説明

ワーク移載装置

【課題】 印刷エリアに触れずに基板のロードとアンロードを行う。
【解決手段】 真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3を、真空引きと空気供給を切換可能とする。真空吸着ステージ2の側部のハンドフック部24に先端部を係止させるロボットハンド7の各爪の上面側に、真空引きと空気供給を切換可能とした真空吸着チャック部19を備える。真空吸着ステージ2とロボットハンド7の上方位置で往復動可能なスライダ10に、基板1の平面形状を囲む位置に配した係止用爪部材11を昇降可能に備えてなるワーク移動手段9を設ける。ロボットハンド7上と真空吸着ステージ2上で基板1を移すときは、各々の真空吸着チャック部3と19に空気供給して基板1を浮上させ、この状態で、ワーク移動手段9の係止用爪部材11により基板1の外周端を押して移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空吸着ステージに対してワークのロードとアンロードを行うワーク移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板状のワークのステージ上へのロードとアンロードを行うために用いられるワーク移載装置としては、下端に吸盤を備えた吸着装置(真空吸着チャック)によりワークの上面を接触吸着して保持する形式のものが広く一般的に用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
又、上面吸着が許されない形式のワークについては、通常、該ワークの側面を把持する形式のチャックを用いて把持するか(たとえば、特許文献2参照)、又は、ベルヌーイチャック(たとえば、特許文献3参照)や、静電チャックを用いてワークを非接触で上方から保持することが行われている。
【0004】
ところで、近年、液晶ディスプレイ等の電極パターン(導電パターン)を所要の基板上に形成する手法として、金属蒸着膜のエッチング等による微細加工に代えて、導電性ペーストを印刷インクとして用いた印刷技術、たとえば、凹版オフセット印刷技術を用いて基板上に微細な電極パターンを印刷して形成する手法が提案されてきており、この種のオフセット印刷では、基板を印刷用の吸着ステージにロード及びアンロードする工程がある。
【0005】
なお、薄板状のワークを真空吸着する吸着面を備えた真空吸着形式の吸着テーブルにおいて、ワーク搬送時には、上記吸着面に設けた複数の小孔より排出する圧縮空気(エア)をワークに吹き付けて該ワークを吸着面から浮上させるようにし、一方、ワーク加工時は上記小孔より空気を吸引してワークを吸着面に吸着させるようにする考えは従来提案されている(たとえば、特許文献4参照)。
【0006】
又、フォーク部材により板状ワークの受け渡しを行う移載装置において、上記フォーク部材における各櫛歯部の上面に、気体を噴出又は吸引させる多孔質体を備えた複数の多孔質ユニットを設けてなる構成とすることは従来提案されている(たとえば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−52137号公報
【特許文献2】特許第4197103号公報(図13)
【特許文献3】特開2004−83180号公報
【特許文献4】特開2008−159784号公報
【特許文献5】特開2007−22758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前述した精密電子回路を基板に印刷するようなオフセット印刷にて、上記基板を印刷用の吸着ステージにロードしたり、アンロードする工程では、印刷面である基板の上面に触れることはできないため、特許文献1に示されたような接触吸着形式のワーク移載装置を用いることはできない。
【0009】
又、上記精密電子回路を印刷するような平基板は、薄いものであって撓むため、特許文献2に示されたような側面を把持する形式のチャックで把持することは困難である。
【0010】
更に、特許文献3に示されたベルヌーイチャックでは、ワークを吸着するためのエジェクタ効果をもたらす高速気流が、基板上の未乾燥のインクを乱す虞が懸念される。又、静電チャックでは、静電気力や放電により、導電性ペーストを印刷インクとして印刷により形成した回路が破壊される可能性が懸念される。
【0011】
なお、特許文献4、5に示されたものは、ワークの下面全体を接触させる形式の真空吸着テーブルに対するワークのロードとアンロードを、ワークの上面に非接触で行う構成を何ら示唆するものではない。
【0012】
そこで、本発明は、ワークの下面全体を接触させることができるようにしてある真空吸着ステージに対し、ワークの上面の中央部分に触れることなくワークのロードとアンロードができるようにするワーク移載装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、ワークを載置して保持できるようにしてある真空吸着ステージのステージ上面に設けた真空吸着チャック部に、真空引きと空気供給を行うための真空引き手段と空気供給手段を、真空引きと空気供給を切り換え可能に接続し、且つ先端部を上記真空吸着ステージの側部に近接させて配置できるようにしてあるロボットハンド側に、ワークを空気浮上させるための空気浮上手段を備え、更に、上記真空吸着ステージの空気供給状態とする真空吸着チャック部、及び、ロボットハンド側の空気浮上手段により空気浮上させるワークを、上記真空吸着ステージの上方位置とロボットハンドの上方位置との間を往復移動できるようにしてあるスライダより該ワークの外周部に対しスライダ移動方向の力を加えることにより上記真空吸着ステージ上とロボットハンド上との間で往復移動させるためのワーク移動手段を備えてなる構成とする。
【0014】
又、上記構成において、ワーク移動手段のスライダに、ワークの平面形状の外周端を囲むよう配置した係止用爪部材を備えて、真空吸着ステージ上とロボットハンド上との間でワークを往復移動させるときに、上記スライダの係止用爪部材により上記ワークの外周端を押すことができるようにした構成とする。
【0015】
同様に、上記構成において、ワークを印刷対象とし、且つワーク移動手段のスライダに、上記ワークの上面における印刷エリアの余白部に吸着させるための吸着チャック手段を備えて、真空吸着ステージ上とロボットハンド上との間でワークを往復移動させるときに、上記ワークの上面の余白部に吸着させた上記スライダの吸着チャック手段により該ワークを引っ張ることができるようにした構成とする。
