説明

ロール及びラベル形成装置

【課題】 保護フイルムをラベル基材に貼付する際に、同時にラベル形状に対応した切り込みを形成することができるロールと、これを用いたラベル形成装置を提供すること。
【解決手段】 ラベル原反Mの繰出部12と、ラベル基材LBの表面に印字を行う印字部14と、保護フイルムFを供給するフイルム供給部16と、保護フイルムFをラベル基材LBに貼付する貼付部18とを含んでラベル形成装置10が構成されている。貼付部18は略D字状のロール50と圧胴51とからなり、ロール50は円弧面部52Bの外周に軟質部材54とカッター刃55とを備えている。貼付部18は保護フイルムFの貼付と同時に、ラベル原反Mと保護フイルムFにラベルLの形状に対応した切り込みCを形成し、ラベルLの排出後、繰出逆送装置23を介してラベル原反Mを逆送させてラベル間ピッチを短く保って次の印字が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロール及びラベル形成装置に係り、特に、帯状のラベル基材に印字を行うとともに、当該印字面に帯状の保護フイルムを貼付すると同時にラベル形状の切り込みを形成することに適したロールと、これを用いて一枚ずつラベルを得ることができるラベル形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯状のラベル基材の面に印字を行うとともに、所定長さ毎に切断を行ってラベルを一枚ずつ形成することができるラベル形成装置(ラベルプリンタ)が開示されている。同装置は、帯状のラベル基材の一方の面に印字を行う印字装置と、この印字装置よりも下流側に配置された切断装置と、ラベル基材を繰出方向の反対側に逆送させる逆送装置とを備えて構成されている。
【0003】
【特許文献1】特開平1−281968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたラベル形成装置によれば、切断を行った後に、切断装置と印字装置との間に存在するラベル基材を印字装置の位置まで逆送させてラベル間ピッチを短くすることができ、ラベルを形成するためのラベル基材の無駄な消費を解消することができる。
しかしながら、同装置のラベル形成装置は、印字面に保護フイルムを貼付する構成とはなっていない。そのため、得られたラベルの印字面が擦れたりすることで、印字面の鮮明性を長期に亘って維持することができない、という不都合を招来する。
仮に、保護フイルムを印字面に貼付する場合には、保護フイルムをラベル基材に貼付するための機構が別途に必要となり、ラベル基材の繰り出し経路に沿う部品配置のスペースが長くなってラベル形成装置の小型化を妨げる要因となる。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、保護フイルムをラベル基材の印字面に貼付する際に、同時にラベル形状に対応した切り込みを形成することに適したロールと、当該ロールを用いたラベル形成装置を提供することにある。
【0006】
また、本発明の目的は、印字部より下流側の部品配置スペースを短くして小型化を図ることに適合するロール及びラベル形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、ロール本体の外周に軟質部材を備えるとともに、当該軟質部材の領域内にカッター刃を配置したロールであって、
前記ロール本体は、断面形状が略C字状若しくは略D字状に設けられ、その円弧面部に前記軟質部材とカッター刃が配置される、という構成を採っている。
【0008】
前記ロールにおいて、前記カッター刃の高さは前記軟質部材の表面高さ位置よりも低く設定され、前記軟質部材が圧縮力を受けたときにカッター刃で所定の切り込みが形成されるように設けられている。
【0009】
また、本発明に係るラベル形成装置は、剥離シートにラベル基材が仮着された帯状のラベル原反を繰り出す繰出部と、この繰出部からラベル原反を繰り出す途中で前記ラベル基材の表面に印字を行う印字部と、前記ラベル基材の印字面側に保護フイルムを供給するフイルム供給部と、前記保護フイルムをラベル基材に貼付すると同時に当該保護フイルム及びラベル基材に所定のラベル形状に対応した切り込みを形成する機能を備えた貼付部と、前記ラベル原反に繰出力を付与する一方、前記保護フイルム及びラベル原反を繰り出し方向の反対側に所定量逆送して各ラベル間のピッチを短縮させる繰出逆送装置とを備える、という構成を採っている。
