説明

一酸化珪素系蒸着材料及びその製造方法

【課題】 一酸化珪素の蒸着膜の形成に使用される粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料において、スプラッシュの発生を抑制する。使用に耐える材料強度を確保する。
【解決手段】 析出SiOからなる原料粉末を700〜1000℃で焼結する。焼結プロセスでのSiの析出が抑制され、XRDによる測定において、2θ=28°付近に発生するSiピーク点におけるピーク強度P1と、ピーク点前後の平均強度勾配から想定したピーク点におけるベース強度P2との関係が、P1/P2≦3となる。真空凝集装置で製造された析出SiOの選別使用により、圧縮破壊強度を5MPa以上に高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一酸化珪素の蒸着膜の形成に使用される粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品などの包装材料や液晶、有機ELなどのフラットパネルディスプレイの樹脂基板においては、高度のガスバリア性をもつことが求められている。この観点からアルミニウムなどの金属、或いは酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物を高分子フィルム基材上に蒸着させたガスバリア性フィルムが知られており、なかでも一酸化珪素を蒸着させたものは、高い透明性と高いガスバリア性を合せもつことから注目を集めている。
【0003】
このような一酸化珪素膜の形成に使用される蒸着材料は、通常、真空凝集法を用いて製造された一酸化珪素が使用される。真空凝集法とは、原料室内でSiとSiO2 とを混合して加熱し、原料室の上に連結された管状の凝集室の内面にSiOを気相析出させることにより、SiOを製造する方法である。製造されたSiOは緻密な析出体であり、これを所定のタブレット形状に切り出して蒸着材料に直接使用する場合もあれば、析出体を一旦破砕して粉末にし、これを所定のタブレット形状に焼結して使用する場合もある。嵩密度などの特性値を広範囲にコントロールできるために、焼結体を蒸着材料に使用する場合が比較的多い。
【0004】
ところで、一酸化珪素蒸着膜の形成プロセスで問題になる現象の一つにスプラッシュがある。これは溶融材料の微細な飛び跳ね現象であり、膜形成中にこれが発生すると、形成された蒸着膜にピンホールなどの欠陥が発生し、膜品質が著しく低下する。この現象は成膜速度を高めるほど顕著になり、成膜速度を阻害する要因にもなっている。このため、一酸化珪素蒸着膜の形成作業では、スプラッシュの発生抑制が重要な技術課題になっており、その課題の解決に向けて各方面からアプローチが試みられている。そして蒸着材料面からは、材料の密度や脆さといった物理的性質の改善が試みられている。
【0005】
すなわち、蒸着材料の物理的性質に関しては、緻密で硬いほどスプラッシュは発生し難いと考えられており、この考えに沿って、ラトラ試験での重量減少率(ラトラ値)が1.0%以下である気相析出型の一酸化珪素系蒸着材料は特許文献1に記載されている。また、粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料に関しては、高温高圧のホットプレスにより嵩密度を1.60g/cm3 以上に高めることの有効性が特許文献2に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特表2003/025246号公報
【特許文献2】特表2003/010112号公報
【0007】
このような物性を改良された蒸着材料(緻密で硬い材料)は、使用中の破損が少なく、使用性は良好である。しかしながら、スプラッシュの抑制に関しては、期待されるような効果をあげることができないのが実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、スプラッシュの発生を顕著に抑制できる粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料及びその製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、スプラッシュの発生を顕著に抑制でき、なおかつ使用中の破損が少なく使用性に優れる粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述したとおり、一酸化珪素の蒸着作業でのスプラッシュの原因は、これまでは蒸着材料の物理的性質、特に緻密性の低さにあると考えられていた。すなわち、材料の緻密性が低く、脆さが顕著であることがスプラッシュの原因と考えられていた。しかし、本発明者による種々の調査の結果からは、これとは別の新たな原因が浮上してきた。すなわち、本発明者は粉末焼結型蒸着材料における焼結温度のスプラッシュへの影響度に着目し、これを詳細に調査した。その結果は、意外にも焼結温度が従来の理想値よりも若干低い温度で焼結された蒸着材料を使用した場合に、スプラッシュが効果的に抑制されるというものであった。その理由を本発明者は次のように考えている。
【0010】
