説明

ワーク測定装置、ワーク搬送テーブル、ワーク測定方法及び電子部品の製造方法

【課題】チップ型電子部品を搬送しながら電気的特性を測定するときに、プローブ押圧による外部電極の損傷が生じない装置と方法を提供する。
【解決手段】ワーク測定装置はテーブルベース1と、テーブルベース上に回転自在に設置され、テーブルベースと反対側の第1層2aと、テーブルベース1側の第2層2bとを有する搬送テーブル2とを備えている。第1層を貫通してワークWを収納する複数のワーク収納孔4が設けられ、第2層に各ワーク収納孔に対応して、第2層を貫通してスルーホール9が設けられている。ワーク収納孔に収納されたワークの一側電極Waは、ワーク収納孔の第1層側から露出するとともに、他側電極Wbは第2層のスルーホールに当接する。搬送テーブルの第1層側に、ワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接する第1のプローブ60を設け、テーブルベース内に第2層のスルーホールに当接する第2プローブ61を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ形電子部品等のワークを搬送テーブルのワーク収納孔に収納して搬送しながら、ワークの外部電極にプローブを当接させて電気的特性の測定を行うワーク測定装置、ワーク搬送テーブル、ワーク測定方法及び電子部品の製造方法に係り、とりわけプローブの押圧力によるワークの外部電極への大きな損傷が発生しにくく、かつプローブとワークの外部電極の電気的接触を十分に確保することができるワーク測定装置、ワーク搬送テーブル、ワーク測定方法および電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チップ形電子部品等の直方体形状のワークを搬送テーブルのワーク収納孔に収納して搬送しながら、ワークの長手方向両端に設けられた外部電極にプローブを当接させて電気的特性の測定を行うワーク測定装置が知られている。またワーク測定装置において測定を行う際に、ワークの外部電極に当接させる部分を回転自在の円筒形の導電体により形成したプローブを使用することも知られている。
【0003】
従来のワーク測定装置は、水平に設置されたテーブルベースと、テーブルベース上に回転自在に設置された円形の搬送テーブルとを有し、搬送テーブルを貫通して複数のワーク収納孔が同一円周上に並ぶように設けられている。そして長手方向両端にー対の外部電極を有するワークが、上側の外部電極をワーク収納孔から露出させて各ワーク収納孔に個別に収納される。
【0004】
このようなワーク測定装置において、搬送テーブルが間歇回転してワークが搬送され、測定部にワークが到達すると、測定部において搬送テーブル上側に固定され搬送テーブルに向けて付勢された円筒形のプローブが、搬送テーブルの上面側からワークの上側の外部電極に乗り上げるように当接する。同時に、測定部においてテーブルベース内に固定されたプローブがワークの下側の外部電極に当接する(特許文献1参照)。
【0005】
この場合、搬送テーブル上側の円筒形のプローブとテーブルベース内に固定されたプローブは、あらかじめ測定器に接続されており、上述のように両方のプローブがワークの上側及び下側の電楯に当接して搬送テーブルが停止すると、直ちにワークの電気的特性の測定を行うことができる。上述したワーク測定装置によれば、搬送テーブルが停止した後でプローブをワークの外部電極に向けて移動させて当接させる方法に比べて、測定時間の短縮を実現することができる。
【0006】
しかしながら上述したワーク測定装置では、以下の問題が発生する。第1の問題は、測定部における搬送テーブルの停止直前と測定後の搬送テーブルの回輯開始直後に、搬送テーブル上方の円筒形のプローブが搬送テーブルに向けて付勢されながらワークの上側の外部電極に当接する際に、ワークの下側の外部電極が当接するテーブルベースが移動することになる。このため搬送テーブル上方の円筒形のプローブとワークの上側の電梱との当接によって生じる押圧力によって、下側の外部電極とテーブルベースとの間に摩擦を生じ、この摩擦により下側の外部電極に大きな損傷が発生することがある。特に外部電極の表面が金属薄膜で覆われている場合は、摩擦によって薄膜の剥がれが発生し、はんだ実装の際のフィレット形成が不十分となり実装不良につながる恐れがあった。また、剥がれ自体が外観不良となる恐れがあった。
【0007】
第2の問題は、ワークの外部電極が外側に向けて凸形に丸みをおびた形状になっているため、電気的特性の測定時にプローブとワークの外部電極の当接が安定性に欠け、これによって電気的特性測定中にワークの姿勢が変動しやすくなり、プローブとワークの外部電極の電気的接触が不十分となって、測定精度が低下する場合があることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2005−514605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、搬送テーブル上方に配置されたプローブがワークの上側の外部電極に当接する際に、プローブがワークの外部電極に及ぼす押圧力によってワークの外部電極に大きな損傷が発生することがなく、かつワークの電気的特性の測定を行う際にワークの姿勢を安定させて、プローブとワークの外部電極の十分な電気的接触を確保することができるワーク測定装置、ワーク搬送テーブル、ワーク測定方法を提供すること、電気的特性の際に対象ワークの薄膜剥がれを防止することが可能な搬送テーブルを提供すること、およびこれらの測定装置、測定方法を用いた電子部品の製造方法提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、―側外部電極および一側外部電極と反対側に位置する他側外部電極を有するワークを収納して搬送しながら、当該ワークの電気的特性を測定するワーク測定装置において、テーブルベースと、テーブルベース上に回転自在に設置され、テーブルベースと反対側の第1層と、テーブルベース側の第2層とを有する搬送テーブルとを備え、第1層に第1層を貫通してワークを収納する複数のワーク収納孔が設けられ、第2層に各ワーク収納孔に対応して、第2層を貫通して導電性スルーホールが設けられ、ワーク収納孔に収納されたワークの一側外部電極は、ワーク収納孔の第1層側から露出するとともに、他側外部電極は第2層のスルーホールに当接し、搬送テーブルの第1層側に、ワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接する第1のプローブを設け、テーブルベース内に第2層のスルーホールに当接する第2プローブを設けたことを特徴とするワーク測定装置である。
【0011】
本発明は、第1のプローブは搬送テーブルに向けて付勢された導電体を有することを特徴とするワーク測定装置である。
【0012】
本発明は、導電体は回転自在の円筒形状をもち、導電体の外周面がワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接することを特徹とするワーク測定装置である。