【0010】
前記ラベル形成装置において、前記貼付部は、前記切り込みを形成するロールと圧胴とを含み、当該ロールは、ロール本体の外周部分に軟質部材が備えられるとともに、当該軟質部材の領域内にカッター刃が配置される、という構成を採っている。
【0011】
前記ラベル形成装置における前記ロール本体は、断面形状が略C字状若しくは略D字状に設けられ、その円弧面部に前記軟質部材とカッター刃が配置された形状とすることができる。
【0012】
また、前記ラベル形成装置における前記ロール本体は、軸線方向に沿う平面部と、この平面部に連なる円弧面部とを備えて断面略D字状をなし、前記円弧面部に前記軟質部材とカッター刃が配置されている。
【0013】
更に、前記印字部は、ラベル毎に個体識別可能な印字情報を印字する、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ラベル基材に保護フイルムを貼付するためのロールがダイカットロールとしての機能をも有するため、貼付ロールとダイカットロールとを別々に設ける必要がなくなり、繰出経路に沿う部品配置用のスペース(長さ)を短くすることが可能となる。また、繰出逆送装置を設けたことにより、ラベル基材におけるラベル間ピッチを短くしてラベル形成が可能となり、ラベル基材の無駄な消費を回避することができる。
【0015】
また、カッター刃が軟質部材の表面高さ位置よりも低く設定されていることで、保護フイルムをラベル基材に貼付するための圧力を十分なものとすることができる。
【0016】
更に、ロールは略C字状若しくは略D状に設けられ、その円弧面部に軟質部材とカッター刃を設けているため、円弧面部を除く領域が圧胴に対峙している位置にあるときに、これらの間に十分なクリアランスが形成でき、保護フイルムとラベル原反を逆送させる動作を極めてスムースに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1には第1の実施形態に係るラベル形成装置の概略正面図が示され、図2(A)には、その要部概略斜視図が示されている。これらの図において、ラベル形成装置10は、ケース11と、当該ケース11内に設けられるとともに、剥離シートSの一方の面にラベル基材LBが仮着された帯状のラベル原反Mを繰り出す繰出部12と、この繰出部12からラベル原反Mを繰り出す途中で前記ラベル基材LBの表面に印字を行う印字部14と、前記ラベル基材LBの印字面側に帯状の保護フイルムFを供給するフイルム供給部16と、前記保護フイルムFをラベル基材LBに貼付すると同時に、所定のラベル形状に切り込みC(図2参照)を形成する機能を備えた貼付部18と、保護フイルムFが貼付されたラベル原反Mを急激に反転してラベルLを抜き出すプレート材20と、ラベルLが抜き出された外周領域をカスとして巻き取る巻取部22と、ラベル原反Mに繰出力を付与する一方、ラベルLを抜き出した後に、保護フイルムF及びラベル原反Mを繰出方向の反対側に所定量逆送する繰出逆送装置23とを備えて構成されている。
【0019】
前記繰出部12は、ロール状のラベル原反Mを繰出可能に保持する保持ロール24により構成され、この保持ロール24に支持されたラベル原反Mは、ガイドロール25を経て前記印字部14側に供給されるようになっている。また、保持ロール24は、図示しないモータによって常にラベル原反Mに所定のテンションを付与するようになっているので、ラベル原反Mが逆送されても保持ロール24と、後述する第1の駆動部61間でラベル原反Mが弛むことはないように制御される。
【0020】
前記印字部14は、ラベル基材LBの表面に所定の印字情報を印字する印字ヘッド30と、剥離シートS側に配置されたプラテンロール31と、当該プラテンロール31を回転可能な状態で受容するとともに、ラベル原反Mを剥離シートSの下面側で支えるガイドプレート33と、前記印字ヘッド30にインキリボンRを繰り出すリボン繰出ロール35と、ラベル基材LBにインキ転写された後のインキリボンRを順次巻き取るリボン巻取ロール36とにより構成されている。なお、印字ヘッド30は、プラテンロール31から離間した位置に移動できるように図示しない移動機構を備えている。本実施形態におけるラベル形成装置10には、図示しない入力部を含む制御装置及び操作ディスプレイが接続されており、当該制御装置の所定のプログラムに従って、ラベルLが貼付される被着体を個体識別するための可変情報が順次印字されるように構成されている。また、前記可変情報は、ラベル形成装置10を含むライン全体を一括制御する上位コンピュータ等と通信を行うことによって入力されるようにしてもよい。
