説明

不織複合要素

本発明は、熱可塑性繊維および高い融点を有する強化繊維から構成される混合繊維不織布の片面または両面に、構造baまたはbabの一つまたは二つの複合膜が接合され、その構造においてaが高い融点を有する熱可塑性材料であり、bが低い融点を有する熱可塑性材料であり、複合膜の層bは混合繊維不織布に面するように構成された、不織複合要素に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片面または両面が接着箔に接合された、熱可塑性繊維および強化繊維から成る混合繊維不織布を含む、不織複合要素に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る混合繊維不織布は熱可塑性繊維および強化繊維から作られた非固結半製品であり、それは熱可塑的成形によって繊維強化完成品に、例えば自動車内装部品に変換することができる。
【0003】
そのような混合繊維不織布は、例えば繊維強化熱可塑性材料から圧縮成形品を生産するための方法に関するDE−A3614533等に記載されている。出発材料は、熱可塑性繊維、好ましくはポリプロピレン繊維またはポリアミド繊維と、無機強化繊維または天然繊維を含む混合繊維不織布であり、それらはニードリングによって圧縮される。この混合不織布は、事前に固化せず直接プレス加工されて完成部品を形成し、さらなる基体、例えばプラスチック箔を同時プレスすることができる。混合繊維不織布は、熱可塑的に成形可能な繊維強化半製品を生産するための方法に関するDE−A10105813にも記載されている。それによると、熱可塑性繊維および強化繊維を混合して混合不織布を得、それをニードリングによって圧縮し、次いで加熱し、かつ任意で装飾層、例えば熱可塑性箔を同時プレスすることによって、プレス加工して固化薄肉半製品にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの用途にとって、ポリプロピレン/ガラス繊維混合不織布から生産される完成部品は、充分に水密かつ耐熱性ではないので、強い熱が発生した場合に変形することがある。さらに、ポリプロピレン/天然繊維混合不織布から生産される完成部品は白カビに弱く、しばしば悪臭を発生する傾向がある。ポリアミド/ガラス繊維混合不織布から生産された薄肉完成部品は、往々にして充分に耐屈曲性ではない。したがって、本発明の目的は、混合不織布から生産される完成部品が上述した不利点を持たないように、混合不織布を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、熱可塑性繊維およびより高い融点を有する強化繊維の混合繊維不織布の片面または両面に、aをより高い融点、bをより低い融点の熱可塑性材料として構造baまたはbabを有する複合箔を、その層bが混合繊維不織布に面するように接着接合する、本発明によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
熱可塑性繊維と強化繊維とを含む混合繊維不織布は基本的に公知であり、例えば引用した文献に詳細に記載されている。熱可塑性プラスチックは、任意の紡糸可能な熱可塑性材料、好ましくは240℃未満で溶融するものとすることができる。特に有用なのはポリオレフィン、特にポリプロピレン、およびポリアミド6である。強化繊維は、融点が熱可塑性繊維より高くなければならない;ポリアミド6の場合、例えばガラス繊維およびポリエステル繊維が有用である;ポリプロピレンの場合、ガラス繊維の他に、例えば亜麻、麻、ジュート、サイザル、またはケナフ由来の天然繊維も適している。一般的に、繊維は40乃至100mmの長さを有し、熱可塑性繊維および強化繊維は、例えば織物業界では周知である捲縮またはエアレイ法によって、80:20乃至20:80、好ましくは70:30乃至30:70の比率で混合される。このプロセスで混合繊維不織布はエンドレスシートとして形成され、その後、好ましくはニードリングによって圧縮される。混合繊維不織布の厚さは4から30mmの間、特に10mm以上25mm未満の間であることが好ましい。
【0007】
用途に応じて、混合繊維不織布Aはその片面または両面を複合箔Bに接着接合することができる。後者は構造baまたはbabを持つことができ、その場合aはより高い融点の熱可塑性プラスチック、好ましくはポリアミド、ポリエステル、またはポリウレタンであり、bはより低い融点の熱可塑性プラスチック、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンである。一般的に、複合箔は、50から200μmの間、特に60から150μmの間の厚さを有する。適切な複合箔は、例えばウィパック社(Wipak)が提供するCOVEXXおよびCOMBITHERM箔である。
【0008】
混合不織布および複合箔は、複合箔Bの層bが混合繊維不織布Aに面するように接合される。これは好ましくは、混合繊維不織布を複合箔と共に連続的に供給して、熱源、例えば熱風またはIR放射を通過させることによって達成される。熱風の温度は300乃至400℃とすることができる。しかし、混合繊維不織布の熱可塑性繊維およびより融点の低い複合箔の熱可塑性プラスチックは、軟化はするが滴下しないように、それらの融点より高く短時間だけつまり1秒足らずの間だけ加熱され、その後すぐに例えば圧延によって一緒にプレス加工される。そのような方法は、EP−A1055759に詳細に記載されているが、そこでは、混合繊維不織布は複合箔に接合されず、むしろさらなる熱可塑性不織布に接合される。同時に、これもまたより低い融点の熱可塑性プラスチックbによって結合される装飾層Cを、片面または両面に同時プレスすることができる。適切な装飾層は、例えば織物シート、ポリオレフィンまたはポリウレタンから作られた発泡体箔、および任意選択的に着色することのできる熱可塑性箔である。
