説明

上塗りフォトレジストと共に使用するのに好適なコーティング組成物

【課題】下塗り反射防止コーティング層として使用されることができ、かつ水性フォトレジスト現像剤で除去されうる新たな組成物の提供。
【解決手段】ジエン/ジエノフィル反応生成物を含む有機コーティング組成物、特に反射防止コーティング組成物が提供される。好ましい本発明の組成物は、基体から上塗りフォトレジスト層に戻る露光放射線の反射を低減させるのに有用であり、および/または平坦化、一体化もしくはビアフィル層として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体から上塗りフォトレジスト層に戻る露光放射線の反射を低減することができるおよび/または平坦化、一体性もしくはビアフィル層として機能することができる組成物(反射防止コーティング組成物または「ARC」など)に関する。より詳細には、本発明は、ジエン/ジエノフィル反応生成物を含む有機コーティング組成物、特に反射防止コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、画像を基体に移すために使用される感光膜である。フォトレジストのコーティング層が基体上に形成され、次いでフォトレジスト層がフォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。露光に続いて、フォトレジストは現像されて、基体の選択的な処理を可能にするレリーフ像をもたらす。
【0003】
フォトレジストの主たる用途は、高度に研磨された半導体切片、例えば、シリコンまたはガリウムヒ素を、回路の機能を果たす電子伝導経路の複雑なマトリックス、好ましくはミクロンもしくはサブミクロン形状、に変換することを目的とする半導体製造における用途である。適切なフォトレジスト処理がこの目的を達成することの鍵となる。様々なフォトレジスト処理工程の間には強い相互依存性があるが、露光は、高解像フォトレジスト画像を達成するのに最も重要な工程の一つであると考えられている。
【0004】
フォトレジストを露光するのに使用される活性化放射線の反射は、多くの場合、フォトレジスト層においてパターン形成された像の解像度に限界を有する。基体/フォトレジスト界面からの放射線の反射は、フォトレジストにおける放射線強度の空間的な変動を生じさせる場合があり、結果的に現像における不均一なフォトレジスト線幅をもたらしうる。放射線は基体/フォトレジスト界面から、露光が意図されないフォトレジストの領域に散乱することもあり、この場合も線幅の変動をもたらしうる。散乱および反射の量は典型的には、領域から領域で変動する場合があり、結果的に、さらなる線幅の不均一をもたらす。基体形状の変動は解像度限界問題も生じさせうる。
【0005】
反射した放射線の問題を低減するために使用される一つの試みは、基体表面とフォトレジストコーティング層とのに挿入される放射線吸収層の使用であった。
現在の有機反射防止コーティング組成物は多くの用途に非常に有効であるが、特定の処理要求を満たすために特定の反射防止組成物を有することもしばしば望まれる。例えば、上塗りフォトレジストが除かれた(例えば、ポジ型レジストに関しては、アルカリ水性現像剤によって除去される露光されたレジスト領域)反射防止層をプラズマエッチング剤以外の手段によって除去することが望まれうる。米国特許第6844131号および米国特許出願公開第20050181299号参照。このような試みは、さらなる処理工程および下地反射防止コーティング層のプラズマエッチング剤除去に関連するピットホール(pitfall)回避の可能性をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6844131号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20050181299号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マイクロエレクトロニクスウェハの製造において下塗り反射防止コーティング層として使用されうる新たな組成物を有することが望まれる。下塗り反射防止コーティング層として使用されることができ、かつ水性フォトレジスト現像剤で除去されうる新たな組成物を有することが特に望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上塗りフォトレジスト層のための下塗り反射防止コーティング層として特に有用な新規のコーティング組成物を見いだした。
より詳細には、第1の実施形態においては、本発明はジエンとジエノフィルとの反応生成物である成分(場合によっては、本明細書において「反応生成物成分」と称される)を含む組成物を提供する。好ましいジエンとジエノフィルの双方は不飽和基を有し、かつ好ましくは化合して、結合多重度の純減をもたらしている環式付加物を形成することができる。好ましいジエンは電子リッチであって、複数環の炭素環式もしくは複素芳香族基、特に、アントラセンまたはペンタセン基のような縮合環基をはじめとする炭素環式または複素芳香族基を含む。好ましいジエノフィルは、近接する(例えば、1、2または3原子以内に)電子吸引置換基を有するオレフィン部分を含む基を含み、例えば、好ましいジエノフィルは1以上のα,β−不飽和基を含む基を含む。特に好ましいジエノフィルにはイミド含有グループ、特にマレイミド、酸無水物、例えば、無水マレイン酸、およびジメチルアセチレンジカルボキシラートのような他のグループが挙げられる。
好ましい実施形態においては、本発明は、上述のようなジエンとジエノフィルとのディールスアルダー反応生成物である反応生成物成分を含む組成物を提供する。用語「ディールスアルダー(Diels Alder)反応」は、その充分に認識された意味、すなわち、例えば、「化学技術の抄録(Compendium of Chemical Technology)IUPAC勧告、第二版(1997Blackwell Science)」における「環化付加」の定義において言及される(4+2)環化付加に従って、本明細書において使用される。好ましいディールスアルダー反応生成物には、(i)イミド含有化合物、例えば、マレイミドもしくは他のジエノフィル、例えば、無水マレイン酸のような酸無水物、およびジメチルアセチレンジカルボキシラートのような他のグループと、(ii)多環式芳香族基;との反応生成物が挙げられる。特に好ましいディールスアルダー反応生成物には、(1)イミド含有化合物、例えば、マレイミドもしくは他のジエノフィル、例えば、無水マレイン酸のような酸無水物およびジメチルアセチレンジカルボキシラートのような他のグループと、(2)アントラセンまたはペンタセン基;との反応生成物が挙げられる。
概して好ましい本発明の下塗りコーティング組成物の反応生成物成分は、樹脂、例えば、ホモポリマー、並びに混合ポリマー、例えば、コポリマー(2種の異なる繰り返し単位)、ターポリマー(3種の異なる繰り返し単位)、テトラポリマー(4種の異なる繰り返し単位)、ペンタポリマー(5種の異なる繰り返し単位)および他の高次のポリマーである。
特定の実施形態においては、特に好ましい反応生成物成分は、次の特性、(1)溶解速度抑制;(2)剥離耐性;(3)所望の水性アルカリ現像剤溶解性(例えば、光酸不安定基、例えば、光酸不安定エステル(例えば、−C(=O)OC(CH)もしくはアセタール部分);および(4)フォトレジスト露光放射線の望まれない反射を吸収する発色団(例えば、炭素環式アリール基、例えば、場合によって置換されているフェニル、ナフチルもしくはアントラセニル):を付与することができる、少なくとも3または4種の異なる官能基を含む樹脂である。
【発明の効果】
【0009】
著しく好ましい処理された本発明のコーティング組成物は、上塗りフォトレジスト層の現像に使用される水性アルカリ現像剤で除去され、下地表面を露出させることができる。このことは、下塗りコーティング層を除去するためのプラズマエッチング剤の使用に伴い必要とされる、さらなる処理工程およびコストの低減をはじめとする多くの著しい利点をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のコーティング組成物は、場合によっては、反応成分に加えて、1種以上の他の物質を含むこともできる。例えば、本発明のコーティング組成物は、上塗りレジスト層を露光するために使用され、反射してレジスト層に戻る望まれない放射線を吸収しうる発色団を含む追加の成分を含むことができる。このような発色団は、反応成分自体をはじめとする様々な組成物成分中に存在することができ、または、骨格メンバーとしてもしくはペンダント基として発色団を有することができる追加の樹脂のように、および/または1以上の発色団部分を含む追加の低分子(例えば、MW約1000または500未満)のように、追加の成分が発色団を含むことができる。
【0011】
本発明のコーティング組成物に含まれる概して好ましい発色団、特に反射防止用途に使用されるものには、単環および複数環双方の芳香族基、例えば、場合によって置換されたフェニル、場合によって置換されたナフチル、場合によって置換されたアントラセニル、場合によって置換されたフェナントラセニル、場合によって置換されたキノリニルなどが挙げられる。特に好ましい発色団は上塗りレジスト層を露光するのに使用される放射線に応じて変化しうる。より詳細には、248nmでの上塗りレジストの露光については、場合によって置換されたアントラセンおよび場合によって置換されたナフチルが、反射防止組成物の好ましい発色団である。193nmでの上塗りレジストの露光については、場合によって置換されたフェニルおよび場合によって置換されたナフチルが特に好ましい発色団である。
