説明

ワンコーティングまたはスリーコーティング層にインク顔料を塗布してコーティング層を形成した器具およびその形成方法

【課題】 耐傷性および耐摩耗性を向上し、不良率の減少により生産性を向上させ、調理性能を向上させ、美麗な外観を付与した、ワンコーティングまたはスリーコーティング層にインク顔料を塗布してコーティング層を形成した器具およびその形成方法を提供する。
【解決手段】 セラミック塗料が表面に塗布されてセラミックコーティング層のワンコーティング層が形成された器具、またはプライマーコート、ミッドコートおよびトップコートが表面に順に積層されてスリーコーティング層が形成された器具において、前記ワンコーティング層または前記トップコート上にインク顔料を噴霧器で一回以上噴射して前記インク顔料を斑点状に塗布し、前記セラミックコーティング層のワンコーティング層または前記トップコートと前記インク顔料の不連続コーティング層が表面で不規則な凹凸状に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワンコーティング層またはスリーコーティング層の表面にインク顔料を噴射して斑点状のコーティング層を形成した器具、および前記器具に塗布されるコーティング層の形成方法に係り、より詳しくは、セラミック塗料または耐熱塗料またはフッ素樹脂塗料のいずれ一つを器具の表面に塗布して形成されるワンコーティング層上に、インク顔料を斑点状に塗布して不規則な凹凸状の不連続コーティング層を形成した器具、および器具上に不連続コーティング層を形成するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表面をコートする必要がある一般的な器具の殆どはアルミニウムのような金属材からなる。以前は金属材のみからなった器具を使用していたが、このような金属材のみの器具は、厨房用器具の場合、飲食物のようなものを調理するとき、またはその以外の場合に、前記器具の表面が掻かれるなどの問題が発生する。これを防止するため、コーティング液を表面に塗布してコーティング層を前記表面に形成した器具が開発されて以来、多様な種類のコーティング液を塗布してなった多様な形態のコーティング層が表面に形成された器具が登場することになった。
【0003】
そのなかでも、器具の表面にプライマーコート(primer coat)、ミッドコート(mid coat)およびトップコート(top coat)が順に積層されてコーティング層を形成している、いわゆるスリーコーティング(three coating)が普遍的に器具に適用されている。図3に示すように、最近では、一歩進んで、器具10に形成されたプライマーコート20またはミッドコート30が部分的に乾燥しているかまたは湿った状態で、相違したスパッターインクを塗布して、連続的な小さな球形体からなる不連続コート60を形成し、その上にトップコート40を塗布することにより、前記不連続コートがスリーコーティング層50を多色で多様に表現するとともに、その自体が少し突出して、器具の表面が掻かれることも防止するコーティング層が開発された。このような器具は厨房器具に代表的に適用されている。
【0004】
しかし、このような形態のコーティングにおいて、スリーコーティング層に不連続コートを適用する主目的は、反射性顔料によっては容易には得られない色表現が可能な器具を提供することにあるので、前記のように、不連続コートがプライマーコートとミッドコートとの間に、またはミッドコードとトップコーとの間に塗布される形態においては、前記トップコートが不連続コートを完全に覆ってしまうから、表面のコーティング層がほぼ平坦な面をなすため、耐傷性をはっきりと発揮することができない問題があった。
【0005】
また、前記のような方式でスリーコーティング層に不連続コートを形成すると、図3に示すように、例えば厨房器具の場合、あまり広くない表面積(飲食物が触れる部位)を形成することになるので、飲食物を調理する時、熱伝逹が均一でなくなり、飲食物が正常に調理されない問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記のようなコーティング層が形成された器具の問題点を改善するためになされたもので、器具表面の耐傷性および耐磨耗性をより確実に発揮し、熱伝逹が均一になるようにし、乱反射による光沢效果をより確実に発揮するように、セラミック塗料または耐熱塗料またはフッ素樹脂塗料のいずれか一つを塗布し、すなわち器具の表面に形成されるワンコーティング層上にインク顔料を斑点状に塗布して不連続