説明

両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法

【課題】上研磨布の研磨作用面と下研磨布の研磨作用面との平行度を高めて、両面研磨後のウェーハの高平坦度化が可能な両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法を提供する。
【解決手段】ドレッシング時、例えば第1のドレスプレートのリング形状の第1のドレス工具により、上研磨布の研磨作用面のうち、その中央部より隆起した外周部を主にドレッシングする。これと同時に、例えば、第2のドレスプレートの矩形状の第2のドレス工具によって、下研磨布の研磨作用面のうち、その外周部より隆起した中央部を主にドレッシングする。これにより、従来法の等量ドレッシングを施した場合に比べて、上研磨布の研磨作用面と下研磨布の研磨作用面との平行度が高まり、両面研磨後のウェーハの平坦度を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法、詳しくは両面研磨装置の研磨性能が低下した研磨布の表面をドレッシング(目立て)し、そのウェーハ研磨性能を高める両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エッチング後のシリコンウェーハは、平坦化するために両面研磨装置による両面研磨が行われている。一般的な両面研磨装置としては、ウェーハ保持孔にシリコンウェーハが保持された複数のキャリアプレートを、対向面に上下一対の研磨布が貼着された上定盤と下定盤との間に挟み込み、この状態で遊離砥粒を含む研磨液を各シリコンウェーハに供給しながら、サンギヤとインターナルギヤとの間でキャリアプレートを自転公転させ、かつ上定盤および下定盤を回転させることにより、各シリコンウェーハの表裏両面を同時に研磨するサンギヤ方式のものが知られている。
【0003】
ところで、シリコンウェーハの両面研磨を長時間行っていると、上定盤に貼着された上研磨布(上側の研磨布)の研磨作用面と、下定盤に貼着された下研磨布(下側の研磨布)の研磨作用面とがそれぞれ偏摩耗する。これは、ウェーハ両面研磨時に上下定盤から上下の研磨布に作用する研磨圧力が均等であっても、上下定盤面に対するシリコンウェーハの相対的な回転軌道(軌跡)が研磨条件によって異なり、上下の研磨布の(厚み)形状の変化が一般的に一様とならないためである。その結果、使用回数を重ねた上下の研磨布によって両面研磨されたシリコンウェーハは変形し易かった。
そこで、これを解消するため、上研磨布および下研磨布は、上下定盤に貼着された状態で定期的に研磨作用面の形状(表面形状)を補修するドレッシングが行われている。
両面研磨装置の研磨布をドレッシングする従来技術として、例えば、特許文献1などが知られている。特許文献1は、表裏面が同一形状のドレッシング部材をキャリアプレートのウェーハ保持孔に収納し、その後、ウェーハの両面研磨時に発生する上下定盤の変形を反映させたドレッシングとなるように、両面研磨時の上下定盤に作用する熱負荷や応力負荷とほぼ等しい熱負荷または応力負荷を作用させて、上下の研磨布をドレッシングする方法である。これにより、ドレッシング時の上下定盤の温度分布を両面研磨時の温度分布に近づけることができ、その結果、平坦度の高いウェーハの両面研磨を行うために適した状態に、上下の研磨布を同時にドレッシングできるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−46058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでのドレッシング方法では、特許文献1のように、上下定盤に貼付した上下一対の研磨布間に、上述した表裏面が同一形状のドレッシング部材を挟み込んで上下の研磨布を同時にドレッシングしていた。そのため、上下の研磨布の研磨作用面に対するドレッシング量(取り代分布)は略同等となり、このような等量ドレッシングを研磨作用面が大きく偏摩耗した上研磨布および下研磨布に施しても、ウェーハの平坦度(グローバル形状)はさほど改善されないことが、本発明者らの実験によって明らかとなった。
すなわち、両面研磨は、ウェーハ表面の微小な表面粗さなどを調整する仕上げ研磨(片面鏡面研磨)とは異なり、ウェーハ全体の平坦度を高めるために必要な研磨量が多く、仕上げ研磨時に比べてウェーハへの研磨圧力および研磨量は大きい。そして、通常、両面研磨において上下定盤は互いに反対方向に回転させるため、上下研磨布にはキャリアプレートの回転方向(ウェーハの回転方向)と同じ方向に回転する力と、これとは異なる方向へ回転する力とが作用している。そのため、両面研磨の回数が増大するほど、上下研磨布の研磨作用面における摩耗量分布は異なる傾向がある。具体的には、上研磨布の研磨作用面の外周部における摩耗量は少なく、かつ上研磨布の研磨作用面の中央部の摩耗量は多くなる凹形傾向があり、下研磨布の研磨作用面の中央部の摩耗量が、上研磨布の研磨作用面の中央部の研磨量に比べて少なくなる凸形傾向となる。したがって、このような上下の研磨布の研磨作用面に一般的な等量ドレッシングを施したとしても、その後の両研磨作用面はそれほど平坦度が高まらない。
【0006】
