ロールカリバー位置検出装置およびロールカリバー位置検出方法
【課題】ロールカリバー形状調整のための各カリバーロールのカリバー部分の相対位置関係を高精度に検出することができること。
【解決手段】複数のロール2a〜2dを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得する画像処理部13と、取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別するロール識別部14と、識別された各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出する演算部15と、算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力する表示部16と、を備える。
【解決手段】複数のロール2a〜2dを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得する画像処理部13と、取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別するロール識別部14と、識別された各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出する演算部15と、算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力する表示部16と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの各カリバー部分の相対位置関係を精度良く検出することができるロールカリバー位置検出装置およびロールカリバー位置検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数、特に3〜4つ以上の溝付きロール(カリバーロール)を組み合わせて形成した圧延空間をロールカリバーといい、このカリバーロールに被圧延材を通し、圧下を加えることによって種々の断面形状の圧延材を製造している。この圧延材の断面形状の精度を高めるためには、各カリバーロールを高精度で切削あるいは加工し、かつ各カリバーロールの空間的な配置を調整することが重要である。
【0003】
ロールカリバーの調整方法としては、調整者が、精度良く所定の外径に加工した基準棒をロールカリバーに嵌合させ、ロールカリバーと基準棒との嵌合状態および隙間を目視観察することによって各カリバーロールの配置を修正する方法や、投影機を用いてロールカリバーをスクリーン上に投影し、調整者が、この投影されたロールカリバー形状と基準形状とを比較して各カリバーロールの配置を修正する方法がある。しかしながら、いずれの調整方法も、調整者の目視観察に依存した一種の官能検査であり、再現性や客観性の点で問題があるとともに、調整にかかる時間および労力が大きいという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するため、特許文献1では、回転移動するカメラを用いてロールカリバーエッジの影像を撮像し、エッジ端部位置を2値化処理によって検出し、この検出したエッジ端部位置をもとにロールカリバーの形状および位置を精密に測定するようにしている。
【0005】
また、特許文献2では、ロールカリバーに向けて平行光線を投光し、ロールカリバーによって遮光される光のパターンをレンズ装置で拡大してスクリーンに投影するカメラ装置およびこのカメラ装置をロールカリバーの輪郭に沿って移動させるカメラ移動装置を用いて、ロールカリバー全周の輪郭形状を取得し、この取得したロールカリバーの輪郭データから各カリバーロールの調整量を計算するとともに、この計算結果をもとにロールカリバー形状を修正するものが記載されている。
【0006】
しかし、特許文献1,2のいずれも、ロールカリバーの全体形状を得るため、カメラを機械的に移動させているので、移動機構の機械的誤差が測定結果に重畳し、測定精度が劣化してしまう。一般に、リニアガイドなどのスライド機構の移動ガタは、20μm程度あるいはそれ以上であるため、ロールカリバーの形状計測では、曲率半径で数十mm〜数mm程度の誤差が生じる。
【0007】
これに対し、特許文献3では、撮像系が、ロールカリバー全体が1視野に収まるような倍率に設定され、1回の撮像でロールカリバーの全体画像を作成し、作成した画像から各カリバーロール毎に中央部輪郭、端部輪郭、テーパ部輪郭を抽出し、中央部輪郭から最外接寸法および輪郭中心点を算出し、端部輪郭およびテーパ部輪郭からカリバーロールの角点を算出し、調整しようとするカリバーロールの角点が対応するカリバーロールの角点に対して所定の位置となるようにロールカリバー形状の調整を行うようにしている。この特許文献3では、ロールカリバー全体を1回の撮像によって取得しているので、カメラなどの撮像手段の移動による機械的誤差が測定結果に重畳するという問題を解決している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2595413号明細書
【特許文献2】特開平8−5354号公報
【特許文献3】特許第3835640号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献3では、カリバーロールの角点を基準にロールカリバー形状の調整を行うようにしている。このカリバーロールの角点は、ロールカリバーのうちで圧延に寄与しない部分であるとともに、ロールカリバーの円弧中心が、必ずしもロール回転軸方向でカリバーロールの両角点の中心に位置するとは限らず、さらに角点近傍の研削の精度管理も高くない。したがって、カリバーロールの角点の相対位置関係をもとにロールカリバー形状の調整を行っても、ロールカリバーの円弧部分を精度良く調整することができない場合が多いという問題点があった。
【0010】
さらに、カリバーロールの角点を影像によって確実に検知するために、カリバーロールのテーパ部のシルエットが明瞭に撮像されていることが必要であるが、カリバーロールの角点近傍は、実際にはハウジングに組み込む際に機械油などが顕著に付着する部分であるため、影像が不明瞭となりやすく(特許文献3の第3図参照)、カリバーロールの角点の特定精度が劣化する場合が生じるという問題点があった。なお、この問題点を解決するために、テーパ部を含めたカリバーロール全体を高精度で切削し、あるいは角点近傍に機械油などが付着しないようにハウジングに組み込むことが考えられるが、これによってカリバーロールの製造および維持にかかるコストや組み込み作業負荷が増大するという新たな問題点が生じる。
【0011】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ロールカリバー形状調整のための各カリバーロールのカリバー部分の相対位置関係を高精度に検出することができるロールカリバー位置検出装置およびロールカリバー位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるロールカリバー位置検出装置は、複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得する断面形状取得手段と、取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別するロール識別手段と、識別された各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出する算出手段と、算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出装置は、上記の発明において、前記算出手段は、前記目標プロフィールと各カリバーロールの形状プロフィールとが交差しているか否かを算出し、前記出力手段は、交差している場合に、交差しているカリバーロールの位置修正依頼を出力することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出装置は、上記の発明において、前記算出手段は、前記残差の領域を各カリバーロールの周方向で2分した2つの周方向残差を求めるとともに、各周方向残差の差を算出し、前記出力手段は、前記各周方向残差の差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出装置は、上記の発明において、前記算出手段が最初のカリバーロールに対して算出する残差は、該最初のカリバーロールが固定され、前記目標プロフィールが移動した場合の残差であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出方法は、複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得して各カリバーロールの相対位置を検出し、カリバーロール調整の支援を行うロールカリバー位置検出方法において、取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別して各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出する算出ステップと、算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出方法は、上記の発明において、前記算出ステップは、前記目標プロフィールと各カリバーロールの形状プロフィールとが交差しているか否かを算出し、前記出力ステップは、交差している場合に、交差しているカリバーロールの位置修正依頼を出力することを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出方法は、上記の発明において、前記算出ステップは、前記残差の領域を各カリバーロールの周方向で2分した2つの周方向残差を求めるとともに、各周方向残差の差を算出し、前記出力ステップは、前記各周方向残差の差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出方法は、上記の発明において、前記算出ステップが最初のカリバーロールに対して算出する残差は、該最初のカリバーロールが固定され、前記目標プロフィールが移動した場合の残差であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、断面形状取得手段が、複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得し、ロール識別手段が、取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別し、算出手段が、識別された各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出し、出力手段が、算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力しているので、ロールカリバー形状調整支援のための各カリバーロールのカリバー部分の相対位置関係を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1であるロールカリバー位置検出装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示した軸受ハウジング内の概要構成を示す図である。
【図3】図3は、撮像部が受光する明暗像の一例を示す図である。
【図4】図4は、画像処理部が生成するエッジ画像であるプロフィールと仮想ゲージ棒とが表示された一例を示す図である。
【図5】図5は、算出される残差を示す図である。
【図6】図6は、この発明の実施の形態1によるロールカリバー位置検出処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、ロールカリバー中心位置の算出処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、中心候補点の算出方法を模式的に示した図である。
【図9】図9は、複数の中心候補点群を模式的に示した図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態2であるロールカリバー位置検出装置が算出する2分された残差を模式的に示した図である。
【図11】図11は、この発明の実施の形態3によるロールカリバー位置検出処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、この発明に係るロールカリバー位置検出装置およびロールカリバー位置検出方法の好適な実施の形態について説明する。なお、実施の形態により、この発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分又は相当する部分には同一の符号を付している。
【0023】
(実施の形態1)
まず、この発明の実施の形態1について説明する。図1は、この発明の実施の形態1であるロールカリバー位置検出装置の概要構成を示す模式図である。なお、この実施の形態1では、カリバーロールミルの一種である4ロールミルハウジングに適用された場合のロールカリバー位置検出装置について説明する。
【0024】
図1において、このロールカリバー位置検出装置は、軸受ハウジング1内に、複数のカリバーロールからなる被測定対象のロール2を有し、ロール2のロールカリバー形状を調整するための各カリバーロールの相対位置を検出するものである。
【0025】
軸受ハウジング1内部は、図2に示すように、4つのカリバーロールであるロール2a〜2dが圧延材22を囲んで配置される。すなわち、ロール2a,2bがX方向で対向配置され、ロール2c,2dがY方向で対向配置される。ただし、圧延材22は、ロールカリバー位置検出時には、除かれる。各ロール2a〜2dは、各ロール2a〜2dの回転軸である圧延軸21a〜21dを有し、各ロール2a〜2dの圧下方向と圧延軸21a〜21dの軸方向とは直交して配置される。したがって、ロールカリバーの調整を行う場合、各ロール2a〜2dは、圧下方向に平行な方向(圧下方向)と圧下方向に直交する方向(スラスト方向)とを調整する必要がある。たとえば、ロール2aは、圧下方向であるX方向とスラスト方向であるY方向とを調整する必要がある。
【0026】
この軸受ハウジング1内のロール2のロールカリバーの位置検出を行うため、図1に示したロールカリバー位置検出装置は、照明光を発する照明光源7と、照明光を導光する光ファイバ8と、光ファイバ8から導光された照明光を、図2に示す領域Eのようにロールカリバーを覆い、各圧延軸21a〜21dに直交する略円柱形の平行光に変換する投光レンズ6とからなる投光系を有する。なお、図1では、光ファイバ8を介して照明光源7と投光レンズ6とが分離された構成であるが、光ファイバ8を削除して、照明光源7と投光レンズ6とを一体的に構成してもよい。
【0027】
また、ロールカリバー位置検出装置は、ロールカリバーを通過した平行光の一部であってロール2のカリバー部が遮って生成される図3に示すような明暗像を撮像面に結像させる撮像レンズ9と、上述した撮像面に入力された明暗像を撮像する撮像部10と、撮像部10によって撮像された画像データを制御本体部11に伝送する接続ケーブル10aとからなる受光系を有する。撮像レンズ9は、物体側テレセントリック光学系を形成するレンズが用いられ、この光学系の光軸Cは、被圧延材のパスラインに平行で、かつ投光系の光軸に一致することが好ましい。また、撮像部10は、2次元CCDなどのエリアセンサを用いて実現されるが、画像解像度を高める必要がある場合、ガルバノメータミラーなどを用いた光軸掃引手段とラインセンサとを用いて実現してもよい。
【0028】
ここで、画像解像度は、ロール2による最大圧延径を90mm、ロールカリバー調整限界を0.1mmとすると、2048×2048画素のエリアセンサを用いることによって画素分解能は、90/2048=0.044mmとなり十分な解像度を得ることができる。
