説明

不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法

【課題】非オーミック性素子と抵抗変化層とを組み合わせたクロスポイント型構成において充分な電流容量を確保し、安定な作動が可能な不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】下層電極配線15を含む基板11上に形成された層間絶縁層16と、下層電極配線上の層間絶縁層に形成されたコンタクトホールと、下層電極配線15上に形成された非オーミック性素子17と、コンタクトホール中に埋め込まれ、非オーミック性素子17上に形成された抵抗変化層22と、抵抗変化層22と接続し、層間絶縁層16上に形成された上層電極配線23とを備え、非オーミック性素子17は、複数層の半導体層の積層構成、金属電極体層と半導体層との積層構成または金属電極体層と絶縁体層との積層構成のうちの半導体層又は絶縁体層を含む少なくとも1層はコンタクトホールより大きな形状を有し、コンタクトホール中に積層構成のその他の層が埋め込み形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗変化層を用いたクロスポイント型の不揮発性半導体記憶装置に関し、特にダイオードを抵抗変化層に直列に挿入する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器におけるデジタル技術の進展に伴い、音楽、画像、情報等のデータを保存するために、大容量で、かつ不揮発性の半導体記憶装置の開発が活発に行われている。例えば、強誘電体を容量素子として用いる不揮発性半導体記憶装置は既に多くの分野で用いられている。さらに、このような強誘電体キャパシタを用いる不揮発性記憶装置に対して、電気的パルスの印加によって抵抗値が変化し、その状態を保持し続ける材料を用いた不揮発性半導体記憶装置(以下、ReRAMとよぶ)が、通常の半導体プロセスとの整合性を取りやすいという点で注目されている。
【0003】
例えば、1つのトランジスタと1つの記憶部とで構成されるReRAMにおいて、既存のDRAM工程をそのまま使用可能とするための装置構成が示されている(例えば、特許文献1参照)。このReRAMは、トランジスタとこのトランジスタのドレインに連結されている不揮発性の記憶部からなる。そして、この記憶部は、上部電極と下部電極の間に電流パルスによって抵抗が可逆的に変化する抵抗変化層を挟持して構成されている。抵抗変化層としては、酸素欠損型タンタル酸化膜(TaO)、ニッケル酸化膜(NiO)、バナジウム酸化膜(V)、亜鉛酸化膜(ZnO)、ニオブ酸化膜(Nb)、チタン酸化膜(TiO)、タングステン酸化膜(WO)またはコバルト酸化膜(CoO)等が用いられている。このような遷移金属酸化膜は閾値以上の電圧または電流が印加されたときに特定の抵抗値を示し、その抵抗値は新たに電圧または電流が印加されるまでは、その抵抗値を保持しつづけることが知られており、かつ既存のDRAM工程をそのまま使用して作製できるという特徴を有している。
【0004】
上記例は1つのトランジスタと1つの不揮発性記憶部の構成からなるが、ペロブスカイト構造材料を用いたクロスポイント型のReRAMも示されている(例えば、特許文献2参照)。このReRAMは、基板の上にストライプ状の下部電極が形成され、下部電極を覆って全面にアクティブ層が形成されている。アクティブ層としては、電気的パルスによって抵抗が可逆的に変化する抵抗変化層が用いられる。アクティブ層の上には、下部電極に直交してストライプ状の上部電極が形成されている。このように、アクティブ層を挟んで下部電極と上部電極が交差している領域が記憶部になっており、下部電極と上部電極はそれぞれワード線またはビット線のいずれかとして機能する。このようなクロスポイント型構成とすることで、大容量化を実現できるとしている。
【0005】
クロスポイント型のReRAMの場合には、クロスした交点に形成されている抵抗変化層の抵抗値を読み取るときに、他の行や列の抵抗変化層の影響を避けるために抵抗変化層に対して直列にダイオードを挿入することが行われている。
【0006】
例えば、相互並行した間隔をもって配列された2以上のビット線と、相互並行した間隔をもって、上記ビット線と交差する方向に形成された2以上のワード線と、ビット線およびワード線の交差する位置であり、かつビット線上に形成された抵抗構造体と、この抵抗構造体およびワード線と接触するように抵抗構造体上に形成されたダイオード構造体とを備えた基板と、この基板上に形成された下部電極と、下部電極上に形成された抵抗構造体と、抵抗構造体上に形成されたダイオード構造体と、ダイオード構造体上に形成された上部電極とを備えたReRAMが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
このような構成とすることで、単位セル構造が1つのダイオード構造体と1つの抵抗構造体の連続積層構造とすることができ、アレイセル構造も簡単に実現することができるとしている。
【0008】
また、クロスポイント型構成のReRAMにおいて、X方向の導電アレイラインと、Y方向の導電アレイラインとの交点部分にメモリプラグが形成された構成も示されている(例えば、特許文献4参照)。このメモリプラグは7層から構成されており、2層の電極層に挟まれた複合金属酸化物が記憶素子であり、この記憶素子上に形成された金属−絶縁物−金属(MIM)構造が非オーミック性素子を構成している。
【0009】
なお、MRAM等においてもクロスポイント型構成が用いられており、同様な課題に対して種々の検討がなされている。例えば、ワード線、抵抗変化層パターン、半導体層パターンおよびビット線が積層された構成において、抵抗変化層パターンと半導体層パターンまたは半導体層パターンとビット線がショットキーダイオードを形成するようにした構成も示されている(例えば、特許文献5参照)。
【0010】
あるいは、複数のワード線と、複数のビット線と、メモリセルの抵抗性交点アレイとを有するMRAMにおいて、メモリセルはビット線と分離ダイオードに接続され、分離ダイオードはさらに個々のワード線に接続された構成も示されている(例えば、特許文献6参照)。この分離ダイオードとしては、ショットキー金属−半導体ダイオードとして形成され、金属部分はプラチナ(Pt)が好適であることが示されている。
【特許文献1】特開2004−363604号公報
【特許文献2】特開2003−68984号公報
【特許文献3】特開2006−140489号公報
【特許文献4】米国特許第6,753,561号明細書
【特許文献5】特開2003−197880号公報
【特許文献6】特開2003−273335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記第1の例には、スイッチング機能を有する1つのダイオードと1つの抵抗体との構成も記述されているが、抵抗体とダイオードとの具体的な構造についてはまったく記載も示唆もされていない。さらに、第2の例にはクロスポイント構成が示されているが、この例においてはダイオードを直列に接続することや、その具体的構造については上記と同様にまったく記載も示唆もされていない。
【0012】
これらに対して、第3の例では、下部電極上に抵抗構造体を形成し、さらにこの抵抗構造体上にダイオード構造体を形成し、ダイオード構造体上に上部電極を形成する構成が示されており、このダイオード構造体はNiOやTiO等からなるp型酸化物とn型酸化物とで形成することが示されている。しかしながら、この第3の例に記載されているダイオード構造体は抵抗構造体と同じ外形寸法で形成されているので、ダイオード構造体の電流容量を大きくすることが困難である。ダイオードの電流容量が小さいと、書き込みに必要な電流を充分に流すことができなく、ReRAMの安定な作動を阻害するという課題を有する。
【0013】
また、第4の例では、メモリプラグ内に、抵抗変化層とMIM構造の非オーミック性素子のすべてを形成しているので、製造方法が複雑となる課題を有している。さらに、この構成では、非オーミック性素子が抵抗変化層と同じ形状とされているので電流容量を大きくすることもできない。このため、上記と同様にReRAMの安定な作動を阻害するという課題を有している。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、非オーミック性素子と抵抗変化層とを組み合わせたクロスポイント型構成において充分な電流容量を確保でき、安定な作動が可能な不揮発性半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明の不揮発性半導体記憶装置は、基板と、前記基板上に形成されたストライプ形状の下層電極配線と、前記基板上に形成された層間絶縁層と、前記層間絶縁層上に形成された上層電極配線と、前記上層電極配線の下部の前記層間絶縁層に形成されたコンタクトホールと、前記上層電極配線と接続し、かつ前記コンタクトホールの一部に埋め込まれた抵抗変化層と、前記抵抗変化層と接続し、前記抵抗変化層の下に形成された非オーミック性素子とを備え、前記非オーミック性素子は、複数層の半導体層の積層構成、金属電極体層と半導体層との積層構成または金属電極体層と絶縁体層との積層構成からなり、前記非オーミック性素子の前記積層構成のうちの半導体層もしくは絶縁体層を含む少なくとも1層は前記コンタクトホールより大きな形状を有して前記コンタクトホール外に形成されており、かつ前記コンタクトホール中に前記積層構成のうちの前記少なくとも1層以外の層が埋め込み形成されている。
【0016】
このような構成とすることにより、非オーミック性素子の製造工程を簡略化できるだけでなく、ダマシン法によって埋め込み形成され表面が平坦な下層電極配線上に、非オーミック性素子を形成することにより、非オーミック性素子を構成する半導体層もしくは絶縁体層の平坦性を確保することができ、非オーミック性素子の特性バラツキが小さく、再現性が良好で、かつ充分な電流容量を確保できる不揮発性半導体記憶装置を実現できる。
