説明

ロボット

【課題】対象物を逃がさず且つ確実に決められた位置で把持することが可能なロボットを提供する。
【解決手段】一対の指部12と一対の指部12が接続された本体部11とを有し、一対の指部12の一端部14が本体部11と離間する位置に設けられた第1回転軸13の周りに回転可能に接続され、一対の指部12の他端側が第1回転軸13を中心として対象物が載置された載置面と平行な面で揺動することにより一対の指部12を開閉させて対象物を把持する把持部10Aと、対象物と把持部10Aとを相対移動させる移動装置と、移動装置を制御して把持部10Aを対象物に向けて相対移動させ、対象物の周辺に一対の指部12を配置させた後、把持部10Aを制御して一対の指部12を載置面と平行な面で開閉させ、対象物の側方から一対の指部12の間に対象物を挟み込ませ、3点以上の接触点で把持部10Aに対象物を把持させる制御装置と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用ロボットとして、垂直多間接ロボット、水平多間接ロボット(スカラロボット)、直交型ロボットなどが開発されており、それらのロボットが各々の特徴に適合する用途に合わせて選択されている。これらのロボットでは、対象物を把持する把持部を目標位置に移動させ、該把持部に対象物を把持させている。
【0003】
このような産業用ロボットにおいては、自動組立その他の作業工程において、不特定で多様な姿勢をとる対象物を所定の姿勢で効率的に掴み取ることが要求されている。例えば、特許文献1のロボットでは、対象物を把持するチャック機構が回転機構によってチャック自身を支持する中心軸周りに正逆回転可能とされ、更に、回転機構自身が首振り機構によって下向きの所定角度範囲内で回動可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−78312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術にあっては、制御装置により回転機構と、首振り機構とが制御されるので、チャックを様々な方向に向けることができるとともに、制御装置の制御によって様々な姿勢の対象物をチャック機構で把持することができると考えられる。
しかしながら、対象物が例えば小型・軽量であると、カメラを用いて対象物の位置・姿勢を正確に検出することが困難となり、対象物を把持するチャック機構の正確な位置決めを行うことができない場合がある。チャック機構の正確な位置決めを行うことができないと、把持動作時に対象物とチャック機構とが意図しない場所で接触するおそれがある。その場合、対象物が軽量であるため、対象物が意図しない方向に動いてしまい、対象物を所望の位置で保持することができない場合や、対象物が把持空間から飛び出してしまうなどの問題が生じる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、対象物を逃がさず且つ確実に決められた位置で把持することが可能なロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のロボットは、一対の指部と前記一対の指部が接続された本体部とを有し、前記一対の指部の一端部が前記本体部と離間する位置に設けられた第1回転軸の周りに回転可能に接続され、前記一対の指部の他端側が前記第1回転軸を中心として対象物が載置された載置面と平行な面で揺動することにより前記一対の指部を開閉させて前記対象物を把持する把持部と、前記対象物と前記把持部とを相対移動させる移動装置と、前記移動装置を制御して前記把持部を前記対象物に向けて相対移動させ、前記対象物の周辺に前記一対の指部を配置させた後、前記把持部を制御して前記一対の指部を前記載置面と平行な面で開閉させ、前記対象物の側方から前記一対の指部の間に前記対象物を挟み込ませ、3点以上の接触点で前記把持部に前記対象物を把持させる制御装置と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
このロボットによれば、制御装置の制御により、一対の指部は対象物の周辺に移動した後、対象物が載置された載置面と平行な面で開閉するので、対象物の周辺は一対の指部で囲まれることとなる。これにより、対象物は一対の指部で囲まれた領域の外に飛び出さないようになる。また、一対の指部は対象物を側方から挟み込むので、対象物は一対の指部の動作に従って移動し、これにより位置が整われる。また、把持部は対象物を3点以上の接触点で把持するので、対象物の位置を拘束し、且つ接触点の摩擦により対象物を安定して把持することができる。このような把持部の動作によって対象物を所定の位置で把持することができる。したがって、対象物を逃がさず且つ確実に決められた位置で把持することが可能なロボットを提供することができる。また、一対の指部の一端部を回転中心として一対の指部の他端側が揺動することで一対の指部が開閉するので、例えば対象物が狭い場所に配置されている場合であっても、対象物を把持しやすくなる。
【0009】
前記ロボットにおいて、前記一対の指部のうちの少なくとも一方は、前記対象物を側方から把持する把持面において前記対象物と2点以上の接触点で接してもよい。
【0010】
このように接触点を増やすことで、対象物を所定の位置で安定して把持しやすくなる。
【0011】
前記ロボットにおいて、前記把持部は、前記一対の指部が接続される本体部を備え、前記対象物を前記一対の指部及び前記本体部に接触させることによって前記対象物を3点以上の接触点で把持してもよい。
【0012】
前記ロボットにおいて、前記一対の指部のうちの少なくとも一方には、前記対象物を挟んで前記載置面とは反対側に、前記対象物が前記載置面と直交する方向に飛び出すことを抑制するためのつばが設けられていてもよい。
【0013】
このロボットによれば、対象物を挟み込む際に、対象物が上方に飛び出してしまうことを抑制することができる。
【0014】
前記ロボットにおいて、前記一対の指部の各々は、一端側が前記第1回転軸に回転可能に連結された第1リンク部と、一端側が前記本体部に設けられた第2回転軸に回転可能に連結され且つ他端側が前記第1リンク部の他端側に回転可能に連結された第2リンク部と、を有していてもよい。
【0015】
このようにリンク部を増やすことで、対象物を所定の位置で安定して把持しやすくなる。
【0016】
前記ロボットにおいて、前記第2回転軸の位置は、前記一対の指部が閉じる方向に移動するのに伴って、前記第1回転軸と前記第2回転軸とを結ぶ直線に沿って前記第1回転軸とは反対の方向に移動してもよい。
【0017】
このロボットによれば、一対の指部が閉じる動作に従って、対象物がほとんど移動しないようにすることができる。したがって、対象物を所定の位置で安定して把持しやすくなる。
【0018】
前記ロボットにおいて、前記対象物を撮像するカメラを備え、前記制御装置は、前記カメラの撮像結果に基づいて前記対象物の位置を検出し、前記移動装置を制御して前記把持部を前記対象物に向けて相対移動させてもよい。
【0019】
このロボットによれば、対象物を把持する把持部の正確な位置決めを行うことができる。
【0020】
前記ロボットにおいて、前記把持部は、前記一対の指部が接続される本体部を備え、前記カメラは、前記本体部に取り付けられていてもよい。
【0021】
このロボットによれば、カメラが一対の指部に近い位置に配置されるので、対象物を把持する一対の指部の正確な位置決めを行うことができる。
【0022】
前記ロボットにおいて、前記一対の指部は、前記載置面と平行に配置されるとともに前記対象物を把持する先端部と、前記載置面から離間する方向に配置されるとともに前記本体部と接続される基端部と、を備えていてもよい。
【0023】
載置面に載置された対象物を把持する場合、一対の指部に把持動作を行わせる際に一対の指部を載置面に接触させることで対象物を安定して把持することが容易となる。例えば、一対の指部において先端部及び基端部が平行に配置された構成であると、対象物を把持する際に本体部が載置面と接触してしまい、先端部と載置面とが離間して対象物を安定して把持することが困難となる。しかしながら、本発明の構成によれば、一対の指部の先端部を載置面に接触させることが容易となる。したがって、対象物を所定の位置で安定して把持しやすくなる。
【0024】
前記ロボットにおいて、前記一対の指部における前記先端部の前記載置面と対向する面は平坦な面であってもよい。
【0025】
このロボットによれば、例えば一対の指部における先端部の載置面と対向する面が凹凸面である構成に比べて、一対の指部の先端部を載置面に接触させることが容易となる。したがって、対象物を所定の位置で安定して把持しやすくなる。
【0026】
前記ロボットにおいて、前記先端部と前記基端部とは、前記カメラで前記先端物を撮像する方向から視て重ならないように配置されていてもよい。
【0027】
このロボットによれば、先端部の把持動作を確認しつつ把持動作を行わせることができる。
【0028】
前記ロボットにおいて、前記先端部と前記基端部とのなす角度は鈍角であってもよい。
【0029】
例えば、先端部と基端部とのなす角度が鋭角である構成であると、カメラで一端部を撮像する方向から視て先端部が基端部に隠れてしまい一端部の正確な把持動作を検出することが困難となるおそれがある。しかしながら、本発明の構成であれば、カメラで先端部を撮像する方向から視て先端部が基端部に隠れてしまうことが少ない。したがって、先端部の把持動作を確認しつつ把持動作を行わせることが容易となる。