【0013】
本発明は、導電体は平板形状をもち、導電体の一面がワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接することを特徴とするワーク測定装置である。
【0014】
本発明は、導電体のうちワークの一側外部電極が当接する箇所の内側に、導電体を貫通する貫通穴を設けたことを特徴とするワーク測定装置である。
【0015】
本発明は、対象ワークを収容し、搬送するワーク搬送テーブルであって、複数のワーク収納孔が形成された第1層と、第1層の設けられた前記複数のワーク収納孔に対応して、スルーホールが形成された第2層と有し、 前記ワーク収納孔の直径は、前記スルーホールの直径より大きく、かつ、対象ワークの搬入方向に直交する断面積よりも大きく形成されており、前記スルーホールの直径は、対象ワークの搬入方向に直交する断面積よりも小さく形成されており、前記スルーホールの内壁に導体からなるプリントパターンが形成されていることを特徴とするワーク搬送テーブルである。
【0016】
本発明は、上記記栽のワーク測定装置を用いたワーク測定方法において、搬送テーブルの第1層に設けられた各ワーク収納孔にワークを個別に収納して、ワークの一側外部電極をワーク収納孔の第1層側から露出させるとともに、他側外部電極を第2層のスルーホールに当接させながら、ワークを版のすする工程と、搬送テーブルの第1層側から第1のプローブをワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接させるとともに、テーブルベース内から第2のプローブを第2層のスルーホールに当接させてワークの電気的特性を測定することを特徴とするワーク測定方法である。
【0017】
本発明は、第1のプローブは搬送テーブルに向けて付勢された導電体を有することを特徹とするワーク測定方法である。
【0018】
本発明は、導電体は回転自在の円筒形状をもち、導電体の外周面がワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接することを特徴とするワーク測定方法である。
【0019】
本発明は、導電体は平板形状をもち、導電体の一面がワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接することを特徴とするワーク測定方法である。
【0020】
本発明は、前記ワークは、略直方体形状であり、前記ワークの対向する1対の端面に外部電極を有し、前記外部電極の表面は金属薄膜で覆われていることを特徴とするワーク測定方法である。
【0021】
本発明は、導電体のうちワークの一側外部電極が当接する箇所の内側に、導電体を貫通する貫通穴を設けたことを特徴とするワーク測定方法である。
本発明は、上記記載のワーク測定方法を用いた電子部品の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、搬送テーブルはテーブルベースと反対側の第1層と、テーブルベース側の第2層により構成され、第1層を貫通してワーク収納孔を設けているので、ワーク収納孔内のワークの外部電極がテーブルベースに当接することはない。
【0023】
このため、搬送テーブルがテーブルベース上を回転している状態で第1のプローブがワークの一側外部電極に当接してワークに押圧力が働いても、ワークの他側外部電極とテーブルベースとの間に摩擦が働くことはなく、ワークの他側外部電極に大きな損傷が発生することはない。また、搬送テーブルの第2層にワーク収納孔に対応してスルーホールが設けられているため、ワークの電気的特性測定の際に、ワークの他側外部電極がスルーホールに当接してワークの姿勢が安定する。このため、測定中に第2のプローブとワークの他側外部電極との十分な電気的接触を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明によるワーク測定装置の第1の実施の形態を示す平面図。
【図2】図2はワークの斜視図。
【図3】図3は図2における矢印B方向側面図。
【図4】図4は本発明の第1の実施の形態におけるワーク収納孔を示す透視図。
【図5】図5は本発明の第1の実施の形態におけるワーク収納孔にワークを収納した状態を示す透視図。
【図6】図6は図4を矢印X方向から見た平面図。
【図7】図7は図5を矢印X方向から見た平面図。
【図8】図8は本発明の第1の実施の形態における第1測定部の動作説明図。
【図9】図9は本発明の第1の実施の形態における第1測定部の動作説明図。
【図10】図10は本発明の第1の実施の形態における第1測定部の動作説明図。
【図11】図11は本発明の第1の実施の形態における第1測定部の動作説明図。
【図12】図12は本発明の第1の実施の形態における第1測定部の勁作説明図。
【図13】図13は図9の領域F1の拡大図。
【図14】図14は図10の領域GIの拡大図。
【図15】図15は図11の領域H1の拡大図。
【図16】図16は本発明の第1の実施の形態における排出部の動作説明図。
【図17】図17は本発明の第1の実施の形態における排出部の動作説明図。
【図18】図18は本発明の第2の実施の形態における第1測定部の動作説明図。
【図19】図19は本発明の第3の実施の形態における第1測定部の動作説明図。
【図20】図20は比較例におけるワーク収納孔の透視図。
【図21】図21は比較例におけるワーク収納孔にワークを収納した状態の透視図。
【図22】図22は比較例における篤1測定部の動作説明図。
【図23】図23は比較例における第1測定部の動作説明図。
【図24】図24は比較例における第1測定部の動作説明図。
【図25】図25は比較例における第1測定部の動作説明図。
【図26】図26は比較例における第1測定部の動作説明図。
【図27】図27は図23の領域F2の拡大図。
【図28】図28は図24の領域G2の拡大図。
【図29】図29は図25の領域H2の拡大図。
【図30】図30はコンデンサの製造方法を示す図。
【図31】図31はコンデンサの製造方法を示す図。
【図32】図32はコンデンサの製造方法を示す図。
【図33】図33はコンデンサの製造方法を示す図。
【図34】図34はコンデンサの製造方法を示すフローチャート。
【図35】図35は本発明の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の実施の形態
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図17を用いて説明する。本発明によるワーク測定装置の平面図を図1に示す。
【0026】
ワーク測定装置100は、水平に設置されたテーブルベース1と、このテーブルベース1の上に回転自在に配置された搬送テーブル2とを備えている。搬送テーブル2は図示されない駆動機構の作用により、中心軸3の周囲に時計まわり(矢印Aの方向)に間歇回転する。また搬送テーブル2の外周部近傍には、ワークWを個別に収納する複数のワーク収納孔4が円周上に並んで形成されている。また、搬送テーブル2の回転方向に沿って、供給部5、第1測定部6、第2測定部7、排出部8がこの順に配置されている。
