説明

ワイヤハーネス取り付け構造およびワイヤハーネス取り付け方法

【課題】ワイヤハーネスを確実に保護しながら案内できるようにする。
【解決手段】ワイヤハーネス取り付け構造は、取り付けられるワイヤハーネスと平行な方向に延在する平行部材と、ワイヤハーネスの上側の面または下側の面に対向するように平行部材から突出する交叉部材と、交叉部材と交叉部材との間、交叉部材と交叉部材との間に形成された空間部とを備える。空間部は、平行部材の同じ側(例えば右側)に形成される。本技術は、例えばPTZカメラを用いた監視用カメラに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術はワイヤハーネス取り付け構造およびワイヤハーネス取り付け方法に関し、特にワイヤハーネスを確実に保護しながら案内するワイヤハーネス取り付け構造およびワイヤハーネス取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器においては信号、電力などを伝達するワイヤハーネスが必要となる。このワイヤハーネスは他の部材と接触すると、断線する恐れがある。そこでワイヤハーネスを取り付けする構造に関して種々提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
例えば監視用カメラとしては、パン、チルト、およびズームが可能なPTZカメラ、またはドーム型カメラが用いられることが多い。ドーム型カメラはパンの回転角度に制限がないため、ロータとステータとの間の配線にはスリップリングが用いられる。これに対してPTZカメラではパン回転可能角度は、通常360度以下に制限されているので、配線にはワイヤハーネスが用いられることが多い。
【0004】
ワイヤハーネスは、ステータから回転軸の内部を通ってロータ側に案内され、さらにロータ側のプレートに沿ってロータの外周方向に案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−72885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
監視用カメラを小型化する場合、高さを低くする必要がある。高さを低くすると、ロータ側のプレートとカメラ本体との間隔が狭くなる。その結果、ワイヤハーネスとカメラ本体とが接触し、ワイヤハーネスの被覆が損傷を受けることになる。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ワイヤハーネスを確実に保護しながら案内できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の一側面は、取り付けられるワイヤハーネスと平行な方向に延在する平行部材と、前記ワイヤハーネスの上側の面または下側の面に対向するように前記平行部材から突出する交叉部材と、前記交叉部材と他の前記交叉部材との間に形成された空間部とを備え、前記空間部は、前記平行部材の同じ側に形成されているワイヤハーネス取り付け構造である。
【0009】
前記交叉部材は、隣接する他の前記交叉部材が対向する前記ワイヤハーネスの面と反対側の面に対向することができる。
【0010】
前記交叉部材の先端には、前記ワイヤハーネスを係止する突起を形成することができる。
【0011】
前記交叉部材のうちの一部は、前記突起を前記平行部材と平行な方向に所定の長さだけ伸張した伸張部材を有し、前記伸張部材の先端には、前記平行部材の方向に突出する突出部材が形成され、前記突出部材は、前記ワイヤハーネスの、前記伸張部材を有する前記交叉部材と反対側の面と対向し、前記突出部材の先端は前記平行部材から離間していることができる。
【0012】
前記突出部材は、前記ワイヤハーネスの曲がる角度が最も大きい位置に形成することができる。
【0013】
前記平行部材は、環状に連結され、前記空間部が前記平行部材の同じ側に形成されているのは、前記環状の範囲内とすることができる。
【0014】
前記平行部材を環状に連結する連結部材は、一端で、他のワイヤハーネスを支持することができる。
【0015】
前記平行部材と前記交叉部材は、ハーネスホルダを構成することができる。
【0016】
前記ハーネスホルダは、前記ハーネスホルダを取り付ける取り付け部材を有することができる。
【0017】
前記取り付け部材は、前記ハーネスホルダを支持する支持部材に形成された係合部に係合する係合部材を有することができる。
【0018】
前記ハーネスホルダは、ステータと、前記ステータに対して相対的に回転する、PTZカメラを有するロータとから構成される監視用カメラに用いられ、前記係合部材は、前記取り付け部材としての前記ロータのプレートに形成された前記係合部に係合することで、前記ハーネスホルダを前記プレートに取り付けることができる。