コーティング層を形成するか、あるいはスリーコーティング層のトップコート上に、またはトップコートがない場合は、ミッドコート上にインク顔料を斑点状に塗布して不規則的な凹凸状の不連続コーティング層を前記トップコートまたはミッドコートとともに表面のコーティング層として形成した器具、および特定の組成および組成比率を有するプライマーコート、ミッドコートおよびトップコートでスリーコーティング層を構成し、特定の組成と組成比率を有するインク顔料をワンコーティング層上に、あるいはトップコート、またはトップコートがない場合はミッドコート上に塗布してコーティング層を形成する方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、セラミック塗料が表面に塗布されてセラミックコーティング層のワンコーティング層が形成された器具、またはプライマーコート、ミッドコートおよびトップコートが表面に順に積層されてスリーコーティング層が形成された器具において、前記ワンコーティング層または前記トップコート上にインク顔料を噴霧器で一回以上噴射して前記インク顔料を斑点状に塗布し、前記セラミックコーティング層のワンコーティング層または前記トップコートと前記インク顔料の不連続コーティング層が表面で不規則な凹凸状に形成されたことを特徴とする、表面層にインク顔料が塗布されてなる器具を提供する。
【0008】
前記スリーコーティング層において、前記トップコートなしに、前記ミッドコート上に直接前記不連続コーティング層を形成することもできる。
【0009】
前記スリーコーティング層において、前記ミッドコートなしに不連続コーティング層を形成することもできる。
【0010】
前記セラミック塗料は、アルコール、SiO、酸、シラン、およびカーボンまたは無機顔料分散液の組成を含む。
【0011】
前記セラミック塗料の組成比率は、アルコール30重量%、SiO10重量%、酸10重量%、シラン20重量%、およびカーボンまたは無機顔料分散液30重量%であってもよい。
【0012】
前記ワンコーティング層または前記スリーコーティング層は、耐熱塗料が塗布されて形成された耐熱コーティング層であってもよい。
【0013】
前記耐熱塗料は、シリコン複合樹脂、複合有機溶剤、カーボンまたは無機顔料分散液、および複合充填材の組成を含む。
【0014】
前記耐熱塗料を構成している各組成の比率は、シリコン複合樹脂35重量%、複合有機溶剤40重量%、カーボンまたは無機顔料分散液5重量%、および複合充填材20重量%であってもよい。
【0015】
前記ワンコーティング層はフッ素樹脂塗料で塗布されて形成されたフッ素樹脂コーティング層であってもよい。
【0016】
前記フッ素樹脂塗料は、ポリアミドnmp混合物、水、PTFE分散液、カーボンまたは無機顔料分散液、およびシリカの組成を含む。
【0017】
前記フッ素樹脂塗料を構成している各組成の比率は、ポリアミドnmp混合物16.8重量%、水4.1重量%、PTFE分散液67.2重量%、カーボンまたは無機顔料分散液3.5重量%、およびシリカ8.4重量%であってもよい。
【0018】
前記ワンコーティング層または前記スリーコーティング層の表面に塗布されるインク顔料は相違した色相のインク顔料であってもよい。
【0019】
前記コーティング層に塗布される前記インク顔料のコーティング液は、PTFE分散液、水、芳香族炭化水素、トリエチルアミン、オレイン酸、界面活性剤、および無機分散液の組成を含む。
【0020】
前記インク顔料のコーティング液を構成している各組成の比率は、PTFE分散液86.8重量%、水3.38重量%、芳香族炭化水素0.56重量%、トリエチルアミン0.17重量%、オレイン酸0.17重量%、界面活性剤0.12重量%、および無機分散液8.8重量%であってもよい。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明は、コーティング対象器具の表面をサンドブラスティングで処理して表面積を増大させる段階、セラミック塗料を15〜25μm厚さに前記器具の表面に塗布してセラミックコーティング層のワンコーティング層を形成するか、あるいはプライマー塗布液を10〜12μm厚さに前記器具の表面に塗布してプライマーコートを形成した後、200℃で15分間乾燥し、ミッド塗布液を10〜12μm厚さに前記プライマーコート上に塗布してミッドコートを形成した後、300〜350℃で15分間乾燥する段階及び、前記セラミックコーティング層のワンコーティング層、または乾燥してミッドコート上にインク顔料を噴射して不規則な凹凸状の不連続コーティング層を組成した後、405〜415℃で20分間熱処理する段階を含んでなることを特徴とする器具の表面コーティング方法を提供する。