【0027】
ここで、ワークWについて図2及び図3を用いて説明する。ワークWの斜視図を図2に示す。ワークWはチップ形電子部品からなり、本実施の形態では積層セラミックコンデンサとした。
【0028】
積層セラミックコンデンサは、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
【0029】
本実施の形態で用いる積層セラミックコンデンサは以下の公知の方法によって形成されたものである。図30に示される実施の形態に係るセラミック電子部品C1の製造方法について説明する。図34は、本実施の形態に係るセラミック電子部品の製造方法の手順を示すフロー図である。本実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法は、積層体形成工程S1、グリーンチップ形成工程S2、焼成工程S3、外部電極形成工程S4及び電気的特性評価工程S5を含む。この工程S1〜S5により上述したセラミック電子部品C1が複数形成される。各工程について説明する。
【0030】
積層体形成工程S1では、図31に示すように、複数のセラミックグリーン層121が積層され、内部に複数の電極パターン117が設けられた積層体110を形成する。なお、図31は、積層体110における積層方向と垂直な断面を示す。まず、PETフィルム上にセラミックグリーン層121を形成する。セラミックグリーン層121は、主成分に添加物を加え、バインダ樹脂(例えば有機バインダ樹脂等)、溶剤、可塑剤等を更に加えて混合分散することにより得られたセラミックスラリーをPETフィルム上に塗布後、乾燥することによって形成される。セラミックグリーン層121の主成分は、焼成後にセラミック粒子となるセラミックの原料粒子であり、例えば、BaTiO3である。添加物は、例えば、MgO、Y2O3、MnO、V2O5、BaSiO3、及びCaSiO3等である。
【0031】
次に、セラミックグリーン層121の上面に複数の電極パターン117を形成する。電極パターン117は、セラミックグリーン層121の上面に電極ペーストを印刷後、乾燥することにより形成される。電極ペーストは、例えばNi、Ag、Pdなどの金属粉末にバインダ樹脂や溶剤等を混合したペースト状の組成物である。印刷手段として、例えばスクリーン印刷などを用いる。
【0032】
この電極パターン17が形成されたセラミックグリーン層121を複数積層する。電極パターン117が形成された複数のセラミックグリーン層121を挟んで、電極パターン117が形成されていない複数のセラミックグリーン層121を上下それぞれに積層する。これにより、積層体110が形成される。
【0033】
次に、グリーンチップ形成工程S2において、積層体110を積層方向と平行な方向に切断して、図32に示すようなグリーンチップ112を形成する。
【0034】
図33に示すグリーンチップ112において、2つの端面112a,112bは、切断面であり、電極パターンの端部が露出している。第1及び第2の側面112c,112dは、積層方向に垂直な面であり、積層体110において積層方向に垂直で互いに対向する主面110c,110dに相当する面である。第3及び第4の側面112e,112fは、切断面である。
【0035】
次に、焼成工程S3において、セラミックグリーン層121に含まれるバインダを除去し、焼成する。焼成により、グリーンチップ112のセラミックグリーン層121がセラミックとなり、電極パターン117が内部電極層107となり、グリーンチップ112がチップ素体102となる。
【0036】
次に、外部電極形成工程S4において、チップ素体102の両端面102a,102bに、第1の外部電極Waと第2の外部電極Wbとがそれぞれ形成される。これにより、内部電極層107が第1の外部電極103又は第2の外部電極104に電気的に接続される。外部電極は、チップ素体102の両端面102a,102bに導電性のペーストを塗布し、焼き付けることによって金属焼付け電極層を形成し、金属焼付け電極層を覆うように薄膜層を形成することによって得られる。
【0037】
金属焼付け電極を構成する金属成分としては、Cu、Ni、Ag,Pd、等の各種金属やこれらの合金などを用いる。
【0038】
金属薄膜層の形成方法としては、電気メッキ、無電解メッキ、スパッタリングなど物理気相蒸着法、化学気相蒸着法などの薄膜形成方法が適用される。金属薄膜層の金属成分としては、Ni、Sn、Cuの金属やこれら金属の合金が用いられる。
【0039】
本実施形態では、ハンドリング性や製造工程の簡略化を考慮し、薄膜層として電気メッキによって形成されるメッキ層を用いる。また、はんだ付け性やグリーンチップとの接合性を考慮し、金属焼き付け電極を構成する金属としてCu、金属焼付け電極を覆うように形成する1層目のメッキ層をNiメッキ、さらに1層目を覆うように形成する2層目のメッキ層としてSnメッキを用いた。以上説明した各工程によって、複数のセラミック電子部品C1が完成する。
【0040】
以上によって得られたセラミック電子部品C1に関し、外部電極WaはワークWの上側に位置する一側外部電極となり、外部電極WbはワークWの下側に位置するとともに一側外部電極Waと反対側に設けられた他側外部電極となる。
【0041】
次に、電気的測定評価工程S5において、後述のように測定器に接続された第1のプローブ60および第2のプローブ61を各々外部電極Wa及びWbに当接させることにより、ワークWの電気的特性を測定する。
【0042】
本実施の形態ではプローブ60、61を外部電極Wa及びWbに当接させてコンデンサの漏れ電流値を測定する。図2におけるワークWの縦の長さLと横の長さMは略同一である。
ワークWの縦の長さL、横の長さM、高さNの例としては、それぞれ0.3〜3.2mm、0.3〜3.2mm、0.6〜2.5mmのものが考えられる。ここで、ワークWを図2における矢印Bの方向から見た側面図を図3に示す。上述のように、基体Wxの長手方向両端に導電性のペーストを塗布して外部電極Wa及びWbを形成するため、外部電極Wa及びWbは基体Wxの表面から盛り上がった状態となっている。
【0043】
すなわち、図3において、ワークWの長手方向に沿う外部電極Waの表面Wa及びWaは、それぞれ基体Wxの表面Wx及びWxよりも外側に張り出しており、ワークWの長手方向端に位置する外部電極Waの端面Wa3は、ワークWの外側に向けて凸形に丸みをおびた形状になっている。外部電極Wbについても同様である。
【0044】
図1において、ワーク測定装置100を矢印Cの方向から見た透視図を図4に示す。搬送テーブル2は、テーブルベース1と反対側の第1層2aと、テーブルベース1側の第2層2bとを有する2層構造からなっている。ワーク収納孔4は第1層2aを貫通して形成されている。
【0045】
