説明

ワーク取付構造

【課題】少ない工程で確実にワークを取付固定することのできるワーク取付構造を提供する。
【解決手段】ボードアンカー1及び係止具2を介してボード40の前面にワーク50を取り付ける。ボードアンカー1は、フランジを有する第一筒部4と第二筒部5の間に割片6を設けたソケット3と、ソケット3内に挿入されるネジ部材10とから成る。ボード40にはボード側取付孔41を形成し、ワーク50にはワーク側取付孔51を形成する。ワーク50をボード40の前面に配し、ワーク側取付孔51内にてネジ部材10の頭部とフランジとの間に係止具2を挟み、ボードアンカー1をボード側取付孔41に挿通させ、ネジ部材10を締め付けて屈曲させた割片6とフランジとの間にボード40を挟み込むとともに、係止具2をワーク50に係止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボードアンカーを用いてボードにワークを取り付ける構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建築物の床、壁、天井等のボードに対してワークを固定しようとする場合、木ネジ等を用いたのでは十分な強度が得られない場合(ボードが石膏である場合等)がある。従来、このような場合には、ボードアンカーを用いた取付構造が採用される(特許文献1等参照)。
【0003】
前記取付構造は、図10、図11に示すようなものであり、図11に示すボードアンカー100を用いて、図10の(i)〜(vi)に示す工程でワーク109をボード110の前面に取付固定する。
【0004】
ボードアンカー100は、筒状のソケット101と、このソケット101内に挿入されるネジ部材108とで主体を形成する。ソケット101は、第一筒部102と、ナット状の第二筒部103との間に、複数の割片104を設けた構造である。第一筒部102にはフランジ105を形成しており、このフランジ105には、ワーク109の前面に係止する先鋭状の係止片106を設けている。また、第二筒部103の内周面に形成している雌ネジは、ネジ部材108の外周面に形成した雄ネジと噛み合う寸法形状である。
【0005】
以下、図10の各手順について詳べる。
【0006】
まず、図10中の(i)工程のように、取付孔107をあける位置を決める。そして、図10中の(ii)工程のように、所定の位置にあけた取付孔107内にボードアンカー100を挿入し、図10中の(iii)工程にてネジ部材108を締め付ける。ネジ部材108の締め付けにより、ネジ部材108に噛み合うナット状の第二筒部103は、前方へと移動してフランジ105側に接近する。第二筒部103の接近により、図11(b)に示すように、複数の割片104にはそれぞれ前後に挟み込む外力が作用し、この外力で屈曲された各割片104とフランジ105との間に、ボード110が挟み込まれる。
【0007】
ここで、図10中の(iv)工程のように、ボード110に取付固定されたソケット101から、ネジ部材108を一旦取り外す。その後、図中(v)工程のように、ボード110前面の所定箇所にワーク109を位置合わせする。そして、図10中の(vi)工程のように、位置合わせしたワーク109の前面から、先ほど取り外したネジ部材108を挿入する。このネジ部材108を、ボード110裏面側に固定される第二筒部103に噛み合わせ、締め付ける。
【0008】
以上の工程により、ワーク109がボード110の前面に取付固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−13928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した従来のワーク取付構造では、ネジ部材108を一旦引き抜いたうえで再度挿入して締め付ける工程が必要となる。そのため、既述したような多数の工程が必要となり、取付作業に手間がかかるという問題があった。
【0011】
本発明は前記問題点に鑑みて発明したものであって、少ない工程で確実にワークを取付固定することのできるワーク取付構造を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために本発明のワーク取付構造を、下記構成を具備するものとする。
