説明

不揮発性半導体記憶装置

【課題】書き込み可能回数が多く、信頼性の高い不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】複数の第1の配線、複数の第1の配線に交差する複数の第2の配線、並びに複数の第1及び第2の配線の各交差部に配置された電気的書き換え可能な抵抗値をデータとして不揮発に記憶する可変抵抗素子を含む複数のメモリセル、を有するメモリセルアレイと、複数の第1の配線の少なくとも一端に接続され、第1の配線を選択する第1のデコーダと、複数の第2の配線の両端に接続されて第1のデコーダが選択した第1の配線と第2の配線の両端との距離に応じていずれか一方が第2の配線を選択する少なくとも一対の第2のデコーダと、第1のデコーダ及び第2のデコーダによって選択された第1の配線及び第2の配線間に所定の電圧を印加する電圧印加回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラッシュメモリの後継候補として、記憶素子に可変抵抗素子を用いる抵抗変化メモリ装置が注目されている。ここで、抵抗変化メモリ装置には、遷移金属酸化物を記録層としてその抵抗値状態を不揮発に記憶する狭義の抵抗変化メモリ(ReRAM:Resistive RAM)の他、カルコゲナイド等を記録層として用いてその結晶状態(導体)と非晶質状態(絶縁体)の抵抗値情報を利用する相変化メモリ(PCRAM:Phase Change RAM)等も含むものとする。
【0003】
抵抗変化メモリ装置のメモリセルには、2種類の動作モードがあることが知られている。1つは、印加電圧の極性を切り替えることにより、高抵抗状態と低抵抗状態とを設定するもので、これはバイポーラ型といわれる。もう1つは、印加電圧の極性を切り替えることなく、電圧値と電圧印加時間を制御することにより、高抵抗状態と低抵抗状態の設定を可能とするもので、これはユニポーラ型といわれる。
【0004】
抵抗変化メモリ装置によって高密度メモリセルアレイを実現するためには、ビット線及びワード線の交差部に可変抵抗素子とダイオード等の整流素子とを重ねることにより、セルアレイを構成する。さらに、このようなメモリセルアレイを三次元的に積層配列することにより、セルアレイ面積を増大させることなく、大容量を実現することが可能になる。
【0005】
可変抵抗素子によっては抵抗変化型メモリのメモリセルとして機能させるために、初期設定動作としてフォーミングを行う必要がある素子もある。このフォーミングは、データの書き込みよりも高い所定の電圧を可変抵抗素子に印加して可変抵抗素子に電流パスを形成し、所定の抵抗状態、例えば低抵抗状態に設定することにより行われる。このようなフォーミングがなされたメモリセルに対するデータの書き込みは、ユニポーラ型のReRAMの場合、可変抵抗素子に所定の電圧を印加することにより行う。これにより、可変抵抗素子が高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する。以下、この可変抵抗素子を高抵抗状態から低抵抗状態へ変化させる動作をセット動作という。一方、メモリセルに対するデータの消去は、セット動作後の低抵抗状態の可変抵抗素子に対し、セット動作とは異なる所定の電圧を印加することにより行う。これにより、可変抵抗素子が低抵抗状態から高抵抗状態へと変化する。以下、この可変抵抗素子を低抵抗状態から高抵抗状態へ変化させる動作をリセット動作という。メモリセルは、例えば高抵抗状態を安定状態(リセット状態)とし、2値データ記憶であれば、リセット状態を低抵抗状態に変化させるセット動作によりデータの書き込みを行う。一方、メモリセルの読み出し動作は、可変抵抗素子に所定の電圧を与え、可変抵抗素子を介して流れる電流を差動増幅器にてモニターすることにより行う。この読み出し動作により、可変抵抗素子が低抵抗状態にあるか高抵抗状態にあるかを判定する。
【0006】
このような半導体記憶装置においては、フォーミング動作、セット動作又はリセット動作によって、可変抵抗素子が確実にその状態を変化させることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−20863号
【特許文献2】特開2009−260060号
【特許文献3】特開2009−164480号
【特許文献4】特開2007−281208号
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0118590号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、フォーミング動作、セット動作又はリセット動作によって、可変抵抗素子が確実にその状態を変化させる信頼性の高い不揮発性半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、複数の第1の配線、複数の第1の配線に交差する複数の第2の配線、並びに複数の第1及び第2の配線の各交差部に配置された電気的書き換え可能な抵抗値をデータとして不揮発に記憶する可変抵抗素子を含む複数のメモリセル、を有するメモリセルアレイと、複数の第1の配線の少なくとも一端に接続され、第1の配線を選択する第1のデコーダと、複数の第2の配線の両端に接続されて第1のデコーダが選択した第1の配線と第2の配線の両端との距離に応じていずれか一方が第2の配線を選択する少なくとも一対の第2のデコーダと、第1のデコーダ及び第2のデコーダによって選択された第1の配線及び第2の配線間に所定の電圧を印加する電圧印加回路とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のブロック図である。
【図2】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイの構成を示す斜視図である。
【図3】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の斜視図である。
