説明

不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステルならびにその製造

新規な不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステル、これらの製造方法、および架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーの製造へのこれらの使用、ならびに架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーが開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本願発明は、不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステル、これらの製造方法、および架橋構造を有する(=架橋された)膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーの製造へのこれらの使用、ならびに架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーに関する。
【0002】
本明細書において使用されるアクリル(メタクリル)酸およびアクリル(メタクリル)酸エステルの用語は、一方ではメタクリル酸およびアクリル酸、そして他方ではメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルを表すものである。
【0003】
高吸収性ポリマーまたはSAPとして知られる膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーは先行文献により知られている。これらは伸縮性のある親水性ポリマーのネットワークであり、性質的にはイオン性にも非イオン性にもなることが可能である。これらはハイドロゲルを形成することによって液体を吸収し結合する能力を有しており、したがって、タンポン、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁用品、子ども用トレーニングパンツ、中敷き、および体液を吸収するためのその他の衛生用品に重用される。高吸収体は、特に水または水溶液といった流動体が吸収される、例えば医薬品や化粧品の貯蔵、包装、運搬を目的とするその他の技術分野においても使用されている。
【0004】
親水性で高膨潤性のハイドロゲルは、特に(共)重合化親水性モノマー、好適なグラフトベース上における一種またはそれ以上の親水性モノマーのグラフト(共)重合体、架橋されたセルロースまたはデンプンエステル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分的に架橋されたポリアルキレンオキシドあるいは例えばグアー誘導体などの液体中で膨張する天然物質である。これらのハイドロゲルは、紙オムツ、タンポン、生理用ナプキンおよびその他の衛生製品の製造を目的とする液体を吸収する製品として、また園芸(ガーデニング)市場における保水剤としても使用される。
【0005】
例えば膨張状態において高いゲル強度を有するハイドロゲルによって、良好な運搬特性が保持される。強度に乏しいゲルは、例えば体重による圧力といった圧力をかけられた状況下で変形される可能性があり、また、SAP/セルロース繊維吸収体中の間隙が詰まるために液体の吸収の継続が妨げられる。一般的に架橋の度合いを高めることを通じて増強されたゲル強度を得るが、しかしながらこれでは製品の貯留力が減少する。ゲル強度を増強するための的確な方法は表面の後架橋である。この方法では、平均的な架橋密度を有する乾燥させた高吸収体を、さらなる架橋工程に供する。表面の後架橋により高吸収体の表面外郭構造(表面シェル)における架橋密度が増加することによって、装着状態における吸収性が高レベルに上昇する。高吸収体粒子外郭構造における吸収力が減少する一方で、芯部(コア)は可動性のポリマー鎖による(外郭構造と比較して)改善された吸収能力を有しており、したがって外郭構造を構築することによって、ゲルブロッキング作用を起こすことのない改善された液体の透過が保障される。高吸収体の全性能が自発的にではなく時間的に遅延して消耗されることが完璧な理想である。一般的に衛生用品は繰り返し尿にさらされるものであるので、高吸収体の吸収力は最初の処理後に使い切ってしまうことがないことが無理のないよう、道理にかなったものでなければならない。
【0006】
DE−A−196 46 484号には、第1の構成要素がアリル(メタリル)およびアクリル(メタクリル)酸エステルの機能を有する化合物であり、第2の構成要素がポリアルキレングリコールのモノアクリル(モノメタクリル)酸エステルまたはモノアリル(モノメタリル)アルコールエステルであり、第3の構成要素が不飽和酸とポリオールあるいはジ−またはトリアリルアミンあるいはビスアクリルアミドのエステルである、3つの構成要素からなる架橋剤とモノマーのコンビネーション(組み合わせ)を用いて製造することが可能な液体吸収ポリマーが記載されている。
【0007】
WO 90/15830号には、ビス−またはトリアシロイルを含有する第1架橋剤およびビスアリルエーテル、ビスアリルアミド、ビスアリルアミンおよびトリアリルアミンから選択される第2架橋剤からなる共重合化架橋剤混合物を含む水膨潤性の親水コロイドポリマーが開示されている。
【0008】
WO 02/32964号には、少なくとも二種のアクリル(メタクリル)酸エステルユニット/分子を有する第1架橋剤および少なくとも二種のアリルオキシ(メタリルオキシ)ユニット/分子を有する第2架橋剤から構成される架橋剤混合物が、架橋された水膨潤性ポリマーの製造用に推奨されている。
【0009】
水膨潤性が付加されたポリマーは、連続製造工程において経済的に製造することが可能である。例えば、EP−A−0 223 063号は、シングルスクリューの円筒(シリンダ)ミキサーであって、その混合セグメントは円筒ミキサーの上流端から下流端へと原料を運搬することに効果的なミキサーにおけるゲルフォーム中の付加ポリマーの架橋微細粒子の連続製造の方法を示している。
【0010】
DE−A−199 55 861号は、ゲルフォーム中の付加ポリマーの架橋微細粒子の連続製造の方法を示している。ここで、水溶性モノエチレン性不飽和モノマーおよび架橋剤が特別に構築した混合ニーダー機に投入される。
【0011】
本願発明の目的は、吸水力、ゲル強度、吸い取り速度、ならびに連続製造工程において有益な製造可能性につながる抽出能力の観点から、バランスの良い特性プロフィールを有する、架橋された水膨潤性ポリマーを提供することである。
【0012】
トリアリルアミン内部架橋剤(internal crosslinker)は、とりわけ中性または塩基性の媒質中で重合が行われる場合に、低い抽出能力を有する水膨潤性ポリマーを提供する。しかしながら、トリアリルアミンおよびトリアリルアミン中の不純物(モノアリルアミンおよびジアリルアミン)は毒性を有している点において、トリアリルアミンの使用に関して不都合がある。さらに、アリルアミンは皮膚を通じてすばやく吸収され、また揮発性(モノアリルアミンの沸点は58℃、ジアリルアミンの沸点は111℃、トリアリルアミンの沸点は155℃)である。
【0013】
すなわち、低い抽出可能画分を有し、トリアリルアミンに比べてより少ない毒性およびより少ない揮発性の水膨潤性ポリマーを製造することを可能とする内部架橋剤に対する必要性が引き続き存在する。
【0014】
特記しない限り、本明細書中において使用される架橋とは、ゲル架橋、内部架橋、あるいは線状またはわずかに架橋されたポリマーの架橋を意味するものであると解釈される。この架橋はフリーラジカルまたは陽イオン重合メカニズム、あるいはマイケル付加、エステル化またはエステル交換などのその他のメカニズムを通じで行うことが可能であるが、好ましくはフリーラジカル重合により行われる。
【0015】
架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーは、好ましくは使用されるポリマーを基準としてそれ自身の重量の0.9重量%の塩化ナトリウム溶液の少なくとも10倍、また好ましくは20倍の吸水が可能である。例えば0.7psiの圧力下であってもこのような吸水が達成されることが好ましい。
【0016】
新規な架橋剤を使用することにより、先述の目的が達成されることを我々は発見した。
【0017】
すなわち、本願発明は一般式I
【0018】
【化1】

[式中、
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはC〜Cアルキルであり、このうちC〜Cアルキルは分岐または非分岐鎖であり、
はC〜Cアルキルであり、このうちC〜Cアルキルは分岐または非分岐鎖であり、
は水素またはメチル基であり、
mは0〜10の整数であり、
nは1または2であり、
oは0または1であり、
pは1または2であり、
qは2〜100の整数であり、
n、oおよびpの合計は3であり、ならびに
Aは
【0019】
【化2】

により構成される群から選択される同一または異なる基であり、
式中、*は結合位置を特定するものである]の不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステルを提供するものである。
【0020】
一般式Iの不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステルとして好ましいものは、式中、
、R、R、RおよびRはそれぞれ水素であり、
はC〜Cアルキルであり、このうちCアルキルは分岐または非分岐鎖であり、
は水素またはメチル基であり、
mは0または1であり、
nは1または2であり、
oは0または1であり、
pは1または2であり、
qは3〜40の整数であり、
n、oおよびpの合計は3であり、ならびに
Aは
【0021】
【化3】

により構成される群から選択される同一または異なる基であり、
式中、*は結合位置を特定するものである。
【0022】
一般式Iの不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステルとして特に好ましいものは、式中、
、R、R、RおよびRはそれぞれ水素であり、
は水素またはメチル基であり、
mは1であり、
nは1または2であり、
oは0であり、
pは1または2であり、
qは5〜20の整数であり、
n、oおよびpの合計は3であり、ならびに
Aは
【0023】
【化4】

であり、
式中、*は結合位置を特定するものである。
本願発明の不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸は、例えば一般式II
【0024】
【化5】

