説明

ロータリー式自動包装機の二重充填シュート

【課題】洗浄し易い構造を有すると共に、粉詰まり現象や粉舞い上がり現象を抑えることが可能になる充填シュート並びに同充填シュートを備えたロータリー式自動包装機を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るロータリー式自動包装機の充填シュート7は二重構造になっており、充填シュート7における上部シュート21の漏斗状本体内側に隙間45を設けて粉砕シュート40が取り付けられている。この粉砕シュート40の投入口には粉砕棒部材41が掛け渡され、粉砕シュート40の出口には粉砕板部材42が延在している。この結果、粉砕シュート40を通過した粉末内容物は細かく粉砕されて充填シュート7の漏斗状出口に詰まる現象、所謂粉詰まり問題を解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルムの袋部に粉剤等の内容物を充填した個別包装体を製造するロータリー式自動包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺包装フィルムを使用して、定量の粉剤等の内容物を多数の分包に区分して包装する自動包装機の一つにロータリー式自動包装機がある。このロータリー式自動包装機では、フィルムコイルから巻き戻した長尺の包装フィルムを水平方向に移動させながら折り畳み、このフィルムをターンテーブルへと導入する。
【0003】
ターンテーブル上の周囲に配置した多数のサイドシールバーは、この導入されたフィルムに対して一定間隔の幅シール(サイドシール)を形成しながら回転保持する。そして、順次折り畳んだフィルムの間に、互いに隣り合うシールバーの間で旋回する多数の充填シュートを挿入して所定量の内容物を投入し、投入後には充填シュートを抜き、サイドシールバーを外す。そして、内容物充填後の包装フィルムの袋部上縁を熱シール(トップシール)して密封し、上記幅シール部分を直線切断若しくはミシン目切断を行い、所要の個別包装体にしている。
【0004】
このような従来のロータリー型自動包装機は、例えば、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2001−122208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなロータリー式自動包装機では、略U字形状に折り曲げた包装フィルムに対して、幅シール(サイドシール)バーによる挟み込みが行われて包装袋が形成され、この袋内に計量された粉末内容物が充填シュート経由で投入されるように動作する。そして、この粉末内容物が例えばココアのように塊になり易い性質を有するものの場合は、充填動作途中において、塊になった内容物が充填シュートの漏斗状出口に詰まる現象が頻発していた。
【0006】
上記の所謂粉詰まり現象を引き起こす粉末内容物は、粉末自体が微粉末状を呈しており、粉舞い上がり現象(粉吹き上がり現象)も発生する。
【0007】
また、上記充填シュートに対しては、一定期間運転したら実施されるメンテナンスや粉末内容物の品種変更に伴う洗浄作業が必ず発生するが、この際に洗浄し易い構造も求められていた。
【0008】
図15は、従来のロータリー式自動包装機における充填シュート107と、これに投入された粉末内容物150の状態を表した概略側面図である。図15に示すように、充填シュート107の投入口には内容物供給装置によって計量された粉末内容物150が軌跡a10のように落下している。その後、充填シュート107の漏斗状壁面にぶつかって軌跡a11のようにバウンドしつつ、一部粉砕状態になる。しかし、この粉末内容物が例えばココアのように塊になり易い性質を有するものの場合は、完全に粉砕されずに一部塊状態の粉末内容物151となり、充填シュートの漏斗状出口に詰まる現象、所謂粉詰まり問題が発生する。この結果、ロータリー式自動包装機における粉末内容物の充填動作が停止する事態になっていた。
【0009】
更に、このようなロータリー式自動包装機においては、略U字形状に折り曲げた包装フィルムに対して、幅シール(サイドシール)バーによる挟み込みが行われて包装袋が形成され、この袋内に計量された粉末内容物が充填シュート経由で投入されるように動作するが、この製袋動作が長く続くと、幅シール(サイドシール)バーから放射される熱が充填シュートに伝わり、充填シュート自体の温度が上昇することになる。
【0010】
そして、例えば「ココア」のような粉末内容物においては、落下途中の充填シュート自体の温度が上昇すると粉末内容物に含まれている油成分が溶け出し、温まった充填シュート内部に付着する事態が発生する。
【0011】
この結果、溶け出した粉末内容物が充填シュートの漏斗状出口に詰まる障害が頻発し、ロータリー式自動包装機における粉末内容物の充填動作が停止する事態になっていた。
