説明

上塗りフォトレジストと共に使用するのに好適なコーティング組成物

【課題】マイクロエレクトロニクスウェハの製造において下地反射防止コーティング層として使用されうる新規な組成物を提供する。下地反射防止コーティング層として使用されることができ、かつ水性フォトレジスト現像剤で除去されうる新たな組成物が特に望まれる。
【解決手段】一形態においては、ジエン/ジエノフィル反応生成物を含む有機コーティング組成物、特に反射防止コーティング組成物を提供する。別の形態においては、ヒドロキシルナフトエ基、例えば、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基を含む成分を含む、有機コーティング組成物、特に反射防止コーティング組成物を提供する。本発明の好ましい組成物は、基体から上塗りフォトレジスト層に戻る露光放射線の反射を低減させ、および/または平坦化、共形もしくはビアフィル層として機能させるのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体から上塗りフォトレジスト層に戻る露光放射線の反射を低減させることができ、および/または平坦化、共形(conformal)もしくはビアフィル(via−fill)層として機能することができる組成物(例えば、反射防止コーティング組成物、すなわち「ARC」)に関する。より詳細には、一形態においては、本発明は、ジエン/ジエノフィル反応生成物を含む有機コーティング組成物、特に反射防止コーティング組成物に関する。別の形態においては、本発明は、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基のようなヒドロキシル−ナフトエ基を含有する成分を含む有機コーティング組成物、特に反射防止コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは基体への像の転写に使用される感光膜である。フォトレジストのコーティング層が基体上に形成され、次いで、そのフォトレジスト層がフォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。露光に続いて、そのフォトレジストは現像されて、基体の選択的な処理を可能にするレリーフ像を提供する。
【0003】
フォトレジストの主たる用途は、高度に研磨された半導体切片、例えば、シリコンまたはガリウムヒ素を、回路の機能を果たす、好ましくはミクロンまたはサブミクロン形状の電子伝導経路の複雑なマトリックスに変換することを目的とする半導体製造における用途である。適切なフォトレジスト処理が、この目的を達成することの鍵となる。様々なフォトレジスト処理工程の間には強い相互依存性があるが、露光は、高解像フォトレジスト像を達成するのに最も重要な工程の一つであると考えられている。
【0004】
フォトレジストを露光するのに使用される活性化放射線の反射は、多くの場合、フォトレジスト層においてパターン形成される像の解像度に限界をもたらす。基体/フォトレジスト界面からの放射線の反射は、フォトレジスト内の放射線強度の空間的な変動を生じさせる場合があり、結果的に現像における不均一なフォトレジスト線幅をもたらしうる。放射線は基体/フォトレジスト界面から、露光が意図されないフォトレジストの領域に散乱することもあり、この場合も線幅の変動をもたらしうる。散乱および反射の量は典型的には領域と領域との間で変化するであろうし、結果的にさらなる線幅の不均一性をもたらす。基体の形状の変動は解像度の限界の問題ももたらしうる。
【0005】
反射した放射線の問題を低減するために使用される一つの試みは、基体表面とフォトレジストコーティング層との間に挿入される放射線吸収層の使用であった。
【0006】
現在の有機反射防止コーティング組成物は多くの用途に非常に有効であるが、具体的な反射防止組成物が特定の処理要件を満たすことも高頻度で望まれる。例えば、上塗りフォトレジストが剥ぎ取られた(例えば、露光されたレジスト領域が水性アルカリ現像剤で除去されたポジ型レジストを伴う)反射防止層をプラズマエッチング剤以外の手段によって除去することが望まれる場合がある。米国特許第6844131号(特許文献1)および米国特許出願公開第20050181299号(特許文献2)を参照。このようなアプローチは、下地反射防止コーティング層のプラズマエッチング剤除去に関連するさらなる処理工程およびピットフォールを回避する可能性を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6844131号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20050181299号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
マイクロエレクトロニクスウェハの製造において下地反射防止コーティング層として使用されうる新規な組成物を有することが望まれる。下地反射防止コーティング層として使用されることができ、かつ水性フォトレジスト現像剤で除去されうる新たな組成物を有することが特に望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上塗りフォトレジスト層のための下地反射防止コーティング層として特に有用な新規のコーティング組成物を見いだした。
より具体的には、第1の形態においては、本発明は、ジエンとジエノフィルとの反応生成物である成分(本明細書において場合によっては、「反応生成物成分」と称される)を含む組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましいジエンおよびジエノフィルは双方とも不飽和基を有し、好ましくは、化合して、結合の多重度が全体として低減されている環式付加物を形成することができる。好ましいジエンは電子リッチであり、炭素環式またはヘテロ芳香族基、例えば、多重環炭素環式またはヘテロ芳香族基、特にアントラセンもしくはペンタセン基のような縮合環基が挙げられる。好ましいジエノフィルには、近接して(例えば、1、2または3原子以内に)電子吸引置換基を有するオレフィン部分を含む基が挙げられ、例えば、好ましいジエノフィルには、1以上のα,β−不飽和基を含む基が挙げられる。特に好ましいジエノフィルには、イミド含有基、特にマレイミド、酸無水物、例えば、無水マレイン酸、および他の基、例えば、ジメチルアセチレンジカルボキシラートが挙げられる。
【0011】
好ましい形態においては、本発明は、上述のジエンとジエノフィルとのディールスアルダー(Diels Alder)反応生成物である、反応生成物成分を含む組成物を提供する。用語「ディールスアルダー反応」は、本明細書において、その充分に認識されている意味、すなわち、例えば、Compendium of Chemical Technology、IUPAC推薦、第二版(1997年ブラックウェルサイエンス;Blackwell Science)の「環化付加」の定義に示されるような(4+2)環化付加に従って使用される。好ましいディールスアルダー反応生成物には、(i)イミド含有化合物、例えばマレイミドもしくは他のジエノフィル、例えば、酸無水物、例えば、無水マレイン酸、および他の基、例えば、ジメチルアセチレンジカルボキシラートと、(ii)多環式芳香族基との反応生成物が挙げられる。特に好ましいディールスアルダー反応生成物には、(1)イミド含有化合物、例えば、マレイミドもしくは他のジエノフィル、例えば、酸無水物、例えば、無水マレイン酸、および他の基、例えばジメチルアセチレンジカルボキシラートと、(2)アントラセンもしくはペンタセン基との反応生成物が挙げられる。
【0012】
本発明の下地コーティング組成物の一般的に好ましい反応生成物成分は、樹脂、例えば、ホモポリマーおよび複合ポリマー、例えば、コポリマー(2種の異なる繰り返し単位)、ターポリマー(3種の異なる繰り返し単位)、テトラポリマー(4種の異なる繰り返し単位)、ペンタポリマー(5種の異なる繰り返し単位)および他の高次のポリマーが挙げられる。
【0013】
ある形態においては、特に好ましい反応生成物成分は、下記の特性を付与することができる少なくとも3もしくは4種の異なる官能基を有する樹脂である:(1)溶解速度抑制;(2)耐剥離性;(3)所望の水性アルカリ現像剤可溶性(例えば、光酸不安定基(photoacid−labile groups)、例えば、光酸不安定エステル(例えば、−C(=O)OC(CH)、またはアセタール部分);および(4)フォトレジスト露光放射線の望まれない反射を吸収する発色団基(例えば、炭素環式アリール基、例えば、場合によって置換されたフェニル、ナフチルまたはアントラセニル)。
【0014】
有意に好ましい処理された本発明のコーティング組成物は、上塗りフォトレジスト層の現像のために使用される水性アルカリ現像剤で除去されることができ、下地表面を露出させることができる。このことは、下地コーティング層を除去するためのプラズマエッチング剤の使用に必要とされるさらなる処理工程およびコストの低減をはじめとする多くの著しい利点をもたらす。
【0015】
別の形態においては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基のようなヒドロキシルナフトエ基(例えば、C(OH)(COO−))を含む成分を含む有機コーティング組成物、特に、反射防止コーティング組成物が提供される。好ましい形態においては、本明細書において言及される場合、ヒドロキシル−ナフトエ部分または他の類似の用語は、ヒドロキシル(−OH)およびカルボキシ(−C(=O)O−)環置換基の双方を有するナフチル部分をいい、このナフチル部分は、例えば、ハロ(例えば、F、Cl、Br、I)、場合によって置換されたC1−12アルコキシのようなアルコキシ、場合によって置換されたC1−12アルキルのようなアルキルなどのさらなる非水素環置換基を有することができる。
【0016】
好ましい実施形態においては、本発明の複数の形態が組み合わせて使用される。より具体的には、好ましい実施形態には、(1)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基のようなヒドロキシル−ナフトエ基、および(2)本明細書において開示されるようなジエンとジエノフィルとの反応生成物を含む成分を含む有機コーティング組成物、特に反射防止コーティング組成物が挙げられる。特に好ましいシステムにおいては、下地コーティング組成物は、(1)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基のようなヒドロキシル−ナフトエ基、および(2)本明細書において開示されるようなジエンとジエノフィルとの反応生成物を含む複数の繰り返し単位を含む樹脂を含むことができる。
【0017】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基のようなヒドロキシル−ナフトエ基は、上塗りフォトレジスト層の露光の望まれない反射の効果的な発色団でありうることが見いだされた。
【0018】
本発明のコーティング組成物は、前記反応成分および/またはヒドロキシル−ナフトエ基を含む成分に加えて、1種以上の他の物質を場合によって含むこともできる。例えば、本発明のコーティング組成物は、上塗りレジスト層を露光するのに使用され、レジスト層に反射して戻る望まれない放射線を吸収することができる発色団基を含む追加の成分を含むことができる。このような発色団基は、反応成分自体をはじめとする様々な組成物成分に存在することができ、または、発色団基を骨格メンバーとしてもしくはペンダント基として有することができる追加の樹脂、および/もしくは1以上の発色団部分を含む追加の低分子(例えば、約1000または500未満のMW)のような追加の成分が発色団基を含むことができる。
【0019】
本発明のコーティング組成物、特に反射防止用途に使用されるコーティング組成物に含まれるのに一般的に好ましい発色団には、単環および複数環双方の芳香族基、例えば、場合によって置換されたフェニル、場合によって置換されたナフチル、場合によって置換されたアントラセニル、場合によって置換されたフェナントラセニル、場合によって置換されたキノリニルなどが挙げられる。特に好ましい発色団は上塗りレジスト層を露光するのに使用される放射線に応じて変化しうる。より詳細には、上塗りレジストの248nmでの露光については、場合によって置換されたアントラセンおよび場合によって置換されたナフチルが、反射防止組成物の好ましい発色団である。上塗りレジストの193nmでの露光については、場合によって置換されたフェニルおよび場合によって置換されたナフチルが、特に好ましい発色団である。
【0020】
本発明のコーティング組成物は、適用されたコーティング組成物層のリソグラフィー熱処理中の組成物成分の反応を容易にするために、場合によって、酸もしくは酸発生剤化合物(例えば、光酸発生剤および/または熱酸発生剤)を含むこともできる。光酸発生剤化合物(すなわち、193nmのような活性化放射線への露光の際に酸を発生しうる化合物)および/または熱酸発生剤化合物(すなわち、熱処理の際に酸を発生しうる化合物)が概して好適である。
【0021】
下地コーティング組成物に含まれる光酸発生剤化合物は、上塗りフォトレジスト層を露光するのに使用される放射線で処理する際に酸を発生することができる。光酸発生剤化合物のこのような使用によって、下地コーティング組成物上へのフォトレジスト層の適用前に、光酸発生剤化合物から酸は発生しない。パターン化活性化放射線への塗布レジスト層の露光は、コーティング組成物の光酸発生剤化合物から酸を発生させ、そしてコーティング組成物層上のパターン形成されたレジスト像の解像度を向上させることができるが、このことは、レジストからコーティング組成物に拡散することができ、かつ水性アルカリ現像剤での処理中に下地コーティング組成物の所望の選択的な現像を容易にすることができる光酸を、レジスト/コーティング組成物において補うことによる。
【0022】
コーティング組成物は反応成分および/またはヒドロキシル−ナフトエ基を含む成分(これには単一の物質を挙げることができ、例えば、溶媒成分において上述したような1種以上の任意成分を一緒に含む樹脂を挙げることができる)の混合によって提供されうる。溶媒成分は好適には、1種以上の有機溶媒、例えば、1種以上のアルコール溶媒、例えば、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、メチル−2−ヒドロキシイソブチラートなど、および/または1種以上の非ヒドロキシ溶媒、例えば、エチルエトキシプロピオナート、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(1−メトキシ−2−プロパノールアセタート)などでありうる。
【0023】
コーティング組成物は、次いで、スピンコーティング(すなわち、スピンオン組成物)などにより基体、例えば、マイクロエレクトロニクス半導体ウェハに適用される。溶媒キャリアは真空ホットプレート上で、例えば、170℃〜250℃で加熱することにより、除去されうる。
【0024】
様々なフォトレジストが本発明のコーティング組成物と組み合わせて(すなわち、上塗りされて)使用されうる。本発明の反射防止組成物と共に使用するのに好ましいフォトレジストは、化学増幅型レジスト、特に、1種以上の光酸発生剤化合物と、光により発生した酸の存在下でデブロッキング(deblocking)もしくは切断反応を受ける単位、例えば、光酸不安定エステル、アセタール、ケタールまたはエーテル単位を含む樹脂成分とを含むポジ型フォトレジストである。本発明のコーティング組成物と共に使用するのに好ましいフォトレジストは、比較的短い波長の放射線、例えば、300nm未満、もしくは260nm未満、例えば、約248nmの波長を有する放射線、または約200nm未満、例えば、193nmまたは157nmの波長を有する放射線で像形成されうる。他の有用な露光エネルギーにはEUV、電子ビーム、IPLおよびX線露光が挙げられる。
【0025】
本発明は、フォトレジストレリーフ像を形成する方法、および本発明の反射防止組成物を単独でもしくはフォトレジスト組成物と組み合わせてコーティングした基体(例えば、マイクロエレクトロニクスウェハ基体)を含む新規の製造物品をさらに提供する。
【0026】
上述のように、処理された下地コーティング組成物層は、上塗りフォトレジスト層を現像するのに使用されるのと同じアルカリ現像剤水溶液で除去されることができ、すなわち、露光されたフォトレジスト層と下地の硬化したコーティング組成物との双方は、露光中フォトマスクによって画定される領域内について、水性アルカリ現像剤を用いて、単一の工程で除去されうる。
【0027】
より具体的には、本発明の好ましい方法は以下の工程を含む:
1.上述の、1種以上の反応成分および/またはヒドロキシル−ナフトエ基を含む成分を含む組成物のコーティング層を適用する。この組成物コーティング層はマイクロエレクトロニクスウェハをはじめとする様々な基体上に適用されうる。
2.適用された組成物コーティング層を好ましくは熱処理する。この熱処理はコーティング組成物のキャスティング溶媒を除去することができ、組成物層を、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、2−ヘプタノンなどのフォトレジストキャスティング溶媒に実質的に不溶性にすることができる。
3.熱でベークした下地組成物コーティング層上に、フォトレジスト組成物コーティング層を適用する。適用されたフォトレジスト層は300nm未満、例えば、248nm、または200nm未満、例えば、193nmの波長を有する放射線のような活性化放射線に、典型的にはフォトマスクを通して露光され、レジスト層にパターン形成された像を形成する。この露光されたフォトレジストは必要に応じて熱で処理されて、潜像を向上させるかまたは形成させる。
4.この露光されたフォトレジスト層は、次いで、現像剤溶液、例えば、アルカリ現像剤水溶液で処理される。現像剤溶液は、レジスト層における画定した像並びに整合している下地コーティング組成物層の領域を除去することができ、すなわち、レリーフ像はフォトレジスト層と下地コーティング組成物層との双方にわたって画定される。
【0028】
好ましい形態においては、本発明の下地コーティング組成物はポジ型フォトレジストであり、例えば、サブ300nmおよびサブ200nmの波長、例えば248nmまたは193nmで像形成されうる様なポジ型フォトレジストと組み合わせて使用される。化学増幅ポジ型レジストが好ましく、これは光により発生した酸の存在下で、デブロッキングもしくは切断反応を受けうる部分、例えば、光酸不安定エステルもしくはアセタールなどを有する。サブ300nm、例えば、248nmでの像形成に好ましいポジ型フォトレジストは、フェノール系単位、並びに酸不安定エステルおよび/またはアセタール部分を含むポリマーと、光酸発生剤化合物とを含む。サブ200nmでの像形成、例えば、193nmでの像形成に使用するのに好ましいポジ型フォトレジストは実質的に芳香族基を含まず、特にフェニルもしくは他の芳香族置換を含む樹脂を含まない。
【0029】
別の形態においては、本発明は、本発明のコーティング組成物を製造する方法、およびフォトレジストレリーフ像を形成する方法、および処理されたマイクロエレクトロニクスウェハのような電子デバイスを製造する方法も含む。
【0030】
本発明のさらに別の形態においては、下記構造の1種以上の基を含む化合物(例えば、樹脂)が提供される:
【化1】

