説明

両面発光デバイス

【課題】点灯時の影の発生を防止できるとともに輝度むらを低減でき且つ消灯時の見栄えを良くすることが可能な両面発光デバイスを提供する。
【解決手段】第1の透明基板61の一表面側に実装された複数の第1の可視光LEDチップ1と、第2の透明基板62の一表面側に実装された複数の第2の可視光LEDチップ1とを備える。各可視光LEDチップ1は、六角錘状のZnO結晶からなる錐体3の下面31側に、窒化物半導体材料からなるLED薄膜部2、アノード電極4およびカソード電極5が形成され、第1の可視光LEDチップ1のアノード電極4およびカソード電極5がバンプ14,15を介して第1の透明基板61の上記一表面側の第1の透明電極71,71と接合され、第2の可視光LEDチップ1のアノード電極4およびカソード電極5がバンプ14,15を介して第2の透明基板62の上記一表面側の第2の透明電極72,72と接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光LEDチップを用いた両面発光デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の両面発光デバイスとして、図2に示すように、第1の透明基板61と、第1の透明基板61の一表面側に実装された複数の第1の可視光LEDチップ1’と、第1の透明基板61の上記一表面側に設けられ複数の第1の可視光LEDチップ1’へ給電するための第1の透明電極71と、第1の透明基板61の上記一表面側に対向配置された第2の透明基板62と、第2の透明基板62における第1の透明基板61との対向面である一表面側に実装された複数の第2の可視光LEDチップ1’と、第2の透明基板62の上記一表面側に設けられ複数の第2の可視光LEDチップ1’へ給電するための第2の透明電極72とを備えものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図2に示した構成の両面発光デバイスでは、第1の透明基板61に実装された第1の可視光LEDチップ1’から放射される光を第2の透明電極72および第2の透明基板62を通して外部へ出射することができるとともに、第2の透明基板62に実装された第2の可視光LEDチップ1’から放射される光を第1の透明電極71および第1の透明基板72を通して外部へ出射することができる。
【特許文献1】特開平11−162233号公報(段落〔0029〕−〔0030〕、および図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図2に示した構成の両面発光デバイスでは、各LED可視光LEDチップ1’として平板状の赤色LEDチップもしくは緑色LEDチップもしくは青色LEDチップが用いられており、点灯時に、第1の透明基板61の他表面側において第1の可視光LEDチップ1’が影になって輝度むらが大きくなるとともに、第2の透明基板62の他表面側において第2の可視光LEDチップ1’が影になって輝度むらが大きくなってしまう。また、図2に示した構成の両面発光デバイスでは、消灯時に、各可視光LEDチップ1’が目立ってしまい見栄えが良くなかった。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、点灯時の影の発生を防止できるとともに輝度むらを低減でき且つ消灯時の見栄えを良くすることが可能な両面発光デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、第1の透明基板と、第1の透明基板の一表面側に実装された複数の第1の可視光LEDチップと、第1の透明基板の前記一表面側に設けられ複数の第1の可視光LEDチップへ給電するための第1の透明電極と、第1の透明基板の前記一表面側に対向配置された第2の透明基板と、第2の透明基板における第1の透明基板との対向面である一表面側に実装された複数の第2の可視光LEDチップと、第2の透明基板の前記一表面側に設けられ複数の第2の可視光LEDチップへ給電するための第2の透明電極とを備え、各可視光LEDチップは、六角錘状のZnO結晶からなる錐体の下面側に、窒化物半導体材料からなるLED薄膜部、アノード電極およびカソード電極が形成されてなり、第1の可視光LEDチップのアノード電極およびカソード電極それぞれがバンプを介して第1の透明電極と接合され、第2の可視光LEDチップのアノード電極およびカソード電極それぞれがバンプを介して第2の透明電極と接合されてなることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、各可視光LEDチップは、六角錘状のZnO結晶からなる錐体の下面側に、窒化物半導体材料からなるLED薄膜部、アノード電極およびカソード電極が形成されてなり、第1の可視光LEDチップのアノード電極およびカソード電極それぞれがバンプを介して第1の透明電極と接合され、第2の可視光LEDチップのアノード電極およびカソード電極それぞれがバンプを介して第2の透明電極と接合されているので、点灯時に、各可視光LEDチップにおける錐体の各斜面およびLED薄膜部の表面それぞれから光が放射されることとなるから、点灯時の影の発生を防止できるとともに輝度むらを低減でき、また、各可視光LEDチップの錐体がZnO結晶により構成されており透明なので、消灯時に各可視光LEDチップが目立たず、消灯時の見栄えを良くすることが可能となる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1の可視光LEDチップの前記LED薄膜部における前記第1の透明基板側の表面に光取り出し効率向上用の微細凹凸構造が形成されてなり、前記第2の可視光LEDチップの前記LED薄膜部における前記第2の透明基板側の表面に光取り出し効率向上用の微細凹凸構造が形成されてなることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、前記各可視光LEDチップそれぞれにおける前記LED薄膜部の前記錐体側とは反対側の表面に光取り出し効率向上用の微細凹凸構造が形成されていることにより、前記各可視光LEDチップにおいて前記LED薄膜部から前記錐体側とは反対側に放射される光が前記LED薄膜部の表面で反射されるのを抑制して効率良く取り出すことができ、点灯時の輝度むらをより低減できるとともに、光取り出し効率の向上を図れる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記第1の可視光LEDチップと前記第1の透明基板との間の隙間に第1の透光性樹脂からなる第1のアンダーフィル部が設けられ、前記第2の可視光LEDチップと前記第2の透明基板との間の隙間に第2の透光性樹脂からなる第2のアンダーフィル部が設けられてなることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、前記各可視光LEDチップそれぞれにおける前記LED薄膜部の前記錐体側とは反対側の表面側に各アンダーフィル部が設けられていることにより、前記各可視光LEDチップにおいて前記LED薄膜部から前記錐体側とは反対側に放射される光が前記LED薄膜部の表面で反射されるのを抑制して効率良く取り出すことができ、点灯時の輝度むらをより低減できるとともに、光取り出し効率の向上を図れる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記第1の透明基板と前記第2の透明基板とを保持する保持枠を備え、前記第1の透明基板と前記第2の透明基板と保持枠とで囲まれる空間が真空雰囲気もしくはドライエア雰囲気であり、保持枠に前記第1の可視光LEDチップおよび前記第2の可視光LEDチップへの給電用の二次電池が設けられるとともに、当該二次電池を充電可能な太陽電池が設けられてなることを特徴とすることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、前記第1の透明基板と前記第2の透明基板と保持枠とで囲まれる空間が真空雰囲気もしくはドライエア雰囲気となっていることにより、前記第1の透明基板と前記第2の透明基板と保持枠とで囲まれた空間内で結露によるショートが発生するのを防止することができ、また、保持枠に前記第1の可視光LEDチップおよび前記第2の可視光LEDチップへの給電用の二次電池が設けられるとともに、当該二次電池を充電可能な太陽電池が設けられていることにより、別途に電源を設ける必要がなく設置場所の自由度が高くなるとともに、二次電池によって前記第1の透明基板および前記第2の透明基板の一部が覆われて影になるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、点灯時の影の発生を防止できるとともに輝度むらを低減でき且つ消灯時の見栄えを良くすることが可能になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本実施形態の両面発光デバイスについて図1を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態の両面発光デバイスは、第1の透明基板61と、第1の透明基板61の一表面側に実装された複数の第1の可視光LEDチップ1と、第1の透明基板61の上記一表面側に設けられ複数の第1の可視光LEDチップ1へ給電するための第1の透明電極71と、第1の透明基板61の上記一表面側に対向配置された第2の透明基板62と、第2の透明基板62における第1の透明基板61との対向面である一表面側に実装された複数の第2の可視光LEDチップ1と、第2の透明基板62の上記一表面側に設けられ複数の第2の可視光LEDチップ1へ給電するための第2の透明電極72とを備えている。
【0017】
また、本実施形態の両面発光デバイスは、第1の透明基板61と第2の透明基板とを保持する保持枠6を備え、第1の透明基板61と第2の透明基板62と保持枠6とで囲まれる空間をドライエア雰囲気としてあるが、当該空間はドライエア雰囲気に限らず、真空雰囲気としてもよいし、Nガス雰囲気としてもよい。ここで、第1の透明基板61と第2の透明基板62と保持枠6とで囲まれる空間がドライエア雰囲気もしくは真空雰囲気もしくはNガス雰囲気となっていることにより、第1の透明基板61と第2の透明基板62と保持枠6とで囲まれた空間内で結露によるショートが発生するのを防止することができる。
