説明

ワーク支持部材、光学素子、位相差素子及び偏光ビームスプリッタ

【課題】広帯域の光に対して安定した位相差特性を与える位相差素子を製造することができるワーク支持部材、位相差素子及び偏光ビームスプリッタを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の基板支持部材6は、蒸着チャンバ1内に配置される蒸着源4から蒸発した材料を蒸着させる基板Wを固定保持するワークフレーム21と、ワークフレーム21を、蒸着チャンバ1内に固定するドーム取付部7と、ドーム取付部7に対して任意の角度で傾斜するように、ワークフレーム21を傾斜させる傾斜機構8と、傾斜機構8に対してワークフレーム21を任意の角度で回転させる回転機構9と、を備えている。傾斜機構8と回転機構9とにより、傾斜方向及び回転方向の2方向に基板Wの傾斜角度を自由に設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの一面に材料を蒸着させるときに用いられるワーク支持部材、位相差素子及び偏光ビームスプリッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板の一面に斜方蒸着膜を蒸着して位相差機能を発揮する位相差素子を製造する技術がある。斜方蒸着膜は、蒸着チャンバ内で蒸着源に対して基板を傾斜した状態で配置することにより、蒸着面の法線方向に対して光学軸が所定角度傾斜した斜め柱状構造を有する薄膜である。光学システムにおいては、位相差素子を配置するときに、入射光の進行方向と位相差素子の蒸着面の法線方向とが一致するように配置するようにしている。このため、位相差素子に入射した光の偏光面が斜方蒸着膜の光学軸に対して平行ではなくなるため、入射光に対して複屈折性を作用し、位相差を発生させる。例えば、このような位相差素子は、光ピックアップや液晶プロジェクタに代表される投射型表示装置等のように、任意の光学システムに適用できる。
【0003】
斜方蒸着膜を形成した位相差素子を製造するためには、ワークの蒸着面を蒸着源に対して所定角度傾斜した状態で材料を蒸着させるための機構が必要になる。そのための技術が特許文献1に開示されている。この技術では、蒸着源に対してのワークの傾斜角度を適宜変化させるための傾斜角度調整機構を用いて、ワークの傾斜角度を自由に調整することにより、蒸着条件に応じた均一な蒸着膜を形成している。
【特許文献1】実登3007963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、傾斜プレートの傾斜角をコントロールすることにより蒸着源に対してのワークの傾斜角度を変化させている。従って、特許文献1の技術を用いれば、光学軸が1方向に傾斜した斜方蒸着膜を形成することはできる。ここで、光学軸が1方向にのみ傾斜した斜方蒸着膜では、入射光に対して複屈折性を作用させることができるが、特定の波長域の光に対して所定の位相差特性を与えることができても、広帯域の光に対して所定の位相差特性を満足させることができないということが知られている。
【0005】
近年の光ピックアップや液晶プロジェクタ等の光学システムでは、短波長の光を取り扱うようになってきている一方で、長波長の光にも対応しなければならず、位相差素子に対しても、広帯域の光に対して安定した位相差特性を持つ製品の要請が高い。そうすると、特許文献1のようにワークの傾斜角度を1方向にのみ傾斜させることができる機構を用いて製造される位相差素子では、前記の要請を満足することができない。
【0006】
そこで、本発明は、広帯域の光に対して安定した位相差特性を与える位相差素子を製造することができるワーク支持部材、位相差素子及び偏光ビームスプリッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載のワーク支持部材は、蒸着チャンバ内に配置される蒸着源から蒸発した材料を蒸着させるワークを固定保持するワークホルダと、前記ワークホルダを、前記蒸着チャンバ内に固定する固定手段と、前記固定手段に対して任意の角度で傾斜するように、前記ワークホルダを傾斜させるワーク傾斜手段と、前記ワーク傾斜手段に対して、前記ワークホルダを任意の角度で回転させるワーク回転手段と、を備えたこと、を特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2記載のワーク支持部材は、請求項1記載のワーク支持部材において、前記ワークは平板状の薄板であり、前記ワークホルダは、前記ワークの外周を保持するフレーム部材と、前記フレーム部材に一体的に形成され、前記ワークの蒸着面を固定する蒸着面固定部と、前記フレーム部材に着脱可能に設けられ、前記フレーム部材に装着したときに、前記ワークの背面を押圧して固定する背面固定部材と、前記フレーム部材に着脱可能に設けられ、前記フレーム部材に装着したときに、前記ワークの背面を遮蔽する遮蔽部材と、を備えたこと、を特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3記載のワーク支持部材は、請求項1記載のワーク支持部材において、前記ワークは三角プリズムであり、前記ワークホルダは、前記三角プリズムの蒸着面の外周を固定する外周固定部材と、前記三角プリズムの前記蒸着面を固定する前面固定部材と、前記蒸着面の反対側の稜線に弾性力を作用させて押圧する弾性押圧部材と、前記外面固定部材を連結するフレーム部材に着脱可能に設けられ、前記フレーム部材に装着したときに、前記ワークの背面を遮蔽する遮蔽部材と、を備えたこと、を特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4の位相差素子は、請求項1乃至3何れか1項に記載のワーク支持部材を用いて製造された位相差素子である。
【0011】
本発明の請求項5記載の位相差素子は、第1の斜方蒸着膜と第2の斜方蒸着膜とを有し、前記第1の斜方蒸着膜の光学軸の方向と前記第2の斜方蒸着膜の光学軸の方向とは、蒸着面の法線方向に対して傾斜および/または回転しており、前記第1の斜方蒸着膜の光学軸の方向と前記第2の斜方蒸着膜の光学軸の方向とは異なっていること、を特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の位相差素子は、請求項5記載の位相差素子において、前記第1の斜方蒸着膜と前記第2の斜方蒸着膜とは三角プリズムの蒸着面に蒸着されていること、を特徴とする。
【0013】
本発明の請求項7記載の偏光ビームスプリッタは、三角プリズムの蒸着面に、光学軸の方向が前記蒸着面の法線方向に対して傾斜および/または回転している第1の斜方蒸着膜と、光学軸の方向が前記蒸着面の法線方向に対して傾斜および/または回転し、且つ前記第1の斜方蒸着膜の光学軸の方向と異なる第2の斜方蒸着膜と、を形成した位相差プリズムと、三角プリズムの一面に偏光方向によって透過と反射とを分ける偏光分離膜を形成した偏光分離プリズムと、を有し、前記位相差プリズムの前記第1の斜方蒸着膜と第2の斜方蒸着膜とを形成している面と、前記偏光プリズムの前記偏光分離膜を形成した面とを接合して構成したこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のワーク支持部材は、ワークホルダを傾斜させるための傾斜機構とワークホルダを回転させるための回転機構とを備えているため、ワークの蒸着面を傾斜方向及び回転方向の2方向において自由な角度に調整することができる。このワーク支持部材を用いて、夫々異なる方向に傾いた第1の斜方蒸着膜と第2の斜方蒸着膜とをワークの蒸着面に蒸着させることができるため、広帯域の光に対して所定の位相差特性を発揮させる位相差素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明のワーク支持部材を取り付けることが可能な蒸着装置の一例として真空蒸着装置を示している。ワーク支持部材に取り付けられるワークとしては、正方形の平板状のガラス薄板である基板Wを適用する。勿論、基板Wの形状としては、蒸着膜を形成するものであれば、三角形や長方形等の正方形以外の任意の形状を採用でき、また透明性を有しない任意の基板を採用することもできる。
【0016】
また、真空蒸着装置を例示して説明しているが、例えばイオンアシスト法等の蒸着方法を行う装置にも適用することが可能である。また、本実施形態において、真空蒸着装置を適用して製造する素子は、位相差素子であるものとして説明するが、ワークの蒸着面に対して角度を持たせて蒸着膜を形成するものであれば、任意の素子を適用することができる。ワークに蒸着させる材料としては、誘電体物質や金属酸化物等があるが、位相差素子の場合には、蒸着源から蒸発させる材料としては金属又は誘電性金属酸化膜が好適であるため、蒸着材料として誘電性金属酸化物を適用するものとして説明する。
【0017】
図1において、真空蒸着装置は、真空チャンバ1とドーム2と回転軸3と蒸着源4と装着部5とを有して概略構成している。真空チャンバ1は、内部を真空状態に維持する比較的大型のチャンバである。ドーム2は、真空チャンバ1の上部位置に配置される回転型のドームであり、その形状は任意のものを採用することができる。図1では、ドーム形状をしているものを示している。ドーム2の回転中心には垂直方向に設けた回転軸3が取り付けられており、回転軸3の回転によりドーム2全体が回転する。
【0018】
真空チャンバ1の下部には基板に蒸着させる蒸着源4を配置しており、蒸着源4から材料を蒸発して各基板に対して材料を蒸着させるようにしている。前述したように、蒸着材料は単層の金属酸化物としているため、蒸着源4には1種類の金属酸化物を充填する。ドーム2には、複数の装着部5を設けている。装着部5は、ドーム2の斜面において、円周方向に複数個所配列しており、且つ斜面の傾斜方向に複数段配置している。
【0019】