【0017】
また、上記構成において、層間絶縁層を複数層からなる積層構成にしてもよい。
【0018】
このような構成とすることにより、複数層からなる層間絶縁層の非オーミック性素子と接する下層側にエッチング工程におけるストッパとして作用する膜種を選択することで、層間絶縁層に非オーミック性素子に接続するためのコンタクトホールをドライエッチングによって形成する際に、非オーミック性素子の一部となる半導体層または絶縁体層のエッチングによる掘れ込み量を低減でき、非オーミック性素子の特性バラツキが小さく、再現性が良好な不揮発性半導体記憶装置を実現できる。さらに、コンタクトホール中に埋め込み電極と抵抗変化層をCMPによって埋め込み形成する際にも、層間絶縁層を複数層の積層構成にすることによって、層間絶縁層の上層側をCMPにおいて硬質な膜種を選択することで、層間絶縁層の研磨量を低減することが可能である。
【0019】
また、上記構成において、上層電極配線の下に、下層電極配線、層間絶縁層、層間絶縁層のコンタクトホール中に埋め込まれた非オーミック性素子および抵抗変化層を1つの構成単位として、構成単位をさらに1層以上積層してもよい。このような構成とすることにより、非オーミック性素子の特性バラツキが小さく、再現性が良好で、かつ充分な電流容量を確保しながら、非常に大容量の記憶部を有する不揮発性半導体記憶装置を実現できる。
【0020】
また、上記構成において、非オーミック性素子を構成する積層構成のうちの半導体層もしくは絶縁体層を含む層として金属電極体層を含めて形成する場合には、この金属電極体層を下層電極配線の一部として用いることもできるので、製造工程をさらに簡略化できる。
【0021】
また、上記構成において、層間絶縁層上で、抵抗変化層に接続する上層電極配線が下層電極配線に交差するストライプ形状を有するようにしてもよい。このような構成とすることにより、上層電極配線に用いる材料として抵抗変化層に最適な金属電極材料を選択することにより、上層電極配線が抵抗変化層の上部電極としても機能するため、製造工程をさらに簡略化できる。
【0022】
また、上記構成において、非オーミック性素子が、半導体層と、この半導体層を両側から挟む金属電極体層との3層の積層構成からなるMSMダイオードであり、抵抗変化層側の金属電極体層がコンタクトホール中に埋め込み形成されていてもよい。あるいは、非オーミック性素子が、絶縁体層と、この絶縁体層を両側から挟む金属電極体層との3層の積層構成からなるMIMダイオードであり、抵抗変化層側の金属電極体層がコンタクトホール中に埋め込み形成されていてもよい。このような構成とすることにより、大きな電流容量を有し、かつ特性バラツキの小さな非オーミック性素子が容易に得られる。
【0023】
また、上記構成において、非オーミック性素子が、p型半導体層とn型半導体層との2層の積層構成からなるpn接合ダイオードであり、p型半導体層またはn型半導体層のどちらか一方がコンタクトホール中に埋め込まれていてもよい。このような構成とすることにより、ダイオードの整流特性を利用することで、読み込みや書き込み時のクロストークをさらに低減することができる。また、そのための回路構成も簡略化できる。
【0024】
また、上記構成において、非オーミック性素子が、半導体層と金属電極体層との2層の積層構成からなるショットキーダイオードであり、金属電極体層がコンタクトホール中に埋め込まれていてもよい。このようなショットキーダイオード構成の場合には、多数キャリアが支配的であるので電流容量を大きくでき、かつ高速動作を行うことができる。
【0025】
また、本発明の不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、基板上にストライプ形状の下層電極配線を形成する工程(A)と、前記下層電極配線上に前記非オーミック性素子の積層構成のうちの半導体層もしくは絶縁体層を含む少なくとも1層を形成する工程(B)と、前記下層電極配線上に形成された前記非オーミック性素子の前記積層構成の半導体層もしくは絶縁体層を含む前記基板上に層間絶縁層を形成する工程(C)と、前記下層電極配線上に形成された前記非オーミック性素子の前記積層構成のうちの半導体層もしくは絶縁体層上に位置する前記層間絶縁層の所定の位置にコンタクトホールを形成する工程(D)と、前記コンタクトホール中に、前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成の前記少なくとも1層以外の層を埋め込み形成する工程(E)と、前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成の前記少なくとも1層以外の層の上に前記抵抗変化層を形成する工程(F)と、前記抵抗変化層上に、前記抵抗変化層に接続される上層電極配線を形成する工程(G)とを含むことを特徴とする。
【0026】
このような方法とすることにより、非オーミック性素子を構成する積層構成の半導体層もしくは絶縁体層を含む層をダマシン法により形成された表面が平坦な下層電極配線上に形成することで、非オーミック性素子の半導体層もしくは絶縁体層の平坦性を確保することができるので、非オーミック性素子の界面状態を良好にできる。この結果、電界集中等による耐圧の低下やそのバラツキを抑制でき、かつ電流容量を大きくすることができる。
【0027】
また、上記方法において、前記工程(E)と工程(F)とが、前記コンタクトホールを含む前記層間絶縁層上に前記非オーミック性素子となる前記非オーミック性素子を構成する積層構成のうちの前記少なくとも1層以外の層を形成する工程と、前記層間絶縁層上の、前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成のうちの前記少なくとも1層以外の層を除去して、前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成のうちの前記少なくとも1層以外の層を前記コンタクトホールに埋め込み形成する工程と、前記コンタクトホール中の、前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成のうちの前記少なくとも1層以外の層の一部をさらに除去して、前記コンタクトホールに凹部を形成する工程と、前記コンタクトホールを含む前記層間絶縁層上に前記抵抗変化層を形成する工程と、前記層間絶縁層上の前記抵抗変化層を除去して、前記抵抗変化層を前記コンタクトホールの前記凹部に埋め込み形成する工程とを含むようにしてもよい。
【0028】
このような方法とすることにより、非オーミック性素子を構成する積層構成のその他の層と、抵抗変化層とを、それぞれ確実にコンタクトホール中に埋め込み形成することができる。
【0029】
また、上記方法において、前記上層電極配線の下に、前記下層電極配線を形成する工程と、前記工程(B)から前記工程(F)までを、さらに繰り返して形成し、前記非オーミック性素子と前記抵抗変化層とを積層するようにしてもよい。このような方法とすることにより、さらに大容量の記憶部を有する不揮発性半導体記憶装置を実現できる。
【0030】
また、上記方法において、非オーミック性素子を構成する積層構成のうちの半導体層もしくは絶縁体層を含む少なくとも1層を下層電極配線上において、下層電極配線と同様のストライプ形状に形成する方法としてもよい。このような方法とすることにより、非オーミック性素子を構成する半導体層もしくは絶縁体層を含む層として金属電極体層を含めて形成する場合には、この金属電極体層を下層電極配線の一部として用いることもできるので、製造工程をさらに簡略化できる。
【0031】
また、上記方法において、層間絶縁層上で、抵抗変化層に接続する上層電極配線を下層電極配線に交差するストライプ形状に形成する方法としてもよい。このような方法とすることにより、上層電極配線に用いる材料として抵抗変化層に最適な金属電極材料を選択することにより、上層電極配線が抵抗変化層の上部電極としても機能するため、製造工程をさらに簡略化できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の不揮発性半導体記憶装置は、それぞれの抵抗変化層に対して直列に非オーミック性素子を設けるクロスポイント構成において、非オーミック性素子を構成する層のうちの半導体層もしくは絶縁体層を含む少なくとも1層を下層電極配線上に形成し、非オーミック性素子を構成するその他の層をコンタクトホール中に埋め込み形成したので、製造工程を簡略化しながら電流容量を大きく、かつ非オーミック性素子の特性を安定化できるという大きな効果を奏する。
【0033】
さらに、本発明の不揮発性半導体記憶装置は、層間絶縁層を複数層の積層構成とすることで、層間絶縁層にコンタクトホールを形成する際に、非オーミック性素子を構成する半導体層または絶縁体層の膜厚バラツキを低減することができ、非オーミック性素子の特性を安定化できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素については同じ符号を付しており説明を省略する場合がある。また、トランジスタや記憶部等の形状については模式的なものであり、その個数等についても図示しやすい個数としている。
【0035】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置10の構成を説明する図で、(a)は平面図、(b)は(a)に示す1A−1A線に沿う断面を矢印方向に見た断面図を示す。なお、図1(a)の平面図においては、理解しやすくするために最上層の絶縁保護層27の一部を切り欠いて示している。また、図2は、非オーミック性素子17と記憶部21の構成を示すための要部の部分拡大図で、(a)は平面図、(b)は(a)に示す2A−2A線に沿う断面を矢印方向に見た断面図である。
【0036】