【0029】
制御本体部11は、接続ケーブル11aを介して入力された画像データを受け付ける入力インターフェースとしての画像入力部12と、画像入力部12に入力された画像データから、図4に示すようなロールカリバーのエッジ画像を生成する画像処理部13と、このエッジ画像から4つのロール2a〜2dをそれぞれ識別するロール識別部14と、ロール識別部14が識別した各ロール2a〜2d毎に、図5に示すようなカリバー部分のみを切り出したプロフィールPFを生成するとともに、このプロフィールPFと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールである仮想ゲージ棒31との間であって、各ロール2a〜2d毎に予め設定される動径角である有効カリバー角θの範囲内における残差Sを算出する算出手段としての演算部15と、この残差Sに関する情報および仮想ゲージ棒31に対する各ロール2a〜2dのプロフィールPF(PF1〜PF4)の相対位置を表示出力する出力手段としての表示部16と、CPUなどによって実現され、画像入力部12,画像処理部13,ロール識別部14,演算部15,表示部16,および照明光源7を少なくとも制御する制御部17と、各種プログラムおよびデータを保持するとともに演算に必要な記録領域を確保する記憶部18とを有する。なお、投光系、受光系、および画像入力部12は、断面形状取得手段として機能する。なお、仮想ゲージ棒31とは、従来、実際の調整時に用いられていたゲージ棒に対応するもので、その断面形状を仮想的に表したものである。
【0030】
なお、投光レンズ6と撮像レンズ9との間には、拡幅治具3a,3bが設けられ、ロールギャップが不安定とならないようにロールギャップを拘束する。すなわち、拡幅治具3aは、投光レンズ6とロール2a,2bとの間に設けられ、投光レンズ6側からロール2a,2b間に挿入されてロール2a,2b間を拡幅する。また、拡幅治具3bは、撮像レンズ9とロール2c,2dとの間に設けられ、撮像レンズ9側からロール2c,2d間に挿入されてロール2c,2d間を拡幅する。なお、拡幅治具3a,3bは、筒状に形成され、内部に平行光が通過できるように構成されているが、拡幅治具3a,3bの内面反射光のゴーストが生じないように、投光レンズ6の口径と、拡幅治具3a,3bの内径と、投光レンズ6の開口数とを調整することが好ましい。
【0031】
上述したように、投光レンズ6の光軸と撮像レンズ9の光軸とが一致し、かつ軸受ハウジング1のパスラインが平行あるいは一致することが好ましいが、この位置関係を容易に実現するため、この実施の形態1では、ハウジング架台4が設けられ、ハウジング架台4の上面に、軸受ハウジング1の下部を3方向から囲むようにストッパ5を配置して軸受ハウジングを固定するようにしている。このストッパ5は、図示しない押しボルトによって当たり止めさせるようにして、簡易かつ再現性良く配置固定できるようにしている。さらに、ハウジング架台4には、投光レンズ6および撮像レンズ9をそれぞれ保持する光学系保持機構19a,19bが設けられている。このハウジング架台4、ストッパ5、および位置調整機構を有する光学系保持機構19a,19bによって、上述した光軸およびパスラインの一致調整が容易になる。なお、ハウジング架台4への軸受ハウジング1の設置時に各光学系保持機構19a,19bを退避して破損を防ぐことができる退避機構を設けることが好ましい。
【0032】
ここで、図6に示したフローチャートを参照して実施の形態1によるロールカリバー位置検出処理手順について説明する。図6において、制御部17は、照明光源7に照明光を出力させ、撮像部10によってロールカリバーを映し出した明暗像を撮像させ、この明暗像を示す画像データを画像入力部12によって取得する(ステップS101)。その後、画像処理部13は、この画像データから図4に示すカリバー部分を含むエッジ画像を生成する(ステップS102)。その後、ロール識別部14は、このエッジ画像から各ロール2a〜2dを識別し、演算部15は、各ロール2a〜2dのカリバー部分の4つのプロフィールPFを切り出す(ステップS103)。さらに、演算部15は、4つの全プロフィールPF(PF1〜PF4)を生成する(ステップS104)。
【0033】
その後、演算部15は、仮想ゲージ棒31が設定済みであるか否かを判断する(ステップS105)。なお、この判断は、2つのロールカリバーに対する処理であるか否かを判断するものである。すなわち、仮想ゲージ棒31が設定済みである場合(ステップS105,Yes)には、すでに1つのロールカリバーに対する処理が済んでいることであり、2つ目以降のロールカリバーに対する処理を行うため、ステップS113に移行する。
【0034】
一方、仮想ゲージ棒31が設定済みでない場合(ステップS105,No)には、予め決定されている圧延断面形状に対応する仮想ゲージ棒31が各ロールカリバーに囲まれる領域に設定され、表示出力される(ステップS106)。その後、1つの基準ロールカリバー、たとえばプロフィールPF(PF1)が表示画面上で選択される(ステップS107)と、この基準ロールカリバーのロールカリバー中心位置の算出処理を行う(ステップS108)。このロールカリバー中心位置は、基準ロールカリバーの有効カリバー各θの中心決定に用いられる。
【0035】
基準ロールカリバーのロールカリバー中心位置が算出されると、仮想ゲージ棒31の位置を表示画面上で位置修正に伴う仮想ゲージ棒31の表示変更を行うとともに、そのときの基準ロールカリバーと仮想ゲージ棒31との間であって有効カリバー各θの範囲内の面積(画素数)である残差Sを算出して表示出力する(ステップS109)。この場合、ロールカリバーPF1は、固定位置に表示され、仮想ゲージ棒31のみが位置修正されることになる。その後、現仮想ゲージ棒31の位置が最小の残差S0であるとしての設定入力があったか否かを判断し(ステップS110)、設定入力がない限り、ステップS109の処理を行い、設定入力があった場合(ステップS110,Yes)、この残差S0を記憶部18に記憶する処理を行う(ステップS111)。さらに、i=1に設定する(ステップS112)。これによって、まず、基準ロールカリバーの位置が確定することになる。
【0036】
その後、他のロールカリバー(調整ロールカリバー)のうち1つの調整ロールカリバー、たとえばロールカリバーPF2が表示画面上で選択されると(ステップS113)、ステップS108と同様に、この調整ロールカリバーのロールカリバー中心位置の算出処理が行われる(ステップS114)。その後、演算部15は、この調整ロールカリバーと仮想ゲージ棒31との間であって、ステップS114で算出された調整ロールカリバー中心位置を中心とする有効カリバー角θの範囲内の残差Sである残差Siを算出する(ステップS115)。
【0037】
その後、演算部15は、残差Siと残差S0との差が所定の残差閾値ΔS未満であるか否かを判断する(ステップS116)。所定の残差閾値ΔS未満でない場合、残差Siが大きいため、この調整ロールカリバーの位置修正依頼を表示出力する(ステップS117)。これによって、操作者は、この調整ロールカリバーのロールの位置修正を行う。その後、ステップS101に移行し、上述した全てのロールカリバーのプロフィールを再度取得する。ただし、ステップS105ですでに仮想ゲージ棒31は、設定されているため、ステップS106〜S112の処理は行われない。そして、ステップS113で再び同じ調整ロールカリバーに対する残差が算出され、ステップS116の判断処理が行われる。
【0038】