図2に、ドーム2の装着部5に装着されるワーク支持部材としての基板支持部材6を示している。基板支持部材6は、主にドーム取付部7と傾斜機構8と回転機構9とを有して構成している。ドーム取付部7は、ドーム2の装着部5に対して装着することにより真空チャンバ1の内部で基板支持部材6を固定する固定手段であり、ドーム固定部7Sを有している。ドーム2の装着部5はドーム取付部7を嵌合させて取り付けるための嵌合部となっており、この嵌合部にドーム取付部7のドーム固定部7Sを取り付けて固定する。装着部5はその大部分が貫通されている構造となっているため、基板支持部材6の本体はドーム2の下方側に向けられる。
【0020】
傾斜機構8について説明する。傾斜機構8は、傾斜テーブル13と第1のアジャスタ部材14と第2のアジャスタ部材15とアジャスタ固定ネジ16とを有して概略構成している。傾斜テーブル13は、回転機構9の全体を傾斜させるときの台座となる部材であり、第1のアジャスタ部材14と第2のアジャスタ部材15とアジャスタ固定ネジ16とを調整することにより、傾斜テーブル13の傾斜角を任意の角度に調整することができる。傾斜テーブル13には両端に第1のテーブル傾斜軸13Aと第2のテーブル傾斜軸13Bとを夫々取り付けており、第1のテーブル傾斜軸13Aはドーム取付部7に、第2のテーブル傾斜軸は第1のアジャスタ部材14に回転自在に取り付けている。
【0021】
第1のアジャスタ部材14は板状の部材であり、一端が第2のテーブル傾斜軸13Bに回転自在に取り付けられており、他端において第2のアジャスタ部材15と接続されている。第2のアジャスタ部材15も同様に板状の部材であり、一端がドーム取付部7のアジャスタ調整軸15Aに回転自在に取り付けられており、他端において第1のアジャスタ部材14と接続されている。第1のアジャスタ部材14には所定の長さにわたる貫通領域14Aを設けており、第2のアジャスタ部材15の先端(第1のアジャスタ部材14との接続側)にはアジャスタ固定ネジ16を設けている。第1のアジャスタ部材14と第2のアジャスタ部材15との接続位置を変えることにより、第1のアジャスタ部材14と第2のアジャスタ部材15とのなす角度を自由に設定することができる。これにより、傾斜テーブル13をドーム取付部7に対して任意の角度にコントロールすることができる。図3は、図2の状態から傾斜テーブル13を大きく傾けた状態を示している。そして、傾斜テーブル13を所定の角度に設定したときに、アジャスタ固定ネジ16により第1のアジャスタ部材14と第2のアジャスタ部材15とをネジ固定して、設定した角度を確実に維持する。
【0022】
次に、回転機構9について説明する。回転機構9は、ワークフレーム21と遮蔽板保持部22と基板固定部材23と遮蔽板24とを一体的に構成した回転構成体を回転させるための機構である。まず、図4及び図5を用いて、回転構成体について説明する。図4に示すように、ワークホルダとしてのワークフレーム21は基板Wを収納して、その外周を保持するための部材である。基板Wの形状は正方形であるため、ワークフレーム21の形状も概略正方形である。ワークフレーム21の上面側21U及び下面側21Dは、ほぼ全面が開口しており、下面側21Dは基板Wの蒸着面側となる。下面側21Dの外周端部には、図5(a)に示すような、蒸着面固定部21Aを複数箇所に形成している。蒸着面固定部21Aは、ワークフレーム21に一体的に形成された一部の狭小な領域であり、ワークフレーム21に基板Wを収納したときに、基板Wが蒸着面固定部21Aに当接して、基板Wの蒸着面側を保持する。
【0023】
基板固定部材23は基板Wを押圧して固定するための弾性を有する部材であり、基板Wの蒸着面側の反対側(背面側)を固定する。背面固定部材として機能する基板固定部材23の形状はワークフレーム21とほぼ同サイズの形状をしており、その殆どの部分はワークフレーム21の内周側とほぼ同じサイズ又は若干小さいサイズとなっているが、部分的にワークフレーム21の内周側よりも大きい形状となっている。基板固定部材23には凹部23Cを設けており、凹部23Cに指掛けをして、弾性部材である基板固定部材23全体に収縮力を作用させると、ワークフレーム21の内周側よりも大きくなっている部分が収縮して、基板固定部材23がワークフレーム21に収納可能なサイズになる。この状態でワークフレーム21に収納して、基板Wに当接する位置で収縮力を解放すると、復元力により基板固定部材23はその位置で確実に固定される。
【0024】
基板固定部材23は全体として基板Wに当接するのではなく、周囲4箇所に設けた突起部23Tが基板Wに当接して、その位置を固定する。この突起部23Tは、基板固定部材23の対向する2辺の両端部に設けておくことで、基板Wを当接するポイントを分散させることができる。突起部23Tの当接面は基板Wと比べて極めて小さいものとなるが、分散した4箇所で基板Wを固定しているため、固定強度の安定性を確保できる。また、基板Wと突起部23Tとの当接する面積は極めて小さいものであるため、基板Wの接触面積を最小限なものにすることができ、基板Wを固定するための部材が当接することによって生じる傷等が付くことを抑制することができる。これにより、基板Wは蒸着面固定部21Aと基板固定部材23の突起部23Tとにより、位置が確実に固定される。