【0022】
前記セラミックコーティング層のワンコーティング層を形成した後、200〜250℃で10〜15分間焼付けする段階をさらに含むことができる。
【0023】
前記方法は、前記トップコートが湿った状態であってもよい。
【0024】
前記方法は、前記ミッドコードが湿った状態で、前記ミッドコート上にトップ塗布液を8〜12μm厚さに塗布してトップコートを形成し、300〜350℃で15分間乾燥し、乾燥した前記トップコート上に不連続コーティング層を形成することができる。
【0025】
前記方法は、前記ミッドコートを形成せずに、前記プライマーコートを形成する段階及びトップコートを形成する段階のみでなることもできる。
【0026】
前記方法は、前記トップコートが湿った状態であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
以上のような目的および構成を有する本発明によるワンコーティング層またはスリーコーティング層にインク顔料を塗布した器具、および器具のコーティング層形成方法によれば、スリーコーティング層のトップコート上に噴射されて斑点状に塗布されたインク顔料の不連続コーティング層が上向きに充分に突出しているので、例えば調理器具に適用する場合、スクラッチ(scratch)現象に耐える耐傷性および耐磨耗性が向上し、これにより疵が発生しなくなり、よって使用後の器具の掃除も容易になる。
【0028】
また、前記のようなインク顔料の不連続コーティング層によって、ワンコーティング層またはスリーコーティング層を含んだ全体コーティング層の厚さが20〜40μm以上となって耐久性が向上することにより、不良率が減少し、これにより、生産性が向上する利点がある。
【0029】
特に、調理器具の場合、飲食物が触れる表面積が、他の器具に比べて相対的に増加して熱伝逹が均一になるので、飲食物を均等に煮ておいしく調理することができる效果もある。
【0030】
さらに、セラミックコーティング層または耐熱コーティング層またはフッ素樹脂コーティング層のワンコーティング層、またはトップコート上で直接反射する不連続コーティング層による光沢效果によって、デザインが高級で美麗な器具を提供することができる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0032】
図1および図2は本発明による器具を示す斜視図および表面コーティング層の拡大断面図である。
【0033】
図1に示すように、セラミック塗料を器具1の表面に塗布してセラミックコーティング層のワンコーティング層100を形成し、前記セラミックコーティング層のワンコーティング層100上に、セラミック塗料などの、前記ワンコーティング層と同種または異種のインク顔料を噴射器で斑点状に塗布して、前記インク顔料によって不規則な模様の凹凸状の不連続コーティング層6をセラミックコーティング層のワンコーティング層とともに形成する。
【0034】
一方、図2に示すように、器具1の表面にプライマーコート201、ミットコート202およびトップコート203が順に塗布され積層されてスリーコーティング200層が形成され、前記スリーコーティング層の最上部であるトップコート203上に噴射器でインク顔料を斑点状に塗布して、前記インク顔料でトップコートと共に不規則な模様の凹凸状の不連続コーティング層を形成する。
【0035】
前記セラミックコーティング層のワンコーティング層100上に、またはスリーコーティング層200のトップコート203上に斑点状に形成されたインク顔料の不連続コーティング層が上向きに突出している。図面の拡大断面図は、セラミックコーティング層のワンコーティング層、またはスリーコーティング層を含んだインク顔料の不連続コーティング層を拡大して示したものであるが、実際には前記セラミックコーティング層のコート厚さと突出するインク顔料の不連続コーティング層厚さの和は10μm前後となる。
【0036】
ここで、前記不連続コーティング層は、プライマーコとミッドコートからなったコーティング層の前記ミッドコート上に形成されるか、あるいはプライマーコートとトップコートからなったコーティング層の前記トップコート上に形成することもできる。
【0037】