【0030】
前記ロボットにおいて、前記把持部は、前記対象物を把持する力を検出する検出装置を備え、前記制御装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて前記把持部が前記対象物を把持する力を調整してもよい。
【0031】
このロボットによれば、対象物に過度の荷重がかからないよう把持部の把持力を調整することができる。したがって、対象物を把持する際に、対象物が変形したり損傷したりすることを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係るロボットの概略構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る把持部の構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る把持部の動作を示す平面図である。
【図4】第1実施形態に係るロボットの動作を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る把持部の構成を示す図である。
【図6】第2実施形態に係る把持部の動作を示す平面図である。
【図7】第3実施形態に係る把持部の構成を示す図である。
【図8】第3実施形態に係る把持部の対象物の把持状態を示す図である。
【図9】第4実施形態に係る把持部の構成を示す図である。
【図10】第5実施形態に係る把持部の構成を示す平面図である。
【図11】把持部の第1変形例を示す図である。
【図12】把持部の第2変形例を示す図である。
【図13】把持部の第3変形例を示す図である。
【図14】把持部の第4変形例を示す図である。
【図15】把持部の第5変形例を示す図である。
【図16】把持部の第6変形例〜第8変形例を示す平面図である。
【図17】対象物を把持部で把持する際に生じる力の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
【0034】
以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸が水平面に対して平行かつ互いに直交する方向に設定され、Z軸がX軸及びY軸のそれぞれと直交する方向(鉛直方向)に設定されている。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボット1の概略構成を示す斜視図である。図1において、符号W1は第1対象物、符号W2は第2対象物である。また、符号L1Aは第1アーム21Aの回転軸,符号L2Aは第2アーム22Aの回転軸、符号L3Aは第3アーム23Aの回転軸、符号L4Aは把持部10Aの回転軸である。符号L1Bは第1アーム21Bの回転軸,符号L2Bは第2アーム22Bの回転軸、符号L3Bは第3アーム23Bの回転軸、符号L4Bは把持部10Bの回転軸である。
【0036】
ここでは、第1対象物W1として小型・軽量の歯車を例示して説明することとし、第2対象物W2として前記歯車を回転可能に支持する支持軸(ピン)を備える電子機器を例示して説明することとする。なお、第1対象物W1は把持部と接する側に曲面を有する略円柱形状となっている。
【0037】
図1に示すように、本実施形態に係るロボット1は、一対の指部を開閉させて対象物を把持する把持部10A,10Bと、対象物と把持部10A,10Bとをそれぞれ相対移動させるアーム(移動装置)20A,20Bと、第1対象物W1を搬送するベルトコンベア33,34と、第1対象物W1を第1ベルトコンベア(移動装置)33に搬入するフィーダと、第1対象物W1の受け渡し用の台となるステージ37と、対象物W1,W2を載置するステージ(移動装置)30と、アーム20A,20B及びステージ30を支持する基台50と、アーム20A,20Bにそれぞれ取り付けられたカメラ40A,40Bと、ロボット1自身の動作を制御する制御装置60と、制御装置60への入力指示を行う入力装置70と、を備えている。
【0038】
把持部10Aは、第3アーム23Aの一端部に接続されている。把持部10Aは、第1ベルトコンベア33に配置された第1対象物W1を把持する。把持部10Aは、把持した第1対象物W1をステージ37に搬送する。把持部10Aは、第1対象物W1を把持する力を検出する検出装置41Aを備えている。検出装置41Aとしては、例えば、圧力センサーを用いたりモーターのトルクの変化(モーターを流れる電流の変化)を検出するセンサーを用いたりすることができる。
【0039】
把持部10Bは、第3アーム23Bの一端部に接続されている。把持部10Bは、ステージ37に配置された第1対象物W1を把持する。把持部10Bは、把持した第1対象物W1をステージ30に搬送する。把持部10Bは、把持した(またはステージ37に配置された)第1対象物W1を第2対象物W2に搬送する。具体的には、把持部10Bによって、歯車W1が電子機器W2のピンに挿通される。把持部10Bは、第1対象物W1を把持する力を検出する検出装置41Bを備えている。検出装置41Bとしては、例えば、圧力センサーを用いたりモーターのトルクの変化(モーターを流れる電流の変化)を検出するセンサーを用いたりすることができる。
【0040】
アーム20Aは、第1アーム21A、第2アーム22A、第3アーム23Aがこの順に連結されており、第1アーム21AがZ軸方向に回転軸を有する主軸24及び平面視略矩形の基底部25を介して基台50に接続されている。第1アーム21Aは、主軸24との連結個所において、水平方向(XY平面と平行な方向)に回転軸L1A周りを正逆回転可能に設けられている。第2アーム22Aは、第1アーム21Aとの連結個所において、水平方向に回転軸L2A周りを正逆回転可能に設けられている。第3アーム23Aは、第2アーム22Aとの連結個所において、水平方向に回転軸L3A周りを正逆回転可能であるとともに、垂直方向(Z軸方向)に上下移動可能に設けられている。なお、把持部10Aは、第3アーム23Aとの連結個所において、水平方向に直交する方向に回転軸L4A周りを正逆回転可能に設けられている。
【0041】
アーム20Bは、第1アーム21B、第2アーム22B、第3アーム23Bがこの順に連結されており、第1アーム21BがZ軸方向に回転軸を有する主軸24及び平面視略矩形の基底部25を介して基台50に接続されている。第1アーム21Bは、主軸24との連結個所において、水平方向(XY平面と平行な方向)に回転軸L1B周りを正逆回転可能に設けられている。第2アーム22Bは、第1アーム21Bとの連結個所において、水平方向に回転軸L2B周りを正逆回転可能に設けられている。第3アーム23Bは、第2アーム22Bとの連結個所において、水平方向に回転軸L3B周りを正逆回転可能であるとともに、垂直方向(Z軸方向)に上下移動可能に設けられている。なお、把持部10Bは、第3アーム23Bとの連結個所において、水平方向に直交する方向に回転軸L4B周りを正逆回転可能に設けられている。
【0042】
第1ベルトコンベア33、第2ベルトコンベア34は、アーム20Aが設けられた側からこの順に離間して配置されている。フィーダ36は、第1ベルトコンベア33の上流側(+Y方向側)に配置されている。第2ベルトコンベア34は、第1ベルトコンベア33の下流側(−Y方向側)に突出するよう平面視において第1ベルトコンベア33よりも大きくなっている。第1ベルトコンベア33から落下した第1対象物W1は、第2ベルトコンベア34に搬送されて図示しない傾斜したベルトコンベアによりフィーダ36の開口部36aに投入される。このようにして、把持部10Aに把持されなかった第1対象物W1は、第1ベルトコンベア33、第2ベルトコンベア34、フィーダ36を循環するようになっている。
【0043】
ステージ30は、対象物を載置する天板31と、天板31を支持するベース部35と、を備えている。ベース部35は、例えば、X方向に天板31を水平移動させる移動機構と、Y方向に天板31を移動させる移動機構と、がそれぞれ独立に収納されており、天板31を水平方向に移動可能に設けられている。
【0044】
カメラ40Aは、アーム20Aを構成する第2アーム22Aの一端部に取り付けられている。カメラ40Aとしては、例えばCCDカメラを用いる。カメラ40Aは、第1ベルトコンベア33上に載置された第1対象物W1を撮像する。カメラ40Aの撮影画像は、制御装置60に送信される。
【0045】
カメラ40Bは、アーム20Bを構成する第2アーム22Bの一端部に取り付けられている。カメラ40Bとしては、例えばCCDカメラを用いる。カメラ40Bは、天板31上に載置された第1対象物W1、第2対象物W2を撮像する。カメラ40Bの撮影画像は、制御装置60に送信される。
【0046】
制御装置60は、メモリー、CPU、電源回路等を内蔵している。制御装置60は、入力装置70から入力されるロボット1の動作内容を規定する動作プログラム等を記憶し、CPUによってメモリーに記憶された各種プログラムを起動しロボット1を統括制御する。
【0047】
図2は、第1実施形態に係る把持部10Aの構成を示す図である。図2(a)は、第1実施形態に係る把持部10Aの構成を示す平面図である。図2(b)は、図2(a)に示すA−A線に沿った断面図である。ここでは、把持部10A及び把持部10Bのうち把持部10Aを例示して把持部の構成を説明することとする。把持部10Bについては把持部10Aと同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0048】