そこで、本発明者らは鋭意研究の結果、上研磨布用のドレッシング部材および下研磨布用のドレッシング部材の各ドレッシング作用面に固定したドレス工具の形状に着目した。すなわち、上下定盤に貼り付けた上下の研磨布の研磨作用面は、必ずしもそれぞれを平坦化する必要はなく、両研磨作用面に平行性(マッチング性)があれば、両面研磨後のウェーハの平坦度は高まることを発見した。すなわち、仮に上研磨布の研磨作用面が中央部が凹んだ湾曲形状のものでも、下研磨布の研磨作用面の形状が、上研磨布の研磨作用面の形状に合わせて中央部が凸となった湾曲形状であれば、両面研磨後のウェーハのグローバルな平坦度は高まることを知見し、この発明を完成させた。
【0007】
この発明は、上研磨布の研磨作用面と下研磨布の研磨作用面との平行度を高めて、両面研磨後のウェーハの平坦度を高めることができる両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上定盤に固定した上研磨布と下定盤に固定した下研磨布との間に、前記上研磨布および前記下研磨布のうちの何れか一方をドレッシングする円板形状の第1のドレスプレートと、前記上研磨布および前記下研磨布のうちの残った他方をドレッシングする円板形状の第2のドレスプレートとを挟み込み、この状態で前記上定盤および前記下定盤をそれぞれ所定方向へ回転させることで、前記上研磨布の研磨作用面と前記下研磨布の研磨作用面とを同時にドレッシングする両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法であって、前記研磨布の中央部のドレッシング量に比べて外周部のドレッシング量が大きくなるように、前記第1のドレスプレートのドレッシング作用面側にはリング形状の第1のドレス工具が設けられ、前記研磨布の外周部のドレッシング量に比べて中央部のドレッシング量が大きくなるように、前記第2のドレスプレートのドレッシング作用面側にはドレッシング作用面の中心点を通り直径方向に延びる矩形状の第2のドレス工具が設けられ、前記第1ドレス工具および前記第2ドレス工具により前記上下研磨布を同時にドレッシングする両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記上研磨布および前記下研磨布のうちの何れか一方は、外周部に比べて中央部が凹んだ湾曲形状の研磨作用面を有し、前記上研磨布および前記下研磨布のうちの残った他方は、外周部に比べて中央部が凸となった湾曲形状の研磨作用面を有し、前記外周部に比べて中央部が凹んだ湾曲形状の研磨作用面は、その外周部のドレッシング量がその中央部に比べて大きくなるように、前記第1のドレスプレートの第1のドレス工具によってドレッシングし、かつ前記外周部に比べて中央部が凸となった湾曲形状の研磨作用面は、その中央部のドレッシング量がその外周部に比べて大きくなるように、前記第2のドレスプレートの第2のドレス工具によってドレッシングすることで、前記上研磨布の研磨作用面と前記下研磨布の研磨作用面との形状を、これらの研磨作用面が平行となるように調整する請求項1に記載の両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、偏摩耗前記両面研磨装置は、ウェーハ保持孔に半導体ウェーハを保持したキャリアプレートを、サンギヤとインターナルギヤとの間で自転公転させることで、前記半導体ウェーハの表裏両面を同時に研磨するサンギヤ式のもので、前記第1のドレスプレートおよび前記第2のドレスプレートは、前記キャリアプレートと同一直径で、かつ前記サンギヤおよび前記インターナルギヤとに噛合する外歯が周設されたものである請求項1または請求項2に記載の両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記上研磨布および前記下研磨布のドレッシングは、前記キャリアプレートと同一直径で、かつウェーハ保持孔に前記半導体ウェーハと同一サイズのダミーウェーハが保持されたドレス補助用キャリアプレートを、その外周部に周設された外歯を前記サンギヤと前記インターナルギヤとに噛合させた状態で行う請求項3に記載の両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記第1のドレスプレートの中央部には、該第1のドレスプレートの上面と下面とを貫通する第1の開口部が形成され、前記第2のドレスプレートの中央部のうち、前記第2のドレス工具の形成部分を除く部分には、前記第2のドレスプレートの上面と下面とを貫通する第2の開口部が形成された請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法である。
【0013】
両面研磨装置は、シリコンウェーハなどの半導体ウェーハの表裏両面を同時に研磨する装置で、サンギヤ(遊星歯車)方式のもの、または、キャリアプレートに自転をともなわない円運動をさせて半導体ウェーハの表裏両面を同時に研削する無サンギヤ方式のものを採用することができる。特に、サンギヤ方式の両面研磨装置の方が、上下研磨布の偏摩耗を生じやすいため、本発明によるドレッシング方法を適用することが有効となる。
サンギヤ方式の両面研磨装置は、ウェーハ保持孔に半導体ウェーハを保持したキャリアプレートを、サンギヤとインターナルギヤとの間で自転公転させることで、半導体ウェーハの表裏両面を同時に研磨する。サンギヤ方式の両面研磨装置のキャリアプレートに形成されるウェーハ保持孔の形成数は任意である。例えば、1つ、2つ〜5つでもそれ以上でもよい。このことは、無サンギヤ方式の両面研磨装置のキャリアプレートについても同様である。