【0012】
本発明のコーティング組成物は、適用された組成物コーティング層のリソグラフィック熱処理中に組成物成分の反応を促進するために、場合によっては、酸または酸発生剤化合物(例えば、光酸発生剤および/または熱酸発生剤)も含むことができる。光酸発生剤化合物(すなわち、193nmのような活性化放射線への曝露の際に酸を発生しうる化合物)および/または熱酸発生剤化合物(すなわち、熱処理の際に酸を発生しうる化合物)が概して好適である。
【0013】
下塗りコーティング組成物に含まれる光酸発生剤化合物は、上塗りフォトレジスト層を露光するのに使用される放射線での処理の際に酸を発生させることができる。光酸発生剤化合物のそのような使用によって、フォトレジスト層を下塗りコーティング組成物上に適用する前には、光酸発生剤化合物から酸は放出されない。適用されたレジスト層のパターン化活性化放射線への露光は、コーティング組成物の光酸発生剤化合物から酸を放出させ、レジストからコーティング組成物へ拡散しうるレジスト/コーティング組成物での光酸を補うことにより、コーティング組成物層上にパターン形成されたレジスト像の解像度を向上させることができ、並びに水性アルカリ現像剤による処理中に下塗りコーティング組成物の望まれる選択的な現像を促進することができる。
【0014】
コーティング組成物は、溶媒成分中での、上述のような反応成分および1種以上の任意成分の混合によって提供されうる。溶媒成分は、好適には、1種以上の有機溶媒、例えば、1種以上のアルコール溶媒、例えば、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、メチル−2−ヒドロキシイソブチラートなど、および/または1種以上の非ヒドロキシ溶媒、例えば、エチルエトキシプロピオナート、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(1−メトキシ−2−プロパノールアセタート)などでありうる。
【0015】
次いで、コーティング組成物は、例えば、スピンコーティング(すなわち、スピンオン組成物)によって基体、例えば、マイクロエレクトロニクス半導体ウェハに適用される。溶媒キャリアは加熱、例えば、真空ホットプレート上で170℃〜250℃に加熱することにより除去されうる。
【0016】
様々なフォトレジストが本発明のコーティング組成物と組み合わせて(すなわち、上塗りされて)使用されうる。本発明の反射防止組成物と共に使用するのに好ましいフォトレジストは化学増幅型レジスト、特に、1種以上の光酸発生剤化合物と、光により発生した酸の存在下でデブロッキング(deblocking)もしくは切断反応を受ける単位、例えば、光酸不安定−エステル、アセタール、ケタールまたはエーテル単位を含む樹脂成分とを含むポジ型フォトレジストである。本発明のコーティング組成物と共に使用するのに好ましいフォトレジストは、比較的短い波長の放射線、例えば、300nm未満、もしくは260nm未満、例えば、約248nmの波長を有する放射線、または約200nm未満、例えば、193nmもしくは157nmの波長を有する放射線で像形成されうる。他の有用な露光エネルギーには、EUV、e−ビーム、IPLおよびx線露光が挙げられる。
【0017】
本発明は、フォトレジストレリーフ像を形成する方法、および本発明の反射防止組成物が単独でもしくはフォトレジスト組成物と組み合わせてコーティングされた基体(例えば、マイクロエレクトロニクスウェハ基体)を含む新規の製造物品をさらに提供する。
【0018】
上述のように、処理された下塗りコーティング組成物層は、上塗りフォトレジスト層を現像するのに使用されるのと同じ水性アルカリ現像剤溶液で除去されることができ、すなわち、露光されたフォトレジスト層と下塗り硬化コーティング組成物との双方が、露光中にフォトマスクで画定される領域において、水性アルカリ現像剤で単一の工程で除去されうる。
【0019】
より具体的には、本発明の好ましい方法は以下の工程を含むことができる:
1.上述の1種以上の反応成分を含む組成物のコーティング層を適用する。この組成物コーティング層はマイクロエレクトロニクスウェハをはじめとする様々な基体上に適用されうる;
2.好ましくは、適用された組成物コーティング層を熱処理する。この熱処理はコーティング組成物のキャスティング溶媒を除去することができ、かつこの組成物層をフォトレジストキャスティング溶媒、例えば、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、2−ヘプタノンなどに実質的に不溶性にする;
3.熱でベークした下塗り組成物コーティング層上に、フォトレジスト組成物コーティング層を適用する。適用されたフォトレジスト層は、300nm未満、例えば、248nm、もしくは200nm未満、例えば、193nmの波長を有する放射線のような活性化放射線に、典型的にはフォトマスクを通して露光され、パターン形成された像をレジスト層に形成する。この露光されたフォトレジストは、潜像を向上させるかもしくは形成するために必要に応じて熱処理されうる;
4.露光されたフォトレジスト層は、次いで、水性アルカリ現像剤溶液のような現像剤溶液で処理される。現像剤溶液はレジスト層内に画定された像を、一致する領域の下塗りコーティング組成物層と共に除去することができ、すなわち、レリーフ像はフォトレジスト層および下塗りコーティング組成物層の双方を貫通するように画定される。
【0020】
好ましい実施形態においては、本発明の下塗りコーティング組成物はポジ型フォトレジスト、例えば、サブ−300nmおよびサブ−200nmの波長、例えば、248nmまたは193nmで像形成されうるポジ型フォトレジストとの組み合わせで使用される。化学増幅ポジ型レジストが好ましく、これは光により発生した酸の存在下でデブロッキングまたは切断反応を受けうる部分、例えば、光酸不安定エステルもしくはアセタールを有する成分を含む。サブ−300nm像形成、たとえば、248nmに好ましいポジ型フォトレジストは、フェノール系単位並びに酸不安定エステルおよび/またはアセタール部分を含むポリマーと、光酸発生剤化合物とを含む。サブ−200nm像形成、例えば193nm像形成での使用に好ましいポジ型フォトレジストは、芳香族基を実質的に含まず、特にフェニルもしくは他の芳香族置換基を含む樹脂を実質的に含まない。
【0021】
別の実施形態においては、本発明は本発明のコーティング組成物を製造する方法、およびフォトレジストレリーフ像を形成する方法、および処理されたマイクロエレクトロニクスウェハのような電子デバイスを製造する方法も含む。
【0022】
本発明のさらに他の実施形態においては、次の式の1種以上の基を含む化合物(例えば、樹脂)が提供される:
【化1】

上記式中、各Rは独立して水素または非水素であり、例えば、H、メチルをはじめとするC1−18アルキル、アリール(例えば、フェニル、ナフチルなどの炭素環式アリール)、並びにC1−18アルコキシである。
【0023】
上記式の好ましい化合物には、1以上の繰り返し単位が上記基の1種以上を含むことができる樹脂が挙げられる。例えば、次の好ましいアクリラート化合物は他の反応性モノマーと重合されることができ、重合単位を含む樹脂を提供することができる:
【化2】

上記式中、各Rは独立して水素または非水素であり、例えば、H、メチルをはじめとするC1−18アルキル、アリール(例えば、フェニル、ナフチルなどの炭素環式アリール)、およびC1−18アルコキシであり;並びにR’は水素もしくはC1−6アルキル、例えば、メチルである。
【0024】
本発明の他の実施形態は以下に示される
上述のように、本発明者は、上塗りフォトレジスト層を伴う場合に特に有用な新規の有機コーティング組成物を提供する。好ましい本発明のコーティング組成物はスピンコーティング(スピンオン組成物)によって適用されることができ、溶媒組成物として配合されうる。本発明のコーティング組成物は、上塗りフォトレジストのための反射防止組成物として特に有用である。
【0025】
下塗りコーティング組成物
上述のように、第1の実施形態においては、下塗りコーティング組成物はジエンとジエノフィルとの反応生成物である、反応生成物成分を含む。別の実施形態においては、下塗りコーティング組成物はディールスアルダー反応生成物である反応生成物成分を含む。好適には、反応生成物成分は樹脂であり、例えば、ホモポリマー並びに高次のポリマー、例えば、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、およびペンタポリマーなどである。
【0026】
反応生成物成分は様々な方法で合成されうる。例えば、2種の物質のディールスアルダー反応生成物であるモノマーが好ましい場合がある。そのモノマーは次いで他のモノマーと反応させられ、本発明の下塗りコーティング組成物の樹脂成分を生じさせうる。ディールスアルダーおよび他の環化付加反応は知られている。
【0027】
