説明

ロボット

【課題】外部の物体への衝撃の緩和に起因するロボットの作業量の低下を抑制することが可能なロボットを提供する。
【解決手段】このロボット100は、第1アーム部13と、第1アーム部13に対して折れ曲がり可能に接続されている第2アーム部14とを含むアーム12と、第1アーム部13側に設けられ、第1アーム部13および第2アーム部14を含むアーム12を駆動するモータ11とを備える。そして、通常時には、第2アーム部14が第1アーム部13に対して折れ曲がらずに、アーム12が駆動されるとともに、外部の物体200と衝突した時には、第2アーム部14が第1アーム部13に対して折れ曲がり、第2アーム部14がアーム12の移動方向と逆方向に移動することにより、外部の物体200への衝撃を緩和するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボットに関し、特に、アームを備えるロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アームを備えるロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
従来、産業用ロボットでは、産業用ロボットと工場内の作業員とが隔離されているので、産業用ロボットと作業員とが接触する機会が少なかった。一方、家庭内搬送ロボットや介護ロボットなど、生活支援分野において使用されるロボットでは、ロボットと人間などの外部の物体とが接触する機会が多いので、ロボットと人間とが衝突する場合があるという不都合がある。従来では、このような不都合を抑制するために、上記特許文献1に開示されているロボットは、関節と関節に接続されるアームとを備え、アームには、複数の触覚センサが設けられている。そして、アームが移動している最中において、触覚センサが人間などの外部の物体との衝突を検知したとき、アームと外部の物体との衝突を回避するように関節が駆動するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−89091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のロボットでは、ロボットが外部の物体に衝突した後から、アームと外部の物体との衝突を回避するように関節が駆動されるまでの間の時間では、ロボットのアームは、外部の物体側に引き続き移動すると考えられる。このため、ロボットが外部の物体に衝突した後の外部の物体への衝撃が大きくなる。その結果、ロボットのアームが外部の物体と衝突しても、衝撃が大きくならないように、通常時におけるロボットのアームの移動速度を小さくする必要がある。このため、所定の時間内に行わせるロボットの作業量が低下してしまうという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、外部の物体への衝撃の緩和に起因するロボットの作業量の低下を抑制することが可能なロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるロボットは、第1アーム部と、第1アーム部に対して折れ曲がり可能に接続されている第2アーム部とを含むアームと、第1アーム部側に設けられ、第1アーム部および第2アーム部を含むアームを駆動するモータとを備え、通常時には、第2アーム部が第1アーム部に対して折れ曲がらずに、アームが駆動されるとともに、外部の物体と衝突した時には、第2アーム部が第1アーム部に対して折れ曲がり、第2アーム部がアームの移動方向と逆方向に移動することにより、外部の物体への衝撃を緩和するように構成されている。
【0008】
この一の局面によるロボットでは、上記のように、外部の物体と衝突した時に、第2アーム部が第1アーム部に対して折れ曲がり、第2アーム部がアームの移動方向と逆方向に移動することにより、外部の物体への衝撃を緩和するように構成することによって、外部の物体と衝突した時に、第2アーム部が第1アーム部に対して折れ曲がるので、外部の物体と衝突した時の衝撃を緩和するように関節(モータ)が駆動してアームを移動させる場合と比べて、迅速に外部の物体への衝撃を緩和することができる。これにより、外部の物体への衝撃を緩和するために、通常時におけるアームの移動速度を小さくする必要がないので、外部の物体への衝撃の緩和に起因するロボットの作業量の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態によるロボットの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるロボットの側面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるロボットの上面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるロボットのアームが外部の物体と衝突した状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるロボットのアームが外部の物体と衝突した状態における側面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるロボットのアームの外部の物体への衝撃を緩和する動作を説明するための図である。