上記式において、各Rは独立して水素もしくは非水素であり、例えば、H、C1−18アルキル(例えば、メチル)、アリール(フェニル、ナフチルなどの炭素環式アリールが挙げられる)、並びにC1−18アルコキシである。
【0031】
上記式の好ましい化合物には、1以上の繰り返し単位が上記基の1種以上を含むことができる樹脂が挙げられる。例えば、下記の好ましいアクリラート化合物が他の反応性モノマーと重合されることができ、重合単位を含む樹脂を提供することができる:
【化2】

上記式において、各Rは独立して水素もしくは非水素であり、例えば、H、C1−18アルキル(例えば、メチル)、アリール(フェニル、ナフチルなどの炭素環式アリールなど)、並びにC1−18アルコキシであり;R’は水素もしくはC1−6アルキル(例えば、メチル)である。
【0032】
本発明の他の形態が後述される。
上述のように、本発明者は上塗りフォトレジスト層と共に使用するのに特に有用な、新規の有機コーティング組成物を提供する。好ましい本発明のコーティング組成物はスピンコーティングによって適用されることができ(スピンオン組成物)、かつ溶媒組成物として配合されうる。本発明のコーティング組成物は上塗りフォトレジストのための反射防止組成物として特に有用である。
【0033】
下地コーティング組成物
上述のように、第1の形態においては、下地コーティング組成物はジエンとジエノフィルとの反応生成物である反応生成物成分を含む。別の形態においては、下地コーティング組成物はディールスアルダー反応生成物である反応生成物成分を含む。好適には、反応生成物成分は、ホモポリマー、並びに高次のポリマー、例えば、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマーおよびペンタポリマーをはじめとする樹脂である。
【0034】
別の形態においては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基のようなヒドロキシル−ナフトエ基を含む成分を含む、有機コーティング組成物、特に反射防止コーティング組成物が提供される。
【0035】
好ましいヒドロキシルナフトエ基には次の構造が挙げられる:
【化3】

【0036】
下地コーティング組成物における使用のためのヒドロキシル−ナフトエ基を含む好ましい樹脂には、下記構造を含む樹脂(ペンタポリマー)が挙げられる:
【化4】