【0012】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、洗浄し易い構造を有すると共に、粉末内容物による粉詰まり問題や粉舞い上がり問題を解決するために工夫された充填シュートを備えたロータリー式自動包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るロータリー式自動包装機は、略水平に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して、幅方向に熱シールして複数のサイドシールを形成するサイドシール装置と、前記サイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入するために挿入された充填シュートと、複数配置された前記サイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、前記サイドシール装置及び充填シュートにより出来上がった多数の充填済み包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールしてトップシールを形成するトップシール装置とを備えたロータリー式自動包装機であって、前記充填シュートは、漏斗形状を有する上部シュートと略楕円筒形状を有する下部シュートで構成され、この上部シュートには投入された粉末内容物を砕く粉砕機構が設けられている。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る粉砕機構が設けられた上部シュートは、外側上部シュートに対して内側上部シュートが嵌め込まれた二重の漏斗形状構造を有し、この内側上部シュートの上端開口部には粉砕棒部材が掛け渡され、この内側上部シュートの下端出口部には粉砕板部材が延在している。
【0015】
また、本発明の請求項3に係る上部シュートの外側上部シュートと内側上部シュートの間には隙間が設けられ、この隙間は、充填シュートを通過した粉末内容物が包装袋内に投入される際に発生する排気空気の通路になっている。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る上部シュートの粉砕棒部材は、断面略円形の棒形状を成している。
【0017】
また、本発明の請求項5に係る上部シュートの粉砕棒部材は、断面略三角形の棒形状を成し、この略三角形の一つの角を上にした状態で取り付けられている。
【0018】
また、本発明の請求項6に係る上部シュートの粉砕棒部材は、断面略長方形の棒形状を成し、この略長方形の短辺を上にした状態で取り付けられている。
【0019】
本発明の請求項1乃至請求項6に係るロータリー式自動包装機の充填シュートによれば、洗浄し易い構造を有すると共に、粉詰まり現象や粉舞い上がり現象を抑えることができる。
【0020】
一方、本発明の請求項7に係るロータリー式自動包装機は、略水平に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して、幅方向に熱シールして複数のサイドシールを形成するサイドシール装置と、前記サイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入するために挿入された充填シュートと、複数配置された前記サイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、前記サイドシール装置及び充填シュートにより出来上がった多数の充填済み包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールしてトップシールを形成するトップシール装置とを備えたロータリー式自動包装機であって、前記充填シュートは、漏斗形状を有する上部シュートと略楕円筒形状を有する下部シュートで構成され、この充填シュートの上部シュート及び下部シュートにはシュート温度上昇に伴う粉末内容物の成分溶け出し現象を軽減して充填シュート内部への付着障害及び粉詰まり障害を抑えるための冷却機構が設けられている。
【0021】
また、請求項8に係る冷却機構が設けられた充填シュートは、外側充填シュートに対して内側充填シュートが嵌め込まれた二重構造を有し、この外側充填シュートと内側充填シュートの間の隙間に冷却エアーが送り込まれて充填シュート全体を冷やすように作動している。
【0022】
一方、本発明の請求項9に係るロータリー式自動包装機は、略水平に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して、幅方向に熱シールして複数のサイドシールを形成するサイドシール装置と、前記サイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入するために挿入された充填シュートと、複数配置された前記サイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、前記サイドシール装置及び充填シュートにより出来上がった多数の充填済み包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールしてトップシールを形成するトップシール装置とを備えたロータリー式自動包装機であって、前記充填シュートは、漏斗形状を有する上部シュートと略楕円筒形状を有する下部シュートで構成され、この上部シュートには投入された粉末内容物を砕く粉砕機構が設けられており、この充填シュートの上部シュート及び下部シュートにはシュート温度上昇に伴う粉末内容物の成分溶け出し現象を軽減して充填シュート内部への付着障害及び粉詰まり障害を抑えるための冷却機構が設けられている。