【0019】
本技術の他の側面は、取り付けられるワイヤハーネスと平行な方向に延在する平行部材と、前記ワイヤハーネスの上側の面または下側の面に対向するように前記平行部材から突出する交叉部材と、前記交叉部材と他の前記交叉部材との間に形成された空間部とを設け、前記空間部は、前記平行部材の同じ側に形成し、前記ワイヤハーネスを前記空間部から挿通して前記交叉部材に支持させるワイヤハーネス取り付け方法である。
【0020】
本技術の一側面のワイヤハーネス取り付け構造においては、取り付けられるワイヤハーネスと平行な方向に延在する平行部材と、ワイヤハーネスの上側の面または下側の面に対向するように平行部材から突出する交叉部材と、交叉部材と他の交叉部材との間に形成された空間部とが備えられ、空間部は、平行部材の同じ側に形成される。
【0021】
本技術の他の側面のワイヤハーネス取り付け構造においては、取り付けられるワイヤハーネスと平行な方向に延在する平行部材と、ワイヤハーネスの上側の面または下側の面に対向するように平行部材から突出する交叉部材と、交叉部材と他の交叉部材との間に形成された空間部とが設けられ、空間部は、平行部材の同じ側に形成され、ワイヤハーネスは空間部から挿通されて交叉部材に支持される。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本技術の一側面によれば、ワイヤハーネスを確実に保護しながら案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態の監視用カメラの原理的構成を示す図である
【図2】図1の破線で示す範囲を拡大して示す図である。
【図3】ハーネスホルダの基本パターンを示す図である。
【図4】ワイヤハーネスが保持されている状態を示す図である。
【図5】ハーネスホルダの基本パターンを示す図である。
【図6】ハーネスホルダの基本パターンを示す図である。
【図7】ハーネスホルダを構成する要素を示す図である。
【図8】要素を組み合わせたハーネスホルダの構成を示す図である。
【図9】ハーネスホルダにワイヤハーネスを取り付けた状態を示す図である。
【図10】ハーネスホルダの機能を説明する図である。
【図11】ハーネスホルダの取り付けを説明する図である。
【図12】ハーネスホルダの連結部材の機能を説明する図である。
【図13】プレートとカメラ本体の間隔を説明する図である。
【図14】ワイヤハーネスの突起部を説明する図である。
【図15】ワイヤハーネスの突起部の機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本実施の形態の監視用カメラの原理的構成を示す図である。この監視用カメラ1は、ステータ11とロータ12により構成されており、ステータ11は図示せぬ天井などに固定される。ステータ11には図示せぬモータが内蔵されている。そのモータの回転が、周囲を円筒部14に囲まれている回転軸13を介してロータ12に伝達されると、ロータ12はステータ11に対して相対的に矢印Aで示す方向に、すなわち紙面と垂直な面内で、約360度の範囲内で回転する。つまりロータ12はパンする。
【0025】
ロータ12にはPTZカメラとしてのカメラ本体16が矢印Bで示される方向に回転自在に支持されている。ロータ12に内蔵されている図示せぬモータの回転が伝達されると、カメラ本体16は矢印Bの方向、すなわちチルト方向に回転する。カメラ本体16の先端にはレンズ17が突出しており、このレンズ17により監視対象の空間が撮影される。上述したようにロータ12がパンすると、カメラ本体16も同時にパンする。また、カメラ本体16がチルトするとレンズ17もチルトする。このようにして空間の任意の位置の被写体を撮影することができる。さらにカメラ本体16に内蔵されている図示せぬモータによりレンズ17はズームされ、任意の画角で被写体を撮影することができる。
【0026】
図2は、図1の破線で示す範囲を拡大して示す図である。図2に示されるように、回転軸13の内部にはワイヤハーネス21が挿通されている。ワイヤハーネス21は、ステータ11とロータ12の間で電力、電気信号等を伝達する。
【0027】
図1に示されるように、ロータ12の最上面のプレート15には、ハーネスホルダ18が取り付けられている。ワイヤハーネス21は、このハーネスホルダ18に取り付けられ、支持され、ロータ12内の所定の位置に案内される。これによりワイヤハーネス21がカメラ本体16と接触し、損傷を受けることが防止される。
【0028】
図3はハーネスホルダ18を構成する基本パターンを示す図である。図3の基本パターン31はアルファベットの文字Eに似た形状をしているので、以下、必要に応じてE字基本パターンとも称する。