[式中、
、R、R、R、R、RおよびAは、それぞれ上述の通りである]のアルコールから、アクリル(メタクリル)酸およびアクリロイル(メタクリロイル)クロライドのエステル交換により、あるいはアクリル(メタクリル)酸無水物の酸分解によっても製造することが可能である。低級アクリル(メタクリル)酸エステルを用いたエステル交換が好ましい。低級アクリル(メタクリル)酸エステルとは、標的のエステルよりも低い沸点を有するアクリル(メタクリル)酸エステルである。
【0025】
例えば、このようなエステル交換は、例えばEP−A−0 999 229号に記載されるように酵素的に、あるいは例えばGB−1,112,439号に記載されるように塩基触媒下で製造することが可能である。
【0026】
有用な不飽和アミノアルコールには、不飽和アミンと1種以上の酸化アルキレン(アルキレンオキシド)との反応により得ることが可能なアルコキシル化不飽和アミンが含まれる。
【0027】
好適な不飽和アミンは、例えば、ジアリルアミン、アリルアミン、メチルアリルアミン、エチルアリルアミン、プロピルアリルアミン、ジビニルアミン、ビニルアミン、メチルビニルアミン、エチルビニルアミンおよびプロピルビニルアミンである。ジアリルアミン、アリルアミン、およびメチルアリルアミンは好ましく、ジアリルアミンは特に好ましい。
【0028】
有用な酸化アルキレンには、例えば酸化エチレン(エチレンオキシド)、酸化プロピレン、(プロピレンオキシド)および/または酸化ブチレン(ブチレンオキシド)が含まれる。
【0029】
酸化アルキレン鎖は、好ましくは酸化エチレン、酸化プロピレンおよび/または酸化ブチレンを単位(ユニット)として構成されていてもよい。このような鎖は、単一種の酸化アルキレンまたは混合種の酸化アルキレンから構成され得る。混合種が使用される場合、様々な酸化アルキレン単位がランダムに、あるいは塊としてまたはそれぞれ種別の塊として存在していてもかまわない。酸化アルキレンは、好ましくは酸化エチレン、酸化プロピレンまたはこれらの混合物であり、より好ましくは酸化エチレン、または酸化エチレンと酸化プロピレンの混合物であり、最も好ましくは酸化エチレンである。
【0030】
各鎖における酸化アルキレン単位の好ましい数は、鎖数に依存し、各鎖中の酸化アルキレン単位は:
2〜100の範囲においてP=2に対し、好ましくは3〜30、より好ましくは5〜15、
2〜100の範囲においてP=1に対し、好ましくは5〜40、より好ましくは8〜20、
である。
記載したアルコキシル化の度合いは、それぞれ、アルコキシル化の平均重合度に合致する。
【0031】
その生産工程は、付加的に低級および高級オリゴマーが存在し得るような混合物が一般的に生じるものであることが望ましい。
【0032】
不飽和アミンと酸化アルキレンとの反応は、本質的に当業者に知られている。この反応の実施可能な方法としては、Houben−Weyl著、Methoden der Organischen Chemie、第4版、1963年、Thieme Verlag Stuttgart、第14/2巻、第440〜444ページに見出されるものであってもよい。
【0033】
混合型アルコキシル化不飽和アミンが使用される場合、その中に存在する異種のアルコキシ基は、お互いに対するモル比において、例えば0.05〜20:1、好ましくは0.1〜10:1、より好ましくは0.2〜5:1である。
【0034】
本願発明に従って使用することが可能な不飽和アミンの粘度は、約80℃で容易に膨張可能となるために特に必要な条件によって制約されることのないものであり、これらは1000mPas未満の粘度を有するべきであり、好ましくは800mPas未満であり、より好ましくは500mPas未満である。
【0035】
本願発明に有用なアクリル酸(メタクリル酸)エステルは、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびメタクリル酸2−エチルヘキシルであり、好ましくはアクリルメチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルである。
【0036】
有用なエステル交換触媒には、特にアルキル基がC−C−アルキル基であるチタンアルコキシド、例えばテトラメチル、テトラエチル、テトライソプロピル、テトラn−プロピル、テトライソブチルおよびテトラn−ブチルチタネートが含まれる(例えば、EP−B−0 298 867号、EP−A−0 960 877号を参照のこと)。有用な触媒には、さらにチタンフェノキシド(DE−A−20 08 618号)、例えばハフニウム、チタン、ジルコニウム、またはカルシウム、アルカリ金属およびマグネシウムアルコキシドの金属キレート化合物、有機スズ化合物またはカルシウムおよびチタン化合物、例えば酸化物、水酸化物、炭酸塩、またはハロゲン化物、が含まれる。有用なエステル交換触媒にはさらに強塩基性イオン交換剤またはゼオライトが含まれる。好ましいものとしては、チタンアルコキシドおよびナトリウムアルコキシドが挙げられる。とりわけ非常に好ましいものとしては、そのアルコール成分が使用される低級アクリル(メタクリル)酸エステルのアルコール成分と一致するチタンアルコキシドおよびナトリウムアルコキシドが挙げられる。
【0037】
あとで理解されるように、エステル交換は平衡反応であることから、業務に向けた変換量を得るためには出発物質が過剰に使用され、および/または反応生成物のひとつが平衡から除去される。したがって、エステル交換の進行中に放出されるアルコールは、通常は蒸留によって平衡から除去される。このことがもたらす不利益は、放出されるアルコール(通常はメタノール、エタノールまたはn−ブタノールである、)が対応するアクリル(メタクリル)酸エステル(それぞれアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル)と結合して共沸化合物を形成するために、蒸留によって直接分離することができないことである。
【0038】
蒸留混合物または共沸化合物あるいはその各種成分(アルコールおよび/またはアクリル(メタクリル)酸エステル)をアクリル(メタクリル)酸エステル(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、またはアクリル酸n−ブチル)の製造に再利用することは、環境および経済の面において好都合である。
【0039】
有用な重合阻害剤には、例えばアルキルフェノールなどのフェノール類、例えばo−、m−、またはp−クレゾール(メチルフェノール)、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、ヒドロキノン、ピロカテコール(1,2−ジヒドロキシベンゼン)、アミノフェノール類、例えばパラアミノフェノール、ニトロソフェノール類、例えばパラ−ニトロソフェノール、p−ニトロソ−o−クレゾール、アルコキシフェノール類、例えば2−メトキシフェノール(グアヤコール、ピロカテコールモノメチルエーテル)、2−エトキシフェノール、2−イソプロポキシフェノール、4−メトキシフェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、トコフェロール類、例えばα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールおよびε−トコフェロール、トコール、α−トコフェロールヒドロキノン、キノン類およびヒドロキノン類、例えばヒドロキノンまたはヒドロキノンモノメチルエーテル、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ベンゾキノン、ジフェニルエテン、N−オキシル類、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、芳香性アミン類、例えばフェニルジアミン、N,N−ジフェニルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン、ニトロソジエチルアニリン、N,N’−ジアルキルパラ−フェニレンジアミン、ここでアルキル基類は同一または異なるものであり、それぞれ独立して1〜4個の炭素原子から構成される直鎖または分岐鎖であり、例えばN,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソ−プロピル−p−フェニレンジアミン、ヒドロキシアミン類、例えばN,N−ジエチルヒドロキシアミン、尿素誘導体、例えば尿素またはチオ尿素、リン化合物、例えばトリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル、次亜リン酸または亜リン酸トリエチル、硫黄化合物、例えばジフェニルスルフィド、フェノチアジンまたは金属塩、例えば塩化銅、ジチオカルバミン酸銅、硫酸銅、サリチル酸銅、酢酸銅、塩化マンガン、ジチオカルバミン酸マンガン、硫酸マンガン、サリチル酸マンガン、酢酸マンガン、塩化セリウム、ジチオカルバミン酸セリウム、硫酸セリウム、サリチル酸セリウム、酢酸セリウム、塩化ニッケル、ジチオカルバミン酸ニッケル、硫酸ニッケル、サリチル酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化クロム、ジチオカルバミン酸クロム、硫酸クロム、サリチル酸クロム、酢酸クロムまたはこれらの混合物、が含まれる。
【0040】
好適なものとしては上述のフェノール類およびキノン類が挙げられ、特に好適なものとしては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、α−トコフェロール、ジフェニルエチレン、亜リン酸トリフェニル、次亜リン酸、CuCl、グアヤコールが挙げられる。
【0041】
特に好適なものとしては、ヒドロキノンモノエチルエーテル、α−トコフェロール、ヒドロキノンおよびアルキルフェノール類、ジフェニルエチレンであって、任意に亜リン酸トリフェニルおよび/または次亜リン酸と組み合わせたものが挙げられる。
【0042】
非常に好適なものとしては、ヒドロキノンモノエチルエーテル、α−トコフェロール、ジフェニルエチレンまたはこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
好ましくは空気または空気と窒素との混合物(リーンエア)といった、酸素含有ガスの存在により、さらに安定化について議論することが可能である。酸素含有ガスは、より好ましくは体積比で10%未満の酸素を含み、最も好ましくは体積比で4〜6%の酸素を含む。
【0044】
列挙した安定化剤の中で好ましいものとしては、これらの中で有酸素のもの、すなわち阻害作用を完全に発揮するために酸素の存在を必要とするものが挙げられる。
【0045】
勿論、エステル交換は溶媒、とりわけ脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素またはこれらの混合物といったアルコールのアキセオトロピック(axeotropic)除去に対して特に適した溶媒を用いて実施することも可能である。
【0046】
好ましいものとしては,n−ペンタン、n−へキサン、n−へプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエンまたはキシレンが挙げられる。特に好ましいものとしては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびトルエンが挙げられる。
【0047】
エステル交換において、溶媒を使用しないこと、そしてエステル交換に使用される過剰の低級アクリル(メタクリル)酸を使用することが非常に好ましい。
【0048】
通常、エステル交換は以下にしたがって実行することができる。
【0049】
エステル交換装置には、例えば攪拌反応器、好ましくは循環型蒸発装置および蒸留ユニットを加えた反応器が含まれる。
【0050】
反応器は、例えば被覆付き加熱コイルおよび/または内蔵型加熱コイルを備える反応器であってもよい。熱交換器ならびに天然型またはポンプの使用を通じた強制型の循環手段を有する内蔵型反応器を使用することが好ましく、機械的補助なく循環がおこなわれる天然型の循環手段がより好ましい。
【0051】
例えば、2〜4個のリアクターバッテリー、好ましくは2〜3個のリアクターといった複数の反応領域で反応をおこなうことも可能であることが理解される。
【0052】
好ましい循環型蒸発装置は当業者に知られており、例えばR.Billet、Verdampfertechnik、HTB−Verlag、Bibliographisches Institut Mannheim、1965、53に記載されている。循環型蒸発装置の例は、チューブバンドル熱交換器、プレートタイプ熱交換器などである。
【0053】
蒸留ユニットは従来のデザインによる。適切であればスプラッシュガードを取り付けた簡単な蒸留ユニットであってもよく、あるいは精留塔(精留カラム)であってもよい。適切なカラム内部には、一般的な内蔵部品の全て、例えばトレー、構造化パッキングおよび/またはダンプ化パッキング、が原則として含まれる。好適なトレーには泡鐘段(バブルキャップトレー)、網目板、バルブトレー、Thormannトレーおよび/またはデュアルフロートレーが含まれるが、適切なダンプ化パッキングはリング、コイル、サドルまたはブレートなどである。
【0054】
一般的には5〜20の理論段で充分である。
【0055】
コンデンサーは従来のデザインによる。
【0056】
通常、低級アクリル(メタクリル)酸エステルおよび不飽和アミノアルコールは、アルコールの水酸基をベースとして先述のように過剰モルにてエステル交換に使用される。使用される過剰分は、必要に応じて約1000:1を超えないものであっても構わない。
【0057】
有用なエステル交換触媒には、先に列挙したものが含まれる。
【0058】
これらは通常、エステル交換混合物を基準として0.1〜5重量%の量、好ましくは0.5〜5重量%の量、さらに好ましくは1〜4重量%の量、最も好ましくは2〜4重量%の量にて使用される。
【0059】
必要であれば、イオン交換体を用いてエステル交換触媒を反応混合物から除去することが可能である。使用する場合には、イオン交換体を直接反応混合物に加え、次にろ過を行うことが可能であり、あるいは反応混合物をイオン交換床に通すことが可能である。
【0060】
しかしながら、触媒がけん濁されたイオン交換体である場合には、ろ過によって除去することが好ましい。
【0061】
重合防止剤(混合物)は通常、エステル交換混合物を基準として0.01〜1重量%、好ましくは0.02〜0.8重量%、より好ましくは0.05〜0.5%を総量として使用される。
【0062】
重合防止剤(混合物)は、例えばアルコール溶液として、あるいは反応物質中または製品中の溶液として使用することが可能である。
【0063】
好ましくは空気または空気と窒素との混合物(リーンエア)といった、酸素含有ガスの存在により、さらに安定化について議論することが可能である。
【0064】
好ましくは、この酸素含有ガスを、カラムの底部領域内および/または循環型蒸発装置内で測定し、および/または反応混合物中を通過させ、および/またはその上を通過させる。
【0065】
反応における低級アルコールはエステル交換中またはその後に蒸留することが可能であり、そのような場合には、アルコールと共に共沸混合物を形成する溶媒によって、この作業を増幅することが可能である。
【0066】
必要な場合、アルコールの共沸混合物除去のために使用する溶媒には、先に列挙した炭化水素、または過剰に使用する低級アクリル(メタクリル酸)エステルが含まれる。
【0067】
好ましくは、エステル交換は過剰の低級アクリル(メタクリル酸)エステルの存在下で行なわれる。
【0068】
反応混合物中の低級アルコールが共沸混合物を形成する溶媒を通じて除去することができない場合には、好ましくは酸素含有ガス、より好ましくは空気またはリーンエアといった不活性ガスでストリッピングすることにより除去することが可能である。
【0069】
エステル交換の反応温度は、通常、40〜160℃の範囲であり、好ましくは60〜140℃の範囲、より好ましくは80〜120℃の範囲である。反応の進行中、温度は一定に保つか、あるいは上昇させてもよいが、反応進行中の温度を上昇させることが好ましい。この場合、開始時の温度に比べてエステル交換の最終温度が5〜30℃高い。エステル交換の温度は、反応混合物中の溶媒濃度を変化させることにより、または反応圧を変化させることにより調整することができる。
【0070】
濃縮後の蒸留液は選択的に除去、および/または蒸留ユニットへ還流として投入、および/または直接反応ゾーンへと送致、および/またはWO 02/50014号に記載されるように循環型蒸発装置に投入することが可能である。
【0071】
DE−A−199 41 136号に記載されるように、還流をエステル交換の温度調整に使用することができる。
【0072】
エステル交換は大気圧、超大気圧または減圧下で行なうことが可能であるが、大気圧または減圧下で行なうことが好ましく、300〜1013mbarの範囲における反応圧下で行なうことがより好ましい。
【0073】
反応時間は、通常、2〜20時間の範囲であり、好ましくは4〜15時間の範囲、より好ましくは7〜12時間の範囲である。
【0074】
各種反応成分を添加する順序は重要ではない。全ての成分は混合型の初期投入物として導入し、次に加熱することが可能であり、あるいは、ひとつまたはそれ以上の成分を初期投入物より除外するか、またはその一部だけを初期投入物に含めることが可能である。
【0075】
天然循環型蒸発装置を備えた反応器内でエステル交換を行なう場合、低沸点の反応成分を少なくともその一部として初期投入物に含めることが有利である。
【0076】
使用可能な低級アクリル(メタクリル)酸エステルは、その組成に含まれるものに限定されるものではなく,n−ブチルアクリレートの場合、例えば以下の組成を含むことが可能である:
n−ブチルアクリル酸 98〜99.9重量%
n−ブチルアセテート 0.01〜0.1重量%
n−ブチルプロピオン酸 0.01〜0.1重量%
水 0.001〜0.05重量%
カルボニル基 0.001〜0.03重量%
アクリル酸 0.001〜0.01重量%
阻害剤 0.001〜0.002重量%
使用されるアクリル(メタクリル)酸エステルは、通常、10〜20ppmのヒドロキノンモノメチルエーテル、または同程度の安定化が認められる量のその他の安定化剤により安定化される。本明細書においてカルボニル基とは、例えばアセトンおよび低級アルデヒド類であり、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、2−フルフラール、3−フルフラールおよびベンズアルデヒドが例示される。
【0077】
好ましくは酸素含有ガス、より好ましくは空気または空気と窒素との混合物(リーンエア)といった不活性ガスを、反応混合物を基準として0.1〜1、好ましくは0.2〜0.8、ならびにさらに好ましくは0.3〜0.7m/mhの割合で下方より循環型蒸発装置に通すことによって、さらに循環を補助しても構わない。
【0078】
エステル交換の進行は、生じるアルコールの量を計測することにより計測することができる。