【0014】
無サンギヤ方式の両面研磨装置としては、例えば、上面(定盤面)に半導体ウェーハの一方の面を研磨する下研磨布が貼着された下定盤と、下定盤の直上に配置され、下面(定盤面)に半導体ウェーハの他方の面を研磨する上研磨布が貼着された上定盤と、下定盤と上定盤との間に設置され、半導体ウェーハのウェーハ保持孔が複数形成されたキャリアプレートと、下定盤と上定盤との間で、キャリアプレートに自転を伴わない円運動をさせることで、ウェーハ保持孔に保持された複数枚の半導体ウェーハの表裏面を、上研磨布および下研磨布により同時に研磨するキャリア円運動機構とを備えたものなどを採用することができる。
ここでいう自転を伴わない円運動とは、キャリアプレートが上定盤および下定盤の軸線から所定距離だけ偏心させた状態を常に保持して旋回(揺動回転)するような円運動をいう。この自転を伴わない円運動によって、キャリアプレート上の全ての点は、同じ大きさ(半径r)の小円の軌跡を描くことになる。無サンギヤ方式の両面研磨装置は、遊星歯車方式のもののようにサンギヤが存在しないので、例えば直径が300mm以上の大口径ウェーハ用として適している。
【0015】
第1のドレスプレートおよび第2のドレスプレートは、ステンレスなどの金属またはポリ塩化ビニルなどの合成樹脂からなる円形状の基板のドレッシング作用面に、ペレット、植毛またはスクレーパなどからなるドレス工具(第1のドレス工具または第2のドレス工具)が固定されたものである。第1のドレス工具と第2のドレス工具とは、同一素材からなるものでも、異なる素材からなるものでもよい。
ドレッシング時の上定盤および下定盤の回転方向は限定されない。また、ドレッシング中、第1のドレスプレートと第2のドレスプレートは回転しても、回転しなくてもよい。
ドレッシング液としては、例えば純水などを採用することができる。
【0016】
ここでいう「リング形状」とは、研磨作用面の外周部の全周にわたる円環形状である。
リング形状の第1のドレス工具を使用し、研磨布の研磨作用面(外周部に比べて中央部が凹んだ湾曲形状の研磨作用面を含む)をドレッシングすると、研磨作用面の中央部の研削も行われるものの、外周部の方が中央部より積極的に研削される。
ここでいう「ドレッシング作用面の中心点を通り直径方向に延びる」とは、円形のドレッシング作用面を、このドレッシング作用面の中心点を通る1本または2本以上の仮想直線に沿って、第2のドレス工具が延びている状態をいう。仮想直線が1本の場合には、円形のドレッシング作用面は半分割(2分割)される。また、仮想直線が2本以上の場合の第2のドレス工具の形状としては、ドレッシング作用面の中心点を中心とした放射形状(例えば十字形状)が挙げられる。
ここでいう「矩形状」とは、全長にわたって幅が均一となる短冊形状または帯形状をいう。
矩形状の第2のドレス工具を使用し、研磨布の研磨作用面(外周部に比べて中央部が凸となった湾曲形状の研磨作用面を含む)をドレッシングすると、研磨作用面の外周部の研削も行われるものの、中央部の方が外周部より積極的に研削される。
【0017】
特に、この発明は、上研磨布および下研磨布のうちの何れか一方は、外周部に比べて中央部が凹んだ湾曲形状の研磨作用面を有し、上研磨布および下研磨布のうちの残った他方は、外周部に比べて中央部が凸となった湾曲形状の研磨作用面を有し、外周部に比べて中央部が凹んだ湾曲形状の研磨作用面は、その外周部のドレッシング量がその中央部に比べて大きくなるように、第1のドレスプレートの第1のドレス工具によってドレッシングし、かつ外周部に比べて中央部が凸となった湾曲形状の研磨作用面は、その中央部のドレッシング量がその外周部に比べて大きくなるように、第2のドレスプレートの第2のドレス工具によってドレッシングすることで、上研磨布の研磨作用面と下研磨布の研磨作用面との形状を、これらの研磨作用面が平行となるように調整した方が望ましい。
【0018】
「これらの研磨作用面の形状を、これらの研磨作用面が平行となるように調整する」とは、従来のように上研磨布の研磨作用面および下研磨布の研磨作用面に対して等量ドレッシングを施すことではなく、上研磨布の研磨作用面および下研磨布の研磨作用面に対する部分(サイトのグローバル形状)的なドレッシング量(取り代分布)を変更することで、両研磨作用面が平行となるように両研磨作用面の形状を調整することをいう。具体的には、上研磨布の研磨作用面が、中央部が凹んだ(外周部が凸となった)湾曲形状のもので、下研磨布の研磨作用面が、中央部が凸となった(外周部が凹んだ)湾曲形状のものである場合、最終的に下研磨布の研磨作用面の形状が上研磨布の研磨作用面の形状に合致するように、上研磨布の研磨作用面の外周部がその中央部に比べてドレッシング量が大きくなるように積極的にドレッシングしながら、下研磨布の中央部がその外周部に比べてドレッシング量が大きくなるように積極的にドレッシングすることをいう。
【0019】
この発明は、上研磨布および下研磨布の各研磨作用面をドレッシングする際、キャリアプレートと同一直径で、かつウェーハ保持孔に半導体ウェーハと同一サイズのダミーウェーハが保持されたドレス補助用キャリアプレートを、サンギヤとインターナルギヤとに噛合して行うことが望ましい。このように、上定盤と下定盤との間に、第1のドレスプレートおよび第2のドレスプレートだけでなく、ドレス補助用キャリアプレートも挟み込むことで、ドレッシング時、第1および第2のドレスプレートのみでドレッシングを行った場合に比べて、回転軸を介して上定盤に作用するドレッシング圧力の受圧面積が拡大する。これにより、その受圧面積が小さいことを原因としたドレッシング時の上定盤の傾きを防止することができる。