【0037】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基のようなヒドロキシル−ナフトエ基を含む樹脂のような成分およびモノマーの好ましい合成は下記実施例に示される。
反応生成物成分は様々な方法で合成されうる。例えば、二種の物質のディールスアルダー反応生成物であるモノマーが好ましい場合がある。そのモノマーは、次いで、他のモノマーと反応させられることができ、本発明の下地コーティング組成物の樹脂成分を提供できる。ディールスアルダーおよび他の環化付加反応が知られている。
【0038】
あるいは、ジエン(例えば、アントラセンもしくはペンタセン)およびジエノフィル(例えば、1以上の電子吸引置換基、例えば、マレイミド、無水マレイン酸もしくはジメチルアセチレンジカルボキシラートなどを有するオレフィンを含む基体)のいずれかまたは双方を含む形成された樹脂が環化付加反応を受けて、本発明の下地コーティング組成物の反応生成物成分を提供することができる。例えば、あらかじめ形成されたポリマーからの反応生成物成分の典型的な合成について示す実施例4−6を参照。
【0039】
より具体的には、下記スキーム1は、重合されて本発明の下地コーティング組成物の樹脂反応生成物成分を提供できる、ディールスアルダー反応で修飾された代表的なモノマーを示す。
【化5】

スキーム1.アントラセンメチルメタクリラートモノマー1とN−置換マレイミド(R=H、場合によって置換されたC1−18アルキル(例えば、場合によって置換されたメチル)、場合によって置換されたアリール(場合によって置換された炭素環式アリール、例えば、フェニル、ナフチルなど)、場合によって置換されたC1−18アルコキシなど)とのディールスアルダー反応。
【0040】
上記スキーム1はペンダントマレイミド官能基を有する修飾メタクリルモノマー2を提供できる、アントラセンメチルメタクリラートモノマー1とN−置換マレイミドとの環化付加(特に、ディールスアルダー)反応を示す。モノマー2は、2つのベンゾ縮合芳香族置換基のせいで、193nmで強い吸光をもたらしうる。さらに、ペンダントマレイミド付加物は、溶媒可溶性および塩基不溶性モノマー1に塩基溶解特性および溶媒剥離耐性を付与することができる。
【0041】
スキーム1に示される反応条件(ジオキサン還流、12時間)において、示された環化付加反応が容易に進行することが見いだされた。典型的な好ましい反応条件を示す実施例も参照。
【0042】
下記スキーム2は、重合されて、本発明の下地コーティング組成物の樹脂反応生成物成分を提供できる、ディールスアルダー反応によって修飾された典型的なモノマーを示す。
【化6】