【0025】
遮蔽板24は、ワークフレーム21の上面側21Uの両端部に設けた遮蔽板保持部22に挟持される板部材であり、遮蔽板24は遮蔽板保持部22にスライドするように装着される。ワークフレーム21には遮蔽板24のスライド方向の位置を規制する規制部21Sが2箇所に形成されており、遮蔽板保持部22にスライドして装着される遮蔽板24は規制部21Sに当接してその位置が規制される。図5(a)のX−X断面図を示す図5(b)に示すように、各部材をワークフレーム21に収納した状態において、基板Wは蒸着面固定部21Aと基板固定部材23とにより挟まれて、その位置が確実に固定されており、基板固定部材23と遮蔽板24との間には若干の間隙を設けている。この隙間を設けている理由は、基板Wやワークフレーム21の厚み誤差が生じた場合に、その誤差分を調整するためである。当該隙間を設けることが好ましいが、基板固定部材23と遮蔽板24とが密着しているものであってもよい。
【0026】
遮蔽板24は、基板Wの背面に材料が蒸着されないようにするという機能を有している。図2及び図3に示すように、基板Wを固定するワークフレーム21はドーム取付部7に対して傾斜した状態となるため、基板Wの背面(蒸着面の反対面)とドーム2の装着部5との間には隙間が発生する。材料の蒸着時には、この隙間に蒸着源4から蒸発した材料の一部が回り込み、基板Wの背面に付着することがある。基板Wの背面に回り込んだ材料が蒸着すると、光学素子の特性に影響を与える。そこで、遮蔽板24をワークフレーム21に装着することで、基板Wの背面側を保護し、材料が蒸着されないようにしている。
【0027】
ところで、図5(a)に示すように、ワークフレーム21の1辺側には蒸着面固定部21Aを3箇所に形成し、この辺と反対辺の側には蒸着面固定部21Aを2箇所に形成している。蒸着面固定部21Aが基板Wの蒸着面を固定する機能を有するという点においては、両辺側共に蒸着面固定部21Aの数は同じでもよいが、蒸着面固定部21Aの数を異ならせることにより、方向性の判別が可能な基板Wを得ることができる。つまり、基板Wの蒸着面に材料を蒸着したときに、蒸着面固定部21Aに当接している基板Wの領域には材料が蒸着されず、この領域は視認可能になる。そうすると、基板Wをワークフレーム21から取り出したときに、材料が蒸着されていない領域の数を容易に識別することができるため、基板Wに蒸着したときの方向性を判別することができる。
【0028】
以上説明したワークフレーム21と遮蔽板保持部22と基板固定部材23と遮蔽板24とを一体的に構成した回転構成体を回転させる回転機構9について説明する。この回転機構9は、傾斜機構8と回転構成体との接続部分となる。図6に示すように、傾斜テーブル13には半円形状に貫通された回転孔13Hを形成している。図7に示すように、傾斜テーブル13の内側にはテーブル支持部材30を設けてあり、テーブル支持部材30は遮蔽板24に取り付けられる。テーブル支持部材30は比較的厚みのある部材であり、遮蔽板24に取り付けるためのネジ孔を複数箇所に形成している。テーブル支持部材30を遮蔽板24に取り付けるためにテーブル固定ネジ31Nを3箇所に設け、テーブル固定ネジ31Nをテーブル支持部材30のネジ孔にネジ締めして両者を固定している。
【0029】
テーブル支持部材30に傾斜テーブル13を取り付けるために、傾斜テーブル13の中心に中心ネジ31を設けて、テーブル支持部材30のネジ孔にネジ締めしている。そして、もう1箇所においてネジ締めをして固定するための角度調整ネジ32を設けている。中心ネジ31と角度調整ネジ32とにより、傾斜テーブル13をテーブル支持部材30に固定している。これにより、傾斜テーブル13とテーブル支持部材30と遮蔽板24とは確実に固定される。
【0030】
ここで、角度調整ネジ32は、傾斜テーブル13の回転孔13Hの任意の箇所で固定することが可能になる。従って、図6の状態から所定角度回転させた位置で角度調整ネジ32を固定させると、テーブル支持部材30も所定角度回転した位置で固定され、図8に示すように、傾斜テーブル13に対して遮蔽板24は相対的に回転した位置で固定される。このとき、遮蔽板24は同一平面内(傾斜した状態の面内)で自由な角度で回転していることになる。
【0031】
つまり、傾斜機構8により傾斜テーブル13をドーム取付部7に対して任意の角度で傾斜させることができ、回転機構9により傾斜テーブル13に対して遮蔽板24を、つまり回転構成体を任意の角度で回転させることができる。回転構成体のワークフレーム21に基板Wは固定されているため、基板Wを任意の角度で傾斜及び回転させることができ、2方向の角度設定を自由に行うことができる。