【図4】図3におけるI−I’線で切断して矢印方向に見たメモリセル1つ分の断面図である。
【図5】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の可変抵抗素子の一例を示す模式的な断面図である。
【図6】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のカラム/ロウ制御回路の配置例を示すブロック図である。
【図7】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のロウ制御回路の一部の構成例を示す回路図である。
【図8】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のロウ制御回路の一部の構成例を示す回路図である。
【図9】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のロウ制御回路の一部の構成例を示す回路図である。
【図10】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のロウ制御回路の一部の構成例を示す回路図である。
【図11】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の他のロウ制御回路の一部の構成例を示す回路図である。
【図12】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のカラム制御回路の一部の構成例を示す回路図である。
【図13】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のカラム制御回路の一部の構成例を示す回路図である。
【図14】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のカラム制御回路の一部の構成例を示す回路図である。
【図15】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のカラム制御回路の一部の構成例を示す回路図である。
【図16】比較例に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイの一部の回路図である。
【図17】メモリセルアレイのフォーミング及びリセット後の歩留まりを示す図である。
【図18】メモリセルアレイのリセット後の歩留まりを示す図である。
【図19】本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のフォーミング動作及びセット動作を説明する為の図である。
【図20】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のリセット動作を説明する為の図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のフォーミング動作及びセット動作を説明する為の図である。
【図22】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のリセット動作を説明する為の図である。
【図23】本発明の第3の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のフォーミング動作及びセット動作を説明する為の図である。
【図24】同実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のリセット動作を説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態において、半導体記憶装置はメモリセルに可変抵抗素子を用いた抵抗変化メモリ装置として説明する。しかし、この構成はあくまでも一例であって、本発明がこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0012】
[第1の実施の形態]
[全体構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のブロック図である。
【0013】
この不揮発性半導体記憶装置は、後述するPCRAM(相変化型素子)、ReRAM(可変抵抗素子)等の抵抗変化型素子を使用したメモリセルをマトリクス状に配置したメモリセルアレイ1を備える。メモリセルアレイ1のビット線BL方向に隣接する位置には、メモリセルアレイ1のビット線BLを制御し、メモリセルのデータ消去、メモリセルへのデータ書き込み、及びメモリセルからのデータ読み出しを行うカラム制御回路2が設けられている。また、メモリセルアレイ1のワード線WL方向の両側に隣接する位置には、メモリセルアレイ1のワード線WLを選択し、メモリセルのデータ消去、メモリセルへのデータ書き込み、及びメモリセルからのデータ読み出しに必要な電圧を印加するロウ制御回路3A,3Bが設けられている。これらカラム制御回路2及びロウ制御回路3A,3Bで、メモリセルアレイ1に対するデータの読み出し/書き込みを行うデータ読み出し/書き込み回路を構成する。
【0014】
データ入出力バッファ4は、外部の図示しないホスト装置と接続され、ホスト装置との間で書き込みデータの受け取り、消去命令の受け取り、読み出しデータの出力、アドレスデータやコマンドデータの受け取りを行う。データ入出力バッファ4は、受け取った書き込みデータをカラム制御回路2に送り、カラム制御回路2から読み出したデータを受け取って外部に出力する。外部のホスト装置からデータ入出力バッファ4に供給されたアドレスは、アドレスレジスタ5を介してカラム制御回路2及びロウ制御回路3A,3Bに送られる。また、外部のホスト装置からデータ入出力バッファ4に供給されたコマンドは、コマンド・インターフェイス6に送られる。コマンド・インターフェイス6は、外部からの外部制御信号を受け、データ入出力バッファ4に入力されたデータが書き込みデータかコマンドかアドレスかを判断し、コマンドであれば受け取りコマンド信号としてステートマシン7に転送する。ステートマシン7は、この不揮発性半導体記憶装置全体の管理を行うもので、外部のホスト装置からのコマンドを受け付け、読み出し、書き込み、消去、データの入出力管理等を行う。また、外部のホスト装置は、ステートマシン7が管理するステータス情報を受け取り、動作結果を判断することも可能である。また、このステータス情報は書き込み、消去の制御にも利用される。