【0013】
本発明のワーク取付構造は、ボードアンカー及び係止具を介してボードの前面にワークを取り付けるワーク取付構造であって、前記ボードアンカーは、フランジを有する第一筒部とナット状の第二筒部との間に複数の割片を設けた筒状のソケットと、前記ソケット内に前記第一筒部側から挿入されて前記第二筒部に噛み合うネジ部材とで形成されたものであり、前記係止具は、前記ネジ部材が挿通される挿通孔を有し且つ前記フランジよりも大径に形成されたものであり、前記ボードには、前記フランジよりも小径のボード側取付孔を形成し、前記ワークには、前記フランジおよび係止具が収容されるワーク側取付孔を形成し、前記ボード側取付孔と前記ワーク側取付孔とが連通するように前記ワークを前記ボードの前面に位置合わせし、前記ワーク側取付孔内にて前記ネジ部材の頭部と前記フランジとの間に前記係止具を挟み、前記ボードアンカーを前記ボード側取付孔に挿通させた状態で、前記ネジ部材を締め付けることにより前記第二筒部を前記フランジ側に接近させ、前記第二筒部の接近により屈曲された前記割片と前記フランジとの間に前記ボードを挟み込むとともに、前記係止具を前記ワークに係止させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のワーク取付構造において、前記係止具は、前記ネジ部材が挿通される挿通孔を有し且つ前記フランジよりも大径に形成されたフランジ対向板と、前記フランジ対向板の周縁部分から前方に延設されるネジ包囲板と、前記ネジ包囲板の前端部分から外方に延設される係止板と、から成る部材であり、前記ワーク側取付孔内にて前記ネジ部材の頭部と前記フランジとの間に前記フランジ対向板を挟み、前記ボードアンカーを前記ボード側取付孔に挿通させた状態で、前記ネジ部材を締め付けることにより前記第二筒部を前記フランジ側に接近させ、前記第二筒部の接近により屈曲された前記割片と前記フランジとの間に前記ボードを挟み込むとともに、前記係止板を前記ワーク側取付孔の周縁部分に係止させるように設けたことを特徴とすることが好ましい。
【0015】
さらに、前記ワーク側取付孔は、前記フランジよりも大径の後側取付孔と、前記後側取付孔よりも大径の前側取付孔とが、段部を介して前後に連通する段差構造であり、前記係止板を前記段部に係止させるように設けたことを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、少ない工程で、ボードに対して確実にワークを取付固定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1のワーク取付構造を説明する斜視図である。
【図2】同上のワーク取付構造を説明する断面図であり、(a)は取付前、(b)は取付途中、(c)は取付後の状態を示している。
【図3】同上のワーク取付構造の要部の分解斜視図である。
【図4】同上のワーク取付構造の要部の斜視図であり、(a)は取付前、(b)は取付後の状態を示している。
【図5】同上のワーク取付構造の係止具の斜視図であり、(a)は斜め前方から視た状態、(b)は斜め後方から視た状態を示している。
【図6】同上の係止具の別例の斜視図であり、(a)は斜め前方から視た状態、(b)は斜め後方から視た状態を示している。
【図7】本発明の実施形態2のワーク取付構造を説明する断面図であり、(a)は取付前、(b)は取付途中、(c)は取付後の状態を示している。
【図8】本発明の実施形態3のワーク取付構造の要部を示す斜視図であり、(a)は分解した状態、(b)は(a)を組み合わせた状態を示している。
【図9】本発明の実施形態4のワーク取付構造の要部を示す斜視図であり、(a)は取付前を斜め後方から視た状態、(b)は取付前を斜め前方から視た状態、(c)は取付後を斜め後方から視た状態、(d)は取付後を斜め前方から視た状態である。
【図10】従来のワーク取付構造を説明する斜視図である。
【図11】従来のワーク取付構造の要部の斜視図であり、(a)は取付前、(b)は取付後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0019】