【図7】図6に示すロボットのアームの外部の物体への衝撃を緩和する状態における側面図である。
【図8】図6に示すロボットのアームの外部の物体への衝撃を緩和する動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】比較例によるロボットのアームが外部の物体と衝突した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態によるロボット100の構成について説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態によるロボット100は、ロボット本体部10と、ロボット本体部10を制御する制御装置30と、後述するモータ11を駆動するサーボドライブ40とを備えている。なお、制御装置30は、本発明の「制御部」の一例である。
【0013】
図1および図2に示すように、ロボット本体部10には、モータ11と、アーム12(第1アーム部13および第2アーム部14)とがクラッチ15を介して接続されている。モータ11は、モータ本体部11aとモータ回転部11bとを含んでいる。具体的には、アーム12(後述する第1アーム部13の根元部13a)は、モータ11に含まれるモータ回転部11bとクラッチ15を介して接続されている。クラッチ15は、モータ11とアーム12とを接続状態または非接続状態にする機能を有する。なお、クラッチ15は、本発明の「第2クラッチ」の一例である。
【0014】
また、アーム12は、アーム12のモータ11側(矢印X1方向側)に設けられる第1アーム部13と、アーム12の先端側(矢印X2方向側)に設けられる第2アーム部14とを含んでいる。ここで、本実施形態では、第2アーム部14のアーム12が延びる方向の長さL1は、第1アーム部13のアーム12が延びる方向の長さL2よりも小さい(L1<L2)。また、第1アーム部13の先端部13bと、第2アーム部14の根元部14aとは、クラッチ16を介して接続されている。なお、クラッチ16は、本発明の「第1クラッチ」の一例である。また、クラッチ16は、第1アーム部13と第2アーム部14とを接続状態または非接続状態にする機能を有する。なお、クラッチ15およびクラッチ16は、通常時(モータ11によって、アーム12が回転駆動されている時)には、接続された状態となっている。
【0015】
また、第2アーム部14の先端部14b(矢印X2方向側)の矢印Y1方向側の側面には、接触センサ17が設けられている。なお、接触センサ17は、本発明の「センサ」の一例である。ここで、本実施形態では、アーム12と外部の物体200との衝突を接触センサ17が検知した時、制御装置30が、クラッチ15およびクラッチ16を非接続状態にすることにより、第2アーム部14がアーム12の回転方向である矢印R1方向と逆方向の矢印R2方向に移動することによって、外部の物体200(図3参照)への衝撃を緩和するように構成されている。また、ロボット本体部10には、モータ11の駆動および第1アーム部13の移動を停止させるための外部ブレーキ18が設けられている。そして、アーム12と外部の物体200との衝突を接触センサ17が検知した時、モータ11の回生ブレーキと外部ブレーキ18とによって、モータ11の駆動を停止するように構成されている。
【0016】
また、図2に示すように、ロボット本体部10のモータ回転部11bの矢印Y2方向側の側面には、Y方向に延びるように棒状の固定部19が設けられている。固定部19は、モータ回転部11bの回転に伴って回転するように構成されている。また、第2アーム部14の下面(矢印Z1方向側)には、矢印Z1方向側に延びるように棒状の固定部20が設けられている。固定部20は、第2アーム部14の移動に伴って移動するように構成されている。また、第1アーム部13の根元部13aの矢印Y2方向側の側面には、たとえばリング状の部材からなるガイド部21が設けられている。また、第1アーム部13の先端部13bの矢印Y2方向側の側面にも、たとえばリング状の部材からなるガイド部22が設けられている。
【0017】
ここで、本実施形態では、ロボット本体部10には、モータ回転部11bに設けられる固定部19に一方端が接続され、第2アーム部14に設けられる固定部20に他方端が接続されるワイヤ23が取り付けられている。なお、ワイヤ23は、本発明の「接続部材」の一例である。また、ワイヤ23は、ガイド部21およびガイド部22を介して、固定部19と固定部20とに接続されている。そして、アーム12と外部の物体200との衝突を接触センサ17が検知した時、制御装置30によりクラッチ15およびクラッチ16が非接続状態にされるとともに、第1アーム部13が外部の物体200側に移動することにより、第2アーム部14がワイヤ23により引っ張られて、第2アーム部14が矢印R2方向(図3参照)に移動することによって、外部の物体200への衝撃を緩和するように構成されている。