従来は緻密性を上げるために、粉末焼結温度は1200℃以上というような高温に設定されていた。このような高温焼結の場合は、焼結プロセスでSiOが熱分解してSiが析出することになる。そして蒸着作業では、その析出Siが蒸発飛散し、これがスプラッシュとなる。蒸着材料の脆さがスプラッシュの一因である可能性は否定できないが、それよりも高温焼結において析出したSiの、蒸着プロセスでの蒸発現象の方が、スプラッシュに対して支配的である。実際、焼結温度を種々変更した蒸着材料にXRD(X-Ray Diffraction spectroscopy) を実施したところ、焼結温度の低下にともなってSiピークが消え、スプラッシュも激減することが確認された。
【0011】
一方、焼結温度の低下、これによる緻密性の低下は、蒸着材料の使用中の破損を招く原因になる。すなわち使用性を低下させる原因になる。したがって、粉末焼結型材料の製造プロセスにおいて、単純に焼結温度を低下させることは好ましくない。そこで本発明者は、焼結温度を低下させたときの機械的強度の低下を回避する方法についても同時並行して研究を行った。その結果、粉末焼結型蒸着材料の原料であるSiO、すなわち真空凝集法で製造される析出SiOのうち、凝集管内の低温箇所で析出したSiOの使用の有効なことが判明した。その理由は後で説明する。
【0012】
本発明の一酸化珪素系蒸着材料は、かかる知見を基礎にして完成されたものであり、XRDにより得られた生データグラフをデータ特定数3で移動平均近似曲線に変換したとき、その曲線上で2θ=28°付近に発生するSiピーク点におけるピーク強度P1と、ピーク点前後の平均勾配から想定したピーク点におけるベース強度P2との関係が、P1/P2≦3を満足するものである。
【0013】
XRDにより得られた生データはノイズを多く含む。そこで生データグラフを移動平均近似曲線に変換し、ノイズの影響を低減する。このときデータの特定数は3とする。すなわち、生データの最初の3つの値(1番目、2番目、3番目)の平均値が移動平均近似曲線の最初の値となり、次に生データの2番目、3番目、4番目の平均値が移動平均近似曲線の2番目の値となり、以後同様に処理されることにより、生データグラフを移動平均近似曲線に変換される。こうして得た移動平均近似曲線において、2θ=28°付近に発生するSiピーク点におけるピーク強度をP1とし、ピーク点前後の平均勾配から想定したピーク点におけるベース強度をP2としたとき、P1/P2≦3を満足するのが本発明の一酸化珪素系蒸着材料である。なお生データを得るためのXRD測定条件は後述する。
【0014】
ベース強度P2はいわゆるバックグラウンドレベルであり、P1/P2≦3はSiピーク点におけるピーク強度が小さいことを意味し、製造過程では粉末焼結プロセスでSi析出が抑制されたことを意味する。
【0015】
本発明の一酸化珪素系蒸着材料は、製造過程の粉末焼結プロセスで低温焼結を行い、Si析出を抑制したことにより、使用過程である蒸着プロセスでスプラッシュの発生を効果的に抑制することができる。また、粉末焼結プロセスで低温焼結を行うにもかかわらず、使用上十分な機械的強度を確保でき、具体的には圧縮破壊強度で5MPa以上、更には10MPa以上を確保できる。
【0016】
また、本発明の蒸着材料製造方法は、一酸化珪素の蒸着膜の形成に使用される粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料を製造する際に、析出SiOからなる原料粉末を700〜1000℃で焼結するものであり、好ましくは、真空凝集装置で製造された析出SiOの選別使用により、圧縮破壊強度が5MPa以上の一酸化珪素系蒸着材料を製造するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一酸化珪素系蒸着材料は、XRDによるSiピークを実質的になくしたことにより、スプラッシュの発生を顕著に抑制できる。また、機械的強度を容易に確保できることにより、使用中の破損を防止でき使用性に優れる。
【0018】
本発明の一酸化珪素系蒸着材料の製造方法は、焼結温度の低下により、XRDによるSiピークを実質的になくした蒸着材料を製造でき、これによりスプラッシュの発生を顕著に抑制できる。また、真空凝集装置で製造された析出SiOの選別使用により、機械的強度を確保でき、使用性に優れた蒸着材料を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一酸化珪素系蒸着材料の製造工程の説明図、図2は原料(析出SiO)の製造に使用される真空凝集装置の構成図、図3は製造された蒸着材料のXRD生データグラフ、図4はXRD生データグラフから求めた移動平均近似曲線図である。
【0020】
本実施形態では、次の工程を経て蒸着材料が製造される。第1工程は原料(析出SiO)の製造である。この工程では、例えば図2に示す真空凝集装置が使用される。図2に示された真空凝集装置は、原料室1とその上に連結された円管状の凝集室2とを備えている。操業では、Si粉末とSiO2 粉末の混合物を原料室1にチャージする。室内を所定の真空度に減圧し、原料室1の外側に配置されたヒータで原料室1内を所定温度(1200〜1400℃)に加熱する。これより、原料室1内でSiOの蒸気が発生し、これが上方の凝集室2内に導入される。
【0021】
凝集室2では、凝集管温度が外面温度で数百度に管理されている。より詳しくは、凝集管の外面温度は下部から上部にかけて低下しており、約800℃から200℃にかけての領域にSiOが析出する。従来は、析出SiOのうち800℃から400℃前後までの高温領域に析出したSiOが蒸着材料に使用され、これより低温の領域に析出したSiOは使用されていなかった。これは次のような理由による。