(実施形態1)
本実施形態のワーク取付構造は、ボードアンカー1及び専用の係止具2を介して、ボード40の前面にワーク50を取り付ける構造である。図1、図2には取付工程を示しており、図3〜図6には、取付構造に用いる各部材を示している。なお、本文中においては、ボード40に対してワーク50が位置する側を「前方」とする。
【0020】
ボードアンカー1は、図10、図11に示すボードアンカー100と同様の構成である。つまり、このボードアンカー1は、図3等に示すように、筒状のソケット3と、このソケット3内に挿入されるネジ部材10とで主体が形成されている。ソケット3は、第一筒部4と、ナット状の第二筒部5との間を、複数の割片6で連結させた構造である。ネジ部材10は、雄ネジ棒12の一端にこれより大径の頭部11を形成した構造である。
【0021】
第一筒部4は、両端の貫通した筒体7の前端縁から、外方にフランジ8を延設した構造である。フランジ8からは、先鋭状の係止片9を後方に向けて複数突設している。ナット状の第二筒部5の内周面には雌ネジ(図示略)を形成しており、この雌ネジは、ネジ部材10の雄ネジ棒12と噛み合う寸法形状に設けている。
【0022】
係止具2は、前記第一筒部4のフランジ8よりも大径に形成された矩形板状のフランジ対向板15と、このフランジ対向板15の四辺からそれぞれ前方に延設されるネジ包囲板16と、各ネジ包囲板16の前端部分から外方に延設される係止板17とから成る、概略ハット状の金具である(図5等参照)。フランジ対向板15の中央部には、ネジ部材10の雄ネジ棒12が挿通される挿通孔18を貫通形成している。この挿通孔18は、雄ネジ棒12より大径であり、且つネジ部材10の頭部11より小径である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態のワーク取付構造によれば、ネジ部材10を一旦引き抜くことなく、ワーク50をボード40の前面に確実に取り付けることができる。具体的には、以下のとおりである。
【0024】
まず、ボード40の取付箇所にボード側取付孔41を貫通形成し、ワーク50の中央部にもワーク側取付孔51を貫通形成する(図2参照)。ボード側取付孔41の開口は、第一筒部4のフランジ8よりも小径であり、且つ、筒体7よりも大径である。
【0025】
ワーク側取付孔51は、後側部分よりも前側部分が大きく開口する二段構造となっている。具体的には、ワーク側取付孔51は、後側取付孔52とこれより大径の前側取付孔53とを、正面視リング状の段部54を介して前後方向に一直線に連通させた構造である。後側取付孔52は、第一筒部4のフランジ8及び係止具2のフランジ対向板15よりも大径であり、且つ、係止具2の係止板17全体の外周縁よりも小径である。また、前側取付孔53は、係止板17全体の外周縁よりも大径である。
【0026】
そして、図1中の(i)工程のように、ボード側取付孔41とワーク側取付孔51とが同軸上に位置するように、ボード40の前面にワーク50をセットする(図2(a)参照)。次いで、図1中の(ii)工程のように、ワーク50の前側からワーク側取付孔51内にボードアンカー1を挿入する。
【0027】
ここで、ボードアンカー1には、前述した専用の係止具2を予め組み合わせておく。係止具2は、ネジ部材10とソケット3との間に介在させる(図3、図4等参照)。つまり、係止具2のフランジ対向板15の後面と、ソケット3の第一筒部4のフランジ8とを対向配置させ、フランジ対向板15の挿通孔18と、第一筒部4の内部貫通孔とを連通させたうえで、この挿通孔18を通じて、第一筒部4内へとネジ部材10の雄ネジ棒12を挿入する。雄ネジ棒12の先端部は、第二筒部5の雌ネジに噛み合わせる。これにより、ボードアンカー1と係止具2が、図4に示すように組み合わされる。
【0028】
前記のように係止具2と組み合わせたボードアンカー1をワーク側取付孔51内に挿入すると、図1中の(iii)工程のように、段差構造のワーク側取付孔51内に係止具2が嵌り込む。詳しくは、図2(b)のように、ワーク側取付孔51の後側取付孔52内に係止具2のフランジ対向板15とネジ包囲板16が位置し、前側取付孔53内に係止具2の係止板17が位置する。また、ソケット3の第一筒部4のフランジ8が後側取付孔52内に位置し、第一筒部4の筒体7がボード側取付孔41内に位置し、割片6及び第二筒部5がボード40より後方に突出する。