【0015】
また、ステートマシン7によってパルスジェネレータ9が制御される。この制御により、パルスジェネレータ9は任意の電圧、任意のタイミングのパルスを出力することが可能となる。ここで、形成されたパルスはカラム制御回路2及びロウ制御回路3A,3Bで選択された任意の配線へ転送することが可能である。
【0016】
なお、メモリセルアレイ1以外の周辺回路素子は配線層に形成されたメモリアレイ1の直下のSi基板に形成可能であり、これにより、この不揮発性半導体記憶装置のチップ面積はほぼ、メモリセルアレイ1の面積に等しくすることも可能である。
【0017】
[メモリブロック]
図2は、本発明の実施の形態に係る抵抗変化メモリ装置の基本構成、すなわち半導体基板上のグローバルバス等の配線が形成される配線領域12とその上に積層されたメモリブロックMBの構成を示している。
【0018】
図2に示すように、メモリブロックMBは、この例では4層のメモリセルアレイMA0〜MA3からなる。メモリブロックMBの直下の半導体基板には、配線領域12が設けられる。配線領域12には、メモリブロックMBに書き込み/読み出しされるデータを外部とやり取りするためのグローバルバス等が設けられる。また、この配線領域12には後述するカラムスイッチ等を含むカラム制御回路2や、ローデコーダ等を含むロウ制御回路3A,3Bが設けられていてもよい。
【0019】
積層された各メモリセルアレイMAのワード線WL及びビット線BLと、半導体基板上に形成された配線領域12とを接続するために、メモリブロックMBの側面に垂直配線(ビアコンタクト)が必要になる。配線領域12の周辺には、ビット線コンタクト領域14及びワード線コンタクト領域15が設けられている。ビット線コンタクト領域14及びワード線コンタクト領域15には、ビット線BL及びワード線WLと制御回路とを接続するためのビット線コンタクト13及びワード線コンタクト11が形成される。ワード線WLは、その一端がワード線コンタクト領域15に形成されたワード線コンタクト11を介して配線領域12に接続されている。また、ビット線BLは、その一端がビット線コンタクト領域14に形成されたビット線コンタクト13を介して配線領域12に接続されている。
【0020】
図2では、複数のメモリセルアレイMAを半導体基板1に垂直な方向(図2に示すz方向)に積層した1つのメモリブロックMBについて示しているが、実際にはこのような単位メモリブロックMBがワード線WLの長手方向(図1に示すx方向)及びビット線BLの長手方向(図1に示すy方向)に複数個マトリクス状に配置される。
【0021】
図2に示すように、本実施の形態では、ワード線コンタクト領域15では、メモリセルアレイ1の両側から引き出されたワード線WLがそれぞれ共通コンタクトを介して配線領域12に接続されている。また、ビット線コンタクト領域14では、各層のビット線BLが別々に用意された4列のコンタクトを介して配線領域12に接続されている。本実施の形態では、ビット線BLは層毎に独立駆動され、ワード線WLは全ての層で共通に接続されているが、ワード線WLについても層毎に独立駆動するようにしても良い。また、ビット線BLを共通にして、ワード線WLを独立駆動するようにしても良い。更に、ビット線BL及びワード線WLの少なくとも一方を上下の層で共有するように構成することもできる。
【0022】
図3は、メモリセルアレイ1の一部の斜視図、図4は、図3におけるI−I′線で切断して矢印方向に見たメモリセルMC1つ分の断面図である。
【0023】
複数本の第1の配線としてビット線BL0〜BL2が平行に配設され、これと交差して複数本の第2の配線としてワード線WL0〜WL2が平行に配設され、これらの各交差部に両配線に挟まれるようにメモリセルMCが配置される。第1及び第2の配線は、熱に強く、且つ抵抗値の低い材料が望ましく、例えばW,WSi,NiSi,CoSi等を用いることができる。
【0024】
メモリセルMCは、図4に示すように、可変抵抗素子VRと非オーミック素子NOの直列接続回路からなる。
【0025】
可変抵抗素子VRとしては、電圧印加によって、電流、熱、化学エネルギー等を介して抵抗値を変化させることができるもので、上下にバリアメタル及び接着層として機能する電極EL1,EL2が配置される。電極材としては、Pt,Au,Ag,TiAlN,SrRuO,Ru,RuN,Ir,Co,Ti,TiN,TaN,LaNiO,Al,PtIrOx, PtRhOx,Rh/TaAlN等が用いられる。また、配向性を一様にするようなメタル膜の挿入も可能である。また、別途バッファ層、バリアメタル層、接着層等を挿入することも可能である。
【0026】
可変抵抗素子VRは、カルコゲナイド等のように結晶状態と非晶質状態の相転移により抵抗値を変化させるもの(PCRAM)、金属陽イオンを析出させて電極間に架橋(コンタクティングブリッジ)を形成したり、析出した金属をイオン化して架橋を破壊することで抵抗値を変化させるもの(CBRAM)、電圧あるいは電流印加により抵抗値が変化するもの(ReRAM)(電極界面に存在する電荷トラップにトラップされた電荷の存在の有無により抵抗変化が起きるものと、酸素欠損等に起因する伝導パスの存在の有無により抵抗変化が起きるものとに大別される。)等を用いることができる。
【0027】