図2に示すように、把持部10Aは、本体部11と、一対の指部12と、を備えている。一対の指部12の一端部14は、本体部11と離間する位置に設けられた第1回転軸13の周りに回転可能に接続されている。把持部10Aは、一対の指部12の他端側(ここでは他端部15)を、第1回転軸13を中心として第1対象物W1が載置された面(第1ベルトコンベア33の上面)33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部12を開閉させるようになっている。なお、以下の説明においては、第1対象物W1が載置された面(第1ベルトコンベア33の上面)を単に「載置面」ということがある。
【0049】
本体部11は、一対の指部12が配置された側(+Y方向側)が湾曲して形成されている。本体部11には、湾曲部に沿って円弧状の開口部11aが形成されている。一対の指部12の他端部15には、本体部11の開口部11aを通る挿通部15aが設けられている。一対の指部12の他端部15は、開口部11aに沿って移動可能になっている。具体的には、一対の指部12の他端部15は、載置面33aと直交する方向から視て第1回転軸13を中心とした円弧状に移動可能になっている。また、一対の指部12は、それぞれ同一平面を移動する構成となっている。
【0050】
一対の指部12の「指部」は、1つの指又は複数の指で構成されている。ただし、指部が複数の指で構成されている場合は、複数の指のうちの1つの指に残りの指は全て従属して動作する。すなわち、複数の指のうちの1つの指部と残りの指とは別個独立して動作することはできない。
【0051】
一対の指部12の開閉機構(回転機構)は、モーター等の駆動装置により、一対の指部12の一端部14を第1回転軸13の周りに回転させる構成となっている一対の指部12は、2つの指部12が第1回転軸13を中心として回転する角度を1つの変数として制御される「1自由度の系(物体の位置を1つの変数で表すことができる系)」の構成となっている。
【0052】
一対の指部12は、互いに対向する側が凹をなすようそれぞれ屈曲して形成されている。一対の指部12は、第1対象物W1の側方から接する側に互いに交差する複数(2つ)の把持面12a,12bを有している。一対の指部は、第1対象物W1を側方から把持する把持面12a,12bにおいて第1対象物W1と4点以上の接触点で接するようになっている。このように接触点を増やすことで、第1対象物W1を所定の位置で安定して把持しやすくなる。一対の指部12は、例えば、アルミニウム等の金属(直方体)を切削することによって形成することができる。制御装置60は、一対の指部12に第1対象物W1を4点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
【0053】
一対の指部12の双方において、把持面12a,12b(図2参照)は、第1対象物W1が載置された面(第1ベルトコンベア33の上面)33aと直交している。なお、以下の説明においては、第1対象物W1が載置された面(第1ベルトコンベア33の上面)を単に「載置面」ということがある。
【0054】
ところで、例えば対象物が小型・軽量であると、カメラを用いて対象物の位置・姿勢を正確に検出することが困難となり、対象物を把持する把持部の正確な位置決めを行うことができない場合があった。把持部の正確な位置決めを行うことができないと、把持動作時に対象物と把持部とが意図しない場所で接触するおそれがある。その場合、対象物が軽量であるため、対象物が意図しない方向に動いてしまい、対象物を所望の位置で保持することができない場合や、対象物が把持空間から飛び出してしまうなどの問題が生じていた。
【0055】
図17は、対象物WXを把持部10Xで把持する際に生じる力の関係(セルフアライメントを実現させるための、摩擦力と押し出し力との関係)を示す図である。図17においては、対象物WXが配置された面にXY座標系を設定し、把持部の一方側(−X方向側)と対象物WXとの接触点を原点としている。図17において、符号Fは把持部10Xが対象物WXを押し出す力、符号fは押し出し力Fの把持部10Xの斜面方向成分、符号fは押し出し力FのX軸方向成分、符号fは対象物WXが把持部10Xから受ける摩擦力、符号θは把持部10Xの斜面とY軸とのなす角度である。なお、本図においては、対象物WXの質量が軽いため、対象物WXと対象物WXが配置された面との摩擦力は無視している。
【0056】
図17に示すように、把持部10Xが対象物WXを押し出す力Fを、把持部10Xの斜面方向成分fと、X軸方向成分fとに分解すると、以下の式(1)、(2)で表される。なお、fyは相殺される。
【0057】
=Ftanθ ・・・(1)
【0058】
=Fcosθ+Fsinθ ・・・(2)
【0059】
また、対象物WXが把持部10Xから受ける摩擦力fは、摩擦係数をμとすると、以下の式(3)で表される。
【0060】
=μF ・・・(3)
【0061】
ここで、対象物WXが把持部10Xにより押し出される条件は、以下の式(4)で表される。
【0062】
>f ・・・(4)
【0063】
よって、式(1)、式(3)、及び式(4)より、対象物WXが把持部10Xにより押し出される条件は、以下の式(5)で表される。
【0064】
μ<tanθ ・・・(5)
【0065】
以上により、対象物WXを把持部10Xで把持する場合、式(5)を満足することによって対象物WXを把持部10Xで押し出してセルフアライメントを実現させることができることが分かる。
【0066】
そこで、本発明のロボット1は、一対の指部12と一対の指部12が接続された本体部11とを有し、一対の指部12の一端部14が本体部11と離間する位置に設けられた第1回転軸13の周りに回転可能に接続され、一対の指部12の他端部15が第1回転軸13を中心として載置面33aと平行な面で揺動することにより一対の指部12を開閉させて対象物(第1対象物W1)を把持する把持部10Aと、第1対象物W1と把持部10Aとを相対移動させる移動装置(アーム20A、第1ベルトコンベア33)と、前記移動装置を制御して把持部10Aを第1対象物W1に向けて相対移動させ、第1対象物W1の周辺に一対の指部12を配置させた後、把持部10Aを制御して一対の指部12を第1対象物W1が載置された載置面33aに平行な面で開閉させ、対象物W1の側方から一対の指部12の間に第1対象物W1を挟み込ませ、3点以上の接触点で把持部10Aに第1対象物W1を把持させる制御装置60と、を備える構成となっている。以下、図3及び図4を参照して本実施形態に係るロボット1の動作について説明する。
【0067】
図3は、第1実施形態に係る把持部の動作を示す平面図である。図4は、第1実施形態に係るロボットの動作を示すフローチャートである。図3(a)は把持部10Aを第1対象物W1に向けて相対移動させるとき、図3(b)は第1対象物W1の周辺に一対の指部12を配置させたとき、図3(c)は第1対象物W1の側方から一対の指部12の間に第1対象物W1を挟み込ませたとき、図3(d)は把持部10Aに第1対象物W1を把持させたとき、を示している。なお、図3において、符号θ1a,θ1b,θ1c,θ1dは、第1回転軸13周りの一対の指部12のなす角度である。また、符号G1,G2,G3,G4は、一対の指部12と第1対象物W1との接触点である。ここでは、把持部10A及び把持部10Bのうち把持部10Aを例示して把持部の動作を説明することとする。把持部10Bについては把持部10Aと同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0068】
先ず、フィーダ36により、第1対象物W1を第1ベルトコンベア33に搬入する(図1参照)。次に、カメラ40Aにより第1対象物W1を撮像する。制御装置60は、カメラ40Aの撮像結果に基づいて、第1ベルトコンベア33上(載置面33a)に載置された第1対象物W1の位置を検出する(図4に示すステップS1)。
【0069】
次に、図3(a)に示すように、アーム20Aを制御して把持部10Aを第1対象物W1に向けて相対移動させる(図4に示すステップS2)。このときの一対の指部12のなす角度をθ1aとする。次に、把持部10Aを制御して把持部10Aに第1対象物W1を把持させる。ここでは、把持部10Aに第1対象物W1のケージング、セルフアライメント、摩擦把持の3つの機能を実現させる。
【0070】
なお、「ケージング」とは、対象物(第1対象物W1)がある位置・姿勢のときに、把持部10Aや第1対象物W1が配置された面(ここでは第1ベルトコンベアの上面33a)によって閉じられた空間の中にあることをいう。ケージングでは、第1対象物W1の位置・姿勢は拘束されておらず自由である。「セルフアライメント」とは、把持部10Aで第1対象物W1を挟み込む際に、把持部10Aの形状や把持部10Aと第1対象物W1との摩擦力によって、第1対象物W1を前記閉じられた空間の中で所定の位置に移動させることをいう。「摩擦把持」とは、把持部10Aに第1対象物W1を3点以上の接触点で接触させて第1対象物W1を拘束し、かつ、摩擦力によって第1対象物W1を第1対象物W1が配置された面33aに対して垂直な方向に拘束して把持することをいう。
【0071】