図4を矢印Xの方向から見た平面図を図6に示す。図4及び図6に示すように、搬送テーブル2をワーク収納孔4の上方から(図4の矢印Xの方向から)見たとき、円形をなす貫通穴9aが、ワーク収納孔4に対向して第2層を貫通して形成されている。
貫通穴9aの断面積はワーク収納孔4よりも小さく、かつ、ワークの搬入方向断面積(L×W)よりも小さく設定されている。
そして、第2層2bの上面2bと下面2bにおける貫通穴9aの内壁に、貫通穴9aの周囲と貫通穴9aの内壁を接続する導体からなるプリントパターン9bが形成されている。この貫通穴9aとプリントパターン9bによって、第2層2bのワーク収納孔4側とテーブルベース1側を電気的に接統する導電性スルーホール9が形成されている。プリントパターン9bは、貫通穴9aの周囲に形成されていることが好ましく、第2層の表面と貫通穴9aの内壁および周囲全体に形成されていることが好ましい。プリントパターン9bが形成されている領域が広くなることで、ワークとのプリントパターンの接触面積が増えることとなり、電極Wa,Wbとの電気的接続をより確実に確保することができる。プリントパターン9bを形成するために、第2層2bはガラスエポキシ等のプリント基板用材料により構成されることが好ましい。
【0046】
図4に示すワーク収納孔4にワークWを収納したときの様子を図5に示す。
【0047】
図5に示すように、ワーク収納孔4に収納されたワークWの一方の外部電極Waはテーブルベース1の反対側となる第1層2aの上面2alから露出しており、他方の外部電極Wbは第2層2bの上面2bにおいてスルーホール9を構成するプリントパターン9bに当接している。ここで、搬送テーブル2の上方からプローブを外部電極Waに確実に当接させるために、第1層2aの高さ、すなわちワーク収納孔4の深さTは、ワークWの高さNよりもやや小さく設定されている。このため、ワーク収納孔4内のワークWの外部電極Waは、第1層2aの上面2aからわずかに上方に突出している。
【0048】
図5を矢印Xの方向から見た平面図を図7に示す。上述のように、ワークWの縦の長さLと横の長さMは略同一であり、搬送テーブル2をワーク収納孔4の上方から(図5の矢印Xの方向から)見たときのワーク収納孔4の開口郎は正方形をなし、その一辺の長さは、ワークWの縦の長さL及び横の長さMよりやや大きい値Sに設定されている。すなわち、ワーク収納孔4の内壁とワークWの外周との間には、僅かな間隙が存在する。
【0049】
また、スルーホール9の断面積はワーク収納孔4よりも小さく、かつ、ワークの搬入方向断面積(L×W)よりも小さく設定されている。図5に示すように、ワークを収納孔9に収納すると、スルーホールの周縁部と電極Wbが当接し、ワーク収納穴4内でワークが倒れることなく収納することができる。
【0050】
ところで、図8乃至図11に示すように、ワーク測定装置100の第1測定部6において、搬送テーブル2の第1層2a上方にワークWの一側外部電極Waに当接する第1のプローブ60が設けられ、テーブルベース1内に第2層2bのスルーホール9に当接する第2のプローブ61が設けられている。
【0051】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。図1において、供給部5の作用により、ワーク収納孔4に個別にワークWが収納される。搬送テーブル2が矢印Aの方向に間歇回転してワークWを搬送し、ワークWが第1測定部6に到達すると、ワークWの電気的特性の測定が行われる。
【0052】
この様子を、図1において第1測定部6を矢印D方向から見た透視図である図8乃至図15を用いて説明する。図8は搬送テーブル2が図1における矢印Aの方向に間歇回転しながら、ワーク収納孔4に収納されたワークWを第1測定部6に向けて搬送している様子を示す。
【0053】
図8において、第1測定部6内には、テーブルベース1の反対側となる搬送テーブル2の上側に、第1のプローブとして上側プローブ60が配置されるとともに、テーブルベースl内に第2のプローブとして下側プローブ61が配置されている。上側プローブ60は断面が円筒形のローラ60aを有し、ローラ60aはアーム60cにより支えられる車軸60bの周囲に回転自在となっている。ローラ60a、車軸60b、アーム60cはいずれも導電体からなり、図示されない導電接続機構により互いに電気的接続が図られるとともに、電気的特性を測定する測定器に電気的に接続されている。
【0054】
また、上側プローブ60は、図示されない弾性機構により搬送テーブル2の第1層2aの表面2alに向けて付勢されており、このため、図8において搬送テーブル2が矢印Aの方向(図1における矢印Aの方向)に間欺回転すると、ローラ60aの円筒形の外周面は搬送テーブル2の第1層2aの表面2alに当接しながら、矢印A1の方向に回転する。また、下側プローブ61は図示されない導電接続機構により、電気的特性を測定する測定器に電気的に接続されており、下側プローブ61の上面は、テーブルベース1の上面1sと略同一平面上に位置する平面形状をなしている。図9は、図8の状態の後でワークWが第1測定部6に到進して、搬送テーブル2が停止する直前の様子を示したものである。
【0055】
上述のように、ワーク収納孔4内のワークWの電極Waは、第1層2aの上面2alからわずかに上方に突出しているため、図9において、ローラ60aの円筒形の外周面は搬送テーブル2の第1層2aの表面2alから離間して外部電極Waに乗り上げる。このとき、上述のようにワーク収納孔4の内壁とワークWの外周との間に僅かな間隙が存在するため、ワークWはワーク収納孔4内で傾斜姿勢となって固定される。
【0056】
このときの図9における領域F1の拡大図を図13に示す。搬送テーブル2が矢印Aの方向に回転し、搬送テーブル2の第1層2aの表面2alに向けて付勢されたローラ60aは、ワーク収納孔4内のワークWの外部電極Waに点P1で当接しながら乗り上げる。このとき、ローラ60aが水平方向に外部電極Waに及ぼす力の作用により、ワークWの電極Wa及びWbは搬送テーブル2の回転方向側が持ち上がり、ワークWはワーク収納孔4内で傾斜姿勢となって固定される。そして、外部電極Wbと搬送テーブル2の第2層2bの上面2bが点Q1で当接する。
【0057】
この状態で、ローラ60aの付勢力によって、外部電極Waには点P1においてベクトルJ1で示される垂直方向の押圧力が発生し、同様に外部電極Wbには点Q1においてベクトルK1で示される垂直方向の押圧力が発生する。ここで、点P1に対するローラ60aの当接面は回転自在の円筒の外周面であるため、この当接により外部電極Waに生じる損傷は極めて小さい。また、点Q1に対する第2層2bの上面2blの当接面はスルーホール9のプリントパターン9bであり、搬送テーブル2が矢印Aの方向に回転していても、電極Wbとプリントパターン9bは互いに静止状態であるため、この当接により電極Wbに生じる損傷もまた極めて小さい。
【0058】
図9の状態から、搬送テーブル2がさらに矢印Aの方向に回転して第1測定部6に停止した状態を図10に示す。図10において、ローラ60aの円筒の外周面はワークWの外部電極Waの略中央部分に当接し、外部電極Wbはスルーホール9のプリントパターン9bに当接している。この状態で、ワークWはワーク収納孔4内において略直立姿勢となる。