スキーム2.ペンタセンメチルメタクリラートモノマーとN−置換マレイミド(R=H、場合によって置換されたC1−18アルキル(例えば、場合によって置換されたメチル)、場合によって置換されたアリール(場合によって置換された炭素環式アリール、例えば、フェニル、ナフチルなど)、場合によって置換されたC1−18アルコキシなど)とのディールスアルダー反応。
【0043】
上記スキーム2はペンダントマレイミド官能基を有する修飾メタクリルモノマーを提供できる、ペンタセンメチルメタクリラートモノマーとN−置換マレイミドとの環化付加(特に、ディールスアルダー)反応を示す。モノマー2は、2つのベンゾ縮合芳香族置換基のせいで、193nmで強い吸光をもたらしうる。さらに、ペンダントマレイミド付加物は、溶媒可溶性および塩基不溶性ペンタセンメチルメタクリラートモノマーに塩基溶解特性および溶媒剥離耐性を付与することができる。
【0044】
上述のように、下地コーティング組成物の層の好ましい領域が、水性アルカリ現像剤組成物(例えば、0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド現像剤水溶液)で選択的に除去されうる。好ましい反応生成物成分は、複数の異なる官能基を有するポリマーである。
【0045】
好ましい本発明の下地コーティング組成物は、180℃または240℃で1〜5分間のような熱処理によって、有意な架橋(組成物成分の分子量増加)を受けない。コーティング層が実質的な架橋を受けないかどうかを評価するプロトコルを示す実施例15を参照。
【0046】
下地コーティング組成物の好ましい反応生成物成分は、1種以上の光酸不安定基を含有し、この光酸不安定基は切断もしくは脱保護反応を受けて、水性アルカリ現像剤可溶性を促進する官能基、例えば、カルボキシ、フッ素化アルコール、フェノール類、イミド、スルホンアミドおよび他のこのような部分を提供することができる。上塗りフォトレジスト層のイメージ様露光および露光後ベークの際に、下地コーティング組成物の、反応成分および/またはヒドロキシル−ナフトエ基を含む成分の光酸不安定基が反応することができ、水性アルカリ現像剤可溶性を促進する官能基を生じさせることができる。
【0047】
好ましくは、下地コーティング組成物の反応生成物成分は酸不安定基と共に、他の官能基、例えば、発色団基;溶媒剥離耐性基(上塗りフォトレジスト層のキャリア溶媒中の反応成分の溶解速度を低減させる);溶解速度促進剤(光酸不安定基を含まないにもかかわらず水性アルカリ現像剤中の溶解速度を促進できる;酸不安定基);などを含む。
【0048】
より具体的には、反応生成物成分の好ましい官能基には次のものが挙げられる:
1.発色団基:反射防止用途における反射制御をもたらすのに充分な248nm(KrF露光)または193nm(ArF露光)での吸光を有する有機官能基。様々な置換アントラセン、ナフタレンおよびフェニル基が好ましい発色団の例である。このような発色団は以下のモノマーを用いてポリマーに組み込まれうる:メタクリル酸アントラセンメチル(ANTMA)、ヒドロキシスチレンモノマー(PHS)、アセトキシ−スチレンモノマー(4AS)、ヒドロキシビニルナフタレンモノマー(HVN)および2−メチル−アクリル酸6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−イルメチルエステル。
2.溶媒剥離耐性基:KrFおよびArF型レジスト配合物において通常使用される様々な選択された有機溶媒中でポリマーの溶解速度を低減させる、ポリマーの成分としての、有機官能基。この溶媒には、PGMEA、乳酸エチルおよびヒドロキシイソブチル酸メチルエステルが挙げられる。溶媒剥離耐性基は、相互混合なしに、下地への上塗りフォトレジスト層の適用を可能にすることができる。様々な置換アミド、ラクトン、カルボン酸、カルボン酸エステルおよび他の加水分解可能な基が、ポリマーベースの下地組成物に溶媒剥離体制を提供することができる官能基の例である。このような溶媒剥離耐性促進剤は、以下の典型的なモノマーを用いてポリマーに組み込まれうる:マレイミド、ノルボルニルラクトンアクリラートモノマー(NLA)、ノルボルニルラクトンメタクリラートモノマー(NLM)およびメタクリル酸アントラセンメチル−マレイミド環化付加物(ANT−MI)。
3.溶解速度促進基:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(0.26N)中でポリマーの溶解速度を促進する(増大させる)、ポリマーの成分としての、有機官能基。様々な置換イミド、アミド、フェノール類、スルホンアミド、フッ素化アルコール、例えば、ヘキサフルオロアルコール(例えば、−C(CHOH)、ラクトン、カルボン酸、カルボン酸エステルおよび他の加水分解可能な基が好ましい溶解速度促進剤の例である。このような溶解速度促進剤は下記モノマーを用いてポリマーに組み込まれうる:マレイミド、ヒドロキシスチレンモノマー、アセトキシスチレンモノマー、ヒドロキシビニルナフタレンモノマー、ノルボルニルラクトンアクリラートモノマー(NLA)ノルボルニルラクトンメタクリラートモノマー(NLM)およびメタクリル酸アントラセンメチル−マレイミド環化付加物(ANT−MI)。
4.酸不安定基:酸触媒脱保護反応を受けうる、ポリマーの成分としての有機官能基。この用途においては、酸触媒は、光酸発生剤(PAG)の手段によって提供され、この光酸発生剤は上塗りフォトレジストのフォトリソグラフィー処理中に露光された領域において酸を提供する。脱保護反応は、現像剤溶液中でのポリマーの溶解速度を有意に増大させ、露光された領域において、良好なパターン忠実度での、フォトレジストおよび下塗りコーティング組成物の除去を可能にする。脱保護された酸不安定基により提供される、水性現像剤溶液中の速い溶解速度は、現像後に露光領域において観察される何らかの下地コーティング組成物残留物もしくはスカミングを除去するかまたは少なくとも最小限にする。アクリル酸tert−ブチルエステルの酸触媒脱保護反応が好ましい例である。
【0049】
本発明の下地コーティング組成物の樹脂反応生成物成分の好適な分子量は、かなり広く変動することができ、例えば、好適な重量平均分子量は、約1,000〜50,000、より好ましくは約1,500〜10,000、20,000または30,000の範囲であることができる。
【0050】
本下地コーティング組成物に使用するのに典型的な反応生成物成分は上記スキーム1および2とともに、後述の実施例において示される。
【0051】
上述のように、特に好ましい本発明の下地コーティング組成物は1種以上の光酸発生剤化合物をさらに含むことができる。上塗りフォトレジスト層のイメージ様露光中の光酸発生剤化合物の活性化は結果的に、下地コーティング組成物の反応成分の酸不安定基の反応を生じさせることができ、その後の、像形成されたフォトレジストおよび下地コーティング組成物層の双方の一工程での現像を可能にする。
【0052】
イオン性および化合物、例えば、オニウム塩(スルホニウムおよび/またはヨードニウム化合物など)並びに非イオン性光酸発生剤、例えば、イミドスルホナート、N−スルホニルオキシイミド、ジスルホン化合物およびニトロベンジルベースの光酸発生剤およびフォトレジスト組成物において使用されている他の光酸発生剤をはじめとする様々な光酸発生剤化合物が下地コーティング組成物に使用されうる。本コーティング組成物において使用するのに特に好適な光酸発生剤化合物には、フォトレジスト組成物において使用するために以下に特定されるもの、並びに米国特許第6,20,911号および6,803,169号に開示されるイオン性および非イオン性光酸発生剤、例えば、トリフェニルスルホニウム塩などのスルホニウム化合物、ジフェニルヨードニウム化合物などのヨードニウム化合物、およびイミドスルホナート並びに他の非イオン性光酸発生剤化合物が挙げられる。
【0053】
1種以上の光酸発生剤が様々な量で下地コーティング組成物に使用されることができ、例えば、1種以上の光酸発生剤化合物は、下地コーティング組成物の全固形分(溶媒キャリア以外の全成分)を基準にして約5重量パーセント以下、好適には下地コーティング組成物の全固形分の4、3、2またはさらには1重量パーセント未満の量で存在する。
【0054】
本発明の下地コーティング組成物の他の任意成分の添加剤は、特に1種以上の光酸発生剤化合物がこのような組成物中で存在する場合には、追加塩基、例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクタート、またはヒンダードアミン、例えばジアザビシクロウンデセンもしくはジアザビシクロノネンである。追加塩基は比較的少量で、例えば、下地コーティング組成物の全固形分に対して約0.03〜5重量パーセントで好適に使用される。
【0055】
本発明のコーティング組成物、特に反射制御用途のコーティング組成物は、上塗りフォトレジスト層を露光するのに使用される放射線を吸収する追加の染料化合物も含むことができる。他の任意の添加剤には、表面平滑化剤(surface leveling agent)、例えば、ユニオンカーバイドからシルウェット(Silwet)7604の商品名で入手可能な平滑化剤、または3Mカンパニーから入手可能な界面活性剤FC171またはFC431、またはオムノバ(Omnova)からのPF656界面活性剤が挙げられる。
【0056】
下地コーティング組成物のさらなる任意成分の添加剤は、樹脂生成物成分の樹脂とは異なりかつ樹脂生成物成分の樹脂に加えた、1種以上の樹脂である。例えば、所望の発色団基(例えば、アントラセン、フェニルもしくはナフチル)を含むポリエステルもしくはアクリラートベースの樹脂が、組成物に含まれることができ、双方とも、発色団機能(すなわち、露光放射線の望まれない反射の吸収)並びに膜形成特性を適用される組成物に提供する。
【0057】
上述のように、本発明のコーティング組成物は、液体スピンオン組成物として好適に配合され、1種以上のブレンドされた溶媒を含む。好適な溶媒には、乳酸エステル、例えば、乳酸エチルもしくは乳酸メチル、酢酸エステル、例えば、酢酸アミル、アニソール、1種以上のグリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;エーテルおよびヒドロキシ部分双方を有する溶媒、例えば、メトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノールおよびエトキシプロパノール;エステル、例えば、メチルセロソルブアセタート、エチルセロソルブアセタート、メチル−2−ヒドロキシイソブチラート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートおよび他の溶媒、例えば、2塩基エステル、プロピレンカーボナートおよびガンマ−ブチロラクトン、ケトン、例えば、ヘプタノン(特に、2−ヘプタノン)およびシクロヘキサノンなどが挙げられる。
【0058】
本発明の液体コーティング組成物を製造するために、コーティング組成物の成分は好適な溶媒、例えば、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、および/またはメチル−2−ヒドロキシイソブチラートに溶解される。溶媒中の乾燥成分の好ましい濃度は適用方法のようないくつかの要因に依存する。一般に、コーティング組成物の固形分量はコーティング組成物の全重量の約0.5〜20重量パーセントで変動し、好ましくはこの固形分量はコーティング組成物の約1〜10重量で変動する。下地コーティング組成物の全固形分(溶媒キャリアを除く全ての物質)のなかで、反応生成物成分(例えば、1種以上の樹脂)は組成物の全固形分の重量の過半量を構成し、例えば、コーティング組成物の60、70、80、90、95重量パーセント以上が反応生成物成分からなる。本発明の下地コーティング組成物の物質の典型的な好ましい量については、後述の実施例を参照。
【0059】
フォトレジスト組成物
上述のようなポジ型光酸発生組成物をはじめとする様々なフォトレジスト組成物が本発明のコーティング組成物と共に使用されうる。本発明のコーティング組成物と共に使用されるフォトレジストは、典型的には、樹脂および光活性成分、典型的には光酸発生剤化合物を含む。好ましくは、フォトレジスト樹脂バインダーは像形成されたレジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。
【0060】
上述のように、本発明のコーティング組成物と共に使用するのに特に好ましいフォトレジストには、化学増幅型レジスト、例えばポジ型化学増幅型レジスト組成物が挙げられ、このレジスト層において光活性化された酸は1種以上の組成物成分の脱保護型反応を誘導し、それにより、レジストコーティング層の露光領域と未露光領域との間の溶解度差をもたらす。多くの化学増幅型レジスト組成物が、米国特許第4,968,581号;第4,883,740号;第4,810,613号;第4,491,628号および第5,492,793号に記載されており、その全ては、化学増幅ポジ型レジストを製造し使用するこれらの教示についての参照により、本明細書に組み込まれる。
【0061】
本発明のコーティング組成物は、他のポジ型レジスト、例えば、極性官能基、例えば、ヒドロキシルもしくはカルボキシルを含む樹脂バインダーを含むレジストと共に使用されることもでき、その樹脂はアルカリ水溶液でレジストを現像可能にするのに充分な量でレジスト組成物中に使用される。一般に、好ましいレジスト樹脂はフェノール系樹脂であり、例えば、当該技術分野でノボラック樹脂として知られているフェノールアルデヒド縮合物、アルケニルフェノールのホモおよびコポリマー、並びにN−ヒドロキシフェニル−マレイミドのホモおよびコポリマーが挙げられ、並びにヘキサフルオロアルコール(例えば、−C(CFOH−)などのフッ素化アルコールのコポリマーが挙げられる。
【0062】
本発明の下地コーティング組成物と共に使用するのに好ましいポジ型フォトレジストは、像形成に有効な量の光酸発生剤化合物および下記の群から選択される1種以上の樹脂を含む:
1)248nmでの像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる、酸不安定基を含むフェノール系樹脂。この種の特に好ましい樹脂には、以下のものが挙げられる:i)ビニルフェノールおよびアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、ここにおいて、重合されたアクリル酸アルキル単位は光酸の存在下でデブロッキング(deblocking)反応を受けうる。光酸誘起デブロッキング反応を受けうる代表的なアクリル酸アルキルには、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および光酸誘起反応を受けうる他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラート、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号におけるポリマーが挙げられ、これら文献は参照によって本明細書に組み込まれる:ii)ビニルフェノール、場合によって置換されている(ヒドロキシもしくはカルボキシ環置換基を含まない)ビニルフェニル(例えばスチレン)、および上記ポリマーi)で記載されたデブロッキング基を有するもののようなアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー;例えば、米国特許第6,042,997号に記載されたポリマー、この文献は参照によって本明細書に組み込まれる:およびiii)光酸で反応しうるアセタールもしくはケタール部分を含む繰り返し単位、および場合によってフェニルもしくはフェノール性基のような芳香族繰り返し単位を含むポリマー;このようなポリマーは、米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されており、これら文献は参照により本明細書に組み込まれる;iv)t−ブトキシカルボニルオキシ保護(tBoc)を含むポリマー;並びにv)ブレンドの少なくとも1種のポリマーが酸不安定基を含む、ポリマーブレンド。
【0063】
2)サブ−200nm波長、例えば、193nmで像形成するのに特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる、フェニルもしくは他の芳香族基を実質的にもしくは完全に含まない樹脂。この種の特に好ましい樹脂には以下のものが挙げられる:i)芳香族でない環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、場合によって置換されたノルボルネンの重合単位を含むポリマー;このようなポリマーは、米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に記載され、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる:ii)アクリル酸アルキル単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、並びに他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートを含むポリマー;このようなポリマーは米国特許第6,057,083号;欧州特許出願公開第EP01008913A1号およびEP00930542A1号;および米国特許出願第09/143,462号に記載されており、これら全ては参照により本明細書に組み込まれる:およびiii)重合された酸無水物単位、特に重合された無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含むポリマー;例えば、欧州特許出願公開第EP01008913A1号および米国特許第6,048,662号に開示されるポリマー、これら双方の文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
3)ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含む繰り返し単位(ただし、酸無水物以外、すなわち、この単位はケト環原子を含まない)を含み、好ましくは、芳香族単位を実質的にもしくは完全に含まない樹脂。好ましくは、ヘテロ脂環式単位が樹脂骨格に融合され、さらに好ましいのは、樹脂が、ノルボルネン基の重合により提供されるような縮合炭素脂環式単位、および/または無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合により提供されるような酸無水物単位を含むものである。このような樹脂は国際出願PCT/US01/14914号および米国特許第6,306,554号に開示されている。
【0065】
4)フッ素置換を含む樹脂(フルオロポリマー)、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ素化芳香族基、例えば、フルオロ−スチレン化合物などの重合により提供されうるような、フッ素置換を含む樹脂。このような樹脂の例は、例えば、国際出願PCT/US99/21912号に開示されている。
【0066】
本発明のコーティング組成物上にコーティングされるフォトレジストに使用するのに好適な光酸発生剤には、下記式の化合物のようなイミドスルホナートが挙げられる:
【化7】