【0029】
E字基本パターン31は、ワイヤハーネス21を案内する方向に延在する直線状で板状の部材41と、部材41から略垂直に突出する部材42,43,44を有している。部材42,43,44はそれぞれ、平行な面42A,42B,43A,43B,44A,44Bを有する板状の形状とされ、部材41の同じ側、図3の例においては右側に、突出している。
【0030】
部材42は部材41の図中上側の面41Aに近い位置から突出し、部材42に隣接する部材43は、部材41の図中下側の面41Bに近い位置から突出し、部材43に隣接する部材44は、部材41の上側の面41Aに近い位置から突出している。すなわち、部材42乃至44の突出する位置は、上側と下側に交互に変化する。
【0031】
ワイヤハーネス21は、部材42乃至44の図中下側の面または上側の面と交互に対向するようにE字基本パターン31に取り付けられる。つまり、部材42の下側の面42Bがワイヤハーネス21の上側の面と対向し、部材42に隣接する部材43の上側の面43Aがワイヤハーネス21の下側の面と対向し、部材43に隣接する部材44の下側の面44Bがワイヤハーネス21の上側の面と対向する。
【0032】
図4は、ワイヤハーネス21が保持されている状態を示す図である。図4に示されるように、ワイヤハーネス21を隣接する部材42乃至44に順次絡ませることで、ワイヤハーネス21は上下方向にジグザグに支持され、上下方向への移動が制限される。また、ワイヤハーネス21が挿通される空間部は、3方向が部材により囲まれる。例えば空間部48は、上から見たとき、部材41,42,43により囲まれており、空間部49は、上から見たとき、部材41,44,43により囲まれている。その結果、ワイヤハーネス21が飛び出してしまい、他の部材と接触して損傷を受けるようなことが抑制される。
【0033】
部材42,43,44の先端、つまり、部材41と反対側には、それぞれの面42B,43A,44Bから垂直な方向に(つまりワイヤハーネス21の方向に)突起する突起45,46,47が形成されている。すなわち部材42の突起45は、面42Bから図中下側に、部材43の突起46は、面43Aから図中上側に、そして部材44の突起47は、面44Bからは図中下側に、それぞれ突起している。ワイヤハーネス21が部材41から離れる方向に移動すると、その側端部が突起45乃至47に当接するので、ワイヤハーネス21がE字基本パターン31から離脱することが抑制される。
【0034】
このように、ワイヤハーネス21の突起45乃至47の方向(図3における右方向)への離脱は、突起45乃至47により阻止されるが、突起45乃至47と反対方向(図3における左方向)への離脱は、部材41により阻止されることはもちろんである。
【0035】
以下、部材41のように、ワイヤハーネス21の長手方向(図3における左下から右上方向)と平行な方向に延在する部材を平行部材、部材42乃至44のように、ワイヤハーネス21の長手方向と交叉する方向(図3における左上から右下方向)に延在する部材を交叉部材とも称する。
【0036】
部材42と部材43の間には空間部48が形成され、部材43と部材44の間には空間部49が形成されている。空間部48,49は、ワイヤハーネス21を挿通する機能を有する。空間部48,49も部材41の同じ側に形成されている。従ってワイヤハーネス21をE字基本パターン31に取り付けるとき、ワイヤハーネス21を空間部48,49から部材41に沿った方向に容易に配置することができる。
【0037】
なお、E字基本パターン31は、部材42乃至44を突出させる方向を右側ではなく左側にしたり、部材42ないし44を部材41から突出させる上側または下側の位置を逆にすることもできる。
【0038】
図5はハーネスホルダ18を構成する他の基本パターンを示す図である。図5の基本パターン71はアルファベットの文字Gに似た形状をしているので、以下、必要に応じてG字基本パターンとも称する。
【0039】
図5に示されるように、G字基本パターン71は、ワイヤハーネス21を案内する方向に延在する直線状の板状の部材81と、部材81から略垂直に突出する部材82,84を有している。部材82,84はそれぞれ、平行な面82A,82B,84A,84Bを有する板状の形状とされ、部材81の同じ側、図5の例においては右側に、突出している。
【0040】
部材82は部材81の図中下側の面81Bに近い位置から突出し、その先端には図中上方向に突起する突起85が形成されている。突起85は、部材81と平行な方向に所定の長さだけ伸張部材88により伸張され、その先端の図中上側には、相互に平行な面83Aと面83Bを有する部材83が部材81の方向に突出するように形成されている。部材83の先端は、部材81と離間しており、部材83の先端と部材81の間には、空間部89が形成されている。伸張部材88の一端は、部材83の突起86を形成している。