一方、前記器具の面にセラミック塗料を塗布して形成されるセラミックコーティング層のワンコーティング層は必ずしも前記セラミックコーティング層に限定されるものではなく、例えば耐熱塗料を塗布して形成される耐熱コーティング層のワンコーティング層、またはフッ素樹脂塗料を塗布して形成されるフッ素樹脂コーティング層のワンコーティング層にして、前記耐熱コーティング層またはフッ素樹脂コーティング層のワンコーティング層上に噴射器により噴射されて斑点状に定着したインク顔料の不連続コーティング層が上向きに突出するようにすることもできる。
【0038】
このように、インク顔料をセラミックコーティング層または耐熱コーティング層またはフッ素樹脂コーティング層のいずれか一つであるワンコーティング層上に塗布して不連続コーティング層を形成するか、またはスリーコーティング層のトップコート上に塗布して不連続コーティング層を形成すると、全体厚さが20〜30μm以上に厚くなるので、ワンコーティング層、またはスリーコーティング層とインク顔料がコーティング層を形成することにより、耐久性が向上し、不良率が減少し、よって生産性が向上することになる。
【0039】
前記セラミックコーティング層のワンコーティング層を形成するために塗布されるセラミック塗料は、アルコール30重量%、SiO10重量%、酸10重量%、シラン20重量%、およびカーボンまたは無機顔料分散液30重量%の組成および組成比率を有し、耐熱コーティング層のワンコーティング層を形成するために塗布される耐熱塗料は、シリコン複合数35重量%、複合有機溶剤40重量%、カーボンまたは無機顔料分散液5重量%、および複合充填材充填材20重量%の組成および組成比率を有し、フッ素樹脂コーティング層のワンコーティング層を形成するために塗布されるフッ素樹脂塗料は、ポリアミドnmp混合物16.8重量%、水4.1重量%、PTFE分散液67.2重量%、カーボンまたは無機顔料分散液3.5重量%、およびシリカ8.4重量%の組成および組成比率を有する。
【0040】
また、前記セラミックコーティング層または耐熱コーティング層またはフッ素樹脂コーティング層の一つであるワンコーティング層上に分散されて斑点状に塗布されるインク顔料としては、前記ワンコーティング層を形成するために塗布されるセラミック塗料または耐熱塗料またはフッ素樹脂塗料と同一種類ないし類似の色相を有する顔料を使用するが、必ずしもこれに限定されるものではなく、セラミック塗料または耐熱塗料またはフッ素樹脂塗料と違う種類または色相の顔料を使うこともでき、必要によって、多数回インク顔料を塗布する場合、塗布されるインク顔料ごとに違う色相を持たせることにより、斑点状の模様が単色でない多様な色相を有するようにすることもできる。
【0041】
前記スリーコーティング層において、プライマーコートのコーティング液は、ポリアミドのnmp溶解混合物16.8重量%、水4.1重量%、PTFE分散液67.2重量%、カーボンブラック分散液3.5重量%、およびシリカ分散液8.4重量%の組成および組成比率を有し、ミッドコートのコーティング液は、PTFE分散液81.5重量%、水9.22重量%、芳香族炭化水素3.14重量%、トリエチルアミン0.46重量%、オレイン酸0.46重量%、界面活性剤0.33重量%、カーボンブラック分散液3.35重量%、および雲母1.54重量%の組成および組成比率を有し、トップコートのコーティング液は、PTFE分散液89.25重量%、水6.53重量%、芳香族炭化水素1.09重量%、トリエチルアミン0.32重量%、オレイン酸0.32重量%、界面活性剤0.25重量%、および雲母2.24重量%の組成および組成比率を有する。
【0042】
また、前記スリーコーティング層のトップコート上に分散されて斑点状に塗布されるインク顔料は、PTFE分散液86.8重量%、水3.38重量%、芳香族炭化水素0.56重量%、トリエチルアミン0.17重量%、オレイン酸0.17重量%、界面活性剤0.12重量%、および無機分散液8.8重量%の組成および組成比率を有する。
【0043】
前記のような組成および組成比率を有するセラミック塗料または耐熱塗料またはフッ素樹脂塗料のいずれ一つで塗布されて形成されるセラミックコーティング層または耐熱コーティング層またはフッ素樹脂コーティング層の一つであるワンコーティング層上に、同種または異種のインク顔料で器具の表面にコーティング層を形成する方法を説明すれば次のようである。
【0044】