図5は、ReRAMの例を示す図である。図5に示す可変抵抗素子VRは、電極層VR11、VR13の間に記録層VR12を配置してなる。記録層VR12は、少なくとも2種類の陽イオン元素を有する複合化合物から構成される。陽イオン元素の少なくとも1種類は電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素とし、且つ隣接する陽イオン元素間の最短距離は、0.32nm以下とする。具体的には、化学式AxMyXz(AとMは互いに異なる元素)で表され、例えばスピネル構造(AM)、イルメナイト構造(AMO)、デラフォサイト構造(AMO)、LiMoN構造(AMN)、ウルフラマイト構造(AMO)、オリビン構造(AMO)、ホランダイト構造(AxMO)、ラムスデライト構造(AMO)ペロブスカイト構造(AMO)等の結晶構造を持つ材料により構成される。
【0028】
図5の例では、AがZn、MがMn、XがOである。記録層12内の小さな白丸は拡散イオン(Zn)、大きな白丸は陰イオン(O)、小さな黒丸は遷移元素イオン(Mn)をそれぞれ表している。
【0029】
記録層VR12の初期状態は高抵抗状態であるが、電極層VR11を固定電位、電極層VR13側に負の電圧を印加すると、記録層12中の拡散イオンの一部が電極層VR13側に移動し、記録層VR12内の拡散イオンが陰イオンに対して相対的に減少する。電極層VR13側に移動した拡散イオンは、電極層VR13から電子を受け取り、メタルとして析出するため、メタル層VR14を形成する。記録層VR12の内部では、陰イオンが過剰となり、結果的に記録層VR12内の遷移元素イオンの下層を上昇させる。これにより、記録層VR12はキャリアの注入により電子伝導性を有するようになってセット動作が完了する。読み出しに関しては、記録層VR12を構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な電流値を流せば良い。セット状態(低抵抗状態)を初期状態(高抵抗状態)にリセットするには、例えば記録層VR12に大電流を充分な時間流してジュール加熱して、記録層VR12の酸化還元反応を促進すれば良い。また、セット時と逆向きの電場を印加することによってもリセット動作が可能である。
【0030】
[制御回路の構成]
次に、メモリセルアレイMA及びその周辺回路の構成について、図6を参照して説明する。図6は、抵抗変化メモリ装置のメモリセルアレイMA、カラム制御回路2及びロウ制御回路3Aの詳細を示すブロック図である。図6に示すメモリセルアレイMAは、ビット線BLの延びる方向に例えば2Kbit(2048個)、ワード線WLの延びる方向に例えば512bitの単位メモリセルMCが配置されているものとする。これにより、1つのメモリセルアレイMA内に例えば1Mbit(約10個)の単位メモリセルMCが配置されている。
【0031】
図6に示されるように、ロウ制御回路3A,3Bは、メモリセルアレイ1のワード線WL方向の両側に配置されている。ロウ制御回路3A,3Bは、ほぼ同様の構成であるため、以下、ロウ制御回路3Aの構成についてのみ詳述する。ロウ制御回路3Aは、例えばローデコーダ30、メインロウデコーダ31、書き込み駆動線ドライバ32、ロウ電源線ドライバ33及びロウ系周辺回路34を備えて構成される。また、カラム制御回路2は、例えばカラムスイッチ20、カラムデコーダ21、センスアンプ/書き込みバッファ22、カラム電源線ドライバ23、カラム系周辺回路24を備えて構成される。
【0032】
本実施の形態に係るワード線WLは階層化構造を有しており、メインロウデコーダ31は、例えば256対のメインワード線MWLx、MWLbx(x=<255:0>)のいずれか一対を選択駆動する。一例として、選択されたメインワード線MWLx、MWLbxでは、メインワード線MWLxが“H”状態となり、メインワード線MWLbxが“L”状態となる。逆に、非選択のメインワード線MWLx、MWLbxでは、メインワード線MWLxが“L”状態となり、メインワード線MWLbxが“H”状態となる。一対のメインワード線MWLx、MWLbxはひとつのローデコーダ30に接続される。ローデコーダ30は、メインワード線MWLx、MWLbxの階層下にある8本のワード線WLからなるワード線群WLx<7:0>のうちの1本を選択駆動する。メインロウデコーダ31により選択駆動されたメインワード線MWLx、MWLbxに接続されたローデコーダ30が更にワード線WLを選択駆動することにより、1本のワード線WLが選択駆動される。
【0033】
書き込み駆動線ドライバ32には8本の書き込み駆動線WDRV<7:0>及びロウ電源線VRowが接続され、ロウ電源線ドライバ33にはロウ電源線VRowが接続されている。この書き込み駆動線WDRV<7:0>及びロウ電源線VRowはローデコーダ30に接続される。書き込み駆動線WDRV<7:0>及びロウ電源線VRowには、ローデコーダ30がワード線WLを駆動するための電圧が印加される。具体的には、リセット動作時において8本の書き込み駆動線WDRV<7:0>のうち選択ワード線WLに対応する1本の書き込み駆動線WDRVに電圧Vss(=0V)を供給し、それ以外の7本には電圧VRESETを供給する。また、ロウ電源線VRowには、非選択のメインワード線MWL、MWLbxの階層下のワード線WLに供給される電圧(VRESET)が印加される。
【0034】
ロウ系周辺回路34は、この抵抗変化メモリ装置全体の管理を行うもので、外部のホスト装置からの制御信号を受け付け、読み出し、書き込み、消去、データの入出力管理等を行う。
【0035】
本実施の形態に係るビット線BLも階層化構造を有しており、カラムデコーダ21は、256対のカラム選択線CSLy、CSLby(y=<255:0>)のうち、複数の対のカラム選択線CSLy、CSLbyを選択駆動する。一例として、選択されたカラム選択線CSLy、CSLbyでは、カラム選択線CSLyが“H”状態となり、カラム選択線CSLbyが“L”状態となる。逆に、非選択のカラム選択線CSLy、CSLbyでは、カラム選択線CSLyが“L”状態となり、カラム選択線CSLbyが“H”状態となる。一対のカラム選択線CSLy、CSLbyはひとつのカラムスイッチ20に接続される。カラムスイッチ20は、カラム選択線CSLy、CSLbyの階層下にある2本のビット線BLからなるビット線群BLy<1:0>を選択駆動する。カラムデコーダ21により選択駆動されたカラム選択線CSLy、CSLbyに接続されたカラムスイッチ20が更にビット線BLを選択駆動することにより、ビット線BLが選択駆動される。