あるいは、ジエン(例えば、アントラセンもしくはペンタセン)とジエノフィル(例えば、1以上の電子吸引置換基を有するオレフィンを含む基質、例えば、マレイミド、無水マレイン酸、またはジメチルアセチレンジカルボキシラート)のいずれかまたは双方を含む形成された樹脂は環化付加反応を受けて、本発明の下塗りコーティング組成物の反応生成物成分を生じさせることができる。例えば、あらかじめ形成されたポリマーから反応生成物成分の典型的な合成を示す実施例4−6を参照。
【0028】
より具体的には、次のスキーム1は、ディールスアルダー反応により修飾された典型的なモノマーを示し、これは重合されて本発明の下塗りコーティング組成物の樹脂反応生成物成分を生じさせることができる。
【0029】
【化3】

スキーム1.アントラセンメチルメタクリラートモノマー1と、N−置換マレイミド(R=H、場合によって置換されたC1−18アルキル、例えば、場合によって置換されたメチル、場合によって置換されたアリール(例えば、場合によって置換された炭素環式アリール、例えば、フェニル、ナフチル)、場合によって置換されたC1−18アルコキシなど)とのディールスアルダー反応。
【0030】
上記スキーム1は、アントラセンメチルメタクリラートモノマー1と、N−置換マレイミドとの環化付加(特に、ディールスアルダー)反応により、ペンダントマレイミド官能基を有する修飾メタクリルモノマー2を提供することを示す。モノマー2は、2つのベンゾ縮合芳香族置換基のせいで193nmに強い吸光をもたらしうる。さらに、ペンダントマレイミド付加物は、この付加がなければ溶媒可溶性で塩基不溶性であるモノマー1に、塩基溶解特性および溶媒剥離耐性を与えることができる。
【0031】
スキーム1に示された反応条件下(還流ジオキサン、12時間)で、示された環化付加反応は容易に進行することが認められた。典型的な好ましい反応条件を示す実施例も参照。
【0032】
次のスキーム2は、重合されて本発明の下塗りコーティング組成物の樹脂反応生成物成分をもたらすことができる、ディールスアルダー反応によって修飾された典型的なモノマーを示す。
【0033】
【化4】

スキーム2.ペンタセンメチルメタクリラートモノマーと、N−置換マレイミド(R=H、場合によって置換されたC1−18アルキル、例えば、場合によって置換されたメチル、場合によって置換されたアリール(例えば、場合によって置換された炭素環式アリール、例えば、フェニル、ナフチル)、場合によって置換されたC1−18アルコキシなど)とのディールスアルダー反応。
【0034】
上記スキーム2は、ペンタセンメチルメタクリラートモノマーと、N−置換マレイミドとの環化付加(特に、ディールスアルダー)反応により、ペンダントマレイミド官能基を有する修飾メタクリルモノマーを提供することを示す。モノマー2は、2つのベンゾ縮合芳香族置換基のせいで193nmに強い吸光をもたらしうる。さらに、ペンダントマレイミド付加物は、この付加がなければ溶媒可溶性で塩基不溶性であるペンタセンメチルメタクリラートモノマーに、塩基溶解特性および溶媒剥離耐性を与えることができる。
【0035】
上述のように、下塗りコーティング組成物の層の好ましい領域は水性アルカリ現像剤組成物(例えば、0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド現像剤水溶液)で選択的に除去されうる。好ましい反応生成物成分は複数の異なる官能基を有するポリマーである。
【0036】
好ましい本発明の下塗りコーティング組成物は、180℃または240℃で1〜5分のような熱処理の際に有意な架橋(組成物成分の分子量増加)を受けない。コーティング層が実質的な架橋を受けないかどうかを評価するためのプロトコルを示す実施例15を参照。
【0037】
下塗りコーティング組成物の好ましい反応生成物成分は、切断もしくは脱保護反応を受けて、水性アルカリ現像剤溶解性を促進する官能基、例えば、カルボキシ、フッ素化アルコール、フェノール、イミド、スルホンアミドおよび他のこのような部分などを生じさせることができる1種以上の光酸不安定(photoacid−labile)基を含む。上塗りフォトレジスト層のイメージ様露光および露光後ベークの際に、下塗りコーティング組成物の反応成分の光酸不安定基は反応することができ、水性アルカリ現像剤溶解性を促進する官能基を生じさせうる。
【0038】
好ましくは、下塗りコーティング組成物の反応生成物成分は、酸不安定基に加えて他の官能基、例えば、発色団;溶媒剥離耐性基(上塗りフォトレジスト層のキャリア溶媒への反応成分の溶解速度を低減する);溶解速度促進基(光酸不安定基を含まないが、水性アルカリ現像剤中での溶解速度を促進することができる;酸不安定基);などを含む。
【0039】
より詳細には、反応生成物成分の好ましい官能基には次のものが挙げられる:
1.発色団:248nm(KrF露光)または193nm(ArF露光)での充分な吸光を有し、反射防止用途における反射制御をもたらす有機官能基。様々な置換アントラセン、ナフタレンおよびフェニル基が好ましい発色団の例である。このような発色団は次のモノマーを用いてポリマーに組み込まれうる:アントラセンメチルメタクリラート(ANTMA)、ヒドロキシスチレンモノマー(PHS)、アセトキシ−スチレンモノマー(4AS)、ヒドロキシビニルナフタレンモノマー(HVN)、および2−メチル−アクリル酸6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルメチルエステル。
2.溶媒剥離耐性基:ポリマーの構成要素としての有機官能基は、KrFおよびArFタイプのレジスト配合物に一般的に使用される様々な選択された有機溶媒中でのポリマーの溶解速度を低減させる。これらには、PGMEA、乳酸エチルおよびヒドロキシイソ酪酸メチルエステルが挙げられる。溶媒剥離耐性基は相互混合することなく下塗り層に上塗りフォトレジスト層を適用するのを可能にすることができる。様々な置換アミド、ラクトン、カルボン酸、カルボン酸エステルおよび他の加水分解性基が、ポリマーベースの下塗り組成物に対して溶媒剥離耐性を提供しうる官能基の例である。このような溶媒剥離耐性向上基は、次の典型的なモノマーを用いてポリマーに組み込まれうる:マレイミド、ノルボルニルラクトンアクリラートモノマー(NLA)、ノルボルニルラクトンメタクリラートモノマー(NLM)、およびアントラセンメチルメタクリラート−マレイミド環化付加物(ANT−MI)。
3.溶解速度促進基:水性テトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(0.26N)におけるポリマーの溶解の速度を促進する(増大する)ポリマーの構成要素としての有機官能基。様々な置換イミド、アミド、フェノール、スルホンアミド、フッ素化アルコール、例えば、ヘキサフルオロアルコール(例えば、−C(CF)OH)、ラクトン、カルボン酸、カルボン酸エステルおよび他の加水分解性基が、好ましい溶解速度促進基の例である。このような溶解速度促進基は次のモノマーを用いてポリマーに組み込まれうる:マレイミド、ヒドロキシスチレンモノマー、アセトキシスチレンモノマー、ヒドロキシビニルナフタレンモノマー、ノルボルニルラクトンアクリラートモノマー(NLA)、ノルボルニルラクトンメタクリラートモノマー(NLM)、およびアントラセンメチルメタクリラート−マレイミド環化付加物(ANT−MI)。
4.酸不安定基:酸により触媒される脱保護反応を受けうる、ポリマーの構成要素としての有機官能基。これらの用途において、酸触媒は光酸発生剤(PAG)の手段によって提供され、PAGは上塗りフォトレジストのフォトリソグラフィック処理中の露光領域において酸を生じさせる。脱保護反応は現像剤溶液中のポリマーの溶解の速度を有意に増大させ、良好なパターン忠実度で露光領域のフォトレジストおよび下塗りコーティング組成物を除去するのを可能にする。脱保護された酸不安定基によって提供される水性現像剤溶液中での素早い溶解速度は、現像後の露光領域で観察されるあらゆる下塗りコーティング組成物残渣またはスカミングを除去するかまたは少なくとも最小限にする。酸で触媒されるtert−ブチルアクリラートエステルの脱保護反応が好ましい例である。
【0040】
本発明の下塗りコーティング組成物の樹脂反応生成物成分の好適な分子量はかなり広く変化することができ、例えば、好適な重量平均分子量は約1,000〜50,000、より好ましくは約1,500〜10,000、20,000または30,000の範囲であることができる。
【0041】
本発明の下塗りコーティング組成物に使用するのに典型的な反応生成物成分は前記スキーム1および2に従う実施例に示される。
【0042】
上述のように、特に好ましい本発明の下塗りコーティング組成物は、追加的に、1種以上の光酸発生剤化合物を含むことができる。上塗りフォトレジスト層のイメージ様露光中の光酸発生剤化合物の活性化は結果的に、下塗りコーティング組成物の反応成分の酸不安定基の反応をもたらすことができ、像形成されたフォトレジストおよび下塗りコーティング組成物層の双方についてのその後のワンステップ現像を可能にしうる。
【0043】