【0041】
部材83は、部材81から突出している訳ではないが、位置的には、部材81の上側の面81Aに近い位置から突出していることになる。従って、部材82と部材83は、部材81の上側と下側から交互に突出する。部材84は部材83と同様に、部材81の上側の面81Aに近い位置から突出している。
【0042】
ワイヤハーネス21は、部材82,83の図中上側の面または下側の面と交互に対向するようにG字基本パターン71に取り付けられる。つまり、部材82の上側の面82Aがワイヤハーネス21の下側の面と対向し、部材83の下側の面83Bがワイヤハーネス21の上側の面、つまり部材82が対向する下側の面の反対側の上側の面と対向する。
【0043】
このようにワイヤハーネス21は部材82,83により上下方向にジグザグに支持されるので、上下方向への移動が制限される。
【0044】
ただし、部材84はその下側の面84Bがワイヤハーネス21の上側の面と対向する。
【0045】
部材82と部材83の間には空間部90が形成され、部材83と部材84の間には空間部91が形成されている。空間部90,91も部材81の同じ側、図5の例においては右側に、形成されている。そして空間部90,91は、空間部89により連通している。空間部89乃至91は、ワイヤハーネス21を挿通する機能を有する。ワイヤハーネス21をG字基本パターン71に取り付けるとき、ワイヤハーネス21を空間部89から部材83の下側に配置することで、ワイヤハーネス21を部材81に沿った方向に容易に配置することができる。
【0046】
部材82,83,84の先端には、それぞれの面82A,83B,84Bから垂直な方向に(つまりワイヤハーネス21の方向に)突起する突起する突起85,86,87が形成されている。すなわち部材82の面82Aから図中上側に、部材83の面83Bから図中下側に、そして部材84の面84Bから図中下側に、それぞれ突起85,86,87が突起している。
【0047】
ワイヤハーネス21が部材81から離れる方向に移動すると、その側端部が突起85乃至87に当接するので、ワイヤハーネス21がG字基本パターン71から離脱することが抑制される。特に、突起85と突起86は伸張部材88により連結されているので、空間部90に位置するワイヤハーネス21を部材81から離間する方向に離脱することはより困難になる。その結果、より確実に、ワイヤハーネス21を支持することが可能になる。
【0048】
図5において、部材81は平行部材、部材82,84は交叉部材である。部材83も、ワイヤハーネス21の長手方向と交叉する方向(図5における右下から左上方向)に延在する部材であるという意味において交叉部材である。しかし部材83は、平行部材81から突出していないという意味で、部材82,84とは異なる。そこで、伸張部材88の先端の突起86から平行部材81の方向に突出し、先端が平行部材81から離間するように形成された部材83を、突出部材とも称する。
【0049】
なお、G字基本パターン71も、E字基本パターン31と同様に、部材82乃至84を突出させる方向を右側ではなく左側にしたり、部材82ないし84を部材81から突出させる上側または下側の位置を逆にすることができる。
【0050】
図6はG字基本パターン71の変形例の構成を表している。図5のG字基本パターン71は、部材84が部材83と同様に、面81A側から突出するように形成されていた。これに対して図6のG字基本パターン71においては、部材84が面81B側から突出するように形成されている。その結果、部材84の上側の面84Aがワイヤハーネス21の下側の面と対向する。これにより、図3のE字基本パターン31と同様に、ワイヤハーネス21を上下方向に順番にジグザグに支持することができる。
【0051】
本技術では、E字基本パターン31同士、G字基本パターン71同士、あるいはE字基本パターン31とG字基本パターン71とを組み合わせることで、ハーネスホルダが形成されるが、それぞれの基本パターンの3つの交叉部材のすべてを用いる必要はない。一方の基本パターンの交叉部材は、他方の基本パターンの交叉部材で兼用することができる。また、交叉部材の突出する位置も、組み合わせに応じて適宜変更することができる。
【0052】
図7は、E字基本パターン31同士、G字基本パターン71同士、あるいはE字基本パターン31とG字基本パターン71の組み合わせにより要素を構成し、その要素をさらに組み合わせてハーネスホルダを構成する場合のその要素を表している。
【0053】
この例では、要素121乃至125が用意されている。要素121は、それぞれE字基本パターン31からなる2つのパターン131,132と、パターン133を連結して構成されている。