【0029】
ここで、ネジ部材10を締め付けると、ネジ部材10に噛み合うナット状の第二筒部5は、前方へと移動してフランジ8側に接近する(図4(a)、(b)参照)。第二筒部5の接近により、複数の割片6にはそれぞれ前後に挟み込む外力が作用し、屈曲された各割片6とフランジ8との間に、ボード40が挟み込まれる(図2(c)参照)。
【0030】
前記工程(i)〜(iii)により、ワーク50はボード40前面に取付固定される。図2(c)に示すように、この取付状態のワーク側取付孔51(後側取付孔52)内では、ネジ部材10の頭部11と第一筒部4のフランジ8との間に、係止具2のフランジ対向板15が挟まれる。また、係止具2に設けた係止板17が、ワーク側取付孔51の段部54に係止される。
【0031】
ワーク50を取り外したいときは、ワーク側取付孔51内に前方から工具を挿入し、ネジ包囲板16に囲まれる頭部11を回転させてネジ部材10を緩め、取り外せばよい。係止具2はワーク50と一体に取り外される。ワーク50を再度装着するときには、ボードアンカー1はボード40に固定済みであるから、ワーク側取付孔51内に係止具2を嵌め込んだ状態でワーク50をセットし、ネジ部材10を挿入して締め付ければよい。
【0032】
図6には、本実施形態で採用可能な別例の係止具2を示している。この係止具2では、フランジ対向板15を、中央に挿通孔18を有するリング形状とし、フランジ対向板15の外周縁から円筒形状のネジ包囲板16を延設している。ネジ包囲板16の前端縁からは、リング状の係止板17を外方に延設している。
【0033】
(実施形態2)
図7に示すように、本実施形態のワーク取付構造では、ワーク50に貫通形成するワーク側取付孔51を、実施形態1のような段部54を設けることのない構造としている。なお、本実施形態の構成のうち、実施形態1と同様の構成については詳しい説明を省略し、実施形態1とは相違する特徴的な構成についてのみ、以下に詳述する。
【0034】
本実施形態のワーク側取付孔51は、その全体を、実施形態1の後側取付孔52と同様の径に設けている。つまり、このワーク側取付孔51の径は、その全体において、ソケット3を成す第一筒部4のフランジ8や係止具2のフランジ対向板15よりも大径であり、且つ、係止具2の係止板17の外周縁よりも小径である。
【0035】
したがって、図7(a)のように、ボード側取付孔41とワーク側取付孔51とが同軸上に位置するようにセットし、このワーク側取付孔51内に、係止具2を組み合わせたボードアンカー1を挿入すると、図7(b)のように、ワーク側取付孔51内に係止具2が嵌り込む。詳しくは、段差のないワーク側取付孔51内に、係止具2のフランジ対向板15とネジ包囲板16が位置し、ワーク50の前面と当たる位置に係止具2の係止板17が位置する。
【0036】
ここでネジ部材10を締め付けると、第二筒部5の前進により複数の割片6はそれぞれ外側に膨らむように屈曲し、図7(c)のように、屈曲された各割片6とフランジ8との間にボード40が挟み込まれる。このとき、係止具2の前端縁からフランジ状に延設した係止板17は、ワーク50前面のワーク側取付孔51周縁部分に係止される。
【0037】
(実施形態3)
図8に示すように、本実施形態のワーク取付構造では、係止具2の係止板17の後面に、リング状の弾性部材20を配設した構造となっている。なお、本実施形態の構成のうち、実施形態1と同様の構成については詳しい説明を省略し、実施形態1とは相違する特徴的な構成についてのみ、以下に詳述する。
【0038】
弾性部材20は、係止具2のネジ包囲板16全体の外周縁より僅かに大きな寸法形状の中央孔21を、中央部に有する。弾性部材20の外周縁の寸法形状は、係止具2の係止板17全体の外周縁の寸法形状と一致または略一致させて設ける。したがって、弾性部材20の中央孔21内にネジ包囲板16を通すとともに、この弾性部材20が係止具2の係止板17の後面に当たるように配置しておき、後は、実施形態1の場合と同様の手順でワーク50の取付固定を行えばよい。