イオン性および化合物、例えば、オニウム塩(スルホニウムおよび/またはヨードニウム化合物など)、および非イオン性光酸発生剤、例えば、イミドスルホナート、N−スルホニルオキシイミド、ジスルホン化合物、およびニトロベンジルベースの光酸発生剤、並びにフォトレジスト組成物において使用されてきた他の光酸発生剤をはじめとする様々な光酸発生剤化合物が下塗りコーティング組成物中で使用されうる。本発明のコーティング組成物において使用するのに特に好ましい光酸発生剤化合物には、フォトレジスト組成物において使用するために後述されるもの、並びに米国特許第6,20,911号および第6,803,169号に開示されるイオン性および非イオン性光酸発生剤、例えば、スルホニウム化合物、例えば、トリフェニルスルホニウム塩、ヨードニウム化合物、例えば、ジフェニルヨードニウム化合物およびイミドスルホナート、並びに他の非イオン性光酸発生剤化合物が挙げられる。
【0044】
下塗りコーティング組成物において、様々な量で1種以上の光酸発生剤が使用されることができ、例えば、1種以上の光酸発生剤化合物は、下塗りコーティング組成物の全固形分(溶媒キャリアを除く全成分)に基づいて、約5重量パーセント以下の量、好適には下塗りコーティング組成物の全固形分の4重量パーセント未満、3重量パーセント未満、2重量パーセント未満または1重量パーセント未満で存在する。
【0045】
本発明の下塗りコーティング組成物の他の任意の添加剤、特に1種以上の光酸発生剤化合物がそのような組成物中に存在する場合のその任意の添加剤は、追加の塩基であり、例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、または乳酸テトラブチルアンモニウム、またはヒンダードアミン、例えばジアザビシクロウンデセンもしくはジアザビシクロノネンである。追加の塩基は好適には比較的少量、例えば、下塗りコーティング組成物の全固形分に対して約0.03〜5重量%で使用される。
【0046】
本発明のコーティング組成物は、特に反射制御用途のためには、上塗りフォトレジスト層を露光するのに使用される放射線を吸収する追加の染料化合物を含むこともできる。他の任意の添加剤には、表面平滑化剤、例えば、Union Carbideからの商品名Silwet7604で入手可能な平滑化剤、3M Companyから入手可能な界面活性剤FC171またはFC431、またはOmnovaからのPF656界面活性剤が挙げられる。
【0047】
下塗りコーティング組成物のさらなる任意の添加剤は、樹脂生成物成分のあらゆる樹脂とは異なっており、かつこれに追加される、1種以上の樹脂である。例えば、所望の発色団(例えば、アントラセン、フェニルもしくはナフチル)を含むポリエステルもしくはアクリラートベースの樹脂が組成物中に含まれることができ、適用された組成物に対して発色団機能(すなわち、露光放射線の望まれない反射の吸収)並びに膜形成特性の双方を付与することができる。
【0048】
上述のように、本発明のコーティング組成物は好適には、液体スピンオン組成物として配合され、1種以上のブレンドされる溶媒を含む。好適な溶媒には、例えば、乳酸エステル、例えば、乳酸エチルまたは乳酸メチル、酢酸エステル、例えば、酢酸アミル、アニソール、1種以上のグリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;エーテルおよびヒドロキシ部分の双方を有する溶媒、例えば、メトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、およびエトキシプロパノール;エステル、例えば、メチルセロソルブアセタート、エチルセロソルブアセタート、メチル−2−ヒドロキシイソブチラート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートおよび他の溶媒、例えば、2塩基エステル、プロピレンカーボナートおよびガンマブチロラクトン、ケトン、例えば、ヘプタノン(特に、2−ヘプタノン)およびシクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0049】
本発明の液体コーティング組成物を製造するために、コーティング組成物の成分は好適な溶媒、例えば、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、および/またはメチル−2−ヒドロキシイソブチラートの1種以上などに溶解される。溶媒中の乾燥成分の好ましい濃度は様々な要因、例えば、適用の方法などに応じて変化するであろう。一般に、コーティング組成物の固形分はコーティング組成物の全重量の約0.5〜20重量パーセントの間で変化し、好ましくは、この固形分はコーティング組成物の約1〜10重量の間で変化する。下塗りコーティング組成物の全固形分(溶媒キャリアを除いた全ての物質)のなかで、反応生成物成分(例えば、1種以上の樹脂)は組成物の全固形分の重量の過半量を構成することができ、例えば、コーティング組成物の60、70、80、90、95重量%以上が反応生成物成分で構成される。本発明の下塗りコーティング組成物の物質の典型的に好ましい量について説明する実施例を参照。
【0050】
フォトレジスト組成物
様々なフォトレジスト組成物、例えば、上述のようなポジ型光酸発生組成物などが本発明のコーティング組成物と共に使用されうる。本発明のコーティング組成物と共に使用されるフォトレジストは、典型的には、樹脂、および光活性成分、典型的には光酸発生剤化合物を含む。好ましくは、フォトレジスト樹脂バインダーは像形成されたレジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。
【0051】
上述のように、本発明のコーティング組成物と共に使用するのに特に好ましいフォトレジストには、化学増幅型レジスト、例えば、ポジ型化学増幅型レジスト組成物が挙げられ、このレジスト層において光活性化された酸は1種以上の組成物成分の脱保護型反応を誘導し、それにより、レジストコーティング層の露光領域と未露光領域との間の溶解度差をもたらす。多くの化学増幅型レジスト組成物が、米国特許第4,968,581号;第4,883,740号;第4,810,613号;第4,491,628号および第5,492,793号に記載されており、その全ては、化学増幅型ポジ型レジストを製造し、使用するこれらの教示を参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0052】
本発明のコーティング組成物は他のポジ型レジスト、例えば、極性官能基、例えば、ヒドロキシルもしくはカルボキシルを含む樹脂バインダーを含むものと共に使用されることもでき、その樹脂は水性アルカリ溶液でレジストを現像可能にするのに充分な量でレジスト組成物中に使用される。一般に、好ましいレジスト樹脂は、当該技術分野でノボラック樹脂として知られているフェノールアルデヒド縮合物、アルケニルフェノールのホモおよびコポリマーをはじめとするフェノール系樹脂、並びにN−ヒドロキシフェニル−マレイミドのホモおよびコポリマー、並びにフッ素化アルコール、例えば、ヘキサフルオロアルコール(例えば、−C(CHOH−)のコポリマーである。
【0053】
本発明の下塗りコーティング組成物と共に使用するのに好ましいポジ型フォトレジストは像形成有効量の光酸発生剤化合物および以下の群から選択される1種以上の樹脂を含む:
1)248nmでの像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる酸不安定基を含むフェノール系樹脂。この種の特に好ましい樹脂には:i)ビニルフェノールおよびアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマーであって、重合されたアクリル酸アルキル単位が光酸の存在下でデブロッキング(deblocking)反応を受けうるポリマー。光酸誘起デブロッキング反応を受けうる代表的なアクリル酸アルキルには、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および光酸誘起反応を受けうる他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートが挙げられ、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,042,997号および第5,492,793号におけるポリマーが挙げられる;ii)ヒドロキシまたはカルボキシ環置換基を含まない、場合によって置換されたビニルフェニル(例えば、スチレン)、ビニルフェノール、および上記ポリマーi)について記載されるデブロッキング基のようなアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,042,997号に記載されるポリマー;iii)光酸と反応できるアセタールまたはケタール部分を含む繰り返し単位を含み、および場合によってフェニルまたはフェノール性基のような芳香族繰り返し単位を含むポリマー;このようなポリマーは参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されている;iv)t−ブトキシカルボニルオキシ保護(tBoc)基を含むポリマー;並びにv)少なくとも1種のポリマーが酸不安定基を含む、ポリマーブレンドが挙げられる;
