの光を各別に受光した状態で、これら受光する光の強度がほぼ等しく、且つ最大になった状態でドッキング状態を検出する。
【0040】
さらに、制御部23は、センサ群3で検出した検出情報、監視カメラ5の撮影画像情報などを通信部26で無線信号に変換し、通信アンテナ7を介して不図示の管理センターなどに送信させる。
【0041】
充電式電池21には、監視保護手段として監視保護回路27が設けられている。この監視保護回路27は、充電式電池21の状態を監視するもので、かかる監視結果に応じて不図示のスイッチを駆動して充電式電池21の充放電を停止させる。この場合、監視保護回路27は、充電式電池21の過充電、過放電及び過電流を監視する。そして、充電式電池21の充電電圧が所定値の範囲では、充電式電池21の充放電を許容し、充電式電池21の充電電圧が所定値以上になると過充電と判断し前記スイッチ(不図示)を開放して充電式電池21の充電を停止させ、また、充電式電池21の充電電圧が所定値以下になると過放電と判断し前記スイッチ(不図示)を開放して充電式電池21の放電を停止させる。さらに充電式電池21の放電電流が所定値以上になると、過電流と判断し前記スイッチ(不図示)を開放して充電式電池21の放電を停止させる。これにより、充電式電池21が過充電状態になって電解液の分解によりガスが発生し、電池内部の圧力が上昇して漏液するのを防止し、また、充電式電池21が過放電状態になって負極の集電体の銅が電解液で溶解し電池性能を劣化させるのを防止する。このような監視保護回路27は、モジュール化され、前記充電式電池21内部に一体に組み込まれるものが用いられる。
なお、監視保護回路27は、充電式電池21の過充電、過放電及び過電流の少なくとも一つを監視するものであっても良い。
【0042】
一方、充電ステーション13a(〜13c)には、前記充電端子142,143が設けられている。この充電端子142,143には、充電ステーション13a(〜13c)へ警備ロボット10がドッキングした状態で前記充電端子802、803が電気的に接続される。図示例はこの状態を示している。充電端子142,143には、充電手段として充電部31が接続されている。充電部31は、電源コード32を介して不図示のAC電源に接続され、警備ロボット10の充電式電池21を満充電まで充電可能にしている。
【0043】
次に、このように構成したロボットシステムの動作を図5に示すフローチャートに従い説明する。
【0044】
まず、ステップ501で、図2に示すホーム12から最初の充電ステーション13aに向けての警備ロボット10を走行させる。この場合、制御部23は、走行制御手段231により予め用意されたプログラムに従ってモータ駆動部25を介してモータ24を制御し、前記走行用車輪2を駆動させて、前記巡回路11に沿った警備ロボット10の走行を制御する。
【0045】
次に、ステップ502で、周囲の状況を監視する。この場合、制御部23は、監視カメラ5による撮影画像情報を通信部26で無線信号に変換し、通信アンテナ7を介して不図示の管理センターに送信する。同時に、状態検出手段232によるセンサ群3の熱センサ、煙センサなどの検出情報も、通信部26で無線信号に変換し、通信アンテナ7を介して不図示の管理センターに送信する。管理センターでは、監視カメラ5の撮影画像情報やセンサ群3の検出情報から周囲の状況を逐一監視する。
【0046】
次に、ステップ503で、異常の有無が判断される。この場合、前記状態検出手段232は、センサ群3の熱センサ、煙センサなどの検出出力により周囲の異常の有無を検出する。ここで、異常を検出すると、ステップ504に進み、警報用スピーカ6よりサイレン音や音声による警告を発生させる。そして、ステップ505で、警備員などが駆けつけ異常原因が確認されると、その後、ステップ501に戻り、再び上述したステップ501以降の動作が実行される。
【0047】
一方、ステップ503で、異常が検出されない場合は、ステップ506に進み、充電ステーションの有無が判断される。この場合、制御部23は、充電ステーション検出手段233によりドッキング部8のドッキングセンサ804,805を構成するフォトダイオードが、充電ステーション13a側のドッキング部14のドッキングセンサ144、145を構成するLEDからの光を受光しているか否かで最初の充電ステーション13aを検出する。ここで、充電ステーション13aが検出されない場合は、ステップ501に戻り、再び上述したステップ501以降の動作が実行される。
【0048】
一方、ステップ506で、充電ステーション検出手段233により最初の充電ステーション13aが検出されると、続けて充電ステーション13aとのドッキング状態も検出される。この場合、充電ステーション検出手段233は、前記フォトダイオードがそれぞれ対応する前記LEDの光を各別に受光した状態で、これら受光する光の強度がほぼ等しく、且つ最大になったときにドッキング状態を検出する。
【0049】
警備ロボット10のドッキング部8が充電ステーション13aのドッキング部14にドッキングすると、この状態で、充電ステーション13a側の凸状の充電端子142,143が警備ロボット10側の凹状の充電端子802,803内に嵌合され、これら間が電気的に接続される。
【0050】
この状態で、ステップ507に進み、充電部31により充電式電池21の充電が開始される。そして、充電式電池21が満充電になると(ステップ508)、ステップ509に進む。ここで、充電式電池21の満充電は、充電時間や前記監視保護回路27で監視される充電式電池21の充電状況から判断される。
【0051】
ステップ509では、ホーム12に到着したかが判定される。ここで、NOと判断されると、ステップ501に戻り、再び上述したステップ501以降の動作が実行される。この場合、警備ロボット10は、充電ステーション13aから充電ステーション13b、充電ステーション13bから充電ステーション13c、充電ステーション13cからホーム12のそれぞれの間の巡回路11に沿って走行され、各充電ステーション13b〜13cに到達するごとに、それぞれの充電部31により満充電まで充電される。
【0052】
その後、ステップ509で、ホーム12に到着したと判断されると、警備ロボット10による警備巡回は終了する。
【0053】