【0039】
取付固定後の弾性部材20は、係止板17とボード40との間に挟持される。つまり、この弾性部材20を介して、ワーク側取付孔51の周縁部分(つまり段部54)に係止板17が係止される。
【0040】
ところで、係止具2を用いたワーク取付構造においては、係止具2の寸法形状やワーク側取付孔51の寸法形状にばらつきがあると、係止具2をワーク50に安定的に係止することが難しくなる。これに対して、本実施形態のような弾性部材20を用いれば、これら寸法形状のばらつきを弾性部材20により吸収することができる。
【0041】
なお、この弾性部材20が、実施形態2のワーク取付構造においても採用可能であることは勿論である。
【0042】
(実施形態4)
本実施形態のワーク取付構造に用いる係止具2は、図9に示すようなものであり、実施形態1のような筒型ではなく、大径リング型の部材となっている。なお、本実施形態の構成のうち、実施形態1と同様の構成については詳しい説明を省略し、実施形態1とは相違する特徴的な構成についてのみ、以下に詳述する。
【0043】
本実施形態の係止具2の中央部には、ネジ部材10の雄ネジ棒2が挿通される挿通孔(図示略)を形成する。また、係止具2の外周縁は、ソケット3のフランジ8よりも大径に形成する。ワーク50には、係止具2よりも僅かに大径のワーク側取付孔(図示略)を凹設または貫設し、このワーク側取付孔内に、リング状の係止具2を嵌め込んで係止させる。
【0044】
この構造によっても、実施形態1と同様の手順により、係止具2をワーク50に係止させることができる。
【0045】
(作用効果)
実施形態1〜4のワーク取付構造は、上述した特徴的な構成を具備することで、特有の作用効果を奏する。以下、この点につき、さらに詳述する。
【0046】
実施形態1〜4のワーク取付構造は、ボードアンカー1及び係止具2を介してボード40の前面にワーク50を取り付けるワーク取付構造である。ボードアンカー1は、フランジ8を有する第一筒部4とナット状の第二筒部5との間に複数の割片6を設けた筒状のソケット3と、ソケット3内に第一筒部4側から挿入されて第二筒部5に噛み合うネジ部材10とで形成されたものである。係止具2は、ネジ部材10が挿通される挿通孔18を有し且つフランジ8よりも大径に形成されたものである。ボード40には、フランジ8よりも小径のボード側取付孔41を形成する。ワーク50には、フランジ8および係止具2が収容されるワーク側取付孔51を形成する。ボード側取付孔41とワーク側取付孔51とが連通するようにワーク50をボード40の前面に位置合わせし、ワーク側取付孔51内にてネジ部材10の頭部11とフランジ8との間に係止具2を挟み、ボードアンカー1をボード側取付孔41に挿通させる。この状態で、ネジ部材10を締め付けることにより第二筒部5をフランジ8側に接近させ、第二筒部5の接近により屈曲された割片6とフランジ8との間にボード40を挟み込むとともに、係止具2をワーク50に係止させる。
【0047】
前記の構造によれば、ネジ部材10を一旦引き抜いたうえで再度挿入して締め付けるといった工程が不要である。そのため、少ない工程で確実にワーク50をボード40前面に取付固定することができる。
【0048】
また、実施形態1〜3において、係止具2は、ネジ部材10が挿通される挿通孔18を有し且つフランジ8よりも大径に形成されたフランジ対向板15と、フランジ対向板15の周縁部分から前方に延設されるネジ包囲板16と、ネジ包囲板16の前端部分から外方に延設される係止板17と、から成る部材である。ワーク側取付孔51内にてネジ部材10の頭部11とフランジ8との間にフランジ対向板15を挟み、ボードアンカー1をボード側取付孔41に挿通させる。この状態で、ネジ部材10を締め付けることにより第二筒部5をフランジ8側に接近させ、第二筒部5の接近により屈曲された割片6とフランジ8との間にボード40を挟み込むとともに、係止板17をワーク側取付孔51の周縁部分に係止させる。
【0049】
前記の構造によれば、係止具2をワーク側取付孔51内により強固に係止することができ、ひいては、この係止具2を介してワーク50をより確実に取付固定することができる。
【0050】
