説明

ロータに応力緩和溝を有する蒸気タービン

【課題】 ロータに応力緩和溝を有する蒸気タービンを提供する。
【解決手段】 蒸気タービン1が、つり合いピストン6の領域に配置される応力緩和溝8であって、ロータ2の周囲方向に延びる応力緩和溝8を有する。この応力緩和溝8は、それが、蒸気流れ11が流入流路から翼列流路1’に流入する領域の外側でロータ2に配置されるように、特に流入流路5に関して軸方向の上流側に配置される。さらに、この応力緩和溝は、最初の翼列12に関して、ロータ2に最大熱応力が発生し得る領域に配置される。この応力緩和溝8は、場合によって、渦流れを低減するためのカバーと、溝の加熱を抑えるための装置または能動冷却するための装置とを有する。本発明による蒸気タービンによって、タービンの性能低下を最小限に抑えて、リスクを伴わない蒸気タービンの起動および停止操作の回数を増やすことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータに、熱応力を緩和するための応力緩和溝を有する蒸気タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンのロータには、タービンの起動時および停止時に、高温ガス流れの急速な変化に起因する局所的な熱応力が発生する。このような応力は、特に、高圧および中圧蒸気タービンの蒸気流入部の領域に発生し、翼溝の領域、特に第1翼列の領域に亀裂を発生させることが多い。これは、ロータの耐用寿命、特にリスクを伴わないタービンの起動操作の回数を制限する可能性がある。
【0003】
特許文献1は、隣接する翼間において半径方向の内側に延びる溝を備えたタービンのロータディスクを開示している。この溝は、ロータの熱膨張によって生じる可能性があるロータディスク端部の円周方向の応力を避ける機能を有する。各溝の基部には、それぞれドリル穿孔が設けられ、その中にリベットが挿入される。
【0004】
特許文献2は、タービンロータ上に動翼用の固定(fastening)領域を有する蒸気タービンであって、その固定領域のロータ軸からの半径方向の距離が、動翼の軸方向スラストの方向に低減している蒸気タービンを開示している。ロータは、動翼の固定領域とつり合いピストン(equalizing piston)との間に、ロータ全周に及ぶ連続凹部(28)を有しており、この連続凹部(28)は、内部ケーシング内の流入チャンバからつり合いピストンへの蒸気の流入を確実にし、同時に、初期の動翼スラストに対する応力緩和ノッチとして作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE第2423036号明細書
【特許文献2】EP第1724437号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、蒸気タービン、特に高圧または中圧の蒸気タービンであって、そのタービンロータが熱応力を緩和する装置を備えた蒸気タービンを創出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
高圧または中圧の蒸気で運転される蒸気タービンは、ロータと、ステータと、生蒸気用の流入流路とを有し、生蒸気は、その流入流路の下流側で、作用蒸気の流れの下流側への方向に、タービンの翼列流路(bladed flow path)を通って流れる。タービンは、さらに、ロータとステータとの間のピストンシールと、つり合いピストンとを有する。本発明によれば、蒸気タービンが、そのロータに、熱応力を緩和するための応力緩和溝を有する。この応力緩和溝は、ロータのつり合いピストンの領域に配置され、かつ、ロータの円周方向に延びている。従って、応力緩和溝は、生蒸気の流入流路から一定距離を置いた位置であって、さらに、流入流路に関して、翼列流路を通る作用蒸気(operating steam)の流れの方向に反対向きの軸方向の位置に配置される。
【0008】
応力緩和溝は、翼列流路における最初の翼列に関して、特にタービンの起動時および停止時あるいは負荷の変更時にタービンロータに最大熱応力が通常発生すると見られる領域に配置される。さらに、応力緩和溝は、蒸気の流れが流入流路からタービンの翼列流路に流入する領域の外側でタービンロータに配置される。溝のこの配置によって、熱応力は効果的に低減され、しかもその場合、蒸気の流入流れが損なわれることがなく、従って機械の性能が維持される。
【0009】
本発明によるロータにおける応力緩和溝を備えた蒸気タービンは、先行技術の蒸気タービンに比較して耐用寿命が長くなる。この応力緩和溝によって、特に、タービンの性能低下をもたらすことなく、リスクを伴わない蒸気タービンの起動および停止操作の回数を増やすことが可能になる。さらに、応力緩和溝を本発明に従って位置決めすることによって、溝の冷却を僅かな冷却物質流量(cooling mass flow)で行うことができる。最後に、本発明による蒸気タービンは、応力緩和溝のみにおける亀裂生成に関する検査によって、ロータの容易な検査をも可能にする。これにより、最初の翼列の溝の状態についての確実な情報をも提供するのである。特に、溝の領域における熱伝達が低減され、従って熱負荷の低下がもたらされる。