【0020】
ダミーウェーハは、両面研磨される半導体ウェーハと同一素材のものでも、異なる素材のものでもよい。ダミーウェーハの厚さは、両面研磨される半導体ウェーハの厚さと同程度のものの方が、前述したドレッシング時の上定盤の傾きを、より良好に防止することができる。
ドレス補助用キャリアプレートは、研磨時のキャリアプレートと同一素材のものでも、異なる素材のものでもよい。
【0021】
この発明は、第1のドレスプレートの中央部に、第1のドレスプレートの上面と下面とを貫通する第1の開口部を形成し、また第2のドレスプレートの中央部のうち、第2のドレス工具の形成部分を除く部分に、第2のドレスプレートの上面と下面とを貫通する第2の開口部を形成するようにした方が望ましい。この構成とすれば、ドレッシング中に発生したドレス屑は、第1の開口部を通して第1のドレスプレートの外へ排出されるか、第2の開口部を通して第2のドレスプレートの外へ排出される。これにより、上下の研磨布のドレス屑を両面研磨装置の外へ円滑に排出することができるとともに、第1および第2のドレスプレートへのドレッシング液への供給も支障なく行うことができる。
【0022】
上研磨布および下研磨布のドレス屑としては、上下の研磨布を、対応するドレス工具によってドレッシングした際に発生する研削屑の他、ドレス工具より脱落したドレス材などが挙げられる。
第1の開口部および第2の開口部の形状は限定されない。例えば、半円形状、円形状、楕円形状の他、三角形または四角形以上の多角形状などを採用することができる。また、第1の開口部および第2の開口部の大きさおよび形成数は限定されない。
ドレッシング液としては、例えば純水などを採用することができる。
ドレッシング時の上研磨布および下研磨布の両研磨作用面のドレッシング量は、片面で5〜50μm(両面で10〜100μm)である。特に好ましいドレッシング量は、片面で10〜30μm(両面で20〜60μm)である。
ドレッシング時の第1のドレスプレートと第2のドレスプレートに対する面圧は、例えば10〜150g/cmである。10g/cm未満では、面圧が低すぎて研磨布そのものをドレッシングできない恐れがあり、逆に面圧が高すぎる(150g/cmを超える)とドレス屑などを起因とした引っ掻き傷などの発生を生じる恐れがある。特に好ましい面圧は20〜100g/cmである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1〜請求項5に記載の発明によれば、両面研磨装置を利用し、上下の研磨布を同時ドレッシングする際において、上研磨布および下研磨布のうち、何れかが有している外周部に比べて中央部が凹んだ湾曲形状の研磨作用面を、例えば、第1のドレス工具がドレッシング作用面に形成された第1のドレスプレートによってドレッシングする。その際、第1のドレス工具がリング形状のものであるため、その研磨作用面の外周部が積極的に研削されて、この外周部のドレッシング量が中央部のドレッシング量に比べて大きくなる。
また、上研磨布および下研磨布のうち、何れかが有している外周部に比べて中央部が凸となった湾曲形状の研磨作用面を、例えば、第2のドレス工具がドレッシング作用面に形成された第2のドレスプレートによってドレッシングする。このとき、第2のドレス工具が、ドレッシング作用面の直径方向へ延びた矩形状のものであるため、その研磨作用面の中央部が積極的に研削されて、この中央部のドレッシング量が外周部のドレッシング量に比べて大きくなる。
【0024】
上下の研磨布の両研磨作用面は、それぞれ平坦化しなくても、両研磨作用面に平行性(マッチング性)があれば両面研磨後のウェーハの平坦度は高まる。そのため、上述したようにリング形状の第1のドレス工具および矩形状の第2のドレス工具を用いて、それぞれ対応する形状の研磨作用面にドレッシングを施すことで、上研磨布の研磨作用面と下研磨布の研磨作用面との平行度が高まり、その結果、両面研磨後のウェーハの平坦度を高めることができる。
【0025】
また、請求項3に記載の発明によれば、両面研磨装置としてサンギヤ式のものを採用したので、上下研磨布の偏摩耗が生じやすく、本発明によるドレッシング方法の適用が有効となる。
【0026】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、ドレッシングに際して、上定盤と下定盤との間に、第1のドレスプレートおよび第2のドレスプレートだけでなく、ダミーウェーハを保持したドレス補助用キャリアプレートも挟み込む。これにより、第1および第2のドレスプレートのみでドレッシングした場合に比べて、回転軸を介して上定盤に作用するドレッシング圧力の受圧面積が増大する。その結果、その受圧面積が小さいことを原因として発生するドレッシング時の上定盤の傾きを防止することができる。
【0027】