【0059】
また上述のように、ローラ60a、車軸60b、アーム60cはいずれも導電体からなり、図示されない導電接続機構により互いに電気的接続が図られるとともに、電気的特性を測定する測定器に電気的に接続されている。このため、図10において、外部電極Waはローラ60a、車軸60b、アーム60cを経由して測定器に電気的に接続される。
【0060】
他方、外部電極Wbは搬送テーブル2の第2層2bの上面2blにおいてプリントパターン9bに当接し、第2層2bの下面2b2において、プリントパターン9bは下側プローブ61に当接している。また上述のように、下側プローブ61は図示されない導電接続機構により、電気的特性を測定する測定器に電気的に接続されている。このため、図10において、外部電極Wbはプリントパターン9bと下側プローブ61を経由して測定器に電気的に接続される。
【0061】
このように、外部電極Wa及びWbがともに測定器に電気的に接続されることにより、ワークWの電気的特性の測定が行われる。ここでは、上側プローブ60として回転自在のローラ60aを用い、かつそれを搬送テーブル2に向けて付勢することにより、図10のように搬送テーブル2が停止した状態でただちにワークWの電気的特性の測定を行うことができ、測定時間の短縮を図ることができる。
【0062】
このときの図10における領域G1の拡大図を図14に示す。図13の状態から搬送テーブル2が矢印Aの方向に回転して、ローラ60aが矢印A1の方向に回転しながら外部電極Waに乗り上げると、図13におけるローラ60aの矢印A1方向の回転が外部電極Waに及ぼす力の作用によって、図14に示すようにワークWはワーク収納孔4内で賂直立状態となる。そして、ローラ60aが外部電極Waの略中央位置である点Yに到達すると、搬送テーブル2の回転が停止する。このとき、外部電極Wbはスルーホール9の貫通穴9aの縁部であるZ1においてプリントパターン9bに当接している。
【0063】
簡単のために、図14においてはZ1の表記を1箇所にしているが、実際のZ1は、1箇所の点ではなく、搬送テーブル2の第2層2bの上面2blにおける貫通穴9aの縁部となる円周全域にわたっている。ここで、上述のように、外部電極Wbの端面はワークWの外側に向けて凸形に丸みをおびた形状になっているため、ワークWがワーク収納孔4内で賂直立姿勢となった場合に、外部電極Wbの端面の最も下側に張り出した箇所である点Wb1が貫通穴9aの上側から内部にやや入った位置で、外部電極Wbが貫通穴9aの縁部となる円周Z1に当接することにより、安定して保持される。
【0064】
図14において点Yにおけるローラ60aと外部電極Waの当接は、回転自在の円筒の外周面と外側に向けて凸形に丸みをおびた面の当接であるため、やや安定性に欠ける。これに対して、Z1におけるプリントパターン9bと外部電極Wbの当接は、穴の縁部である円周と外側に向けて凸形に丸みをおびた面の当接であるため、十分な安定性を有する。従って、プリントパターン9bと外部電極Wbの当接が有する安定性によって、ローラ60aと外部電極Waの当接が有する安定性の欠如が補償され、図14に記載されたワークWの略直立姿勢が測定中に変動することはない。
【0065】
このとき、図14に示すように、ローラ60aは搬送テーブル2の第1層2aの表面2a1に向けて付勢されているため、外部電極Waには点Yにおいて付勢力によりベクトルJ2で示される垂直方向の押圧力が発生し、同様に外部電極Wbには点Z1においてベクトルK2で示される斜め方向の押圧力が発生する。上述のように、測定中のワークWの姿勢が変動することがないため、これらの押圧力によってローラ60aとワークWの外部電極Waの電気的接触及びプリントパターン9bと外部電極Wbの電気的接触はいずれも十分に確保され、電気的特性の測定精度が低下することはない。
【0066】
図10の状態で電気的特性の測定を終了し、搬送テーブル2が間歇回転を開姶した直後の様子を図11に示す。図11において搬送テーブル2が矢印Aの方向に回転を開始すると、ローラ60aは矢印A1の方向に回転しながら、その円筒形の外周面が外部電極Waから離間して搬送テーブル2の第1層2aの表面2a1に向かう。このとき、上述のようにワーク収納孔4の内壁とワークWの外周との間に僅かな間隙が存在するため、ワークWはワーク収納孔4内で傾斜姿勢となって固定される。
【0067】
このときの図11における領域H1の拡大図を図15に示す。搬送テーブル2が矢印Aの方向に回転し、搬送テーブル2の第1層2aの表面2alに向けて付勢されたローラ60aは、ワーク収納孔4内のワークWの電極Waに点P2で当接しながら搬送テーブル2の第1層2aの表面2alに向かう。このとき、ローラ60aの付勢力が外部電極Waに及ぼす作用により、ワークWの外部電極Wa及びWbは搬送テーブル2の回転方向側が持ち上がり、ワークWはワーク収納孔4内で傾斜姿勢となって固定される。そして、外部電極Wbと搬送テーブル2の第2層2bの上面2b1が点Q2で当接する。この状態で、ローラ60aの付勢力によって、外部電極Waには点P2においてベクトルJ3で示される垂直方向の押圧力が発生し、同様に外部電極Wbには点Q2においてベクトルK3で示される垂直方向の押圧力が発生する。ここで、点P2に対するローラ60aの当接面は回転自在の円筒の外周面であるため、この当接により外部電極Waに生じる損傷は極めて小さい。また、点Q2に対する第2層2bの上面2b1の当接面はスルーホール9のプリントパターン9bとなる。この場合、搬送テーブル2が矢印Aの方向に回転していても、外部電極Wbとプリントパターン9bは互いに静止伏態であるため、この当接により外部電極Wbに生じる損傷もまた極めて小さい。
【0068】
図11の状態から搬送テーブル2がさらに回転すると、図12に示すようにローラ60aは、ワーク収納孔4内のワークWの外部電極Waから離間して、矢印A1の方向に回転しながら搬送テーブル2の第1層2aの表面2alに当接した状態となる。ワークWはローラ60aが離間することにより、ワーク収納孔4内で賂直立姿勢となり、図1における第2測定部7に向けて搬送される。
【0069】
ワークWが図1における第2測定部7に到達すると搬送テーブル2は停止し、第1測定IS6において測定した項目とは異なる項日について測定が行われる。第2測定部7における測定項目は、第1測定部6と同様にプローブを外部電極Wa及びWbに当接させて測定する電気的特性の場合も考えられ、また第2測定部7において撮像手段を用いて外観検査を行ってもよい。第2測定部7における測定が終了すると、搬送テーブル2は間欺回転を開始し、ワークWは排出部8に向けて搬送される。
【0070】