【0018】
また、図1に示すように、制御装置30は、CPU31と、メモリ32と、通信インターフェイス33と、入出力信号インターフェイス34とを備えている。メモリ32は、CPU31に接続されている。通信インターフェイス33は、CPU31に接続されているとともに、サーボドライブ40に接続されている。入出力信号インターフェイス34は、CPU31に接続されている。また、入出力信号インターフェイス34は、外部ブレーキ18と、クラッチ15と、クラッチ16と、接触センサ17とに接続されている。また、サーボドライブ40は、モータ11に接続されている。
【0019】
次に、図3を参照して、本発明のロボット100の通常時の動作について説明する。
【0020】
まず、制御装置30から生成されたモーション指令が、通信インターフェイス33を介して、サーボドライブ40に伝達される。次に、サーボドライブ40では、モーション指令に応じたモータ電流が生成されるとともに、モータ11に出力される。そして、このモータ電流により、モータ11(モータ回転部11b)が駆動される。このとき、クラッチ15およびクラッチ16は、接続状態にされており、アーム12の第1アーム部13および第2アーム部14は、一体となって、クラッチ15を回転中心としてモータ回転部11bとともに回転方向Rに回転する。なお、固定部19および固定部20は、それぞれ、モータ回転部11bおよび第2アーム部14に固定されているので、クラッチ15およびクラッチ16が接続状態である通常時には、アーム12が移動している間にワイヤ23に張力はかからない。
【0021】
次に、図3〜図8を参照して、本実施形態によるロボット100のアーム12が外部の物体200と衝突した時の制御装置30の動作について説明する。
【0022】
まず、図3に示すように、アーム12がモータ11によって回転方向R(たとえば矢印R1方向)に沿って駆動される。このとき、図8のステップS1に示すように、接触センサ17が外部の物体200との接触(衝突)を検知したか否かが判断される。なお、接触センサ17が外部の物体200との接触を検知するまで、ステップS1の判断は、繰り返される。
【0023】
次に、図4に示すように、アーム12が外部の物体200と衝突する。このとき、ステップS1において、接触センサ17が外部の物体200との接触(衝突)を検知したと判断される。そして、ステップS2に進む。ステップS2では、制御装置30から、通信インターフェイス33を介して、サーボドライブ40にモータ11のモーション制御処理が指令される。これにより、サーボドライブ40では、モータ電流の生成が停止される。その結果、モータ11の回転は、回生ブレーキによって減速する。そして、ステップS3に進む。
【0024】
ステップS3では、制御装置30から、入出力信号インターフェイス34を介して、クラッチ15およびクラッチ16に接続の解除が指令される。これにより、クラッチ15およびクラッチ16が、接続状態から非接続状態になる。そして、ステップS4に進む。
【0025】
ステップS4では、制御装置30から、入出力信号インターフェイス34を介して、外部ブレーキ18に制動が指令される。これにより、モータ11の駆動が、外部ブレーキ18により制動(停止)される。なお、モータ11の停止は、上記ステップS2におけるモータ11の回生ブレーキと、ステップS4における外部ブレーキ18との両方によって行われる。また、上記ステップS3において、クラッチ15が解除されており、アーム12とモータ11とが非接続状態になっているので、モータ11にアーム12の慣性力が伝達されない。これにより、アーム12がモータ11に接続されている場合と比べて、より短い回転距離(時間)でモータ回転部11bが停止される。
【0026】
また、アーム12(第1アーム部13)の移動も外部ブレーキ18によって停止される一方、回転が停止されるモータ回転部11bと異なり、図6に示すように、第1アーム部13は、慣性力によって矢印R1方向に微小な距離だけ移動する。すなわち、平面的に見て(上方から見て)、モータ回転部11b側の固定部19と第1アーム部13のガイド部21とが重なっている状態(図4および図5参照)から、第1アーム部13のガイド部21がモータ回転部11b側の固定部19より矢印R1方向に移動した状態(図6および図7参照)となる。そして、ワイヤ23の他方端は、モータ回転部11bの固定部19に固定されているので、第2アーム部14の固定部20は、ガイド部22側に引っ張られる。その結果、第2アーム部14は、ワイヤ23により、矢印R2方向に引っ張られる。これにより、アーム12が外部の物体200に衝突した後の外部の物体200への衝撃が緩和される。
【0027】
次に、図9を参照して、上記した実施形態との比較のために、アーム302にクラッチが設けられていない比較例によるロボット300が外部の物体200と衝突した時の動作について説明する。
【0028】