【0016】
上述の各構成において、ロボットハンド側に備える空気浮上手段を、該ロボットハンドの上面部に設け、且つ真空吸着ステージの側部に、上記ロボットハンドの先端部を載せて該ロボットハンドの上面を上記真空吸着ステージのステージ上面と面一に配置させるためのハンドフック部を設けるようにした構成とする。
【0017】
同様に、上述の各構成において、ロボットハンド側に備える空気浮上手段を、先端側を真空吸着ステージの側部に近接させて配置させたロボットハンドの近傍となる位置に該ロボットハンドと別体に設けた真空吸着ステージと同じ高さ位置に上面を有する箱型部材と、該箱型部材の上面部に設けた空気噴出部とからなる構成とした構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のワーク移載装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)ワークを載置して保持できるようにしてある真空吸着ステージのステージ上面に設けた真空吸着チャック部に、真空引きと空気供給を行うための真空引き手段と空気供給手段を、真空引きと空気供給を切り換え可能に接続し、且つ先端部を上記真空吸着ステージの側部に近接させて配置できるようにしてあるロボットハンド側に、ワークを空気浮上させるための空気浮上手段を備え、更に、上記真空吸着ステージの空気供給状態とする真空吸着チャック部、及び、ロボットハンド側の空気浮上手段により空気浮上させるワークを、上記真空吸着ステージの上方位置とロボットハンドの上方位置との間を往復移動できるようにしてあるスライダより該ワークの外周部に対しスライダ移動方向の力を加えることにより上記真空吸着ステージ上とロボットハンド上との間で往復移動させるためのワーク移動手段を備えてなる構成としてあるので、ワークをロボットハンド上と真空吸着ステージ上との間で相互に移動させる処理は、上記ロボットハンド側の空気浮上手段と真空吸着ステージ上で空気浮上させるワークを、該ワークの外周部のみに接するワーク移動手段により上記真空吸着ステージの上方位置とロボットハンドの上方位置との間を相互に移動させるスライダの移動方向に沿う方向の力を加えることのみで実施することができる。そのため、上記ワークの上記真空吸着ステージに対するロード及びアンロードを、該ワークの上面の中央部に全く触れることなく実施することができる。
(2)又、上記真空吸着ステージの真空吸着チャック部に空気供給を行うことで空気浮上させるワークを、該真空吸着ステージ上と、ロボットハンド上で双方向に移動させることができるため、上記真空吸着ステージのステージ上面におけるワークの載置領域には、ワークの下方にロボットハンドを挿入するための溝や、上記真空吸着ステージ上でワークを一時的に押し上げてロボットハンドを挿入できるようにするための昇降ピンを設ける必要はない。よって、上記真空吸着ステージのステージ上面におけるワークの載置領域を、ワークの下面全体を接触させることが可能なフラットな面とすることができる。
(3)したがって、本発明のワーク移載装置は、基板等の印刷対象となるワークに精細な電極パターンを印刷する場合のような、高い印刷精度が要求されるオフセット印刷装置におけるワーク保持用の真空吸着ステージに対するワークのロードとアンロードを行うための装置として適したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のワーク移載装置の実施の一形態を示す概略側面図である。
【図2】図1のA−A方向矢視図である。
【図3】図1のB−B方向矢視図である。
【図4】図1のワーク移載装置における真空吸着ステージに備えるハンドフック部の詳細を示すもので、(イ)は斜視図、(ロ)は正面図である。
【図5】図1のワーク移載装置における制御機器の接続状態を示すブロック図である。
【図6】図1のワーク移載装置を装備したオフセット印刷装置の概要を示す図である。
【図7】本発明の実施の他の形態を示す図2に対応する図である。
【図8】本発明の実施の更に他の形態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図6は本発明のワーク移載装置の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
【0022】
すなわち、本発明のワーク移載装置Iは、ワークとして、たとえば、印刷対象となる基板1を載置して保持するための印刷用の真空吸着ステージ2におけるステージ上面に設けた真空吸着チャック部3に、該真空吸着チャック部3を通して真空引きと空気供給を行うための真空引き手段4と空気供給手段5を、真空引きと空気供給を切換え可能に接続する。
【0023】
又、上記ワークとしての基板1を先端側のロボットハンド7上、たとえば、フォーク状のロボットハンド7上に載置して保持できるようにしてあるロボットアーム6を、上記ロボットハンド7の先端部を上記真空吸着ステージ2の側部に近接させて配置できるように備え、且つ該真空吸着ステージ2の側部に近接させて配置するロボットハンド7側に、上記基板1を空気浮上させるための空気浮上手段8を備える。
【0024】
更に、上記真空吸着ステージ2とその側方に配置されるロボットハンド7の上方となる位置に、該真空吸着ステージ2の上方位置とその側方に配置されたロボットハンド7の上方位置との間を往復動可能なスライダ10と、上記基板1の外周部に接触させる部材、たとえば、基板1の外周端に接触させるための係止用爪部材11を備えて、上記空気供給手段5より空気12が供給される上記真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3で空気浮上させ、及び、上記ロボットハンド7側の空気浮上手段8により空気浮上させる状態の基板1を、該基板1の外周端に接触させた上記スライダ10の係止用爪部材11により、上記真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3上と、その側方に配置されたロボットハンド7上で該スライダ10の移動方向に応じた方向の力で双方向に押して移動させることができるようにしたワーク移動手段9を備えてなる構成とする。
【0025】
