説明

ローラ型均質化ミル

本発明は建築及び化学等の産業において液体成分とともに粉状材料の均質化を同時に行う粉砕技術に関する。ローラ型均質化ミルは、円錐形の駆動ロールと3つ以上の被駆動ロールとを備え、これらの主基部が対向する。被駆動ロールは、駆動ロールに関して遊星の態様で着脱可能な容器を有するボディに垂直方向同位置に配置され、ボディカバーのベアリングで片持ちされ、駆動ローラはバネ継手を介して駆動シャフトに軸方向に接続される。バネ継手の圧縮力を調節する器具が駆動部とバネ継手との間に取り付けられる。駆動ローラの上方のボディカバーに処理材料を導入する開口があり、アンカー型混合機が駆動ローラの下側端に固定される。本発明は、ロールの間隙の数を増して混合物を均質化と同時に粉砕する効率の向上を可能にする。これはペーストの事前準備を排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体成分とともに粉体材料を同時に均質化する研磨法に関し、熱可塑又は他の液体可塑の結合材で結合される、滑石、陶土、石膏のような分散粉体材料を基材とする混合物を生成する産業、化学及びその他の産業において利用し得る研磨法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラムミル、ビーズミル及びハンマーミルに対し比較される、混合材料の均質化も可能なローラ破砕機の特別の性質は、小さなサイズ、低いノイズレベル、効率的な動力消費で材料を処理するための機械動力の最適な分配である。ローラ破砕機は、研磨及び均質化の要求される度合いを得るための再調整がされることに対し、かなり柔軟である。
【0003】
微細な分散材料を研磨するための最も効率的な方法は、摩擦研磨及び破砕である。
【0004】
OJSC“Tyazhmash”で製造される粉状の石炭燃料に用いられる円錐状のローリングミルが知られている。それらのミルは、平坦又は傾斜する部位で相互作用する円錐状のロールを使用して、原料の固体粒子を破砕することにより動作する。原料が押しつぶされた結果として咬合部及び破砕部を通り抜ける。
【0005】
それらの機械は、効率的な研磨を確保するが、しかしそれらの設計により、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのような熱可塑性ポリマのホットメルトを用いた液体成分を伴う粉砕材料の均質化を提供することができない。このことは、ミルの設計的な特徴、又は、破砕ロールの異なる回転速度、胴体そして平坦又は傾斜する相対部位の機構により、それらが単に材料の破砕のみを確保し、材料の処理中に材料が破砕ロールの間で循環し均質化されることを許容しないことによるからであろう。
【0006】
主基部(ラージベース)が対向してフレームに取り付けられた、円錐状の破砕ロール及び被駆動ロールと、駆動機構とを含むローラ破砕機(1999年6月27日に公表された露国特許第2132233号、MPK V02S4/24)が知られている。被駆動ロールのシャフトは、その端部のベアリング内に挿入されるカムギアを有する2つのプーリを有している。それは、ベルトドライブを介した2つのプーリに関連する駆動部を有し、被駆動ロール自体はバネで懸架されている。
【0007】
この場合、カムギアの重量、並びに、被駆動シャフトカムギア及びベアリングを備えるプーリの全重量が、カムギアの重量、プーリ回転速度、偏心量、バネ張力並びに被駆動シャフトカムギア及びベアリングを備えるプーリの全重量にわたる依存関係によって決定される。
【0008】
この特許によれば、装置は、上述の依存関係により制約された非共振モードにおいてのみ動作することができ、そしてその場合に、結果的には両ロールが非共振モードにおいて動作することにより制約された性能制御となる、破砕及び被駆動ロール間の咬合部における材料への衝撃振動の作用により破砕効果が達成される。
【0009】
1つの不利な点は、カムギアのその位置に対応してロールが最大率で回転されるときの瞬間に、ロールの軸間の水平方向での振動衝撃ベクトルが同時に発生して破砕ロールに向かい、この装置における研磨が実行されること、すなわち、ロールが1回、全回転する間に研磨能力の減衰が引き起こされることである。
【0010】
ロール間の咬合が最も開放するときである、カムギアの振動衝撃ベクトルが破砕するロールに対し水平方向の反対の向きになる瞬間に、粉砕材料が最小の力作用を受ける。
【0011】
上記全ての要素による結果として、被駆動ロールの1回転に要求される時間の1/4を超えない時間内で達成される、材料への最大の衝撃効率を有する、被駆動ロールの回転サイクルのそれぞれの期間において、ロール間の咬合部を通り抜ける粉砕材料の均質化の程度が変化するであろう。加えて、可撓性ドライブを有する2つのプーリは、カムギアを有するプーリの振動回転モードにおける、そのドライブの不可避的な摩擦摺動により、被駆動ローラの安定した回転速度を確保することができない。
【0012】