【0009】
本発明に係る不織複合要素は、従来の混合不織布と同様の方法で完成部品に加工することができる。この目的のために、それらは熱可塑性繊維の軟化温度より高い温度まで加熱され、2乃至10kp/cmの圧力で適切な型にプレス加工される。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明に係る不織複合要素の主な適用分野は、自動車内装部品、例えば内装ドアパネル、帽子掛け、荷物トランクの荷積み用床、およびヘッドライナである。後者は、両面に構造babの複合箔と合わせて備えられた二層の複合要素から構成され、二つの層は複数の部分セグメントでだけ溶接され、層間に非溶接セグメントがあり、前記非溶接セグメントはエアパッドを含み、凸状の上層を有する。これらのヘッドライナは、DE−A10160442に記載された方法によって生産されるが、空気の損失は独立気泡発泡体箔によってではなく、気密複合箔によって防止される。自動車外装については、複合要素は、エンジン包封体およびアンダボディのスキッドプレートを作成するために使用することができる。さらなる適用分野は、スーツケースおよび他の例えばコンピュータ用の容器である。完成部品が強い加熱により軟化し、次いで屈曲する危険性がある場合はいつも、ポリアミド6系の混合繊維不織布を使用することが望ましい。
【実施例】
【0011】
60重量%のポリプロピレン繊維および自然繊維である亜麻、麻、およびケナフの40重量%の混合物(クワドラント・ナチュラル・ファイバ・コンポジッツ社(Quadrant Natural Fiber Composites)が提供するNAF−COFORM)でできた12mm厚のニードリング処理済み混合繊維不織布の両面に、EP−A1055759に係る連続熱接着方法を適用することによって、ポリエチレンおよびポリアミド6,6から作られた構造babを持つ90μm厚の複合箔(ウィパック社が提供するCOVEXX)を積層した。結果的に得られた不織複合要素から80×120の寸法のプレカット部品を切り出した。これらのプレカット部品を型に入れ、3kp/cmの圧力でプレス加工して内装ドアパネルを形成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.熱可塑性繊維とより高い融点の強化繊維を含む混合繊維不織布と、その片面または両面に接着接合された、
B.aがより高い融点を持ち、bがより低い融点を持つ熱可塑性材料である、構造baまたはbabを持つ一つまたは二つの複合箔と、
を含み、
前記複合箔の層bが前記混合繊維不織布に面するように構成された不織複合要素。
【請求項2】
前記混合繊維不織布Aの前記熱可塑性繊維がポリプロピレン繊維であり、かつ前記強化繊維がガラス繊維または天然繊維であることを特徴とする、請求項1に記載の複合要素。
【請求項3】
前記混合繊維不織布Aの前記熱可塑性繊維がポリアミド6繊維であり、かつ前記強化繊維がガラス繊維またはポリエステル繊維であることを特徴とする、請求項1に記載の複合要素。
【請求項4】
熱可塑性繊維対強化繊維の重量比が80:20乃至20:80であることを特徴とする、請求項1に記載の複合要素。
【請求項5】
前記混合繊維不織布をニードリング処理することを特徴とする、請求項1に記載の複合要素。
【請求項6】
前記複合箔Bの層aがポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする、請求項1に記載の複合要素。
【請求項7】
前記複合箔Bの層bがポリアミド、ポリエステル、またはポリウレタンであることを特徴とする、請求項1に記載の複合要素。
【請求項8】
前記混合繊維不織布Aの厚さが4から30mmの間であり、かつ前記複合箔Bの厚さが50から200μmの間であることを特徴とする、請求項1に記載の複合要素。
【請求項9】
前記混合繊維不織布Aが前記複合箔Bと共に連続的に熱源に送られ、加熱直後に一緒にプレス加工されることを特徴とする、請求項1に記載の不織複合要素を生産するための方法。
【請求項10】
加熱中の材料の温度は、前記混合繊維不織布Aの前記熱可塑性繊維および前記複合箔Bの前記より低い融点の熱可塑性プラスチックの軟化温度より高いことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
装飾層Cを同時プレスすることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記複合要素を前記熱可塑性繊維の軟化温度より高く加熱し、2乃至10kp/cmでプレス加工することによって自動車部品を生産するための請求項1に記載の複合要素の使用。
【請求項13】
前記複合箔が構造babを有することを特徴とする、請求項1に記載の複合要素から生産されるヘッドライナ、帽子掛け、内装ドアのライニング、および荷物トランクのライニングのような自動車内装部品。
【請求項14】
前記複合箔が構造baを有することを特徴とする、請求項1に記載の複合要素から生産されるアンダボディのスキッドプレートおよび自動車エンジン包封体。

【公表番号】特表2006−525141(P2006−525141A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504831(P2006−504831)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003095
【国際公開番号】WO2004/098879
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505412513)クヴァドラント・プラスティック・コンポジッツ・アクチェンゲゼルシャフト (5)
【Fターム(参考)】