【0079】
反応は、理論上期待されるアルコール量の例えば90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%が生じた時点ですぐに終了することが可能である。
【0080】
エステル交換が終了した後、エステル交換の触媒は通常の方法により破棄される。チタンアルコキシドの場合、これに少量の水を加えて、ろ過が可能な二酸化チタン沈殿物を形成させることによって、あるいはアルカリ金属アルコキシドの場合、好ましくはアクリル(メタクリル)酸を用いた中和によって実施される。
【0081】
その他の態様において、例えば粘度を下げるために、エステル交換終了後の反応混合物を、例えば10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%、さらにより好ましくは30〜50重量%、とりわけ約40重量%の濃度へと水で希釈しても構わない。
【0082】
必要であれば、例えば活性炭または金属酸化物、例えばアルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素またはこれらの混合物を、例えば0.1〜50重量%、0.5〜25重量%、より好ましくは1〜10重量%の量で、例えば10〜100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは30〜60℃の温度で用いて処理することによって、反応混合物を脱色してもかまわない。
【0083】
これは、粉体または粒子の脱色剤を反応混合物に加え、その後にろ過を行なうことによって、あるいは、いずれかの所望の好適な成型品の形状にある脱色剤のベッド(床)へ、反応混合物を通過させることによって達成することができる。
【0084】
反応混合物の脱色は、例えば、未精製の反応混合物の段階、あるいはいずれかの中和の後または未反応の低級アクリル(メタクリル)酸エステルの除去後などの、ワークアッププロセス中の所望の段階のいずれであっても行なうことができる。
【0085】
エステル交換のために過剰に使用され、そして反応混合物中に存在している低級アクリル(メタクリル)酸エステルは、蒸留により実質的に除去される。さらに、未精製のエステルに含まれる低沸点の成分、例えば溶媒が、同時に除去される。
【0086】
低級アクリル(メタクリル)酸エステルの主たる量の蒸留による除去は、例えば被覆付きの加熱装置および/または内蔵型の加熱コイルを備えた攪拌槽中で、例えば20〜700mbar、好ましくは30〜500mbar、さらに好ましくは50〜150mbarの減圧下にて、40〜120℃にて達成される。
【0087】
流下膜式蒸発器または薄膜蒸発器でも蒸留を行なうことが可能であることが理解されるであろう。このためには、反応混合物は、例えば20〜700mbar、好ましくは30〜500mbar、より好ましくは50〜150mbarの減圧下の装置を通じて、40〜120℃にて、好ましくは2〜3回再循環される。
【0088】
希釈に水を使用する場合、未反応のアクリル(メタクリル)酸エステルは共沸蒸留により除去することができる。濃縮後、この蒸留液を相分離装置に投入してもよい。このようにして得られた有機層を系から除去してもかまわないが、水相も同様にこの系から除去するか、還流として蒸留ユニットへと投入される。
【0089】
好ましくは酸素含有ガス、より好ましくは空気または空気と窒素の混合物(リーンエア)といった不活性ガスを、反応混合物の容積を基準として、例えば0.1〜1m/m/h、好ましくは0.2〜0.8m/m/h、より好ましくは0.3〜0.7m/m/hにて、好ましくは蒸留装置へ導入してもかまわない。
【0090】
蒸留後の残渣中の初期エステルのレベルは、通常は5重量%未満、好ましくは0.5〜5重量%の範囲内、さらに好ましくは1〜3重量%の範囲内である。
【0091】
除去されたアクリル(メタクリル)酸エステルは濃縮され得るものであり、好ましくは再利用され得る。
【0092】
必要であれば、溶媒のストリッピング工程は蒸留に加えて、あるいは蒸留の代わりとして行なうことができる。
【0093】
このため、少量の低級アクリル(メタクリル)酸エステルおよび/または溶媒をまだ含んでいる標的エステルを50〜90℃、好ましくは80〜90℃に加熱し、好適な装置内で好適なガスを使用して溶媒の残量を除去する。必要であれば、容易にするために真空としても構わない。
【0094】
有用な装置の例としては、従来の内蔵部品、例えばトレー、ダンプ化パッキングまたは構造化パッキング、好ましくはダンプ化パッキングを含む従来のデザインのカラムが含まれる。有用なカラム内蔵部品には、例えばトレー、アレンジ化パッキングおよび/またはランダムパッキングといった、原則としてすべての周知の内蔵部品が含まれる。好適なトレーには、泡鐘段(バブルキャップトレー)、網目板、バルブトレー、Thormannトレーおよび/またはデュアルフロートレーが含まれるが、適切なダンプ化パッキングとはリング、コイル、サドル、ラシッヒ、Intosまたはポールリング、バレルまたはインタロックスサドル、Top−Pak等あるいはブレートである。
【0095】
本明細書におけるもうひとつの可能性は、流下膜、薄膜またはふき取り膜の蒸発器、例えばLuwa、RotafilmまたはSambay蒸発器であり、これらは例えばデミスターによりスプラッシュガードされていてもよい。
【0096】
有用なガスとしては、ストリッピング状況下において不活性であるガスが含まれ、好ましくは酸素含有ガス、より好ましくは空気または空気と窒素の混合物(リーンエア)あるいは水蒸気であり、とりわけ50〜100℃に予熱したガスである。
【0097】
ストリッピングガスの比率は、反応混合物を基準として、例えば5〜20、より好ましくは10〜20、もっとも好ましくは10〜15m/mhの範囲である。
【0098】
必要であれば、不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステルは、ワークアッププロセス中のいずれかの段階、しかしながら好ましくは低沸点溶剤の除去を行なった後に、塩の沈殿物および存在する脱色剤を除去する目的でろ過に供しても構わない。
【0099】
不飽和アミノアルコールおよび上記工程により得られる本願発明による水性溶液のアクリル(メタクリル)酸エステルは、次のように使用しても構わない:
吸水性のハイドロゲルフリーラジカル架橋剤として、
分散ポリマー製造の出発物質として、
ポリアクリル酸塩(ハイドロゲルトは異なる、)製造の出発物質として、
塗料の原料として、または
セメント混和剤としてである。
【0100】
特に本願発明による不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステルは、25℃の蒸留水に対する溶解性が5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%、とりわけ50重量%以上である吸水性のハイドロゲルフリーラジカル架橋剤として有用である。
【0101】
架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーの製造に有用な親水性モノマーには、例えば付加重合が可能である酸として例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、アリルスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシプロピルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸、アリルホスホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸およびこれらのアミド、ヒドロキシアルキルエステルおよびアミノ−またはアンモニオ−含有エステルおよびアミド、が含まれる。
【0102】
これらのモノマーはお互いに単独または混合して使用することができる。さらに、水溶性N−ビニルアミドおよびジアリルジメチル塩化アンモニウムも同様である。
【0103】
特に好ましい親水性モノマーはアクリル酸およびメタクリル酸である。
【0104】
特性を最適とするために、酸性基を支持しないが、酸性基を支持するモノマーと共重合することが可能な、モノエチレン的に不飽和の化合物を使用することは、理にかなっている可能性がある。このような化合物には、例えばモノエチレン的に不飽和のカルボン酸のアミドおよびニトリル、例えばアクリルアミド、メタクリルアミドおよびN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチルビニルアセトアミド、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが含まれる。さらなる好ましい化合物の例は、ギ酸ビニル、酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニルなどの飽和C−〜C−カルボン酸のビニルエステル類、例えばエチルビニルエーテルまたはブチルビニルエーテルといったアルキル基に二つ以上の炭素原子を有するアルキルビニルエステル類、例えばC−〜C18−一価アルコールとアクリル酸、メタクリル酸、またはマレイン酸とのエステルといったモノエチレン的に不飽和のC−〜C−カルボン酸エステル類、メチルヒドロゲンマレアートといったマレイン酸のモノエステル類、例えばN−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムといったN−ビニルラクタム類、例えば2〜200モルのエチレンオキシドと反応させた10〜25炭素原子を有するアルコールといったアルコキシル化飽和一価アルコールのアクリル酸またはモノアクリル酸エステル類、およびポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのモノアクリルエステルであり、ポリアルキレングリコールのモル質量(M)は例えば2000以下である。さらなる好ましいモノマーの例は、スチレンおよびエチルスチレンやtert−ブチルスチレンなどのアルキル置換型スチレンである。
【0105】
これらの酸性基を持たないモノマーは、例えばビニルアセテートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの任意の割合における混合物といった、他のモノマーとの混合で使用することも可能である。これらの酸性基を持たないモノマーは、0〜50重量%の範囲、好ましくは20重量%未満の量にて反応溶液に加えられる。
【0106】
架橋構造を有する(コ)ポリマー(=架橋構造を有する(共)重合体)は、好ましくは、重合化の前後に、任意にそのアルカリ金属またはアンモニウム塩に置換された、酸機能を有しモノエチレン的に不飽和のモノマーにより、酸性基を持たないモノエチレン的に不飽和のモノマーの総重量を基準として0〜40重量%にて構成される。
【0107】
アクリル(メタクリル)酸(コ)ポリマー、ポリアクリル酸および超吸収体は広範囲にわたって以前記載されており、例えば「Modern Superabsorbent Polymer Technology(現代の超吸収ポリマー技術)」F.L.BuchholzおよびA.T.Graham、Wiley−VCH、1998年、第69〜117頁が参照される。
【0108】
好ましいものとしては、酸機能を有しモノエチレン的に不飽和のモノマーまたはその塩の付加重合または共重合を架橋結合することにより得られるハイドロゲルが挙げられる。
【0109】
架橋結合後の工程では、好ましくは後架橋処理中または処理後に、開始ポリマーを後架橋剤で処理し、そして温度を上昇させて乾燥するが、この架橋剤は、好ましくは不活性溶媒に含まれる。不活性溶媒とは、開始ポリマーあるいは後架橋剤と実質的に反応しない溶媒である。好ましいものとしては、90%を超える、好ましくは95%を超える、より好ましくは99%を超える、とりわけ99.5%を超える範囲で開始ポリマーあるいは後架橋剤と化学的に反応しない溶媒が挙げられる。
【0110】
後架橋および乾燥は、好ましくは30〜250℃、特に50〜200℃、もっとも好ましくは100〜180℃にて行なわれる。表面後架橋溶液は、好ましくは適切なスプレーミキサー中のポリマーをスプレーすることによって塗布される。スプレー後にはポリマーパウダーは熱で乾燥され、また、架橋反応は乾燥工程の前のみならず、乾燥工程中にも行なうこが可能である。好ましいものとしては、レーディゲミキサー、BEPEXミキサー、NAUTAミキサー、SHUGGIミキサーまたはPROCES−SALLなどの反応ミキサーまたは混合および乾燥レンジ内で架橋剤の溶液をスプレーすることが挙げられる。さらに流動層乾燥機を使用することも可能である。
【0111】
乾燥工程は、シェルを加熱することにより、または温風を吹きかけることによりミキサー自体で行うことが可能である。例えばシェルフドライヤー、ロータリーチューブオーブンまたはヒータブルスクリューなどのダウンストリームドライヤーもまた好ましい。しかしながら、乾燥技術として、例えば共沸蒸留を使用することも可能である。この温度での、反応ミキサーまたはドライヤー中における好ましい滞留時間は、60分未満、好ましくは30分未満である。
【0112】
好ましいものとしては、高分子アクリル(メタクリル)酸またはポリアクリ(メタクリ)レート、特に、多官能性でエチレン的に不飽和のフリーラジカル架橋剤を使用したフリーラジカル重合により得られた、高分子アクリル酸またはポリアクリル酸が開始ポリマーである上述の方法(工程)が挙げられる。
【0113】
好ましいものとしては、開始ポリマーを基準として0.01〜5.0重量%、好ましくは0.02〜3.0重量%、より好ましくは0.03〜2.5重量%、特に0.05〜1.0重量%、ならびに、とりわけ0.1〜0.75重量%の用量のフリーラジカル架橋剤が使用された、これらの方法が挙げられる。
【0114】
本願発明はまた、上述の方法のひとつにより製造されたポリマーならびに衛生用品、包装材および不織布におけるこれらの使用、ならびに、架橋構造を有する、または熱的に架橋することが可能なポリマーを製造するための上記組成物の使用、特に塗料およびニスにおける使用、を提供するものである。
【0115】
使用される架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマー(開始ポリマー)は、特に(コ)ポリマー化親水性モノマー、適切なグラフトベース上における一種またはそれ以上の親水性モノマーのグラフト(共)重合体、架橋構造を有するセルロースまたはデンプンエステル、あるいは、例えばグアー誘導体などの液体中で膨張が可能な天然物質である。これらのハイドロゲルは、当業者に知られており、例えばUS−4,28,082号、DE−C−27 06 135号、US−4,340,706号、DE−C−37 13 601号、DE−C−28 40 010号、DE−A−43 44 548号、DE−A−40 20 780号、DE−A−40 15 085号、DE−A−39 17 846号、DE−A−38 07 289号、DE−A−35 33 337号、DE−A−35 03 458号、DE−A−42 44 548号、DE−A−42 19 607号、DE−A−40 21 847号、DE−A−38 31 261号、DE−A−35 11 086号、DE−A−31 18 172号、DE−A−30 28 043号、DE−A−44 18 881号、EP−A−0 801 483号、EP−A−0 455 985号、EP−A−0 467 073号、EP−A−0 312 952号、EP−A−0 205 874号、EP−A−0 499 774号、DE−A−26 12 846号、DE−A−40 20 780号、EP−A−0 205 674号、US−5,145,906号、EP−A−0 530 438号、EP−A−0 670 073号、US−4,057,521号、US−4,062,817号、US−4,525,527号、US−4,295,987号、US−5,011,892号、US−4,076,663号またはUS−4,931,497号に記載されている。WO 01/38402号に記載される製造工程による架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマー、ならびにDE 198 54 575号に記載される、架橋構造を有する膨潤性の無機物/有機物のハイブリッドであるハイドロゲル形成ポリマーもまた、特に好ましい。前述の特許文書の内容、特にこの方法により製造されるハイドロゲル、は参照により本明細書に積極的に援用される。
【0116】
オレフィン的に不飽和酸のグラフト共重合により得ることができる、架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマー用のグラフトベースは、天然または合成由来で構わない。デンプン、セルロース、セルロース誘導体、ならびにその他の多糖類またはオリゴ糖、特にポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドといったポリアルキレンオキシド、ならびに親水性ポリエステルが例示される。
【0117】
架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーは、水溶性ポリマーマトリックス上のアクリル酸またはアクリレートのフリーラジカルグラフト共重合により得ることができる。好ましい水溶性ポリマーマトリックスの例は、アルギン酸、ポリビニルアルコールおよび例えばデンプンなどの多糖類であるが、これらに限定されるものではない。本願発明の目的のためのグラフト共重合には、多官能性でエチレン的に不飽和のフリーラジカル架橋剤が利用される。
【0118】
架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーは、高分子アクリル酸またはポリアクリレートを一方とし、ケイ酸塩、アルミン酸塩またはアルミノケイ酸塩を他方として形成される、有機物/無機物のハイブリッドポリマーであってもよい。とりわけ、使用される高分子アクリル酸またはポリアクリレートが、多官能性でエチレン的に不飽和のフリーラジカル架橋剤を使用したフリーラジカル重合により得られ、水溶性ケイ酸または水溶性アルミン酸またはその混合物を使用して形成されるものであっても構わない。
【0119】
好ましい架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーは、特に、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレートならびにUS−4,931,497号、US−5,011,892号、US−5,041,496号に記載のグラフトポリマーである。とりわけ、非常に好ましい架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーは、WO 01/38402号に記載のニーダーポリマー、ならびにDE 198 545 75号に記載の、架橋構造を有する膨潤性の有機物/無機物のハイブリッドであるハイドロゲル形成ポリマーである。
【0120】