まず、第1段階で、コーティング対象器具の表面に、微細なエンボスを無数に形成するサンドブラスティング(sand blasting)処理を行うことでその表面積を増大させ、第2段階で、前記サンドブラスティング処理された器具の表面をきれいに洗浄し、第3段階で、サンドブラスティング処理されて洗浄された器具の表面にワンコーティング層、またはスリーコーティング層を形成する。すなわち、セラミック塗料または耐熱塗料またはフッ素樹脂塗料の内から選択した一つの塗料を15〜25μm厚さに塗布してセラミックコーティング層または耐熱コーティング層またはフッ素樹脂コーティング層の一つであるワンコーティング層を形成した後、100〜150℃で10〜15分間熱処理するか、あるいはプライマーコーティング液を10〜12μm厚さに塗布してプライマーコートを形成した後、200℃で15分間乾燥し、第4段階で、器具の表面に塗布されたプライマーコート上にミッドコーティング液を10〜12μm厚さに塗布してミッドコートを形成し、第5段階で、前記ミッドコートが全く乾燥する前にトップコーティング液を8〜12μm厚さに塗布してトップコートを形成した後、300〜350℃で15分間乾燥することにより、スリーコーティング層を完成することになる。その次の段階で、ワンコーティング層またはスリーコーティング層の乾燥したトップコート上にインク顔料を噴射して斑点状の不規則模様の凹凸状不連続コーティング層を形成した後、405〜415℃で20分間熱処理することになる。
【0045】
前記コーティング層の形成方法による器具においては、スリーコーティング層のトップコート上にインク顔料の不連続コーティング層を形成しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、場合によっては、プライマーコートおよびミッドコートのコーティング層を形成した後、トップコートなしに、前記ミッドコート上に直接、前記のような方法でインク顔料の不連続コーティング層を形成するか、あるいはミッドコートなしに、プライマーコートおよびトップコートのみでコーティング層を形成した後、前記トップコート上に前記のような方法でインク顔料の不連続コーティング層を形成することもできる。
【0046】
また、前記コーティング層の形成方法においては、ミッドコートまたはトップコートが乾燥した状態で不連続コーティング層を形成しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、場合によっては、前記ミッドコートまたは前記トップコートが湿った状態で不連続コーティング層を形成することもできる。このような方法を適用すると、不連続コーティング層の大きさ、すなわち斑点状の突起大きさが、乾燥した状態で塗布したものより小さくなるので、前記不連続コーティング層の大きさ調節のために適用することができる。
【0047】
ここで、ワンコーティング層の場合、サンドブラスティング処理する段階と、セラミック塗料または耐熱塗料またはフッ素樹脂塗料の一つを塗布し、100〜150℃で10〜15分間熱処理する段階は、場合によって省略することができる。ただし、サンドブラスティング処理を行う場合には、器具の表面に塗布されるセラミック塗料または耐熱塗料またはフッ素樹脂塗料の接着力が増大することになる。
【0048】
また、前記コーティング層の形成方法においては、セラミックコーティング層または耐熱コーティング層またはフッ素樹脂コーティング層のワンコーティング層が乾燥した状態で不連続コーティング層を形成することにより、器具の表面をもっと突出させるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、場合によっては、前記セラミックコーティング層または耐熱コーティング層またはフッ素樹脂コーティング層のワンコーティング層が湿った状態で不連続コーティング層を形成することもできる。このような方法を適用すると、不連続コーティング層の大きさ、すなわち斑点状の突起の大きさが、乾燥した状態で塗布してなるものより低くなるので、前記不連続コーティング層の大きさを調節するために適用され、このように湿った状態、つまり湿った状態で斑点状に塗布した場合には、結果として斑点状突起の突出程度が低くなる。
【0049】
ところで、前記のような方法により表面がコートされた器具は、図面に示すように、代表的には、飲食物が主に表面に接触する厨房器具に適用することができ、その外にも表面をコーティングする必要があるすべての器具に適用することができる。
【0050】