【0036】
センスアンプ/書き込みバッファ22には、4本のローカルデータ線LDQ<3:0>が接続されている。このローカルデータ線LDQ<3:0>は、LDQ<1:0>又はLDQ<3:2>の2本ずつの組に分けられて、カラムスイッチ20に接続される。一つのカラムスイッチにはローカルデータ線LDQ<1:0>又はLDQ<3:2>のいずれか一方の組が接続される。センスアンプ/書き込みバッファ22は、ローカルデータ線LDQ<3:0>に読み出された信号を検知増幅するとともに、データ入出力線IO<3:0>から入力される書き込みデータをカラムスイッチ20を介してメモリセルMCに供給するものである。ローカルデータ線LDQ<3:0>には、カラムスイッチ20がビット線BLを駆動するための電圧が印加される。具体的には、リセット動作時において4本のローカルデータ線LDQ<3:0>に電圧VRESETが供給される。センスアンプ/書き込みバッファ22には、カラム電源線VCol1を介して、カラム電源線ドライバ23が接続されている。
【0037】
カラム系周辺回路24は、この抵抗変化メモリ装置全体の管理を行うもので、外部のホスト装置からの制御信号を受け付け、読み出し、書き込み、消去、データの入出力管理等を行う。
【0038】
次に、図7〜図11を参照して、ロウ制御回路の構成を詳細に説明する。図7〜図11は抵抗変化メモリ装置のロウ制御回路の構成例を示す回路図である。
【0039】
[ローデコーダ30の構成]
図6及び図7に示されるように、ローデコーダ30には256対のメインワード線MWLx及びMWLbx(x=<255:0>)のいずれか一対、ロウ電源線VRow並びに書き込み駆動線WDRV<7:0>が接続されている。また、ローデコーダ30には、ワード線群WLx<7:0>が接続されており、このワード線群WLx<7:0>は一列に並んで設けられた複数のメモリセルMCに接続されている。前述のように、1つのローデコーダ30に接続されるワード線群WLx<7:0>は、ワード線WLx0〜ワード線WLx7までの8本の配線からなる。同様に、書き込み駆動線WDRV<7:0>は、WDRV0〜WDRV7までの8本の配線からなる配線である。
【0040】
図7に示すように、ローデコーダ30は、2つのNMOSトランジスタQN1及びQN2のソースを互いに接続してなるトランジスタ対を8つ備えて構成されている。トランジスタQN1のゲートにメインワード線MWLbxが、ドレインにロウ電源線VRowが接続されている。また、トランジスタQN2のゲートにメインワード線MWLxが、ドレインに書き込み駆動線WDRV<7:0>のいずれか1本が接続されている。そして、トランジスタQN1及びQN2のソースはともにワード線群WLx<7:0>のいずれか1本に接続されている。
【0041】
[メインロウデコーダ31の構成]
図6及び図8に示されるように、メインロウデコーダ31には256対のメインワード線MWLx及びMWLbx(x=<255:0>)、並びにアドレス信号線が接続されている。本実施の形態に係る抵抗変化メモリ装置のワード線WLは階層化構造を有している。メインロウデコーダ31はプリデコーダである。一組のメインワード線MWLx、MWLbxは1つのローデコーダ30内の8つのトランジスタ対(図7のQN1、QN2)にそれぞれ接続され、1つのローデコーダ30は8本のワード線WLx<7:0>のいずれか1本を選択することができる。メインロウデコーダ31は、図8に示すような回路を、1対のメインワード線MWLx、MWLbxごとに有している。
【0042】
図8に示すように、1つのメインロウデコーダ31において、メインロウデコーダ31に接続されたアドレス信号線は、論理ゲートGATE1に接続される。また、論理ゲートGATE1には、カラムアドレスの最上位ビットMSBが入力され、ワード線WL方向のいずれの側のビット線BLが選択されるかを、カラムアドレスのMSBによって判定して、メインロウデコーダ31がアクティブ状態又は非アクティブ状態とされる。論理ゲートGATE1の出力信号はレベルシフタL/Sを介してPMOSトランジスタQP1及びNMOSトランジスタQN3からなるCMOSインバータCMOS1の入力端子に供給される。トランジスタQP1のソースに電源VSETHが接続され、トランジスタQN3のソースは接地されている。そして、トランジスタQP1及びQN3のドレインはともにメインワード線MWLxに接続される。
【0043】
また、メインワード線MWLxは、PMOSトランジスタQP2及びNMOSトランジスタQN4からなるCMOSインバータCMOS2に接続されている。トランジスタQP2のソースにも電源VSETHが接続され、トランジスタQN4のソースは接地されている。そして、トランジスタQP2及びQN4のドレインはともにメインワード線MWLbxに接続される。
【0044】
図11には、もう一方のロウ制御回路3B内に配置されているメインロウデコーダ31の構成を示してある。基本的な構成は図8に示したものと同じであるが、カラムアドレス信号の最上位ビットMSBがインバータによって反転されて論理ゲートGATE3に入力されている点が異なっている。これにより、カラムアドレス信号の最上位ビットMSBが“1”のときには、ロウ制御回路3A(フォーミング時及びセット時)又はロウ制御回路3B(リセット時)内のメインロウデコーダがアクティブになり、カラムアドレス信号の最上位ビットMSBが“0”のときには、ロウ制御回路3B(フォーミング時及びセット時)又はロウ制御回路3A(リセット時)内のメインロウデコーダがアクティブになる。
【0045】
[書き込み駆動線ドライバ32の構成]