詳述すると、上記真空吸着ステージ2は、たとえば、図6にその概要を示す如きオフセット印刷装置にて、架台13上に設けたリニアガイド14に沿って往復動できるようにしてあるワーク搬送テーブルとしての基板搬送テーブル15上に、図示しないアライメントステージを介して設けた構成としてある。更に、上記架台13上におけるリニアガイド14の長手方向の一端部(図6では右端部)に設定してある基板設置エリア16に、上記基板搬送テーブル15を停止させた状態のときに、該基板搬送テーブル15上の上記真空吸着ステージ2に対して、上記リニアガイド14の長手方向に直交する方向の一側から、上記ロボットアーム6によって操作する上記ロボットハンド7を、該ロボットハンド7の先端側を近接させて配置することができるようにしてある。
【0026】
上記真空吸着ステージ2は、図1に示すように、フラットなステージ上面を有し、且つ該ステージ上面の中央部に、図2に二点鎖線で示すように、基板1のサイズに応じたワーク載置領域としての基板載置領域2aを設定して、該基板載置領域2aと対応する個所に、多孔質吸着形式又は多数の細孔を具備した孔(穴)吸着形式の真空吸着チャック部3が設けてある。
【0027】
上記真空吸着チャック部3には、図1に示すように、空気給排ライン17の一端側が接続してあり、且つ該空気給排ライン17の他端側に、上記真空引き手段4と空気供給手段5が、切換弁18を介して接続してある。これにより、上記切換弁18の操作により上記空気給排ライン17に真空引き手段4を接続した状態では、該真空引き手段4の運転により上記空気給排ライン17を介して上記真空吸着チャック部3を真空引きすることで、上記真空吸着ステージ2上に載置する基板1を、該真空吸着チャック部3により吸着して保持することができるようにしてある。
【0028】
一方、上記切換弁18の操作により上記空気給排ライン17に空気供給手段5を接続した状態では、該空気供給手段5の運転により上記空気給排ライン17を通して上記真空吸着チャック部3に空気12を供給することで、該真空吸着チャック部3よりステージ上面側へ上記空気12を噴出させて、上記真空吸着ステージ2上に配置される基板1を空気浮上させることができるようにしてある。
【0029】
上記ロボットハンド7は、図1及び図2に示すように、フォーク形状の各爪を略水平方向に延びる厚み寸法の薄い板状としてあり、且つ上記各爪の上面側に、多孔質吸着形式又は多数の細孔を具備した孔(穴)吸着形式の真空吸着チャック部19が設けてある。上記真空吸着チャック部19には、真空引き手段20と空気供給手段21が、空気給排ライン22と切換弁23を介して接続してある。これにより、上記切換弁23の操作により上記空気給排ライン22に空気供給手段21を接続した状態では、該空気供給手段21の運転により上記空気給排ライン22を通して上記真空吸着チャック部19に空気12を供給することで、該真空吸着チャック部19よりロボットハンド7の上面側へ上記空気12を噴出させて、該ロボットハンド7上に配置される基板1を空気浮上させる空気浮上手段8として機能させることができるようにしてある。
【0030】
一方、上記切換弁23の操作により上記空気給排ライン22に真空引き手段20を接続した状態では、該真空引き手段20の運転により上記空気給排ライン22を介して上記真空吸着チャック部19を真空引きすることで、上記ロボットハンド7上に載置する基板1を、該真空吸着チャック部19により吸着して保持することができるようにしてある。
【0031】
更に、上記真空吸着ステージ2における上記ロボットハンド7の先端側を近接させて配置させる一側面には、ステージ上面より上記ロボットハンド7の先端部の厚み寸法と対応する分下方となる位置に、上記ロボットハンド7の先端部を係止することで該ロボットハンド7の上面を上記ステージ上面と面一にした状態に保持させるためのハンドフック部24が設けてある。
【0032】
上記ハンドフック部24は、具体的には、図4(イ)(ロ)に示すように、該ハンドフック部24の上面の幅方向中央部に、上記ロボットハンド7の先端部の幅寸法よりもやや広い幅寸法の溝25を備えると共に、該溝25の両側壁の上端部に、上方に向けて幅方向に広がるテーパ面26を設けてなる構成とし、一方、図4(ロ)に二点鎖線で示すように、上記ロボットハンド7の各爪の先端部における幅方向両側の下端側コーナ部分には、面取り部27を設けるようにすることが望ましい。なお、上記したようにハンドフック部24に上記ロボットハンド7の先端部を嵌合させるための溝25を備えた構成とする場合は、ステージ上面から上記ハンドフック部24における溝25の内底面までの上下方向寸法が、上記ロボットハンド7の先端部の厚み寸法と一致するようにするものとする。これにより、上記真空吸着ステージ2の一側面に上記ロボットハンド7の先端側を近接させて配置するときには、該ロボットハンド7の先端部を、上記ハンドフック部24の溝25に対し、だいたい上方となる位置から下降させることにより、上記ハンドフック部24の溝25の両側に設けてあるテーパ面26と、ロボットハンド7の先端部の下面側に設けてある面取り部27との滑りを利用して、上記ハンドフック部24の溝25と上記ロボットハンド7の先端部との幅方向の相対的な位置ずれを修正しながら、該ロボットハンド7の先端部を、上記ハンドフック部24の溝25に確実に嵌合させることができるようにしてある。
【0033】
よって、上記したようにロボットハンド7のフォーク形状の各爪が厚み寸法の薄い板状としてあることに伴って、通常のロボットハンド7の基端側のみがロボットアーム6によって支持された片持ち状態のときに、該ロボットハンド7の先端側が自重や該自重と基板1より作用する荷重によって下方へ撓むようになる場合であっても、上記したようにロボットハンド7の先端部を、上記真空吸着ステージ2の側面に設けてあるハンドフック部24の溝25に受けさせることで、ロボットハンド7の先端側を上記真空吸着ステージ2の一側面に近接させてその上面が上記真空吸着ステージ2のステージ上面と面一になる状態で保持できるようにしてある。
【0034】
上記ワーク移動手段9は、図1及び図3に示すように、上記オフセット印刷装置における基板設置エリア16(図6参照)に配置させる基板搬送テーブル15上の真空吸着ステージ2の上方位置から、その側方に配置するロボットハンド7の上方位置に向けて水平方向に延びる2本のリニアガイドレール28を、図示しない支持構造に固定して設け、上記基板1の平面形状よりも大きな矩形枠形状としてある上記スライダ10を、上記リニアガイドレール28に、リニアブロック(ガイドブロック)29を介してスライド可能に取り付ける。
【0035】