また、前記のような方法でコーティング層を形成すると、厨房器具の場合、図1および図2に示すように、飲食物の触れる表面積が他の場合に比べて一層増加して、飲食物への熱伝逹が均一で活発になされるので、飲食物が均等に調理できる。一方、トップコートが不連続コーティング層を覆っている従来の場合には、前記トップコートで遮られた状態で不連続コーティング層の反射がなされて光沢效果の発揮が不十分であるが、本発明においては、セラミックコーティング層または耐熱コーティング層またはフッ素樹脂コーティング層の一つであるワンコーティング層、またはトップコート上で不連続コーティング層の反射がなされるので、光沢效果をより確実に発揮することができるものである。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による、ワンコーティング層にインク顔料の不連続コーティング層を形成した器具を示す斜視図及び表面コーティング層を示す拡大断面図
【図2】本発明による、スリーコーティング層にインク顔料の不連続コーティング層を形成した器具を示す斜視図及び表面コーティング層を示す拡大断面図
【図3】従来の調理器具を示す斜視図及び表面コーティング層を示す拡大断面図
【符号の説明】
【0053】
1、10 器具
100 ワンコーティング層
50、200 スリーコーティング層
20、201 プライマーコート
30、202 ミッドコート
40、203 トップコート
6、60 不連続コーティング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック塗料が表面に塗布されてセラミックコーティング層のワンコーティング層(100)が形成された器具、またはプライマーコート(201)、ミッドコート(202)およびトップコート(203)が表面に順に積層されてスリーコーティング層(200)が形成された器具において、
前記ワンコーティング(100)層または前記トップコート(203)上にインク顔料を噴霧器で一回以上噴射して前記インク顔料を斑点状に塗布し、前記セラミックコーティング層のワンコーティング層(100)または前記トップコート(203)と前記インク顔料の不連続コーティング層(6)が表面に不規則な凹凸状に形成されたことを特徴とする表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項2】
前記トップコート(203)なしに、前記ミッドコート(202)上に直接、前記不連続コーティング層(6)が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項3】
前記ミッドコート(202)が取り除かれたことを特徴とする請求項1に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項4】
前記セラミック塗料は、アルコール、SiO、酸、シラン、およびカーボンまたは無機顔料分散液の組成でなることを特徴とする請求項に1記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項5】
前記ワンコーティング層(100)は、耐熱塗料が塗布されて形成された耐熱コーティング層であることを特徴とする請求項1に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項6】
前記耐熱塗料は、シリコン複合樹脂、複合有機溶剤、カーボンまたは無機顔料分散液、および複合充填材の組成でなることを特徴とする請求項5に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項7】
前記耐熱塗料を構成している各組成の比率は、シリコン複合樹脂35重量%、複合有機溶剤40重量%、カーボンまたは無機顔料分散液5重量%、および複合充填材20重量%であることを特徴とする請求項6に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項8】
前記ワンコーティング層(100)はフッ素樹脂塗料で塗布されて形成されたフッ素樹脂コーティング層であることを特徴とする請求項1に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項9】
前記フッ素樹脂塗料は、ポリアミドnmp混合物、水、PTFE分散液、カーボンまたは無機顔料分散液、およびシリカの組成でなることを特徴とする請求項8に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項10】
前記フッ素樹脂塗料を構成している各組成の比率は、ポリアミドnmp混合物16.8重量%、水4.1重量%、PTFE分散液67.2重量%、カーボンまたは無機顔料分散液3.5重量%、およびシリカ8.4重量%であることを特徴とする請求項9に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項11】