【0021】
前記フイルム供給部16は、ロール状に巻回された保護フイルムFを繰出可能に保持するフイルム保持ロール40を含む。本実施形態における保護フイルムFは、糊面側に帯状の剥離フイルムPFが仮着されており、フイルム保持ロール40から繰り出した後に保護フイルムFが剥離フイルムPFから剥離されて用いられるようになっている。そのため、フイルム保持ロール40の側方位置に、一対の剥離ロール42,43が配置され、剥離フイルムPFは、フイルム巻取ロール45に巻き取られる一方、保護フイルムFは、後述するバッファ部70を介して貼付部18側に繰り出されるように構成されている。なお、フイルム保持ロール40は、保護フイルムFに所定のテンションを付与する図示しないテンション付与機構と、図示しないブレーキモータによって回転、又はロック可能に制御される。
【0022】
前記貼付部18は、保護フイルムFをラベル基材LBの印字面に貼付するためのロール50と、前記剥離シートSの下面側においてロール50に対峙する圧胴51とにより構成されている。ロール50は図示しないブレーキモータを介して回転、又はロック可能に設けられている。このロール50は、その軸線方向に沿う平面部52Aと、この平面部52Aに連なる円弧面部52Bとを備えて断面略D字状をなすロール本体52と、当該ロール本体52の外周部分、すなわち円弧面部52Bに配置された軟質部材としてのEVA(エチレンビニルアセテート)等のプレスシート54と、円弧面部52Bの外周に配置されるとともに、プレスシート54の面内に位置して前記保護フイルムF、ラベル基材LB及び剥離シートSにラベルLの形状に対応した切り込みCを形成するカッター刃55とを備えて構成されている。なお、ロール50には、圧胴51とのクリアランスを調整する図示しないロール高さ調整機構が設けられている。
【0023】
前記カッター刃55は、ロール50が略180度回転することにより、ラベルLに対応した切り込みCを形成するように設けられている。カッター刃55は、図2(C)に示されるように、先端(刃先)がプレスシート54の面高さよりも若干低い位置に設定され、プレスシート54による保護フイルムFの貼付圧力不足が生じないように設けられている。本実施形態におけるカッター刃55は、図2(B)に示されるように、プレスシート54の外縁に沿う形状であって、保護フイルムF、ラベル基材LB、剥離シートSに切り込みを形成するラベル外形形成刃55Aと、保護フイルムF、ラベル基材LBのみに切り込みを行い、捲り代を形成するためのハーフカット刃55Bとを含み、図2(A)に示されるように、ラベルLを形成した際に、ラベルLの一部外縁にシート捲り代として作用する突片S1を形成するようになっている。
【0024】
図3に示されるように、前記ロール50の平面部52Aは圧胴51との間のクリアランスを大きく確保する領域をなし、平面部52Aが圧胴51側に位置している状態で、初期の通紙作業と、後述するラベル原反M及びフイルムFの逆送動作がスムースに行えるようになっている。
【0025】
前記プレート材20は先端が鋭角な形状に設けられており、当該プレート材20の先端でラベル原反Mを急激に反転させて巻取部22を構成する巻取ロール60で巻き取ることによりラベルLがラベル原反Mから抜き出しできるようになっている。
【0026】
前記繰出逆送装置23は、前記印字部14の繰出方向上流側に配置された第1の駆動部61と、前記巻取ロール60に対して上流側に配置された第2の駆動部62とにより構成されている。第1の駆動部61は、正逆回転可能な第1のモータM1と、当該第1のモータM1の出力軸に連結された第1の駆動ロール64と、この第1の駆動ロール64との間にラベル原反Mを挟み込む第1のピンチロール65とにより構成されている。また、第2の駆動部62は、正逆回転可能な第2のモータM2と、当該第2のモータM2の出力軸に連結された第2の駆動ロール66と、当該第2の駆動ロール66との間にラベルLが抜き出されたラベル原反M及び保護フイルムFをピンチする第2のピンチロール67とにより構成されている。巻取ロール60は、図示しないモータによって、第2のモータM2が正逆回転しても所定のテンションでラベルLが抜き出された後のラベル原反M及び保護フイルムFの巻き取りが可能となっている。
【0027】