さらにまた、請求項5に記載の発明によれば、第1のドレスプレートの中央部に第1の開口部を形成し、また第2のドレスプレートの中央部のうち、第2のドレス工具の形成部分を除く部分に第2の開口部を形成したので、ドレッシング中に発生したドレス屑は、第1の開口部を通して第1のドレスプレートの外へ排出されるとともに、第2の開口部を通して第2のドレスプレートの外へ排出される。これにより、上下の研磨布のドレス屑を両面研磨装置の外へ円滑に排出することができるとともに、第1および第2のドレスプレートの各ドレッシング作用面へのドレッシング液への供給も支障なく行うことができる。
特に、1本の第2のドレス工具の両側に一対の第2の開口部を形成した場合には、第2のドレス工具を複数形成した場合に比べて、第2のドレスプレートに対して開口面積の大きな第2の開口部の確保が可能となり、第2のドレスプレートへのドレッシング液の進入性が高まるとともに、ドレス屑による第2のドレスプレートのキズの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の実施例1に係る両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法で使用される両面研磨装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】この発明の実施例1に係る両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法を示す縦断面図である。
【図3】この発明の実施例1に係る両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法で使用される第1のドレスプレートの平面図である。
【図4】この発明の実施例1に係る両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法で使用される第2のドレスプレートの底面図である。
【図5】実施例1におけるドレッシング前の上研磨布の厚さ分布を示すグラフである。
【図6】実施例1におけるドレッシング後の上研磨布の厚さ分布を示すグラフである。
【図7】実施例1におけるドレッシング前の下研磨布の厚さ分布を示すグラフである。
【図8】実施例1におけるドレッシング後の下研磨布の厚さ分布を示すグラフである。
【図9】従来法で使用される両面研磨装置の全体構成を示す平面図である。
【図10】従来法におけるドレッシング前の上下の研磨布の厚さ分布を示すグラフである。
【図11】従来法におけるドレッシング後の上下の研磨布の厚さ分布を示すグラフである。
【図12】実施例1におけるドレッシング前の上下の研磨布を使用して両面研磨したシリコンウェーハの平坦度を示すグラフである。
【図13】実施例1におけるドレッシング後の上下の研磨布を使用して両面研磨したシリコンウェーハの平坦度を示すグラフである。
【図14】従来法におけるドレッシング前の上下の研磨布を使用して両面研磨したシリコンウェーハの平坦度を示すグラフである。
【図15】従来法におけるドレッシング後の上下の研磨布を使用して両面研磨したシリコンウェーハの平坦度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例】
【0030】
図1および図2において、10は実施例1に係る両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法が適用された両面研磨装置(以下、両面研磨装置)である。まず、両面研磨装置を詳細に説明する。
両面研磨装置10は、5枚のシリコンウェーハ(半導体ウェーハ)Wの表裏面を同時に研磨可能なサンギヤ(遊星歯車)方式のものである。具体的には、両面研磨装置10は、平行に設けられた上定盤11および下定盤12と、上定盤11の下面に貼着された上研磨布13と、下定盤12の上面に貼着された下研磨布14と、下定盤12の中央部に設けられた小径なサンギヤ15と、サンギヤ15を中心にして回転自在に設けられた大径なインターナルギヤ16と、5枚の円板形状のキャリアプレート17とを備えている。
【0031】
各キャリアプレート17は、直径が510mm、厚さが0.75μmで、エポキシガラス製のものである。各キャリアプレート17には、直径300mm、厚さ0.8μmのシリコンウェーハWを保持するウェーハ保持孔17aが中央部に1つ形成され、キャリアプレート17の外周部には、サンギヤ15とインターナルギヤ16とに噛合する外歯17bが形成されている。また、上研磨布13および下研磨布14としては、ニッタ・ハース社製のMHS15A(Asker硬度85゜、密度0.53g/cm、圧縮率3.0%、直径1340mm、厚さ1000μmの硬質発泡ウレタンフォーム)が採用されている。
【0032】
両面研磨装置10によるウェーハ両面研磨は、ウェーハ保持孔17aにシリコンウェーハWを保持した5枚のキャリアプレート17を上定盤11と下定盤12とによって挟み込み、遊離砥粒を含む研磨液を供給しながら、サンギヤ15とインターナルギヤ16との間でこれらのキャリアプレート17を自転公転させ、各シリコンウェーハWの表裏面を同時に研磨する。このとき、サンギヤ15とインターナルギヤ16とは、互いに反対向きに回転している。
長時間にわたって両面研磨することで、上研磨布13および下研磨布14の各研磨作用面に偏摩耗が発生し、両面研磨後のシリコンウェーハWは変形する。ここでは、一般的な両面研磨時に発生する編摩耗と同様に、上研磨布13の研磨作用面が外周部に比べて中央部が凹んだ湾曲形状となり、下研磨布14の研磨作用面が外周部に比べて中央部が凸となった湾曲形状となっている。なお、下研磨布14の研磨作用面の曲率は、上研磨布13の研磨作用面の曲率より大きい。