式中、Rはカンフル、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル)、特に、ペルフルオロオクタンスルホナート、ペルフルオロノナンスルホナートなどである。特に好ましいPAGはN−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0067】
他の既知のPAGも本発明のレジストにおいて使用されうる。特に193nmでの像形成のためには、向上した透明性を提供するために、上記イミドスルホナートのような、芳香族基を含まないPAGが概して好ましい。
【0068】
本フォトレジストにおいて使用するのに好適な他の光酸発生剤には、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。このようなPAGの1種以上が使用されうる。
【0069】
本発明の下地コーティング組成物と共に使用するためのフォトレジストは他の物質を含むこともできる。
本発明のコーティング組成物を上塗りするフォトレジストの好ましい任意成分の添加剤は追加塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクタートであり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。193nmで像形成されるレジストについては、好ましい追加塩基はヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。追加塩基は比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03〜5重量パーセントで好適に使用される。
【0070】
他の任意のフォトレジスト添加剤には、化学線染料(actinic dyes)およびコントラスト染料、ストリエーション防止剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤などが挙げられる。典型的には、比較的高濃度、例えば、レジストの乾燥成分の合計重量の5〜50重量パーセントの量などで存在することができる充填剤および染料を除いて、このような任意の添加剤は、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0071】
「場合によって置換される」場合には、様々な置換基および物質(例えば、反応生成物成分およびこれを形成するための試薬、樹脂、低分子化合物、酸発生剤など)は、好適には、1以上の可能な位置で、ハロゲン(F、Cl、Br、I);ニトロ;ヒドロキシ;アミノ;アルキル、例えば、C1−8アルキル;アルケニル、例えば、C2−8アルケニル;アルキルアミノ、例えば、C1−8アルキルアミノ;炭素環式アリール、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル;などで置換されうる。
【0072】
リソグラフィー処理
上述のように、使用において、本発明のコーティング組成物は、スピンコーティングのような様々な方法のいずれかによって、コーティング層として基体に適用される。コーティング組成物は一般に、約0.02〜0.5μmの乾燥層厚で、好ましくは、約0.03〜100μmの乾燥層厚で基体上に適用される。基体は好適には、フォトレジストに関連する方法において使用されるあらゆる基体である。例えば、基体はケイ素、二酸化ケイ素、またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロエレクトロニクスウェハであることができる。ガリウムヒ素、炭化ケイ素、セラミック、石英または銅基体も使用されうる。液晶ディスプレイまたは他のフラットパネルディスプレイ用途のための基体、例えば、ガラス基体、インジウムスズ酸化物被覆基体なども好適に使用される。光学デバイスおよび光電子デバイス(例えば、導波路)のための基体も使用されうる。
【0073】
上述のように、フォトレジスト組成物が組成物層上に適用される前に、好ましくは、適用されたコーティング層は溶媒キャリアを除去する(しかし、組成物成分の有意な分子量増加はない)ために処理(熱処理)される。熱処理条件はコーティング組成物の組成に応じて、特に、コーティング組成物が酸または熱酸発生剤のような酸源を含む場合には、変化しうる。好適な熱処理硬化条件は、約140℃〜250℃で約0.5〜30分間の範囲であることができる。加熱条件は、好ましくは、コーティング組成物コーティング層を、上塗りフォトレジスト組成物の溶媒キャリアに対して実質的に不溶性にして、それぞれの2つのコーティング層の何らかの有意な相互混合を回避する。
【0074】
コーティング組成物層の処理後に、このコーティング組成物の表面上にフォトレジストが適用される。下地コーティング組成物の適用と同様に、上塗りフォトレジストはあらゆる標準的な手段、例えば、スピニング、ディッピング、メニスカスまたはローラーコーティングによって提供されうる。適用に続いて、フォトレジストコーティング層は、典型的には加熱によって乾燥させられ、好ましくはレジスト層が粘着性でなくなるまで溶媒を除去する。
【0075】
次いで、レジスト層は、従来の方法で、マスクを通した活性化放射線で像形成される。露光エネルギーは、レジストコーティング層においてパターン形成された像を生じさせるためにレジスト系の光活性成分を有効に活性化するのに充分なものである。典型的には、露光エネルギーは、約3〜300mJ/cmの範囲であり、部分的には、露光ツールおよび使用される具体的なレジストおよびレジスト処理に依存する。露光されたレジスト層は、コーティング層の露光領域と非露光領域との間の溶解度差を作り出すかもしくは増強させることが望まれる場合には、露光後ベークにかけられうる。例えば、ネガ型硬化性フォトレジストは、典型的には、酸促進架橋反応を誘起させるために露光後加熱を必要とし、多くの化学増幅ポジ型レジストは酸促進脱保護反応を誘起するために露光後加熱を必要とする。典型的には、露光後ベーク条件には、約50℃以上の温度、より具体的には、約50℃〜約160℃の範囲の温度が挙げられる。
【0076】
露光されたレジストコーティング層は、次いで、現像され、好ましくは、水性塩基現像剤、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、水性アンモニアなどによって例示されるようなアルカリで現像される。一般に、現像は、認識された手順に従うが、ただし、現像は結果的に、現像剤によって除去されるレジスト層領域の下にある領域の下地コーティング組成物の除去も行う。好ましくは、レジスト層から下地コーティング層に写される像の現像が完了したら、下地層の過剰なおよび望まれない除去、例えば、レジスト層が維持されるべき領域内での組成物コーティング層の除去を回避するために、現像は(例えば、スピン乾燥および/または水すすぎによって)停止させられる。下地コーティング組成物層の不充分現像または過剰現像を回避するのに最適な現像時間は、あらゆる具体的なレジストシステム、下地組成物、現像剤組成物、および現像条件に応じて経験的に容易に決定されることができ、例えば、現像は上述のような停止の前の様々な時間で行われることができ、現像された像は走査型電子顕微鏡(SEM)によるなどして評価されて、過剰現像または不充分現像が起こらないような現像時間または時間範囲を決定することができる。
【0077】
現像に続いて、酸硬化型フォトレジストの最終ベークが多くの場合、約100℃〜約150℃の温度で数分間採用され、現像された露光されたコーティング層領域をさらに硬化させる。
【0078】
現像された基体については、次いで、フォトレジストおよび下地コーティング組成物層が除かれたこれら基体領域上が選択的に処理されることができ、例えば、当該技術分野で周知の手順に従ってフォトレジストが除かれた基体領域を化学的にエッチングまたはめっきすることができる。好適なエッチング剤には、フッ化水素酸エッチング溶液、およびプラズマガスエッチング、例えば、酸素プラズマエッチングなどが挙げられる。特に、下地組成物層のプラズマ除去のさらなる工程は必要ではなく、この除去は上述のようなフォトレジスト層の現像と同じ工程で達成される。次いで、所望の場合には、露光され現像された領域において、インプラント(implant)プロセスが行われうる。
【0079】
本明細書において言及される全ての文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。次の非限定的な実施例は本発明の例示である。
【実施例】
【0080】
実施例1:ANTMIディールスアルダー環化付加(ANTMI)モノマーの合成
磁気攪拌棒、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を取り付けた1.0Lの三つ口丸底フラスコにマレイミド(MI、28.7g、296mmol)、メタクリル酸9−アントラセン−メチル(ANTMA、74.2g、269mmol)、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、0.5g、4mmol)および267gのジメチルホルムアミドを入れた。この混合物を窒素ガス下153℃で12時間還流加熱した。
室温に冷却した後、この反応混合物を500gの酢酸エチルで希釈した。この溶液を3インチのシリカゲルパッドを通して溶離させ、ろ過した。この溶液を水(3×100g)で洗浄して、MgSOで乾燥させた。溶媒を減圧下室温で除去した。この物質を真空下で5時間乾燥させた。
72.2g(72%)が灰白色の粉体として得られた。HNMR(500MHz、ジオキサン−d):δ9.30(s、1H)、7.42−7.25(m、4H)、7.22−7.11(m、4H)、6.05(s、1H)、5.60−5.45(m、3H)、4.72(s、1H)、3.24(s、2H)、1.94(s、3H)。13CNMR(125MHz、ジオキサン−d):δ177.5、176.9、167.3、143.7、142.9、140.4、139.9、137.5、127.6、127.2、127.1、126.0、125.9、124.7、123.9、67.2、62.8、50.1、48.8、46.4、18.5。
【0081】
実施例2−3:直接重合によるANT−MI含有ポリマーの合成
実施例2:ANTMIホモポリマーの合成
磁気攪拌棒、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を取り付けた0.25Lの三つ口丸底フラスコにマレイミド/メタクリル酸アントラセンメチル[4+2]ディールスアルダー環化付加物(ANTMI、10.25g、32.7mmol)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52、0.20g、0.8mmol)、および41.8gのジオキサンを入れた。この反応混合物を窒素ガスで15分間スパージした。
この反応混合物を85℃で12時間加熱した。
室温に冷却した後、この反応混合物を50gのジオキサンで希釈し、1.5Lのメタノールに沈殿させた。白色沈殿物を減圧ろ過で単離し、真空オーブン中で一晩50℃で乾燥させて、ポリ(マレイミド/メタクリル酸アントラセンメチル[4+2]ディールスアルダー環化付加物)[ポリ(ANTMI)]を得た。7.5g(73%)が白色粉体として得られた。GPC(THF)Mw=26100Da、Mn=5700Da、PDI:4.6。
【0082】
実施例3:ANTMI/ANTMA 80/20コポリマーの合成
磁気攪拌棒、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を取り付けた0.25Lの三つ口丸底フラスコにマレイミド/メタクリル酸アントラセンメチル[4+2]ディールスアルダー環化付加物(ANTMI、22.40g、60.0mmol)、メタクリル酸9−アントラセン−メチル(ANTMA、4.11g、14.9mmol)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52、0.40g、1.6mmol)、および54.3gのジオキサンを入れた。この反応混合物を窒素ガスで15分間スパージした。この反応混合物を85℃で12時間加熱した。
室温に冷却した後、この反応混合物を60gのジオキサンで希釈し、3.0Lのメタノールに沈殿させた。白色沈殿物を減圧ろ過で単離し、真空オーブン中で一晩50℃で乾燥させて、ポリ(マレイミド/メタクリル酸アントラセンメチル(ANTMI)−コ−メタクリル酸9−アントラセン−メチル(ANTMA))[ポリ(ANTMI)−コ−(ANTMA)]を得た。
6.2g(24%)が白色粉体として得られた。GPC(THF)Mw=42000Da、Mn=6600Da、PDI:6.4。
【0083】
実施例4−6:プレポリマーのポリマー修飾によるANT−MI含有ポリマーの合成
実施例4:ANTMA/HNMA−2/TBA 50.2/33.7/16.1プレポリマーの合成
磁気攪拌棒、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を取り付けた0.25Lの三つ口丸底フラスコに42.2gのジオキサンを入れた。この溶媒を窒素ガスで15分間スパージした。この溶媒を85℃に加熱した。
攪拌棒を備えた0.25Lのガラス瓶にメタクリル酸9−アントラセン−メチル(ANTMA、34.67g、126mmol)、メタクリル酸2−ヒドロキシナフタレン−メチルモノマー(HNMA−2、20.47g、84.5mmol)、アクリル酸t−ブチル(TBA、5.22g、40.7mmol)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52、1.86g、7.5mmol)、およびジオキサン(98.8g)を入れた。この混合物を室温で30分間攪拌した。この溶液を窒素ガスで15分間スパージした。 このモノマーおよび開始剤溶液を、ペリスタルティックポンプを用いて、2.1g/分の速度で1.2時間にわたって反応フラスコに供給した。
このモノマーおよび開始剤供給の完了時に、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52、1.24g、5.0mmol)、およびジオキサン(23.6g)の溶液を2.5g/分の速度で10分間にわたってペリスタルティックポンプを用いて反応フラスコに供給した。
完了後、反応混合物を85℃で1.5時間保持した。
室温に冷却した後、この反応混合物の一部分70gを0.7Lのメタノールに沈殿させた。白色沈殿物を減圧ろ過で単離し、真空オーブン中で一晩50℃で乾燥させた。反応混合物の残りは、下記ポリマー修飾実験(実施例5および6)に使用された。
18.2g(92%)が白色粉体として得られた。GPC(THF)Mw=7000Da、Mn=4200Da、PDI:1.6。