本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10は、基板11と、この基板11上に形成されたストライプ形状の下層電極配線15と、下層電極配線15を含む基板11上に形成された層間絶縁層16と、層間絶縁層16に形成されたコンタクトホールと、下層電極配線15に接続し、下層電極配線15上に形成させた非オーミック性素子17と、上記コンタクトホール中に埋め込まれ、非オーミック性素子17と接続し、非オーミック性素子17上に形成された抵抗変化層22と、抵抗変化層22に接続し、層間絶縁層16に形成させた上層電極配線23とを備えている。
【0037】
そして、上記非オーミック性素子17は、本実施の形態では金属電極体層である下部電極18と半導体層19と埋め込み電極20との3層の積層構成からなるMSMダイオードであり、コンタクトホール中に上記積層構成の半導体層を含む少なくとも1層、すなわち金属電極体層である下部電極18と半導体層19とがコンタクトホールより大きな形状を有し、かつ下層電極配線15上に形成されている。また、上記積層構成のその他の層、すなわち金属電極体層である埋め込み電極20がコンタクトホール中に埋め込み形成されている。
【0038】
さらに、本実施の形態の場合には、上層電極配線23が層間絶縁層16上に、下層電極配線15に対して交差するストライプ形状に形成されている。そして、埋め込み電極20と抵抗変化層22、この抵抗変化層22に接続する領域の上層電極配線23とにより記憶部21を構成している。抵抗変化層22としては、酸素欠損型タンタル酸化物(TaO)が抵抗変化特性の安定性や作製の再現性等の面から好ましい。なお、図1に示すように、上層電極配線23は、非オーミック性素子17と記憶部21とがマトリクス状に形成された領域外まで延在されている。
【0039】
さらに、本実施の形態においては、基板11としてシリコン単結晶基板を用いてトランジスタ等の能動素子12を集積した半導体回路を有する。図1では、能動素子12は、ソース領域12a、ドレイン領域12b、ゲート絶縁膜12cおよびゲート電極12dからなるトランジスタを示しているが、これらの能動素子12だけでなく、一般にDRAM等のメモリ回路に必要な素子を含む。
【0040】
下層電極配線15および上層電極配線23は、非オーミック性素子17および記憶部21が形成されたマトリクス領域とは異なる領域において能動素子12にそれぞれ接続されている。すなわち、図1においては、下層電極配線15は、埋め込み導体24、25および半導体電極配線26を介して能動素子12のソース領域12aに接続されている。なお、上層電極配線23についても、埋め込み導体28を介して同様に別の能動素子(図示せず)に接続されている。
【0041】
下層電極配線15は、例えばTi−Al−N合金、銅(Cu)あるいはアルミニウム(Al)を用いてスパッタリングにより成膜し、露光プロセスとエッチングプロセスを経ることで容易に形成できる。また、非オーミック性素子17としては、例えば下部電極18、埋め込み電極20として、タンタル窒化物(TaN)、タングステン(W)、あるいはこれらの組み合わせを用い、半導体層19として窒素欠損型窒化シリコン(SiN)を積層した構成のMSMダイオードを用いることができる。なお、電極としてTaNやWを用いると、配線抵抗が大きくなるため、さらにAlやCu等からなる薄膜を積層形成することが望ましい。
【0042】
また、層間絶縁層16としては、絶縁性の酸化物材料を用いることができる。具体的には、CVD法による酸化シリコン(SiO)やオゾン(O)とテトラエトキシシラン(TEOS)を用いてCVD法により形成したTEOS−SiO膜あるいはシリコン窒化(SiN)膜を用いることができる。さらに、低誘電率材料であるシリコン炭窒化(SiCN)膜やシリコン炭酸化(SiOC)膜あるいはシリコンフッ素酸化(SiOF)膜等を用いてもよい。
【0043】
次に、記憶部21を構成する抵抗変化層22は、上記したTaOだけでなく、鉄酸化物、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化亜鉛、ニオブ酸化膜、タングステン酸化膜、ハフニウム酸化膜等の遷移金属酸化物を用い、スパッタリング法等で形成してもよい。このような遷移金属酸化物材料は、閾値以上の電圧または電流が印加されたときに特定の抵抗値を示し、その抵抗値は新たに一定の大きさのパルス電圧またはパルス電流が印加されるまでは、その抵抗値を維持しつづける。
【0044】
図3は、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10の概略の回路構成を説明するブロック図である。図1に示すように、非オーミック性素子17と記憶部21とが直列に接続され、非オーミック性素子17の一端が下層電極配線15に接続され、記憶部21の一端が上層電極配線23に接続されている。下層電極配線15は、ビット線デコーダ6および読み出し回路7に接続されている。また、上層電極配線23は、ワード線デコーダ5に接続されている。このように、下層電極配線15がビット線で、上層電極配線23がワード線となり、これらがマトリクス状に配置されている。さらに、ビット線デコーダ6、ワード線デコーダ5および読み出し回路7で周辺回路が構成されるが、これらの周辺回路は例えばMOSFETからなる能動素子12により構成されている。
【0045】
次に、図4から図8を用いて本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10の製造方法について説明する。
【0046】
図4は、能動素子12が形成された基板11上に、半導体層間絶縁層14までを形成し、さらに下部電極配線15と埋め込み導体24、非オーミック性素子を構成する下部電極18と半導体層19を形成するまでの工程を示す図で、(a)は能動素子12が形成された基板11上に、半導体層間絶縁層14を形成した状態の断面図、(b)は半導体層間絶縁層14の所定の位置にストライプ形状の配線溝15aと、半導体電極配線26に接続するためのコンタクトホール24aを形成した状態の平面図、(c)はデュアルダマシン法によって下層電極配線15と埋め込み導体24を半導体層間絶縁層14中に埋め込み形成した状態の断面図、(d)はさらに下層電極配線15上に非オーミック性素子を構成する下部電極18と半導体層19を形成した状態の断面図である。
【0047】
図5は、非オーミック性素子を構成する下部電極18と半導体層19とを含む半導体層間絶縁層14上に層間絶縁層16を形成し、さらにその層間絶縁層16の所定の位置にコンタクトホール29を形成するまでの工程を示す図で、(a)は非オーミック性素子を構成する下部電極18と半導体層19とを含む半導体層間絶縁層14上に層間絶縁層16を形成した状態の断面図、(b)は層間絶縁層16の所定の位置にコンタクトホール29を形成した状態の平面図、(c)は(b)に示す5A−5A線での断面を矢印方向に見た断面図である。なお、図4から図8に示す断面図はすべて5A−5A線断面で示している。
【0048】
図6は、コンタクトホール29中に、埋め込み電極20を埋め込み形成し、さらに抵抗変化層22となる抵抗薄膜層22aを形成するまでの工程を示す図で、(a)はコンタクトホール29を含む層間絶縁膜16上に埋め込み電極20となる電極薄膜層20aを形成した状態の断面図、(b)はCMPによって層間絶縁膜16上の電極薄膜層20aを除去した状態の断面図、(c)はさらにオーバポリッシュしてコンタクトホール29中の埋め込み電極20の表面側を一部除去した状態の断面図、(d)は抵抗変化層22となる抵抗薄膜層22aを形成した状態の断面図である。
【0049】
図7は、コンタクトホール29中に、埋め込み電極20と抵抗変化層22とを埋め込み形成した状態の図で、(a)は平面図、(b)は(a)に示す5A−5A線での断面を矢印方向に見た断面図である。
【0050】
さらに、図8は、層間絶縁層16上に上層電極配線23を形成した状態の図で、(a)は平面図、(b)は(a)に示す5A−5A線での断面を矢印方向に見た断面図である。
【0051】
まず、図4(a)に示すように、複数の能動素子12、埋め込み導体25、半導体電極配線26および半導体層間絶縁層13が形成されている基板11上に、半導体層間絶縁層14を形成する。埋め込み導体25および半導体電極配線26については、従来はAlが主に用いられていたが、最近では微細化しても低抵抗を実現できるCuが主に用いられている。また、半導体層間絶縁層13、14についても、配線間の寄生容量の低減のためにフッ素含有酸化物(例えば、SiOF)やカーボン含有窒化物(例えば、SiCN)あるいは有機樹脂材料(例えば、ポリイミド)が用いられている。本実施の形態の場合にも、半導体電極配線26としては、例えばCuを用い、半導体層間絶縁層13、14としては、例えばフッ素含有酸化物であるSiOFを用いることができる。
【0052】
次に、図4(c)に示すように、下層電極配線15は半導体層間絶縁層14中に埋め込み形成されているが、これは以下のようにすれば形成できる。図4(b)に示すように、半導体層間絶縁層14に下層電極配線15を埋め込むためのストライプ形状の配線溝15aと半導体電極配線26に接続するためのコンタクトホール24aを形成する。これらについては、一般的な半導体プロセスで用いられている技術を用いれば容易に形成することができる。このような配線溝15aとコンタクトホール24aを形成後、下層電極配線15および埋め込み導体24となる導体膜を形成した後、例えばCMPを行うことで、図4(c)に示すような形状の下層電極配線15を埋め込み形成することができる。なお、下層電極配線15としては、上記したTi−Al−N合金材料以外に、例えばCu、Al、Ti−Al合金またはこれらの積層構成を用いてもよい。
【0053】