架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマー中のフリーラジカル架橋剤として有用な、本願発明にしたがって製造される材料は、単独で、あるいは内部または表面架橋剤など、例えば以下に示す他の架橋剤との組み合わせで使用することができる:
メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、不飽和のモノ−またはポリカルボン酸とジアクリレートまたはトリアクリレートなどのポリオールのエステル、例えばブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ならびに、トリメチルプロパントリアクリレートおよびアリルアクリレート(アリルメタクリルレート)、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステルなどのアリル化合物、ならびに、例えばEP−A−0 343 427号に記載されるようなリン酸ビニル誘導体などである。その他の好ましい共架橋剤は、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、モノエチレングリコールジアリルエーテル、グリセロールジアリルエーテル、グリセロールトリアリルエーテル、ソルビトールをベースとしたポリアリルエーテル、およびこれらをエトキシル化した変異体などである。特に好ましい共架橋剤として、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートのエトキシル化誘導体、例えばSartomer(登録商標) SR9035、ならびにグリセロールジアクリレートおよびグリセロールトリアシレートのエトキシル化誘導体がさらに含まれる。上記架橋剤の混合物を使用することも可能であることは明白である。
【0121】
とりわけ大変好ましいものとしては、単独のフリーラジカル架橋剤として本発明により製造された不飽和アミノアルコールのメタクリル酸エステルを使用して製造された、架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーが挙げられる。
【0122】
架橋構造を有する膨潤性のhydrogen形成ポリマーは、好ましくは高分子アクリル酸またはポリアクリレートである。
【0123】
架橋構造を有する膨潤性のhydrogen形成ポリマーは、本質的には既知である付加重合により製造することができる。好ましいものとしては、水溶液中でゲル重合として行なわれる付加重合が挙げられる。先述したように、これには、好ましくは一種またはそれ以上の親水性モノマーと、任意にTrommsdorff−Norrish作用(Makromol.Chem.1、169(1947))を利用した、好ましくは機械的な混合なしに、フリーラジカル開始剤の存在下において重合化された好適なグラフトベース(グラフトベース)の水性溶液であって、より好ましくは15〜50重量%の水性溶液の希釈が含まれる。重合化反応は0℃〜150℃、好ましくは10℃〜100℃にて、大気圧のみならず超大気圧(superatomospheric)または減圧下にて行なってもよい。通常、重合化は保護ガス雰囲気、特に窒素下、にて行うことも可能である。付加重合は、高エネルギーの電磁波または通例の化学重合開始剤、例えばベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルハイドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、クメンハイドロペルオキシドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ならびに(NH、KまたはHなどの無機過酸化物を使用することにより誘発される。
【0124】
所望により、これらは、DE−C−1 301 566号に記載されるように、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、および硫酸鉄(II)などの還元剤、または含有される還元化合物が、ベンゼンスルフィン酸およびトルエンスルフィン酸またはこれらの誘導体などの脂肪族および芳香族スルフィン酸、例えばスルフィン酸、アルデヒドおよびアミノ化合物のマンニッヒ付加物(Mannich adduct)である酸化還元系(レドックス系)との組み合わせとして使用することが可能である。50℃〜130℃、好ましくは70℃〜100℃の温度範囲にて数時間、ポリマーを後熱することによって、ポリマーの性能特性をさらに改善することが可能である。
【0125】
得られるゲルは、使用されるモノマーを基準として0〜100モル%、好ましくは25〜100モル%、より好ましくは50〜85モル%の範囲で中和されるが、そのためには通例の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物またはこれに対応するアルカリ金属炭酸物、より好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムを使用することが可能である。
【0126】
中和は、通常、水溶液または他に好ましくは固体である中和剤をゲルに混合することによって行なわれる。このため、例えばミートグラインダー(肉挽き器)を用いることによりゲルを機械的に粉砕し、そして中和剤をスプレーし、散布し、あるいは注ぎ、次に注意深く混ぜ合わせる。次に、得られたゲル塊は、繰り返しミートグラインダーを通過させて均質化する。
【0127】
次に、残存水分含量が好ましくは10重量%未満、とりわけ5重量%未満となるまで、中和されたゲル塊をベルトまたはカン(can)ドライヤーで乾燥する。
【0128】
このような付加重合は、文献に記載されている他のいずれかの方法によって行なうことも可能である。とりわけ、重合よりも先にアクリル酸の中和を行なうことも可能である。次に、従来のベルトリアクターまたはニーディングリアクターにて連続的に、あるいはバッチワイズに行なうことが可能である。重合がベルトリアクターで行われる場合、電磁波による、ならびに好ましくは紫外線による開始、あるいは代わりに酸化還元(レドックス)開始剤系を用いた開始が特に好ましい。特に非常に好ましいものとしては、同時に、電磁波および化学的な酸化還元開始系(レドックス系)の二種類の開始方法を組み合わせることが挙げられる。
【0129】
乾燥後の架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーは、粉砕してふるいにかけることが可能であるが、このような場合、粉砕にはロールミル、ピンミルまたは振動ミルが慣例として使用される。ふるいにかけた後のハイドロゲルの好ましい粒径は、好ましくは45〜1000μm、より好ましくは45〜850μm、さらに好ましくは100〜800μm、もっとも好ましくは100〜700μmである。好ましくは粒子重量の80%、とりわけ粒子重量の90%がこの範囲に入ることが好ましい。粒子サイズの分布は確立されたレーザー法を使用して決定される。
【0130】
さらに、本願発明は、重合化された形状であって、式(I)の非置換のアミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステルと共に架橋構造を形成する親水性モノマーを少なくとも一種以上含有する、架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーを提供するものである。
【0131】
好適な不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステルは、先に定義した式(I)のものであり、式中、qは独立して、
p=2では、1〜100、好ましくは3〜30、より好ましくは5〜15であり、
p=1では、1〜100、好ましくは5〜40、より好ましくは8〜20である。
【0132】
そのアクリル(メタクリル)酸エステルが前述の架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマー中の架橋剤として使用される、式(II)により説明される不飽和アミノアルコールは、それぞれアルコキシル化され、好ましくはエトキシル化されるか、プロポキシル化されるか、あるいはエトキシル化とプロポキシル化が混合され、特にエトキシル化されるか、あるいはエトキシル化とプロポキシル化が混合され、もっとも好ましくは排他的にエトキシル化される。
【0133】
不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステルは、式(I)のものであって、その不飽和アミノアルコールがジアリルアミン、アリルアミンおよびアリルメチルアミンに由来するものが特に好ましい。
【0134】
本願発明の架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーのCRC値〔g/g〕は、本記載に示す方法により測定することが可能であるが、これは少なくとも9であり、好ましくは15を超え、特に20を超えるものであり、さらに好ましくは25を超え、特に30を超えるものであり、より好ましくは35を超える。
【0135】
本願発明の架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーのAUL 0.7 psi値〔g/g〕は、本記載に示す方法により測定することが可能であるが、これは後架橋を行なった後では好ましくは5を超えるものであり、特に10を超えるものであり、さらに好ましくは15を超え、より好ましくは25を超える。
【0136】
さらに、本願発明は以下を含む衛生用品における上述のハイドロゲル形成ポリマーの使用に関するものであり、
(A)液体透過性トップシート
(B)液体不透過性バックシート
(C)(P)と(Q)の間に位置するコアであって、以下を含む:
10〜100重量%の、本願発明による架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマー、
0〜90重量%の親水性繊維(ファイバー)素材、
好ましくは、30〜100重量%の、本願発明による架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマー、0〜70重量%の親水性ファイバー素材、
より好ましくは、50〜100重量%の、本願発明による架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマー、0〜50重量%の親水性ファイバー素材、
特に好ましくは、70〜100重量%の、本願発明による架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマー、0〜30重量%の親水性ファイバー素材、
最も好ましくは、90〜100重量%の、本願発明による架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマー、0〜10重量%の親水性ファイバー素材、
(D)任意の、該コア(C)の上下に直接位置する組織層、ならびに
(E)任意の、(A)と(C)の間に位置する吸収層。
本願発明の目的のための衛生用品には、例えば、大人用の失禁パッドおよび失禁パンツのみならず、乳幼児用の紙オムツも含まれる。
【0137】
液体透過性トップシート(A)は皮膚に直接接触する層である。その材質には、通例の合成または人造の繊維あるいはポリエステル、ポリオレフィン、レーヨンのフィルム、またはコットンのような天然繊維が含まれる。不織布の場合は、その繊維はポリアクリレートなどのバインダーによって一般的に結合されている。好ましい材質は、ポリエステル、レーヨンおよびこれらの混紡、ポリスチレンならびにポリプロピレンである。液体透過性層の例はWO 99/57355号、EP−A−1 023 883号に記載されている。
【0138】
通常、液体不透過性層(B)は、ポリエチレンまたはポリプロピレンのシートである。
【0139】
コア(C)には、本願発明による架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーのほか、親水性繊維素材が含まれる。親水性とは、液体が繊維上で急速に広がることを意味している。通常、繊維素材とは、セルロース、修飾型のセルロース、レーヨン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルである。特に好ましいものとしては、パルプなどのセルロース繊維が挙げられる。一般的に、繊維は、1〜200μm、好ましくは10〜100μmの直径を有しており、長さの最小値は1mmである。
【0140】
紙オムツの構造および形状は一般的に知られており、例えばWO 95/26209号 第66ページの第34行目〜第69ページの第11行目、DE−A−196 04 601号、EP−A−0 316 518号およびEP−A−0 202 127号に記載されている。紙オムツおよびその他の衛生用品は、WO 00/65084号 特に第6〜15ページ、WO 00/65348号 特に第4〜17ページ、WO 00/35502号 特に第3〜9ページ、DE−A 197 37 434号およびWO 98/08439号に一般的に記載されている。女性向けの衛生用品は、以下の参照文献に記載されている。本願発明による、液体の吸収が可能な、架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーはここで使用することができる。女性衛生用品の参照文献:WO 95/24173号:臭気の調節を目的とした吸収用品、WO 91/11977号:体液臭の調節、EP−A−0 389 023号:吸収性の衛生製品、WO 94/25077号:臭気調節物質、WO 97/01317号:吸収性衛生用品、WO 95/18905号、EP−A−0 834 297号、US−5,762,644号、US−5,895,381号、WO 98/57609号、WO 00/65083号、WO 00/69485号、WO 00/69484号、WO 00/69481号、US−6,123,693号、EP−A−1 104 666号、WO 01/24755号、WO 01/00115号、EP−A−0 105 373号、WO 01/41692号、EP−A−1 074 233号。タンポンは以下の参照文献に記載されている:WO 98/48753号、WO 98/41179号、WO 97/09022号、WO 98/46182号、WO 98/46181号、WO 01/43679号、WO 01/43680号、WO 00/61052号、EP−A−1 108 408号、WO 01/33962号、DE−A−100 20 662号、WO 01/01910号、WO 01/01908号、WO 01/01909号、WO 01/01906号、WO 01/01905号、WO 01/24729号。失禁用品は以下の参照文献に記載されている:失禁患者用の使い捨て吸収用品:EP−A−0 311 344号 第3〜9ページに記載;使い捨て吸収用品:EP−A−0 850 623号、吸収用品:WO 95/26207号、吸収用品:EP−A−0 894 502号、乾燥した平板な繊維状の構造体:EP−A−0 850 616号、WO 98/22063号、WO 97/49365号、EP−A−0 903 134号、EP−A−0 887 060号、EP−A−0 887 059号、EP−A−0 887 058号、EP−A−0 887 057号、EP−A−0 887 056号、EP−A−0 931 530号、WO 99/25284号、WO 98/48753号。女性衛生用品および失禁用品は以下の参照文献に記載されている:生理用品:WO 93/229998号 第26〜33ページに記載、体液用の吸収部材:WO 95/26209号 第36〜69ページに記載、使い捨て吸収用品:WO 98/20916号 第13〜24ページに記載、改良型の合成吸収構造体:EP−A−0 306 262号 第3〜14ページに記載、体排泄物の吸収用品:WO 99/45973号。これらの参照文献は、これによって特に本願発明に援用される。
【0141】
本願発明による架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーは、水または液体の吸収体として非常に有用であることから、園芸市場における保水剤として、ろ過助剤として、そして、とりわけ紙オムツ、タンポン、生理用ナプキンなどの衛生用品における吸収部材として有利に使用することが可能である。
【0142】
先述の架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーに加えて、本願発明の吸収体組成物は、架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーを含む構造、あるいはこれにポリマーが固定される構造を含有するものである。架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーに適合することが可能であり、吸収層に一体化されることが可能であれば、いかなる構成であっても好ましい。このような化合物の多様性は既に知られている。架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーを組み込むための構成は、例えば、セルロース繊維混合物(air−laid繊維、wet−laid繊維)からなる繊維マトリックスまたは合成ポリマー繊維(meltblown繊維、スパンボンド繊維)、あるいはセルロース繊維と合成繊維のファイバーブレントである。可能な繊維素材は、下章に詳述されている。air−laid繊維の製法は、例えばWO 98/28478号に記載されている。オープンセル構造の発泡体または類似物を、架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーの取り込みに使用しても構わない。
【0143】
代わりに、このような構成は、二種類のそれぞれの層を一つに融合した結果であってもよく、あるいは、架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーを含む複数のチェンバーであるのがより良い。このようなチェンバーシステムはEP−A−0 615 736号 第7ページ26行目以降に詳しく記載されている。
【0144】
この場合、二種類の層の少なくともひとつは水透過性である。第二番目の層は水透過性または水不透過性のいずれであってもよい。層に使用される材質は、薄手の織物またはその他の布、クローズドセルまたはオープンセル構造の発泡体、有孔フィルム、エラストマーあるいは繊維素材で構成された布地であってもよい。吸収体組成物が複数層の組み合わせにより構成される場合、層の素材は、架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーを保持できる細さの直径の細孔構造を有しているべきである。吸収体組成物の構成に関する上述の例には、少なくとも二種類の層から構成され、これらの層の間に架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーが取り込まれ、固定されているラミネートも含まれる。