具体的には、図3(b)に示すように、第1対象物W1の周辺に一対の指部12を配置させた後、把持部10Aを制御して一対の指部12を第1対象物W1が載置された面33aと平行な面で開閉させて一対の指部12に第1対象物W1の周辺を囲ませる(図4に示すステップS3)。これにより、第1対象物W1は一対の指部12で囲まれた領域の外に飛び出さないようになる(ケージング)。なお、このときの一対の指部12のなす角度θ1bは、θ1aよりも小さくなっている(θ1b<θ1a)。
【0072】
次に、図3(c)に示すように、第1対象物W1の側方から一対の指部12の間に第1対象物W1を挟み込ませる(図4に示すステップS4)。これにより、第1対象物W1は一対の指部12に従って移動し、これにより位置が整われる(セルフアライメント)。なお、このときの一対の指部12のなす角度θ1cは、θ1bよりも小さくなっている(θ1c<θ1b)。
【0073】
そして、図3(d)に示すように、3点以上の接触点(ここでは接触点は4点)G1,G2,G3,G4で一対の指部12に第1対象物W1を把持させる(図4に示すステップS5)。これにより、第1対象物W1は、所定の位置で拘束される(摩擦把持)。このとき、把持部10Aに設けられた検出装置(図1参照)によって、把持部10Aが第1対象物W1を把持する力が検出されている。なお、このときの一対の指部12のなす角度θ1dは、θ1cよりも小さくなっている(θ1d<θ1c)。
【0074】
把持面12a,12b(図2参照)と載置面33aの角度は、第1対象物W1との接触面積が大きく取れる角度に設定すると、「摩擦把持」の際に第1対象物W1を安定して把持することが可能になる。
【0075】
その後、把持部10Aは、把持した第1対象物W1をステージ30(図1参照)に搬送する。
【0076】
本実施形態のロボット1によれば、制御装置60の制御により、一対の指部12は第1対象物W1の周辺に移動した後、載置面33aと平行な面で開閉するので、第1対象物W1の周辺は一対の指部12で囲まれることとなる。これにより、第1対象物W1は一対の指部12で囲まれた領域の外に飛び出さないようになる(ケージング)。また、一対の指部12は第1対象物W1を側方から挟み込むので、第1対象物W1は一対の指部12に従って移動し、これにより位置が整われる(セルフアライメント)。また、把持部10Aは対象物を3点以上の接触点(ここでは4点)G1,G2,G3,G4で把持するので、第1対象物W1の位置を拘束し、且つ接触点の摩擦により第1対象物W1を安定して把持することができる(摩擦把持)。このような把持部10Aの動作によって第1対象物W1を所定の位置で把持することができる。したがって、第1対象物W1を逃がさず且つ確実に決められた位置で把持することが可能なロボット1を提供することができる。また、一対の指部12の一端部14を回転中心として一対の指部12の他端側が揺動することで一対の指部12が開閉するので、例えば対象物が狭い場所に配置されている場合であっても、対象物を把持しやすくなる。
【0077】
この構成によれば、一対の指部12は第1対象物W1を側方から把持する把持面12a,12bにおいて第1対象物W1と4点以上の接触点で接している。このように接触点を増やすことで、第1対象物W1を所定の位置で安定して把持しやすくなる。
【0078】
この構成によれば、一対の指部12の双方において、把持面12a,12bが載置面33aと直交しているので、一対の指部の双方において把持面と載置面とのなす角度が鋭角又は鈍角である場合に比べて、第1対象物W1を挟み込む際に、第1対象物W1が上下に飛び出してしまうことを抑制することができる。例えば、一対の指部12Aの双方において、把持面と載置面33aとのなす角度が鋭角であると、第1対象物W1を挟み込む際に、第1対象物W1が下方に飛び出してしまうことがある(図3(b)参照)。一方、一対の指部12Bの双方において、把持面と載置面33aとのなす角度が鈍角であると、第1対象物W1を挟み込む際に、第1対象物W1が上方に飛び出してしまうことがある(図3(c)参照)。
【0079】
この構成によれば、第1対象物W1を撮像するカメラ40Aを備えているので、第1対象物W1を把持する把持部10Aの正確な位置決めを行うことができる。
【0080】
この構成によれば、把持部10Aが第1対象物W1を把持する力を検出する検出装置41Aを備えている。このため、第1対象物W1に過度の荷重がかからないよう把持部10Aの把持力を調整することができる。したがって、第1対象物W1を把持する際に、第1対象物W1が変形したり損傷したりすることを抑制することが可能となる。
【0081】
なお、本実施形態においては、アームが単位ロボット当たり2台(アーム20A,アーム20B)配置されている例を挙げて説明したが、これに限らない。アームは、単位ロボット当たり1台だけ配置されていてもよいし3台以上配置されていてもよい。
【0082】
また、本実施形態においては、第1対象物が略円柱形状の場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1対象物としては、ギア(歯車)の他にも、ナット、ネジなどの種々の形状のものを用いることができる。
【0083】
(第2実施形態)
図5は、図2に対応した、本発明の第2実施形態に係る把持部110の構成を示す図である。図5(a)は、第2実施形態に係る把持部110の構成を示す平面図である。図5(b)は、図5(a)に示すB−B線に沿った断面図である。本実施形態の把持部110は、第1対象物W1を一対の指部112及び本体部11に接触させることによって第1対象物W1を3点以上の接触点で把持する点で、上述の第1実施形態で説明した把持部10Aと異なる。図5において、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0084】
図5に示すように、把持部110は、本体部11と、一対の指部112と、を備えている。把持部110は、一対の指部112の他端側(ここでは他端部115)を、第1回転軸113を中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部112を開閉させるようになっている。
【0085】
一対の指部112の他端部115には、本体部11の開口部11aを通る挿通部115aが設けられている。一対の指部112の他端部115は、開口部11aに沿って移動可能になっている。具体的には、一対の指部112の他端部115は、載置面33aと直交する方向から視て第1回転軸113を中心とした円弧状に移動可能になっている。また、一対の指部112は、それぞれ同一平面を移動する構成となっている。
【0086】
一対の指部112は、第1対象物W1の側方から接する側に平坦な把持面112aを有している。一対の指部112の双方において、把持面112aは載置面33aと直交している。制御装置60(図1参照)は、一対の指部112及び本体部11に第1対象物W1を3点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。以下、図4及び図6を参照して本実施形態に係る把持部110の動作について説明する。
【0087】
図6は、図3に対応した、第2実施形態に係る把持部110の動作を示す平面図である。図6(a)は把持部110を第1対象物W1に向けて相対移動させるとき、図6(b)は第1対象物W1の周辺に一対の指部112を配置させたとき、図6(c)は第1対象物W1の側方から一対の指部112の間に第1対象物W1を挟み込ませたとき、図6(d)は把持部110に第1対象物W1を把持させたとき、を示している。なお、図6において、符号θ2a,θ2b,θ2c,θ2dは、第1回転軸113周りの一対の指部112のなす角度である。また、符号G11,G12,G13は、把持部110と第1対象物W1との接触点である。
【0088】
図4に示すステップS1については、第1実施形態に係る把持部10Aの動作と同様のためその詳細な説明を省略する。
【0089】
図6(a)に示すように、アーム20A(図1参照)を制御して把持部110を第1対象物W1に向けて相対移動させる(図4に示すステップS2)。このときの一対の指部112のなす角度をθ2aとする。次に、把持部110を制御して把持部110に第1対象物W1を把持させる。ここでは、把持部110に第1対象物W1のケージング、セルフアライメント、摩擦把持の3つの機能を実現させる。
【0090】
具体的には、図6(b)に示すように、第1対象物W1の周辺に一対の指部112を配置させた後、把持部110を制御して一対の指部112を載置面33aと平行な面で開閉させて一対の指部112に第1対象物W1の周辺を囲ませる(図4に示すステップS3)。これにより、第1対象物W1は一対の指部112で囲まれた領域の外に飛び出さないようになる(ケージング)。なお、このときの一対の指部112のなす角度θ2bは、θ2aよりも小さくなっている(θ2b<θ2a)。
【0091】
次に、図6(c)に示すように、第1対象物W1の側方から一対の指部112の間に第1対象物W1を挟み込ませる(図4に示すステップS4)。これにより、第1対象物W1は一対の指部112に従って移動し、これにより位置が整われる(セルフアライメント)。なお、このときの一対の指部112のなす角度θ2cは、θ2bよりも小さくなっている(θ2c<θ2b)。
【0092】
そして、図6(d)に示すように、一対の指部112及び本体部11に3点以上の接触点(ここでは接触点は3点)G11,G12,G13で第1対象物W1を把持させる(図4に示すステップS5)。これにより、第1対象物W1は、所定の位置で拘束される(摩擦把持)。なお、このときの一対の指部112のなす角度θ2dは、θ2cよりも小さくなっている(θ2d<θ2c)。