【0054】
パターン131は、平行部材137から突出する交叉部材135,136と、交叉部材135,136の間に形成された空間部134により構成されている。パターン132は、平行部材141から突出する交叉部材138,140と、交叉部材138,140の間に形成された空間部139により構成されている。平行部材141から図中右側に突出するように、かつ交叉部材136と交叉部材138の結合部から、図中左側に突出するように、取り付け部材145が形成されている。
【0055】
パターン133は、略円板状の部材144により構成され、部材144の略中央には4角形の空間部143が形成され、この空間部143は空間部142により外部と連通している。空間部142,139,134は、同じ側、図の左側に形成されている。
【0056】
要素122は、E字基本パターン31からなるパターン151と、G字基本パターン71からなるパターン152を連結して構成されている。パターン151は、平行部材156、平行部材156から図中上方向に突出する交叉部材154,155、および交叉部材154,155の間に形成された空間部153により構成されている。
【0057】
パターン152は、平行部材163から図中上方向に突出する交叉部材164,157、交叉部材164から平行部材163と平行な方向に伸張する伸張部材158、伸張部材158から平行部材163の方向に突出する突出部材159により構成されている。突出部材159の先端と平行部材163の間には、空間部160が形成されている。交叉部材157と交叉部材159の間には、空間部161が形成されている。交叉部材164と交叉部材159の間には、空間部162が形成されている。空間部162は空間部160を介して、空間部161と連通している。
【0058】
要素123は、平行部材176、平行部材176から図中右上方向に突出する交叉部材171,173,175、交叉部材171,173の間に形成された空間部172、並びに交叉部材173,175の間に形成された空間部174により構成されている。
【0059】
要素124は、平行部材186、平行部材186から図中下方向に突出する交叉部材181,183,185、交叉部材181,183の間に形成された空間部182、並びに交叉部材183,185の間に形成された空間部184により構成されている。
【0060】
要素125は、2つの直線状の部材191,192を略垂直に連結して、T字状に構成されている。要素125は、各部材を環状に連結する連結部材として機能する。連結部材はこの他、十字状、L字状に構成することもできる。このように部材を直交させることで、強度を確保することができる。
【0061】
図8は、図7に示した要素121乃至125を組み合わせ、一体化して形成したハーネスホルダ18の構成を示す図である。図8に示されるように、要素121の交叉部材135と要素122の平行部材156が結合され、要素122の交叉部材164と要素123の交叉部材171が結合されている。さらに、要素123の平行部材176と要素125の部材192とが結合され、要素125の部材191と要素121の部材144とが結合されている。このように、要素121,122,123,125が環状に接続されている。つまり要素121,122,123,125が環200を形成している。その結果、ハーネスホルダ18の強度が確保されている。
【0062】
さらに環状に接続された要素121,122,123,125に形成されている空間部142,139,134,153,161,172,174は、全て環の外側を向くように形成されている。
【0063】
さらに要素123の交叉部材175と要素124の交叉部材181が結合されている。
【0064】
図9は、ハーネスホルダ18にワイヤハーネス21を取り付けた状態を示す図である。図8に示されるようにして要素121乃至125を結合して形成されたハーネスホルダ18には、図9に示されるように、ワイヤハーネス21が取り付けられる。
【0065】
ワイヤハーネス21は、図9に示されるように、空間部から挿通して交叉部材に支持させる。すなわち、ワイヤハーネス21は、空間部143を紙面の下から上に抜け、空間部139を上から下に抜け、空間部134を下から上に抜け、空間部153を上から下に抜け、空間部162を下から上に抜け、空間部172を上から下に抜け、空間部174を下から上に抜けている。
【0066】