【0084】
実施例5:ANTMI/ANTMA/HNMA−2/TBA(25.1/25.1/33.7/16.1)修飾ポリマーの合成
実施例4(上記)からの残りの反応混合物を収容し、磁気攪拌棒、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を取り付けた0.25Lの三つ口丸底フラスコにマレイミド(MI、4.09g、42.1mmol)を入れた。この反応混合物を85℃で6時間保持した。
室温に冷却した後、この反応混合物の一部分52gを10gのジオキサンで希釈し、0.7Lのメタノールに沈殿させた。白色沈殿物を減圧ろ過で単離し、真空オーブン中で一晩50℃で乾燥させて、ペンダントアントラセン基が部分的にANTMI[4+2]ディールスアルダー環化付加物に誘導体化されているポリマーを得た。
反応混合物の残りは、下記実施例6で使用された。
17.2g(100%)が白色粉体として得られた。GPC(THF)Mw=8700Da、Mn=5000Da、PDI:1.7。
【0085】
実施例6:ANTMI/HNMA−2/TBA 50.2/33.7/16.1修飾ポリマーの合成
上記実施例4からの残りの反応混合物を収容し、磁気攪拌棒、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を取り付けた0.25Lの三つ口丸底フラスコにマレイミド(MI、2.50g、25.7mmol)を入れた。この反応混合物を85℃で6時間保持した。
室温に冷却した後、この反応混合物を0.7Lのメタノールに沈殿させた。白色沈殿物を減圧ろ過で単離し、真空オーブン中で一晩50℃で乾燥させて、ペンダントアントラセン基が完全にANTMI[4+2]ディールスアルダー環化付加物に誘導体化されているポリマーを得た。22.7g(74%)が白色粉体として得られた。GPC(THF)Mw=9000Da、Mn=5100Da、PDI:1.8。
【0086】
実施例7−8:直接重合によるさらなるANT−MI含有ポリマーの合成
実施例7:MI/ANTMA/HNMA−2/TBA 34.3/31.5/25.0/9.2テトラポリマーの合成
機械式攪拌器、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を取り付けた2.0Lの五つ口丸底フラスコに215gのジオキサンを入れた。この溶媒を窒素ガスで15分間スパージした。この溶媒を85℃に加熱した。
攪拌棒を備えた2.0Lのエルレンマイヤーフラスコに、マレイミド(MI、53.10g、547mmol)、メタクリル酸9−アントラセン−メチル(ANTMA、138.7g、502mmol)、メタクリル酸2−ヒドロキシナフタレン−メチルモノマー(HNMA−2、96.53g、398mmol)、アクリル酸t−ブチル(TBA、18.80g、147mmol)、およびジオキサン(423.5g)を入れた。この混合物を室温で30分間攪拌した。この溶液を窒素ガスで15分間スパージした。
500mLの瓶に2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52、11.89g、48.0mmol)、およびジオキサン(78.0g)を入れた。
モノマー溶液を、ペリスタルティックポンプを用いて、8.5g/分の速度で1.5時間にわたって反応フラスコに供給した。開始剤溶液も、ペリスタルティックポンプを用いて、この期間にわたって1.1g/分の速度で(90分間供給)反応フラスコに供給した。
このモノマーおよび開始剤供給の完了時に、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52、7.93g、32.0mmol)、およびジオキサン(151g)の溶液を8.0g/分の速度で20分間にわたってペリスタルティックポンプを用いて反応フラスコに供給した。
完了後、反応混合物を85℃で1.5時間保持した。
室温に冷却した後、この反応混合物を15.0Lのメタノールに沈殿させた。白色沈殿物を減圧ろ過で単離し、3.0Lのメタノールで洗浄し、真空オーブン中で一晩50℃で乾燥させた。
195.1g(64%)の標記ポリマーが白色粉体として得られた。GPC(THF)Mw=9300Da、Mn=6500Da、PDI:1.5。
【0087】
実施例8:MI/ANTMA/HNMA−2/TBA 33.2/31.3/26.8/8.7テトラポリマーの合成
機械式攪拌器、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を取り付けた2.0Lの五つ口丸底フラスコに218gのジオキサンを入れた。この溶媒を窒素ガスで15分間スパージした。この溶媒を85℃に加熱した。
攪拌棒を備えた2.0Lのエルレンマイヤーフラスコに、マレイミド(MI、51.39g、529mmol)、メタクリル酸9−アントラセン−メチル(ANTMA、137.9g、499mmol)、メタクリル酸2−ヒドロキシナフタレン−メチルモノマー(HNMA−2、103.4g、427mmol)、アクリル酸t−ブチル(TBA、17.82g、139mmol)、およびジオキサン(430g)を入れた。この混合物を室温で30分間攪拌した。この溶液を窒素ガスで15分間スパージした。
500mLの瓶に2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52、11.89g、48.0mmol)、およびジオキサン(78.0g)を入れた。
モノマー溶液を、ペリスタルティックポンプを用いて、7.5g/分の速度で1.5時間にわたって反応フラスコに供給した。開始剤溶液も、ペリスタルティックポンプを用いて、この期間にわたって0.9g/分の速度で(90分間供給)反応フラスコに供給した。
このモノマーおよび開始剤供給の完了時に、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52、7.93g、32.0mmol)、およびジオキサン(151g)の溶液を8.2g/分の速度で20分間にわたってペリスタルティックポンプを用いて反応フラスコに供給した。
完了後、反応混合物を85℃で1.5時間保持した。
室温に冷却した後、この反応混合物を15.0Lのメタノールに沈殿させた。白色沈殿物を減圧ろ過で単離し、3.0Lのメタノールで洗浄し、真空オーブン中で一晩50℃で乾燥させた。
186.6g(60%)の標記ポリマーが白色粉体として得られた。GPC(THF)Mw=9200Da、Mn=6350Da、PDI:1.5。
【0088】
実施例9:コーティング組成物製造およびリソグラフィー処理
下地コーティング組成物は下記物質を混合することにより製造される:
樹脂:上記実施例5のポリマー
光酸発生剤:トリフェニルスルホニウム塩
溶媒:乳酸エチル
樹脂は5グラムの量で存在する。光酸発生剤化合物は、全固形分(溶媒を除く全成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物はシリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、210℃で60秒間真空ホットプレート上で硬化させられ、乾燥(しかし架橋していない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は100℃で60秒間真空ホットプレート上でソフトベークされ、フォトマスクを通してパターン化された193nmの放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで0.26Nのアルカリ水性現像剤で現像され、この現像において、フォトマスクによって画定された領域におけるフォトレジスト層と下地コーティング組成物との双方が除去される。
【0089】
実施例10:コーティング組成物製造およびリソグラフィー処理
下地コーティング組成物は下記物質を混合することにより製造される:
樹脂:上記実施例6のポリマー
光酸発生剤:トリフェニルスルホニウム塩
溶媒:乳酸エチル
樹脂は5グラムの量で存在する。光酸発生剤化合物は、全固形分(溶媒を除く全成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物はシリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、210℃で60秒間真空ホットプレート上で硬化させられ、乾燥(しかし架橋していない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は100℃で60秒間真空ホットプレート上でソフトベークされ、フォトマスクを通してパターン化された193nmの放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで0.26Nのアルカリ水性現像剤で現像され、この現像において、フォトマスクによって画定された領域におけるフォトレジスト層と下地コーティング組成物との双方が除去される。
【0090】
実施例11:コーティング組成物製造およびリソグラフィー処理
下地コーティング組成物は下記物質を混合することにより製造される:
樹脂:上記実施例7のポリマー
光酸発生剤:トリフェニルスルホニウム塩
溶媒:乳酸エチル
樹脂は5グラムの量で存在する。光酸発生剤化合物は、全固形分(溶媒を除く全成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物はシリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、210℃で60秒間真空ホットプレート上で硬化させられ、乾燥(しかし架橋していない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は100℃で60秒間真空ホットプレート上でソフトベークされ、フォトマスクを通してパターン化された193nmの放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで0.26Nのアルカリ水性現像剤で現像され、この現像において、フォトマスクによって画定された領域におけるフォトレジスト層と下地コーティング組成物との双方が除去される。
【0091】
実施例12:コーティング組成物製造およびリソグラフィー処理
下地コーティング組成物は下記物質を混合することにより製造される:
樹脂:上記実施例8のポリマー
光酸発生剤:トリフェニルスルホニウム塩
溶媒:乳酸エチル
樹脂は5グラムの量で存在する。光酸発生剤化合物は、全固形分(溶媒を除く全成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物はシリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、210℃で60秒間真空ホットプレート上で硬化させられ、乾燥(しかし架橋していない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は100℃で60秒間真空ホットプレート上でソフトベークされ、フォトマスクを通してパターン化された193nmの放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで0.26Nのアルカリ水性現像剤で現像され、この現像において、フォトマスクによって画定された領域におけるフォトレジスト層と下地コーティング組成物との双方が除去される。
【0092】
実施例13:コーティング組成物製造およびリソグラフィー処理
下地コーティング組成物は下記物質を混合することにより製造される:
樹脂:上記実施例7および8からのポリマーブレンド
光酸発生剤:トリフェニルスルホニウム塩
溶媒:乳酸エチル
樹脂は互いに等しい重量で5グラムの合計重量で存在する。光酸発生剤化合物は、全固形分(溶媒を除く全成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物はシリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、210℃で60秒間真空ホットプレート上で硬化させられ、乾燥(しかし架橋していない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は100℃で60秒間真空ホットプレート上でソフトベークされ、フォトマスクを通してパターン化された193nmの放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで0.26Nのアルカリ水性現像剤で現像され、この現像において、フォトマスクによって画定された領域におけるフォトレジスト層と下地コーティング組成物との双方が除去される。
【0093】
実施例14:さらなるコーティング組成物製造およびリソグラフィー処理
コーティング組成物は下記成分を混合することにより製造される:
樹脂:上記実施例7および8からのポリマーブレンド
光酸発生剤:トリフェニルスルホニウム塩
溶媒:2−ヒドロキシイソブチル酸メチル
このコーティング組成物において、樹脂は互いに等しい重量で3.2グラムの合計重量で存在し、光酸発生剤は、全固形分(溶媒を除く全成分)の約2重量パーセントで存在する。溶媒は全コーティング組成物重量の約96重量パーセントの量で存在する。
このコーティング組成物はシリコンウェハ基体上にスピンコートされ、215℃でベークされて溶媒を除去するが、コーティング組成物層の架橋を生じさせない。
【0094】
実施例15:下地コーティング組成物の熱処理が結果的に架橋(組成物成分の分子量増加)を生じさせないことを確認するための試験
マレイミド、ポリヒドロキシスチレンおよびメタクリル酸9−アントラセン−メチルの重合単位を含むポリマーの溶液が8インチシリコンウェハ上にスピンキャストされ、180℃および240℃でベークされた。ベークされていない各物質の塗膜も調製した。同じポリマーだけでなく光酸発生剤化合物も含む配合物も調製され、同じベーク温度で(室温、180℃および240℃)8インチシリコンウェハ上に塗膜が製造された。上述の処理後に、全ての塗膜はかけらにされて、THF中に容易に溶解され、GPCによって分子量を測定した。
PAGを有するか有しないかにかかわらず、ポリマー膜の重量平均分子量データは、熱処理後に最小の変化しか示さず、よってこの熱処理の際に架橋が起こらなかったことを示す。
【0095】
実施例16:モノマー合成
この実施例における下記スキーム3は、ペンダント6−HNA発色団を有する重合可能なメタクリラートモノマーの合成を示す。このモノマーは6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から2つの工程を経て製造されうる。
【化8】