図9に示すように、比較例によるロボット300は、モータ301と、モータ301に接続されるアーム302と、接触センサ303とを備えている。このロボット300では、モータ301とアーム302との間には、本実施形態と異なり、クラッチは、設けられていない。また、アーム302は、本実施形態と異なり、クラッチは設けられておらず、折り曲げ不可能に構成されている。また、外部ブレーキも設けられていない。このため、アーム302が外部の物体200に衝突した後、アーム302がモータ301の回生ブレーキによって停止されるまでの間に、アーム302は、点線で示すアーム302aのように矢印R1方向に移動する。その結果、本実施形態と異なり、アーム302が外部の物体200に衝突した後の外部の物体200への衝撃は、比較的大きくなる。
【0029】
本実施形態では、上記のように、外部の物体200と衝突した時に、第2アーム部14が第1アーム部13に対して折れ曲がるので、外部の物体200と衝突した時の衝撃を緩和するように関節(モータ11)が駆動してアーム12を移動させる場合と比べて、迅速に外部の物体200への衝撃を緩和することができる。これにより、外部の物体200への衝撃を緩和するために、通常時におけるアーム12の移動速度を小さくする必要がないので、外部の物体200への衝撃の緩和に起因するロボット100の作業量の低下を抑制することができる。
【0030】
また、本実施形態では、上記のように、第1アーム部13と第2アーム部14との間に、第1アーム部13と第2アーム部14とを接続または非接続状態にするクラッチ16と、クラッチ16の接続または非接続状態を制御する制御装置30とを設ける。そして、アーム12が外部の物体200と衝突した時に、制御装置30によりクラッチ16を非接続状態にすることにより、第2アーム部14をアーム12の移動方向(矢印R1方向)と逆方向(矢印R2方向)に移動させることによって、外部の物体200への衝撃を緩和するように構成する。これにより、アーム12が外部の物体200と衝突した時に、クラッチ16が非接続状態になるので、容易に、第1アーム部13を移動方向(矢印R1方向)と逆方向(矢印R2方向)に移動させることができる。
【0031】
また、本実施形態では、上記のように、第2アーム部14に一方端を固定し、モータ11側に他方端を固定したワイヤ23を設ける。そして、アーム12が外部の物体200と衝突した時に、制御装置30によりクラッチ16を非接続状態にするとともに、第1アーム部13を外部の物体200側に移動させる。また、第2アーム部14がワイヤ23により引っ張られて、第2アーム部14がアーム12の移動方向(矢印R1方向)と逆方向(矢印R2方向)に移動することによって、外部の物体200への衝撃を緩和するように構成する。これにより、第2アーム部14がワイヤ23により引っ張られるので、第2アーム部14を移動方向(矢印R1方向)と逆方向(矢印R2方向)に迅速に移動させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、上記のように、第2アーム部14(固定部20)と、モータ11側(固定部19)とをワイヤ23により接続する。これにより、第1アーム部13の移動に伴ってワイヤ23が引っ張られることにより、容易に、第2アーム部14を移動方向(矢印R1方向)と逆方向(矢印R2方向)に移動させることができる。
【0033】
また、本実施形態では、上記のように、ワイヤ23の他方端を、第1アーム部13と接続され第1アーム部13を回転駆動するモータ回転部11bに固定する。これにより、モータ回転部11bはアーム12の移動に伴って回転するので、クラッチ15およびクラッチ16が接続状態である通常時において、アーム12が移動している間にワイヤ23に張力がかかるのを抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では、上記のように、アーム12に取り付けられ外部の物体200との衝突を検知する接触センサ17を設ける。そして、外部の物体200との衝突を接触センサ17が検知した際に、制御装置30によってクラッチ16を非接続状態にすることにより、第2アーム部14をアーム12の移動方向(矢印R1方向)と逆方向(矢印R2方向)に移動させることによって、外部の物体200への衝撃を緩和するように構成する。これにより、外部の物体200との衝突が接触センサ17により検知されるので、容易に、クラッチ16を非接続状態にして、外部の物体200への衝撃を緩和することができる。
【0035】