【0022】
析出SiOの物性は析出温度によって変化する。具体的には、低温領域で析出したものほど脆く、高温領域で析出したものは緻密性に優れる。そして200〜400℃というような低温域で析出したSiOは非常に脆く、析出型では蒸着時にスプラッシュが多発するため、焼結型でも蒸着材料原料に使用されていなかった。これに対し、本実施形態ではこの低温域で析出したSiOを焼結型蒸着材料の原料に使用する。低温析出SiOは、粉末の圧縮性に優れ、焼結型の場合の低温焼結での強度低下を回避できると考えられるのである。また従来問題視されていた蒸着時のスプラッシュ発生は、粉末焼結型の場合は高強度に成形できることから特に問題にならないと考えられる。
【0023】
真空凝集装置で析出SiOが製造されると、特に前述した低温析出SiOを選択し、これを粉砕機により所定粒度に粉砕する。製造されるSiO粉末においては、粒度が重要であり、その粒度は平均粒度で5〜50μmが好ましく、10〜30μmが特に好ましい。なぜなら、粉末が余りに細かすぎると成形体密度が上がらず、前述の高強度を達成できないからである。一方、粗粒の場合は成形性が困難になる。
【0024】
焼結原料としてのSiO粉末が製造されると、所定のバインダーを用いて蒸着材料用タブレット形状(通常は円柱形状)に成形し、焼結する。焼結温度は700〜1000℃が好ましい。700〜1000℃は従来に比べると低温である。このような低温焼結でも、前述した低温析出SiOを原料粉末に使用しているため所定の機械的強度が確保されることは前述したとおりである。低温焼結といえども700℃未満というような極端な低温の場合は所定の機械的強度が確保されない。焼結温度が1000℃を超えると焼結過程でSiが析出し、これがスプラッシュの原因となる。
【0025】
焼結はホットプレスでもよいが、成形にバインダーを使用して焼結を行う方が経済的である。バインダーを使用すると緻密性が低下し、従来はその使用が問題視されていたが、前述したとおり、その緻密性はスプラッシュの発生に大きな影響を及ぼさない。バインダーの使用による経済的メリットは少なくない。バインダーとしては、一般に市販されているもので問題ないが、特に500℃以下の低温で脱バインダーをできるものが好ましい。バインダーの添加量は15〜30重量%が好ましい。バインダーが少なすぎると成形性が悪化し、多すぎる場合はスラリー状となって成形が困難となる。
【0026】
焼結時の雰囲気・圧力については、不活性雰囲気・大気圧でよく、特に細かい制御は不要である。
【0027】
次に、このような方法で製造した一酸化珪素系蒸着材料の特性を調査した結果について説明する。
【0028】
真空凝集装置で製造した析出SiOを凝集管外面温度で400℃以上の高温領域に析出した高温析出SiOと、400℃未満の低温領域に析出した低温析出SiOとに分けて取り出した。両析出SiOを平均粒径20μmに粉砕した。それぞれのSiO粉末を直径30mm、高さ40mmのタブレット形状にバインダー成形し焼結した。焼結温度は600〜1200℃の範囲内で種々変更した。焼結雰囲気・圧力は不活性雰囲気・大気圧とした。バインダーは市販のものを使用し、添加量は20重量%とした。
【0029】
製造されたタブレット(蒸着材料)の圧縮破壊強度、嵩密度を測定する。またXRDを行い、Siピーク強度を測定する。XRD測定条件を表1に示す。そして、Siピーク点におけるピーク強度P1とベース強度P2との比(XRD強度比P1/P2)を求める。この強度比の求め方は次のとおりである。
【0030】
【表1】

【0031】
XRDによる生データグラフの一例を図3に示す。2θ(θ:X線入射角)が28度付近にピークが表れている。これはSiピークである。ただしノイズも多い。そこで、前述した方法により、生データグラフをデータ特定数3で移動平均近似曲線に変換する。変換された移動平均近似曲線が図4である。そして、この移動平均近似曲線において次の処理を行う。
【0032】
28度近傍のSiピークの領域を除いた前後の領域においは格別のピークはみられない。そこで、ピーク領域を除いたピーク前後の領域における強度データから、ピーク領域におけるベースライン(図中に直線で示す)、すなわちピーク強度に影響されない平均強度勾配を求め、これからピーク点におけるベース強度P2を想定する。より具体的には、ピーク領域を除いたピーク前後の領域として24〜26度及び30〜32度をそれぞれ選択する。各領域における平均強度P3,P4を求める。平均強度P3,P4を25度、31度における各強度として各点を直線で繋ぐ。これをベースライン、すなわちピーク強度に影響されない平均強度勾配とする。そして最後に、ベースライン上のピーク点における強度をベース強度P2とする。
【0033】
こうしてピーク点におけるベース強度P2が想定されると、ピーク点におけるピーク強度P1とベース強度P2との比(P1/P2)を算出する。この強度比は蒸着材料中のSi量を表しており、これが3以下となるようにSi量が低減された蒸着材料が本発明の蒸着材料である。
【0034】