ワイヤハーネス21は図9の左上の位置で略直角に曲げられている。ワイヤハーネス21は弾性を有しているので、曲げられた部分においては直線に戻ろうとする力が作用する。このため、この曲がり角付近において図3に示されるようなE字基本パターン31を用いると、その突起45乃至47だけでは係止しきれずに、ワイヤハーネス21が平行部材41から離脱してしまうおそれがある。そこで、図9の例に示されるように、ワイヤハーネス21の曲がる角度が最も大きい位置では、図5または図6に示されるようなG字基本パターン71を用いるのがよい。これにより伸張部材88によりワイヤハーネス21の離脱を確実に防止することができる。
【0067】
なお、要素122のG字基本パターン71としてのパターン152は、図5に示されるように構成されている。その結果、ワイヤハーネス21は空間部161に挿通されていない。パターン152が、図6に示されるように構成されている場合には、ワイヤハーネス21は空間部161を下から上に抜け、空間部162を上から下に抜け、空間部172を下から上に抜け、空間部174を上から下に抜けることになる。
【0068】
以上のように、環状に配置された要素121乃至123においては、空間部142,139,134,153,161,172,174は、全て環200の外側を向くように形成されている。従って、ワイヤハーネス21を各空間部に取り付けるときの操作の方向が、環200の外側から内側に向かう方向になるので、空間部を内側にだけ設ける場合に比べて、ワイヤハーネス21の取り付けの作業効率が良好となる。また、外側と内側の両方に空間部を形成する場合に比べて、強度を確保することができる。
【0069】
空間部を環200の外側だけに形成すると、ワイヤハーネス21が環200の外側に外れやすくなるが、E字基本パターン31だけでなく、G字基本パターン71を加えることで、ワイヤハーネス21が環の外側に外れるのを抑制することができる。
【0070】
図9に示されるように、空間部174で下から上に抜けたワイヤハーネス21は、さらに要素124の空間部182で上から下に抜け、空間部184で下から上に抜ける。
【0071】
このように、ワイヤハーネス21をハーネスホルダ18に保持させると、ワイヤハーネス21をハーネスホルダ18に保持させた状態でプレート15に取り付けることができるので、ハーネスホルダ18を用いずに、直接ワイヤハーネス21をプレート15に取り付ける場合に比べて、取り付け作業が容易になる。
【0072】
図10は、ハーネスホルダ18の機能を説明する図である。図10に示されるように、円板状の部材144は、その中心が回転軸13と同軸になるように、回転軸13の出口を塞ぐように配置される。
【0073】
図11は、ハーネスホルダ18の取り付けを説明する図である。図10の取り付け部材145のA−A’線の断面を表すと、図11に示されるようになる。すなわち、取り付け部材145は、左右に水平に延びた部分の端部から、垂直に下方向に延びる垂直部211,213を有している。垂直部211,213の先端には、係合部材としての爪212,214が形成されている。ロータ12の最上面のプレート15は、ハーネスホルダ18を取り付け、支持する支持部材を構成し、このプレート15には、係合部としての孔221,222が形成されている。ハーネスホルダ18をプレート15に押圧すると、爪212,214が、それぞれ孔221,222に係合する。これによりハーネスホルダ18がプレート15に取り付けられる。
【0074】
回転軸13の内部を挿通してきたワイヤハーネス21は、円板状の部材144の中心に形成された空間部143からロータ12の内部に案内される。そしてワイヤハーネス21は、要素121乃至124により支持、案内される。
【0075】
図12は、ハーネスホルダ18の連結部材の機能を説明する図であり、図10の破線で示す範囲を拡大して示している。図10の部材191のB−B’線の断面を表すと、図12に示されるようになる。部材191には所定の位置に突部231が形成され、突部231の裏側には、凹部232が形成されている。凹部232は内部に他のワイヤハーネス201を収容し、支持している。
【0076】
図13は、プレート15とカメラ本体16の間隔を説明する図である。プレート15に取り付けられているハーネスホルダ18は、ワイヤハーネス21を支持し、案内している。その結果、ワイヤハーネス21が垂れ下がり、カメラ本体16と接触するおそれが少なくなるので、監視用カメラを小型化し、プレート15とカメラ本体16との間隔Dを小さくしても、ワイヤハーネス21を確実に保護しながら案内することができる。
【0077】
図14は、ワイヤハーネス21の突起部263を説明する図であり、図15は、ワイヤハーネス21の突起部263の機能を説明する図である。
【0078】
これらの図に示されるように、ワイヤハーネス21の両端には、コネクタ261,262が接続され、それぞれステータ11内の対応する部品およびロータ12内の対応する部品に接続される。ワイヤハーネス21の途中には、突起部263が形成されている。突起部263は、樹脂などで構成したり、テープを巻回することで形成される。