また、本実施形態では、上記のように、モータ11と第1アーム部13との間にモータ11と第1アーム部13とを接続または非接続状態にするクラッチ15を設ける。そして、アーム12と外部の物体200との衝突を接触センサ17が検知した際に、制御装置30によってクラッチ15およびクラッチ16を非接続状態にして、第1アーム部13を外部の物体200側(矢印R1方向)に移動させる。また、第2アーム部14がワイヤ23により引っ張られて、第2アーム部14がアーム12の移動方向(矢印R1方向)と逆方向(矢印R2方向)に移動することによって、外部の物体200への衝撃を緩和するように構成する。これにより、クラッチ15が非接続状態になっているので、容易に、第1アーム部13がワイヤ23を引っ張ることができるとともに、クラッチ16が非接続状態になっているので、容易に、第2アーム部14をアーム12の移動方向(矢印R1方向)と逆方向(矢印R2方向)に移動させることができる。また、アーム12と外部の物体200との衝突を接触センサ17が検知した際に、制御装置30によってクラッチ15を非接続状態にすることにより、モータ11や第2アーム部14に対して慣性モーメントの大きい第1アーム部13の慣性力が伝達されないので、クラッチ15によりアーム12がモータ11に接続されている通常時に比べて、より短い回転距離(時間)でモータ回転部11bの回転を停止させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、上記のように、モータ11と別個にモータ11に取り付けられる外部ブレーキ18を設ける。そして、アーム12と外部の物体200との衝突を接触センサ17が検知した際に、制御装置30によりモータ11の回生ブレーキと外部ブレーキ18とによって、モータ11の駆動を停止するように構成する。これにより、モータ11が回生ブレーキのみならず外部ブレーキ18によっても停止されるので、モータ11をより迅速に停止させることができる。その結果、外部の物体200への衝撃を、より緩和することができる。
【0037】
また、本実施形態では、上記のように、第2アーム部14が延びる方向の長さL1を、第1アーム部13が延びる方向の長さL2よりも小さくなるように構成する。これにより、第2アーム部14の重量(慣性力)が小さくなるので、第2アーム部14を移動方向(矢印R1方向)と逆方向(矢印R2方向)により迅速に移動させることができる。その結果、外部の物体200への衝撃を、さらに緩和することができる。
【0038】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0039】
たとえば、上記実施形態では、第1アーム部13と第2アーム部14とがクラッチ16により接続されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1アーム部13と第2アーム部14とが弾性変形可能なバネ部材により接続されていてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、ロボット100にアーム12が1つ設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット100に複数のアーム12が設けられていてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、アーム12と外部の物体200との接触(衝突)を接触センサ17により検知する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、アーム12と外部の物体200とが接近するのを赤外線センサなどの非接触センサにより検知してもよい。これにより、アーム12と外部の物体200とが接触(衝突)する前に、モータ11の駆動の停止動作を開始することができるので、外部の物体200への衝撃をより緩和(回避)することができる。
【0042】
また、上記実施形態では、アーム12が外部の物体200と衝突した時に、クラッチ15とクラッチ16との両方が非接続状態になる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アーム12が外部の物体200と衝突した時に、少なくとも第1アーム部13と第2アーム部14とを接続するクラッチ16が非接続状態になれば、外部の物体200との衝突により第2アーム部14がアーム12の移動方向と逆方向に移動することによって、外部の物体200への衝撃を緩和することが可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、モータ回転部11bの固定部19と第2アーム部14の固定部20とに本発明の接続部材の一例としてワイヤ23が接続される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ワイヤ23に変えて、モータ回転部11bの固定部19と第2アーム部14の固定部20とに帯状や板バネ状の接続部材を接続してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、第2アーム部14が延びる方向の長さL1が、第1アーム部13が延びる方向の長さL2よりも小さくなる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2アーム部14が延びる方向の長さを、第1アーム部13が延びる方向の長さ以上にしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、ワイヤ23の一方端が第2アーム部14の固定部20に固定されるとともに、他方端がモータ回転部11bの固定部19に固定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ワイヤ23の一方端を第2アーム部14に直接固定するとともに、他方端をモータ回転部11bに直接固定してもよい。