【0093】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る把持部210の構成を示す図である。図7(a)は、図2に対応した、本発明の第3実施形態に係る把持部210の構成を示す平面図である。図7(b)は、本発明の第3実施形態に係る把持部210の構成を示す断面図である。本実施形態の把持部210は、一対の指部212に第1対象物W1を挟んで載置面33aとは反対側に第1対象物W1が載置面33aと直交する方向に飛び出すことを抑制するためのつば212cが設けられている点で、上述の第1実施形態で説明した把持部10Aと異なる。図7において、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0094】
図7に示すように、把持部210は、本体部11と、一対の指部212と、を備えている。把持部210は、一対の指部212の他端側(ここでは他端部215)を、第1回転軸213を中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部212を開閉させるようになっている。
【0095】
一対の指部212は、第1対象物W1の側方から接する側に互いに交差する複数(2つ)の把持面212a,212bを有している。一対の指部212の双方において、把持面212a,212bは、載置面33aと直交している。制御装置60(図1参照)は、一対の指部212に第1対象物W1を4点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
【0096】
一対の指部212には、第1対象物W1を挟んで載置面33aとは反対側に、第1対象物W1が載置面33aと直交する方向に飛び出すことを抑制するためのつば212cが設けられている。つば212cの下面は、載置面33aと平行になっている。
【0097】
図8は、本発明の第3実施形態に係る把持部210の対象物の把持状態を示す図である。図8(a)は、図7(a)に対応した、本発明の第3実施形態に係る把持部210の対象物の把持状態を示す平面図である。図8(b)は、図7(b)に対応した、本発明の第3実施形態に係る把持部210の対象物の把持状態を示す断面図である。なお、図8において、符号G21,G22,G23,G24は、把持部210と第1対象物W1との接触点である。
【0098】
図8(a)に示すように、一対の指部212を制御して、一対の指部212に第1対象物W1を4点以上の接触点(ここでは接触点は4点)G21,G22,G23,G24で把持させる(図4に示すステップS5)。これにより、第1対象物W1は、所定の位置で拘束される。
【0099】
図8(b)に示すように、第1対象物W1の底面(−Z方向側)は載置面33aに接触しており、第1対象物W1の上面(+X方向側)はつば212cの下面に接触している。このようにして、第1対象物W1は、把持面212a,212b及びつば212cの下面に接触して把持される。
【0100】
本実施形態のロボットによれば、第1対象物W1を挟み込む際に、第1対象物が上方に飛び出してしまうことを抑制することができる。
【0101】
なお、本実施形態においては、一対の指部の双方につばが設けられている構成を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、一対の指部のうちいずれか一方につばが設けられている構成であってもよい。すなわち、一対の指部のうちの少なくとも一方につばが設けられている構成であればよい。ただし、つばは第1対象物が上方に飛び出ない面積を有する必要がある。
【0102】
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態に係る把持部310の構成を示す図である。図9(a)は、図7に対応した、本発明の第4実施形態に係る把持部310の構成を示す平面図である。図9(b)は、本発明の第3実施形態に係る把持部310の構成を示す側面図である。本実施形態の把持部310は、一対の指部320が、載置面33aと平行に配置されるとともに第1対象物W1を把持する先端部321と、載置面33aと離間する方向に配置されるとともに本体部11と接続される基端部322とを備えている点で、上述の第3実施形態で説明した把持部210と異なる。図9において、図7と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0103】
図9に示すように、把持部310は、本体部11と、一対の指部320と、を備えている。把持部310は、一対の指部320の他端側(ここでは基端部322)を、第1回転軸313を中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部320を開閉させるようになっている。
【0104】
一対の指部320は、載置面33aと平行に配置されるとともに第1対象物W1を把持する先端部321と、載置面33aと離間する方向に配置されるとともに本体部11と接続される基端部322とを備えている。
【0105】
一対の指部320の先端部321は、第1対象物W1の側方から接する側に互いに交差する複数の把持面(ここでは2つの面)321a,322bを有している。一対の指部320の双方において、把持面321a,321bは、載置面33aと直交している。制御装置60(図1参照)は、一対の指部320の先端部321に第1対象物W1を4点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
【0106】
一対の指部320の先端部321には、第1対象物W1を挟んで載置面33aとは反対側に、第1対象物W1が載置面33aと直交する方向に飛び出すことを抑制するためのつば321cが設けられている。
【0107】
一対の指部320における先端部321の載置面33aと対向する面321dは平坦な面である。
【0108】
一対の指部320において、先端部321と基端部322とは、カメラ340で先端部321を撮像する方向(ここではZ軸方向)から視て重ならないように配置されている。なお、カメラ340は、載置面33aと直交する方向から視て、第1対象物W1と重なる位置に配置されている。
【0109】
一対の指部320において、先端部321と基端部322とのなす角度θ1は鈍角である。
【0110】
本実施形態のロボットによれば、一対の指部全体が載置面と平行に配置される構成に比べて、第1対象物W1を所定の位置で把持することが容易となる。載置面に載置された第1対象物を把持する場合、一対の指部を載置面に接触させて一対の指部に把持動作を行わせることで第1対象物を安定して把持することが容易となる。例えば、一対の指部において先端部及び基端部が平行に配置された構成であると、第1対象物を把持する際に本体部が載置面と接触してしまい、先端部と載置面とが離間して第1対象物を把持することが困難となる。しかしながら、本発明の構成によれば、一対の指部320の先端部321を載置面33aに接触させることが容易となる。したがって、第1対象物W1を所定の位置で把持しやすくなる。
【0111】
この構成によれば、一対の指部における先端部の載置面と対向する面が凹凸面である構成に比べて、一対の指部320の先端部321を載置面33aに接触させることが容易となる。したがって、第1対象物W1を所定の位置で把持しやすくなる。
【0112】
この構成によれば、先端部321の把持動作を確認しつつ把持動作を行わせることができる。
【0113】
この構成によれば、先端部と基端部とのなす角度が鋭角である構成に比べて、先端部321の把持動作を確認しつつ把持動作を行わせることが容易となる。例えば、先端部と基端部とのなす角度が鋭角である構成であると、カメラで先端部を撮像する方向から視て先端部が基端部に隠れてしまい先端部の正確な把持動作を検出することが困難となるおそれがある。しかしながら、本発明の構成であれば、カメラ340で先端部321を撮像する方向から視て先端部321が基端部322に隠れてしまうことが少ない。したがって、先端部321の把持動作を確認しつつ把持動作を行わせることが容易となる。
【0114】
(第5実施形態)
図10は、図2に対応した、本発明の第5実施形態に係る把持部410の構成を示す平面図である。図10(a)は、把持部410を第1対象物W1に向けて相対移動させるとき、又は第1対象物W1の周辺に一対の指部420を配置させたときの平面図である。図10(b)は、第1対象物W1の側方から一対の指部420の間に第1対象物W1を挟み込ませたとき、又は把持部410に第1対象物W1を把持させたときの平面図である。図10において、符号θ3a1,θ3b1は、一対の指部420における第1リンク部421どうしのなす角度(第1回転軸423周りの一対の指部420のなす角度)、符号θ3a2,θ3b2は、一対の指部420における第1リンク部421と第2リンク部431とのなす角度(第3回転軸422周りの一対の指部420のなす角度)である。本実施形態の把持部410は、一対の指部420の各々が、一端側が第1回転軸423に回転可能に連結された第1リンク部421と、一端側が本体部411に設けられた第2回転軸412に回転可能に連結され且つ他端側が第1リンク部421の他端側に回転可能に連結された第2リンク部431と、を有する点で、上述の第1実施形態で説明した把持部10Aと異なる。図10において、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0115】