【0018】
上述の保持枠6には、第1の可視光LEDチップ1および第2の可視光LEDチップ1への給電用の二次電池8が設けられるとともに、当該二次電池8を充電可能な太陽電池7が設けられている。しかして、本実施形態の両面発光デバイスでは、別途に電源を設ける必要がなく設置場所の自由度が高くなるとともに、二次電池8によって第1の透明基板61および第2の透明基板62の一部が覆われて影になるのを防止することができる。
【0019】
ここにおいて、第1の透明基板61および第2の透明基板62は、矩形板状のガラス基板により構成されている。なお、各透明基板61,62に用いるガラス基板の材料としては、例えば、パイレックス(登録商標)や硼珪酸ガラス(BK7)などを採用すればよい。なお、パイレックス(登録商標)の線膨張係数は3.25×10−6−1程度、硼珪酸ガラスの線膨張係数は8.3×10−6−1程度である。
【0020】
また、第1の透明電極71および第2の透明電極72は、ITO膜からなる透明導電膜により構成されているが、透明導電膜は、ITO膜に限らず、例えば、GZO(GaをドープしたZnO)膜、AZO(AlをドープしたZnO)膜、IZO(InをドープしたZnO)膜などにより構成してもよい。
【0021】
また、第1の可視光LEDチップ1と第2の可視光LEDチップ1とは同じ仕様のものを用いている。ここにおいて、可視光LEDチップ1は、青色光を放射するGaN系の青色LEDチップであり、n形窒化物半導体層22と発光層23とp形窒化物半導体層24との積層構造を有するLED薄膜部2、n形窒化物半導体層22に電気的に接続されたカソード電極5およびp形窒化物半導体層22に電気的に接続されたアノード電極4がn形のZnO結晶からなる六角錘状の錐体3の下面31側に形成されている。
【0022】
可視光LEDチップ1のLED薄膜部2は、n形窒化物半導体層22をn形GaN層により構成し、発光層23をInGaN層により構成し、p形窒化物半導体層24を発光層23側のp形AlGaN層と当該p形AlGaN層における発光層23側とは反対側のp形GaN層とで構成してあるが、LED薄膜部2の積層構造は特に限定するものではなく、発光層23は単層構造に限らず、多重量子井戸構造ないし単一量子井戸構造でもよい。
【0023】
また、可視光LEDチップ1は、LED薄膜部2の平面視形状を錐体3の下面31よりもやや小さな正六角形状の形状に形成してあり、カソード電極5が、LED薄膜部2のn形窒化物半導体層22に接する形で形成されて当該n形窒化物半導体層22と電気的に接続され、アノード電極4が錐体3の下面31に接する形で形成され当該錐体3を介してp形窒化物半導体層24と電気的に接続されている。したがって、n形窒化物半導体層22と発光層23とp形窒化物半導体層24との平面サイズを同じにすることができる。ここで、可視光LEDチップ1のアノード電極4およびカソード電極5は、下層側のTi膜と上層側のAu膜との積層膜により構成されている。ただし、アノード電極4およびカソード電極5それぞれの形状、サイズ、個数および配置は特に限定するものではない。
【0024】
上述の可視光LEDチップ1は、主表面がc面のサファイアウェハの主表面側に上記積層構造を有するLED薄膜部2をエピタキシャル成長法(例えば、MOVPE法など)により成長し、その後、LED薄膜部2を錐体3の基礎となるn形ZnOウェハに接合してから、サファイアウェハを除去し、続いて、塩酸系のエッチング液(例えば、塩酸水溶液など)を用いてエッチング速度の結晶方位依存性を利用した異方性エッチングを行うことによりn形ZnOウェハの一部からなる六角錘状の錐体3を形成している。なお、n形ZnOウェハとしては、水熱合成法を利用して製造したものを用いている。錐体3の高さは、n形ZnOウェハの厚さで規定することができ、本実施形態では、n形ZnOウェハとして厚さが500μmのものを用いているので、錐体3の高さは500μmとなっているが、n形ZnOウェハの厚さは特に限定するものではない。また、錐体3の下面31に対する各斜面33それぞれの傾斜角は、n形ZnOウェハの結晶軸方向で規定され、n形ZnOウェハにおいて錘体3の下面31となるZn極性面である(0001)面とは反対側のO極性面である(000−1)面に適宜パターニングされたマスクを設けてn形ZnOウェハをO極性面側から異方性エッチングすることにより錐体3を形成しているので、下面31に対する各斜面33それぞれの傾斜角が60°となっている。
【0025】
上述のように、各可視光LEDチップ1は、六角錘状のZnO結晶からなる錐体3の下面側に、窒化物半導体材料からなるLED薄膜部2、アノード電極4およびカソード電極5が形成されており、第1の可視光LEDチップ1のアノード電極4およびカソード電極5それぞれがバンプ14,15を介して第1の透明電極72,72と接合され、第2の可視光LEDチップ1のアノード電極4およびカソード電極5それぞれがバンプ14,15を介して第2の透明電極72,72と接合されている。