次に、図4(d)に示すように、下層電極配線15に接続するように非オーミック性素子17の一部になる下部電極18と半導体層19とを積層形成する。この場合に、この下部電極18と半導体層19は下層電極配線15上に、下層電極配線15と同様のストライプ形状に形成する。本実施の形態では、下部電極18としてTaNまたはW、半導体層19して窒素欠損型シリコン窒化物(SiN)を用いた。なお、このような半導体特性を有するSiN膜は、例えばSiターゲットを用いた窒素ガス雰囲気中でのリアクティブスパッタリングにより形成することができる。例えば、室温条件で、チャンバーの圧力を0.1Pa〜1Paとし、Ar/N流量を18sccm/2sccmとして作製すればよい。
【0054】
半導体特性を有するSiNを上記の条件で、かつ16nmの厚みで作製した場合には、1.6Vの電圧印加で2.5×10A/cmの電流密度が得られ、0.8Vの電圧印加では5×10A/cmの電流密度が得られた。したがって、これらの電圧を基準として用いる場合には、オン/オフ比は5となり、不揮発性半導体記憶装置の非オーミック性素子として充分使用可能であることが確認できた。
【0055】
次に、図5(a)に示すように、この下層電極配線15と下層電極配線15上に形成した非オーミック性素子17を構成する下部電極18と半導体層19とを含む基板11上に、例えばCVD法を用いてTEOS−SiOからなる層間絶縁層16を形成する。なお、この層間絶縁層16としては、先述したように種々の材料を用いることができる。
【0056】
さらに、その後、図5(b)、(c)に示すように、半導体層19上の層間絶縁層16に一定の配列ピッチでコンタクトホール29を形成する。このコンタクトホール29は、図5(b)からわかるように、下層電極配線15とその上に形成された半導体層19の幅より小さな外形としている。なお、図では四角形状としているが、円形状でも楕円形状でも、あるいはさらに他の形状であってもよい。このようなコンタクトホール29は、一般的な半導体プロセスにより形成することができるので、詳細な説明は省略する。
【0057】
次に、図6(a)に示すように、コンタクトホール29を含む層間絶縁層16上に、埋め込み電極20となる電極薄膜層20aを形成する。この電極薄膜層20aは、本実施の形態では非オーミック性素子17の一部で、かつ記憶部21の一部ともなるもので、TaN、Wまたは白金(Pt)を用いた。
【0058】
次に、図6(b)に示すように、CMPプロセスを用いて層間絶縁層16上の電極薄膜層20aを除去してコンタクトホール29中に埋め込み電極20を埋め込み形成する。
【0059】
その後、図6(c)に示すように、さらにオーバポリッシュを行うことで、コンタクトホール29中の埋め込み電極20の表層側の一部を除去する。なお、このように電極薄膜層20aを除去する方法としては、CMPだけでなくエッチバックする方法でもよい。
【0060】
次に、図6(d)に示すように、コンタクトホール29を含めて層間絶縁層16上に、抵抗変化層となる抵抗薄膜層22aを形成する。本実施の形態では、抵抗変化層としてはTaOをスパッタリング法により形成した。なお、成膜方法としては、スパッタリングだけでなく、CVD法やALD法等を用いてもよい。
【0061】
次に、図7に示すように、CMPプロセスを用いて層間絶縁層16上の抵抗薄膜層22aを除去して、コンタクトホール29中に抵抗変化層22を埋め込み形成する。
【0062】
次に、図8に示すように、抵抗変化層22に接続するように上層電極配線23を積層形成する。この場合に、この上層電極配線23は層間絶縁層16上に、少なくともコンタクトホール29より大きな形状で、かつ下層電極配線15と交差するストライプ形状に形成する。本実施の形態では、上層電極配線23としてCu、Ptまたはイリジウム(Ir)を用いた。
【0063】
そして、この上層電極配線23を形成するときに、埋め込み導体28も同時に形成し、この埋め込み導体28を介して半導体電極配線(図示せず)に接続し、図示しない位置に設けられている能動素子に電気的に接続する。
【0064】
次に、このようにして形成された非オーミック性素子17であるMSMダイオードを流れる電流(I)は(式1)により得られる。
【0065】
I=S・α・V・exp(β・√V) (式1)
ここで、α=(n・μ・q・d)exp(−E/kT)
β=(1/kT)・√(q/(x・ε・εopt・d))
なお、S:MSMダイオードの面積、n:キャリア密度、μ:移動度、q:電子の電荷、d:半導体層の厚み、E:トラップ深さ、k:ボルツマン定数、T:絶対温度、ε:真空の誘電率、εopt:半導体層の光学的な比誘電率
(式1)からわかるように、MSMダイオードを流れる電流は、MSMダイオードの面積に比例し、半導体層19の厚みに反比例する。したがって、低電圧で大きな電流容量を得るためには、半導体層19を薄く形成することが要求される。しかしながら、従来の構成のようにコンタクトホール中に非オーミック性素子と抵抗変化層とをすべて埋め込み形成する方式では、半導体層19を薄く形成すると、半導体層自体の耐圧が低くなるだけでなく、半導体層の外周領域で上下の電極同士が接触してリークしやすくなる。
【0066】
これに対して、本実施の形態の場合には、図4(c)に示すように、下層電極配線15は半導体層間絶縁層14中にダマシンプロセスによって埋め込み形成されており、下層電極配線15表面は非常に平滑に加工されている。このような平滑な下層電極配線15上に下部電極18と半導体層19を積層形成した場合には、半導体層19の膜厚を薄くしても緻密で連続した膜を得ることができる。さらに、半導体層19はコンタクトホール29中の埋め込み電極20よりも大きな形状を有しているため、下層電極配線15と埋め込み電極20とが接触してリークする現象も生じない。さらに、半導体層19は、埋め込み電極20より外側にも配されているので、非オーミック性素子に流れる電流パスは、埋め込み電極の面積より外側に広がって形成される。したがって、従来に比べて大きな電流容量で、かつ特性ばらつきの小さいMSMダイオード構成からなる非オーミック性素子17を得ることができる。
【0067】
この後、上層電極配線23を覆う絶縁保護層27を形成することで、図1に示すような不揮発性半導体記憶装置10を製造することができる。
【0068】
(第2の実施の形態)
図9は、本発明の第2の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置30の構成を説明する図で、(a)は断面図、(b)は非オーミック性素子17と記憶部21の構成を示すための要部の部分の拡大断面図である。
【0069】
本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置30は、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10と基本構成は同じであるが、下層電極配線15を含む基板11上の層間絶縁層31が複数層の積層構成からなること、また上層電極配線が層間絶縁層32中に埋め込み形成されていることが特徴である。
【0070】
次に、図10から図13を用いて、本実施の形態の製造方法について説明する。なお、図10から図13においては、図面の簡単化のために半導体層間絶縁層14から上部の構成のみを示している。
【0071】
図10は、半導体層間絶縁層14中にダマシン法により埋め込み形成された下層電極配線15上に非オーミック性素子17を構成する下部電極18と半導体層19とを積層形成し、さらにその上に3層構成からなる層間絶縁層31を形成し、その層間絶縁層31にコンタクトホール29を形成するまでの工程を示す図で、(a)は層間絶縁層14中に埋め込み形成された下層電極配線15上に非オーミック性素子17を構成する下部電極18および半導体層19を形成した状態の断面図で、(b)は3層構成からなる層間絶縁膜31を形成した状態の断面図、(c)はエッチングプロセスを用いて、3層構成からなる層間絶縁層31の下層層間絶縁膜31aと中層層間絶縁膜31bの境界面までコンタクトホール29を形成した状態の断面図、(d)はさらにオーバエッチングにより、3層構成からなる層間絶縁層31に半導体層19が露出するまでコンタクトホール29を形成した状態の断面図である。
【0072】
図11は、埋め込み電極20を埋め込み形成する工程を示す図で、(a)はコンタクトホール29を含む層間絶縁膜31上に埋め込み電極20となる電極薄膜層20aを形成した状態の断面図、(b)はCMPにより層間絶縁層31上の電極薄膜層20aを除去した状態の断面図、(c)はコンタクトホール29中の埋め込み電極20をさらにオーバポリッシュして表層側に凹部を形成した状態の断面図である。
【0073】
図12は、コンタクトホール29中の埋め込み電極20上に、さらに抵抗変化層22を埋め込み形成し、抵抗変化層22を含む層間絶縁層31上に層間絶縁層32を形成するまでの工程を示す図で(a)は抵抗変化層22となる抵抗薄膜層22aを形成した状態の断面図で、(b)はCMPにより層間絶縁層31上の抵抗薄膜層22aを除去した状態の断面図で、(c)はさらに層間絶縁層32を形成した状態の断面図である。
【0074】
さらに、図13は、層間絶縁層32にストライプ形状の配線溝33を形成し、配線溝33中に上層電極配線23を埋め込み形成する工程を示す図で、(a)は層間絶縁層32に配線溝33を形成した状態の断面図、(b)は上層電極配線23となる電極薄膜層23aを配線溝33を含む層間絶縁層32上に形成した状態の断面図、(c)はCMPにより層間絶縁層32上の電極薄膜層23aを除去して配線溝33中に上層電極配線23を埋め込み形成した状態の断面図である。
【0075】
まず、図10(a)に示すように、半導体層間絶縁層14中に埋め込み形成された下層電極配線15上に、下層電極配線15と同様のストライプ形状に形成された非オーミック性素子を構成する下部電極18と半導体層19を積層形成し、さらに、図10(b)に示すように、CVD法等を用いてSiCNやSiON、SiOCあるいはSiOF等からなる下層層間絶縁層31aと、下層層間絶縁層31aとは異なる膜種の絶縁膜、例えばTEOS−SiO等からなる中層層間絶縁層31bと、このTEOS−SiOよりも硬質の、例えばSiONからなる上層層間絶縁層31cを積層形成する。この下層層間絶縁層31aと中層層間絶縁層31bと上層層間絶縁層31cとにより層間絶縁層31を構成している。また、下層層間絶縁層31aの膜厚は、中層層間絶縁層31bのそれと比べて十分に薄い方がよい。上層層間絶縁層31cは、CMPプロセスにおけるストッパとして作用し、この上層層間絶縁層31cを形成することで、CMPプロセスを容易に、かつ確実に行うことができる。