そこで、偏摩耗によるウェーハ変形を低減する目的で、両面研磨装置10を利用し、定期的に上研磨布13の研磨作用面をドレッシングする第1のドレスプレート18と、下研磨布14の研磨作用面をドレッシングする第2のドレスプレート19による上下の研磨布13,14の各研磨作用面の形状(表面形状)を補修するドレッシングを行う。
【0033】
ここで使用される第1のドレスプレート18は、外周部のドレッシング作用面(上面)に、リング形状の第1のドレス工具20がプレート外周部の全周にわたって固定され、かつプレート中央部に、その上面と下面とを貫通する円形状の第1の開口部21が形成されたものである(図3)。
また、第2のドレスプレート19は、ドレッシング作用面(下面)に、第2のドレスプレート19の直径方向へ延びる矩形状(短冊形状)の第2のドレス工具23が1本固定されたものである(図4)。第2のドレスプレート19の中央部のうち、第2のドレス工具23の形成部分を除く部分には、第2のドレスプレート19の上面と下面とを貫通する略半円形状の第2の開口部24が一対形成されている。
【0034】
第1のドレスプレート18および第2のドレスプレート19は、ステンレス(SUS)からなる円形状の基板25を本体としている。これにより、両ドレスプレート18,19の剛性確保が図られるとともに、第1のドレス工具20および第2のドレス工具23に用いられるアルミナ、ダイヤモンドなどからなるドレス材の基板25への電着が可能となる。基板25の外径はキャリアプレート17と同一で、基板25の外周部にはサンギヤ15とインターナルギヤ16とに噛合する外歯25aが形成されている。
特に、第2のドレスプレート19は、天気記号の晴れ形状(丸に一つ引きの家紋形状)となるように、円環部分と矩形部分とが一体化した基板25の矩形領域の下面(ドレッシング作用面)に、平均粒径が20〜80μmのダイヤモンドを電着したものである。第1のドレスプレート18の場合も、基板25の外周部の上面(ドレッシング作用面)に電着されるダイヤモンドの平均粒径は20〜80μmである。
【0035】
また、ドレッシング時には、両面研磨装置10の2枚のキャリアプレート17を、第1のドレスプレート18および第2のドレスプレート19に代えるだけでなく、残り3枚のキャリアプレート17を、ドレス補助用キャリアプレート26に代えている。ドレス補助用キャリアプレート26は、キャリアプレート17と同一サイズ、同一形状の円環形状のエポキシガラスからなる薄板で、中央部に形成された1つのウェーハ保持孔26aにダミーウェーハW1が保持され、外周部に外歯26bが形成されている。ダミーウェーハW1は、シリコンウェーハWと同一直径、同一厚さの疑似ウェーハである。
【0036】
次に、図1〜図8を参照して、この両面研磨装置10を利用した発明の実施例1に係る両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法を説明する。
図1および図2に示すように、上研磨布13および下研磨布14の同時ドレッシング時には、まず、両面研磨装置10に配置された5枚のキャリアプレート17のうち、図1上の上側に配置されたキャリアプレート17を、図3に示すドレッシング作用面が上向きの第1のドレスプレート18と差し替え、図1上の左下側に配置されたキャリアプレート17を、図4に示すドレッシング作用面が下向きの第2のドレスプレート19と差し替え、残り3枚のキャリアプレート17を、図1に示すダミーウェーハW1がウェーハ保持孔26aに保持されたドレス補助用キャリアプレート26と差し替える。
【0037】
その後、この状態のまま上定盤11を徐々に下降し、上定盤11に固定した上研磨布13と下定盤12に固定した下研磨布14との間で、第1および第2のドレスプレート18,19と3枚のドレス補助用キャリアプレート26とを挟み込む(図1および図2)。次に、純水からなるドレッシング液を5〜10リットル/分で供給しながら、上定盤11と下定盤12とを互いに反対方向へ回転させるとともに、サンギヤ15とインターナルギヤ16との間で、第1および第2のドレスプレート18,19と各ドレス補助用キャリアプレート26とをそれぞれ所定速度で自転公転させ、上研磨布13と下研磨布14との両研磨作用面を、第1および第2のドレスプレート18,19によって同時にドレッシングする(図1および図2)。
【0038】
このとき、第1のドレスプレート18の外周部のドレッシング作用面に形成されたリング形状の第1のドレス工具20によって、上研磨布13の研磨作用面、特に研磨作用面の中央部に比べて隆起した外周部が積極的に研削(ドレッシング)される(図6の領域A)。一方、第2のドレスプレート19のドレッシング作用面に形成した矩形状の第2のドレス工具23によって、下研磨布14の研磨作用面、特に研磨作用面の外周部に比べて隆起した中央部が積極的に研削される(図8の領域B)。これにより、上研磨布13の研磨作用面と下研磨布14の研磨作用面との平行度が、図5のグラフおよび図7のグラフの対比によって推測される状態から、図6のグラフと図8のグラフとの対比によって推測される状態まで高められる。なお、図5〜図8のグラフの縦軸は研磨布の厚さであり、グラフの横軸は研磨布の直径方向の位置であって、右方向へ向かうほど研磨布の外周縁に近い位置を示す。
【0039】