【0010】
応力緩和溝は、ロータの全周にわたって同じ形状で延びることが望ましい。この場合、その断面形状は、対称的または非対称的な構成にすることができる。非対称的な構成の場合は、溝は、生蒸気の流入流路に向かって半径方向の深さが増大するように延びる。
【0011】
1つの実施形態においては、応力緩和溝がピストンシールの領域に配置される。本発明の別の実施形態においては、応力緩和溝が、その開口部にカバーを有する。これは、ピストンシールにおける漏洩流れから生じる可能性がある溝内部の渦流れを低減する、もしくは完全に回避する効果を有する。本発明の別の実施形態においては、応力緩和溝をピストンシールの領域に配置すると共に、溝の開口部のカバーを設けることによって、カバー上に付加的なシール用ストリップを配置することが可能になる。このシール用ストリップは、カバーを備えない応力緩和溝の場合は装着不可能である。この措置の結果、応力緩和溝を設けても最適なシール効果が得られる。
【0012】
応力緩和溝のカバーは、ステータの一体的な部分として実現できるか、あるいは、別個の部品として製造して例えば引っ掛けるようにしてステータに固定することが可能である。
【0013】
本発明の別の実施形態においては、応力緩和溝が、付加的に、熱伝達を低減しかつロータの振動を制御するための装置を有する。応力緩和溝は、高温生蒸気の流入部の近傍に配置されるので、高い熱伝達によって、ロータが内部において好ましくない温度レベルに加熱される可能性がある。さらに、応力緩和溝の領域においては、ロータ振動の励振が生じる可能性がある。これらの問題を回避する、あるいは少なくとも低減するために、応力緩和溝のカバーは、ロータ表面の位置レベルで軸方向に延びる流路を有する。これによって、ピストンシールからの高温の漏洩流れは、応力緩和溝の中に流入しようとするのではなくこの流路を通って流れ得ることが保証される。
【0014】
本発明の別の実施形態においては、蒸気タービンが、ステータ内に冷却流れの流路を有する。この冷却流れの流路は、漏洩流れの方向において応力緩和溝の上流側でピストンシールの領域に至る流路である。応力緩和溝は、ロータ表面の位置レベルの流路を備えるカバーを有する。
【0015】
本発明の別の実施形態においては、蒸気タービンが、ステータを貫通する冷却流れの流路であってカバーなしの応力緩和溝に至る冷却流れの流路を有する。生蒸気の壁面を形成するステータ部分は、流入流路の曲り部の領域の中まで半径方向の内側に延びている。この曲り部の部分で、流路はタービンの翼列流路に繋がっている。ステータとロータとの間の間隙は、流入流路から、部分的には半径方向に、部分的には軸方向に、応力緩和溝まで延びている。冷却流れの流路を経由して溝の中に達する冷却蒸気は、応力緩和溝から、ステータおよびロータ間の流路を通って生蒸気流入流路に流れる。この冷却手段によって、ロータの過度な加熱を抑え、あるいは回避することが可能になる。
【0016】
本発明の別の実施形態においては、ロータが、特に溶接構造のロータである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による応力緩和溝がつり合いピストンおよびピストンシールの領域に配置された蒸気タービンを、ロータ軸に沿う断面図で示す。
【図2】本発明による応力緩和溝の図1の指示部分IIの詳細図を示す。
【図2a】カバーを備える応力緩和溝がピストンシールの中に配置された本発明の詳細図を示す。
【図3】翼根部の構成のカバーを含む応力緩和溝を備えた本発明の別の実施形態を示す。
【図4】漏洩流れのための流路を含む応力緩和溝を備えた本発明の別の実施形態を示す。
【図5】応力緩和溝と、蒸気タービンのステータ内における付加的な冷却装置とを備えた本発明の別の実施形態を示す。
【図6】付加的な冷却路から応力緩和溝を冷却する本発明の別の実施形態を示す。
【図7】非対称的な断面形状と半径方向に範囲を定められたカバーとを有する応力緩和溝の別の実施形態を示す。
【図7a】半径方向に延びるカバーを有する非対称的な応力緩和溝の別の実施形態を示す。
【図7b】図7および7aによるカバーを備える応力緩和溝のロータ軸に沿う断面図であって、特に、線VIIb−VIIbに沿う、カバーを貫通する漏洩流れ用流路の内部領域の断面形状の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
異なる図面における同様の符号はそれぞれ同じ構成要素を表す。
【0019】