図10に示すように、把持部410は、本体部411と、一対の指部420と、を備えている。一対の指部420は、第1リンク部421と、第2リンク部431と、を備えている。把持部410は、一対の指部420の他端側(ここでは第1リンク部421の他端部425)を、第1回転軸423を中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部420を開閉させるようになっている。
【0116】
一対の指部420の開閉機構(回転機構)は、例えば、本体部411に直線状の溝(開口部)を設け、この溝に第2回転軸412を設け、回転軸412を一対の指部420の第2リンク部431に挿通させる等して、モーター等の駆動装置により、一対の指部420を直線状の溝に沿って移動させる構成となっている。また、一対の指部420の第2リンク部431を第2回転軸412に回転可能に配置する等して、モーター等の駆動装置により、一対の指部420の第2リンク部431を第2回転軸412の周りに回転させる構成となっている。一対の指部420における第2リンク部431の第2回転軸412周りの回転に従って、一対の指部420における第1リンク部421の他端部425を第1回転軸423を中心として載置面33aと平行な面で揺動させる構成となっている。
【0117】
一対の指部420における第1リンク部421は、第1対象物W1の側方から接する側に平坦な把持面421aを有している。一対の指部420の双方において、把持面421aは載置面33aと直交している。一対の指部420における第2リンク部431は、第1対象物W1の側方から接する側に平坦な把持面431aを有している。一対の指部420の双方において、把持面431aは載置面33aと直交している。制御装置60(図1参照)は、一対の指部420に第1対象物W1を4点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
【0118】
図10(a)に示すように、このとき(把持部410を第1対象物W1に向けて相対移動させるとき、又は第1対象物W1の周辺に一対の指部420を配置させたとき)の第1回転軸423周りの一対の指部420のなす角度をθ3a1、第3回転軸422周りの一対の指部420のなす角度をθ3a2とする。
【0119】
図10(b)に示すように、このとき(第1対象物W1の側方から一対の指部420の間に第1対象物W1を挟み込ませたとき)の第1回転軸423周りの一対の指部420のなす角度θ3b1は、θ3a1よりも小さくなっている(θ3b1<θ3a1)。一方、第3回転軸422周りの一対の指部420のなす角度θ3b2は、θ3a2よりも大きくなっている(θ3b2>θ3a2)。
【0120】
第2回転軸412の位置は、一対の指部420が閉じる方向に移動するのに伴って、第1回転軸423と第2回転軸412とを結ぶ直線に沿って第1回転軸423とは反対の方向に移動する。このようにして、第1回転軸423の位置(本体部411と第1回転軸423との間の距離)は、定位置に固定されるようになっている。
【0121】
このようにリンク部421,431を増やすことで、第1対象物W1を所定の位置で安定して把持しやすくなる。
【0122】
この構成によれば、一対の指部420が閉じる動作に従って、第1対象物W1がほとんど移動しないようにすることができる。したがって、第1対象物W1を所定の位置で安定して把持しやすくなる。
【0123】
(変形例1)
図11は、図5に対応した、本発明に係る把持部の第1変形例を示す図である。図11(a)は、本発明に係る把持部の第1変形例を示す平面図である。図11(b)は、図11(a)に示すC−C線に沿った断面図である。本変形例の把持部501は、本体部511に突起511aが設けられるとともに一対の指部512の他端部515に溝515aが形成されている点で、上述の第2実施形態で説明した把持部110と異なる。図11において、図5と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0124】
図11に示すように、把持部501は、本体部511と、一対の指部512と、を備えている。把持部501は、一対の指部512の他端側(ここでは他端部515)を、第1回転軸513を中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部512を開閉させるようになっている。
【0125】
一対の指部512の他端部515には、本体部511と接する側において断面視略T字状の溝515aが形成されている。本体部511は、一対の指部512が配置された側(+Y方向側)が湾曲して形成されている。本体部511には、湾曲部に沿って平面視円弧状であるとともに断面視略T字状の突起511aが設けられている。一対の指部512の他端部515は、突起511aに沿って移動可能になっている。具体的には、一対の指部512の他端部515は、載置面33aと直交する方向から視て回転軸513を中心とした円弧状に移動可能になっている。
【0126】
一対の指部512は、第1対象物W1の側方から接する側に平坦な把持面512aを有している。一対の指部512の双方において、把持面512aは載置面33aと直交している。制御装置60(図1参照)は、一対の指部512及び本体部511に第1対象物W1を3点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
【0127】
(変形例2)
図12は、図5に対応した、本発明に係る把持部の第2変形例を示す図である。図12(a)は、本発明に係る把持部の第2変形例を示す平面図である。図12(b)は、図12(a)に示すD1−D1線に沿った断面図である。図12(c)は、図12(a)に示すD2−D2線に沿った断面図である。図12(d)は、一対の指部の対象物と接触して把持する部分を示す側面図である。本変形例の把持部502は、本体部521に突起521a,521bが設けられており、一対の指部522A,522Bのうちの一方の指部522Aの他端部525Aに溝525Abが形成され、他方の指部522Bの他端部525Bに溝525Bbが形成されている点で、上述の第2実施形態で説明した把持部110と異なる。図12において、図5と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0128】
図12に示すように、把持部502は、本体部521と、一対の指部522A,522Bと、を備えている。把持部502は、一対の指部522A,522Bの他端側(ここでは他端部525A,525B)を、第1回転軸523を中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部522A,522Bを開閉させるようになっている。
【0129】
図12(b)に示すように、一対の指部522A,522Bのうちの一方の指部522Aの他端部525Aには、本体部521と接する側において断面視略T字状の溝525Abが形成されている。本体部521は、一対の指部522A,522Bが配置された側(+Y方向側)が湾曲して形成されている。本体部521の他端部525Aと接する側には、湾曲部に沿って平面視円弧状であるとともに断面視略T字状の突起521aが設けられている。指部522Aの他端部525Aは、突起521aに沿って移動可能になっている。具体的には、指部522Aの他端部525Aは、載置面33aと直交する方向から視て回転軸523を中心とした円弧状に移動可能になっている。
【0130】
図12(c)に示すように、一対の指部522A,522Bのうちの他方の指部522Bの他端部525Bには、本体部521と接する側において断面視略T字状の溝525Bbが形成されている。本体部521は、一対の指部522A,522Bが配置された側(+Y方向側)が湾曲して形成されている。本体部521の他端部525Bと接する側には、湾曲部に沿って平面視円弧状であるとともに断面視略T字状の突起521bが設けられている。指部522Bの他端部525Bは、突起521bに沿って移動可能になっている。具体的には、指部522Bの他端部525Bは、載置面33aと直交する方向から視て回転軸523を中心とした円弧状に移動可能になっている。
【0131】
図12(d)に示すように、一対の指部522A,522Bのうち指部522Aが第1対象物W1と接触して把持する部分の載置面33aからの高さ(載置面33aから把持する部分の上面までの距離)をH1、指部522Bが第1対象物W1と接触して把持する部分の載置面33aからの高さ(載置面33aから把持する部分の上面までの距離)をH2とする。一対の指部522A,522Bの第1対象物W1と接触して把持する部分の載置面33aからの高さH1,H2は互いに等しくなっている。なお、図12(d)においては、便宜上、一対の指部522A,522Bの第1対象物W1と接触して把持する部分を見やすくするために、高さH1,H2を異ならせている。
【0132】
一対の指部522A,522Bのうちの一方の指部522Aは、第1対象物W1の側方から接する側に平坦な把持面522Aaを有している。把持面522Aaは載置面33aと直交している。一対の指部522A,522Bのうちの他方の指部522Bは、第1対象物W1の側方から接する側に平坦な把持面522Baを有している。把持面522Baは載置面33aと直交している。制御装置60(図1参照)は、一対の指部522A,522B及び本体部521に第1対象物W1を3点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