【0076】
次に、図10(c)に示すように、層間絶縁層31に一定の配列ピッチで半導体層19に接続するためのコンタクトホール29を形成する。このコンタクトホール29は、下層電極配線15の幅より小さな外形としており、図4から図8で説明した形状と同じである。この加工は一般的な半導体プロセス、例えばドライエッチングにより行うことができる。このコンタクトホール29を形成する工程において、層間絶縁層31の下層側が下層層間絶縁層31aと中層層間絶縁層31bとの積層構成からなることで、下層層間絶縁層31aがエッチングにおけるストッパとして作用するため、コンタクトホール形成による半導体層19の掘れ込み量を低減することが可能になる。これにより、コンタクトホール29底部で半導体層19の膜厚が薄くならずに半導体層の耐性低下および半導体層の上下電極の接触によるショートを防止でき、素子特性ばらつきの小さいMSMダイオード構成からなる非オーミック性素子17を得ることができる。
【0077】
本実施の形態では、下層層間絶縁層31aとしてSiONまたは窒化シリコン(SiN)、中層層間絶縁層31bとしてTEOS−SiOを用いた。コンタクトホールをドライエッチングにより形成する場合、例えば、チャンバー圧力2.1Paとして、エッチングガスとしてC、OおよびArを17sccm/23sccm/500sccmの流量で用いると、SiONのエッチングレートは、TEOS−SiOのそれと比べて1/5と小さく、またSiNのエッチングレートは、TEOS−SiOのそれと比べて1/20とさらに小さい。したがって、主たる層間絶縁層がTEOS−SiOの場合にはSiONまたはSiNがエッチングプロセスにおけるストッパとして作用することを確認できた。
【0078】
さらに、図10(d)に示すように、オーバエッチングにより半導体層19が露出するところまでコンタクトホールを形成する。なお、下層層間絶縁層31aをエッチングプロセスで除去する場合には、下層層間絶縁層31aとしてSiONを用いた場合には、上記のエッチングガスを用いて流量のみを10sccm/30sccm/500sccmとすることでSiONのエッチングレートは上記の条件に比べて4倍増加する。また、SiNを用いた場合には、エッチングガスとしてCFのみを用いた方がSiNのエッチングレートは増加する。
【0079】
次に、図11(a)に示すように、コンタクトホール29を含む層間絶縁層31上に、埋め込み電極20となる電極薄膜層20aを形成する。この電極薄膜層20aは、本実施の形態では非オーミック性素子17の一部で、かつ記憶部21の一部ともなるもので、TaNまたはWを用いた。
【0080】
次に、図11(b)に示すように、CMPプロセスを用いて層間絶縁層31上の電極薄膜層20aを除去してコンタクトホール29中に埋め込み電極20を埋め込み形成する。この場合に、層間絶縁層31には、上層層間絶縁層31cが設けられているので、この上層層間絶縁層31cがストッパとして有効に作用し、層間絶縁層31はほとんど研磨されずに電極薄膜層20aのみを確実に除去することができる。
【0081】
その後、図11(c)に示すように、さらにオーバポリッシュを行うことで、コンタクトホール29中の埋め込み電極20の一部を除去する。このオーバポリッシュ時においても、上層層間絶縁層31cを設けていることで層間絶縁層31はほとんど研磨されることがない。なお、このように埋め込み電極20の一部を除去する方法としては、オーバポリッシュだけでなくエッチバックする方法でもよい。
【0082】
次に、図12(a)に示すように、コンタクトホール29を含めて層間絶縁層31上に、抵抗変化層22となる抵抗薄膜層22aを形成する。本実施の形態においても、抵抗薄膜層22aとしてTaOをスパッタリングにより形成した。なお、成膜方法としては、スパッタリングだけでなく、CVD法やALD法等を用いてもよい。
【0083】
次に、図12(b)に示すように、CMPプロセスを用いて層間絶縁層31上の抵抗薄膜層22aを除去して、コンタクトホール29中に抵抗変化層22を埋め込み形成する。この場合にも、層間絶縁層31には、上層層間絶縁層31cが設けられているので、この上層層間絶縁層31cがストッパとして有効に作用し、層間絶縁層31はほとんど研磨されずに抵抗薄膜層22aのみを確実に除去することができる。
【0084】
次に、図12(c)に示すように、抵抗変化層22を含めた層間絶縁層31上に、さらに層間絶縁層32を形成する。この層間絶縁層32は、上層電極配線23を埋め込むために必要な厚みに形成し、その材料としてはTEOS−SiOを用いてもよいし、その他半導体装置において一般的に用いられている層間絶縁材料を用いてもよい。さらに、層間絶縁層31と同じように、硬質の絶縁層を上層に形成する2層以上からなる多層構成としてもよい。
【0085】
次に、図13(a)に示すように、抵抗変化層22が露出し、かつ下層電極配線15に交差するストライプ形状の配線溝33を形成する。この加工は一般的な半導体プロセス、例えばドライエッチングにより行うことができる。
【0086】
次に、図13(b)に示すように、配線溝33を含む層間絶縁層32上に、上層電極配線23となる電極薄膜層23aを形成する。本実施の形態においても、これらの材料としては、CuやPt、Ir等を用いた。
【0087】
次に、図13(c)に示すように、CMPプロセスまたはエッチバックにより層間絶縁層32上の電極薄膜層23aを除去して配線溝33中に上層電極配線23を埋め込む。このような工程により、下部電極18、半導体層19および埋め込み電極20により非オーミック性素子17が構成され、埋め込み電極20と抵抗変化層22、この抵抗変化層22と接続する領域の上層電極配線23とにより記憶部21が構成される。さらに、その後、上層電極配線23を保護するための絶縁保護層(図示せず)を形成する。これにより、本実施の形態の製造方法による不揮発性半導体記憶装置を作製することができる。
【0088】
上記のような製造方法により作製した不揮発性半導体記憶装置は、上層電極配線23が層間絶縁層32中に埋め込まれるので、非オーミック性素子17と記憶部21とをさらに積層する場合に、その積層工程を容易に行うことができる。
【0089】
なお、本実施の形態では、上層電極配線23が層間絶縁層32中に埋め込み形成されているが、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10の製造方法を用いて、層間絶縁層31上に上層電極配線23を形成してもよい。また、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10においても、上層電極配線23を層間絶縁層中に埋め込み形成してもよい。
【0090】
(第3の実施の形態)
図14は、本発明の第3の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置40の構成を説明するための断面図である。この不揮発性半導体記憶装置40は、図1に示す第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10を基本構成としており、上層電極配線の下に、下層電極配線、層間絶縁層、この層間絶縁層のコンタクトホール中に埋め込まれた非オーミック性素子および抵抗変化層を1つの構成単位として、この構成単位をこの基本構成の上にさらに2層積層した構成からなる。このように積層することにより、さらに大容量の不揮発性半導体記憶装置を実現することができる。
【0091】
以下、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置40の構成を簡単に説明する。本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置40では、上層電極配線23がマトリクス領域外にも延在して形成されており、これについては第2段目および第3段目に付いても同じである。また、この不揮発性半導体記憶装置40では、非オーミック性素子と記憶部とがそれぞれ3段ずつ積層されているので、第1段目、第2段目および第3段目のそれぞれの構成要件を理解しやすくするために、第1段目については第1、第2段目については第2、第3段目については第3を付して区別して表記する。
【0092】
第1上層電極配線23上に、第1上層電極配線23と同様のストライプ形状に第2下部電極42と第2半導体層43を形成し、さらに第2層間絶縁層48が形成されている。この第2層間絶縁層48には、第1記憶部21に対応する位置にそれぞれコンタクトホールが設けられ、このコンタクトホール中に第2埋め込み電極44と第2抵抗変化層46とが埋め込み形成されている。そして、この第2抵抗変化層46に接続し、第1上層電極配線23に交差するストライプ形状に第2上層電極配線47が形成されている。さらに、これを埋め込むように第3層間絶縁層51が形成されている。
【0093】
第2上層電極配線47上に、第2上層電極配線47と同様のストライプ形状に第3下部電極53と第3半導体層54を形成し、さらに第4層間絶縁層59が形成されている。この第4層間絶縁層59には、第1記憶部21および第2記憶部45に対応する位置にコンタクトホールが設けられ、このコンタクトホール中に第3埋め込み電極55と第3抵抗変化層57とが埋め込み形成されている。そして、この第3抵抗変化層57に接続し、第2上層電極配線47に交差するストライプ形状に第3上層電極配線58が形成されている。さらに、これらを埋め込み保護するために絶縁保護層60が形成されている。