【0032】
ところで、図1に示すように、ドーム2には斜面の傾斜方向に複数段の装着部5を配置しており、各装着部5に夫々基板支持部材6を取り付けるようにしている。各基板支持部材6の蒸着源4に対しての角度は、ドーム2の中の配置される段によって異なるため、傾斜機構8による傾斜角は、ドーム2に取り付けられている位置によって、夫々異なる。このため、傾斜機構8の傾斜角は、ドーム2に取り付けられる基板支持部材6の位置によって、夫々適切な角度となるように設定する。
【0033】
次に、前述してきたワーク支持部材を用いて製造される位相差板について説明する。図9に位相差素子50を示す。位相差素子50は、入射光に対して所定の位相差を与える素子であり、基板Wの蒸着面に第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とを蒸着した素子である。位相差素子50は、通常は入射光に対して直交する方向に配置する。つまり、位相差素子50の法線方向と光の進行方向とが一致するように光学システム内に配置する。
【0034】
第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とは、基板Wの法線方向に対して斜めの方向から材料を蒸着させることによって斜め柱状構造に光学軸を成長させた蒸着膜である。光学軸が基板Wの法線方向に対して傾斜することにより、基板Wの法線方向から入射した光には複屈折性が作用され、入射光に対して位相差が与えられる。第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とでは材料を蒸着させる方向が異なり、このため光学軸の方向も異なることになる。第1の斜方蒸着膜51の光学軸の方向は基板Wの法線方向に対して傾斜した状態となし、第2の斜方蒸着膜52の光学軸の方向は基板Wの法線方向に対して傾斜及び回転した状態とする。
【0035】
基板Wを傾斜した状態で蒸着させて斜め柱状構造を成長させると、第1の斜方蒸着膜51の光学軸は基板Wの法線方向に対して傾いた状態になる。そして、第1の斜方蒸着膜を蒸着させた状態から、さらに基板Wを回転させて第2の斜方蒸着膜52を蒸着すると、第2の斜方蒸着膜52の光学軸は基板Wの法線方向に対して傾斜及び回転の2方向に傾くことになる。つまり、位相差素子50に入射した光は、光学軸が光の進行方向に対して傾斜した第1の斜方蒸着膜51を透過し、次に光学軸が光の進行方向に対して傾斜及び回転した第2の斜方蒸着膜52を透過することになる。そうすると、第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とで、夫々異なる方向の光学軸を有する2つの斜方蒸着膜の作用により、光には夫々異なる方向の複屈折性が作用されることになる。これにより、単に光に対して位相差が与えられるだけではなく、広帯域の光に対して安定的な位相差特性を発揮することができる。
【0036】
本発明では、第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52との相互に光学軸の方向が異なる2つの斜方蒸着膜を用いているが、このうち1つの斜方蒸着膜だけでも入射光に対して位相差を与えることができる。ただし、光学軸がある1方向にのみ傾いている状態となるため、入射光の特定の波長域の光に対しては所定の位相差を与えることができるものの、それ以外の波長域の光に対して与える位相差の特性が劣化する。そこで、前述したように、相互に光学軸の方向が異なる第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とを蒸着させることにより、広帯域の光に対して安定的な位相差特性を発揮することができる。
【0037】
基板Wに第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とを蒸着させるために、前述した基板支持部材6をドーム2に取り付けて、基板Wに第1の斜方蒸着膜51を蒸着させる。第1のアジャスタ部材14及び第2のアジャスタ部材15の調整を行い、アジャスタ固定ネジ16で締め付けることにより傾斜テーブル13を所定角度(角度T)傾斜させる。そして、基板Wをワークフレーム21に装着して、基板固定部材23で背面側を固定して、遮蔽板24をワークフレーム21に装着する。この状態で、第1の斜方蒸着膜51を蒸着させる。これにより、第1の斜方蒸着膜51の光学軸を基板Wの法線方向に対して角度T傾けることができる。
【0038】
次に、基板Wをワークフレーム21から一度取り外して、回転孔13Hの中で所定角度(角度θ)回転させるために、角度θとなる位置に調整して固定を行って、角度調整ネジ32を用いて、その位置で遮蔽板24を固定させる。そして、再度、基板Wをワークフレーム21に装着して、基板固定部材23で背面側を固定し、遮蔽板24をワークフレーム21に装着する。この状態で、第2の斜方蒸着膜52を蒸着させる。これにより、第2の斜方蒸着膜52の光学軸を基板Wの法線方向に対して傾斜方向に角度T、回転方向に角度θの分だけ、傾斜及び回転させることができ、第2の斜方蒸着膜52の光学軸を基板Wの法線方向に対して2方向に傾斜させることができる。