2)フェニルまたは他の芳香族基を実質的にまたは完全に含まず、サブ−200nmの波長、例えば、193nmでの像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる樹脂。特に好ましいこの種の樹脂には:i)非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、場合によって置換されたノルボルネンの重合単位を含むポリマー、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に記載されたポリマー;ii)アクリル酸アルキル単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートを含むポリマー;このようなポリマーは参照により全て本明細書に組み込まれる米国特許第6,057,083号;欧州特許出願公開第EP01008913A1号およびEP00930542A1号;および米国特許出願第09/143,462号、並びにiii)重合された酸無水物単位、特に重合された無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含むポリマー、例えば、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願公開第EP01008913A1号および米国特許第6,048,662号に開示されるポリマーが挙げられる;
3)ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含む繰り返し単位(ただし、酸無水物は除く、すなわち、この単位はケト環原子を含まない)を含み、かつ望ましくは実質的にまたは完全に芳香族単位を含まない樹脂。好ましくは、ヘテロ脂環式単位はこの樹脂骨格に縮合されており、さらに好ましいのは、樹脂が、ノルボルネン基の重合により提供されるような縮合炭素脂環式単位、および/または無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸の重合により提供されるような酸無水物単位を含むものである。このような樹脂は国際出願第PCT/US01/14914号および米国特許第6,306,554号に開示されている。
4)フッ素置換を含む樹脂(フルオロポリマー)、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ素化芳香族群、例えば、フルオロ−スチレン化合物などの重合により提供されうる樹脂。このような樹脂の例は、例えば、国際出願第PCT/US99/21912号に開示されている。
【0054】
本発明のコーティング組成物上にコーティングされるフォトレジストに使用するのに好適な光酸発生剤には、下記式の化合物のようなイミドスルホナートが挙げられる:
【化5】

(式中、Rはカンフル、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル)、特にペルフルオロオクタンスルホナート、ペルフルオロノナンスルホナートなどである)。特に好ましいPAGはN−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0055】
スルホナート化合物、特にスルホン酸塩も、本発明のコーティング組成物に上塗りされるレジストに好適なPAGである。193nmおよび248nmでの画像形成に好適な2種の化合物は次のPAG1および2である:
【化6】

【0056】
他の既知の光酸発生剤化合物、例えば、米国特許第4,442,197号、第4,603,101号および第4,624,912号に開示されるものをはじめとする他のオニウム塩、並びに非イオン性有機光活性化合物、例えば、Thackerayらへの米国特許第5,128,232号におけるようなハロゲン化光活性化合物も本発明のレジストにおいて使用されうる。本発明のコーティング組成物と共に使用されるフォトレジストにおいて使用するのに好適な追加の光酸発生剤には、スルホナート光酸発生剤、例えば、スルホン化エステルおよびスルホニルオキシケトンが挙げられる。ベンゾイントシラート、t−ブチルフェニルアルファ−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセタート、およびt−ブチルアルファ(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセタートをはじめとする好適なスルホナートPAGの開示についてJ.of Photopolymer Science and Technology,4(3):337−340(1991)を参照。好ましいスルホナートPAGはSintaらへの米国特許第5,344,742号にも開示されている。
【0057】
本発明の下塗りコーティング組成物と共に使用するためのフォトレジストは他の物質も含むことができる。
本発明のコーティング組成物を上塗りするフォトレジストの好ましい任意の添加剤は、追加の塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)または乳酸テトラブチルアンモニウムであり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。193nmで像形成されるレジストについては、好ましい追加の塩基はヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセンもしくはジアザビシクロノネンである。追加の塩基は比較的少量で、たとえば、全固形分に対して約0.03〜5重量パーセントで好適に使用される。
【0058】
他の任意のフォトレジスト添加剤には、化学線染料(actinic dye)およびコントラスト染料(contrast dye)、ストリエーション防止(anti−striation)剤、可塑剤、速度増強剤などが挙げられる。このような任意の添加剤は、充填剤および染料(これらは比較的高濃度、例えば、レジストの乾燥成分の全重量の約5〜50重量パーセントの量で存在できる)を除いて、典型的には、フォトレジスト組成物中で低濃度で存在することができる。
【0059】
「場合によって置換」されている様々な置換基および物質(例えば、反応生成物成分、並びに反応生成物成分を形成するための試薬、樹脂、低分子化合物、酸発生剤など)が、例えば、ハロゲン(F、Cl、Br、I);ニトロ;ヒドロキシ;アミノ;アルキル、例えば、C1−8アルキル;アルケニル、例えば、C2−8アルケニル;アルキルアミノ、例えば、C1−8アルキルアミノ;炭素環式アリール、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルなど;によって1以上の利用可能な位置で好適に置換されうる。
【0060】
リソグラフィック処理
上述のように、使用において、本発明のコーティング組成物は、スピンコーティングのような様々な方法のいずれかによって、コーティング層として基体に適用される。コーティング組成物は一般に、約0.02〜0.5μmの乾燥層厚で、好ましくは、約0.03〜100μmの乾燥層厚で基体上に適用される。基体は好適には、フォトレジストに関連する方法において使用されるあらゆる基体である。例えば、基体はケイ素、二酸化ケイ素、またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニクスウェハであることができる。ガリウムヒ素、炭化ケイ素、セラミック、石英または銅基体も使用されうる。液晶ディスプレイまたは他のフラットパネルディスプレイ用途のための基体、例えば、ガラス基体、インジウムスズ酸化物被覆基体なども好適に使用される。光学デバイスおよび光電子デバイス(例えば、導波路)のための基体も使用されうる。
【0061】
論じられるように、好ましくは、適用されたコーティング層が処理されて(例えば、熱処理)、溶媒キャリアを除去し(しかし、組成物成分の有意な分子量増加を伴うことなく)、その後に、フォトレジスト組成物が組成物層上に適用される。熱処理条件はコーティング組成物の成分に応じて、特に、コーティング組成物が酸または酸のソース、例えば、熱酸発生剤を含む場合には、変化しうる。好適な熱処理硬化条件は約140℃〜250℃で、約0.5〜30分の範囲であり得る。加熱条件は好ましくは、コーティング組成物のコーティング層を、上塗りフォトレジスト組成物の溶媒キャリアに対して実質的に不溶性にして、それぞれの2つのコーティング層の有意な相互混合を回避する。
【0062】
コーティング組成物層の処理後、フォトレジストはコーティング組成物の表面上に適用される。下部コーティング組成物の適用と同様に、上塗りフォトレジストは、スピニング、ディッピング、メニスカスまたはローラーコーティングによるような何らかの標準的な手段によって適用されうる。適用の後で、フォトレジストコーティング層は典型的には、加熱することにより乾燥され、好ましくはレジスト層が非粘着性になるまで溶媒を除去する。
【0063】
レジスト層は、次いで、従来の方法で、マスクを通した活性化放射線で像形成される。露光エネルギーは、レジストコーティング層におけるパターン形成された像を生じさせるためにレジスト系の光活性成分を有効に活性化するのに充分なものである。典型的には、露光エネルギーは、約3〜300mJ/cmの範囲であり、部分的には、露光ツールおよび使用される具体的なレジストおよびレジスト処理に依存する。露光されたレジスト層は、コーティング層の露光領域と非露光領域との間の溶解度差を作り出すもしくは増強させることが望まれる場合には、露光後ベークにかけられうる。例えば、多くの化学増幅ポジ型レジストは酸促進脱保護反応を誘導するために露光後加熱を必要とする。典型的な露光後ベーク条件には、約50℃以上の温度、より具体的には、約50℃〜約160℃の範囲の温度が挙げられる。