本発明に最も近い発明は、ローラミル(1972年10月16日に公表された露国発明者証第354886号、MPK V02S4/30、及び、1970年11月15日に公表された露国発明者証第287511号、MPK V02S4/04)である。
【0013】
発明者証第354886号によれば、このミルの2つのロールは円錐状であり、両回転ロールの表面輪郭が縦長の条溝の形態で形成されるとともに、一方のロールがV字状の突出する輪郭の条溝を有し、他方のロールが深い卵状の条溝を有している。この発明によれば、ローラミルは、異なる有機顔料、そして結晶質材料を含む半製品の研磨及び均質化のために利用されるように設計される。この装置の不利な点は、基材液体と、処理の開始前にペースト状とされた粉成分との混合物の提供のみに動作するということである。このことは、例えば混合機といった、いくつかの追加的な装置の利用を暗に意味する。この発明のもう1つの不利な点は、縦長の条溝、特に深い卵状の条溝が、処理されるペーストの滞留領域として機能し、最初の位置にある粉成分がほとんど研磨を受けられず、それゆえに粉成分の研磨品質及び粉砕効率を下げてしまう。このミルの主目的は、拡散であり、より正確には提供されたペーストの均質化であり、そして、相似の端面同士が逆配置の円錐形状であると主張されるロールであるにも関わらず、円錐状のローラで典型的に処理される材料の粉成分の研磨効率が実際上達成されない。
【0014】
ロール上の条溝の異なる表面輪郭がそれらを製造する工程を非常に複雑にすることも述べるべきであろう。
【0015】
ロールをそれぞれに回転させるためには、別々に制御される駆動部、加えて、ロール間の咬合を制御し及び調節するための装置を有すべきはずであるが、この発明では言及されていないようである。
【0016】
この主張される発明の基本的な技術課題は、ロール間の咬合の品質を向上し、ペーストの事前の準備をすることなくロールに基材成分を供給することにより、分散粉状体材料と、熱可塑性ポリマ又は熱で変質する樹脂を含む液体成分とからなる異質性の成分を均質化するとともに同時に研磨効率を向上させることにある。
【発明の概要】
【0017】
上述の課題解決は、ローラ破砕均質化装置において、円錐状とされ主基部(ラージベース)が相対向する方向を向く破砕ロール及び被駆動ロールと、駆動機構とを含み、これらのロールが交換可能な容器を有するケース内で垂直方向における同位置に配置され、被駆動ロールであってそれらのうちの少なくとも3つが、破砕ロールに関して周転する位置で、そのケースカバーの回転ベアリング機構において片持ち式に取り付けられ、破砕ロールがバネ継手を介して駆動シャフトに対し軸方向に接続され、ここで、ケースカバーが破砕ロールの上側端面の上方に処理基材を導入するための開口を有し、そして、アンカー型混合機が破砕ロールの下側端面に固定される、ことにより成し遂げられる。継手の押圧力、すなわち破砕ロールと被駆動ロールとの間で相互作用する接触力の調整に用いられる器具が、駆動部とバネ継手との間に取り付けられる。
【0018】
破砕ロールの上側端面が、回転する中で、被駆動ロールに向く円錐の傾斜で形成されることができる。
【0019】
分散粉体及び熱可塑性又は熱硬化性のポリマを含む混合物を生成するために、均質化と同時に研磨が実行される場合において、この破砕均質化装置は、加熱及び温度調節システムを有する。
【0020】
基材が研磨及び均質化され、そして特に表面に溝がない滑らかなロールが用いられる場合における、被駆動ロールの周転する配置であるがために、材料が一定で最も効率的な作用を受ける。ロールの垂直な配置が材料への複雑な作用の提供を許容するが、他方それらの水平な配置が研磨及び均質化の品質を下げる結果をもたらすほぼ単一の作用を提供する。垂直な被駆動ロールの周転配置が、処理材料の分散的均一性及び液体材料中の粉体の分布率の両方が向上する運転領域における、処理材料の追加的な混合を可能にする。
【0021】
従来型に比較して、上述の進歩的な特徴が、要求される研磨効率と、液体更には特定の性質を有する混合材料を生産するための熱可塑性又は熱硬化性のポリマを伴う粉体材料の均質化とを同時に得ることを許容する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ローラ破砕均質化装置の縦断面図及びA−A線で切断した場合の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ローラ破砕均質化装置が図において模式的に示される。それは破砕ロール1と少なくとも3つの被駆動ロール2とを含む。被駆動ロール2は、破砕ロール1に関して片持ち式に取り付けられ、駆動支援部4が強固に固定されるケースカバー3のベアリング機構11内で回転する。破砕ロールシャフト1は、駆動シャフト4に関しバネ継手5を用いて軸方向にバネ懸架される。バネ継手5の軸方向の押圧力がその押圧力の調整に用いられる器具6に提供される。破砕ロール1のこの軸方向の力が、それと被駆動ロール2との間で要求される摩擦相互作用を確保する。この軸方向の力は、被駆動ロール2の回転速度を変化させ、それゆえに、ロール間の少なくとも3つの咬合部において相互作用する粉状体材料の研磨及び均質化モードを変化させる。これらのロール周囲での滞留領域の形成を防ぐために、破砕ロール1はアンカー型混合機9を有する。鍔付き接続ジョイント13を用いてケースカバー3が固定されるケース容器7内に、ロール周囲の装置全ての運転領域が位置している。