【0145】
一般的に、吸収体コアの中にハイドロゲル粒子を固定して、ドライ(乾燥)とウエット(湿潤)の完全性を改善することは可能である。ドライ(乾燥)とウエット(湿潤)の完全性とは、ドライおよびウェット状態において、外力に耐え、そして、極めて膨潤性であるポリマーが、ずれたり溢れ出さないような方法で、架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーを吸収体に取り込む能力を表している。参照される力は、特に、衛生用品を着用している間の動作中に起こるものとしての機械的ストレス(機械的応力)、あるいは、特に失禁用品の場合には衛生用品に対する体重圧である。固定化に関しては、当業者は種々の可能性を理解している。例えば熱処理、接着剤の添加、熱可塑性樹脂、バインダー素材などはWO 95/26209号の第37ページ、第36行目〜第41ページ、第14行目に記されている。このように引用されるページは本願発明の一部として取り扱われる。湿潤強度を増強する方法はWO 00/36216号に記載されている。
【0146】
さらに、吸収体組成物は基材を含んでいてもよく、例えばその表面に架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーが固定されるポリマーフィルムである。固定化は片面のみならず、両面に施しても構わない。基材は水透過性または水不透過性である。
【0147】
上記吸収体組成物の構成には、構成物および架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーの合計重量を基準として、10〜100重量%、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%、もっとも好ましくは90〜100重量%の重量分率にて、架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマーが組み込まれる。
【0148】
本願発明による吸収体組成物の組成は、繊維ネットワークまたはマトリックスとして使用される種々な繊維素材をベースとしても構わない。本願発明には、天然由来の繊維(修飾型、非修飾型)のみならず、合成繊維も含まれる。
【0149】
本願発明において使用可能な繊維の例に関する詳細な概要は、WO 95/26209号の第28ページ、第9行目〜第36ページ第8行目に示されている。したがって、ここで引用される一節は本願発明の一部とされる。
【0150】
セルロース繊維の例には、綿毛パルプ及びコットンタイプのセルロースなど、吸収性製品に通例として使用されるセルロース繊維が含まれる。素材(針葉樹または広葉樹)、化学パルプ、半化学パルプ、ケミサーモメカニカルパルプ(CMTP)などの製造工程ならびに漂白工程は特に限定されるものではない。例えば、綿、亜麻、絹、ウール、ジュート、エチルセルロースおよびセルロースアセテートなどの天然セルロース繊維が使用される。
【0151】
好ましい合成繊維は、ポリ塩化ビニル、フッ化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ORLON(登録商標)などのポリアクリル系化合物、ポリビニルアセテート、ポリエチルビニルアセテート、溶解性または不溶性のポリビニルアルコールから製造される。合成繊維の例には、熱可塑性のポリオレフィン繊維、例えばポリエチレン繊維(PULPEX(登録商標))など、ポリプロピレン繊維およびポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、ポリエステル繊維、例えばポリエチレンテレフタレート繊維(DACRON(登録商標)、KODEL(登録商標))など、コポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリエチルビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸、ポリアミド、コポリアミド、ポリスチレンおよび前記ポリマーのコポリマー(共重合体)、ならびにポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンイソフタレートのコポリマーで構成される複合繊維、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステル、ポリアミド繊維(ナイロン)、ポリウレタン繊維、ポリスチレン繊維およびポリアクリロニトリル繊維である。好適なものには、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、およびこれらの複合繊維が挙げられる。好適なものとしては、液体吸収後における優れた三次元安定性といった理由から、コア被覆型および並列型(side−by−side type)のポリオレフィンから構成される熱接着性の複合繊維が、さらに挙げられる。
【0152】
上述の合成繊維は、熱可塑性の繊維との組み合わせで使用されることが好ましい。熱処理の過程において、後者は、存在する繊維素材のマトリックス内へといくらかの広がりを持って移動し、これにより、冷却時に接着部位と再び硬化した成分とが形成される。加えて、熱可塑性繊維を添加するということは、熱処理が行なわれた後の現存する細孔の太さが増大することを意味している。吸収層形成の間に熱可塑性の繊維を継続的に加えることにより、トップシートの方向に熱可塑性の繊維のフラクションが継続的に増加することが可能となり、これによって細孔の大きさも同様に継続的に増大する結果となる。熱可塑性の繊維は、融点が190℃未満、好ましくは76〜175℃の範囲にある熱可塑性ポリマーの多様性により形成され得る。これらの温度は、セルロース繊維に起こると考えられるダメージには低温過ぎる。
【0153】
上述の合成繊維の長さと太さは、特に限定されるものではなく、一般的に1〜200mmの長さで0.1〜100デニール(9000メートルあたりのグラム数)の太さが好ましいものとして使用される。好ましい熱可塑性の繊維は、3〜50mmの長さであり、特に好ましい熱可塑性の繊維は、6〜12mmの長さである。熱可塑性の繊維の好ましい太さは、1.4〜10デシテックスの範囲であり、特に好ましくは1.7〜3.3デシテックス(10,000メートルあたりのグラム数)の範囲である。繊維の形状は多様であり得、織物タイプ、細い円筒形タイプ、カット/チョップド ヤーンタイプ、短繊維タイプおよび連続した(長い)フィラメント繊維タイプが、その例として挙げられる。
【0154】
本発明の吸収体組成物における繊維は、親水性および/または疎水性で構わない。1964年にAmerican Chemical Society出版の「Contact angle, wettability and adhesion(接触角度、湿潤性および接着性)」におけるRobert F.Gouldの定義によれば、液体と繊維(または繊維の表面)との間の角度が90度未満であるか、あるいは液体が同表面に自発的に広がる場合、その繊維は親水性であるとみなされる。二種のプロセスは通常共存する。反対に、90度を超える接触角度が形成され、液体の広がりが見られない場合、その繊維は疎水性と称される。
【0155】
親水性繊維素材を使用することが好ましい。身体側は弱い親水性であり、架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーを取り巻く領域は強力な親水性である繊維素材を使用することが特に好ましい。製造工程では、異なる親水性を有する層を使用して、接触した液体を、最終的に吸収される場であるハイドロゲルに流し込むための勾配を作り上げる。
【0156】
本願発明の吸収体組成物における使用に好ましい親水性繊維は、例えばセルロース繊維、修飾型セルロース繊維、レーヨン、ポリエステル繊維、例えばポリエチレンテレフタレート(DACRON(登録商標))および親水性ナイロン(HYDROFIL(登録商標))である。好ましい親水性繊維は、疎水性繊維を親水性とすること、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタンなど)より得られた熱可塑性の繊維の、界面活性剤またはシリカによる処理、により入手しても構わない。しかしながら、コスト上の観点および入手可能性の観点からは、セルロース系の繊維が好ましい。
【0157】
架橋構造を有する膨潤性のハイドロゲル形成ポリマー粒子は、記載の繊維素材に組み込まれる。これは種々の方法によりなされるが、例えば、ハイドロゲル素材および繊維を共に使用してマトリックスの形態の吸収体層を形成するか、あるいは、膨潤性の高いハイドロゲルを、最終的に固定される場である繊維混合層へと、層のラミネーションまたは接着剤を用いて組み込むことにより行なわれ得る。
【0158】
液体を獲得した、または液体が分散した繊維マトリックスは、合成繊維またはセルロース系繊維、あるいは合成繊維とセルロース系繊維との混紡を含んでいてもよく、この場合、混合率は(100〜0)合成繊維:(0〜100)セルロース系繊維の間で変動しても構わない。衛生用品の多面的な安定性を増加させるために、使用するセルロース系繊維にさらに化学的に強度を付与しても構わない。
【0159】
セルロース繊維の化学的強度の付与は、さまざまな方法で行われる。繊維強度の付与の第一の方法は、適切なコーティングを繊維素材に加えることである。このような添加剤には、例えば、ポリアミド−エピクロルヒドリン・コーティング(Kymene(登録商標)557 H、Hercules,Inc.社、Wilimington(ウィルミントン) Delaware(デラウェア)、米国)、ポリアクリルアミド・コーティング(US−3,556,932号に記載、または、Parez(登録商標)631 NC、 American Cyanamid Co.社、Stamford、米国より販売されている商品)、メラミン−ホルムアルデヒド・コーティングおよびポリエチレンアミン・コーティングが含まれる。
【0160】
セルロース系繊維もまた、化学反応により化学的強度の付与を行なっても構わない。例えば、効果的な架橋を実施するために、好適な架橋性物質を繊維中に加えてもよい。好適な架橋性物質とは、架橋性モノマーに使用される典型的な物質であり、C〜C−ジアルデヒド、酸機能性を有するC〜C−モノアルデヒド、ならびに、とりわけC〜C−ポリカルボン酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。このシリーズに由来する特定の物質は、例えば、グルタルアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、ホルムアルデヒドおよびクエン酸である。これらの物質は、いずれかのセルロース繊維中の、いずれかひとつのセルロース鎖中あるいは隣接する二本のセルロース鎖間における、少なくとも二個の水酸基と反応する。この処理の結果として、架橋が繊維の強度付与を生じ、より大きな多面的な安定性が付与される。これらの繊維は、その親水性の特性に加えて、強度と弾性を均質に併せ持つこととなる。この物理的特性により、液体と圧縮力が同時に接触する状況下における毛細管構造の保持および早期破損の防止が可能となる。
【0161】
化学的に架橋構造を有するセルロース繊維は既に知られており、WO 91/11162号、US−3,224,926号、US−3,440,135号、US−3,932,209号、US−4,035,147号、US−4,822,453号、US−4,888,093号、US−4,898,642号およびUS−5,137,537号に記載されている。化学的架橋は繊維素材に強度を付与するが、このことは、最終的に、その衛生用品全体に関して多面的安定性を改善する。各層は当業者に既知の方法、例えば、熱処理による内部溶解、熱溶解性接着剤の添加、ラテックスバインダーなどにより結合される。
【0162】
例えば、架橋性構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーが片面または両面上に固定される基材物質を含む吸収体組成物を得る方法の事例は知られており、本願発明に包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0163】
例えば、架橋性構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマー(c)に組み込まれた合成繊維の混紡繊維素材(a)およびセルロース繊維(b)、ここで混合率は(100〜0)合成繊維:(0〜100)セルロースファイバーの間で変動する、を含む吸収体組成物を得る方法の事例には、(1) (a)、(b)および(c)を同時にひとつに混合する方法、(2) (a)と(b)の混合物を(c)に混合する方法、(3) (b)と(c)の混合物を(a)に混合する方法、(4) (a)と(c)の混合物を(b)に混合する方法、(5) (b)と(c)を混合したものに(a)を連続的に計量して加える方法、(6) (a)と(c)を混合したものに(b)を連続的に計量して加える方法、(7) (b)と(c)を別途混合したものを(a)に加える方法、が含まれる。これらの方法の中で(1)および(5)が好ましい。この方法で使用される装置は特に限定されるものではなく当業者に知られる通例の装置を使用することが可能である。
【0164】
このようにして得られた吸収体組成物は、任意により熱処理に供することが可能であり、したがって、湿潤状態において優れた多面的安定性を有する吸収層が得られる。熱処理工程は、特に制限を受けるものではない。その例には、熱風給送、または赤外線照射による熱処理が含まれる。熱処理の温度は60℃〜230℃、好ましくは100℃〜200℃、より好ましくは100℃〜180℃の範囲である。
【0165】
熱処理の期間は合成繊維の種類、量および衛生用品の生産速度に依存する。一般的には、熱処理の期間は0.5秒〜3分間、好ましくは1秒〜1分の範囲である。
【0166】
吸収体組成物は、通常、液体透過性のトップシートおよび液体不透過性のバックシートを備えている。さらに、レッグカフおよび粘着タブを備えることにより衛生用品が完成される。先の透過性トップシートおよび不透過性バックシート、ならびにレッグカフおよび粘着タブの材質と種類は当業者に知られており、また、特に制限されるものではない。これらの例はWO 95/26209号に見出される。
【0167】
さらに本願発明は、重合化した形状中に少なくとも一種の親水性モノマーを含み、式(I)の不飽和アルコールのアクリル(メタクリル)酸エステルと架橋を形成するものである、架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーを提供する。
【0168】
以下の実施例により、本願発明の方法を説明する。
【0169】
実施例:
測定方法
遠心分離保持能(CRC)
この方法では、ティーバッグ内のハイドロゲルの自由膨潤を測定する。0.2000±0.0050gの乾燥ハイドロゲル(粒子サイズ画分 106〜850μm)を、60×85mmサイズのティーバック内へと秤量して詰めた後、密封する。このティーバックを、過剰の0.9重量%の塩化ナトリウム溶液(少なくとも0.831の塩化ナトリウム溶液/1gの粉末ポリマー)内に30分間留置する。このティーバッグを250Gにて3分間、遠心分離を行なう。ハイドロゲルに保持される液体を、遠心分離後のティーバッグを再び秤量して測定する。
【0170】
抽出
EP−A−0 811 636号の第13ぺージ、第1行目〜第19行目の記載と同様に、16時間抽出可能となる値を測定した。
【0171】
アリルアミンポリエステルの製造
実施例1:ジアリルアミン−5EO
97gのジアリルアミンを0.5gのKOHを45%含む水と共にオートクレーブに最初に投入し、これらをアルゴンでパージし、次に80℃ならびに減圧下(約20mbar)にて、あわせて脱水する。次に、220gのエチレンオキサイドを145〜155℃にて加え、この温度にて圧力を上昇させながら反応させる。圧力にそれ以上の変化が観察されなくなった時点で反応は終了する。次に反応混合物をさらに30分間120℃にて攪拌する。不活性ガスでパージし、60度に冷却した後、ピロリン酸ナトリウムを添加して触媒を分離し、引き続いてろ過を行なう。
【0172】
実施例2:ジアリルアミン−13EO
実施例1の手順の内、97gのジアリルアミンを最初に44gのエチレンオキサイドと混合し、次に室温に下げて0.5gのKOHを45%含む水を混合することを除き、他の手順を反復する。このように、既知の方法によって最初にエチレンジアミン1EOが製造されるが、実施例1と同様、以下によってさらにエトキシル化される。
【0173】
オートクレーブをアルゴンでパージし、次に反応混合物を80℃ならびに減圧下(約20mbar)にて脱水する。さらに、528gのエチレンオキサイドを145〜155℃にて加え、この温度にて圧力を上昇させながら反応させる。圧力にそれ以上の変化が観察されなくなった時点で反応は終了する。次に反応混合物をさらに30分間120℃にて攪拌する。不活性ガスでパージし、60℃に冷却した後、ピロリン酸ナトリウムを添加して触媒を分離し、引き続いてろ過を行なう。
【0174】
実施例3:ジアリルアミン−18EO
実施例1の手順の内、97gのジアリルアミンを792gのエチレンオキサイドおよび0.5gのKOHと混合することを除き、他の手順を反復する。
【0175】
実施例4:モノアリルアミン−5EO
57gのモノアリルアミンを0.5gのKOH、56%を含む水と共にオートクレーブに最初に投入し、これをアルゴンでパージし、次に80℃ならびに減圧下(約20mbar)にて、あわせて脱水する。次に、220gのエチレンオキサイドを145〜155℃にて加え、この温度にて圧力を上昇させながら反応させる。圧力にそれ以上の変化が観察されなくなった時点で反応は終了する。次に反応混合物をさらに30分間120℃にて攪拌する。不活性ガスでパージし、60度に冷却した後、ピロリン酸ナトリウムを添加して触媒を分離し、引き続いてろ過を行なう。
【0176】
実施例5:モノアリルアミン−13EO
実施例4手順の内、57gのジアリルアミンを572gのエチレンオキサイドおよび0.5gのKOHと混合することを除き、他の手順を反復する。
【0177】
エトキシル化されたアクリレートアミンの製造
実施例6:ジアリルアミン−5EO−モノアクリレート
80gの実施例1の5組のエトキシル化ジアリルアミンを、215gのメチルアクリレート、10gのNovozym(Candida antartica由来の固定化リパーゼ)および0.4gのヒドロキノンモノメチルエーテルと共に初期投入し、60℃にてエステル交換によりエステル化した。形成されたメタノールを継続的に500〜560mbarにて蒸留し、使用されるメチルアクリレートも同様に除去する。約8時間後に、必要に応じてメチルアクリレートを、さらに10gのNovozymを加え、エステル化を8時間続ける。ろ過によりNovozym触媒から粗製物を単離し、続いてロータリー式蒸発器にてこの粗製物からメチルアクリレートを蒸留する。
【0178】
実施例7〜10:
第1表に示す重量を使用して、実施例6を反復する。
【0179】
第1表:
【0180】
【表1】