更に、上記ワーク移動手段9は、上記スライダ10を上記リニアガイドレール28の長手方向に往復動させるための往復駆動手段30を備える。該往復駆動手段30は、具体的には、たとえば、上記いずれか一方のリニアガイドレール28の長手方向両端部付近の側方位置に、モータ31に取り付けた駆動プーリ32と、従動プーリ33を離隔配置して、個別のブラケット34を介して図示しない支持構造に回転自在に支持させ、該各プーリ32と33に無端状に掛け回したベルト35の周方向の1個所に、上記スライダ10を連結部材36を介して取り付けた構成としてある。これにより、上記モータ31による駆動プーリ32の正転と逆転駆動により、該駆動プーリ32と上記従動プーリ33の間を双方向に循環するベルト35と上記連結部材36を介して上記スライダ10を、上記真空吸着ステージ2の上方位置とロボットハンド7の上方位置との間で往復移動させることができるようにしてある。
【0036】
更に、上記スライダ10の下側には、上記基板1の平面形状よりも一回り大きな矩形枠形状の昇降フレーム37が、昇降駆動機構38を介して取り付けてある。
【0037】
上記昇降駆動機構38は、たとえば、図1及び図3に示すように、上記スライダ10の複数個所、たとえば、該スライダ10の四隅部の下面側に、上下方向に延びる支柱部材39を取り付け、該各支柱部材39の上端部と下端部に、上記リニアガイドレール28の長手方向に沿う方向に延びる取付部材41を取り付け、該各支柱部材39毎の上下の取付部材41の間に、上下方向に延びる個別のガイドロッド40の上下両端部を取り付け、且つ該各ガイドロッド40に上下方向スライド可能に遊嵌させたスライド部材42の自由端側(スライダ10の内側に突出する端部側)の上面と、その真上に位置する上記スライダ10の下面との間に、上下方向に伸縮動作可能なシリンダ43を取り付けた構成としてある。更に、上記各スライド部材42の自由端側は、上記昇降フレーム37の四隅部に取り付けるようにしてある。これにより、上記昇降駆動機構38における各シリンダ43の同期した伸長動作により、上記昇降フレーム37を下降させることができるようにしてある。一方、上記各シリンダ43の同期した収縮動作により、上記昇降フレーム37を上昇させることができるようにしてある。
【0038】
上記昇降フレーム37の下側には、上記基板1の平面形状を取り囲む個所、たとえば、図1に示すように、上記基板1における上記リニアガイドレール28の長手方向と直交する方向の辺に沿う或る寸法離隔した2個所と、上記基板1における上記リニアガイドレール28の長手方向に平行な辺の中央の1個所にそれぞれ対応する個所に、下向きに突出する係止用爪部材11が設けてある。
【0039】
上記各係止用爪部材11は、上記基板1に接する面側に、下側より上方に行くにしたがって上記基板1に近接する方向へ傾斜したテーパ部を備えた構成としてもよい。このようにすれば、後述するようにワーク移動手段9における上記各係止用爪部材11を、上記ロボットハンド7上に載置された基板1の周りに配置させた後、上記空気浮上手段8によって空気浮上させる際、又は、上記各係止用爪部材11を、上記真空吸着ステージ2上に載置された基板1の周りに配置させた後、上記真空吸着チャック部3より供給する空気12により空気浮上させる際に、上記基板1が空気浮上するにしたがって、上記各係止用爪部材11により該基板1をより確実に拘束することが可能になる。
【0040】
なお、上記昇降駆動機構38による昇降フレーム37の昇降範囲は、昇降ストロークの下端側が、上記各係止用爪部材11の下端部が上記真空吸着ステージ2のステージ上面に近接する位置となるようにし、且つ上端側が、該各係止用爪部材11の下端が、少なくとも上記真空吸着ステージ2上に載置された基板1の上面よりも高くなるように設定してあるものとする。
【0041】
更に、図1及び図2に示すように、上記真空吸着ステージ2のステージ上面に設定してある基板載置領域2aにおける上記ロボットハンド7側とは反対側の位置で且つ基板載置領域2aの外側位置には、上記ワーク移動手段9により上記ロボットハンド7上より該真空吸着ステージ2上へ移動させる基板1を突き当てて該基板1の位置決めを行うためのストッパ44が、たとえば、或る間隔を隔てた2個所に設けてある。なお、上記ストッパ44は、上記ワーク移動手段9の係止用爪部材11と干渉しない位置に配置するようにしてあるものとする。又、上記ストッパ44は、ステージ上面からの高さ寸法が基板1の厚み寸法よりも小さく設定してある場合は、上記真空吸着ステージ2のステージ上面に取り付けた構成とすればよい。又、上記ストッパ44は、上記真空吸着ステージ2のステージ上面部分に昇降可能に内蔵したピン形式のものとして、必要に応じてステージ上面より突出させる構成としてあってもよい。
【0042】
又、図2に示す如く、上記真空吸着ステージ2のステージ上面に設定してある基板載置領域2aにおける上記リニアガイドレール28に平行な2つの辺のうち、一方の辺の基板載置領域2aの外側位置における上記ロボットハンド7寄りの個所には、上記ワーク移動手段9により上記ロボットハンド7上より該真空吸着ステージ2上へ移動させる基板1の移動方向と直交する方向への位置ずれを防止するためのサイドストッパ45が設けてある。なお、上記サイドストッパ45は、上記リニアガイドレール28に沿って移動するスライダ10と共に移動する上記係止用爪部材11との干渉を防止するために、上記真空吸着ステージ2のステージ上面部分に昇降可能に内蔵したピン形式として、必要に応じてステージ上面より突出させるようにした構成としてあるものとする。
【0043】
更に、本発明のワーク移載装置Iは、図5に示すように、オフセット印刷装置における基板搬送テーブル15(図6参照)と一体の上記真空吸着ステージ2の位置の検出及び制御を行う機能と、該真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3に接続された真空引き手段4と空気供給手段5の運転及びこれらに対応する切換弁18(図1参照)の切り換えの制御により上記真空吸着チャック部3における真空引きと空気供給を切換制御する機能と、上記ワーク移動手段9における往復駆動手段30によりリニアガイドレール28(図1参照)の長手方向へ移動させるスライダ10の位置の検出及び制御を行う機能と、該ワーク移動手段9における昇降駆動機構38により昇降させる昇降フレーム37と一体の係止用爪部材11の上下方向位置の検出と制御を行う機能とを有するコントローラ46を備える。
【0044】