図6及び図9に示されるように、書き込み駆動線ドライバ32には、ロウ電源線VRow及びアドレス信号線が接続されている。ここで、書き込み駆動線ドライバ32も、プリデコーダである。
【0046】
書き込み駆動線ドライバ32に接続されたアドレス信号線は、論理ゲートGATE2に接続される。論理ゲートGATE2の出力信号はレベルシフタL/Sを介してPMOSトランジスタQP3及びNMOSトランジスタQN5からなるCMOSインバータCMOS3の入力端子に供給される。トランジスタQP3のソースには、後述するように電圧VRESETが印加されているロウ電源線VRowが接続され、トランジスタQN5のソースは接地されている。そして、トランジスタQP3及びQN5のドレインはともに書き込み駆動線WDRV<7:0>に接続される。
【0047】
[ロウ電源線ドライバ33の構成]
図6及び図10に示されるように、ロウ電源線ドライバ33には、ロウ電源線VRow及び制御信号線が接続されている。ロウ電源線ドライバ33において、電源VSETHはNMOSトランジスタQN6のドレイン及びゲートに接続される。トランジスタQN6のソースがPMOSトランジスタQP6を介してロウ電源線VRowに接続されている。トランジスタQP6のゲートには制御信号SETonが供給される。
【0048】
また、ロウ電源線ドライバ33において、電源VREADがPMOSトランジスタQP4を介して、電源VRESETがPMOSトランジスタQP5を介してそれぞれロウ電源線VRowに接続されている。トランジスタQP4のゲートには制御信号READonが供給され、トランジスタQP5のゲートには制御信号RESETonが供給される。制御信号READon、RESETonは、それぞれデータ読み出し時、リセット動作時に“H”状態から“L”状態となる。
【0049】
次に、図12〜図15を参照して、カラム制御回路の構成を詳細に説明する。図12〜図15は抵抗変化メモリ装置のカラム制御回路の構成例を示す回路図である。
【0050】
[カラムスイッチ20の構成]
図6及び図12に示されるように、カラムスイッチ20には256対のカラム選択線CSLy及びCSLby(y=<255:0>)のいずれか一対及びローカルデータ線LDQ<1:0>又はLDQ<3:2>のいずれか一組が接続されている。ここで、同一のカラムアドレス信号CAにより選択される2対のカラム選択線CSLy、CSLbyのうち、一対が接続されたカラムスイッチ20にローカルデータ線LDQ<1:0>が接続される。また、他の対が接続されたカラムスイッチ20にローカルデータ線LDQ<3:2>が接続されるものとする。カラムスイッチ20には、ビット線群BLy<1:0>が接続されており、このビット線群BLy<1:0>は一列に並んで設けられた複数のメモリセルMCに接続されている。前述のように、1つのカラムスイッチ20に接続されるビット線群BLy<1:0>は2本の配線からなる。同様に、ローカルデータ線LDQ<1:0>又はLDQ<3:2>は、LDQ0、LDQ1又はLDQ2、LDQ3の2本ずつの組からなる配線である。
【0051】
図12に示すように、カラムスイッチ20は、2つのNMOSトランジスタQN11及びQN12のソースを互いに接続してなるトランジスタ対を2つ備えて構成されている。トランジスタQN11のゲートにカラム選択線CSLyが、ドレインにローカルデータ線LDQ<1:0>又はLDQ<3:2>のいずれか1本が接続されている。また、トランジスタQN12のゲートにはカラム選択線CSLbyが接続され、ドレインは接地されている。そして、トランジスタQN11及びQN12のソースはともにビット線群BLy<1:0>のいずれか1本に接続されている。
【0052】
[カラムデコーダ21の構成]
図6及び図13に示されるように、カラムデコーダ21には256対のカラム選択線CSLy及びCSLby(y=<255:0>)、並びにカラムアドレス信号CAが入力されるアドレス信号線が接続されている。本実施の形態に係る抵抗変化メモリ装置において、一組のカラム選択線CSLy、CSLbyは1つのカラムスイッチ20内の2つのトランジスタ対(図12のQN11、QN12)にそれぞれ接続され、1つのカラムスイッチ20は2本のビット線群BLy<1:0>を選択駆動することができる。カラムデコーダ21は、図13に示すような回路を、一対のカラム選択線CSLy、CSLbyごとに有している。
【0053】
図13に示すように、1つのカラムデコーダ21において、カラムデコーダ21に接続されたアドレス信号線は、論理ゲートGATE3に接続される。論理ゲートGATE3の出力信号はレベルシフタL/Sを介してPMOSトランジスタQP11及びNMOSトランジスタQN13からなるCMOSインバータCMOS11の入力端子に供給される。トランジスタQP11のソースに電源VSETHが接続され、トランジスタQN13のソースは接地されている。そして、トランジスタQP11及びQN13のドレインはともにカラム選択線CSLyに接続される。
【0054】
また、カラム選択線CSLyは、PMOSトランジスタQP12及びNMOSトランジスタQN14からなるCMOSインバータCMOS12に接続されている。トランジスタQP12のソースにも電源VSETHが接続され、トランジスタQN14のソースは接地されている。そして、トランジスタQP12及びQN14のドレインはともにカラム選択線CSLbyに接続される。
【0055】
[センスアンプ/書き込みバッファ22の構成]
図6及び図14に示されるように、センスアンプ/書き込みバッファ22には、カラム電源線VCol1、ローカルデータ線LDQ<3:0>及びデータ入出力線IO<3:0>が接続されている。まず、書き込みバッファ部分について、その構成を説明する。センスアンプ/書き込みバッファ22に接続されたデータ入出力線IO<3:0>は、レベルシフタL/Sを介してPMOSトランジスタQP13及びNMOSトランジスタQN15からなるCMOSインバータCMOS13に接続される。トランジスタQP13のソースにはカラム電源線VCol1が接続されている。カラム電源線VCol1には後述するようにリセット電圧VRESETが印加されている。また、トランジスタQN15のソースは接地されている。そして、トランジスタQP13及びQN15のドレインはともにスイッチSW1を介して、ローカルデータ線LDQ<3:0>に接続されている。