前記フイルム供給部16と貼付部18との間には、バッファ部70が設けられている。このバッファ部70は、ケース11内において、ラベル原反Mの繰出方向と略平行な方向に延びるスロット71と、当該スロット71を貫通して支持されたバッファロール72とを備えて構成されている。バッファロール72は、図示しない付勢手段を介して常時は、図1に示される位置に保たれる一方、ラベル原反Mを逆送させるときに同図中右側に移動してフイルムFの弛みを防止するようになっている。
【0028】
次に、本実施形態におけるラベル製造工程について、図3ないし図8をも参照しながら説明する。ここでは、ラベル形成装置10に図示しない搬送路が併設され、当該搬送路には、ラベルLが一枚ずつ貼付される被着体が順次搬送されているものとする。また、ラベル形成装置10から排出される各ラベルLは、作業者によって剥離シートSを剥がして一枚ずつ被着体に手貼りされ、被着体毎に異なる印字情報は図示しない上位コンピュータから印字情報が入力され、ラベル形成装置10の図示しない制御装置によって一時記憶されるものとする。
【0029】
初期の設定作業を行う場合には、図示しない制御装置のスイッチをONして電源投入を行うと、図3に示されるように、ロール50の平面部52Aを圧胴51側に位置させて当該圧胴51との間に大きなクリアランスを形成し、印字ヘッド30は、図示しない移動機構によってプラテンロール31から離間した位置に保たれる。そして、保持ロール24に保持されているラベル原反Mを引き出して印字部14及び貼付部18を通過させて通紙を行うとともに、保護フイルムFを剥離フイルムPFから剥離して貼付部18を通過させてラベル基材LBに貼付して積層し、そのリード端を巻取ロール60に固定しておく。また、剥離フイルムFのリード端はフイルム巻取ロール45に固定しておく。
【0030】
図示しない操作ディスプレイの自動運転を選択すると、印字ヘッド30がプラテンロール31側に下降し待機する(図4参照)。そして、被着体が搬送されてきたことを図示しないセンサが検知すると、上位コンピュータから印字情報がラベル形成装置10に入力され、図示しない制御装置によって一時記憶され、ラベル発行指令を出す。第1及び第2の駆動部61,62がラベル原反Mを繰り出す方向に駆動してラベル原反Mと保護フイルムFの繰り出しが開始すると同時に、制御装置によって一時記憶されていた印字情報が所定のプログラムにより印字部14によって印字される。また、ロール50、フイルム保持ロール40も図示しないブレーキモータを介して回転する。印字が行われたラベル基材LBは、剥離シートSと共に貼付部18に繰り出され、ロール50及び圧胴51によって保護フイルムFが印字面に貼付される。これと同時に、ラベル外形形成刃55A及びハーフカット刃55Bが印字面を囲むように切り込みCを形成することとなる(図5及び図6参照)。
【0031】
印字が行われ、保護フイルムFの貼付と切り込みCの形成が行われたラベルLは、プレート材20を通過する際に前方に向けて抜き出され(図7参照)、ラベル形成装置10の外側に排出されて作業者に受け取られる。ロール50は、平面部52Aが圧胴51側に位置している状態(図7の状態)で回転が停止し、フイルム保持ロール40は、ラベル原反Mの繰り出しが終わった時点で回転が停止し、ロック状態となる。そして、作業者は、受け取ったラベルLから剥離シートSの突片S1を摘んで容易且つ迅速に剥離して被着体に貼付することができる。
【0032】
ラベルLが排出されると、ラベル原反Mと保護フイルムFは、プレート材20の先端まで繰り出されていることになり、当該領域におけるラベル基材LBには印刷がされていないため、そのまま次の印字を開始するとラベル原反Mを無駄に消費することになる。そこで、繰出逆送装置23を構成する第1の駆動部61と第2の駆動部62における各モータM1,M2が逆転してラベル原反Mが逆送される(図8参照)。逆送が行われるときは、印字ヘッド30がプラテンロール31から離間した位置に移動する。また、逆送が行われる長さは、前記プレート材20の先端部と印字ヘッド30との間に存在するラベル原反Mの長さに略対応する。この時、フイルム保持ロール40は、図示しないブレーキモータによってロック状態であるため、バッファロール72がスロット71の右側に移動して、保護フイルムFの弛みを生じないように作用する。なお、ロール50は、平面部52Aが圧胴51側に位置する状態でロックされているため、保護フイルムFがロール50の外周に絡み付くことはない。
【0033】