【0026】
要するに、第1の可視光LEDチップ1は、錐体3よりもLED薄膜部2が第1の透明基板61に近くなる形で第1の透明基板61の上記一表面側に実装され、第2の可視光LEDチップ1は、錐体3よりもLED薄膜部2が第2の透明基板62に近くなる形で第2の透明基板62の上記一表面側に実装されている。
【0027】
上述の各可視光LEDチップ1は、アノード電極4とカソード電極5との間に順方向バイアス電圧を印加することにより、トンネル電流注入によりアノード電極4からp形窒化物半導体層24へホールが注入されるとともに、カソード電極5からn形窒化物半導体層22へ電子が注入され、発光層23に注入された電子とホールとが再結合することで発光し、錐体3の各斜面33およびLED薄膜部2におけるn形窒化物半導体層22の錐体3側とは反対側の表面から光が放射される。なお、波長が450nmの光に対するZnOの屈折率は2.1、GaNの屈折率は2.4である。
【0028】
また、各可視光LEDチップ1は、LED薄膜部2における錐体3側とは反対側の表面(ここでは、n形窒化物半導体層22の表面)に光取り出し効率向上用の微細凹凸構造22aが形成されている。要するに、本実施形態の両面発光デバイスは、第1の可視光LEDチップ1のLED薄膜部2における第1の透明基板61側の表面に光取り出し効率向上用の微細凹凸構造22aが形成され、第2の可視光LEDチップ1のLED薄膜部2における第2の透明基板62側の表面に光取り出し効率向上用の微細凹凸構造22aが形成されている。また、本実施形態の両面発光デバイスは、第1の可視光LEDチップ1と第1の透明基板61との間の隙間に第1の透光性樹脂(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)からなる第1のアンダーフィル部81が設けられており、第1の可視光LEDチップ1のアノード電極4およびカソード電極5と第1の透明基板61の上記一表面側の第1の透明電極71,71との接続信頼性を高めることができる。同様に、第2の可視光LEDチップ1と第2の透明基板62との間の隙間に第2の透光性樹脂(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)からなる第2のアンダーフィル部82が設けられており、第2の可視光LEDチップ1のアノード電極4およびカソード電極5と第2の透明基板62の上記一表面側の第2の透明電極72,72との接続信頼性を高めることができる。
【0029】
以上説明した本実施形態の両面発光デバイスによれば、各可視光LEDチップ1は、六角錘状のZnO結晶からなる錐体3の下面31側に、窒化物半導体材料からなるLED薄膜部2、アノード電極4およびカソード電極5が形成されており、第1の可視光LEDチップ1のアノード電極4およびカソード電極5それぞれがバンプ14,15を介して第1の透明基板61の上記一表面側の第1の透明電極71,71と接合され、第2の可視光LEDチップ1のアノード電極4およびカソード電極5それぞれがバンプ14,15を介して第2の透明基板62の上記一表面側の第2の透明電極72,72と接合されているので、第1の可視光LEDチップ1および第2の可視光LEDチップ1全てを点灯させる点灯時に、各可視光LEDチップ1における錐体3の各斜面33およびLED薄膜部2の表面それぞれから光が放射されることとなるから、点灯時の各可視光LEDチップ1それぞれに起因した影の発生を防止できるとともに輝度むらを低減でき、また、各可視光LEDチップ1の錐体3がZnO結晶により構成されており透明なので、消灯時に各可視光LEDチップ1が目立たず、消灯時の見栄えを良くすることが可能となる。
【0030】
また、本実施形態の両面発光デバイスでは、各可視光LEDチップ1それぞれにおけるLED薄膜部2の錐体3側とは反対側の表面に光取り出し効率向上用の微細凹凸構造22aが形成されているので、各可視光LEDチップ1においてLED薄膜部2から錐体3側とは反対側に放射される光(ここでは、発光層23からn形窒化物半導体層22側へ放射される光)がLED薄膜部2の表面で反射されるのを抑制して効率良く取り出すことができ、点灯時の輝度むらをより低減できるとともに、光取り出し効率の向上を図れる。
【0031】
また、本実施形態の両面発光デバイスでは、上述のように、第1の可視光LEDチップ1のLED薄膜部2と第1の透明基板61との間の隙間に第1の透光性樹脂からなる第1のアンダーフィル部81が設けられ、第2の可視光LEDチップ1のLED薄膜部2と第2の透明基板62との間の隙間に第2の透光性樹脂からなる第2のアンダーフィル部82が設けられているので、各可視光LEDチップ1においてLED薄膜部2から錐体3側とは反対側に放射される光(ここでは、発光層23からn形窒化物半導体層22側へ放射される光)がLED薄膜部2の表面で反射されるのを抑制して効率良く取り出すことができ、点灯時の輝度むらをより低減できるとともに、光取り出し効率の向上を図れる。