一方、残差Siと残差S0との差が所定の残差閾値ΔS未満である場合(ステップS116,Yes)には、この調整ロールカリバーに対する調整が終了したことになり、変数iをインクリメントし(ステップS118)、残りの調整ロールカリバーがあるか否かを判断する(ステップS119)。なお、nは、すべてのロールカリバーの数であり、この実施の形態では、全てのロールカリバーの数が4であるため、このステップS119では、変数iが調整ロールカリバーの数である3になったか否かを判断する。残りの調整ロールカリバーがある場合(ステップS119,Yes)には、ステップS113に移行し、次の調整ロールカリバーが選択され、この選択された調整ロールカリバーに対する調整が行われる。一方、残りの調整ロールカリバーがない場合(ステップS119,No)には、全てのロールカリバーに対する位置調整が完了したことになり、本処理を終了する。
【0039】
ここで、図7に示したフローチャートを参照して、ステップS108,S114によるロールカリバー中心位置の算出処理手順について説明する。まず、演算部15は、ロールカリバーに予め設定された公称カリバー曲率半径Rを読み出す(ステップS201)。さらに有効カリバー領域REの設定処理を行い(ステップS202)、変数kを初期値0に設定する(ステップS203)。
【0040】
そして、演算部15は、有効カリバー領域RE内のプロフィールPFから2点を選択し(ステップS204)、この2点を結ぶ線分の垂直2等分線を算出し(ステップS205)、この垂直2等分線とプロフィールPFとの交点を求め、プロフィールPFの凹側の垂直2等分線上であって、交点から距離Rの点を、カリバーの円中心の候補点(中心候補点)として設定する(ステップS206)。
【0041】
その後、変数kをインクリメントし(ステップS207)、さらに変数kが予め設定した所定の整数値Nを超えたか否かを判断する(ステップS208)。変数kが所定の整数値Nを超えない場合(ステップS208,No)、ステップS204に移行し、変数kが所定の整数値Nを超えるまで中心候補点の算出を行う。
【0042】
一方、変数kが所定の整数値Nを超えた場合(ステップS208,Yes)、得られた複数の中心候補点からなる座標群の加重平均値を、現在処理しているロールカリバー中心位置として決定し(ステップS209)、ステップS108あるいはステップS114にリターンする。
【0043】
すなわち、演算部15は、ロールカリバー中心位置を算出する場合、図8に示すように、有効カリバー曲線上の異なる2点P1a,P1bの組によって形成される線分の垂直2等分線とこの有効カリバー曲線との交点PC1を求め、この交点PC1からプロフィールPFが凹となる向きに、予め決定されている有効カリバー曲線の所定曲率半径(公称カリバー曲率半径)Rに等しい距離Rとなる点を有効カリバー曲線の中心候補点P1として算出する。同様に、2点P2a,P2bの組によって形成される線分の垂直2等分線とこの有効カリバー曲線との交点PC2を求め、この交点PC2からプロフィールPFが凹となる向きに、公称カリバー曲率半径Rに等しい距離Rとなる点を中心候補点P2として算出する。同様な処理を他の異なる2点の組に対して繰り返し行い、図9に示すように、複数の中心候補点からなる中心候補点群Pを算出し、この中心候補点群Pの加重平均位置を、有効カリバー曲線を描くロールカリバー中心位置Cとして求める。
【0044】
この実施の形態1では、仮想ゲージ棒31と各ロールカリバーとを表示出力するとともに、仮想ゲージ棒31と各ロールカリバーとの間の算差Sを算出して表示することによって、ロールの調整作業を効率よく支援することができる。
【0045】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、仮想ゲージ棒31とロールカリバーとが近接する方向、すなわちロールの圧下方向を調整するのに適していたが、この実施の形態2では、さらにロールのスラスト方向を的確に調整できるようにしている。
【0046】
すなわち、図10に示すように、ロールカリバーのプロフィールPFの最低部で残差S(Si)を周方向(スラスト方向)で2分し、この2分した残差Sl,Srを求める。そして、残差Slから残差Siを減算した差が最小となるように、ロールのスラスト方向調整を行うことができる。この場合、図10に示した画像および残差Slから残差Siを減算した差が表示され、ロール調整の支援を行う。
【0047】
(実施の形態3)
ところで、仮想ゲージ棒31は仮想であるため、この仮想ゲージ棒31とプロフィールPFとが重なって干渉する場合も生じる。現実のゲージ棒は、ロールカリバー内に侵入することはないので、この実施の形態3では、このような干渉が生じない対策を施している。
【0048】
すなわち、演算部15は、図11のフローチャートに示すように、ステップ116の判断処理の後に、仮想ゲージ棒31とロールカリバーとが接触しているか否かを判断し(ステップS116a)、接触していた場合(ステップS116a,Yes)には、残差Siが大きい場合と同様に、調整ロールカリバーの位置修正依頼を行う(ステップS117)ようにしている。なお、この判断処理は、仮想ゲージ棒31とプロフィールPFとの交点検出処理によって実現できる。
【0049】
なお、上述した実施の形態1〜3では、基準ロールカリバーの位置調整時に、基準ロールカリバーを動かさず、仮想ゲージ棒31を動かすようにしていたが、もちろん、この基準ロールカリバーの位置調整時に、基準ロールカリバーを動かすようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 軸受ハウジング
2,2a〜2d ロール
3a,3b 拡幅治具
4 ハウジング架台
5 ストッパ
6 投光レンズ
7 照明光源
8 光ファイバ
9 撮像レンズ
10 撮像部
10a 接続ケーブル
11 制御部本体
12 画像入力部
13 画像処理部
14 ロール識別部
15 演算部
16 表示部
17 制御部
18 記憶部
21a〜21d 圧延軸
31 仮想ゲージ棒
PF,PF1〜PF4 プロフィール
C ロールカリバー中心位置
θ 有効カリバー角
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの各カリバー部分の相対位置関係を精度良く検出することができるロールカリバー位置検出装置およびロールカリバー位置検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数、特に3〜4つ以上の溝付きロール(カリバーロール)を組み合わせて形成した圧延空間をロールカリバーといい、このカリバーロールに被圧延材を通し、圧下を加えることによって種々の断面形状の圧延材を製造している。この圧延材の断面形状の精度を高めるためには、各カリバーロールを高精度で切削あるいは加工し、かつ各カリバーロールの空間的な配置を調整することが重要である。
【0003】
ロールカリバーの調整方法としては、調整者が、精度良く所定の外径に加工した基準棒をロールカリバーに嵌合させ、ロールカリバーと基準棒との嵌合状態および隙間を目視観察することによって各カリバーロールの配置を修正する方法や、投影機を用いてロールカリバーをスクリーン上に投影し、調整者が、この投影されたロールカリバー形状と基準形状とを比較して各カリバーロールの配置を修正する方法がある。しかしながら、いずれの調整方法も、調整者の目視観察に依存した一種の官能検査であり、再現性や客観性の点で問題があるとともに、調整にかかる時間および労力が大きいという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するため、特許文献1では、回転移動するカメラを用いてロールカリバーエッジの影像を撮像し、エッジ端部位置を2値化処理によって検出し、この検出したエッジ端部位置をもとにロールカリバーの形状および位置を精密に測定するようにしている。
【0005】
また、特許文献2では、ロールカリバーに向けて平行光線を投光し、ロールカリバーによって遮光される光のパターンをレンズ装置で拡大してスクリーンに投影するカメラ装置およびこのカメラ装置をロールカリバーの輪郭に沿って移動させるカメラ移動装置を用いて、ロールカリバー全周の輪郭形状を取得し、この取得したロールカリバーの輪郭データから各カリバーロールの調整量を計算するとともに、この計算結果をもとにロールカリバー形状を修正するものが記載されている。