【0133】
本変形例のロボットによれば、一対の指部522A,522Bにおいて一方の指部522Aの他端部525Aと他方の指部522Bの他端部525Bとが本体部521を挟んで互いに反対の側に配置されているので、他端部525Aと他端部525Bとが接触することはない。つまり、一方の他端部525Aと他方の他端部525Bとが異なる平面で移動することとなる。したがって、第1対象物W1を把持する一対の指部522A,522Bの開閉動作の自由度を高くすることができる。
【0134】
この構成によれば、一対の指部の第1対象物と接触して把持する部分の載置面からの高さが異なっている場合に比べて、第1対象物W1を挟み込む際に、第1対象物W1を所定の位置で安定して把持しやすくなる。例えば、一対の指部の第1対象物と接触して把持する部分の載置面からの高さが異なっていると、第1対象物を挟み込む際に、第1対象物が斜めに傾いたり倒れたりしてしまう場合がある。
【0135】
(変形例3)
図13は、図5(a)に対応した、本発明に係る把持部の第3変形例を示す平面図である。本変形例の把持部601は、一対の指部612A,612Bのうちの一方の指部612Aの一端部614Aが第1回転軸613Aの周りに回転し、他方の指部612Bの一端部614Bが第1回転軸613Bの周りに回転するよう構成されている点で、上述の第2実施形態で説明した把持部110と異なる。図13において、図5と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、本図において、便宜上、本体部の図示を省略している。
【0136】
図13に示すように、把持部601は、本体部(図示略)と、一対の指部612A,612Bと、を備えている。把持部601は、一対の指部612A,612Bのうちの一方の指部612Aの他端側(ここでは他端部615A)を、第1回転軸613Aを中心として載置面33aと平行な面で揺動させるとともに、他方の指部612Bの他端側(ここでは他端部615B)を、第1回転軸613Bを中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部612A,612Bを開閉させるようになっている。
【0137】
一対の指部612A,612Bのうちの一方の指部612Aの他端部615Aは、載置面33aと直交する方向から視て第1回転軸613Aを中心とした円弧状に移動可能になっている。他方の指部612Bの他端部615Bは、載置面33aと直交する方向から視て第1回転軸613Bを中心とした円弧状に移動可能になっている。
【0138】
一対の指部612A,612Bのうちの一方の指部612Aは、第1対象物W1の側方から接する側に平坦な把持面612Aaを有している。把持面612Aaは載置面33aと直交している。他方の指部612Bは、第1対象物W1の側方から接する側に平坦な把持面612Baを有している。把持面612Baは載置面33aと直交している。制御装置60(図1参照)は、一対の指部612A,612B及び本体部(図示略)に第1対象物W1を3点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
【0139】
(変形例4)
図14は、図5(a)に対応した、本発明に係る把持部の第4変形例を示す平面図である。本変形例の把持部602は、一対の指部622A,622Bが第1対象物W1の側方から接する側にそれぞれ曲面622Aa,622Baを有している点で、上述の第2実施形態で説明した把持部110と異なる。図14において、図5と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、本図において、便宜上、本体部の図示を省略している。
【0140】
図14に示すように、把持部602は、本体部(図示略)と、一対の指部622A,622Bと、を備えている。把持部602は、一対の指部622A,622Bのうちの一方の指部622Aの他端側(ここでは他端部625A)を、第1回転軸623Aを中心として載置面33aと平行な面で揺動させるとともに、他方の指部622Bの他端側(ここでは他端部625B)を、第1回転軸623Bを中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部622A,622Bを開閉させるようになっている。
【0141】
一対の指部622A,622Bのうちの一方の指部622Aの他端部625Aは、載置面33aと直交する方向から視て第1回転軸623Aを中心とした円弧状に移動可能になっている。他方の指部622Bの他端部625Bは、載置面33aと直交する方向から視て第1回転軸623Bを中心とした円弧状に移動可能になっている。
【0142】
一対の指部622A,622Bのうちの一方の指部622Aは、第1対象物W1の側方から接する側に凹をなして湾曲した把持面622Aaを有している。把持面622Aaは載置面33aと直交している。他方の指部622Bは、第1対象物W1の側方から接する側に凹をなして湾曲した把持面622Baを有している。把持面622Baは載置面33aと直交している。制御装置60(図1参照)は、一対の指部622A,622B及び本体部(図示略)に第1対象物W1を3点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
【0143】
(変形例5)
図15は、本発明に係る把持部の第5変形例を示す図である。図15(a)は、図5(a)に対応した、本発明に係る把持部の第5変形例を示す平面図である。図15(b)は、本発明に係る把持部の第5変形例を示す側面図である。本変形例の把持部603は、一対の指部632A,632Bのうちの一方の指部632Aが複数の指(ここでは2つの指)で構成されており、他方の指部632Bが1つの指で構成されている点で、上述の第2実施形態で説明した把持部110と異なる。図15において、図5と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、本図において、便宜上、本体部の図示を省略している。
【0144】
図15に示すように、把持部603は、本体部(図示略)と、一対の指部632A,632Bと、を備えている。把持部603は、一対の指部632A,632Bのうちの一方の指部632Aの他端側(ここでは他端部635A)を、第1回転軸633Aを中心として載置面33aと平行な面で揺動させるとともに、他方の指部632Bの他端側(ここでは他端部635B)を、第1回転軸633Bを中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部632A,632Bを開閉させるようになっている。
【0145】
一対の指部632A,632Bのうちの一方の指部632Aの他端部635Aは、載置面33aと直交する方向から視て第1回転軸633Aを中心とした円弧状に移動可能になっている。他方の指部632Bの他端部635Bは、載置面33aと直交する方向から視て第1回転軸633Bを中心とした円弧状に移動可能になっている。
【0146】
一対の指部632A,632Bのうちの一方の指部632Aは、第1対象物W1の側方から接する側に凹をなして湾曲した把持面632Aaを有している。把持面632Aaは載置面33aと直交している。他方の指部632Bは、第1対象物W1の側方から接する側に凹をなして湾曲した把持面632Baを有している。把持面632Baは載置面33aと直交している。
【0147】
図15(b)に示すように、一対の指部632A,632Bのうちの一方の指部632Aは、複数の指(ここでは2つの指)で構成されている。他方の指部632Bは、1つの指で構成されている。制御装置60(図1参照)は、一対の指部632A,632B及び本体部(図示略)に第1対象物W1を3点以上の接触点で把持させるよう制御を行う。
【0148】
(変形例6)
図16は、図9(b)に対応した、本発明に係る把持部の第6変形例〜第8変形例を示す側面図である。図16(a)は、本発明に係る把持部の第6変形例を示す側面図である。なお、第6変形例〜第8変形例に示す構成は、一対の指部が1つの回転軸の周りに回転する構成と一対の指部がそれぞれ異なる2つの回転軸の周りに回転する構成との双方において適用可能である。
【0149】
図16(a)に示すように、本変形例の把持部701は、本体部711と、一対の指部720と、を備えている。把持部701は、一対の指部720の他端側(ここでは基端部722の端部)を、第1回転軸(図示略)を中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部720を開閉させるようになっている。
【0150】
一対の指部720は、載置面33aと平行に配置されるとともに第1対象物W1を把持する一端部721と、載置面33aと離間する方向に配置されるとともに本体部11と接続される基端部722とを備えている。
【0151】
一対の指部720において、一端部721と基端部722とは、カメラ740で一端部721を撮像する方向から視て重ならないように配置されている。一対の指部720において、一端部721と基端部722とのなす角度θ4は鈍角である。カメラ740は、本体部711に取り付けられている。
【0152】
本変形例のロボットによれば、カメラ740が一対の指部720に近い位置に配置されるので、第1対象物W1を把持する一対の指部720の正確な位置決めを行うことができる。