【0056】
次に、センスアンプ部分について、その構成を説明する。センスアンプ/書き込みバッファ22に接続されたデータ入出力線IO<3:0>は、センスアンプS/Aに接続される。センスアンプS/Aとしては、シングルエンド型、参照セルを用いた差動型等、種々のタイプを用いるとこができる。センスアンプS/Aの出力端子はスイッチSW2を介してローカルデータ線LDQ<3:0>に接続されている。
【0057】
[カラム電源線ドライバ23の構成]
図6及び図15に示されるように、カラム電源線ドライバ23には、カラム電源線VCol1及び制御信号線が接続されている。カラム電源線ドライバ23において、電源VSETHがNMOSトランジスタQN16のドレイン及びゲートに接続され、トランジスタQN16のソースはPMOSトランジスタQP14を介してカラム電源線VCol1に接続されている。トランジスタQP14のゲートには制御信号SETonが供給される。
【0058】
また、カラム電源線ドライバ23において、電源VRESETがPMOSトランジスタQP15を介してカラム電源線VCol1に接続されている。トランジスタQP15のゲートには制御信号RESETonが供給される。制御信号RESETonは、リセット動作時に“H”状態から“L”状態となる。
【0059】
[メモリセルのフォーミング及びリセット動作の歩留まり]
次に、メモリセルのフォーミング及びリセット動作の歩留まりについて、図16〜図18を参照して説明する。図16は比較例に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイ1の一部の回路図である。本実施形態においては、メモリセルアレイ1を挟んでロウ制御回路3が2つ配置されているが、図16に示す比較例においてはロウ制御回路3が一つだけ配置されている。図17及び図18は、メモリセルアレイ1の書き込み可能回数とメモリセルアレイ1内におけるメモリセルMCの位置関係との相関関係について検証した結果を表している。検証は以下の様に行った。まず、図16の様な回路において、メモリセルアレイ1に対してフォーミングを行う。次にリセット動作とセット動作を交互に10回ずつ繰り返し行った。この際、ロウ制御回路3に近い方の半数のメモリセルMCをNearグループ、遠い方の半数をFarグループとし、検証過程の各時点において正常にフォーミング、リセット又はセット状態に移行したメモリセル数の割合を比較した。
【0060】
図17の縦軸は正常に動作したメモリセルMCの比率、横軸は検証作業の進行度合いを示している。尚、図中横軸の「R:n」はリセット動作をn回行った直後の検証結果を、「S:n」はセット動作をn回行った直後の検証結果を示している。例えば、「R:4 S:3」と表記されている部分には、リセット動作を4回、セット動作を3回終了した時点での検証結果が示されている。図より、フォーミング直後の最初のリセット動作において、Nearグループでは約10%程度のメモリセルMCがフェイルしていることが分かる。これに対し、Farグループでは3〜4%程度のメモリセルMCしかフェイルしていない事がわかる。これは、Farグループにおいてはロウ制御回路3からメモリセルMCまでの配線距離が比較的長い為、配線抵抗が保護素子として働いたものと考えられる。
【0061】
図18は、図17と同じ検証結果を表している。ただし、図18においては一回目のリセット動作においてパスしたメモリセルMCのみについての結果を示している。具体的には、一回目のリセット動作が終了した時点で正常に動作していたメモリ数を100%としている。図より、Nearグループの方がFarグループと比較して検証作業の進行に伴うパスセルの減衰率が低い事がわかる。また、Farグループでは、特にリセット動作時において大きくパスセル数が減少している。
【0062】
[フォーミング動作]
図19は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のフォーミング動作を説明する為の図である。上記の検証結果から鑑みると、フォーミング動作を行う際にはメモリセルMCから遠い方の制御回路を使用することにより、フォーミング時の歩留まりを向上させることが可能であると考えられる。そこで、本実施形態においては2つ備えているロウ制御回路3A,3Bのうち、一方のロウ制御回路3Aに近い方の半数のメモリセルMCをグループA、もう一方のロウ制御回路3Bに近い方の半数のメモリセルMCをグループBとし、グループAのメモリセルMCについてはロウ制御回路3Bを、もう片方のグループBのメモリセルMCに対してはロウ制御回路3Aを用いてフォーミングを行う事とした。
【0063】
具体的には、カラム制御回路2に入力されるカラムアドレス信号の最上位ビットMSBが“0”の場合には、グループAのメモリセルが選択されるものとして、ロウ制御回路3Bをアクティブ、ロウ制御回路3Aを非アクティブとし、カラムアドレス信号の最上位ビットMSBが“1”の場合には、グループBのメモリセルが選択されるものとして、ロウ制御回路3Aをアクティブ、ロウ制御回路3Bを非アクティブとする。
【0064】
この様な方法によれば、フォーミング時に、ロウ制御回路3A又は3BからメモリセルMCまでの配線抵抗を保護素子として利用し、メモリセルMCのフォーミングの歩留まりを向上させることが可能となる。
【0065】
[セット動作]
本実施形態においてセット動作を行う際には、フォーミングを行う時と同様に、グループAのメモリセルMCについてはロウ制御回路3Bを、もう片方のグループBのメモリセルMCに対してはロウ制御回路3Aを用いる。セット動作では高抵抗状態のメモリセルMCについて電流を流し続けるが、メモリセルMCがセットされ、低抵抗状態に移行すると、メモリセルMCには急激に電流が流れ始める。このため、メモリセルMCに対する負担が増加してしまう。しかしながら、上記の様な方法でセット動作を行った場合、ロウ制御回路3からメモリセルMCまでの配線抵抗が保護素子として機能し、メモリセルMCに対する負担を減少させることが可能となる。これにより、メモリセルMCの書き込み回数が向上する。