【0094】
なお、第2下部電極42、第2半導体層43および第2埋め込み電極44で第2非オーミック性素子41を構成している。また、第2埋め込み電極44と第2抵抗変化層46、この第2抵抗変化層46に接続する領域の第2上層電極配線47で第2記憶部45を構成している。さらに、第3下部電極53、第3半導体層54および第3埋め込み電極55で第3非オーミック性素子52を構成している。また、第3埋め込み電極55と第3抵抗変化層57、この第3抵抗変化層57に接続する領域の第3上層電極配線58で第3記憶部56を構成している。
【0095】
また、下層電極配線15は、埋め込み導体24、25と半導体電極配線26を介して能動素子12のソース領域12aに接続している。また、第1上層電極配線23についても同様に、埋め込み導体(図示せず)と半導体電極配線(図示せず)とを介して別の能動素子(図示せず)に接続されている。さらに、第2上層電極配線47は、図14に示すように埋め込み導体24、25、49、50と半導体電極配線26とを介して別の能動素子12のソース領域12aに接続されている。また、第3上層電極配線58についても、第1上層電極配線23と同様に埋め込み導体(図示せず)と半導体電極配線(図示せず)とを介して別の能動素子(図示せず)に接続されている。
【0096】
第1段目の下層電極配線15と第1上層電極配線23とは、それぞれビット線とワード線のいずれかとなり、図3に示す回路のビット線デコーダとワード線デコーダにそれぞれ接続される。また、第1上層電極配線23と第2上層電極配線47とは、同様にそれぞれビット線とワード線のいずれかとなり、図3に示す回路のビット線デコーダとワード線デコーダにそれぞれ接続される。ただし、第1段目において、第1上層電極配線23がビット線を構成している場合には、第2段目においてもビット線を構成し、第2上層電極配線47はワード線を構成するように設計されている。さらに、第2上層電極配線47がワード線を構成する場合には、第3上層電極配線58はビット線を構成するように設計されている。
【0097】
以上のように、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置40の場合には、それぞれの段に設けた記憶部21、45、56に対して個別にそれぞれ非オーミック性素子17、41、52が設けられているので、それぞれの段に設けられている記憶部21、45、56の書き込みと読み出しを安定に、かつ確実に行うことができる。
【0098】
このような多段構成の記憶部と非オーミック性素子を有する不揮発性半導体記憶装置40の製造工程は、基本的には第1の形態の不揮発性半導体記憶装置10において説明した2種類の製造工程を繰り返せばよい。また、第2の形態の不揮発性半導体記憶装置30において説明した製造工程を繰り返してもよい。
【0099】
(第4の実施の形態)
図15は、本発明の第4の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置70の要部である非オーミック性素子72と記憶部81の構成を示す断面図である。本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置70は、埋め込み電極75と抵抗変化層82との間に、抵抗変化層82中に拡散し難く、しかも抵抗変化層82を酸化、還元しないような導体材料を接続電極77として埋め込み形成されている。
【0100】
また、上部電極78が少なくとも2層構成からなり、抵抗変化層82に接続する面側にも、接続電極79を設けている。これらの接続電極77、79は、例えばPt、Ir、TaNあるいは窒化チタン(TiN)等の導体材料を用いることができる。そして、この接続電極79上に、接続電極79に接続し、半導体プロセスにおいて一般的に用いられている、例えばAlまたはCuからなる導体材料を用いて、下層電極配線71に交差するストライプ形状に上層電極配線80が形成されている。また、接続電極79をマトリクス領域外まで延在させて、接続電極79を上層電極配線の一部として機能するようにしてもよい。その他の構成については、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10と同じであるので説明を省略する。
【0101】
このような構成とすることにより、抵抗変化層とは独立して上層電極配線を設けることができるので、接続電極と上部電極とでそれぞれ最適な材料を選択することができる。また、例えばトランジスタ等の能動素子を含む半導体回路が形成されたシリコン単結晶基板を用いる場合には、上層電極配線と上記能動素子との電気的な接続も容易に行うことができる。
【0102】
このような構成において、下部電極73と絶縁体層74および金属電極体層である埋め込み電極75とでMIMダイオードからなる非オーミック性素子72を構成している。また、埋め込み形成された接続電極77、抵抗変化層82およびこの抵抗変化層82に接続する領域の接続電極79で記憶部81を構成している。
【0103】
本実施の形態の場合には、この非オーミック性素子72として、下部電極73と埋め込み電極75をAlで形成し、絶縁体層74として窒化シリコン(SiN)を用いた。SiNはスパッタリング法により形成することで、良好な絶縁性を有し、かつ緻密な薄膜を容易に形成でき、一般的な半導体プロセス技術を用いればストライプ形状に加工することも容易である。
【0104】
なお、本実施の形態では、絶縁体層74としてSiNを用いるMIMダイオードの場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、アルミナ(AlO)あるいはチタニア(TiO)を用いてもよい。AlOを用いる場合には、例えばAl膜を成膜した後、ドライ熱酸化法、ウエット熱酸化法、プラズマ酸化法あるいは反応性スパッタリング方式により直接AlO膜を形成する方法等、いずれの方法でもよい。
【0105】
なお、本実施の形態では、抵抗変化層82の両面に接続電極77、79を設けたが、これらは必ずしも必須ではない。第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10または第2の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置30と同様な構成としてもよい。さらに、図14に示すような積層構成の不揮発性半導体記憶装置40と同じような構成とすることも可能である。
【0106】
(第5の実施の形態)
図16は、本発明の第5の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置90の要部である非オーミック性素子92と記憶部96の構成を示す断面図である。本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置90は、非オーミック性素子92がn型半導体層93とp型半導体層94との積層構成からなるpn接合ダイオードにより構成されていることが特徴である。さらに、本実施の形態の場合には、非オーミック性素子92を構成するp型半導体層94が埋め込み電極97とともにコンタクトホールに埋め込まれている点に特徴を有している。なお、n型半導体層93を埋め込み電極97とともに埋め込み形成してもよい。
【0107】
また、記憶部96は、埋め込み電極97と抵抗変化層98、この抵抗変化層98に接続する領域の上層電極配線99により構成されており、下層電極配線91、層間絶縁層95および上層電極配線99については、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10と基本構成は同じであるが、抵抗変化層98を層間絶縁層95上で埋め込み電極97に接続し、コンタクトホールよりも大きな形状を有するように形成されていることが特徴である。さらに、抵抗変化層98を上層電極配線99と同様に下層電極配線91に交差するストライプ形状に形成してもよい。なお、本実施の形態では、層間絶縁層95上に抵抗変化層98を形成したが、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10や第2の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置30と同様に、コンタクトホール中に埋め込み形成してもよい。
【0108】
このようなpn接合ダイオードを構成するためのp型半導体材料としては、例えばZnO、CdO、SnO、TiO、CeO、Fe、WO、TaOから選択されたいずれかの材料を用い、n型半導体材料としては、例えばFe(1−y)O、NiO、CoO、CuO、MnOから選択されたいずれかの材料を用いることができる。さらに、p型にドープしたシリコンとn型にドープしたシリコンを用いることもできる。
【0109】
なお、本発明は、非オーミック性素子が第1、第2の実施の形態で説明したMSMダイオード、第4の実施の形態で説明したMIMダイオードあるいは第5の実施の形態で説明したpn接合型ダイオードだけでなく、例えば半導体層と埋め込み電極でショットキー接続を構成するショットキーダイオードであってもよい。この場合の不揮発性半導体記憶装置の構成としては、図1に示す不揮発性半導体記憶装置10、図4に示す不揮発性半導体記憶装置30、図15に示す不揮発性半導体記憶装置70、あるいは図16に示す不揮発性半導体記憶装置90と同じような構成とすればよい。すなわち、非オーミック性素子が、半導体層と金属電極体層との2層の積層構成からなるショットキーダイオードであり、半導体層がコンタクトホールよりも大きな形状を有し、金属電極体層である埋め込み電極がコンタクトホール中に埋め込み形成されている。さらに、図14に示すような積層構成の不揮発性半導体記憶装置40と同じような構成とすることも可能である。
【0110】