【0039】
以上において、第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とは1枚の基板W上に蒸着されるものについて説明したが、第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とは別個独立の基板に蒸着されるものであってもよい。つまり、第1の斜方蒸着膜51を第1の基板に対して蒸着させ、第2の斜方蒸着膜52を第2の基板に対して蒸着させて、第1の基板と第2の基板とを接合させて位相差素子を得ることもできる。この位相差素子も広帯域の光に対応した位相差素子となる。
【0040】
なお、第1の斜方蒸着膜51は基板Wの法線方向に対して傾斜させ、第2の斜方蒸着膜は基板Wの法線方向に対して傾斜及び回転させているが、第1の斜方蒸着膜51は基板Wの法線方向に対して傾斜及び回転させ、第2の斜方蒸着膜も基板Wの法線方向に対して傾斜及び回転させるものであってもよい。ただし、この場合には、第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とは、少なくとも回転方向については、光学軸の方向を異ならせなくてはならない。このため、第1の斜方蒸着膜51、第2の斜方蒸着膜52を基板Wに蒸着させるときに、少なくとも回転角度θについては異ならせるようにする。
【0041】
ここで、位相差素子としては基板に位相差フィルムを貼り付けたものがあり、1軸に延伸させた2枚の光学フィルムを、光学軸が相互に交差するように貼り合わせて、広帯域の光に対応しているものもある。この位相差フィルムにおいても、広帯域の光に対して安定した位相差特性を示すが、そもそもフィルムにより素子を形成しているため、耐熱性や耐湿性、耐光性等の問題があり、また高い面精度や信頼性が得られないといった問題もある。例えば、液晶プロジェクタ等では、温度変化や湿度変化、光劣化等が急激であるため、位相差フィルムの性能劣化といった問題が顕著になる。本発明の位相差素子50は、斜方蒸着膜により位相差素子を形成しているため、耐熱性や耐湿性等に優れ、高い面精度を持つ位相差素子を得ることができ、同時に2方向に傾いた光学軸を有する斜方蒸着膜であるため、広帯域の光に対して安定した位相差特性を発揮する。
【0042】
次に、三角プリズムの一面に斜方蒸着膜を蒸着するためのプリズム支持部材について説明する。このプリズム支持部材は、基本的には前述した基板支持部材6と共通しているが、基板Wを保持する機構が相違している。図10に示すように、プリズム支持部材60はワークフレーム61とプリズム支承板62と位置決め板63と連結ネジ64と板バネ65と取付ネジ66とを有して概略構成している。また、遮蔽板24は前述したものと同じものである。
【0043】
ワークとしてのプリズムPは三角柱状のガラス部材であり、蒸着面PVに材料を蒸着させる。蒸着させる材料としては、前述したものと同様に誘電性金属酸化物である。ワークフレーム61は遮蔽板24を挟持するための遮蔽板保持部を有しており、プリズム支承板62に連結している。プリズム支承板62はプリズムPの端部を支承するための部材となり、プリズムPの蒸着面PVよりも若干狭い開口部を有している。プリズム支承板62は位置決め板63と連結ネジ64により連結固定している。位置決め板63はプリズムPを位置決めして固定するための部材である。位置決め板63はプリズムPの蒸着面PVと同じサイズの開口部を有しており、この開口部にプリズムPを嵌合させると、プリズムPはプリズム支承板62に当接した状態になり、しかも位置決め板63により蒸着面PVの外周が位置決めされた状態になる。
【0044】
板バネ65は取付ネジ66により位置決め板63にネジ固定している。板バネ65はプリズムPの蒸着面PVの背面側の稜線PLを押圧する弾性部材である。従って、板バネ65とプリズム支承板62と位置決め板63とにより、プリズムPは完全に固定される。また、板バネ65を固定する取付ネジ66を緩めることにより板バネ65を自由に回転させることができ、プリズムPを容易に取り外すことができる。これにより、プリズムPは着脱可能な構成となっている。
【0045】
プリズムPを板バネ65により固定した状態で、傾斜テーブル13を傾斜させて蒸着面PVに第1の斜方蒸着膜51を蒸着し、さらに回転させた状態で蒸着面PVに第2の斜方蒸着膜52を蒸着することで、光学軸の傾き方向が異なる第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とをプリズムPの蒸着面PVに蒸着させることができる。これにより、広帯域の光に対して所定の位相差を与える機能を有する位相差膜が一面に蒸着されたプリズムを得ることができる。