又、上記ロボットアーム6によるロボットハンド7の位置を制御する機能と、該ロボットハンド7の真空吸着チャック部19に接続された真空引き手段20と空気供給手段21の運転及びこれらに対応する切換弁23(図1参照)の切り換えの制御により上記真空吸着チャック部19における真空引きと空気供給を切換制御する機能とを備えたロボットコントローラ47を備え、且つ該ロボットコントローラ47と、上記コントローラ46とを、相互通信あるいは相互連絡可能に接続して、それぞれの機能に対応する部分の動作や処理の連係、いわゆるインターロックを行わせることができるようにしてある。
【0045】
図6における48はオフセット印刷装置におけるブランケットロール49を備えた転写機構部である。
【0046】
以上の構成としてある本発明のワーク移載装置Iを用いて上記真空吸着ステージ2上にワークとしての基板1のロードとアンロードを行う場合について、上記コントローラ46及びロボットコントローラ47の処理に沿って説明する。
【0047】
先ず、上記基板1を上記真空吸着ステージ2にロードする場合は、コントローラ46により、図6に示すように、オフセット印刷装置における基板搬送テーブル15を、基板設置エリア16に移動させておく。
【0048】
次に、上記ロボットコントローラ47でロボットアーム6によるロボットハンド7の移動を制御して、図示しない基板カセット等のワーク供給部より、該ロボットハンド7上にワークである基板1を取り出させる。この際、上記ロボットコントローラ47では、図示しないセンサにより上記ロボットハンド7上に基板1が載置されたことが検出されると、真空引き手段20を運転すると共に、該ロボットハンド7に備えた真空吸着チャック部19を真空引きに切り換えるようにしてあり、これにより、上記基板1が、ロボットハンド7の上側に吸着して保持されるようにしてある。
【0049】
次いで、上記ロボットコントローラ47は、上記ロボットアーム6によりロボットハンド7を移動させて、該ロボットハンド7の先端部を、上記基板設置エリア16に配置されている基板搬送テーブル15上の真空吸着ステージ2の側面のハンドフック部24に係止させる。これにより、上記ロボットハンド7の上面が、上記真空吸着ステージ2のステージ上面と面一に揃えられる。
【0050】
上記のようにして真空吸着ステージ2の側部のハンドフック部24に上記ロボットハンド7の先端側が係止されると、上記コントローラ46は、ワーク移動手段9の往復駆動手段30によりスライダ10をリニアガイドレール28に沿って上記ロボットハンド7の上方位置まで移動させる。なお、この際、上記コントローラ46は、上記ワーク移動手段9における昇降駆動機構38により、昇降フレーム37と一緒に各係止用爪部材11の位置を昇降ストロークの上端側へ引き上げておくことにより、上記各係止用爪部材11を、上記ロボットハンド7上に保持されている基板1と干渉することなく該基板1の上方を通過させるようにしてある。
【0051】
その後、上記コントローラ46は、たとえば、上記スライダ10側に下向きに設けた距離センサ等の図示しないワーク検出センサにより該スライダ10の真下位置となる上記ロボットハンド7上の基板1の存在が確認されると、上記昇降駆動機構38により昇降フレーム37と一緒に上記各係止用爪部材11を、昇降ストロークの下端側へ下降させて、該係止用爪部材11の下端部が、上記真空吸着ステージ2のステージ上面と面一に保持された上記ロボットハンド7の上面に近接する位置に配置させる。これにより、上記ワーク移動手段9の各係止用爪部材11が、上記ロボットハンド7上の基板1の外周端を取り囲むように配置されるようになる。
【0052】
上記のようにして、上記ワーク移動手段9の各係止用爪部材11の内側に、上記ロボットハンド7上の基板1が配置されると、上記ロボットコントローラ47は、空気供給手段21を運転すると共に、上記ロボットハンド7における真空吸着チャック部19を、真空引きから空気供給に切り換えて、該真空吸着チャック部19を空気浮上手段8として機能させるようにする。これにより、上記ワーク移動手段9の各係止用爪部材11の内側に配置された状態の上記基板1を、ロボットハンド7上で空気浮上させるようにする。
【0053】
同時に、上記コントローラ46では、空気供給手段5を運転すると共に、真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3を、空気供給に切り換えて、該真空吸着チャック部3よりステージ上面側に向けた空気供給を開始させる。
【0054】
上記のようにして上記ロボットハンド7の真空吸着チャック部19と、上記真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3が共に空気供給に切り換えられると、上記コントローラ46は、上記ワーク移動手段9の往復駆動手段30により、上記スライダ10をロボットハンド7の上方位置から、リニアガイドレール28に沿って上記真空吸着ステージ2上まで移動させる。これにより、上記各係止用爪部材11の内側に保持された基板1は、上記したように共に空気供給に切り換えられている上記ロボットハンド7の真空吸着チャック部19の上側から、上記真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3の上側へ、空気浮上状態が維持されたまま、上記スライダ10の移動方向の後方となる側に位置している各係止用爪部材11によって該基板1における上記スライダ10の移動方向の後方となる側に位置している端面が該スライダ10の移動方向に向けて押されて、上記スライダ10の移動方向へ移動させられるようになる。
【0055】
この際、上記真空吸着ステージ2に設けてあるサイドストッパ45は、上記各係止用爪部材11のうちの干渉する虞があるものが通過するときにのみステージ上面へ収納させ、その他のときはステージ上面より上方へ突出させるようにしてある。これにより、上記各係止用爪部材11の内側に保持された状態でスライダ10の移動と共に移動させられる上記基板1の移動方向と直交する方向への位置ずれが防止されるようになる。
【0056】
その後、上記各係止用爪部材11の内側に保持された状態でスライダ10の移動と共に移動させられる上記基板1が、上記真空吸着ステージ2のステージ上面における基板載置領域2aの直ぐ外側に設けてある各ストッパ44に突き当たると、上記コントローラ46は、上記往復駆動手段30によりスライダ10の移動を停止させ、次いで、真空引き手段4を運転してから、上記真空吸着チャック部3を、空気供給から真空引きに切り換える。これにより、上記各係止用爪部材11の内側に保持された状態の上記基板1が、上記真空吸着ステージ2のステージ上面における基板載置領域に配置された状態で、上記真空吸着チャック部3に吸着して保持されるようになる。