非オーミック性素子をショットキーダイオードとした場合には、以下のような効果を得ることができる。第1に、ショットキーダイオードはpn接合ダイオードと異なり、多数キャリア素子であるから、少数キャリアの蓄積ということがなく、高速アクセスが可能になる。第2に、pn接合を形成する必要がないので、ダイオード構成が簡単になり、かつその製造工程も簡略化できる。第3に、pn接合は温度による特性変化が問題となるが、ショットキー接合は温度に対して安定であるので、製造工程時の加熱条件等についての制約を広げることができる。
【0111】
さらに、例えばpn接合ダイオードを用いる場合には、ダイオードの順方向閾値は高い(約0.5V)が、例えばチタンシリサイドとn型シリコンとの界面を有するショットキーダイオードにおいては、順方向の閾値電圧は0.2Vとなるので、読み出しや書き込み時のディスターブを抑制することが可能となる。
【0112】
(第6の実施の形態)
図17は、本発明の第6の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置100の要部である非オーミック性素子102と記憶部107の構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の17A−17A線の断面を矢印方向に見た断面図である。本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置100は、第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置10と基本構成は同じであるが、非オーミック性素子102を構成する下部電極103と半導体層104が、それぞれの記憶部107ごとに分離して形成されていることが特徴である。また、上層電極配線109は、層間絶縁層106上で、抵抗変化層108に接続し、かつ下層電極配線101に交差するストライプ形状に形成されている。
【0113】
このような構成とすることにより、上層電極配線109をマトリクス領域外に設けたコンタクトホール中の埋め込み導体(図示せず)を介して能動素子(図示せず)に接続する工程を簡略化できる。
【0114】
なお、非オーミック性素子102は、金属電極体層である下部電極103と半導体層104および埋め込み電極105により構成されたMSMダイオードからなる。そして、記憶部107は、埋め込み電極105と抵抗変化層108、この抵抗変化層108に接続する領域の上層電極配線109により構成されている。このように非オーミック性素子102をMSMダイオードとした場合には、ダイオード面積を大きく、かつ半導体層104を薄く形成することができる。したがって、電流容量を大きくすることができるだけでなく、特性ばらつきを低減することも可能となる。
【0115】
さらに、非オーミック性素子102としてはMSMダイオードに限定されず、半導体層104の代わりに絶縁体層を用いたMIMダイオード、pn接合型ダイオードあるいはショットキー接合ダイオードのいずれの構成とすることも可能である。
【0116】
なお、本実施の形態では、非オーミック性素子102を構成する下部電極103と半導体層104の両方を記憶部107ごとに分離して形成しているが、半導体層104のみを分離して形成し、下部電極103は下層電極配線101と同様のストライプ形状に形成してもよい。さらに、本実施の形態では、非オーミック性素子102を記憶部107ごとに分離して設けたが、複数個ずつまとめて分離してもよい。
【0117】
また、第6の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置においても、第3の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置40のように積層構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の不揮発性半導体記憶装置は、製造方法を簡略化しながら、かつ非オーミック性素子の特性ばらつきや耐圧の安定化に加えて電流容量を大きくすることができるので、不揮発性記憶装置を用いる種々の電子機器分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】(a)は本発明の第1の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置の構成を説明する平面図、(b)は(a)の1A−1A線の断面を矢印方向に見た断面図
【図2】(a)は第1の実施の形態における不揮発性半導体記憶装置の非オーミック性素子と記憶部の構成を示すための要部の部分拡大図の平面図、(b)は(a)の2A−2A線の断面を矢印方向に見た断面図
【図3】第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の概略の回路構成を説明するブロック図
【図4】第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、能動素子が形成された基板上に層間絶縁層までを形成し、さらに下層電極配線、非オーミック性素子を構成する下部電極と半導体層とを形成するまでの工程を示す図で、(a)は能動素子が形成された基板上に層間絶縁層を形成した状態の断面図、(b)は層間絶縁層に下層電極配線を埋め込み形成するための配線溝とコンタクトホールを形成した状態の断面図、(c)はデュアルダマシン法により、層間絶縁層に下層電極配線を埋め込み形成した状態の断面図、(d)は下層電極配線を含む層間絶縁層上に非オーミック性素子を構成する下部電極と半導体層とを積層形成した状態の断面図
【図5】第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、非オーミック性素子を構成する下部電極と半導体層とを含む層間絶縁膜上にさらに層間絶縁膜を形成し、それにコンタクトホールを形成する工程を示す図で、(a)は層間絶縁膜を形成した状態の断面図、(b)はコンタクトホールを形成した状態の平面図、(c)は(b)に示す5A−5A線の断面を矢印方向に見た断面図
【図6】第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、埋め込み電極と抵抗変化層とをコンタクトホールに埋め込む工程を示す図で、(a)は埋め込み電極となる電極薄膜層を形成した状態の断面図、(b)はCMPにより層間絶縁層上の電極薄膜層を除去した状態の断面図、(c)はさらにオーバポリッシュしてコンタクトホール中の埋め込み電極を一部除去した状態の断面図、(d)は抵抗変化層となる抵抗薄膜層を形成した状態の断面図
【図7】第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、コンタクトホール中に埋め込み電極と抵抗変化層とを埋め込み形成した状態の図で、(a)は平面図、(b)は(a)に示す5A−5A線の断面を矢印方向に見た断面図
【図8】第1の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、上部電極配線を形成した状態の図で、(a)は平面図、(b)は(a)に示す5A−5A線の断面を矢印方向に見た断面図
【図9】(a)は本発明の第2の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置の構成を説明する断面図、(b)は第2の実施の形態における不揮発性半導体記憶装置の非オーミック性素子と記憶部の構成を示すための要部の部分拡大図の断面図
【図10】第2の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、層間絶縁層に埋め込み形成された下層電極配線上に非オーミック性素子を構成する下部電極と半導体層とを積層形成し、さらに3層構成からなる層間絶縁膜を形成し、それにコンタクトホールを形成するまでの工程を示す図で、(a)は層間絶縁層に埋め込み形成された下層電極配線上に非オーミック性素子を構成する下部電極と半導体層とを積層形成した状態の断面図、(b)は3層構成からなる層間絶縁膜を形成した状態の断面図、(c)は中層層間絶縁層と下層層間絶縁層との境界面までコンタクトホールを形成した状態の断面図、(d)はさらにオーバエッチングにより半導体層までコンタクトホールを形成した状態の断面図
【図11】第2の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、層間絶縁層に設けたコンタクトホールに埋め込み電極を埋め込み形成する工程を示す図で、(a)は埋め込み電極となる電極薄膜層を形成した状態の断面図、(b)はCMPにより層間絶縁層上の電極薄膜層を除去した状態の断面図、(c)埋め込み電極をさらにオーバポリッシュしてコンタクトホール中の埋め込み電極を一部除去した状態の断面図
【図12】第2の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、コンタクトホール中に抵抗変化層を埋め込み形成し、上部電極配線を埋め込み形成するための層間絶縁層を形成するまでの工程を示す図で、(a)は抵抗変化層となる抵抗薄膜層をコンタクトホールを含む層間絶縁層上に形成した状態の断面図、(b)はCMPにより層間絶縁層上の抵抗薄膜層を除去した状態の断面図、(c)はさらに層間絶縁層を形成した状態の断面図
【図13】第2の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の製造方法であって、層間絶縁層に配線溝を形成して、配線溝中に上部電極配線を埋め込み形成する工程を示す図で、(a)は層間絶縁層に配線溝を形成した状態の断面図、(b)は上部電極配線となる電極薄膜層を配線溝を含む層間絶縁層上に形成した状態の断面図、(c)はCMPにより層間絶縁層上の電極薄膜層を除去して配線溝中に埋め込んだ状態の断面図
【図14】本発明の第3の実施の形態の不揮発性半導体記憶装置の構成を説明するための断面図
【図15】本発明の第4の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置の要部である非オーミック性素子と記憶部の構成を示す断面図