*)バッチ処理開始時点の重量;実施例6と同様に、必要に応じて8時間後にメチルアクリレートおよびNovozymを添加した。
**)初回投入時に、ヒドロキノンモノメチルエーテルと共にビタミンEを投入した。
【0181】
超吸収体の製造例:
比較例1:トリメチロールプロパン−5EO−トリアクリレート
Loedige VT 5R−MK プラウシェアニーダー(5リットル容量)に、388gの脱イオン化水、173.5gのアクリル酸、2033.2gの37.3重量%アクリル酸ナトリウム溶液(100モル%中和)および4.50gのトリメチロールプロパン−15EO−トリアクリレート架橋剤(Sartomer(登録商標) SR 9035、Saltomer社製)を投入する。窒素の気泡を20分間通すことにより、この初回投入物を不活性化する。次に、2.112gの過硫酸ナトリウムの希釈水溶液、0.045gのアスコルビン酸、および0.126gの過酸化水素を加えて約23℃にて反応を開始する。反応開始後に加熱ジャケットの温度を反応器の反応温度へと調整する。最終的に得られた崩れやすいゲルを、循環送風式の乾燥棚内で160℃にて約3時間乾燥する。次にすりつぶして300〜600ミクロンに類別する。続いて、得られるhydrogenを表面架橋する。得られるハイドロゲルの特性は以下の表中に記されている。
【0182】
比較例2:トリプロピレングリコールジアクリレート
Loedige VT 5R−MK プラウシェアニーダー(5リットル容量)に、388gの脱イオン化水、173.5gのアクリル酸、2033.2gの37.3重量%アクリル酸ナトリウム溶液(100モル%中和)および2.10gのトリプロピレングリコールジアクリレート架橋剤(Laromer(登録商標) TPGDA 、BASF社製)を投入する。窒素の気泡を20分間通すことにより、この初回投入物を不活性化する。次に、2.112gの過硫酸ナトリウムの希釈水溶液、0.045gのアスコルビン酸、および0.126gの過酸化水素を加えて約23℃にて反応を開始する。反応開始後に加熱ジャケットの温度を反応器の反応温度へと調整する。最終的に得られた崩れやすいゲルを、循環送風式の乾燥棚内で160℃にて約3時間乾燥する。次にすりつぶして300〜600ミクロンに類別する。続いて、得られるハイドロゲルを表面架橋する。得られるハイドロゲルの特性は以下の表中にまとめている。
【0183】
実施例11〜15:
第2表に記される架橋剤を表中に記される分量にて使用し、比較例1を反復する。
【0184】
第2表
【0185】
【表2】