【0057】
以上により、上記真空吸着ステージ2上への上記基板1のロードが行われるようになる。よって、その後は、上記コントローラ46により、上記ワーク移動手段9の昇降駆動機構38による昇降フレーム37と一体の各係止用爪部材11の昇降ストロークの上端側への上昇を行わせて、上記各係止用爪部材11を、上記真空吸着ステージ2の上側に吸着して保持された基板1が該各係止用爪部材11の下方を通過できるようになる位置まで引き上げた状態で待機させるようにする。又、上記ロボットコントローラ47により、ロボットハンド7の空気供給を停止させてから、該ロボットハンド7を、その先端側を上記真空吸着ステージ2のハンドフック部24より離脱させると共に、上記真空吸着ステージ2を介して上記基板1を保持したオフセット印刷装置における基板搬送テーブル15の移動に干渉しない位置まで退避させるようにする。
【0058】
その後、上記オフセット印刷装置により、上記基板搬送テーブル15の上部の真空吸着ステージ2に保持させた上記基板1に対するオフセット印刷処理を実施させるようにすればよい。
【0059】
上記オフセット印刷処理に供された後の基板1を、上記基板搬送テーブル15の上部の真空吸着ステージ2上より上記ロボットハンド7側へアンロードする場合は、上記コントローラ46及びロボットコントローラ47により、上記した手順と逆の手順を行わせるようにすればよい。
【0060】
このように、本発明のワーク移載装置Iによれば、ワークとしての基板1をロボットハンド7上と真空吸着ステージ2上との間で相互に移動させる処理は、上記ロボットハンド7と真空吸着ステージ2上で空気浮上させる基板1を、その外周に配置した各係止用爪部材11で押すことのみで実施することができるため、上記基板1の上記真空吸着ステージ2に対するロード及びアンロードを、該基板1の上面に全く触れることなく実施することができる。
【0061】
又、上記真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3に空気供給を行うことで、上記基板1を空気浮上させ、この空気浮上させた状態の基板1を、上記真空吸着ステージ2上と、ロボットハンド7上で双方向に移動させるようにしてあるため、上記真空吸着ステージ2のステージ上面における基板載置領域には、基板1の下方にフォーク状のロボットハンド7を挿入できるようにするための溝や、上記真空吸着ステージ2上で基板を一時的に押し上げて該基板1と真空吸着ステージ2のステージ上面との間にロボットハンド7を挿入できるような隙間を形成させるための昇降ピンを設ける必要はない。よって、上記真空吸着ステージ2のステージ上面における基板載置領域2aを、ワークである上記基板1の下面全体を接触させることができるようなフラットな面とすることができる。
【0062】
したがって、オフセット印刷処理時に真空吸着ステージ2上に保持させる基板1に対してブランケットロール49より大きな印圧を均一に作用させることができるようになると共に、オフセット印刷処理に供された後の基板1にて、印刷に用いたインクが完全に乾いていなくても、印刷パターンに乱れを生じさせることなく該基板1のアンロードを行うことができる。
【0063】
よって、本発明のワーク移載装置Iは、基板1上への電極パターンの印刷のように、高い印刷精度が要求されるオフセット印刷装置における印刷対象となるワークである基板1の保持用の真空吸着ステージ2に対する基板1のロードとアンロードを行うための装置として適したものとすることができる。
【0064】
次に、図7は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1乃至図6に示したと同様の構成において、ロボットハンド7側に備える基板1を空気浮上させるための空気浮上手段8を、ロボットハンド7の各爪の上面側に設けた真空吸着チャック部19に、空気供給手段21より空気供給して、該真空吸着チャック部19より上面側へ空気12を噴出させることで機能させるようにした構成に代えて、オフセット印刷装置における基板設置エリア16に配置させる基板搬送テーブル15(図6参照)の上部の真空吸着ステージ2の側方に、フォーク状のロボットハンド7aの先端部を近接させて配置するときに、該ロボットハンド7aの各爪の間及び外側となる個所に、該ロボットハンド7aとは別体の空気浮上手段8aを設けてなる構成としたものである。
【0065】
上記空気浮上手段8aは、上面が上記真空吸着ステージ2のステージ上面と同じ高さ位置となる箱型の部材50を、上記所定位置に設置すると共に、該箱型部材50の上面に、多孔質形式又は多数の細孔を具備した孔(穴)形式の空気噴出部51を埋設して備え、且つ該空気噴出部51の下側に、空気供給手段(図示せず)を接続した構成としてある、これにより、上記空気供給手段より供給される図示しない空気を、上記空気噴出部51より上記箱型部材50の上面側へ空気を噴出させることで、該箱型部材50の上側に載置されるワークとしての基板1を空気浮上させることができるようにしてある。
【0066】
更に、図7では、ロボットハンド7aを、各爪の上面側の真空吸着チャック部を省略してなる構成として、該ロボットハンド7上に基板1を単に載置することで保持する形式のものとしてある。
【0067】
なお、図1乃至図6の実施の形態では、図6に示したように、ロボットコントローラ47にロボットハンド7の真空吸着チャック部19の真空引きと空気供給とを切換制御する機能を備えるようにしたが、図7では、上記したように、ロボットハンド7aを真空吸着チャック部を具備しない形式としてあるため、上記空気浮上手段8aにおける空気噴出部51への空気供給と停止を制御する機能は、図示しないロボットコントローラに備える構成としてもよいが、該ロボットコントローラや図6に示したと同様のコントローラ46とインターロックを行わせることができるようにしてある上記空気浮上手段8aに専用のコントローラを備える構成としてもよい。更には、上記空気浮上手段8aにおける空気噴出部51への空気供給と停止を制御する機能を、上記真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3の真空引きと空気供給の切換制御を行うようにしてある上記コントローラ46に組み込むようにしてもよい。