図1は、蒸気タービン1、例えば高圧蒸気タービンを子午面の断面において示す。蒸気タービン1の、ロータ軸3を含むそのロータ2と、ステータまたは内部ケーシング4とが翼列流路1’を形成し、動翼および静翼3’、4’はロータまたはステータに固定される。蒸気タービン1は外部ケーシング1’’によって囲まれている。作用蒸気用の流入流路5は、流入渦巻き室9から軸方向に延びる翼列流路1’に至っている。流入流路5は、ステータ4およびつり合いピストン6によって形成される。作用蒸気は、流入流路の端部から翼列流路を通って軸方向の下流側に流れ、そこで膨張する。流入流路5から軸方向の上流側に、すなわち、下流方向と反対側の方向において、ステータ4とロータ2との間にピストンシール7が延びている。また、ロータ2には、周回応力緩和溝8が、流入流路から軸方向の上流側に一定距離を置いて、ピストンシール7内に設けられる。
【0020】
図2は流入渦巻き室9を詳細に示す。その流入渦巻き室9から、生蒸気の流れ11が、案内翼列10を経由して流入流路5を通って流れ、そこから第1動翼列12に衝突する。漏洩流れ14は、生蒸気の流れ11から、シール用ストリップ13を含むピストンシール7を通って流出しようとする。応力緩和溝8は、流入流路5から軸方向に一定距離をおいて、つり合いピストン6の領域に配置される。応力緩和溝は、この領域において、熱応力の影響を特に強く受ける最初の動翼列12にできるだけ近接して、かつ同時に高温の流入蒸気流れ11から一定距離をおいて配置できる。この結果、流入流れおよび作用流れは、可能な限り応力緩和溝による障害なくかつ損失なしに、翼列流路1’内に流れることができる。
【0021】
応力緩和溝8は、ロータ2の全周に延びると共に、ロータ表面上のその開口部からほぼ半径方向の内側に延びている。この溝は、例えば、半径方向において動翼12の翼溝の深さの範囲内に延びている。応力緩和溝は、半径方向の内側のその端部において、ロータ表面におけるその開口部に比べて広がっている。半径方向の内側の端部におけるこの広がりは、基本的にノッチ効果をできる限り低減する機能を有する。ロータ表面における開口を相対的に狭くしているのは、高温蒸気が漏洩流れ14から溝8の中に極力流入しないようにするため、従って、そこに渦流れが極力生じないようにするためである。この措置を講じなければ、ロータの局所加熱をもたらす可能性がある。
【0022】
図2aは、本発明による応力緩和溝8の1つの実施形態を示す。この応力緩和溝8は、渦流れをさらに低減するために、その開口部にカバー15を有している。このカバーは、溝8の片側で溶接シームによってロータ2に結合されている。例えば、溝8は、その開口部の領域に、カバーが載せられる肩部17を有する。カバーは、溝の開口部の大部分に広がっているが、カバー15と開口部の端部との間には開放空隙16が残されており、これによって自由な熱膨張が可能になる。カバー15は、さらに、内部ケーシング4に固定されるシール用ストリップ13がカバー15まで延びて、それによりピストンシール7のシール効果を最適化することを可能にする。さらにまた、シール効果をさらに完全にするために、別のシール用ストリップ13’をカバー15に固定することができる。カバーの形状は、特に半径方向および軸方向の寸法に関して、発生し得る振動に耐え得るように定められる。例えば、カバーは、応力緩和溝の全半径方向深さの3/4以下の半径方向深さを有することができる。特に、カバーの半径方向深さは、応力緩和溝の全半径方向深さの1/2から3/4までとすることができる。
【0023】
図3による本発明の別の実施形態においては、応力緩和溝8が、少なくともロータ表面の領域において、半径方向の内側において幅広にされた部分を有する翼溝17の形態に具現化されている。さらに、応力緩和溝8の付属カバー18は、その溝の中に適合して納まる翼根部の形態に具現化されている。この場合、カバー18は溝よりも僅かに小さく設計されており、そのため、熱膨張によって誘起される動きは同様に自由に許容される。
【0024】
さらに、この実施形態における翼根部の形態のカバー18は、内部ケーシング4の方向に延びる1つ以上のシール用ストリップ19を有することができる。
【0025】
図4による本発明の実施形態においては、蒸気タービンが、同様に、応力緩和溝8と、ロータ表面の位置レベルの溝開口部のカバーとを有する。この場合、カバーは内部ケーシング4の一部分20として構成され、それは、半径方向の内側に溝の中に延びている。この部分20は、ロータ表面の位置レベルに流路21を備えており、この流路21は、漏洩流れ14を、カバーを通り抜けるように案内する、および/または高温流れが溝の中に流入しないようにする役割を果たす。
【0026】
1つの特別な実施形態においては、流路21は、穿孔の流入部に第1の拡張部分22を有する。流路21は、場合によっては、流路の流れをさらに流れやすくするために、流出部に第2の拡張部分23を有することも可能である。流路21は、例えば、円形断面を有する穿孔として具現化できる。また、別の方式として、流路を削り出すことも可能である。この場合は、流体力学的により有利な他の断面形状によって構成することも可能である。さらに、このような流路は、この方法によって、よりコスト効率的に製造することも可能である。
【0027】
図4による実施形態においては、カバーがステータの一体的な部分として示しているが、この構成形態の代わりに、カバーを別個に製造される部品とすることも考えられる。この場合、その部品は、閉リングを引っ掛るかまたは挿入することによってステータの溝の中に固定することができる。これは、製造技術的にはより簡単でかつコスト的に有利である。