【0079】
突起部263の直径は、図9および図10に示す円板状の部材144の中心の空間部143の径より大きくなるように形成される。その結果、図15に示されるように、ワイヤハーネス21が自重により、ロータ12内にずり下がろうとしても、ワイヤハーネス21に取り付けた突起部263が円板状の部材144に当接して、ずり下がりが防止される。
【0080】
以上においては、ハーネスホルダ18をプレート15に取り付けるようにしたが、プレート15にハーネスホルダ18を一体的に形成することもできる。
【0081】
なお、本技術は、監視用カメラの他、照明器具、その他の電子機器に応用することが可能である。
【0082】
また、以上の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0083】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
取り付けられるワイヤハーネスと平行な方向に延在する平行部材と、
前記ワイヤハーネスの上側の面または下側の面に対向するように前記平行部材から突出する交叉部材と、
前記交叉部材と他の前記交叉部材との間に形成された空間部と
を備え、
前記空間部は、前記平行部材の同じ側に形成されている
ワイヤハーネス取り付け構造。
(2)
前記交叉部材は、隣接する他の前記交叉部材が対向する前記ワイヤハーネスの面と反対側の面に対向する
前記(1)に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
(3)
前記交叉部材の先端には、前記ワイヤハーネスを係止する突起が形成されている
前記(1)または(2)に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
(4)
前記交叉部材のうちの一部は、前記突起を前記平行部材と平行な方向に所定の長さだけ伸張した伸張部材を有し、
前記伸張部材の先端には、前記平行部材の方向に突出する突出部材が形成され、
前記突出部材は、前記ワイヤハーネスの、前記伸張部材を有する前記交叉部材と反対側の面と対向し、
前記突出部材の先端は前記平行部材から離間している
前記(3)に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
(5)
前記突出部材は、前記ワイヤハーネスの曲がる角度が最も大きい位置に形成されている
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のワイヤハーネス取り付け構造。
(6)
前記平行部材は、環状に連結され、
前記空間部が前記平行部材の同じ側に形成されているのは、前記環状の範囲内とする
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のワイヤハーネス取り付け構造。
(7)
前記平行部材を環状に連結する連結部材は、一端で、他のワイヤハーネスを支持している
前記(6)に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
(8)
前記平行部材と前記交叉部材は、ハーネスホルダを構成している
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載のワイヤハーネス取り付け構造。
(9)
前記ハーネスホルダは、前記ハーネスホルダを取り付ける取り付け部材を有する
前記(8)に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
(10)
前記取り付け部材は、前記ハーネスホルダを支持する支持部材に形成された係合部に係合する係合部材を有する
前記(9)に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
(11)
前記ハーネスホルダは、ステータと、前記ステータに対して相対的に回転する、PTZカメラを有するロータとから構成される監視用カメラに用いられ、
前記係合部材は、前記取り付け部材としての前記ロータのプレートに形成された前記係合部に係合することで、前記ハーネスホルダを前記プレートに取り付ける
前記(10)に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
(12)
取り付けられるワイヤハーネスと平行な方向に延在する平行部材と、
前記ワイヤハーネスの上側の面または下側の面に対向するように前記平行部材から突出する交叉部材と、
前記交叉部材と他の前記交叉部材との間に形成された空間部と
を設け、
前記空間部は、前記平行部材の同じ側に形成し、
前記ワイヤハーネスを前記空間部から挿通して前記交叉部材に支持させる