【0023】
本発明の請求項7乃至請求項9に係るロータリー式自動包装機の充填シュートによれば、溶け出した粉末内容物が充填シュートの漏斗状出口に詰まる障害が無くなり、ロータリー式自動包装機における粉末内容物の充填動作を長時間維持することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明に係るロータリー式自動包装機によれば、洗浄し易い構造を有すると共に、粉詰まり現象や粉舞い上がり現象を抑えることが可能になる充填シュート並びに同充填シュートを備えたロータリー式自動包装機を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。まず図1を用いて、本発明にかかるロータリー式自動包装機の全体構成について説明する。
【0026】
図1は、本発明に係るロータリー式自動包装機を示す正面図(一部断面図)である。図1に示すように、ロータリー式自動包装機1は、主たる構成要素として、巻き戻しリール2、フィルムガイド3、ターンテーブル4、幅(サイド)シール装置5、内容物供給装置6、充填シュート7、トップシール装置8、カッター装置9を備えている。
【0027】
また、包装フィルム11は、透明又は半透明な材料から構成され、例えば、PET等のベースフィルムと、このベースフィルムよりも融点の低いポリエチレン等のヒートシールフィルムから構成されている。また、包装フィルム11は、ベースフィルム、中間フィルム、ヒートシールフィルムの3層構造を有してもよい。
【0028】
そして、巻き戻しリール2により巻き戻された包装フィルム11は、図中右方向に連続的に流れ、フィルムガイド3によって中央部でU字状に二つに折り曲げられる。折り曲げられた包装フィルム11は、図1に示すように、ターンテーブル4の接線方向からターンテーブル4に導入される。
【0029】
ターンテーブル4上には、幅シールを形成するサイドシール装置5が多数配置されている。サイドシール装置5は、包装フィルム11に対して所定の位置決めを行い、同時に、包装フィルム11の幅方向に熱シールを施して局部的に熱圧着する。
【0030】
このとき、サイドシール装置5により挟まれた部分の包装フィルム11は、サイドシール装置5から供給された熱によって溶融する。それと共に、サイドシール装置5が包装フィルム11を挟み込んでいるため、二つ折りにされた包装フィルムの溶融部分が加圧される。これらにより、二つ折りの包装フィルム11のヒートシールフィルム同士が圧着し、サイドシールが形成される。このようにして、二つ折りの包装フィルム11には、サイドシールにより挟まれた複数の袋部12が形成される。
【0031】
なお、上記サイドシール装置5による熱シール動作と平行して二つ折りにされた包装フィルムの間に充填シュート7が挿入され、内容物供給装置6から計量された内容物が充填シュート7を経由して投入される。この後、包装フィルム11はトップシール装置8により、袋部12の充填口に対して熱シールを施して熱圧着する。
【0032】
最後に、カッター装置9により形成された幅シールの中央付近を切断して個別包装体14が出来上がる。
【0033】
図2は、本発明に係るロータリー式自動包装機1におけるターンテーブル4と幅シール装置5、充填シュート7等に関連する動作を説明した上面概略図である。図2に示すように、包装フィルム11は図2の左下側より右方向に送られてフィルムガイド3によって中央部でU字状に二つに折り曲げられ、この折り曲げられた包装フィルム内に旋回しながら下降してきた充填シュート7が挿入される。そして、充填シュート7で膨らんだ二つ折りフィルムは、ターンテーブル4に配置されているサイドシール装置5によって挟み込まれ、サイドシールが形成される。
【0034】
そして、このサイドシールを形成する過程は、同時に下降挿入された充填シュート7を経由して内容物が投入される過程であり、30で示された領域の前半部分で内容物投入が実施される。
【0035】
その後、サイドシール装置5による包装フィルム挟み込みが開放され、同時に充填シュート7が上昇して包装フィルム内より挿抜されて多数の袋部12を有する包装フィルムが完成し、この包装フィルムは次工程であるトップシール装置へ送られる。このように充填シュート7が上昇しているのは31で示された領域であり、この充填シュート7が上昇している領域の後半部分においては、充填シュート7は図中左回りに旋回して新たな二つ折りされた包装フィルム内に下降挿入し易くしている。
【0036】
以上のように充填シュート7を旋回させながら上昇及び下降させているのがロータリー式自動包装機の充填シュート回転駆動機構であり、充填シュート7はこの充填シュート回転駆動機構に取り付けられている。
【0037】