【0186】
使用量は、各試験において、架橋用のアクリル酸モノマーを基準として二重結合等価物が同数となるように算出される。本願発明により使用される架橋剤は、より低いことが明白な抽出物含有量と、やや高めのCRC値とを兼ね備えていることが観察できる。抽出物が製品の特性に対して悪影響を及ぼすことから、このような性質(を有すること)は有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはC〜Cアルキルであり、このうちC〜Cアルキルは分岐または非分岐鎖であり、
はC〜Cアルキルであり、このうちC〜Cアルキルは分岐または非分岐鎖であり、
は水素またはメチル基であり、
mは0〜10の整数であり、
nは1または2であり、
oは0または1であり、
pは1または2であり、
qは2〜100の整数であり、
n、oおよびpの合計は3であり、ならびに
Aは
【化2】

により構成される群から選択される同一または異なる基であり、
式中、*は結合位置を特定するものである]の不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステル。
【請求項2】
一般式Iで示され、式中、
、R、R、RおよびRはそれぞれ水素であり、
はC〜Cアルキルであり、このうちCアルキルは分岐または非分岐鎖であり、
は水素またはメチル基であり、
mは0または1であり、
nは1または2であり、
oは0または1であり、
pは1または2であり、
qは3〜40の整数であり、
n、oおよびpの合計は3であり、ならびに
Aは、
【化3】