【0024】
基材を供給するための開口8が破砕ロール1の上側端面の上のケースカバー3に位置しており、そしてこの破砕ロール1の上側端面が被駆動ロール2に相対して円錐状の傾斜を有している。
【0025】
ケースの運転容積は、熱可塑性成分の材料が均質化される場合における加熱及び温度調節システム10(熱伝導液のための被覆体12)が追加的に装備される交換可能な容器7により規定される。
【0026】
ローラ破砕均質化装置は次のように動作する。
【0027】
駆動モータ4がバネ継手5を介して破砕ロール1を回転させ、破砕ロール1に関して周転する位置にある被駆動ロール2と破砕ロール1が相互作用し、そして破砕及び被駆動ロールとの間の咬合部における粉砕材料とともに摩擦伝動を介して被駆動ロール2を回転させる。
【0028】
円錐状ロールのそれらの形状による知られた動作原理によれば、接触しているロールの同一径の横断面のみで転動動作が発生し、ロールの径が異なる接触領域においては、接触しているロールの回転速度が相違する。それらの領域は、研磨と均質化が軸及び径の両方向において研磨及び均質化が起こる領域である。
【0029】
バネ継手5で発生し調整具6で制御される軸方向の力がロール間の咬合部における材料への、要求される機械的作用を確保する。
【0030】
ロールの対称的な配置が自動調心及びロール間のV字状の咬合部の安定した動作域を確保する。被駆動ロールは少なくとも3つ以上なければならない。
【0031】
ロールのそのような配置が3つ又はそれ以上のV字状の咬合部における材料の研磨と均質化を同時に行うことを確保する。一般的にはロールと装置の寸法に依存するが、被駆動ロールの数、すなわち、動作する咬合部の数を増やすことで、装置の運転効率を向上させることができる。
【0032】
アンカー型混合機9が装置の安定した運転を確保する。それは、容器7の周囲領域からロールの動作する咬合部へ粉砕及び均質化される材料を安定的に供給する。
【0033】
熱可塑性ポリマとともに材料を均質化するために、ケース容器7は、加熱被覆体12を有している。
【0034】
本発明によれば、滑石、陶土などが密に充満する混合材料を生産するために、例えば樹脂、顔料、並びに、ポリエチレン及びポリプロピレンのような熱可塑性及び熱硬化性ポリマである液体とともに粉状体材料を同時に均質化する研磨を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主基部の面が相対する方向を向く円錐状の破砕ロール及び被駆動ロールと、駆動機構とを含み、
これらのロールが交換可能な容器を有するケース内で垂直方向における同位置に配置され、
前記被駆動ロールであってそれらのうちの少なくとも3つが前記破砕ロールに関して周転する位置でケースカバーの回転ベアリング機構において片持ち式に取り付けられ、
前記破砕ロールがバネ継手を介して駆動シャフトに対し軸方向に接続され、ここで、
前記バネ継手の押圧力の調整に用いられる器具が前記駆動機構と前記バネ継手との間に取り付けられ、そして、
前記ケースカバーが前記破砕ロールの上側端面の上方に処理基材を導入するための開口を有し、そして、アンカー型混合機が前記破砕ロールの下側端面に固定される、ローラ破砕均質化装置。
【請求項2】
粉状体分散混合物とともに熱可塑性ポリマのホットメルトの均質化を確保するために、ケースが加熱及び温度調節システムを有する、請求項1に記載のローラ破砕均質化装置。
【請求項3】
前記破砕ロールの上側端面に、前記被駆動ローラに相対する円錐状の傾斜を有する、請求項1に記載のローラ破砕均質化装置。

【図1】
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【公表番号】特表2013−502313(P2013−502313A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525507(P2012−525507)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/RU2010/000309
【国際公開番号】WO2011/021960
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(511154319)ザクルイトエ・アクツィオネルノエ・オブスチェストヴォ“ツイン・トレーディング・カンパニー” (8)
【氏名又は名称原語表記】ZAKRYTOE AKCIONERNOE OBSCHESTVO ‘TWIN TRADING COMPANY’
【Fターム(参考)】