【0006】
しかし、特許文献1,2のいずれも、ロールカリバーの全体形状を得るため、カメラを機械的に移動させているので、移動機構の機械的誤差が測定結果に重畳し、測定精度が劣化してしまう。一般に、リニアガイドなどのスライド機構の移動ガタは、20μm程度あるいはそれ以上であるため、ロールカリバーの形状計測では、曲率半径で数十mm〜数mm程度の誤差が生じる。
【0007】
これに対し、特許文献3では、撮像系が、ロールカリバー全体が1視野に収まるような倍率に設定され、1回の撮像でロールカリバーの全体画像を作成し、作成した画像から各カリバーロール毎に中央部輪郭、端部輪郭、テーパ部輪郭を抽出し、中央部輪郭から最外接寸法および輪郭中心点を算出し、端部輪郭およびテーパ部輪郭からカリバーロールの角点を算出し、調整しようとするカリバーロールの角点が対応するカリバーロールの角点に対して所定の位置となるようにロールカリバー形状の調整を行うようにしている。この特許文献3では、ロールカリバー全体を1回の撮像によって取得しているので、カメラなどの撮像手段の移動による機械的誤差が測定結果に重畳するという問題を解決している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2595413号明細書
【特許文献2】特開平8−5354号公報
【特許文献3】特許第3835640号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献3では、カリバーロールの角点を基準にロールカリバー形状の調整を行うようにしている。このカリバーロールの角点は、ロールカリバーのうちで圧延に寄与しない部分であるとともに、ロールカリバーの円弧中心が、必ずしもロール回転軸方向でカリバーロールの両角点の中心に位置するとは限らず、さらに角点近傍の研削の精度管理も高くない。したがって、カリバーロールの角点の相対位置関係をもとにロールカリバー形状の調整を行っても、ロールカリバーの円弧部分を精度良く調整することができない場合が多いという問題点があった。
【0010】
さらに、カリバーロールの角点を影像によって確実に検知するために、カリバーロールのテーパ部のシルエットが明瞭に撮像されていることが必要であるが、カリバーロールの角点近傍は、実際にはハウジングに組み込む際に機械油などが顕著に付着する部分であるため、影像が不明瞭となりやすく(特許文献3の第3図参照)、カリバーロールの角点の特定精度が劣化する場合が生じるという問題点があった。なお、この問題点を解決するために、テーパ部を含めたカリバーロール全体を高精度で切削し、あるいは角点近傍に機械油などが付着しないようにハウジングに組み込むことが考えられるが、これによってカリバーロールの製造および維持にかかるコストや組み込み作業負荷が増大するという新たな問題点が生じる。
【0011】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ロールカリバー形状調整のための各カリバーロールのカリバー部分の相対位置関係を高精度に検出することができるロールカリバー位置検出装置およびロールカリバー位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるロールカリバー位置検出装置は、複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得する断面形状取得手段と、取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別するロール識別手段と、識別された各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出する算出手段と、算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出装置は、上記の発明において、前記算出手段は、前記目標プロフィールと各カリバーロールの形状プロフィールとが交差しているか否かを算出し、前記出力手段は、交差している場合に、交差しているカリバーロールの位置修正依頼を出力することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出装置は、上記の発明において、前記算出手段は、前記残差の領域を各カリバーロールの周方向で2分した2つの周方向残差を求めるとともに、各周方向残差の差を算出し、前記出力手段は、前記各周方向残差の差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出装置は、上記の発明において、前記算出手段が最初のカリバーロールに対して算出する残差は、該最初のカリバーロールが固定され、前記目標プロフィールが移動した場合の残差であることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出方法は、複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得して各カリバーロールの相対位置を検出し、カリバーロール調整の支援を行うロールカリバー位置検出方法において、取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別して各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出する算出ステップと、算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出方法は、上記の発明において、前記算出ステップは、前記目標プロフィールと各カリバーロールの形状プロフィールとが交差しているか否かを算出し、前記出力ステップは、交差している場合に、交差しているカリバーロールの位置修正依頼を出力することを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出方法は、上記の発明において、前記算出ステップは、前記残差の領域を各カリバーロールの周方向で2分した2つの周方向残差を求めるとともに、各周方向残差の差を算出し、前記出力ステップは、前記各周方向残差の差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるロールカリバー位置検出方法は、上記の発明において、前記算出ステップが最初のカリバーロールに対して算出する残差は、該最初のカリバーロールが固定され、前記目標プロフィールが移動した場合の残差であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、断面形状取得手段が、複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得し、ロール識別手段が、取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別し、算出手段が、識別された各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出し、出力手段が、算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力しているので、ロールカリバー形状調整支援のための各カリバーロールのカリバー部分の相対位置関係を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1であるロールカリバー位置検出装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示した軸受ハウジング内の概要構成を示す図である。
【図3】図3は、撮像部が受光する明暗像の一例を示す図である。