【0153】
(変形例7)
図16(b)は、本発明に係る把持部の第7変形例を示す側面図である。なお、図16(b)においては、便宜上、第1対象物W1の図示を省略している。
【0154】
図16(b)に示すように、本変形例の把持部702は、本体部711と、一対の指部720Aと、を備えている。把持部702は、一対の指部720Aの他端側(ここでは基端部722Aの端部)を、第1回転軸(図示略)を中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部720Aを開閉させるようになっている。
【0155】
一対の指部720Aは、載置面33aと平行に配置されるとともに第1対象物W1を把持する一端部721Aと、載置面33aと離間する方向に配置されるとともに本体部11と接続される基端部722Aとを備えている。一端部721A及び基端部722Aの接続部は湾曲している。
【0156】
一対の指部720Aにおいて、一端部721Aと基端部722Aとは、カメラ740で一端部721Aを撮像する方向から視て重ならないように配置されている。一対の指部720Aにおいて、一端部721Aと基端部722Aとのなす角度(側面視直線部分のなす角度)θ5は鈍角である。カメラ740は、本体部711に取り付けられている。
【0157】
(変形例8)
図16(c)は、本発明に係る把持部の第8変形例を示す側面図である。なお、図16(c)においては、便宜上、第1対象物W1の図示を省略している。
【0158】
図16(c)に示すように、本変形例の把持部703は、本体部711と、一対の指部720Bと、を備えている。把持部703は、一対の指部720Bの他端側(ここでは基端部722Bの端部)を、第1回転軸(図示略)を中心として載置面33aと平行な面で揺動させることにより一対の指部720Bを開閉させるようになっている。
【0159】
一対の指部720Bは、載置面33aと平行に配置されるとともに第1対象物W1を把持する一端部721Bと、載置面33aと離間する方向に配置されるとともに本体部711と接続される基端部722Bとを備えている。
【0160】
一対の指部720Bにおいて、一端部721Bと基端部722Bとは、カメラ740で一端部721Bを撮像する方向から視て重ならないように配置されている。一対の指部720Bにおいて、一端部721Bと基端部722Bとのなす角度(側面視直線部分のなす角度)は直角である。カメラ740は、本体部711に取り付けられている。
【0161】
なお、上述した実施形態では、ロボットにおいて、把持部をスカラロボットによって移動させて把持部に対象物を把持させる構成としたが、これに限らない。例えば、直交型ロボットなど他の形式のロボットによって把持部を移動させて把持部に対象物を把持させる構成とすることもできる。
【0162】
また、上述した実施形態では、ロボットにおいて、基台上にアーム(移動装置)が取り付けられた構成としたが、これに限らない。例えば、基台にステージを跨ぐ橋梁部を取り付け、該橋梁部からアームをつり下げる構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0163】
1…ロボット、10A,10B,110,210,310,410,501,502,601,602,603,701,702,703…把持部、11,411,511,521,711…本体部、12,112,212,320,420,512,522A,522B,612A,612B,622A,622B,632A,632B,720,720A,720B…一対の指部、12a,12b,112a,212a,212b,321a,321b,421a,431a,512a522Aa,522Ba,612Aa,612Ba,622Aa,622Ba,632Aa,632Ba…把持面、13,113,213,313,423,513,523,613A,613B,623A,623B,633A,633B…第1回転軸、14,114,214,424,514,524A,524B,614A,614B,624A,624B,634A,634B…一端部、15,115,215,515,525A,525B,615A,615B,625A,625B,635A,635B…他端部、20A,20B…アーム(移動装置)、30…ステージ(移動装置)、33…第1ベルトコンベア(移動装置)、33a…載置面、40A,40B,340,740…カメラ、41A,41B…検出装置、60…制御装置、321,721,721A,721B…先端部、321d…先端部の載置面と対向する面、322,722,722A,722B…基端部、212c,321c…つば、412…第2回転軸、421…第1リンク部、431…第2リンク部、θ1,θ4,θ5…先端部と基端部とのなす角度、W1…第1対象物(対象物)、W2…第2対象物(対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の指部と前記一対の指部が接続された本体部とを有し、前記一対の指部の一端部が前記本体部と離間する位置に設けられた第1回転軸の周りに回転可能に接続され、前記一対の指部の他端側が前記第1回転軸を中心として対象物が載置された載置面と平行な面で揺動することにより前記一対の指部を開閉させて前記対象物を把持する把持部と、
前記対象物と前記把持部とを相対移動させる移動装置と、
前記移動装置を制御して前記把持部を前記対象物に向けて相対移動させ、前記対象物の周辺に前記一対の指部を配置させた後、前記把持部を制御して前記一対の指部を前記載置面と平行な面で開閉させ、前記対象物の側方から前記一対の指部の間に前記対象物を挟み込ませ、3点以上の接触点で前記把持部に前記対象物を把持させる制御装置と、
を備えていることを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記一対の指部のうちの少なくとも一方は、前記対象物を側方から把持する把持面において前記対象物と2点以上の接触点で接することを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記把持部は、前記一対の指部が接続される本体部を備え、前記対象物を前記一対の指部及び前記本体部に接触させることによって前記対象物を3点以上の接触点で把持することを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項4】
前記一対の指部のうちの少なくとも一方には、前記対象物を挟んで前記載置面とは反対側に、前記対象物が前記載置面と直交する方向に飛び出すことを抑制するためのつばが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項5】
前記一対の指部の各々は、
一端側が前記第1回転軸に回転可能に連結された第1リンク部と、
一端側が前記本体部に設けられた第2回転軸に回転可能に連結され且つ他端側が前記第1リンク部の他端側に回転可能に連結された第2リンク部と、
を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項6】
前記第2回転軸の位置は、前記一対の指部が閉じる方向に移動するのに伴って、前記第1回転軸と前記第2回転軸とを結ぶ直線に沿って前記第1回転軸とは反対の方向に移動することを特徴とする請求項5に記載のロボット。
【請求項7】
前記対象物を撮像するカメラを備え、
前記制御装置は、前記カメラの撮像結果に基づいて前記対象物の位置を検出し、前記移動装置を制御して前記把持部を前記対象物に向けて相対移動させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項8】
前記把持部は、前記一対の指部が接続される本体部を備え、
前記カメラは、前記本体部に取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載のロボット。
【請求項9】
前記一対の指部は、
前記載置面と平行に配置されるとともに前記対象物を把持する先端部と、
前記載置面から離間する方向に配置されるとともに前記本体部と接続される基端部と、
を備えていることを特徴とする請求項7または8に記載のロボット。
【請求項10】
前記一対の指部における前記先端部の前記載置面と対向する面は平坦な面であることを特徴とする請求項9に記載のロボット。
【請求項11】
前記先端部と前記基端部とは、前記カメラで前記一端部を撮像する方向から視て重ならないように配置されていることを特徴とする請求項9または10に記載のロボット。
【請求項12】
前記先端部と前記基端部とのなす角度は鈍角であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項13】
前記把持部は、前記対象物を把持する力を検出する検出装置を備え、
前記制御装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて前記把持部が前記対象物を把持する力を調整することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−61546(P2012−61546A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206662(P2010−206662)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】