従って、このようにすれば、巡回路11に沿って走行される警備ロボット10の電源として充電式電池21を使用し、また、巡回路11の途中に複数の充電ステーション13a〜13cを配置し、これら充電ステーション13b〜13cに警備ロボット10が達するごとに、それぞれの充電部31により前記充電式電池21を満充電まで充電し、次の巡回警備のための走行を継続させるようにした。また、組み込まれる充電式電池21として10C以上の電流で急速充電できるリチウムイオン二次電池が用いられことも特徴としている。これにより、巡回警備の途中で繰り返し充電ができ、しかも、充電式電池21は短時間の急速充電が可能なので、警備を長時間中断することなく、ほぼ連続した警備が実現できるなど、警備ロボットシステムとして所望する目的のロボット動作を安定して得ることができる。また、複数の充電ステーション13b〜13cを設置することによって、巡回途中で頻繁に充電式電池21の充電ができるので、搭載する電池数を減らすことが可能で、警備ロボット10自体の小型軽量化とともにコスト低減につなげることができる。これらのことは、急速充電が可能な充電式電池21を使用することによって実現できることである。従来の急速充電で2〜3時間を要する二次電池を使用した場合は、例え巡回路の途中に複数の充電ステーションを設置したとしても、各充電ステーションで長時間がかかって充電をしなければ先に進めないため、トータルの巡回時間が非常に長くかかってしまうばかりか、充電期間中は巡回警備かできないため、警備に長い空白時間ができてしまい、警備ロボットシステムとして所望するロボット動作を安定して得ることができない。
【0054】
また、警備ロボット10の充電式電池21は、図2に示す巡回路11を走行する場合、ホーム12から充電ステーション13a、充電ステーション13aから充電ステーション13b、充電ステーション13bから充電ステーション13c、充電ステーション13cからホーム12のそれぞれの間の距離を走行できるだけの小さな電池容量を備えていればよいため、巡回警備を終えてホーム12にも戻っても、次の巡回に必要な充電を短時間で行うことができ、次の巡回警備に直ちに出発することも可能である。図2の例では巡回路11が4分割されているので、従来の全巡回路を走行可能なだけの容量を有する二次電池の1/4の電池容量の充電式電池21を用意すればよい。
【0055】
さらに、搭載する充電式電池21を小型化できることにより空いたスペースは、警備ロボット10自体の小型化につなげることができるので、例えば、固定式の監視カメラの死角になるような狭いところにも入り込めるような設計を実現でき、警備範囲を広げることも可能であり、さらには、空いたスペースに、従来では搭載していなかったセンサなど新たな警備手段を搭載してセキュリティーレベルを上げることも可能である。
【0056】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、ロボットシステムとして警備ロボットに適用した例を述べたが、例えば、決められた順路に従って客を案内しながら展示内容を説明するような案内ロボットや、オフィース内の決めら順路に沿って掃除を行う掃除用ロボットなどにも適用することができる。
【0057】
その他、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態のロボットシステムに適用される警備ロボットの概略構成を示す図。
【図2】第1の実施の形態に適用される警備ロボットが走行される巡回路を示す図。
【図3】第1の実施の形態に適用される警備ロボットと充電ステーションとのドッキング構成を示す図。
【図4】第1の実施の形態のロボットシステムの回路構成を示す図。
【図5】第1の実施の形態のロボットシステムの動作を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0059】
1…ロボット本体、2…走行用車輪、3…センサ群
4…ライト、5…監視カメラ、6…警報用スピーカ
7…通信アンテナ、8…ドッキング部
801…ドッキング部本体、801a…ドッキング面
802.803…充電端子、804.805…ドッキングセンサ
10…警備ロボット、11…巡回路
12…ホーム、13a〜13c…充電ステーション
14…ドッキング部、141…ドッキング部本体
141a…ドッキング面、142.143…充電端子
144.145…ドッキングセンサ、21…充電式電池
22…電源スイッチ、23…制御部
231…走行制御手段、232…状態検出手段
233…充電ステーション検出手段、24…モータ
25…モータ駆動部、26…通信部、27…監視保護回路
31…充電部、32…電源コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット本体と、該ロボット本体内部に設けられる10C以上の電流で急速充電可能な充電式電池と、該充電式電池の出力を電源として前記ロボット本体を自律走行させる駆動手段を有するロボットと、
前記ロボットが自律走行される走行路と、
前記走行路に少なくとも1個配置され、前記充電式電池を充電する充電手段を有する充電ステーションと、を具備し、
前記ロボットは、前記走行路を自律走行され、且つ前記充電ステーションで前記充電手段により前記充電式電池が充電されることを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記ロボット及び充電ステーションは、これらロボット及び充電ステーションの間を連結可能にする連結手段と、該連結手段の連結状態で前記充電式電池を前記充電手段に接続する接続端子を有することを特徴とする請求項1記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記充電ステーションは、前記走行路に沿って所定間隔をおいて複数配置されることを特徴とする請求項1記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記充電式電池は、前記ロボットの少なくとも次の充電ステーションまでの距離の自律走行に必要な電池容量を有することを特徴とする請求項3記載のロボットシステム。
【請求項5】
さらに前記充電式電池の過充電、過放電及び過電流の少なくとも一つを検出し、前記充電式電池の充電又は放電を停止させる監視保護手段を有することを特徴とする請求項1記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ロボットは、周囲の状態を検出する状態検出手段と、該状態検出手段の検出情報を無線信号で送信する通信手段を有する警備ロボットであることを特徴とする請求項1記載のロボットシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−15692(P2008−15692A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184761(P2006−184761)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000003539)東芝電池株式会社 (109)
【Fターム(参考)】