図3は、本発明のロータリー式自動包装機において折り曲げられた包装フィルム内に挿入される充填シュート7とアーム20の上面図である。図3に示すように、充填シュート7は、二重構造になっており、充填シュート7における上部シュート21の漏斗状本体内側に隙間45を設けて粉砕シュート40が取り付けられている。この粉砕シュート40の投入口には粉砕棒部材41が掛け渡され、粉砕シュート40の出口には粉砕板部材42が延在している。また、この粉砕シュート40は隙間45を保持しつつ、取り付けネジ部材43によって充填シュート7の上部シュート21に固定されている。
【0038】
このような充填シュート7は、アーム20によってロータリー式自動包装機の充填シュート回転駆動機構に取り付けられており、この充填シュート回転駆動機構によって充填シュート7は、旋回しながら上昇及び下降している。
【0039】
図4は、本発明の充填シュート7を取り付けネジ部材43の方向より見た外観側面図である。また、図5は、本発明の充填シュート7を縦方向断面状態にして取り付けネジ部材43の方向より見た側面図である。図4に示すように、充填シュート7は漏斗状形状の上部シュート21と略楕円筒形状の下部シュート22とで構成されており、上部シュート21には、粉砕シュート40の取り付けネジ部材43を嵌め込んで固定するための切り込み溝44が設けてある。この結果、充填シュート7と粉砕シュート40の取り付け及び取り外しが容易に実施できるようになっている。なお、図4の外観側面図の内部には、隙間45を設けて取り付けられた粉砕シュート40と粉砕板部材42が存在しており、これらは点線で表現している。
【0040】
一方、図5に示すように、充填シュート7は漏斗状形状の上部シュート21と略楕円筒形状の下部シュート22とで構成されており、縦方向断面状態にしているため上部シュート21の内部に存在している粉砕シュート40及び粉砕板部材42との位置関係が分かり易くなっている。そして、粉砕シュート40の投入口内部には、点線で表現された粉砕棒部材41が掛け渡されており、図5で表現された粉砕棒部材41の場合は、丸棒形状を採用している。
【0041】
なお、図4乃至図6の図には見易くするために図3に示したアーム20を省略し、充填シュート7本体のみを図示して説明している。
【0042】
図6は、本発明の充填シュート7を縦方向断面状態にして粉砕棒部材41が掛け渡されている面と相対する方向より見た側面図である。図6に示すように、充填シュート7は漏斗状形状の上部シュート21と略楕円筒形状の下部シュート22とで構成されており、上部シュート21の漏斗状本体内部には、粉砕シュート40が隙間45を保持した状態で取り付けネジ部材43によって固定されている。また、粉砕シュート40の投入口内部には、点線で表現された粉砕棒部材41が掛け渡されており、粉砕シュート40の出口には粉砕板部材42が図6のように延在している。なお、この粉砕板部材42は、充填シュート7の漏斗状壁面に添って一部曲線形状を有している。
【0043】
図7は、本発明の粉砕シュート40に関連する部材を取り出した上面図である。また、図8は、本発明の粉砕シュート40に関連する部材を取り出して取り付けネジ部材43の方向より見た側面図である。また、図9は、本発明の粉砕シュート40に関連する部材を取り出して粉砕棒部材41が掛け渡されている面と相対する方向より見た側面図である。図7乃至図9に示すように、粉砕シュート40の投入口内部には、粉砕棒部材41が掛け渡されており、粉砕シュート40の出口には粉砕板部材42が延在している。また、この粉砕シュート40を充填シュート7の上部シュート21に固定するために、取り付けネジ部材43が粉砕シュート40の側面に備えられている。
【0044】
図7乃至図9で示した粉砕棒部材41は、断面丸棒形状を採用しているが、これに限定するものではなく、任意の断面形状を採用することができる。例えば、断面三角形状の粉砕棒部材を一つの角を上にした状態で取り付けるケースや、断面長四角形状の粉砕棒部材を短辺上にした状態で取り付けるケースが考えられる。また、図7乃至図9で示した粉砕シュート40は、投入口内部に1本の粉砕棒部材41が掛け渡された例で説明したが、これに限定するものではなく、任意の粉砕棒部材を掛け渡すことができる。例えば、二本の粉砕棒部材を互いに直角に交差させて掛け渡すケースや、複数本の粉砕棒部材を平行に配置するケースが考えられる。
【0045】
このように、粉砕棒部材の断面形状や取り付け配置状況は、粉末内容物の性質等に合わせて出来るだけ細かく粉砕される手段を任意に選択することができる。
【0046】
図10は、本発明の充填シュート7を縦方向断面状態にして粉砕棒部材41が掛け渡されている面と相対する方向より見た側面を基に粉末内容物が充填シュート7に投入されて粉砕される過程を説明した動作概略図である。図10に示すように、充填シュート7の投入口には内容物供給装置によって計量された粉末内容物50が軌跡a1のように落下している。その後、粉砕シュート40の粉砕棒部材41によって二分割された粉末内容物51は軌跡a2のように落下し、粉砕シュート40の漏斗状壁面にぶつかって軌跡a3のようにバウンドしつつ、粉砕される。そして、この粉末内容物は、粉砕シュート40の漏斗状壁面を転がり落ちて粉砕板部材42の上で塊状態が更にくずされることになる。この結果、充填シュート7の漏斗状出口の大きさより小さく粉砕された粉末内容物52は、充填シュート7を容易に通過できるようになり、充填シュート7の漏斗状出口に詰まる現象、所謂粉詰まり問題を解消することが可能になる。