【図16】本発明の第5の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置の要部である非オーミック性素子と記憶部の構成を示す断面図
【図17】本発明の第6の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置の要部である非オーミック性素子と記憶部の構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)の17A−17A線での断面を矢印方向に見た断面図
【符号の説明】
【0120】
5 ワード線デコーダ
6 ビット線デコーダ
7 読み出し回路
10,30,40,70,90,100 不揮発性半導体記憶装置(ReRAM)
11 基板
12 能動素子
12a ソース領域
12b ドレイン領域
12c ゲート絶縁膜
12d ゲート電極
13,14 半導体層間絶縁層
15,71,91,101 下層電極配線
15a 配線溝
16,31,32,76,95,106 層間絶縁層
17 非オーミック性素子(第1非オーミック性素子)
18,73,103 下部電極(第1下部電極)
19,104 半導体層
20,75,97,105 埋め込み電極(金属電極体層)
20a,23a 電極薄膜層
21 記憶部(第1記憶部)
22,82,98,108 抵抗変化層
22a 抵抗薄膜層
23,80,99,109 上層電極配線(第1上層電極配線)
27 絶縁保護層(第1層間絶縁層)
24,25,28,49,50 埋め込み導体
24a コンタクトホール
26 半導体電極配線
29 コンタクトホール
31a 下層層間絶縁層
31b 中層層間絶縁層
31c 上層層間絶縁層
33 配線溝
41 第2非オーミック性素子(非オーミック性素子)
42 第2下部電極
43 第2半導体層
44 第2埋め込み電極
45 第2記憶部(記憶部)
46 第2抵抗変化層
47 第2上層電極配線
48 第2層間絶縁層
51 第3層間絶縁層
52 第3非オーミック性素子(非オーミック性素子)
53 第3下部電極
54 第3半導体層
55 第3埋め込み電極
56 第3記憶部(記憶部)
57 第3抵抗変化層
58 第3上層電極配線
59 第4層間絶縁層
60 絶縁保護層
72,92,102 非オーミック性素子
74 絶縁体層
77,79 接続電極
78 上部電極
81,96,107 記憶部
93 n型半導体層
94 p型半導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたストライプ形状の下層電極配線と、
前記基板上に形成された層間絶縁層と、
前記層間絶縁層上に形成された上層電極配線と、
前記上層電極配線の下部の前記層間絶縁層に形成されたコンタクトホールと、
前記上層電極配線と接続し、かつ前記コンタクトホールの一部に埋め込まれた抵抗変化層と、
前記抵抗変化層と接続し、前記抵抗変化層の下に形成された非オーミック性素子とを備え、
前記非オーミック性素子は、複数層の半導体層の積層構成、金属電極体層と半導体層との積層構成または金属電極体層と絶縁体層との積層構成からなり、
前記非オーミック性素子の前記積層構成のうちの半導体層もしくは絶縁体層を含む少なくとも1層は前記コンタクトホールより大きな形状を有して前記コンタクトホール外に形成されており、かつ前記コンタクトホール中に前記積層構成のうちの前記少なくとも1層以外の層が埋め込み形成されていることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記層間絶縁層が複数層の積層構成からなることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記上層電極配線の下に、前記下層電極配線と、前記層間絶縁層と、前記非オーミック性素子および前記非オーミック性素子上に形成された前記抵抗変化層とを1つの構成単位として、前記構成単位をさらに1層以上積層したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成の半導体層もしくは絶縁体層を含む少なくとも1層が、前記下層電極配線上において、前記下層電極配線と同様のストライプ形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記上層電極配線が前記下層電極配線に対して交差するストライプ形状を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記非オーミック性素子が、半導体層と、前記半導体層を両側から挟む金属電極体層との3層の積層構成からなるMSMダイオードであり、前記抵抗変化層側の前記金属電極体層が前記コンタクトホール中に埋め込み形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
前記非オーミック性素子が、絶縁体層と、前記絶縁体層を両側から挟む金属電極体層との3層の積層構成からなるMIMダイオードであり、前記抵抗変化層側の前記金属電極体層が前記コンタクトホール中に埋め込み形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項8】
前記非オーミック性素子が、p型半導体層とn型半導体層との2層の積層構成からなるpn接合ダイオードであり、前記p型半導体層または前記n型半導体層が前記コンタクトホール中に埋め込み形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項9】
前記非オーミック性素子が、半導体層と金属電極体層との2層の積層構成からなるショットキーダイオードであり、前記金属電極体層が前記コンタクトホール中に埋め込み形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項10】
基板上にストライプ形状の下層電極配線を形成する工程(A)と、
前記下層電極配線上に前記非オーミック性素子の積層構成のうちの半導体層もしくは絶縁体層を含む少なくとも1層を形成する工程(B)と、
前記下層電極配線上に形成された前記非オーミック性素子の前記積層構成の半導体層もしくは絶縁体層を含む前記基板上に層間絶縁層を形成する工程(C)と、
前記下層電極配線上に形成された前記非オーミック性素子の前記積層構成のうちの半導体層もしくは絶縁体層上に位置する前記層間絶縁層の所定の位置にコンタクトホールを形成する工程(D)と、
前記コンタクトホール中に、前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成の前記少なくとも1層以外の層を埋め込み形成する工程(E)と、
前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成の前記少なくとも1層以外の層の上に前記抵抗変化層を形成する工程(F)と、
前記抵抗変化層上に、前記抵抗変化層に接続される上層電極配線を形成する工程(G)と
を含むことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項11】
前記工程(E)と工程(F)とが、
前記コンタクトホールを含む前記層間絶縁層上に前記非オーミック性素子となる前記非オーミック性素子を構成する積層構成のうちの前記少なくとも1層以外の層を形成する工程と、
前記層間絶縁層上の、前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成のうちの前記少なくとも1層以外の層を除去して、前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成のうちの前記少なくとも1層以外の層を前記コンタクトホールに埋め込み形成する工程と、
前記コンタクトホール中の、前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成のうちの前記少なくとも1層以外の層の一部をさらに除去して、前記コンタクトホールに凹部を形成する工程と、
前記コンタクトホールを含む前記層間絶縁層上に前記抵抗変化層を形成する工程と、
前記層間絶縁層上の前記抵抗変化層を除去して、前記抵抗変化層を前記コンタクトホールの前記凹部に埋め込み形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項10に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項12】
前記上層電極配線の下に、前記下層電極配線を形成する工程と、前記工程(B)から前記工程(F)までを、さらに繰り返して形成し、前記非オーミック性素子と前記抵抗変化層とを積層することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項13】
前記下層電極配線上に、前記非オーミック性素子を構成する前記積層構成のうちの半導体層もしくは絶縁体層を含む少なくとも1層を、前記下層電極配線と同様のストライプ形状に形成することを特徴とする請求項10から請求項12までのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項14】
前記層間絶縁層上に、前記抵抗変化層に接続する前記上層電極配線を前記下層電極配線に交差するストライプ形状に形成することを特徴とする請求項10から請求項12までのいずれか1項に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−151049(P2011−151049A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129381(P2008−129381)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】