ところで、上研磨布13の研磨作用面と下研磨布14の研磨作用面とは、それぞれ平坦化しなくても両研磨作用面に平行性(マッチング性)があれば両面研磨後のウェーハの平坦度は高まる。そのため、上述したようにリング形状の第1のドレス工具20と矩形状の第2のドレス工具23とを使用し、上下の研磨布13,14の両研磨作用面にドレッシングを施して上研磨布13の研磨作用面と下研磨布14の研磨作用面との平行度を高めることにより、両面研磨後のシリコンウェーハWの平坦度を高めることができる。
【0040】
また、ドレッシング時には、上述したように上定盤11と下定盤12との間に、第1および第2のドレスプレート18,19だけでなく、ダミーウェーハW1を保持したドレス補助用キャリアプレート26も挟み込んでいる。そのため、第1および第2のドレスプレート18,19のみによりドレッシングを行った場合に比べて、回転軸から上定盤11に作用するドレッシング圧力の受圧面積が増大する。これにより、その受圧面積が小さいことを原因として発生するドレッシング時の上定盤11の傾きを防止することができる。
さらに、ドレッシング中に発生した上研磨布13のドレス屑は、第1のドレスプレート18の中央部に形成された第1の開口部21を通して、第1のドレスプレート18の外へ排出することができる。また、ドレッシング中に発生した下研磨布14のドレス屑は、第2のドレスプレート19の中央部の両側部分に形成された一対の第2の開口部24を通して、第2のドレスプレート19の外へ排出することができる。これにより、研磨時にドレス屑によってシリコンウェーハWを傷づけることなく、上下の研磨布13,14のドレス屑を両面研磨装置の外へ円滑に排出することができる。しかも、第1および第2のドレスプレート18,19へのドレッシング液への供給も支障なく行うことができる。特に、矩形状を有した第2のドレス工具23の両側に略半月形状の大きな第2の開口部24を形成したので、よりドレッシング液のドレッシング作用面への進入性およびドレス屑の排出効果が高まる。
【0041】
ここで、図9〜図15を参照して、本発明法および従来法に係る両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法によりドレッシングした後の上下の研磨布を使用し、表裏面が同時研磨されたシリコンウェーハについて、平坦度を比較した結果を報告する。
本発明法では実施例1の両面研磨装置10を使用し、実施例1と同一の条件で上下の研磨布を同時にドレッシングした。また、従来法では、図9に示すように実施例1と同様に両面研磨装置10を使用し、ドレッシング条件も実施例1に準じて上下の研磨布を同時にドレッシングした。ただし、第2のドレスプレート19に代えて別の第2のドレスプレート19Aを採用した。別の第2のドレスプレート19Aとは、リング形状の第1のドレス工具20がドレッシング作用面(下面)に形成され、かつ円形状の第1の開口部21がプレート中央部に形成されたものであって、上下面を反転した第1のドレスプレート18と同じものである。
【0042】
従来法に則り、上下の研磨布13,14をドレッシングした結果を図10および図11に示す。なお、下研磨布14の厚さ分布は下研磨布14の外周部の厚さを0としたときの直径方向の分布であり、上研磨布13の厚さ分布は上研磨布13の外周部の厚さを20μmとしたときの直径方向の分布を示すものである。図10のグラフと図11のグラフとの対比から明らかなように、ドレッシングの前後において、上研磨布13の研磨作用面と下研磨布14の研磨作用面との平行度はそれほど改善しなかった。これは、第1および第2のドレスプレート18,19として、ドレッシング作用面にリング形状の第1のドレス工具20が形成されたものを採用したためと考えられる。すなわち、同一形状のドレス工具を用いたドレッシングでは、上下の研磨布13,14の研磨作用面に対するドレッシング量(取り代分布)は略等量となる。このような等量ドレッシングを、長時間の研磨で偏摩耗が増大した上下の研磨布13,14の各研磨作用面に施しても、ドレッシング後の上研磨布13の研磨作用面と下研磨布14の研磨作用面との平行度は、顕著に改善されることはない。
【0043】
次に、本発明法に則ってドレッシングされた上下の研磨布13,14を使用し、シリコンウェーハWを両面研磨した場合と、従来法に則ってドレッシングされた上下の研磨布13,14を使用し、シリコンウェーハWを両面研磨した場合(図14のグラフおよび図15のグラフ)とのウェーハ平坦度を対比した。
本発明法において、ドレッシング前の研磨布13,14により実施例1の条件で両面研磨を行ったときのシリコンウェーハWの平坦度は、GBIR;0.36μm(凹形)、SFQD P Ave;−37nmであった(図12のグラフ)。また、ドレッシング後の研磨布13,14により実施例1の条件で両面研磨を行ったときのシリコンウェーハWの平坦度は、GBIR;0.20μm(凸形)、SFQD P Ave;−25nmであり(図13のグラフ)、ウェーハ平坦度は明らかに改善された。
【0044】
一方、従来法において、ドレッシング前の研磨布13,14により実施例1の条件で両面研磨を行ったときのシリコンウェーハWの平坦度は、GBIR;0.56μm(凹形)、SFQD P Ave;−45nmであった(図14のグラフ)。また、ドレッシング後の研磨布13,14により実施例1の条件で両面研磨を行ったときのシリコンウェーハWの平坦度は、GBIR;0.53μm(凹形)、SFQD P Ave;−53nmであり(図15のグラフ)、ウェーハ平坦度はさほど改善されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明は、両面研磨装置の研磨性能が低下した研磨布の表面をドレッシングし、そのウェーハ研磨性能を高める技術として有用である。