により構成される群から選択される同一または異なる基であり、
式中、*は結合位置を特定している、請求項1に記載の不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステル。
【請求項3】
一般式Iで示され、式中、
、R、R、RおよびRはそれぞれ水素であり、
は水素またはメチル基であり、
mは1であり、
nは1または2であり、
oは0であり、
pは1または2であり、
qは5〜20の整数であり、
n、oおよびpの合計は3であり、ならびに
Aは、
【化4】

であり、
式中、*は結合位置を特定している、請求項1に記載の不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステル。
【請求項4】
触媒の存在下において、低級アクリル(メタクリル)酸エステルを用いて不飽和アミノアルコールをエステル交換すること、反応中に放出される低級アルコールを、適切な場合は共沸混合物として、蒸留して取り除くこと、ならびに反応が終了した後に、未反応の低級アクリル(メタクリル)酸エステルを蒸留して取り除くこと、任意に水で希釈してろ過することを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸を製造する方法。
【請求項5】
一般式I
【化5】

[式中、
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはC〜Cアルキルであり、このうちC〜Cアルキルは分岐または非分岐鎖であり、
はC〜Cアルキルであり、このうちC〜Cアルキルは分岐または非分岐鎖であり、
は水素またはメチル基であり、
mは0〜10の整数であり、
nは1または2であり、
oは0または1であり、
pは1または2であり、
qは2〜100の整数であり、
n、oおよびpの合計は3であり、ならびに
Aは
【化6】

により構成される群から選択される同一または異なる基である]の共重合化された内部架橋剤を含む膨潤性ハイドロゲル形成ポリマー。
【請求項6】
請求項2に記載の、一般式1の共重合化された内部架橋剤を含む膨潤性ハイドロゲル形成ポリマー。
【請求項7】
請求項3に記載の、一般式1の共重合化された内部架橋剤を含む膨潤性ハイドロゲル形成ポリマー。
【請求項8】
親水性モノマー、任意によりさらに少なくとも一種以上のモノエチレン性の不飽和化合物、少なくとも一種以上の不飽和アミノアルコールのアクリル(メタクリル)酸エステル、少なくとも一種以上のフリーラジカル開始剤、および任意により少なくとも一種以上のグラフトベースを含有する水性混合物を重合化すること、ならびに得られる反応混合物を任意により後架橋し、乾燥し、所望の粒子サイズとすることを含む、請求項5から7までのいずれか1項に記載の架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーを製造する方法。
【請求項9】
請求項5から7までのいずれか1項に記載の、架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーの、衛生用品製造への使用。
【請求項10】
請求項5から7までのいずれか1項に記載の架橋構造を有する膨潤性ハイドロゲル形成ポリマーを含有する衛生用品。

【公表番号】特表2007−516240(P2007−516240A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540312(P2006−540312)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013064
【国際公開番号】WO2005/058987
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】