【0064】
露光されたレジストコーティング層は、次いで、現像され、好ましくは、水性現像剤、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、水性アンモニアなどによって代表されるアルカリで現像される。一般に、現像は、認識された手順の技術に従うが、ただし、現像は結果的に、現像剤によって除去されるレジスト層領域の下にある領域における下塗りコーティング組成物層の除去ももたらしうる。好ましくは、レジスト層から移される像の現像が下塗りコーティング層において一旦完了したら、下塗り層の過剰なもしくは望まれない除去、例えば、レジスト層が維持される領域における組成物コーティング層の除去を回避するために(例えば、スピン乾燥および/または水でのすすぎによって)現像は停止させられる。下塗りコーティング組成物層の不充分現像(under−development)または過現像を回避するための最適な現像時間は、レジスト、下塗り組成物、現像剤組成物および現像条件のあらゆる具体的な系について実験的に容易に決定されることができ、例えば、現像は上述の停止前の様々な時間で行われることができ、過現像または不充分現像が起こらないような現像時間または時間の範囲を決定するために、現像された像は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)によって評価される。
【0065】
現像に続いて、酸硬化フォトレジストの最終ベークは、多くの場合、約100℃〜約150℃の温度で数分間使用され、現像された露光コーティング層領域をさらに硬化させる。
【0066】
現像された基体については、次いで、フォトレジストおよび下塗りコーティング組成物層が除かれたこれら基体領域上が選択的に処理されることができ、例えば、当該技術分野で周知の手順に従ってフォトレジストが除かれた基体領域を化学的にエッチングまたはめっきすることができる。好適なエッチング剤には、フッ化水素酸エッチング溶液、およびプラズマガスエッチング、例えば、酸素プラズマエッチングなどが挙げられる。特に、下塗り組成物層のプラズマ除去の追加の工程は必要とされず、その除去は上述のようなフォトレジスト層現像と同じ工程で達成される。所望の場合には、次いで、露光され現像された領域においてインプラントプロセスが行われうる。
【0067】
本明細書において言及される全ての文献はその全体について、参照することにより本明細書に組み込まれる。次の非限定的な実施例は本発明の例示である。
【実施例】
【0068】
実施例1:ANTMIディールスアルダー環化付加(ANTMI)モノマーの合成。
磁気攪拌子、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を備えた1.0Lの3つ口丸底フラスコにマレイミド(MI;28.7g;296mmol)、9−アントラセン−メチルメタクリラート(ANTMA;74.2g;269mmol)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ;0.5g;4mmol)および267gのジメチルホルムアミドを添加した。この混合物を153℃、窒素ガス下で12時間加熱して還流した。
室温まで冷却した後、反応混合物を500gの酢酸エチルで希釈した。この溶液を3インチシリカゲルパッドを通して溶出させ、ろ過した。この溶液を水(3×100g)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。室温で減圧下で溶媒を除去した。この物質を減圧下で5時間乾燥させた。
72.2g(72%)が灰白色粉体として得られた。H NMR(500MHz,ジオキサン−d):δ9.30(s,1H)、7.42−7.25(m,4H)、7.22−7.11(m,4H)、6.05(s,1H)、5.60−5.45(m,3H)、4.72(s,1H)、3.24(s,2H)、1.94(s,3H)。13C NMR(125MHz,ジオキサン−d):δ177.5、176.9、167.3、143.7、142.9、140.4、139.9、137.5、127.6、127.2、127.1、126.0、125.9、124.7、123.9、67.2、62.8、50.1、48.8、46.4、18.5。
【0069】
実施例2−3:直接重合によるANT−MI含有ポリマーの合成。
実施例2:ANTMIホモポリマーの合成。
磁気攪拌子、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を備えた0.25Lの3つ口丸底フラスコに、マレイミド/アントラセンメチルメタクリラート[4+2]ディールスアルダー環化付加物(ANTMI;10.25g;32.7mmol)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52;0.20g;0.8mmol)および41.8gのジオキサンを添加した。反応混合物を15分間窒素ガスでスパージした。
反応混合物を85℃で12時間加熱した。
室温に冷却した後、反応混合物を50gのジオキサンで希釈し、1.5Lのメタノール中に沈殿させた。真空ろ過で白色沈殿物が単離され、真空オーブン中で50℃で一晩乾燥させて、ポリ(マレイミド/アントラセンメチルメタクリラート[4+2]ディールスアルダー環化付加物)[ポリ(ANTMI)]を生じさせた。7.5g(73%)が白色粉体として得られた。GPC(THF)M=26100Da、M=5700Da、PDI:4.6。
【0070】
実施例3:ANTMI/ANTMA 80/20コポリマーの合成。
磁気攪拌子、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を備えた0.25Lの3つ口丸底フラスコに、マレイミド/アントラセンメチルメタクリラート[4+2]ディールスアルダー環化付加物(ANTMI;22.40g;60.0mmol)、9−アントラセン−メチルメタクリラート(ANTMA;4.11g;14.9mmol)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52;0.40g;1.6mmol)および54.3gのジオキサンを添加した。反応混合物を15分間窒素ガスでスパージした。
反応混合物を85℃で12時間加熱した。
室温に冷却した後、反応混合物を60gのジオキサンで希釈し、3.0Lのメタノール中に沈殿させた。真空ろ過で白色沈殿物が単離され、真空オーブン中で50℃で一晩乾燥させて、ポリ(マレイミド/アントラセンメチルメタクリラート(ANTMI)−コ−9−アントラセン−メチルメタクリラート(ANTMA)[ポリ(ANTMI)−コ−(ANTMA)]を生じさせた。
6.2g(24%)が白色粉体として得られた。GPC(THF)M=42000Da、M=6600Da、PDI:6.4。
【0071】
実施例4−6:プレポリマーのポリマー修飾を介したANT−MI含有ポリマーの合成。
実施例4:ANTMA/HNMA−2/TBA 50.2/33.7/16.1プレポリマーの合成。
磁気攪拌子、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を備えた0.25Lの3つ口丸底フラスコに、42.2gのジオキサンを添加した。この溶媒を窒素ガスで15分間スパージした。この溶媒を85℃に加熱した。
攪拌子を備えた0.25Lのガラス瓶に、9−アントラセン−メチルメタクリラート(ANTMA;34.67g;126mmol)、2−ヒドロキシナフタレン−メチルメタクリラートモノマー(HNMA−2;20.47g;84.5mmol)、t−ブチルアクリラート(TBA;5.22g;40.7mmol)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52;1.86g;7.5mmol)および98.8gのジオキサンを添加した。この混合物を30分間室温で攪拌した。この溶液を窒素ガスで15分間スパージした。
このモノマーおよび開始剤溶液を、ペリスタルティックポンプで1.2時間にわたって2.1g/分の速度で反応フラスコに供給した。
モノマーおよび開始剤供給の完了時に、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52;1.24g;5.0mmol)およびジオキサン(23.6g)の溶液を、ペリスタルティックポンプで10分間にわたって2.5g/分の速度で反応フラスコに供給した。
完了時に、反応混合物を85℃で1.5時間保持した。
室温に冷却後、反応混合物の70gの部分をメタノール0.7L中で沈殿させた。真空ろ過によって白色沈殿物を単離し、真空オーブン中で50℃で一晩乾燥させた。反応混合物の残りの部分は後述のポリマー修飾実験(実施例5および6)に利用された。
18.2g(92%)が白色粉体として得られた。GPC(THF)M=7000Da、M=4200Da、PDI:1.6。
【0072】
実施例5:ANTMI/ANTMA/HNMA−2/TBA (25.1/25.1/33.7/16.1)修飾ポリマーの合成。
磁気攪拌子、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を備え、実施例4(上述)の残りの反応混合物を含む0.25Lの3つ口丸底フラスコに、マレイミド(MI;4.09g;42.1mmol)を添加した。この反応混合物を85℃で6時間保持した。