【0068】
又、図示してないが、上記ロボットハンド7aの各爪に、図1乃至図2に示したと同様の真空吸着チャック部19を設けて、該真空吸着チャック部19に真空引き手段20のみを接続した構成としてもよい。この場合は、上記真空吸着チャック部19の真空引きとその停止の切換制御機能は、図示しないロボットコントローラに備えるようにすればよい。
【0069】
その他の構成は図1乃至図5に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0070】
以上の構成としてある本実施の形態のワーク移載装置を使用してワークとしての基板1の真空吸着ステージ2へのロードを行う場合は、図示しない基板カセット等のワーク供給部より、該ロボットハンド7a上に基板1を取り出した後は、該ロボットハンド7aの各爪を、上記空気浮上手段8aの対応する箱型部材50同士の隙間に移動させて、上記基板1を、ロボットハンド7a上より上記空気浮上手段8aの各箱型部材50の上側に一旦載置する。
【0071】
次に、この状態で、ワーク移動手段9のスライダ10(図1、図3参照)を、上記空気浮上手段8aの上方位置まで移動させてから、上記ワーク移動手段9における昇降駆動機構38により昇降フレーム37と一緒に下降させる各係止用爪部材11(図1、図2参照)を、オフセット印刷装置の基板設置エリア16に配置させた基板搬送テーブル15(図6参照)の上部の真空吸着ステージ2の側方位置にステージ上面と同じ高さの上面を備えるように設けてある上記空気浮上手段8aの箱方部材50上に載置されている上記基板1の外周端を取り囲むように配置させる。
【0072】
次いで、上記空気浮上手段8aによる上記基板1の空気浮上と、上記真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3に対する空気供給を開始させてから、上記ワーク移動手段9の往復駆動手段30により上記スライダ10(図1及び図3参照)を、上記空気浮上手段8aの上方位置から、上記真空吸着ステージ2上まで移動させて、上記各係止用爪部材11(図1及び図3参照)の内側に保持された基板1を、空気浮上させた状態を維持しながら、上記真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3の上側へ移動させ、その後、該真空吸着ステージ2上に吸着して保持させるようにすればよい。
【0073】
上記真空吸着ステージ2上より上記ロボットハンド7a側へ基板1をアンロードする場合は、上記した手順と逆の手順を行うようにすればよい。
【0074】
このように、本実施の形態のワーク移載装置Iによっても、ワークとしての基板1の上記真空吸着ステージ2に対するロード及びアンロードを、該基板1の上面に全く触れることなく実施することができる。
【0075】
よって、本実施の形態によっても、上記図1乃至図6の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
次いで、図8は本発明の実施の更に他の形態を示すもので、図1乃至図6に示したと同様の構成において、ワーク移動手段9における昇降フレーム37の下側に、基板1の平面形状の外周位置に配置した係止用爪部材11を設ける構成に代えて、上記基板1の上面における印刷パターンを印刷する領域のエリア(印刷エリア)1aよりも外側の余白部1bの上方となる位置に対応させて、吸着面積が該基板1の余白部1bに収まるサイズの吸着チャック手段52を、下向きに取り付けてなる構成としたものである。
【0077】
なお、図8では、上記吸着チャック手段52を、上記基板1における上記ワーク移動手段9のスライダ10の移動方向、すなわち、リニアガイドレール28の長手方向に沿う両端部の2個所に対応させて配置して、その上方に位置する上記昇降フレーム37の対応する個所に該各吸着チャック手段52の上端側を保持させた構成としてある。
【0078】
その他の構成は図1乃至図6に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0079】
以上の構成としてある本実施の形態によれば、図1乃至図6の実施の形態のワーク移載装置Iと同様の手順でロボットハンド7と真空吸着ステージ2との間での基板1のロードとアンロードを行う際は、上記ロボットハンド7の真空吸着チャック部19と真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3に空気供給して基板1を空気浮上させる前もしくは後に、上記ワーク移動手段9の昇降フレーム37と一緒に下降させる上記各吸着チャック手段52を、上記基板1の余白部1bに吸着させるようにする。
【0080】
これにより、その後空気浮上させる基板1を、上記ワーク移動手段9のスライダ10の移動に伴って上記ロボットハンド7上と上記真空吸着ステージ2上で相互に移動させることができるようになる。
【0081】
このように、本実施の形態のワーク移載装置Iによれば、ワークとしての基板1をロボットハンド7上と真空吸着ステージ2上との間で相互に移動させる処理は、上記ロボットハンド7と真空吸着ステージ2上で空気浮上させる基板1を、該基板1の上面の余白部に吸着させた吸着チャック手段52を介して上記スライダ10の移動に伴って引っ張ることで実施することができるため、上記基板1の上記真空吸着ステージ2に対するロード及びアンロードを、該基板1の上面における上記吸着チャック手段52の接する個所を余白部のみに限定した状態で実施することができると共に、上記図1乃至図6の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、ワーク移動手段9における往復駆動手段30は、スライダ10を真空吸着ステージ2の上方位置とその側方に配置するロボットハンド7の上方位置との間で水平方向に往復動させることができるようにしてあれば、ボールねじ方式や台形ねじ方式のリニア駆動機構や、チェーンによる駆動機構や、ラック・ピニオンによる駆動機構や、アクチュエータによる駆動機構等、図示したベルト駆動機構以外のいかなる形式の往復駆動手段を採用してもよい。又、上記リニア駆動機構等を採用する場合に、駆動機構側で上記真空吸着ステージ2の上方位置とその側方に配置するロボットハンド7の上方位置との間での水平方向の往復動の方向が担保できる場合は、リニアガイドレール28を省略した構成としてもよい。