このようにしてラベル原反Mの逆送が行われた後に、図4に示されるように、印字ヘッド30がプラテンロール31側に移動し、次の印字情報が印字部14にて行われ、以後同様にしてラベルLが形成されることとなる。
【0034】
従って、このような実施形態によれば、印字面を保護フイルムFで保護するのと同時に、ラベルLの形状に対応した切り込みCの形成を行うことができるので、保護フイルムFを貼付するためのロールと、切り込みCを形成するロールとを別々に設ける必要がなく、ラベル原反Mの繰出方向に沿う部品配置用のスペースを短く設定することができ、ラベル間ピッチが短く設定されてラベル基材LBの無駄な消費を回避できるとともに、ラベル形成装置10を小型化することが可能となる。
しかも、ロール50を略D字状の断面形状として平面部52Aを備えた形状であるため、平面部52Aが圧胴51側に位置しているときに、ラベル原反Mや保護フイルムFの逆送動作をスムースに行うことができる。従って、例えば、印字部14の直後に印字検出センサを配置して印字不良を検出する構成を採用した場合には、個体識別可能な連続情報等の印字を行う際に、不良と検出されても制御装置によって一時記憶された印字情報を再度呼び出し、印字情報を直ちに繰り返して印字することで、被着体との対応関係を明確に取りながらラベル貼付を行うことが可能となる。
【0035】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、前記第1実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0036】
[第2実施形態]
図9には、本発明の第2実施形態に係るラベル形成装置10の概略正面図が示されている。この第2実施形態は、剥離シートSを巻き取る構成を用いることなく、また、ラベル原反M及びこれに貼付される保護フイルムFを所定長さ毎に切断してラベルLの外周側にカスとして除去される部分を含んで一体として排出し、切り込みCの内側となるラベルLを指先で抜き取った後に所定の被着体に貼付できるようにしたところに特徴を有する。
【0037】
そのため、図9(A)に示されるように、第1実施形態で示した巻取部22及び第2の駆動部62は省略されており、繰出逆送装置23は、第1の駆動部61によって構成されている。カッター刃55は、図9(B)に示されるように、剥離シートSを打ち抜かずにハーフカットを行うように設けられたラベル形成刃55Aと、ラベル原反M及びこれに貼付された保護フイルムFを幅方向全体に切断して個々のラベルにセパレートするための分離カッター刃55Cとにより構成されている。また、第1実施形態で用いたプレート材20は、切り離されたラベルLを排出するまで支持するプレートとして作用するようになっている。
【0038】
このような第2実施形態によれば、図10ないし図13に示されるように、実質的に第1実施形態と同様の作用により、ラベルLを形成することができる。この場合、図12から図13にかけての逆送り時においては、図9(B)に示される分離カッター刃55Cの右側領域Kによってラベル原反Mと保護フイルムFとは押圧接着されているのでそれらが剥がれることはない。
【0039】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施の形態に対し、形状、材料、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それら形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0040】
例えば、ロール50に設けたカッター刃55の平面形状は、前記実施形態に限定されるものではなく、ラベルLの形状に応じて変更することができる。また、ロール50は、平面部52Aと円弧面部52Bとを備えた中実の断面略D字状のものに限定されるものではなく、中空の略D字状であってもよい。更に、ロール50の断面形状は略D字状の他、中空の略C字状であってもよい。要するに、ロール50は、実質的に同様の作用、効果を奏する限り、形状の変更を妨げない。
【0041】
更に、プレスロール50のロール本体52に備えられた軟質部材は特に限定されるものではなく、一定の貼付圧力を付与しつつ厚み方向に圧縮変形可能なものであれば足りる。
【0042】
また、印字部14は、本実施形態の印字ヘッド30に限らず、インクジェット印字装置や、レーザ印字装置等であってもよい。
【0043】