図1における排出部8において、ワークWは圧縮エアの噴射によってワーク収納孔4から排出され、図示されない収納容器に収納される。この様子を図16及び図17により説明する。図16及び図17は図1において排出部8を矢印Eの方向から見た透視図である 図16において、ワーク収納孔4内のワークWは排出部8に到進し、搬送テーブル2は停止している。排出部8において、ワーク収納孔4の直上には排出パイプ81が設置され、ワーク収納孔4の直下のテーブルベース1内を貫通して噴射ノズル82が設置されている。排出パイプ81は図示されない収納容器に接統され、噴射ノズル82は図示されない圧縮エア源に接続されている。排出部8において搬送テーブル2が停止すると、噴射ノズル82、貫通穴9a、ワーク収納孔4、排出パイプ81は一直線上に配置される。この状態で、図17の矢印V方向に圧縮エア源から圧縮エアが噴出されると、圧縮エアは噴射ノズル82と貫通穴9aを経由1してワーク収納孔4内のワークWに当たり、ワークWは圧縮エアの作用によって排出パイプ81に送り込まれ、収納容器に収納される。このように、ワーク収納孔4に対向する第2層2bに貫通穴9aを形成することにより、排出部8において圧縮エア噴出により容易にワークWを排出することができる。
【0071】
第1の実施の形態の変形例
第1の実施の形態の変形例を図35に示す。図35に示す変形例は、図1乃至図17に示す搬送テーブル2に関し、ワーク収納孔4の周辺部分に凹状の段差2Aを設けたものである。他の構成は図1乃至図17に示す第1の実施の形態と同一である。
図35に示す変形例において、図1乃至図17に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省賂する。
図35に示すように、プローブが外部電極Waと当接する際に、凹部において接触時の衝撃が緩和させる作用が生じることにより、外部電極Waへの損傷をより効果的に減少させることが可能となる。
【0072】
本発明の比較例
次に、本発明の実施の形態に対する比較例としてのワーク測定装置について図20乃至図29を用いて説明する。
【0073】
図20は比較例による搬送テーブル2とワーク収納孔4を示す図であり、図4に対応するものである。
【0074】
図20において、搬送テーブル2は一層のテーブル基体20よりなり、ワーク収納孔4はテーブル基体20を貫通して形成されている。図20に示すワーク収納孔4にワークWを収納したときの様子を図21に示す。
【0075】
ワーク収納孔4に収納されたワークWの外部電極Waはテーブルベース1の反対側となるテーブル基体20の上面20slから露出しており、外部電極Wbはテーブルベース1の上面1sに当接している。また、ワーク収納孔4内のワークWの外部電極Waは、テーブル基体20の上面20s1からわずかに上方に突出している。
【0076】
比較例において、ワークWが図1における第1測定部6に到達して、ワークWの電気的特性の測定が行われる様子を、図22乃至図29を用いて説明する。 図22において、第1測定部6内にはテーブル基体20の上側に上側プローブ60が配置されるとともに、テーブルベース1内に下側プローブ61が配置されている。図23は、図22の状態の後でワークWが第1測定部6に到途して、テーブル基体20が停止する直前の様子を示したものである。
【0077】
図23において、ローラ60aの円筒形の外周面はテーブル基体20の表面20slから離間して外部電極Waに乗り上げる。このとき、ワークWはワーク収納孔4内で傾斜姿勢となって固定される。このときの図23における領域F2の拡大図を図27に示す。
【0078】
図27において、ローラ60aはワーク収納孔4内のワークWの外部電極Waに点P3で当接しながら乗り上げる。このとき、ローラ60aが水平方向に外部電極Waに及ぼす力の作用により、ワークWの外部電極Wa及びWbはテーブル基体20の回転方向側が持ち上がり、ワークWはワーク収納孔4内で傾斜姿勢となって固定される。そして、外部電極Wbとテーブルベース1の上面1sが点Q3で当接する。
【0079】
この状態で、ローラ60aの付勢力によって、外部電極Waには点P3においてベクトルJ10で示される垂直方向の押圧力が発生し、同様に外部電極Wbには点Q3においてベクトルK10で示される垂直方向の押圧力が発生する。ここで、点P3に対するローラ60aの当接面は回転自在の円筒の外周面であるため、この当接により外部電極Waに生じる損傷は極めて小さい。
【0080】
これに対して、点Q3に対する当接面はテーブルベース1の上面1sからなり、テーブル基体20は矢印Aの方向に回転している。このため、ワーク収納孔4内に傾斜姿勢で固定されたワークwの外部電極Wbは、点Q3においてベクトルK10で示される垂直方向の押圧力をテーブルベース1の上面1sから受けた状態のまま、矢印Aの方向に移動する。これによって、外部電極Wbとテーブルベース1の上面1sとの間に摩擦を生じ、この摩擦により外部電極Wbに大きな損傷が発生する。
【0081】
図23の状態から、テーブル基体20がさらに矢印Aの方向に回転して第1測定部6に極停止した伏態を図24に示す。図24において、ローラ60aの円筒の外周面はワークW極の外部電極Waの略中央部分に当接し、外部電極Wbは下側プローブ61に当接し、ワークWはワーク収納孔4内において略直立姿勢となる。そして、外部電極Waはローラ60a、車軸60b、アーム60cを経由して測定器に電気的に接続されるとともに、電極Wbは下側プローブ61を経由して測定器に電気的に接続され、ワークWの電気的特性の測定が行われる。
【0082】
このときの図24における領域G2の拡大図を図28に示す。図27の伏態からテーブル基体20が矢印Aの方向に回転して、ローラ60aが矢印AIの方向に回転しながら外部電極Waに乗り上げると、図27におけるローラ60aの矢印A1方向の回転が外部電極Waに及ぼす力の作用によって、図28に示すようにワークWはワーク収納孔4内で略直立状態となる。
【0083】
そして、ローラ60aが外部電極Waの略中央位置である点Yに到達すると、テーブル基体20の回転が停止する。このとき、外部電極Wbは下側プローブ61に当接している。ここで、上迷のように、外部電極Wa及びWbの端面はワークWの外側に向けて凸形に丸みをおびた形状になっているため、点Yにおけるローラ60aと外部電極Waは、回転自在の円筒の外周面と外側に向けて凸形に丸みをおびた面によって当接するため、安定性に欠ける。同様に、点Z2における下側プローブ61と電極Wbは、水平面と外側に向けて凸形に丸みをおびた面によって当接するため、安定性に欠ける。
【0084】
そして、ローラ60aはテーブル基体20の上面20slに向けて付勢されているため、外部電極waには点Yにおいて付勢力によりベクトルJ20で示される垂直方向の押圧力が発生し、同様に外部電極Wbには点Z2においてベクトルK20で示される垂直方向の押圧力極が発生する。
【0085】
このように、押圧力が発生している状態で外部電極Wa及びWbが安定性に欠けた状態で当接することにより、測定中のワークWの姿勢が変動することがある。その場合は、ローラ60aとワークWの外部電極Waが電気的に十分接触できなかったり、下側プローブ61と外部電極Wbが電気的に十分接触できないことがあり、この場合は電気的特性の測定精度が低下する。
【0086】