室温に冷却後、反応混合物の52gの部分を10gのジオキサンで希釈し、メタノール0.7L中で沈殿させた。真空ろ過によって白色沈殿物を単離し、真空オーブン中で50℃で一晩乾燥させて、ペンダントアントラセン基がANTMI[4+2]ディールスアルダー環化付加物に部分的に変換されているポリマーを得た。
反応混合物の残りの部分は後述の実施例6で利用された。
17.2g(100%)が白色粉体として得られた。GPC(THF)M=8700Da、M=5000Da、PDI:1.7。
【0073】
実施例6:ANTMI/HNMA−2/TBA (50.2/33.7/16.1)修飾ポリマーの合成。
磁気攪拌子、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を備え、上記実施例4の残りの反応混合物を含む0.25Lの3つ口丸底フラスコに、マレイミド(MI;2.50g;25.7mmol)を添加した。この反応混合物を85℃で6時間保持した。
室温に冷却後、反応混合物をメタノール0.7L中で沈殿させた。真空ろ過によって白色沈殿物を単離し、真空オーブン中で50℃で一晩乾燥させて、ペンダントアントラセン基がANTMI[4+2]ディールスアルダー環化付加物に完全に変換されているポリマー22.7g(74%)を白色粉体として得た。GPC(THF)M=9000Da、M=5100Da、PDI:1.8。
【0074】
実施例7−8:直接重合によるさらなるANT−MI含有ポリマーの合成。
実施例7:MI/ANTMA/HNMA−2/TBA 34.3/31.5/25.0/9.2テトラポリマーの合成。
機械式攪拌機、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を備えた2.0Lの5つ口丸底フラスコに、215gのジオキサンを添加した。この溶媒は15分間窒素ガスでスパージされた。この溶媒を85℃に加熱した。
攪拌子を備えた2.0Lの三角フラスコにマレイミド(MI;53.10g;547mmol)、9−アントラセン−メチルメタクリラート(ANTMA;138.7g;502mmol)、2−ヒドロキシナフタレン−メチルメタクリラートモノマー(HNMA−2;96.53g;398mmol)、t−ブチルアクリラート(TBA;18.80g;147mmol)およびジオキサン(423.5g)を添加した。この混合物を室温で30分間攪拌した。この溶液を窒素ガスで15分間スパージした。
500mLの瓶に2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52;11.89g;48.0mmol)、およびジオキサン(78.0g)を添加した。
このモノマー溶液を、ペリスタルティックポンプを用いて、8.5g/分の速度で1.5時間にわたって反応フラスコに供給した。この期間にわたって、ペリスタルティックポンプを用いて、1.1g/分の速度(90分間供給)で開始剤溶液も反応フラスコに供給した。
モノマーおよび開始剤供給の完了時に、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52;7.93g;32.0mmol)およびジオキサン(151g)の溶液を、ペリスタルティックポンプを用いて、8.0g/分の速度で20分間にわたって反応フラスコに供給した。
完了時に、反応混合物を85℃で1.5時間維持した。
室温に冷却した後、反応混合物を15.0Lのメタノール中に沈殿させた。真空ろ過によって白色沈殿物を単離し、3.0Lのメタノールで洗浄し、50℃の真空オーブン中で一晩乾燥させた。
195.1g(64%)の標記ポリマーが白色粉体として得られた。GPC(THF)M=9300Da、M=6500Da、PDI=1.5。
【0075】
実施例8:MI/ANTMA/HNMA−2/TBA 33.2/31.3/26.8/8.7テトラポリマーの合成。
機械式攪拌機、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を備えた2.0Lの5つ口丸底フラスコに218gのジオキサンを添加した。この溶媒は15分間窒素ガスでスパージされた。この溶媒を85℃に加熱した。
攪拌子を備えた2.0Lの三角フラスコにマレイミド(MI;51.39g;529mmol)、9−アントラセン−メチルメタクリラート(ANTMA;137.9g;499mmol)、2−ヒドロキシナフタレン−メチルメタクリラートモノマー(HNMA−2;103.4g;427mmol)、t−ブチルアクリラート(TBA;17.82g;139mmol)およびジオキサン(430g)を添加した。この混合物を室温で30分間攪拌した。この溶液を窒素ガスで15分間スパージした。
500mLの瓶に2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52;11.89g;48.0mmol)、およびジオキサン(78.0g)を添加した。
このモノマー溶液を、ペリスタルティックポンプを用いて、7.5g/分の速度で1.5時間にわたって反応フラスコに供給した。この期間にわたって、ペリスタルティックポンプを用いて、0.9g/分の速度(90分間供給)で開始剤溶液も反応フラスコに供給した。
モノマーおよび開始剤供給の完了時に、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52;7.93g;32.0mmol)およびジオキサン(151g)の溶液を、ペリスタルティックポンプを用いて、8.2g/分の速度で20分間にわたって反応フラスコに供給した。
完了時に、反応混合物を85℃で1.5時間維持した。
室温に冷却した後、反応混合物を15.0Lのメタノール中に沈殿させた。真空ろ過によって白色沈殿物を単離し、3.0Lのメタノールで洗浄し、50℃の真空オーブン中で一晩乾燥させた。
186.6g(60%)の標記ポリマーが白色粉体として得られた。GPC(THF)M=9200Da、M=6350Da、PDI=1.5。
【0076】
実施例9:コーティング組成物製造およびリソグラフィック処理
次の物質を混合することによって下塗りコーティング組成物が調製される:
樹脂
上記実施例5のポリマー
光酸発生剤
トリフェニルスルホニウム塩
溶媒
乳酸エチル
【0077】
樹脂は5gの量で存在する。光酸発生剤化合物は全固形分(溶媒を除く全ての成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物は、シリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、真空ホットプレート上で210℃で、60秒間硬化され、乾燥(しかし、架橋されていない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は真空ホットプレート上で100℃で60秒間ソフトベークされ、フォトマスクを通ったパターン化された193nm放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで、0.26Nの水性アルカリ現像剤で現像され、フォトマスクによって画定された領域において、フォトレジスト層および下塗りコーティング組成物の双方が除去される。
【0078】
実施例10:コーティング組成物製造およびリソグラフィック処理
次の物質を混合することによって下塗りコーティング組成物が調製される:
樹脂
上記実施例6のポリマー
光酸発生剤
トリフェニルスルホニウム塩
溶媒
乳酸エチル
【0079】
樹脂は5gの量で存在する。光酸発生剤化合物は全固形分(溶媒を除く全ての成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物は、シリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、真空ホットプレート上で210℃で、60秒間硬化され、乾燥(しかし、架橋されていない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は真空ホットプレート上で100℃で60秒間ソフトベークされ、フォトマスクを通ったパターン化された193nm放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで、0.26Nの水性アルカリ現像剤で現像され、フォトマスクによって画定された領域において、フォトレジスト層および下塗りコーティング組成物の双方が除去される。
【0080】
実施例11:コーティング組成物製造およびリソグラフィック処理
次の物質を混合することによって下塗りコーティング組成物が調製される:
樹脂
上記実施例7のポリマー
光酸発生剤
トリフェニルスルホニウム塩
溶媒
乳酸エチル
【0081】
樹脂は5gの量で存在する。光酸発生剤化合物は全固形分(溶媒を除く全ての成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物は、シリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、真空ホットプレート上で210℃で、60秒間硬化され、乾燥(しかし、架橋されていない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は真空ホットプレート上で100℃で60秒間ソフトベークされ、フォトマスクを通ったパターン化された193nm放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで、0.26Nの水性アルカリ現像剤で現像され、フォトマスクによって画定された領域において、フォトレジスト層および下塗りコーティング組成物の双方が除去される。