【0032】
ところで、上述の実施形態では、第1の可視光LEDチップ1および第2の可視光LEDチップ1から放射される光が青色光となるように発光層23を設計してあるが、各可視光LEDチップ1から放射される光は青色光に限らず、例えば、赤色光、緑色光、紫色光、紫外光などでもよい。また、本実施形態の両面発光デバイスは、例えば、第1の透明基板61および第2の透明基板62それぞれに、可視光LEDチップ1から放射される光によって励起されて可視光LEDチップ1よりも長波長の光を放射する波長変換材料である蛍光体を含有した透光性材料からなる色変換層を設けて、可視光LEDチップ1の発光色とは異なる色合いの混色光(例えば、白色光など)を出すようにしてもよい。ここで、上記色変換層は、例えば、各透明基板61,62それぞれの上記他表面や、各透明基板61,62の厚み方向の中間に設ければよい。また、上記色変換層を設ける代わりに、各透明基板61,62それぞれに上記蛍光体を分散させてもよい。なお、本実施形態の両面発光デバイスは、インテリア用途、サイン用途、照明用途、住宅の窓ガラス用途など多様な用途がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態の両面発光デバイスを示し、(a)は概略平面図、(b)は(a)のB−B’概略断面図、(c)は(b)の要部拡大図である。
【図2】従来例を示す両面発光デバイスの要部概略断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 可視光LEDチップ(第1の可視光LEDチップ、第2の可視光LEDチップ)
2 LED薄膜部
3 錐体
4 アノード電極
5 カソード電極
6 保持枠
7 太陽電池
14 バンプ
15 バンプ
31 下面
33 斜面
22a 微細凹凸構造
61 第1の透明基板
62 第2の透明基板
71 第1の透明電極
72 第2の透明電極
81 第1のアンダーフィル部
82 第2のアンダーフィル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透明基板と、第1の透明基板の一表面側に実装された複数の第1の可視光LEDチップと、第1の透明基板の前記一表面側に設けられ複数の第1の可視光LEDチップへ給電するための第1の透明電極と、第1の透明基板の前記一表面側に対向配置された第2の透明基板と、第2の透明基板における第1の透明基板との対向面である一表面側に実装された複数の第2の可視光LEDチップと、第2の透明基板の前記一表面側に設けられ複数の第2の可視光LEDチップへ給電するための第2の透明電極とを備え、各可視光LEDチップは、六角錘状のZnO結晶からなる錐体の下面側に、窒化物半導体材料からなるLED薄膜部、アノード電極およびカソード電極が形成されてなり、第1の可視光LEDチップのアノード電極およびカソード電極それぞれがバンプを介して第1の透明電極と接合され、第2の可視光LEDチップのアノード電極およびカソード電極それぞれがバンプを介して第2の透明電極と接合されてなることを特徴とする両面発光デバイス。
【請求項2】
前記第1の可視光LEDチップの前記LED薄膜部における前記第1の透明基板側の表面に光取り出し効率向上用の微細凹凸構造が形成されてなり、前記第2の可視光LEDチップの前記LED薄膜部における前記第2の透明基板側の表面に光取り出し効率向上用の微細凹凸構造が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の両面発光デバイス。
【請求項3】
前記第1の可視光LEDチップと前記第1の透明基板との間の隙間に第1の透光性樹脂からなる第1のアンダーフィル部が設けられ、前記第2の可視光LEDチップと前記第2の透明基板との間の隙間に第2の透光性樹脂からなる第2のアンダーフィル部が設けられてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の両面発光デバイス。
【請求項4】
前記第1の透明基板と前記第2の透明基板とを保持する保持枠を備え、前記第1の透明基板と前記第2の透明基板と保持枠とで囲まれる空間が真空雰囲気もしくはドライエア雰囲気であり、保持枠に前記第1の可視光LEDチップおよび前記第2の可視光LEDチップへの給電用の二次電池が設けられるとともに、当該二次電池を充電可能な太陽電池が設けられてなることを特徴とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の両面発光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−147190(P2010−147190A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321511(P2008−321511)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】