前記インク顔料のコーティング液は、PTFE分散液、水、芳香族炭化水素、トリエチルアミン、オレイン酸、界面活性剤、および無機分散液の組成でなることを特徴とする請求項1に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項12】
前記インク顔料のコーティング液を構成している各組成の比率は、PTFE分散液86.8重量%、水3.38重量%、芳香族炭化水素0.56重量%、トリエチルアミン0.17重量%、オレイン酸0.17重量%、界面活性剤0.12重量%、および無機分散液8.8重量%であることを特徴とする請求項11に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項13】
前記ワンコーティング層(100)上に一回以上塗布される前記インク顔料は相異なる色相のインク顔料であることを特徴とする請求項1に記載の表面層にインク顔料が塗布されてなる器具。
【請求項14】
コーティング対象器具の表面をサンドブラスティングで処理して表面積を増大させる段階、
前記器具の表面を洗浄する段階、
セラミック塗料を15〜25μm厚さに前記器具の表面に塗布してセラミックコーティング層のワンコーティング層(100)を形成する段階及び、
前記セラミックコーティング層のワンコーティング層(100)上に、前記セラミック塗料と同種または異種のインク顔料を一回以上噴射して不規則な凹凸状の不連続コーティング層(6)を形成した後、100〜150℃で10〜15分間熱処理する段階を含んでなることを特徴とする器具のコーティング層形成方法。
【請求項15】
コーティング対象器具の表面の表面積をサンドブラスティングで増大させる段階、
前記器具の表面を洗浄する段階、
プライマー塗布液を10〜12μm厚さに前記器具の表面に塗布してプライマーコート(201)を形成した後、200℃で15分間乾燥する段階、
ミッド塗布液を10〜12μm厚さに前記プライマーコート(201)上に塗布して、湿った状態のミッドコート(202)を形成した後、前記ミッドコート(202)上にトップ塗布液を8〜12μm厚さに塗布してトップコート(203)を形成し、300〜350℃で15分間乾燥する段階及び、
乾燥した前記トップコート(203)上にインク顔料を噴射して不規則な凹凸状の不連続コーティング(6)層を形成した後、405〜415℃で20分間熱処理する段階を含んでなることを特徴とする器具のコーティング層形成方法。
【請求項16】
前記セラミックコーティング層のワンコーティング層(100)を形成した後、200〜250℃で10〜15分間焼付けする段階をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の器具のコーティング層形成方法。
【請求項17】
前記ミッドコート(202)を形成するにおいて、ミッド塗布液を10〜12μm厚さに前記プライマーコート(201)上に塗布して湿った状態のミッドコート(202)を形成した後、直ちにインク顔料を前記ミッドコート(202)上に噴射することを特徴とする請求項15に記載の器具のコーティング層形成方法。
【請求項18】
前記湿った状態のミッドコード(202)を形成した後、前記ミッドコート(202)上にトップ塗布液を8〜12μm厚さに塗布してトップコートを形成し、300〜350℃で15分間乾燥する段階をさらに含んでなることを特徴とする請求項17に記載の器具のコーティング層形成方法。
【請求項19】
前記ミッドコートを形成せずに、前記プライマーコート(201)上にトップ塗布液を8〜12μm厚さに塗布して前記トップコート(203)を形成し、300〜350℃で15分間乾燥する段階を含んでなることを特徴とする請求項15に記載の器具のコーティング層形成方法。
【請求項20】
前記トップコート(203)が湿った状態にあることを特徴とする請求項18または19に記載の器具のコーティング層形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−14895(P2007−14895A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200032(P2005−200032)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(505260844)
【Fターム(参考)】