【0047】
一方、小さく粉砕された粉末内容物52は、充填シュート7を経由して袋部12の内部に投入されるが、その際、袋部12内の空気は出口を求めて充填シュート7を上昇することになり、落下してくる粉末内容物とぶつかって粉舞い上がり現象を引き起こす。このため、上昇する袋部12内の空気を素早く排気するために充填シュート7と粉砕シュート40の間に隙間45が設けられており、上昇する排気は、軌跡b1及び軌跡b3で示されたルートで隙間45を通過し、軌跡b2及び軌跡b4で示されたルートで放出(排気)される。このように、充填シュート7と粉砕シュート40の間に隙間45を設けることにより、落下する粉末内容物52と袋部12内の空気がぶつかり合うことなく置換できるようになり、粉舞い上がり現象を抑えることが可能になる。
【0048】
なお、粉砕シュート40の粉砕板部材42は板形状を採用して説明したが、これに限定するものではなく、粉末内容物の塊を粉砕する作用を奏するものであれば採用可能である。例えば、櫛形状や網形状の部材を用いても同様の作用効果が期待できる。
【0049】
図11は、本発明のロータリー式自動包装機において折り曲げられた包装フィルム内に挿入される他の充填シュート77とアーム120の上面図である。図11に示すように、充填シュート77は、上面側が閉じられた二重構造になっており、外側の充填シュートである上部シュート121の漏斗状本体が見えている。
【0050】
なお、この充填シュート77の二重構造は嵌め込み形状をしており、定期的に実施される清掃作業においては、取り付けネジ部材143を弛めて外部充填シュートと内部充填シュートに分解可能としている。
【0051】
また、図11で示されている上面図では、冷却機構の概念が説明されており、図中充填シュート77下方に配設された入口148から使用前の冷却エアーが充填シュート77の内部に送り込まれ、図中充填シュート77上方に配設された出口149より使用済みの冷却エアーが充填シュート77の内部から排出されている。即ち、上記において説明している冷却エアーの送り込み動作は、圧縮され且つ冷却されたクリーンエアーをターンテーブル4の中心部分に固定した噴出筒より、ターンテーブル4上を回転している充填シュート77の入口148に向かって放出して送り込んでいる。
【0052】
図12は、本発明の他の充填シュート77をターンテーブル内側より見た外観側面図である。また、図13は、本発明の他の充填シュート77を縦方向断面状態にしてターンテーブル外側より見た側面図である。図12に示すように、充填シュート77は漏斗状形状の上部シュート121と略楕円筒形状の下部シュート122とで構成されており、上部シュート121には、内部充填シュートを固定している取り付けネジ部材143がある。
【0053】
そして、上部シュート121と下部シュート122の間には、冷却エアーが送り込まれる入口148が配設されている。なお、図12の上部シュート121と下部シュート122とで構成される外部充填シュートの外観側面図の内部には、隙間を持って嵌め込まれた内部充填シュートが点線で表現されている。
【0054】
一方、図13に示すように、充填シュート77は、上部シュート121と下部シュート122とで構成される外部充填シュートと、この外部充填シュートの寸法を小さくした内部充填シュート146とで構成されており、縦方向断面状態にしているため外部充填シュートに嵌め込まれた内部充填シュート146の位置関係が分かり易くなっている。そして、外部充填シュートに対して内部充填シュート146が隙間145を保持しつつ嵌め込まれており、この内部充填シュート146を上部シュート121に固定するために取り付けネジ部材143が配備されている。
【0055】
そして、この内部充填シュート146を下部シュート122に固定するためにスペーサー部材147が配備されており、図12と同様に外部充填シュートの上部シュート121と下部シュート122の間には、冷却エアーが送り込まれる入口148が配設されている。
【0056】
なお、図12乃至図14の図には見易くするために図11に示したアーム120を省略し、充填シュート77本体のみを図示して説明している。
【0057】
図14は、本発明の他の充填シュート77を冷却エアーの入口148及び出口149を含む縦方向断面状態にして冷却エアーの流れを説明した動作概略図である。図14に示すように、ターンテーブル4の中心部分に固定した噴出筒より、使用前の冷却エアーが下部シュート122に配設された入口148から隙間145内に送り込まれ、上部シュート121に配設された出口149より使用済みの冷却エアーが排出されている。そして、この冷却エアーは隙間145を通過している間に内部充填シュート146自体を冷やす役割を担っており、特に、落下途中の粉末内容物が溶け出して付着し易い内部充填シュート146のくびれ部分を集中的に冷却している。