【0028】
図5は、図4に示すタイプのカバー20を有する応力緩和溝8を備えた蒸気タービンを示す。この蒸気タービンは、さらに冷却流れの流路25を有する。この流路25は、例えば、図示されていない過熱器から内部ケーシング4を通って、ピストンシールの領域のかつカバー20の上流側のチャンバ内に通じている。漏洩流れ14は、ピストンシールを通り、かつカバー20の流路21を通って流れる。流路25からの冷却流れは応力緩和溝の中に流れ込んでカバーの回りに流れることができ、その結果としてそれが冷却される。
【0029】
図6は、応力緩和溝8と、溝の能動的冷却装置とを備えた蒸気タービンの別の実施形態を示す。但し、この応力緩和溝8は図1に示すものと同じタイプであって、カバーを有していない。特に、この蒸気タービンはピストンシール13を有するが、このピストンシール13は、応力緩和溝8の後ろにおいてのみ、タービンの翼列流路1’を通る蒸気流れの方向に反対側の軸方向に延びている。生蒸気の流入流路と応力緩和溝8との間にはピストンシールは存在しない。その代わりに、ステータの延長部分28が、半径方向の内側に流入流路5の曲り部の領域まで延びている。冷却流れ流路26は、適切な冷却蒸気源から内部ケーシング4を通って、ロータ表面上の応力緩和溝の開口部に延びている。冷却流れは応力緩和溝から生蒸気の流入流路5に達するが、この場合、冷却流れは、つり合いピストン6と、流入流路5まで延びているステータ部分28との間の間隙27を通過する。冷却蒸気の流れは、流入流路における蒸気流れ11の蒸気圧力よりも高い蒸気圧力を有することが好適である。
【0030】
図7は、断面形状において非対称的に形成される応力緩和溝8’の例を示す。特に、この応力緩和溝は、ロータ軸に向かう方向に、また流入流路5に向かう方向に深さが増大するように延びている。この断面形状は、一方に曲率半径を有する点で有利である。この曲率半径によって応力が低下する。さらに、応力緩和溝のこの形状の結果として、応力緩和溝とロータの第1翼列との間の距離が短縮され、これによって応力緩和が追加的に改善される。応力緩和溝8’はカバー付きまたはカバーなしとして設計できる。カバー15’は、例えば、半径方向において応力緩和溝の半径方向深さの一部にのみ延びている。
【0031】
図7aは、溝の大部分に広がるカバー15’’を備えたこの非対称的な応力緩和溝の変形形態を示す。カバーの半径方向寸法および軸方向寸法は、それぞれ、熱伝達と、応力緩和溝内部における質量流れの抵抗とに影響を及ぼす。
【0032】
さらに、図7および7aのカバー15’または15’’は、図7bによる断面形状を有する流路21’を備えている。流路21’の内壁の凸状の輪郭は、一方では削り出しによってコスト効率的に製造可能であり、また、ロータのダイナミックスおよび応力緩和溝内の熱伝達に有利に影響を及ぼすように作用する。
【符号の説明】
【0033】
1 蒸気タービン
1’ 翼列流路
1’’ 外部ケーシング
2 ロータ
2’ 動翼
3 ロータ軸
4 ステータ、内部ケーシング
4’ 静翼
5 流入流路
6 つり合いピストン
7 ピストンシール
8 応力緩和溝、対称的
8’ 応力緩和溝、非対称的
9 流入渦巻き室
10 案内翼列
11 流入流路における蒸気流れ
12 第1動翼
13 シール用ストリップ
14 漏洩流れ
15 カバー
15’ 「短い」カバー
15’’ 「長い」カバー
16 空隙
17 翼溝の形態の溝
18 翼根部形態のカバー
19 シール用ストリップ
20 内部ケーシングの部分
21 削り出された漏洩流れ流路
21’ 削り出された漏洩流れ流路
22 第1拡張部分
23 第2拡張部分
24 シール用ストリップ
25 冷却流れ流路
26 冷却流れ流路
27 ロータとステータとの間の間隙
28 半径方向の内側に延びるステータ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ(2)と、ステータ(4)と、その流入流路(5)の下流側で蒸気タービン(1)の翼列流路(1’)を流れる生蒸気流れ(11)のための流入流路(5)と、ロータ(2)とステータ(4)との間のピストンシール(7)と、つり合いピストン(6)とを有する蒸気タービン(1)において、
前記蒸気タービン(1)がそのロータ(2)に応力緩和溝(8、8’)を有し、この応力緩和溝(8、8’)は、前記つり合いピストン(6)の領域に配置され、かつ、前記ロータ(2)の円周方向に延在していることを特徴とする蒸気タービン(1)。
【請求項2】
前記応力緩和溝(8、8’)が、前記翼列流路(1’)における最初の翼列(12)に対して、前記ロータ(2)に最大熱応力が発生し得る領域に配置され、前記応力緩和溝(8、8’)は、蒸気の流れ(11)が前記流入流路を介して前記翼列流路(1’)に流入する領域の外側で前記ロータ(2)に配置されることを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項3】