ワイヤハーネス取り付け方法。
【符号の説明】
【0084】
1 監視用カメラ, 11 ステータ, 12 ロータ, 13 回転軸, 15 プレート, 16 カメラ本体, 17 レンズ, 18 ハーネスホルダ, 21 ワイヤハーネス, 31 E字基本パターン, 41乃至44 部材, 45乃至47 突起, 48,49 空間部, 71 G字基本パターン, 81乃至84 部材, 85乃至87 突起, 88 伸張部材, 89乃至91 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付けられるワイヤハーネスと平行な方向に延在する平行部材と、
前記ワイヤハーネスの上側の面または下側の面に対向するように前記平行部材から突出する交叉部材と、
前記交叉部材と他の前記交叉部材との間に形成された空間部と
を備え、
前記空間部は、前記平行部材の同じ側に形成されている
ワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項2】
前記交叉部材は、隣接する他の前記交叉部材が対向する前記ワイヤハーネスの面と反対側の面に対向する
請求項1に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項3】
前記交叉部材の先端には、前記ワイヤハーネスを係止する突起が形成されている
請求項2に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項4】
前記交叉部材のうちの一部は、前記突起を前記平行部材と平行な方向に所定の長さだけ伸張した伸張部材を有し、
前記伸張部材の先端には、前記平行部材の方向に突出する突出部材が形成され、
前記突出部材は、前記ワイヤハーネスの、前記伸張部材を有する前記交叉部材と反対側の面と対向し、
前記突出部材の先端は前記平行部材から離間している
請求項3に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項5】
前記突出部材は、前記ワイヤハーネスの曲がる角度が最も大きい位置に形成されている
請求項4に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項6】
前記平行部材は、環状に連結され、
前記空間部が前記平行部材の同じ側に形成されているのは、前記環状の範囲内とする
請求項4に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項7】
前記平行部材を環状に連結する連結部材は、一端で、他のワイヤハーネスを支持している
請求項6に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項8】
前記平行部材と前記交叉部材は、ハーネスホルダを構成している
請求項4に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項9】
前記ハーネスホルダは、前記ハーネスホルダを取り付ける取り付け部材を有する
請求項8に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項10】
前記取り付け部材は、前記ハーネスホルダを支持する支持部材に形成された係合部に係合する係合部材を有する
請求項9に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項11】
前記ハーネスホルダは、ステータと、前記ステータに対して相対的に回転する、PTZカメラを有するロータとから構成される監視用カメラに用いられ、
前記係合部材は、前記取り付け部材としての前記ロータのプレートに形成された前記係合部に係合することで、前記ハーネスホルダを前記プレートに取り付ける
請求項10に記載のワイヤハーネス取り付け構造。
【請求項12】
取り付けられるワイヤハーネスと平行な方向に延在する平行部材と、
前記ワイヤハーネスの上側の面または下側の面に対向するように前記平行部材から突出する交叉部材と、
前記交叉部材と他の前記交叉部材との間に形成された空間部と
を設け、
前記空間部は、前記平行部材の同じ側に形成し、
前記ワイヤハーネスを前記空間部から挿通して前記交叉部材に支持させる
ワイヤハーネス取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−178956(P2012−178956A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41803(P2011−41803)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】