【0082】
実施例12:コーティング組成物製造およびリソグラフィック処理
次の物質を混合することによって下塗りコーティング組成物が調製される:
樹脂
上記実施例8のポリマー
光酸発生剤
トリフェニルスルホニウム塩
溶媒
乳酸エチル
【0083】
樹脂は5gの量で存在する。光酸発生剤化合物は全固形分(溶媒を除く全ての成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物は、シリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、真空ホットプレート上で210℃で、60秒間硬化され、乾燥(しかし、架橋されていない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は真空ホットプレート上で100℃で60秒間ソフトベークされ、フォトマスクを通ったパターン化された193nm放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで、0.26Nの水性アルカリ現像剤で現像され、フォトマスクによって画定された領域において、フォトレジスト層および下塗りコーティング組成物の双方が除去される。
【0084】
実施例13:コーティング組成物製造およびリソグラフィック処理
次の物質を混合することによって下塗りコーティング組成物が調製される:
樹脂
上記実施例7および8からのポリマーブレンド
光酸発生剤
トリフェニルスルホニウム塩
溶媒
乳酸エチル
【0085】
樹脂は5gの合計重量のための等しい重量で存在する。光酸発生剤化合物は全固形分(溶媒を除く全ての成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物は、シリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、真空ホットプレート上で210℃で、60秒間硬化され、乾燥(しかし、架橋されていない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は真空ホットプレート上で100℃で60秒間ソフトベークされ、フォトマスクを通ったパターン化された193nm放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで、0.26Nの水性アルカリ現像剤で現像され、フォトマスクによって画定された領域において、フォトレジスト層および下塗りコーティング組成物の双方が除去される。
【0086】
実施例14:さらなるコーティング組成物およびリソグラフィック処理
次の成分を混合することによってコーティング組成物が調製される:
樹脂
上記実施例7および8からのポリマーブレンド
光酸発生剤
トリフェニルスルホニウム塩
溶媒
2−ヒドロキシイソ酪酸メチル
【0087】
このコーティング組成物において、樹脂は3.2グラムの合計重量のための等しい重量で存在し、光酸発生剤は全固形分(溶媒を除く全ての成分)の約2重量パーセントで存在する。溶媒は全コーティング組成物重量の約96重量パーセントの量で存在する。
このコーティング組成物は、シリコンウェハ基体上にスピンコートされ、215℃でベークされて溶媒を除去するが、このコーティング組成物層の架橋を生じさせない。
【0088】
実施例15:下塗りコーティング組成物の熱処理が架橋(組成物成分の分子量増加)を生じさせないことを確認するための試験。
マレイミド、ポリヒドロキシスチレンおよび9−アントラセン−メチルメタクリラートの重合単位を含むポリマーの溶液を8”シリコンウェハ上にスピンキャストし、180℃および240℃でベークした。各物質のベークしなかったコーティングも製造した。同じポリマーを含むが光酸発生剤化合物も含む配合物も製造し、同じベーク温度(室温、180℃および240℃)で8”シリコンウェハ上にコーティングを製造した。上記処理後、全てのコーティングは小片にされて、容易にTHFに溶解され、GPCによって分子量が測定された。
PAGを有するもしくは有しないポリマー膜の重量平均分子量データは熱処理後に最小限の変化しか示さず、よって熱処理の際に架橋が起らなかったことを示した。
本発明の上記記載は単に本発明を例示するものであり、添付の特許請求の範囲において特定される本発明の意図および範囲を逸脱することなく、変更および改変がなされうることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジエンとジエノフィルとの反応生成物を含む樹脂を含むコーティング組成物層;および
(b)前記コーティング組成物層上のフォトレジスト層;
を含むコーティングされた基体。
【請求項2】
(a)ディールスアルダー反応生成物を含む樹脂を含むコーティング組成物層;および
(b)前記コーティング組成物層上のフォトレジスト層;
を含むコーティングされた基体。
【請求項3】
フォトレジスト層の水性アルカリ現像が前記下塗りコーティング組成物層も現像する、請求項1または2に記載の基体。
【請求項4】
反応成分がターポリマー、テトラポリマーまたはペンタポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の基体。
【請求項5】
前記コーティング組成物層が架橋されていない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の基体。
【請求項6】
前記コーティング組成物層の樹脂が、イミド含有ジエノフィルと多環式芳香族基との反応生成物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の基体。
【請求項7】
前記コーティング組成物層の樹脂が、(1)ジエノフィルと(2)アントラセンもしくはペンタセン基と;の反応生成物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の基体。
【請求項8】
(a)ジエンとジエノフィルとの反応生成物を含む樹脂を含む組成物のコーティング層を基体上に適用し;
(b)前記コーティング組成物層上にフォトレジスト層を適用する;
ことを含む、フォトレジストレリーフ像を形成する方法。
【請求項9】
(a)ディールスアルダー反応生成物を含む樹脂を含む組成物のコーティング層を基体上に適用し;
(b)前記コーティング組成物層上にフォトレジスト層を適用する;
ことを含む、フォトレジストレリーフ像を形成する方法。
【請求項10】
適用されたフォトレジスト層がパターン化放射線に露光され、次いで、水性アルカリ現像剤組成物で現像され、それにより現像剤組成物が、パターン化放射線によって前記フォトレジスト層に画定されるような像を、前記フォトレジスト層および前記下塗りコーティング組成物層の双方において選択的に除去する、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
上塗りフォトレジストと共に使用するための反射防止組成物であって、当該反射防止組成物が樹脂を含み、当該樹脂がディールスアルダー反応生成物を含む、反射防止組成物。
【請求項12】
上塗りフォトレジストと共に使用するための反射防止組成物であって、当該反射防止組成物が樹脂を含み、当該樹脂がジエンとジエノフィルとの反応生成物を含む、反射防止組成物。
【請求項13】
反射防止組成物の樹脂がイミド含有ジエノフィルと多環式芳香族基との反応生成物を含む、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
反射防止組成物の樹脂が(1)イミド含有ジエノフィルと(2)アントラセンもしくはペンタセン基と;の反応生成物を含む、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項15】
下記式のいずれかの基を含む化合物を含む、請求項11または12に記載の組成物:
【化1】

上記式中、各Rは独立して水素もしくは非水素置換基である。
【請求項16】
下記式の1種以上の基を含む繰り返し単位を1以上含む樹脂を組成物が含む、請求項11または12に記載の組成物:
【化2】

上記式中、各Rは独立して水素もしくは非水素置換基である。
【請求項17】
下記式のいずれかの基を含む化合物:
【化3】

上記式中、各Rは独立して水素もしくは非水素置換基である。
【請求項18】
下記式のいずれかの化合物:
【化4】

上記式中、各Rは独立して水素もしくは非水素であり;R’は水素もしくはC1−6アルキル、例えば、メチルである。

【公開番号】特開2010−250280(P2010−250280A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−23483(P2010−23483)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】