【0046】
ところで、プリズム支承板62には厚みの薄い板を用い、さらにこの板の開口部をテーパ部60Tとしている。蒸着面PVに対しては斜方から材料を蒸着させているため、プリズム支承板62が厚い板材の場合には、蒸着面PVに蒸着されるべき材料の一部が、厚い板材に付着してしまい、蒸着面PVの一部に材料が蒸着されなくなる。光学素子としてプリズムを用いる場合には、蒸着面の殆どを有効領域として利用することが望まれている。このため、プリズム支承板62には薄い板材を用いて、プリズム支承板62の開口部をテーパ部60Tとすることにより、斜方から材料を蒸着させた場合でも、プリズムPの蒸着面PVのほぼ全面に材料を蒸着させることができる。
【0047】
第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とを蒸着したプリズムPは、単品の光学素子としても使用することができるが、光学システムとしての光ピックアップの構成部品である偏光ビームスプリッタ等に適用することもできる。図11に示す偏光ビームスプリッタ70は、入射光Lを偏光方向によって透過と反射とを分ける光学素子である。入射光Lは、偏光ビームスプリッタ70により、P偏光成分の光(P偏光光)を透過し、S偏光成分の光(S偏光光)を反射する。
【0048】
図11において、偏光ビームスプリッタ70は、偏光分離プリズム71と位相差プリズム72とを接着剤73を用いて接着させて構成している。偏光分離プリズム71は第1の三角プリズム74の蒸着面に偏光分離膜75を蒸着したプリズムであり、位相差プリズム72は第2の三角プリズム76の蒸着面に、前述した第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52との2つの斜方蒸着膜を位相差膜77として蒸着したプリズムである。第1の三角プリズム74と第2の三角プリズム76とは同一形状の三角プリズムである。偏光分離膜75は、入射光を偏光方向によって透過と反射とに分解する誘電体多層膜であり、偏光ビームスプリッタの機能を発揮するものである。
【0049】
偏光分離プリズム71と位相差プリズム72とを接着させるときには、偏光分離膜75が形成されている面と位相差膜77が形成されている面とを接合するように接着を行う。また、偏光分離膜75及び位相差膜77は入射光Lに対して45度の角度をなすように配置している。このため、偏光分離プリズム71及び位相差プリズム72の形状は直角二等辺三角形となる。
【0050】
図11に示すように、偏光ビームスプリッタ70に入射する光LはP偏光光又はS偏光光の何れかの直線偏光の光となっており、ここではP偏光光(LP)になっているものとする。P偏光光LPは偏光分離膜75に入射するが、偏光分離膜75はP偏光光を透過する誘電体多層膜であるため、P偏光光LPはそのまま透過する。このP偏光光LPは、次に位相差膜77に入射する。位相差膜77ではP偏光光LPに対して所定の位相差を与える。ここでは、位相差膜77はP偏光光LPに対して複屈折性を作用して、90度の位相差を与えるものとする。従って、位相差膜77はλ/4波長板としての機能を果たすことになり、位相差膜77に入射したP偏光光LPは円偏光となってディスクDCに入射する。そして、ディスクDCで反射した光LCは、再び位相差膜77に入射して、90度の位相差が与えられて(P偏光光LPのときから合計180度の位相差が与えられている)S偏光光LSとなる。偏光分離膜75はS偏光光を反射するため、偏光分離膜75で光LSは反射して、光検出器であるディテクタPDに入射する。
【0051】
光ピックアップの構成としては、偏光ビームスプリッタの他にλ/4波長板を用いて、偏光ビームスプリッタを透過又は反射した光の一方をλ/4波長板で円偏光にしている。つまり、偏光ビームスプリッタとλ/4波長板とは、夫々別個独立の部品として光ピックアップのシステム内に設けておく必要がある。しかし、図11に示すように、偏光ビームスプリッタの内部にλ/4波長板として機能する位相差膜77を設けているため、λ/4波長板を単体でシステム内に配置する必要がなくなる。このため、部品点数の削減を図ることができ、コスト削減を達成することできることは勿論、光ピックアップのシステム全体のコンパクト化を達成できる。
【0052】
しかも、位相差膜77は、夫々光学軸の方向が異なる第1の斜方蒸着膜と第2の斜方蒸着膜とをプリズム76に蒸着させたものであり、広帯域の光に対して安定した位相差特性を発揮することができる。近年の光ピックアップは、大容量の情報を取り扱うために短波長の光を用いている一方で、長波長の光を取り扱うシステムとの互換性も要求されている。従って、光ピックアップの構成部品は広帯域の波長の光に対応する必要があり、安定した光学特性を満たすことが要求されている。そこで、第1の斜方蒸着膜51と第2の斜方蒸着膜52とを位相差膜77として蒸着させた位相差プリズム76を有する偏光ビームスプリッタ70を用いれば、システム全体のコンパクト化や低コスト化を達成しつつ、広帯域の光に対応することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】真空チャンバの概要を説明する図である。