【0058】
また、隙間145に送り込まれた冷却エアーは、充填シュート77の下の方へは行かないようにスペーサー部材147が配設されており、入口148から出口149に向かって流れるようになっている。
【0059】
なお、本発明のロータリー式自動包装機では、ターンテーブル4の中心部分に固定した噴出筒から放出される冷却エアーを連続的に放出制御するケースと、間歇的に放出制御するケースが考えられる。この間歇的に冷却エアーを放出制御するケースでは、ターンテーブル4の上で回転している充填シュート77が固定された噴出筒の直前に来た時だけ冷却エアーを放出するように制御しており、冷却エアーの消費量を抑えることができる。当然、冷却能力は、冷却エアーの設定温度が低い程高くなり、同時に冷却エアーの放出量が多い程高くなる。
【0060】
このように、落下途中の粉末内容物が接触する内部充填シュート146自体の温度を下げることにより、粉末内容物に含まれている油成分の溶け出しを抑えて充填シュート内部に粉末内容物が付着する事態を防止している。この結果、溶け出した粉末内容物が充填シュートの漏斗状出口に詰まる障害が無くなり、ロータリー式自動包装機における粉末内容物の充填動作を長時間維持することが可能になった。
【0061】
以上のように、本発明に係るロータリー式自動包装機によれば、洗浄し易い構造を有すると共に、粉末内容物による粉詰まり問題や粉舞い上がり問題を解決するために工夫された充填シュートを備えたロータリー式自動包装機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るロータリー式自動包装機を示す正面図(一部断面図)である。
【図2】本発明に係るロータリー式自動包装機1におけるターンテーブル4と幅シール装置5、充填シュート7等に関連する動作を説明した上面概略図である。
【図3】本発明のロータリー式自動包装機において折り曲げられた包装フィルム内に挿入される充填シュート7とアーム20の上面図である。
【図4】本発明の充填シュート7を取り付けネジ部材43の方向より見た外観側面図である。
【図5】本発明の充填シュート7を縦方向断面状態にして取り付けネジ部材43の方向より見た側面図である。
【図6】本発明の充填シュート7を縦方向断面状態にして粉砕棒部材41が掛け渡されている面と相対する方向より見た側面図である。
【図7】本発明の粉砕シュート40に関連する部材を取り出した上面図である。
【図8】本発明の粉砕シュート40に関連する部材を取り出して取り付けネジ部材43の方向より見た側面図である。
【図9】本発明の粉砕シュート40に関連する部材を取り出して粉砕棒部材41が掛け渡されている面と相対する方向より見た側面図である。
【図10】本発明の充填シュート7を縦方向断面状態にして粉砕棒部材41が掛け渡されている面と相対する方向より見た側面を基に粉末内容物が充填シュート7に投入されて粉砕される過程を説明した動作概略図である。
【図11】本発明のロータリー式自動包装機において折り曲げられた包装フィルム内に挿入される他の充填シュート77とアーム120の上面図である。
【図12】本発明の他の充填シュート77をターンテーブル内側より見た外観側面図である。
【図13】本発明の他の充填シュート77を縦方向断面状態にしてターンテーブル外側より見た側面図である。
【図14】本発明の他の充填シュート77を冷却エアーの入口148及び出口149を含む縦方向断面状態にして冷却エアーの流れを説明した動作概略図である。
【図15】従来のロータリー式自動包装機における充填シュート107と、これに投入された粉末内容物150の状態を表した概略側面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 ロータリー式自動包装機
2 巻き戻しリール
3 フィルムガイド
4 ターンテーブル
5 サイドシール装置
6 内容物供給装置
7、77 充填シュート
8 トップシール装置
9 カッター装置
11 包装フィルム
12 袋部
14 個別包装体
20、120 アーム
21、121 上部シュート
22,122 下部シュート
40 粉砕シュート
41 粉砕棒部材
42 粉砕板部材
43、143 取り付けネジ部材
44 切り込み溝
145 隙間
146 内部充填シュート
147 スペーサー部材
148 入口
149 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して、幅方向に熱シールして複数のサイドシールを形成するサイドシール装置と、前記サイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入するために挿入された充填シュートと、複数配置された前記サイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、前記サイドシール装置及び充填シュートにより出来上がった多数の充填済み包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールしてトップシールを形成するトップシール装置とを備えたロータリー式自動包装機であって、