図24の状態で電気的特性の測定を終了し、テーブル基体20が間欺回転を開始した直後の様子を図25に示す。図24においてテーブル基体20が矢印Aの方向に回転を開始すると、ローラ60aの円筒形の外周面は外部電極Waから離間してテーブル基体20の上面20slに向かう。このとき、ワークWはワーク収納孔4内で傾斜姿勢となって固定される。
【0087】
このときの図25における領域H2の拡大図を図29に示す。図29において、ローラ60aはワーク収納孔4内のワークWの外部電極Waに点P4で当接しながら、テーブル基体20の上面20slに向かう。このとき、ローラ60aの付勢力が外部電極Waに及ぼす作用により、ワークWの外部電極Wa及びWbはそのテーブル基体20の回転方向側が持ち上がり、ワークWはワーク収納孔4内で傾斜姿勢となって固定される。そして、外部電極Wbとテーブルベース1の上面1sが点Q4で当接する。このとき、ローラ60aの付勢力によって、外部電極Waには点P4においてベクトルJ30で示される垂直方向の押圧力が発生し、同様に外部電極Wbには点Q4においてベクトルK30で示される垂直方向の押圧力が発生する。ここで、点P4に対するローラ60aの当接面は回転自在の円筒の外周面であるため、この当接により外部電極Waに生じる損傷は極めて小さい。
【0088】
これに対して、点Q4における外部電極Wbの当接面はテーブルベース1の上面1sであり、テーブル基体20は矢印Aの方向に回転している。このため、ワーク収納孔4内に傾斜姿勢で固定されたワークWの外部電極Wbは、点Q4においてベクトルK30で示される垂直方向の押圧力をテーブルベース1の上面1sから受けた状態のまま、矢印Aの方向に移動する。これによって、外部電極Wbとテーブルベース1の上面1sとの間に摩擦を生じ、この摩擦により外部電極Wbに大きな損傷が発生する。
【0089】
図25の状態からテーブル基体20がさらに回転すると、図26に示すようにローラ60aは、ワーク収納孔4内のワークWの外部電極Waから離間して、矢印A1の方向に回転しながらテーブル基体20の上面20s1に当接した状態となる。ワークWはローラ60aが離間することにより、ワーク収納孔4内で賂直立姿勢となり、図1における第2測定部7に向けて搬送される。
【0090】
このように、比較例によるワーク測定装置においては、搬送テーブル2がテーブル基体極20の1層よりなるため、ワーク収納孔4に収納されたワークWが第1測定部6に到達してテーブル基体20が停止する直前と、第1測定部6において測定を終了したワークWを搬送するためにテーブル基体20が回転を開姑した直後に、ワーク収納孔4内のワークWがローラ60aから受ける押圧力によって、ワークWの外部電極のうちテーブルベース1に当接する外部電極Wbに大きな損傷が発生する。また、第1測定部6において搬送テーブル2が停止した状態でワークWの電気的特性を測定する際に、ワークWの姿勢が変動しやすく、そのためプローブとワークの外部電極の電気的接触が不十分となり、電気的特性の測定精度が低下する場合がある。
【0091】
これに対して本発明によれば、上述のように、搬送テーブル2はテーブルベース1と反対側の第1層2aと、テーブルベース側の第2層2bにより構成され、第1層2aを貫通してワーク収納孔4を設けているので、ワーク収納孔4内のワークWの他側外部電極Wbがテーブルベース1に当接することはない。このため、搬送テーブル2がテーブルベース1上を回転している状態で第1のプローブ60がワークWの一側外部電極Waに当接してワークに押圧力が働いても、ワークWの他側外部電極Wbとテーブルベース1との間に摩擦が働くことはなく、ワークWの他側外部電極Wbに大きな損傷が発生することはない。また、搬送テーブル2の第2層2bにワーク収納孔4に対応してスルーホール9が設けられているため、ワークWの電気的特性測定の際に、ワークWの他側外部電極Wbがスルーホール9に当接してワークWの姿勢が安定する。このため、測定中に第2のプローブ61とワークWの他側外部電極Wbとの十分な電気的接触を確保することができる。
【0092】
本発明の実施形態1、4、比較例におけるメッキ層の不良発生率を評価した。
メッキ層の不良発生率の評価方法として、基板にはんだ実装する際のフィレットの不合格率を基準に判断した。
【0093】
(フィレット不合格率の評価)
基板上に対象サンプル100個をはんだ実装し、個々の両端面におけるフィレットの這い上がり状態を確認する。このとき、各端面におけるフィレットの這い上がり高さが、外部電極の高さの1/2以下、かつ、フィレット窪みが幅方向で1/3以上ある物を不合格とみなし、それ以外を合格と判断した。
メッキ剥がれが生じると、はんだ実装時のフィレット形成が不十分となることが確認されていることから、フィレット不合格率を評価することからメッキ剥がれの有無を評価することができる。
比較例1では、フィレット不合格率3.25%と高くなることが確認できた。これは、上述のように、外部電極Wbとテーブルベース1の上面1sとの間に生じる摩擦によって、外部電極Wbのメッキ層に大きく損傷が生じたためである。
実施形態1では、フィレット不合格率0.50%となり、比較例に比べ大きく低減できることが確認できた。さらに、実施形態4ではフィレット不合格率が0%となり、メッキ剥がれに対して有効であることが確認できた。
【0094】
金属メッキ層が形成されていない外部電極を用いた場合について本発明を適用した場合についても、外部電極の損傷に対して優位な効果が得られる。
【0095】
特に、外部電極としてメッキ膜等の薄膜層で覆われた金属電極を用いる場合に本発明は有効である。その理由として、薄膜層自体がプローブやテーブルとの接触との摩擦に対して弱いことから、薄膜層で覆われていない金属電極だけの外部電極を有する電子部品の測定工程に用いる場合に比べより顕著な効果があらわれる。
【0096】
本発明の2の実施の形態
次に本発明の第2の実施の形態を図18に示す。図18に示す第2の実施の形態は、図1における第1測定部6の上側プローブ60の代わりに、弾性を有する導電体からなる平板形状の平板プローブ62を配置したものである。他の構成は図1乃至図17に示す第1の実施の形態と略同一である。図18に示す第2の実施の形態において、図1乃至図17に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省賂する。 図18において、平板プローブ62は弾性を有するため、その作用により搬送テーブル2の第1層2aの表面2alに向けて付勢されており、ワークWの外部電極Waに当接する面は平面となっている。
【0097】
本発明の3の実施の形態
本発明の第3の実施の形態を図19に示す。図19に示す第3の実施の形態は、図18における平板プローブ62がワークWの外部電極Waに当接する箇所の内側に、スルーホール9と同様のプローブ用貫通穴62aを設けたものである。他の構成は図1乃至図17に示す第1の実施の形態と略同一である。図19に示す第3の実施の形態において、図1乃至図17に示す第1の実施の形態、および図18に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省賂する。図19に示すように、プローブ用貫通穴62aは、スルーホール9を構成する貫通穴9a及びプリントパターン9bが外部電極Wbに及ぼす作用と同一の作用を外部電極Waに及ぼすので、ワークWの電気的特性を測定する際の平板プローブ62と外部電極Waの当接をさらに安定させることができる。