【図4】図4は、画像処理部が生成するエッジ画像であるプロフィールと仮想ゲージ棒とが表示された一例を示す図である。
【図5】図5は、算出される残差を示す図である。
【図6】図6は、この発明の実施の形態1によるロールカリバー位置検出処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、ロールカリバー中心位置の算出処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、中心候補点の算出方法を模式的に示した図である。
【図9】図9は、複数の中心候補点群を模式的に示した図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態2であるロールカリバー位置検出装置が算出する2分された残差を模式的に示した図である。
【図11】図11は、この発明の実施の形態3によるロールカリバー位置検出処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、この発明に係るロールカリバー位置検出装置およびロールカリバー位置検出方法の好適な実施の形態について説明する。なお、実施の形態により、この発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分又は相当する部分には同一の符号を付している。
【0023】
(実施の形態1)
まず、この発明の実施の形態1について説明する。図1は、この発明の実施の形態1であるロールカリバー位置検出装置の概要構成を示す模式図である。なお、この実施の形態1では、カリバーロールミルの一種である4ロールミルハウジングに適用された場合のロールカリバー位置検出装置について説明する。
【0024】
図1において、このロールカリバー位置検出装置は、軸受ハウジング1内に、複数のカリバーロールからなる被測定対象のロール2を有し、ロール2のロールカリバー形状を調整するための各カリバーロールの相対位置を検出するものである。
【0025】
軸受ハウジング1内部は、図2に示すように、4つのカリバーロールであるロール2a〜2dが圧延材22を囲んで配置される。すなわち、ロール2a,2bがX方向で対向配置され、ロール2c,2dがY方向で対向配置される。ただし、圧延材22は、ロールカリバー位置検出時には、除かれる。各ロール2a〜2dは、各ロール2a〜2dの回転軸である圧延軸21a〜21dを有し、各ロール2a〜2dの圧下方向と圧延軸21a〜21dの軸方向とは直交して配置される。したがって、ロールカリバーの調整を行う場合、各ロール2a〜2dは、圧下方向に平行な方向(圧下方向)と圧下方向に直交する方向(スラスト方向)とを調整する必要がある。たとえば、ロール2aは、圧下方向であるX方向とスラスト方向であるY方向とを調整する必要がある。
【0026】
この軸受ハウジング1内のロール2のロールカリバーの位置検出を行うため、図1に示したロールカリバー位置検出装置は、照明光を発する照明光源7と、照明光を導光する光ファイバ8と、光ファイバ8から導光された照明光を、図2に示す領域Eのようにロールカリバーを覆い、各圧延軸21a〜21dに直交する略円柱形の平行光に変換する投光レンズ6とからなる投光系を有する。なお、図1では、光ファイバ8を介して照明光源7と投光レンズ6とが分離された構成であるが、光ファイバ8を削除して、照明光源7と投光レンズ6とを一体的に構成してもよい。
【0027】
また、ロールカリバー位置検出装置は、ロールカリバーを通過した平行光の一部であってロール2のカリバー部が遮って生成される図3に示すような明暗像を撮像面に結像させる撮像レンズ9と、上述した撮像面に入力された明暗像を撮像する撮像部10と、撮像部10によって撮像された画像データを制御本体部11に伝送する接続ケーブル10aとからなる受光系を有する。撮像レンズ9は、物体側テレセントリック光学系を形成するレンズが用いられ、この光学系の光軸Cは、被圧延材のパスラインに平行で、かつ投光系の光軸に一致することが好ましい。また、撮像部10は、2次元CCDなどのエリアセンサを用いて実現されるが、画像解像度を高める必要がある場合、ガルバノメータミラーなどを用いた光軸掃引手段とラインセンサとを用いて実現してもよい。
【0028】
ここで、画像解像度は、ロール2による最大圧延径を90mm、ロールカリバー調整限界を0.1mmとすると、2048×2048画素のエリアセンサを用いることによって画素分解能は、90/2048=0.044mmとなり十分な解像度を得ることができる。
【0029】
制御本体部11は、接続ケーブル11aを介して入力された画像データを受け付ける入力インターフェースとしての画像入力部12と、画像入力部12に入力された画像データから、図4に示すようなロールカリバーのエッジ画像を生成する画像処理部13と、このエッジ画像から4つのロール2a〜2dをそれぞれ識別するロール識別部14と、ロール識別部14が識別した各ロール2a〜2d毎に、図5に示すようなカリバー部分のみを切り出したプロフィールPFを生成するとともに、このプロフィールPFと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールである仮想ゲージ棒31との間であって、各ロール2a〜2d毎に予め設定される動径角である有効カリバー角θの範囲内における残差Sを算出する算出手段としての演算部15と、この残差Sに関する情報および仮想ゲージ棒31に対する各ロール2a〜2dのプロフィールPF(PF1〜PF4)の相対位置を表示出力する出力手段としての表示部16と、CPUなどによって実現され、画像入力部12,画像処理部13,ロール識別部14,演算部15,表示部16,および照明光源7を少なくとも制御する制御部17と、各種プログラムおよびデータを保持するとともに演算に必要な記録領域を確保する記憶部18とを有する。なお、投光系、受光系、および画像入力部12は、断面形状取得手段として機能する。なお、仮想ゲージ棒31とは、従来、実際の調整時に用いられていたゲージ棒に対応するもので、その断面形状を仮想的に表したものである。
【0030】
なお、投光レンズ6と撮像レンズ9との間には、拡幅治具3a,3bが設けられ、ロールギャップが不安定とならないようにロールギャップを拘束する。すなわち、拡幅治具3aは、投光レンズ6とロール2a,2bとの間に設けられ、投光レンズ6側からロール2a,2b間に挿入されてロール2a,2b間を拡幅する。また、拡幅治具3bは、撮像レンズ9とロール2c,2dとの間に設けられ、撮像レンズ9側からロール2c,2d間に挿入されてロール2c,2d間を拡幅する。なお、拡幅治具3a,3bは、筒状に形成され、内部に平行光が通過できるように構成されているが、拡幅治具3a,3bの内面反射光のゴーストが生じないように、投光レンズ6の口径と、拡幅治具3a,3bの内径と、投光レンズ6の開口数とを調整することが好ましい。
【0031】
上述したように、投光レンズ6の光軸と撮像レンズ9の光軸とが一致し、かつ軸受ハウジング1のパスラインが平行あるいは一致することが好ましいが、この位置関係を容易に実現するため、この実施の形態1では、ハウジング架台4が設けられ、ハウジング架台4の上面に、軸受ハウジング1の下部を3方向から囲むようにストッパ5を配置して軸受ハウジングを固定するようにしている。このストッパ5は、図示しない押しボルトによって当たり止めさせるようにして、簡易かつ再現性良く配置固定できるようにしている。さらに、ハウジング架台4には、投光レンズ6および撮像レンズ9をそれぞれ保持する光学系保持機構19a,19bが設けられている。このハウジング架台4、ストッパ5、および位置調整機構を有する光学系保持機構19a,19bによって、上述した光軸およびパスラインの一致調整が容易になる。なお、ハウジング架台4への軸受ハウジング1の設置時に各光学系保持機構19a,19bを退避して破損を防ぐことができる退避機構を設けることが好ましい。
【0032】