さらに、プレート材20の繰り出し方向下流側にラベル吸着グリッドを設け、ラベル形状の切り込みCを剥離シートSから貫通させることなく所謂ハーフカットを行い、ラベル基材LBを吸着保持し、自動で被着体に貼り付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1実施形態に係るラベル形成装置の概略正面図。
【図2】(A)は図1の要部を拡大した概略斜視図、(B)はプレスシート及びカッター刃の展開図、(C)はロールの正面図。
【図3】ラベル形成装置の初期の設定作業を行う際のロール位置等を示す概略正面図。
【図4】カッター刃が切り込み形成する初期段階を示す拡大正面図。
【図5】カッター刃が切り込みを形成している状態を示す拡大正面図。
【図6】カッター刃が切り込みを形成する終期を示す拡大正面図。
【図7】カッター刃が切り込みを形成した後に平面部が圧胴に対峙した状態を示す拡大正面図。
【図8】カッター刃が図7の位置を維持してラベル原反の逆送を行った状態を示す拡大正面図。
【図9】(A)は第2実施形態に係るラベル形成装置の概略正面図、(B)は同実施形態に用いられるプレスシートとカッター刃の形状を示す展開図。
【図10】第2実施形態におけるロールによってフイルム貼付と切断が行われている状態を示す拡大正面図。
【図11】図10の次の工程であって、フイルム貼付と切断が終了する直前の状態を示す拡大正面図。
【図12】一枚のラベルが排出された状態を示す拡大正面図。
【図13】ラベル原反の逆送が行われた状態を示す拡大正面図。
【符号の説明】
【0045】
10 ラベル形成装置
12 繰出部
14 印字部
16 フイルム供給部
18 貼付部
22 巻取部
23 繰出逆送装置
30 印字ヘッド
50 ロール
51 圧胴
52 ロール本体
52A 平面部
52B 円弧面部
55 カッター刃
C 切り込み
LB ラベル基材
F 保護フイルム
S 剥離シート
M ラベル原反

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール本体の外周に軟質部材を備えるとともに、当該軟質部材の領域内にカッター刃を配置したロールであって、
前記ロール本体は、断面形状が略C字状若しくは略D字状に設けられ、その円弧面部に前記軟質部材とカッター刃が配置されていることを特徴とするロール。
【請求項2】
前記カッター刃の高さは前記軟質部材の表面高さ位置よりも低く設定され、前記軟質部材が圧縮力を受けたときにカッター刃で所定の切り込みが形成されることを特徴とする請求項1記載のロール。
【請求項3】
剥離シートにラベル基材が仮着された帯状のラベル原反を繰り出す繰出部と、この繰出部からラベル原反を繰り出す途中で前記ラベル基材の表面に印字を行う印字部と、前記ラベル基材の印字面側に保護フイルムを供給するフイルム供給部と、前記保護フイルムをラベル基材に貼付すると同時に当該保護フイルム及びラベル基材に所定のラベル形状に対応した切り込みを形成する機能を備えた貼付部と、前記ラベル原反に繰出力を付与する一方、前記保護フイルム及びラベル原反を繰り出し方向の反対側に所定量逆送して各ラベル間のピッチを短縮させる繰出逆送装置とを備えたことを特徴とするラベル形成装置。
【請求項4】
前記貼付部は、前記切り込みを形成するロールと圧胴とを含み、当該ロールは、ロール本体の外周に軟質部材が備えられるとともに、当該軟質部材の領域内にカッター刃が配置されていることを特徴とする請求項3記載のラベル形成装置。
【請求項5】
前記ロール本体は、断面形状が略C字状若しくは略D字状に設けられ、その円弧面部に前記軟質部材とカッター刃が配置されていることを特徴とする請求項3又は4記載のラベル形成装置。
【請求項6】
前記ロール本体は、軸線方向に沿う平面部と、この平面部に連なる円弧面部とを備えて断面略D字状をなし、前記円弧面部に前記軟質部材とカッター刃が配置されていることを特徴とする請求項3又は4記載のラベル形成装置。
【請求項7】
前記印字部は、ラベル毎に個体識別可能な印字情報を印字することを特徴とする請求項3,4,5又は6記載のラベル形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−192656(P2006−192656A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5421(P2005−5421)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】