【0083】
ワーク移動手段9における昇降フレーム37の昇降駆動機構38は、昇降フレーム37を前述した所定の範囲で昇降させることができるようにしてあれば、図示した以外のいかなる形式の昇降駆動機構38を採用してもよい。
【0084】
ワーク移動手段9のスライダ10や昇降フレーム37は、その平面形状を、図示した如き矩形枠形状以外の任意の形状としてもよい。
【0085】
図1乃至図6の実施の形態における昇降フレーム37の下側に取り付ける係止用爪部材11の配置や数は、真空吸着ステージ2上へのロードとアンロードの実施が望まれるワークとしての基板1の平面形状やサイズに応じて適宜変更してもよい。
【0086】
同様に、図8の実施の形態における昇降フレーム37の下側に、印刷対象である基板1上面の余白部1bに対応させて設ける吸着チャック手段52の配置や数は、上記基板1の平面形状やサイズ、更には、余白部1bの位置や大きさに応じて適宜変更してもよい。
【0087】
ワーク移動手段9における昇降フレーム37をロボットアームの先端側に取り付けて、該昇降フレーム37の真空吸着ステージ2の上方位置とその側方に配置するロボットハンド7の上方位置との間での水平方向の往復動作、及び、該昇降フレーム37の昇降動作を、上記ロボットアームにより実施させる構成としてもよい。
【0088】
ロボットハンド7,7aの爪の本数や幅寸法は、適宜変更してもよい。これに伴い、図7の実施の形態では、空気浮上手段8aの箱型部材50の幅寸法や配置は適宜変更してもよい。
【0089】
図1乃至図6の実施の形態、及び、図8の実施の形態における空気12を供給することで空気浮上手段8として機能させるロボットハンド7の各爪の上面側の真空吸着チャック部3、並びに、図7の実施の形態における空気浮上手段8aの箱型部材50の上面側に設ける空気噴出部51は、基板1を、空気浮上させた状態を維持したまま真空吸着ステージ2の真空吸着チャック部3との間で往復動させることができるようにしてあれば、上記真空吸着チャック部3並びに上記空気噴出部51のサイズや形状や位置は適宜変更してもよい。
【0090】
図1乃至図6の実施の形態、及び、図7の実施の形態は、上面への接触の防止が望まれる平板状のワークであれば、印刷対象となる基板1以外のいかなるワークの移載に適用してもよい。
【0091】
図8の実施の形態は、上面側に印刷エリア1aの余白部1bを有していれば、基板1以外のいかなる印刷対象ワークの移載に適用してもよい。
【0092】
本発明のワーク移載装置Iは、図6に二点鎖線で示すように、オフセット印刷装置の基板設置エリア16に配置させた基板搬送テーブル15上の真空吸着ステージ2に対して、ロボットハンド7を、上記基板搬送テーブル15の移動方向に沿う方向から近接させて配置するようにした形式としてもよい。
【0093】
本発明のワーク移載装置Iは、オフセット印刷装置の基板搬送テーブル15上に装備された真空吸着ステージ2以外のいかなる真空吸着ステージ2に対するワークのロードとアンロードを行うために適用してもよい。
【0094】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0095】
I ワーク移載装置
1 基板(ワーク)
1a 印刷エリア
1b 余白部
2 真空吸着ステージ
3 真空吸着チャック部
4 真空引き手段
5 空気供給手段
7 ロボットハンド
8 空気浮上手段
9 ワーク移動手段
11 係止用爪部材
24 ハンドフック部
50 箱型部材
51 空気噴出部
52 吸着チャック手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置して保持できるようにしてある真空吸着ステージのステージ上面に設けた真空吸着チャック部に、真空引きと空気供給を行うための真空引き手段と空気供給手段を、真空引きと空気供給を切り換え可能に接続し、且つ先端部を上記真空吸着ステージの側部に近接させて配置できるようにしてあるロボットハンド側に、ワークを空気浮上させるための空気浮上手段を備え、更に、上記真空吸着ステージの空気供給状態とする真空吸着チャック部、及び、ロボットハンド側の空気浮上手段により空気浮上させるワークを、上記真空吸着ステージの上方位置とロボットハンドの上方位置との間を往復移動できるようにしてあるスライダより該ワークの外周部に対しスライダ移動方向の力を加えることにより上記真空吸着ステージ上とロボットハンド上との間で往復移動させるためのワーク移動手段を備えてなる構成を有することを特徴とするワーク移載装置。
【請求項2】
ワーク移動手段のスライダに、ワークの平面形状の外周端を囲むよう配置した係止用爪部材を備えて、真空吸着ステージ上とロボットハンド上との間でワークを往復移動させるときに、上記スライダの係止用爪部材により上記ワークの外周端を押すことができるようにした請求項1記載のワーク移載装置。
【請求項3】
ワークを印刷対象とし、且つワーク移動手段のスライダに、上記ワークの上面における印刷エリアの余白部に吸着させるための吸着チャック手段を備えて、真空吸着ステージ上とロボットハンド上との間でワークを往復移動させるときに、上記ワークの上面の余白部に吸着させた上記スライダの吸着チャック手段により該ワークを引っ張ることができるようにした請求項1記載のワーク移載装置。
【請求項4】
ロボットハンド側に備える空気浮上手段を、該ロボットハンドの上面部に設け、且つ真空吸着ステージの側部に、上記ロボットハンドの先端部を載せて該ロボットハンドの上面を上記真空吸着ステージのステージ上面と面一に配置させるためのハンドフック部を設けるようにした請求項1、2又は3記載のワーク移載装置。
【請求項5】
ロボットハンド側に備える空気浮上手段を、先端側を真空吸着ステージの側部に近接させて配置させたロボットハンドの近傍となる位置に該ロボットハンドと別体に設けた真空吸着ステージと同じ高さ位置に上面を有する箱型部材と、該箱型部材の上面部に設けた空気噴出部とからなる構成とした請求項1、2又は3記載のワーク移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−114315(P2012−114315A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263218(P2010−263218)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】