【符号の説明】
【0046】
10 両面研磨装置、
11 上定盤、
12 下定盤、
13 上研磨布、
14 下研磨布、
15 サンギヤ、
16 インターナルギヤ、
17 キャリアプレート、
18 第1のドレスプレート、
19 第2のドレスプレート、
20 第1のドレス工具、
21 第1の開口部、
23 第2のドレス工具、
24 第2の開口部、
26 ドレス補助用キャリアプレート、
26a ウェーハ保持孔、
W シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)、
W1 ダミーウェーハ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上定盤に固定した上研磨布と下定盤に固定した下研磨布との間に、前記上研磨布および前記下研磨布のうちの何れか一方をドレッシングする円板形状の第1のドレスプレートと、前記上研磨布および前記下研磨布のうちの残った他方をドレッシングする円板形状の第2のドレスプレートとを挟み込み、この状態で前記上定盤および前記下定盤をそれぞれ所定方向へ回転させることで、前記上研磨布の研磨作用面と前記下研磨布の研磨作用面とを同時にドレッシングする両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法であって、
前記研磨布の中央部のドレッシング量に比べて外周部のドレッシング量が大きくなるように、前記第1のドレスプレートのドレッシング作用面側にはリング形状の第1のドレス工具が設けられ、
前記研磨布の外周部のドレッシング量に比べて中央部のドレッシング量が大きくなるように、前記第2のドレスプレートのドレッシング作用面側にはドレッシング作用面の中心点を通り直径方向に延びる矩形状の第2のドレス工具が設けられ、
前記第1ドレス工具および前記第2ドレス工具により前記上下研磨布を同時にドレッシングする両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法。
【請求項2】
前記上研磨布および前記下研磨布のうちの何れか一方は、外周部に比べて中央部が凹んだ湾曲形状の研磨作用面を有し、前記上研磨布および前記下研磨布のうちの残った他方は、外周部に比べて中央部が凸となった湾曲形状の研磨作用面を有し、
前記外周部に比べて中央部が凹んだ湾曲形状の研磨作用面は、その外周部のドレッシング量がその中央部に比べて大きくなるように、前記第1のドレスプレートの第1のドレス工具によってドレッシングし、かつ前記外周部に比べて中央部が凸となった湾曲形状の研磨作用面は、その中央部のドレッシング量がその外周部に比べて大きくなるように、前記第2のドレスプレートの第2のドレス工具によってドレッシングすることで、前記上研磨布の研磨作用面と前記下研磨布の研磨作用面との形状を、これらの研磨作用面が平行となるように調整する請求項1に記載の両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法。
【請求項3】
前記両面研磨装置は、ウェーハ保持孔に半導体ウェーハを保持したキャリアプレートを、サンギヤとインターナルギヤとの間で自転公転させることで、前記半導体ウェーハの表裏両面を同時に研磨するサンギヤ式のもので、
前記第1のドレスプレートおよび前記第2のドレスプレートは、前記キャリアプレートと同一直径で、かつ前記サンギヤおよび前記インターナルギヤとに噛合する外歯が周設されたものである請求項1または請求項2に記載の両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法。
【請求項4】
前記上研磨布および前記下研磨布のドレッシングは、前記キャリアプレートと同一直径で、かつウェーハ保持孔に前記半導体ウェーハと同一サイズのダミーウェーハが保持されたドレス補助用キャリアプレートを、その外周部に周設された外歯を前記サンギヤと前記インターナルギヤとに噛合させた状態で行う請求項3に記載の両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法。
【請求項5】
前記第1のドレスプレートの中央部には、該第1のドレスプレートの上面と下面とを貫通する第1の開口部が形成され、
前記第2のドレスプレートの中央部のうち、前記第2のドレス工具の形成部分を除く部分には、前記第2のドレスプレートの上面と下面とを貫通する第2の開口部が形成された請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の両面研磨装置の研磨布ドレッシング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−94873(P2013−94873A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238722(P2011−238722)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】