【0066】
[リセット動作]
図20は、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のリセット動作を説明する為の図である。上記の検証結果から鑑みると、リセット動作を行う際にはメモリセルMCから近い方の制御回路を使用することにより、メモリセルの書き込み可能回数を向上させることが可能である。これはリセット動作の場合、メモリセルMCに近い方がIRドロップによる影響が少ないからと考えられる。そこで、本実施形態においては、グループAのメモリセルMCについてはロウ制御回路3Aを、もう片方のグループBのメモリセルMCに対してはロウ制御回路3Bを用いてリセット動作を行う事とした。上記の検証結果より、この様な方法によってメモリセルMCの書き込み回数は向上する。
【0067】
[第2の実施の形態]
第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置では、メモリセルアレイ1を挟んで2つのロウ制御回路3A,3Bが配置されていたが、カラム制御回路2が二つ配置されていても良い。本発明の第2の実施形態においては、ロウ制御回路3が一つ、カラム制御回路2A,2Bが二つ配置されている。この時のフォーミング動作、セット動作、リセット動作の様子をそれぞれ図21及び図22に示す。この様な方法によっても、第1の実施形態と同様にメモリセルMCの書き込み回数を向上させることが可能となる。
【0068】
[第3の実施の形態]
第1の実施形態及び第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置では、メモリセルアレイ1を挟んで2つのロウ制御回路3またはカラム制御回路2が配置されていた。本発明の第3の実施形態においては、ロウ制御回路3A,3B、カラム制御回路2A,2B共に二つずつ配置されている。この時のフォーミング動作、セット動作、リセット動作の様子をそれぞれ図23及び図24に示す。この様な方法によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態と比較して配線抵抗を有効に調整する事が可能となるため、更にメモリセルMCの書き込み回数を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…メモリセルアレイ、2…カラム制御回路、3…ロウ制御回路、4…データ入出力バッファ、5…アドレスレジスタ、6…コマンド・インターフェイス、7…ステートマシン、9…パルスジェネレータ 20…カラムスイッチ、 21…カラムデコーダ、 22…センスアンプ/書き込みバッファ、 23…カラム電源線ドライバ、 24…カラム系周辺回路、 30…ローデコーダ、 31…メインロウデコーダ、 32…書き込み駆動線ドライバ、 33…ロウ電源線ドライバ、 34…ロウ系周辺回路、 MA…メモリセルアレイ、 MC…メモリセル、 VR…可変抵抗素子、 Di…ダイオード、 BL…ビット線、 WL…ワード線、 MWL…メインワード線 CSL…カラム選択線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の配線、前記複数の第1の配線に交差する複数の第2の配線、並びに前記複数の第1及び第2の配線の各交差部に配置された電気的書き換え可能な抵抗値をデータとして不揮発に記憶する可変抵抗素子を含む複数のメモリセル、を有するメモリセルアレイと、
前記複数の第1の配線の少なくとも一端に接続され、前記第1の配線を選択する第1のデコーダと、
前記複数の第2の配線の両端に接続されて前記第1のデコーダが選択した前記第1の配線と前記第2の配線の両端との距離に応じていずれか一方が前記第2の配線を選択する少なくとも一対の第2のデコーダと、
前記第1のデコーダ及び第2のデコーダによって選択された前記第1の配線及び第2の配線間に所定の電圧を印加する電圧印加回路と
を備えたことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記メモリセルに対してフォーミング動作を行う際に、選択される前記第1の配線から遠い方の前記第2のデコーダが前記第2の配線を選択する
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記メモリセルに対してセット動作を行う際に、選択される前記第1の配線から遠い方の前記第2のデコーダが前記第2の配線を選択する
ことを特徴とする請求項1または2記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記メモリセルに対してリセット動作を行う際に、選択される前記第1の配線から近い方の前記第2のデコーダが前記第2の配線を選択する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記メモリセルに対してフォーミング動作又はセット動作を行う際には、選択される前記第1の配線から遠い方の前記第2のデコーダが前記第2の配線を選択し、
前記メモリセルに対してリセット動作を行う際には、選択される前記第1の配線から近い方の前記第2のデコーダが前記第2の配線を選択する
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−69178(P2012−69178A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210962(P2010−210962)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】