前記充填シュートは、漏斗形状を有する上部シュートと略楕円筒形状を有する下部シュートで構成され、この上部シュートには投入された粉末内容物を砕く粉砕機構が設けられていることを特徴とするロータリー式自動包装機の充填シュート。
【請求項2】
前記粉砕機構が設けられた上部シュートは、外側上部シュートに対して内側上部シュートが嵌め込まれた二重の漏斗形状構造を有し、この内側上部シュートの上端開口部には粉砕棒部材が掛け渡され、この内側上部シュートの下端出口部には粉砕板部材が延在していることを特徴とする請求項1記載のロータリー式自動包装機の充填シュート。
【請求項3】
前記外側上部シュートと内側上部シュートの間には隙間が設けられ、この隙間は、充填シュートを通過した粉末内容物が包装袋内に投入される際に発生する排気空気の通路になることを特徴とする請求項2記載のロータリー式自動包装機の充填シュート。
【請求項4】
前記粉砕棒部材は、断面略円形の棒形状を成していることを特徴とする請求項2記載のロータリー式自動包装機の充填シュート。
【請求項5】
前記粉砕棒部材は、断面略三角形の棒形状を成し、この略三角形の一つの角を上にした状態で取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のロータリー式自動包装機の充填シュート。
【請求項6】
前記粉砕棒部材は、断面略長方形の棒形状を成し、この略長方形の短辺を上にした状態で取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のロータリー式自動包装機の充填シュート。
【請求項7】
略水平に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して、幅方向に熱シールして複数のサイドシールを形成するサイドシール装置と、前記サイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入するために挿入された充填シュートと、複数配置された前記サイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、前記サイドシール装置及び充填シュートにより出来上がった多数の充填済み包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールしてトップシールを形成するトップシール装置とを備えたロータリー式自動包装機であって、
前記充填シュートは、漏斗形状を有する上部シュートと略楕円筒形状を有する下部シュートで構成され、この充填シュートの上部シュート及び下部シュートにはシュート温度上昇に伴う粉末内容物の成分溶け出し現象を軽減して充填シュート内部への付着障害及び粉詰まり障害を抑えるための冷却機構が設けられていることを特徴とするロータリー式自動包装機の充填シュート。
【請求項8】
前記冷却機構が設けられた充填シュートは、外側充填シュートに対して内側充填シュートが嵌め込まれた二重構造を有し、この外側充填シュートと内側充填シュートの間の隙間に冷却エアーが送り込まれて充填シュート全体を冷やすように作動することを特徴とする請求項7記載のロータリー式自動包装機の充填シュート。
【請求項9】
略水平に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して、幅方向に熱シールして複数のサイドシールを形成するサイドシール装置と、前記サイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入するために挿入された充填シュートと、複数配置された前記サイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、前記サイドシール装置及び充填シュートにより出来上がった多数の充填済み包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールしてトップシールを形成するトップシール装置とを備えたロータリー式自動包装機であって、
前記充填シュートは、漏斗形状を有する上部シュートと略楕円筒形状を有する下部シュートで構成され、この上部シュートには投入された粉末内容物を砕く粉砕機構が設けられており、
この充填シュートの上部シュート及び下部シュートにはシュート温度上昇に伴う粉末内容物の成分溶け出し現象を軽減して充填シュート内部への付着障害及び粉詰まり障害を抑えるための冷却機構が設けられていることを特徴とするロータリー式自動包装機の充填シュート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−285226(P2008−285226A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214928(P2007−214928)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】