【符号の説明】
【0046】
11 モータ
11b モータ回転部
12 アーム
13 第1アーム部
14 第2アーム部
15 クラッチ(第2クラッチ)
16 クラッチ(第1クラッチ)
17 接触センサ(センサ)
18 外部ブレーキ
23 ワイヤ(接続部材)
30 制御装置(制御部)
100 ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アーム部と、前記第1アーム部に対して折れ曲がり可能に接続されている第2アーム部とを含むアームと、
前記第1アーム部側に設けられ、前記第1アーム部および前記第2アーム部を含む前記アームを駆動するモータとを備え、
通常時には、前記第2アーム部が前記第1アーム部に対して折れ曲がらずに、前記アームが駆動されるとともに、外部の物体と衝突した時には、前記第2アーム部が前記第1アーム部に対して折れ曲がり、前記第2アーム部が前記アームの移動方向と逆方向に移動することにより、前記外部の物体への衝撃を緩和するように構成されている、ロボット。
【請求項2】
前記第1アーム部と前記第2アーム部との間に設けられ、前記第1アーム部と前記第2アーム部とを接続または非接続状態にする第1クラッチと、
前記第1クラッチの接続または非接続状態を制御する制御部とをさらに備え、
前記アームが前記外部の物体と衝突した時に、前記制御部が、前記第1クラッチを非接続状態にすることにより、前記第2アーム部が前記アームの移動方向と逆方向に移動することによって、前記外部の物体への衝撃を緩和するように構成されている、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第2アーム部に一方端が固定され、前記モータ側に他方端が固定される接続部材をさらに備え、
前記アームが前記外部の物体と衝突した時に、前記制御部が、前記第1クラッチを非接続状態にするとともに、前記第1アーム部が前記外部の物体側に移動することにより、前記第2アーム部が前記接続部材により引っ張られて、前記第2アーム部が前記アームの移動方向と逆方向に移動することによって、前記外部の物体への衝撃を緩和するように構成されている、請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記接続部材は、前記第2アーム部に一方端が固定され、前記モータ側に他方端が固定されるワイヤ状の接続部材を含む、請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記モータは、前記第1アーム部と接続され、前記第1アーム部を回転駆動するモータ回転部を含み、
前記接続部材の他方端は、前記モータ回転部に固定されている、請求項3または4に記載のロボット。
【請求項6】
前記アームに取り付けられ、前記外部の物体との衝突を検知するセンサをさらに備え、
前記外部の物体との衝突が前記センサにより検知された際に、前記制御部が、前記第1クラッチを非接続状態にすることにより、前記第2アーム部が前記アームの移動方向と逆方向に移動することによって、前記外部の物体への衝撃を緩和するように構成されている、請求項2〜5のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項7】
前記モータと前記第1アーム部との間に設けられ、前記モータと前記第1アーム部とを接続または非接続状態にする第2クラッチをさらに備え、
前記アーム部と前記外部の物体との衝突が前記センサにより検知された際に、前記制御部が、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチを非接続状態にして、前記第1アーム部が前記外部の物体側に移動することにより、前記第2アーム部が前記接続部材により引っ張られて、前記第2アーム部が前記アームの移動方向と逆方向に移動することによって、前記外部の物体への衝撃を緩和するように構成されている、請求項6に記載のロボット。
【請求項8】
前記モータと別個に設けられ、前記モータに取り付けられる外部ブレーキをさらに備え、
前記アームと前記外部の物体との衝突が前記センサにより検知された際に、前記制御部が、前記モータの回生ブレーキと前記外部ブレーキとによって、前記モータの駆動を停止するように構成されている、請求項6または7に記載のロボット。
【請求項9】
前記第2アーム部の前記アームが延びる方向の長さは、前記第1アーム部の前記アームが延びる方向の長さよりも小さくなるように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−110971(P2012−110971A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259062(P2010−259062)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】