また、実施形態1,3において、ワーク側取付孔51は、フランジ8よりも大径の後側取付孔52と、後側取付孔52よりも大径の前側取付孔53とが、段部54を介して前後に連通する段差構造であり、係止板17を段部54に係止させるように設けている。
【0051】
前記の構造によれば、係止板17を用いて係止具2をワーク側取付孔51内に強固に係止するとともに、この係止板17をワーク側取付孔51内に収容し、ワーク50表面に露出しないように設けることができる。
【0052】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記各例の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、各例において適宜の設計変更を行うことや、各例の構成を適宜組み合わせて適用することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 ボードアンカー
2 係止具
3 ソケット
4 第一筒部
5 第二筒部
6 割片
8 フランジ
10 ネジ部材
11 頭部
12 雄ネジ棒
15 フランジ対向板
16 ネジ包囲板
17 係止板
18 挿通孔
40 ボード
41 ボード側取付孔
50 ワーク
51 ワーク側取付孔
52 後側取付孔
53 前側取付孔
54 段部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボードアンカー及び係止具を介してボードの前面にワークを取り付けるワーク取付構造であって、前記ボードアンカーは、フランジを有する第一筒部とナット状の第二筒部との間に複数の割片を設けた筒状のソケットと、前記ソケット内に前記第一筒部側から挿入されて前記第二筒部に噛み合うネジ部材とで形成されたものであり、前記係止具は、前記ネジ部材が挿通される挿通孔を有し且つ前記フランジよりも大径に形成されたものであり、前記ボードには、前記フランジよりも小径のボード側取付孔を形成し、前記ワークには、前記フランジおよび係止具が収容されるワーク側取付孔を形成し、前記ボード側取付孔と前記ワーク側取付孔とが連通するように前記ワークを前記ボードの前面に位置合わせし、前記ワーク側取付孔内にて前記ネジ部材の頭部と前記フランジとの間に前記係止具を挟み、前記ボードアンカーを前記ボード側取付孔に挿通させた状態で、前記ネジ部材を締め付けることにより前記第二筒部を前記フランジ側に接近させ、前記第二筒部の接近により屈曲された前記割片と前記フランジとの間に前記ボードを挟み込むとともに、前記係止具を前記ワークに係止させることを特徴とするワーク取付構造。
【請求項2】
前記係止具は、前記ネジ部材が挿通される挿通孔を有し且つ前記フランジよりも大径に形成されたフランジ対向板と、前記フランジ対向板の周縁部分から前方に延設されるネジ包囲板と、前記ネジ包囲板の前端部分から外方に延設される係止板と、から成る部材であり、前記ワーク側取付孔内にて前記ネジ部材の頭部と前記フランジとの間に前記フランジ対向板を挟み、前記ボードアンカーを前記ボード側取付孔に挿通させた状態で、前記ネジ部材を締め付けることにより前記第二筒部を前記フランジ側に接近させ、前記第二筒部の接近により屈曲された前記割片と前記フランジとの間に前記ボードを挟み込むとともに、前記係止板を前記ワーク側取付孔の周縁部分に係止させるように設けたことを特徴とする請求項1に記載のワーク取付構造。
【請求項3】
前記ワーク側取付孔は、前記フランジよりも大径の後側取付孔と、前記後側取付孔よりも大径の前側取付孔とが、段部を介して前後に連通する段差構造であり、前記係止板を前記段部に係止させるように設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のワーク取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−47264(P2012−47264A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190025(P2010−190025)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】