ここで、図6に示したフローチャートを参照して実施の形態1によるロールカリバー位置検出処理手順について説明する。図6において、制御部17は、照明光源7に照明光を出力させ、撮像部10によってロールカリバーを映し出した明暗像を撮像させ、この明暗像を示す画像データを画像入力部12によって取得する(ステップS101)。その後、画像処理部13は、この画像データから図4に示すカリバー部分を含むエッジ画像を生成する(ステップS102)。その後、ロール識別部14は、このエッジ画像から各ロール2a〜2dを識別し、演算部15は、各ロール2a〜2dのカリバー部分の4つのプロフィールPFを切り出す(ステップS103)。さらに、演算部15は、4つの全プロフィールPF(PF1〜PF4)を生成する(ステップS104)。
【0033】
その後、演算部15は、仮想ゲージ棒31が設定済みであるか否かを判断する(ステップS105)。なお、この判断は、2つのロールカリバーに対する処理であるか否かを判断するものである。すなわち、仮想ゲージ棒31が設定済みである場合(ステップS105,Yes)には、すでに1つのロールカリバーに対する処理が済んでいることであり、2つ目以降のロールカリバーに対する処理を行うため、ステップS113に移行する。
【0034】
一方、仮想ゲージ棒31が設定済みでない場合(ステップS105,No)には、予め決定されている圧延断面形状に対応する仮想ゲージ棒31が各ロールカリバーに囲まれる領域に設定され、表示出力される(ステップS106)。その後、1つの基準ロールカリバー、たとえばプロフィールPF(PF1)が表示画面上で選択される(ステップS107)と、この基準ロールカリバーのロールカリバー中心位置の算出処理を行う(ステップS108)。このロールカリバー中心位置は、基準ロールカリバーの有効カリバー各θの中心決定に用いられる。
【0035】
基準ロールカリバーのロールカリバー中心位置が算出されると、仮想ゲージ棒31の位置を表示画面上で位置修正に伴う仮想ゲージ棒31の表示変更を行うとともに、そのときの基準ロールカリバーと仮想ゲージ棒31との間であって有効カリバー各θの範囲内の面積(画素数)である残差Sを算出して表示出力する(ステップS109)。この場合、ロールカリバーPF1は、固定位置に表示され、仮想ゲージ棒31のみが位置修正されることになる。その後、現仮想ゲージ棒31の位置が最小の残差S0であるとしての設定入力があったか否かを判断し(ステップS110)、設定入力がない限り、ステップS109の処理を行い、設定入力があった場合(ステップS110,Yes)、この残差S0を記憶部18に記憶する処理を行う(ステップS111)。さらに、i=1に設定する(ステップS112)。これによって、まず、基準ロールカリバーの位置が確定することになる。
【0036】
その後、他のロールカリバー(調整ロールカリバー)のうち1つの調整ロールカリバー、たとえばロールカリバーPF2が表示画面上で選択されると(ステップS113)、ステップS108と同様に、この調整ロールカリバーのロールカリバー中心位置の算出処理が行われる(ステップS114)。その後、演算部15は、この調整ロールカリバーと仮想ゲージ棒31との間であって、ステップS114で算出された調整ロールカリバー中心位置を中心とする有効カリバー角θの範囲内の残差Sである残差Siを算出する(ステップS115)。
【0037】
その後、演算部15は、残差Siと残差S0との差が所定の残差閾値ΔS未満であるか否かを判断する(ステップS116)。所定の残差閾値ΔS未満でない場合、残差Siが大きいため、この調整ロールカリバーの位置修正依頼を表示出力する(ステップS117)。これによって、操作者は、この調整ロールカリバーのロールの位置修正を行う。その後、ステップS101に移行し、上述した全てのロールカリバーのプロフィールを再度取得する。ただし、ステップS105ですでに仮想ゲージ棒31は、設定されているため、ステップS106〜S112の処理は行われない。そして、ステップS113で再び同じ調整ロールカリバーに対する残差が算出され、ステップS116の判断処理が行われる。
【0038】
一方、残差Siと残差S0との差が所定の残差閾値ΔS未満である場合(ステップS116,Yes)には、この調整ロールカリバーに対する調整が終了したことになり、変数iをインクリメントし(ステップS118)、残りの調整ロールカリバーがあるか否かを判断する(ステップS119)。なお、nは、すべてのロールカリバーの数であり、この実施の形態では、全てのロールカリバーの数が4であるため、このステップS119では、変数iが調整ロールカリバーの数である3になったか否かを判断する。残りの調整ロールカリバーがある場合(ステップS119,Yes)には、ステップS113に移行し、次の調整ロールカリバーが選択され、この選択された調整ロールカリバーに対する調整が行われる。一方、残りの調整ロールカリバーがない場合(ステップS119,No)には、全てのロールカリバーに対する位置調整が完了したことになり、本処理を終了する。
【0039】
ここで、図7に示したフローチャートを参照して、ステップS108,S114によるロールカリバー中心位置の算出処理手順について説明する。まず、演算部15は、ロールカリバーに予め設定された公称カリバー曲率半径Rを読み出す(ステップS201)。さらに有効カリバー領域REの設定処理を行い(ステップS202)、変数kを初期値0に設定する(ステップS203)。
【0040】
そして、演算部15は、有効カリバー領域RE内のプロフィールPFから2点を選択し(ステップS204)、この2点を結ぶ線分の垂直2等分線を算出し(ステップS205)、この垂直2等分線とプロフィールPFとの交点を求め、プロフィールPFの凹側の垂直2等分線上であって、交点から距離Rの点を、カリバーの円中心の候補点(中心候補点)として設定する(ステップS206)。
【0041】
その後、変数kをインクリメントし(ステップS207)、さらに変数kが予め設定した所定の整数値Nを超えたか否かを判断する(ステップS208)。変数kが所定の整数値Nを超えない場合(ステップS208,No)、ステップS204に移行し、変数kが所定の整数値Nを超えるまで中心候補点の算出を行う。
【0042】
一方、変数kが所定の整数値Nを超えた場合(ステップS208,Yes)、得られた複数の中心候補点からなる座標群の加重平均値を、現在処理しているロールカリバー中心位置として決定し(ステップS209)、ステップS108あるいはステップS114にリターンする。
【0043】
すなわち、演算部15は、ロールカリバー中心位置を算出する場合、図8に示すように、有効カリバー曲線上の異なる2点P1a,P1bの組によって形成される線分の垂直2等分線とこの有効カリバー曲線との交点PC1を求め、この交点PC1からプロフィールPFが凹となる向きに、予め決定されている有効カリバー曲線の所定曲率半径(公称カリバー曲率半径)Rに等しい距離Rとなる点を有効カリバー曲線の中心候補点P1として算出する。同様に、2点P2a,P2bの組によって形成される線分の垂直2等分線とこの有効カリバー曲線との交点PC2を求め、この交点PC2からプロフィールPFが凹となる向きに、公称カリバー曲率半径Rに等しい距離Rとなる点を中心候補点P2として算出する。同様な処理を他の異なる2点の組に対して繰り返し行い、図9に示すように、複数の中心候補点からなる中心候補点群Pを算出し、この中心候補点群Pの加重平均位置を、有効カリバー曲線を描くロールカリバー中心位置Cとして求める。
【0044】
この実施の形態1では、仮想ゲージ棒31と各ロールカリバーとを表示出力するとともに、仮想ゲージ棒31と各ロールカリバーとの間の算差Sを算出して表示することによって、ロールの調整作業を効率よく支援することができる。
【0045】
(実施の形態2)
上述した実施の形態1では、仮想ゲージ棒31とロールカリバーとが近接する方向、すなわちロールの圧下方向を調整するのに適していたが、この実施の形態2では、さらにロールのスラスト方向を的確に調整できるようにしている。