【0098】
なお、上記各実施の形態において、ワーク測定装置100は測定部として第1測定部6及び第2測定部7からなる2個の測定部を有しているが、測定部の数は2個に限定されるものではない。
また、上記各実施の形態において、搬送テーブル2の回転方向は時計まわりとなっているが、搬送テーブル2は、反時計まわりに回転してもよい。
【0099】
また、上記各実施の形態において、排出部8における排出手段はテーブルベース1内を貫通して設けられた噴射ノズル82を有するが、排出手段として、例えば搬送テーブル2の上方に設置された吸着ノズルを用い、この吸着ノズルによってワーク収納孔4内のワークWを真空吸引により吸着してもよい。
【0100】
また、上記各実施の形態においては、搬送テーブル2が水平に設置されているが、搬送テーブルを垂直に設置したり、あるいは傾斜して設置してもよい。
【0101】
上記各実施の形態ではセラミックコンデンサを例としたが、必ずしもセラミックコンデンサに限定されるものではなく、セラミックコンデンサ以外の電子部品、例えば積層インダクタ、抵抗素子、バリスタ、チップサーミスタ等の電子部品においても同様に適用可能である。例えばワークWが抵抗素子の場合には、基体Wx内の電子素子は抵抗体からなり、プローブ60、61を外部電極Wa及びWbに当接させて抵抗値を測定する。
【符号の説明】
【0102】
1 テーブルベース
2 搬送テーブル
2a 第1層
2b 第2層
3 中心軸
4 ワーク収納孔
5 供給部
6 第1測定部
7 第2測定部
8 排出部
9 スルーホール
9a 貫通穴
9b プリントパターン
20 テーブル基体
60 上側プローブ
60a ローラ
60b 車軸
60c アーム
61 下側プローブ
62 平板プローブ
62a プローブ用貫通穴
100 ワーク測定装置
W ワーク
Wa 一側外部電極
Wb 他側外部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側外部電極および一側外部電極と反対側に位置する他側外部電極を有するワークを収納して搬送しながら、当該ワークの電気的特性を測定するワーク測定装置において、
テーブルベースと、
テーブルベース上に回転自在に設置され、テーブルベースと反対側の第1層と、テーブルベース側の第2層とを有する搬送テーブルとを備え、
第1層に第1層を貫通してワークを収納する複数のワーク収納孔が設けられ、
第2層に各ワーク収納孔に対応して、第2層を貫通して導電性スルーホールが設けられ、
ワーク収納孔に収納されたワークの一側外部電極は、ワーク収納孔の第1層側から露出するとともに、他側外部電極は第2層のスルーホールに当接し、
搬送テーブルの第1層側に、ワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接する第1のプローブを設け、テーブルベース内に第2層のスルーホールに当接する第2プローブを設けたことを特徴とするワーク測定装置。
【請求項2】
第1のプローブは搬送テーブルに向けて付勢された導電体を有することを特徴とする請求項1記載のワーク測定装置。
【請求項3】
導電体は回転自在の円筒形状をもち、導電体の外周面がワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接することを特徴とする請求項2記載のワーク測定装置。
【請求項4】
導電体は平板形状をもち、導電体の一面がワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接することを特徴とする請求項2記載のワーク測定装置。
【請求項5】
導電体のうちワークの一側外部電極が当接する箇所の内側に、導電体を貫通する貫通穴を設けたことを特徴とする請求項4記載のワーク測定装置。
【請求項6】
対象ワークを収容し、搬送するワーク搬送テーブルであって、
複数のワーク収納孔が形成された第1層と、
第1層の設けられた前記複数のワーク収納孔に対応して、導電性スルーホールが形成された第2層と有し、
前記ワーク収納孔の直径は、前記スルーホールの直径より大きく、かつ、対象ワークの搬入方向に直交する断面積よりも大きく形成されており、
前記スルーホールの直径は、対象ワークの搬入方向に直交する断面積よりも小さく形成されており、
前記スルーホールの内壁に導体からなるプリントパターンが形成されていることを特徴とするワーク搬送テーブル。
【請求項7】
請求項1記載のワーク測定装置を用いたワーク測定方法において、
搬送テーブルの第1層に設けられた各ワーク収納孔にワークを個別に収納して、ワークの一側外部電極をワーク収納孔の第1層側から露出させるとともに、他側外部電極を第2層のスルーホールに当接させながら、ワークを搬送する工程と、
搬送テーブルの第1層側から第1のプローブをワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接させるとともに、テーブルベース内から第2のプローブを第2層のスルーホールに当接させてワークの電気的特性を測定することを特徴とするワーク測定方法。
【請求項8】
第1のプローブは搬送テーブルに向けて付勢された導電体を有することを特徴とする請求項7記載のワーク測定方法。
【請求項9】
導電体は回転自在の円筒形状をもち、導電体の外周面がワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接することを特徴とする請求項8記載のワーク測定方法。
【請求項10】
導電体は平板形状をもち、導電体の一面がワーク収納孔内のワークの一側外部電極に当接することを特徴とする請求項8記載のワーク測定方法。
【請求項11】
導電体のうちワークの一側外部電極が当接する箇所の内側に、導電体を貫通する貫通穴を設けたことを特徴とする請求項10記載のワーク測定方法。
【請求項12】
前記ワークは、略直方体形状であり、
前記ワークの対向する1対の端面に外部電極を有し、
前記外部電極の表面は金属薄膜で覆われていることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか記載のワーク測定方法。
【請求項13】
請求項7記載のワーク測定方法を用いた電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−53936(P2013−53936A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192551(P2011−192551)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】