また、製造された蒸着材料を実際に真空蒸着試験(イオンプレーティング)に用いて、各材料のスプラッシュ特性を調査した。試験条件を表2に示す。スプラッシュを基材フィルムにおけるピンホールとして検出しカウントした。成膜速度は50オングストローム/sec(低速成膜)、200オングストローム/sec(高速成膜)の2種類とした。調査結果を蒸着材料の製造条件と共に表3に示す。圧縮破壊強度は5MPa未満を不可(5MPa以上を可)、10MPa以上を優良としとした。またピンホール数は50以上を不可(50未満を可)、20以下を良、10以下を優良とした。
【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
蒸着材料A〜Dは、原料として従来どおりの高温析出SiOを使用したものである。蒸着材料Aは比較例であり、SiO粉末の焼結温度が低いために、XRD強度比は小さく、スプラッシュ性は比較的良好であるが、使用性に影響する圧縮破壊強度は低い。蒸着材料B〜Dは従来例であり、焼結温度が高く圧縮破壊強度は高いが、XRD強度比は大きく、スプラッシュ性は良くない。
【0038】
一方、蒸着材料E〜Iは、原料として従来使用されていない低温析出SiOを使用したものである。蒸着材料Eは比較例であり、低温析出SiOを使用するものの、焼結温度が極端に低いために圧縮破壊強度に問題がある。XRD強度比は小さいが、スプラッシュ性は良くない。これはタブレットが脆く、成膜中にタブレットを構成するSiO粉末が飛散するためと考えられる。これに対し、蒸着材料F〜Hは本発明例であり、原料として従来使用されていない低温析出SiOを使用しているため、焼結温度を比較的低く抑えているものの、高い圧縮破壊強度を保有している。そして、焼結温度を比較的低く抑えたことにより、焼結プロセスでのSiの析出が抑制され、XRD強度比が3以下に抑制されたため、高速成膜でもスプラッシュ性は良好である。蒸着材料Iは比較例であり、焼結温度が高いために、XRD強度比が3を超え、スプラッシュ性が悪化した。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一酸化珪素系蒸着材料の製造工程の説明図である。
【図2】原料(析出SiO)の製造に使用される真空凝集装置の構成図である。
【図3】製造された蒸着材料のXRD生データグラフである。
【図4】XRD生データグラフから求めた移動平均近似曲線図である。
【符号の説明】
【0040】
1 原料室
2 凝集室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化珪素の蒸着膜の形成に使用される粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料において、XRDにより得られた生データグラフをデータ特定数3で移動平均近似曲線に変換したとき、その曲線上で2θ=28°付近に発生するSiピーク点におけるピーク強度P1と、ピーク点前後の平均勾配から想定したピーク点におけるベース強度P2との関係が、P1/P2≦3を満足する一酸化珪素系蒸着材料。
【請求項2】
圧縮破壊強度が5MPa以上である請求項1に記載の一酸化珪素系蒸着材料。
【請求項3】
一酸化珪素の蒸着膜の形成に使用される粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料を製造する際に、析出SiOからなる原料粉末を700〜1000℃で焼結する一酸化珪素系蒸着材料の製造方法。
【請求項4】
真空凝集装置で製造された析出SiOの選別使用により圧縮破壊強度が5MPa以上の一酸化珪素系蒸着材料を製造する請求項1に記載の一酸化珪素系蒸着材料の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化珪素の蒸着膜の形成に使用される粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料において、XRDにより得られた生データグラフをデータ特定数3で移動平均近似曲線に変換したとき、その曲線上で2θ=28°付近に発生するSiピーク点におけるピーク強度P1と、ピーク点前後の平均勾配から想定したピーク点におけるベース強度P2との関係が、P1/P2≦3を満足する一酸化珪素系蒸着材料。
【請求項2】
圧縮破壊強度が5MPa以上である請求項1に記載の一酸化珪素系蒸着材料。
【請求項3】
一酸化珪素の蒸着膜の形成に使用される粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料を製造する際に、析出SiOからなる原料粉末を700〜1000℃で焼結する一酸化珪素系蒸着材料の製造方法。
【請求項4】
真空凝集装置で製造された析出SiOの選別使用により圧縮破壊強度が5MPa以上の一酸化珪素系蒸着材料を製造する請求項3に記載の一酸化珪素系蒸着材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−348348(P2006−348348A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176244(P2005−176244)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(397064944)住友チタニウム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】