スキーム3:6−HNA含有モノマー1の合成。(a)塩化チオニル、THF、室温、1時間。(b)2−ヒドロキシエチルメタクリラート、トリエチルアミン、THF、0℃から室温、18時間。
【0096】
実施例17:ペンダント6−HNA発色団および所望のDBARC性能特性を導入する多官能性ポリ(アクリラート)の逐次的重合後修飾
以下のスキーム4において、多官能性ポリ(アクリラート)プレポリマー(すなわち、ポリマー7)の逐次的修飾が説明される。
【化9】

スキーム4:6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を用いたポリ(アクリラート)7の逐次的ポリマー修飾により、発色団修飾ポリマー8Aを提供する。続いての0.55当量(アントラセン含量基準)のマレイミドを用いた、ポリマー8Aのディールスアルダー修飾により、官能化DBARCポリ(アクリラート)8Bを提供する。続いての、1当量のマレイミド(アントラセン含量基準)を用いた、ポリマー8Bのディールスアルダー修飾により官能化DBARCポリ(アクリラート)8Cを提供する。(a)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ジオキサン、DMF、85℃、12時間;(b)マレイミド、85℃、6時間(同じ反応器);(c)マレイミド、85℃、6時間(同じ反応器)。
【0097】
下記論述において、参照番号は上記スキーム4で示されるのと同じ番号の物質を示す。
触媒(ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド)の存在下での、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(6−HNA)でのエポキシ官能性ポリマー7の処理の際に、このカルボン酸は、ポリマー7におけるペンダントグリシジル基について、エポキシ開環反応を行って、修飾ポリマー8Aを提供する。6−HNA、ポリマー7、触媒の比率および温度は、ポリマーにおける6−HNA結合の程度を制御するために変化させられ得る。得られた修飾ポリマー8Aの光学特性はペンダント6−HNA基の結合によって修飾されて、248nmでの所望の吸光度(k値)を提供することができる。
【0098】
プレポリマー7および6−HNA修飾ポリマー8Aの双方はジエン官能基、すなわちペンダントアントラセン基を提供する。このアントラセン基は6−HNA結合反応のために提供される条件下で反応しない。さらに、反応混合物中に存在する試薬は、その後のアントラセン基とマレイミドとの間のディールスアルダー反応を妨げないであろう。その結果、ポリマー7は2つのペンダントおよび選択的な官能基(エポキシおよびアントラセン)を有する多官能性物質と見なされる。中間体ポリマーの単離は不要で、プロセス全体は単一の反応器でなされうることに留意されたい。
【0099】
ポリマー8Aの0.55当量のマレイミド(MI、プレポリマー8A中のアントラセン含量を基準とする)での処理および加熱の際に、ペンダントアントラセン基とマレイミドとの間でディールスアルダー反応が起こり、修飾ポリマー8Bを提供できる。ポリマー8Aにおけるペンダントアントラセン基に対するマレイミドの比率、および反応温度は、ポリマー中のペンダントマレイミド/アントラセン環化付加物の形成の程度を制御するために変更されうる。
【0100】
ポリマー8Bは、加熱下で1.0当量のマレイミド(MI、プレポリマー8B中のアントラセン含量を基準とする)とさらに反応させられて、ペンダントアントラセン基とマレイミドとの間でディールスアルダー反応が起こり、修飾ポリマー8Cを提供できる。
【0101】
ポリマー7、8A、8Bおよび8Cの光学特性および物理特性の初期評価が行われる。これらの物質の初期評価の結果が表1に提示される。VASEデータから、ポリマー中のマレイミド結合の程度が増加するにつれて、248nmでのk値が低下する(8Aでは0.64、8Cでは0.20)ことが認められる。溶媒剥離試験データから、全てのポリマーが許容可能な溶媒剥離耐性を示すことが認められる。8Cサンプルについては、水性現像剤中での溶解速度がポリマー8Bおよび8Aの溶解速度よりも高いことが認められる。進歩したフォトリソグラフィー用途に望まれる光学特性および性能特性を提供するのに、さらなる検討は当然でありかつ必要である。
【0102】
【表1】

【0103】
実施例18
以下のスキーム5において、ペンダント6−HNA発色団を有する重合可能なメタクリラートモノマー2の合成が示される。このモノマーは6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から3つの工程を経て製造されうる。UV吸収データがスキーム5に示される。
【0104】
【化10】