前記応力緩和溝(8、8’)が前記ピストンシール(7)の領域に配置されることを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項4】
前記応力緩和溝(8)が、前記蒸気タービン(1)のロータ軸(3)を通る断面において対称的な形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項5】
前記応力緩和溝(8’)が、前記蒸気タービン(1)のロータ軸(3)を通る断面において非対称的な形状を有し、その応力緩和溝(8’)は、前記生蒸気の流入流路(5)に向かう方向に半径方向の深さが増大するように延在していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項6】
前記応力緩和溝(8、8’)が、その開口部にカバー(15、15’、15’’、18、20)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項7】
前記応力緩和溝(8)が翼溝の形態(17)を有し、かつ、前記カバー(18)が翼根部の形態を有することを特徴とする請求項4または6に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項8】
シール用ストリップ(13’)が前記カバー(15、15’、15’’、18)上に配置されることを特徴とする請求項6または7に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項9】
前記応力緩和溝(8、8’)が、前記ステータ(4)の一部分(20)によって形成されるカバー(15’、15’’、20)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項10】
前記応力緩和溝(8、8’)が、前記ステータ(4)に固定される別個の部品として形成されるカバーを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項11】
前記カバー(20)が、前記ロータ(2)の表面の位置レベルに流路(21、21’)を有することを特徴とする請求項6〜10いずれか1項に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項12】
前記流路(21、21’)が、その流入部に第1拡張部分(22)を有することを特徴とする請求項11に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項13】
前記流路(21、21’)が、その流出部に第2拡張部分(23)を有することを特徴とする請求項12に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項14】
前記応力緩和溝(8)を冷却する装置を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項15】
冷却蒸気源から前記ステータ(4)を通って前記応力緩和溝(8)に至る冷却路(25、26)を有することを特徴とする請求項14に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項16】
前記ステータ(4)が、半径方向の内側の方向に前記生蒸気の流入流路(5)の曲り部まで延在しており、かつ、ステータ(4)とロータ(2)との間の空隙(27)が、前記生蒸気の流入流路(5)から、部分的に、前記翼列流路(1’)における作用蒸気の流れの方向と反対側の軸方向に、かつ部分的に、半径方向の外側の方向に、前記応力緩和溝(8)まで延びていることを特徴とする請求項14に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項17】
前記カバー(15、15’、15’’)が、前記応力緩和溝(8、8’)の全半径方向深さの3/4以下とすることができる半径方向深さを有することを特徴とする請求項6〜12いずれか1項に記載の蒸気タービン(1)。
【請求項18】
前記ロータ(2)が溶接構造のロータであることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の蒸気タービン(1)。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7a】
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【図7b】
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【公開番号】特開2011−74920(P2011−74920A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−218544(P2010−218544)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】