【0046】
すなわち、図10に示すように、ロールカリバーのプロフィールPFの最低部で残差S(Si)を周方向(スラスト方向)で2分し、この2分した残差Sl,Srを求める。そして、残差Slから残差Siを減算した差が最小となるように、ロールのスラスト方向調整を行うことができる。この場合、図10に示した画像および残差Slから残差Siを減算した差が表示され、ロール調整の支援を行う。
【0047】
(実施の形態3)
ところで、仮想ゲージ棒31は仮想であるため、この仮想ゲージ棒31とプロフィールPFとが重なって干渉する場合も生じる。現実のゲージ棒は、ロールカリバー内に侵入することはないので、この実施の形態3では、このような干渉が生じない対策を施している。
【0048】
すなわち、演算部15は、図11のフローチャートに示すように、ステップ116の判断処理の後に、仮想ゲージ棒31とロールカリバーとが接触しているか否かを判断し(ステップS116a)、接触していた場合(ステップS116a,Yes)には、残差Siが大きい場合と同様に、調整ロールカリバーの位置修正依頼を行う(ステップS117)ようにしている。なお、この判断処理は、仮想ゲージ棒31とプロフィールPFとの交点検出処理によって実現できる。
【0049】
なお、上述した実施の形態1〜3では、基準ロールカリバーの位置調整時に、基準ロールカリバーを動かさず、仮想ゲージ棒31を動かすようにしていたが、もちろん、この基準ロールカリバーの位置調整時に、基準ロールカリバーを動かすようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 軸受ハウジング
2,2a〜2d ロール
3a,3b 拡幅治具
4 ハウジング架台
5 ストッパ
6 投光レンズ
7 照明光源
8 光ファイバ
9 撮像レンズ
10 撮像部
10a 接続ケーブル
11 制御部本体
12 画像入力部
13 画像処理部
14 ロール識別部
15 演算部
16 表示部
17 制御部
18 記憶部
21a〜21d 圧延軸
31 仮想ゲージ棒
PF,PF1〜PF4 プロフィール
C ロールカリバー中心位置
θ 有効カリバー角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得する断面形状取得手段と、
取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別するロール識別手段と、
識別された各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出する算出手段と、
算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とするロールカリバー位置検出装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記目標プロフィールと各カリバーロールの形状プロフィールとが交差しているか否かを算出し、
前記出力手段は、交差している場合に、交差しているカリバーロールの位置修正依頼を出力することを特徴とする請求項1に記載のロールカリバー位置検出装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記残差の領域を各カリバーロールの周方向で2分した2つの周方向残差を求めるとともに、各周方向残差の差を算出し、
前記出力手段は、前記各周方向残差の差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力することを特徴とする請求項1または2に記載のロールカリバー位置検出装置。
【請求項4】
前記算出手段が最初のカリバーロールに対して算出する残差は、該最初のカリバーロールが固定され、前記目標プロフィールが移動した場合の残差であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のロールカリバー位置検出装置。
【請求項5】
複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得して各カリバーロールの相対位置を検出し、カリバーロール調整の支援を行うロールカリバー位置検出方法において、
取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別して各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出する算出ステップと、
算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とするロールカリバー位置検出方法。
【請求項1】
複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得する断面形状取得手段と、
取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別するロール識別手段と、
識別された各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出する算出手段と、
算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とするロールカリバー位置検出装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記目標プロフィールと各カリバーロールの形状プロフィールとが交差しているか否かを算出し、
前記出力手段は、交差している場合に、交差しているカリバーロールの位置修正依頼を出力することを特徴とする請求項1に記載のロールカリバー位置検出装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記残差の領域を各カリバーロールの周方向で2分した2つの周方向残差を求めるとともに、各周方向残差の差を算出し、
前記出力手段は、前記各周方向残差の差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力することを特徴とする請求項1または2に記載のロールカリバー位置検出装置。
【請求項4】
前記算出手段が最初のカリバーロールに対して算出する残差は、該最初のカリバーロールが固定され、前記目標プロフィールが移動した場合の残差であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のロールカリバー位置検出装置。
【請求項5】
複数のカリバーロールを組み合わせて形成される圧延空間であるロールカリバーの全カリバーを含む圧延方向断面形状を取得して各カリバーロールの相対位置を検出し、カリバーロール調整の支援を行うロールカリバー位置検出方法において、
取得された圧延方向断面形状をもとに各カリバーロールを識別して各カリバーロールのカリバー部分の形状プロフィールを求め、各カリバーロール毎に予め設定される有効カリバー角の範囲内における各形状プロフィールと予め設定される圧延方向断面形状に基づく目標プロフィールとの間の残差を算出する算出ステップと、
算出された残差および前記目標プロフィールに対する各カリバーロールの形状プロフィールの相対位置を出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とするロールカリバー位置検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−210291(P2010−210291A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54182(P2009−54182)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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