スキーム5:6−HNA含有モノマー2の合成。(a)無水酢酸、ピリジン、0℃から室温、12時間、92%;(b)塩化チオニル、DMF(触媒)、還流、1時間、95%;(c)メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、トリエチルアミン、THF、0℃から室温、12時間、81%。
【0105】
実施例19:6−アセトキシ−2−ナフトエ酸の合成
磁気攪拌棒および添加漏斗を備えた0.25Lの三口丸底フラスコに6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(20.0g、106mmol)およびピリジン(100mL、1.24mol)を入れた。この反応混合物を氷水浴中で0℃に冷却した。無水酢酸(10.9g、106mmol)を15分かけて滴下添加した。この反応混合物を室温まで暖めて、18時間攪拌した。
この反応混合物を、水と濃塩酸との10:1混合物1.1Lに注いだ。減圧ろ過によって白色沈殿物を単離し、さらに1Lの水で洗浄した。この白色固体を48時間空気乾燥させた。
22.5g(92%)が白色粉体として得られた。
HNMR(500MHz、DMSO−d):δ13.10(s、br、1H)、8.65(s、1H)、8.17(d、1H、J=10)、8.05(dd、2H、J=10,20)、7.75(s、1H)、7.40(m、1H)、2.38(s、3H)。13CNMR(125MHz、DMSO−d):δ169.5、167.5、150.0、135.5、131.0、130.5、130.2、127.9、127.8、126.0、122.6、118.6、21.0。
【0106】
実施例20:6−アセトキシ−2−ナフトエ酸塩化物の合成
磁気攪拌棒、添加漏斗および還流凝縮器を備えた0.25Lの三口丸底フラスコに6−アセトキシ−2−ナフトエ酸(30.0g、130mmol)、THF(135mL)およびジメチルホルムアミド(約20滴)を入れた。この反応混合物に塩化チオニル(18.6g、156mmol)をゆっくりと15分間かけて滴下添加した。この反応混合物を窒素下で2.5時間還流加熱し、一晩室温まで冷却させた。
この反応混合物を室温、減圧下で蒸発乾燥させた。トルエン(50g)を添加し、この反応混合物を室温、減圧下で再び蒸発乾燥させた。別のトルエン50gを添加し、この反応混合物を室温、減圧下でさらに蒸発乾燥させた。灰白色固体をヘキサンを用いて粉にした。この灰白色粉体を減圧ろ過によって単離した。
31.3g(96%)が灰白色粉体として得られた。
HNMR(500MHz、CDCl):δ8.63(s、1H)、7.95(m、2H)、7.77(m、1H)、7.58(s、1H)、7.32(m、1H)、2.40(s、3H)。13CNMR(125MHz、CDCl):δ169.2、168.2、151.5、137.0、134.5、131.6、130.2、130.1、128.5、126.0、123.0、118.8、21.8。
【0107】
実施例21:6−アセトキシ−ナフタレン−2−カルボン酸2−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−エチルエステル(ANMA−3)の合成
磁気攪拌棒および添加漏斗を備えた、オーブン乾燥した0.25Lの三口丸底フラスコに、THF中(40mL)のメタクリル酸ヒドロキシエチル(3.90g、30mmol)およびトリエチルアミン(3.40g、34mmol)の溶液を入れた。この反応混合物を氷水浴中で0℃に冷却した。この反応混合物に、THF(80mL)中の6−アセトキシ−2−ナフトエ酸塩化物(7.0g、28mmol)溶液をゆっくりと1.5時間かけて滴下添加した。この反応混合物を室温に暖めて、18時間攪拌した。
この反応混合物を水(300mL)に注ぎ、酢酸エチル(100mL)で抽出した。この有機抽出物を水(100mL)、1%重炭酸ナトリウム溶液(100mL×2)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。この有機抽出物を減圧下30℃で蒸発乾燥させた。琥珀色のオイルが得られ、これは静置すると固化した。この物質はHPLC−MSによると純度95%である。このクルード物質は、さらなる精製することなしに使用された。
7.8g(81%)がワックス状の固体として得られた。
HNMR(500MHz、CDCl):δ8.62(s、1H)、8.04(m、2H)、7.89(m、1H)、7.64(s、1H)、7.33(m、1H)、6.10(s、1H)、5.58(s、1H)、4.60(m、2H)、4.49(m、2H)、2.30(s、3H)、1.90(s、3H)。13CNMR(125MHz、CDCl):δ169.4、167.3、166.5、151.3、137.3、136.9、131.5、131.4、131.3、128.6、128.1、126.6、125.8、123.0、119.2、63.6、63.4、21.0、18.4。
【0108】
実施例22:MI/ANTMA/HNMA−3/TBA 30.7/29.0/31.8/8.5テトラポリマーの合成
磁気攪拌棒、凝縮器、加熱マントルおよび温度制御装置を取り付けた0.25Lの三つ口丸底フラスコに20gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を入れた。この溶媒を窒素ガスで15分間スパージした。この溶媒を85℃に加熱した。
攪拌棒を備えた0.5Lのエルレンマイヤーフラスコに、マレイミド(MI、3.73g、38mmol)、メタクリル酸9−アントラセン−メチル(ANTMA、10.00g、36mmol)、6−アセトキシ−ナフタレン−2−カルボン酸2−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−エチルエステル(ANMA−3、13.61g、40mmol)、アクリル酸t−ブチル(TBA、1.36g、11mmol)、およびPGME(30g)を入れた。この混合物を室温で30分間攪拌した。この溶液を窒素ガスで15分間スパージした。
100mLの瓶に2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52、0.93g、4mmol)、およびPGME(16g)を入れた。
モノマー溶液を、ペリスタルティックポンプを用いて、0.6g/分の速度で1.5時間にわたって反応フラスコに供給した。開始剤溶液も、ペリスタルティックポンプを用いて、この期間にわたって0.2g/分の速度で(90分間供給)反応フラスコに供給した。
このモノマーおよび開始剤供給の完了時に、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Vazo登録商標52、0.62g、2mmol)、およびPGME(12g)の溶液を0.7g/分の速度で20分間にわたってペリスタルティックポンプを用いて反応フラスコに供給した。
完了後、反応混合物を85℃で1.5時間保持した。
【0109】
アセトキシ脱保護:酢酸アンモニウム(6.20g、80mmol)および水(3.60mL、200mmol)の溶液を反応混合物に添加した。この反応混合物は85℃で12時間加熱された。
室温に冷却した後、この反応混合物を1.0Lのメタノールに沈殿させた。白色沈殿物を減圧ろ過で単離し、1.0Lのメタノールで洗浄し、真空オーブン中で一晩50℃で乾燥させた。
20.7g(77%)が白色粉体として得られた。
【0110】
実施例23:コーティング組成物製造およびリソグラフィー処理
下地コーティング組成物は下記物質を混合することにより製造される:
樹脂:上記スキーム4に示されたポリマー8B
光酸発生剤:トリフェニルスルホニウム塩
溶媒:乳酸エチル
樹脂は5グラムの量で存在する。光酸発生剤化合物は、全固形分(溶媒を除く全成分)の約0.5重量パーセントの量で存在する。
この配合されたコーティング組成物はシリコンマイクロチップウェハ上にスピンコートされ、210℃で60秒間真空ホットプレート上で硬化させられ、乾燥(しかし架橋していない)コーティング層を提供する。
次いで、この硬化したコーティング組成物層上に、市販の193nmポジ型フォトレジストがスピンコートされる。適用されたレジスト層は100℃で60秒間真空ホットプレート上でソフトベークされ、フォトマスクを通してパターン化された193nmの放射線に露光され、110℃で60秒間露光後ベークされ、次いで0.26Nのアルカリ水性現像剤で現像され、この現像において、フォトマスクによって画定された領域におけるフォトレジスト層と下地コーティング組成物との双方が除去される。
【0111】
本発明の上記記載はその単なる例示であり、特許請求の範囲に特定される発明の意図および範囲から逸脱することなく、変更および修飾がなされうることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)コーティング組成物層が樹脂を含み、樹脂がジエンとジエノフィルとの反応生成物を含む、コーティング組成物層;および
(b)コーティング組成物層上のフォトレジスト層;
を含むコーティングされた基体。
【請求項2】
(a)ディールスアルダー反応生成物を含む樹脂を含むコーティング組成物層;および
(b)コーティング組成物層上のフォトレジスト層;
を含むコーティングされた基体。
【請求項3】
(a)ヒドロキシル−ナフトエ基を含有する成分を含む成分を含むコーティング組成物層;および
(b)コーティング組成物層上のフォトレジスト層;
を含むコーティングされた基体。
【請求項4】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基を含有する樹脂をコーティング組成物が含む、請求項3に記載の基体。
【請求項5】
フォトレジスト層の水性アルカリ現像が下地コーティング組成物層も現像する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の基体。
【請求項6】
(i)反応成分または(ii)ヒドロキシル−ナフトエ基を含有する成分が、ターポリマー、テトラポリマーもしくはペンタポリマーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の基体。
【請求項7】
コーティング組成物層が架橋されていない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の基体。
【請求項8】
コーティング組成物層が架橋されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の基体。
【請求項9】
コーティング組成物層の樹脂が、イミド含有ジエノフィルと多環式芳香族基との反応生成物を含む、請求項1または2に記載の基体。
【請求項10】
コーティング組成物層の樹脂が(1)ジエノフィルと(2)アントラセンもしくはペンタセン基との反応生成物を含む、請求項1または2に記載の基体。
【請求項11】
(a)ジエンとジエノフィルとの反応生成物を含む樹脂を含む組成物のコーティング層を基体上に適用し;
(b)コーティング組成物層上にフォトレジスト層を適用する;
ことを含むフォトレジストレリーフ像を形成する方法。
【請求項12】
(a)ディールスアルダー反応生成物を含む樹脂を含む組成物のコーティング層を基体上に適用し;
(b)コーティング組成物層上にフォトレジスト層を適用する;
ことを含むフォトレジストレリーフ像を形成する方法。
【請求項13】
(a)ヒドロキシル−ナフトエ基を含有する成分を含む成分を含むコーティング組成物層を基体上に適用し;
(b)コーティング組成物層上にフォトレジスト層を適用する;
ことを含むフォトレジストレリーフ像を形成する方法。
【請求項14】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基を含有する樹脂をコーティング組成物が含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
適用されたフォトレジスト層がパターン化された放射線に露光され、次いで、水性アルカリ現像剤組成物で現像され、それにより、パターン化された放射線によってフォトレジスト層に画定される通りの像を、フォトレジスト層と下地コーティング組成物層との双方において、現像剤組成物が選択的に除去する、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ディールスアルダー反応生成物を含む樹脂を反射防止組成物が含む、上塗りフォトレジストと共に使用するための反射防止組成物。
【請求項17】
ジエンとジエノフィルとの反応生成物を含む樹脂を反射防止組成物が含む、上塗りフォトレジストと共に使用するための反射防止組成物。
【請求項18】
反射防止組成物の樹脂が、イミド含有ジエノフィルと多環式芳香族基との反応生成物を含む、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
反射防止組成物の樹脂が、(1)イミド含有ジエノフィルと(2)アントラセンもしくはペンタセン基との反応生成物を含む、請求項16または19に記載の組成物。
【請求項20】
下記式:
【化1】

(上記式中、各Rは独立して水素または非水素置換基である)
のいずれかの基を含む化合物を含む、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項21】
下記式:
【化2】

(上記式中、各Rは独立して水素または非水素置換基である)
の1種以上の基を含む1以上の繰り返し単位を含む樹脂を組成物が含む、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項22】
ヒドロキシル−ナフトエ基を含有する成分を組成物が含む、請求項16〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基を含有する樹脂をコーティング組成物が含む、請求項16〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
(i)ジエンとジエノフィルとの反応生成物および(ii)ヒドロキシル−ナフトエ基を含む部分を含有する樹脂を組成物が含む、請求項16〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
ヒドロキシル−ナフトエ基を含有する成分を反射防止組成物が含む、上塗りフォトレジストと共に使用するための反射防止組成物。
【請求項26】
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ基を含有する樹脂を反射防止組成物が含む、請求項25に記載の反射防止組成物。
【請求項27】
ディールスアルダー反応生成物を含む樹脂を反射防止組成物が含む、上塗りフォトレジストと共に使用するための反射防止組成物。
【請求項28】
下記式:
【化3】

(上記式中、各Rは独立して水素または非水素置換基である)
のいずれかの基を含む化合物。
【請求項29】
下記式:
【化4】

(上記式中、各Rは独立して水素または非水素置換基である)
のいずれかの基を含む化合物。
【請求項30】
下記式:
【化5】

(上記式中、各Rは独立して水素または非水素であり;かつR’は水素またはC1−6アルキル、例えばメチルである)
のいずれかの化合物。

【公開番号】特開2011−53652(P2011−53652A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−133556(P2010−133556)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】