【図2】基板支持部材の側面図である。
【図3】傾斜テーブルの傾斜角を変化させたときの基板支持部材の側面図である。
【図4】回転機構の各部材を説明する図である。
【図5】回転機構の平面図及び断面図である。
【図6】傾斜テーブルと遮蔽板との連結部分を説明した図である。
【図7】傾斜テーブルと遮蔽板との連結部分の断面図である。
【図8】遮蔽板を回転させたときの傾斜テーブルと遮蔽板との連結部分を説明した図である。
【図9】位相差板の外観図である。
【図10】三角プリズムの場合の回転機構の断面図である。
【図11】偏光ビームスプリッタの構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0054】
1 真空チャンバ 2 ドーム
4 蒸着源 5 装着部
6 基板支持部材 7 ドーム取付部
8 傾斜機構 9 回転機構
13 傾斜テーブル 13H 回転孔
14 第1のアジャスタ部材 15 第2のアジャスタ部材
21 ワークフレーム 21A 蒸着面固定部
24 遮蔽板 30 テーブル支持部材
50 位相差素子 51 第1の斜方蒸着膜
52 第2の斜方蒸着膜 60 プリズム支持部材
62 プリズム支承板 65 板バネ
70 偏光ビームスプリッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着チャンバ内に配置される蒸着源から蒸発した材料を蒸着させるワークを固定保持するワークホルダと、
前記ワークホルダを、前記蒸着チャンバ内に固定する固定手段と、
前記固定手段に対して任意の角度で傾斜するように、前記ワークホルダを傾斜させるワーク傾斜手段と、
前記ワーク傾斜手段に対して、前記ワークホルダを任意の角度で回転させるワーク回転手段と、
を備えたこと、を特徴とするワーク支持部材。
【請求項2】
前記ワークは平板状の薄板であり、
前記ワークホルダは、
前記ワークの外周を保持するフレーム部材と、
前記フレーム部材に一体的に形成され、前記ワークの蒸着面を固定する蒸着面固定部と、
前記フレーム部材に着脱可能に設けられ、前記フレーム部材に装着したときに、前記ワークの背面を押圧して固定する背面固定部材と、
前記フレーム部材に着脱可能に設けられ、前記フレーム部材に装着したときに、前記ワークの背面を遮蔽する遮蔽部材と、
を備えたこと、を特徴とする請求項1記載のワーク支持部材。
【請求項3】
前記ワークは三角プリズムであり、
前記ワークホルダは、
前記三角プリズムの蒸着面の外周を固定する外周固定部材と、
前記三角プリズムの前記蒸着面を固定する前面固定部材と、
前記蒸着面の反対側の稜線に弾性力を作用させて押圧する弾性押圧部材と、
前記外面固定部材を連結するフレーム部材に着脱可能に設けられ、前記フレーム部材に装着したときに、前記ワークの背面を遮蔽する遮蔽部材と、
を備えたこと、を特徴とする請求項1記載のワーク支持部材。
【請求項4】
請求項1乃至3何れか1項に記載のワーク支持部材を用いて製造された位相差素子。
【請求項5】
第1の斜方蒸着膜と第2の斜方蒸着膜とを有し、
前記第1の斜方蒸着膜の光学軸の方向と前記第2の斜方蒸着膜の光学軸の方向とは、蒸着面の法線方向に対して傾斜および/または回転しており、
前記第1の斜方蒸着膜の光学軸の方向と前記第2の斜方蒸着膜の光学軸の方向とは異なっていること、を特徴とする位相差素子。
【請求項6】
前記第1の斜方蒸着膜と前記第2の斜方蒸着膜とは三角プリズムの蒸着面に蒸着されていること、を特徴とする請求項5記載の位相差素子。
【請求項7】
三角プリズムの蒸着面に、光学軸の方向が前記蒸着面の法線方向に対して傾斜および/または回転している第1の斜方蒸着膜と、光学軸の方向が前記蒸着面の法線方向に対して傾斜および/または回転し、且つ前記第1の斜方蒸着膜の光学軸の方向と異なる第2の斜方蒸着膜と、を形成した位相差プリズムと、
三角プリズムの一面に偏光方向によって透過と反射とを分ける偏光分離膜を形成した偏光分離プリズムと、を有し、
前記位相差プリズムの前記第1の斜方蒸着膜と第2の斜方蒸着膜とを形成している面と、前記偏光プリズムの前記偏光分離膜を形成した面とを接合して構成したこと、を特徴とする偏光ビームスプリッタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−161843(P2009−161843A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2980(P2008−2980)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】