説明

中空形材からなる混合酸化物触媒

本発明は、オレフィンの接触気相酸化のための中空形材を含む混合酸化物触媒および有機材料からなる担体上で層としての施与およびこの有機材料の除去によって触媒を製造する方法に関する。アルデヒドおよびカルボン酸への反応は、異なる量比での不活性ガスの存在で高められた温度および圧力で前記触媒の存在で空気または酸素を用いて行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンの接触気相酸化のための中空形材からなる混合酸化物触媒、前記触媒の製造法ならびに高められた温度および圧力で、異なる量比の不活性ガスの存在で空気または酸素を用いてのアルデヒドおよびカルボン酸への変換に関する。
【0002】
殊に、この触媒は、プロペンの激しい発熱反応によるアクロレインおよびアクリル酸への変換またはイソブテンの激しい発熱反応によるメタクロレインおよびメタクリル酸への変換に使用されることができる。酸素含有ガスを用いる不均一触媒でのオレフィンの激しい発熱反応は、望ましい生成物のアクロレインおよびアクリル酸と共に一連の副生成物:例えば、CO2、CO、アセトアルデヒドまたは酢酸の形成を生じる。
【0003】
混合酸化物の化学組成(相形成および反応中心の形成)の種類によって、ならびに物理的構成(例えば触媒の多孔度、表面サイズ、形)の種類、熱導出の種類、生成物形成のための能力(選択率)および生産性(空時収率)によって著しく影響を及ぼされうることは、公知である。オレフィン酸化の場合に、触媒として、一般に、それらの化学的および物理的な構成において複雑な構造を有する混合酸化物が使用される。多数の刊行物には、プロペンからアクロレインおよびアクリル酸を製造するための触媒として使用されることができる混合酸化物が記載されている。これらの触媒は、一般にモリブデン、バナジウムおよび/またはタングステンからなる。これらの基本成分には、一般に、元素であるビスマス、アンチモン、バナジウム、テルル、錫、鉄、コバルト、ニッケルおよび/または銅の少なくとも1つが添加される。
【0004】
アクロレインおよびアクリル酸へのオレフィンの不均一触媒による気相酸化についての刊行物は、Standard Oil Inc.社での最初の開発である英国特許第821999号明細書(1958)以来、数多い。長い開発期間にも拘わらず、触媒の効率、例えば生産収量、活性度および寿命を改善するという要望の多い課題が依然として存在する。これについては、刊行物に、製造のための多様な技術ならびに触媒の処方の特許保護が請求されている。例示的に、ここでは最も新しい開発を記載することができる:
公知技術水準
WO 2005/063673は、不活性の材料によって触媒を希釈し、反応帯域中での熱形成を減少させ、それによって生成物の収量を高めることに関する。高すぎる過剰温度を回避させることにより、生成物の全酸化は減少される。不活性による反応の温度調節にも拘わらず、記載された方法は、アクロレインおよびアクリル酸について最大91.22%の全収率を達成するにすぎない。
【0005】
WO 2005035115には、金属酸化物および昇華可能な材料の組成を有する触媒を製造することが記載されている。金属酸化物は、触媒的に作用し、昇華可能な材料は、細孔発生のための添加剤として作用する。これらの金属酸化物および昇華可能な材料から生じる触媒は、極めて活性であり、大きな表面積を有し、この状態で高い選択性を有するアクロレインおよびアクリル酸を形成させることができる。
【0006】
ドイツ連邦共和国特許第10344149号明細書の記載から、アクロレインまたはメタクロレインへのプロペンの部分酸化のために、2〜11mmの長さ、2〜11mmの外径および0.75〜1.75mmの肉厚を有する、Mo12BiaFeb1c2d3e4fn (1)を基礎とする環状の完全触媒は、公知である。触媒(I)は、改善された活性および選択性の利点を有する。
【0007】
ドイツ連邦共和国特許第19933450号明細書には、金属合金からなる中空形材または中空球体を含むニッケルからなる金属触媒が記載されており、この金属触媒は、水素化、脱水、異性体化、還元アルキル化および還元アミン化に使用される。こうして製造された触媒は、改善された強度および寿命を有する。
【0008】
この種の中空球体は、アンダーセン(Andersen)、シュナーダー(Schneider)およびシュテファニー(Stephanie)("neue Hochporoese Metallische Werkstoffe", Ingenieur-Werkstoffe, 4, 1998, 第36〜38頁)の記載により製造されることができる。この方法の場合、望ましい合金と有機結合剤と選択的に無機結合剤との混合物は、均一にポリスチレン球体からなる流動床に噴霧され、そこでこの球体は、被覆される。その次に、この被覆された球体は、450〜1000℃の範囲内の選択的な温度でか焼され、よりいっそう高いか焼温度により、ポリスチレンは燃焼され、金属が一緒に燒結され、中空形材を安定にする。か焼後、触媒は、苛性ソーダ液によって活性化され、活性化された基本金属触媒を製造することができる。この触媒系の付加的な利点は、中空形材の壁の厚さを被覆条件によって簡単に制御することができ、壁の多孔度を元来の粉末混合物の粒度および組成によって簡単に制御することができることである。
【0009】
課題
混合酸化物の化学組成(相形成および反応中心の形成)の種類によって、ならびに物理的構成(例えば触媒の多孔度、表面サイズ、形)の種類、熱導出の種類、生成物形成のための能力(選択率)および生産性(空時収率)によって著しく影響を及ぼされうることは、公知である。本発明は、公知技術水準と比較して高められた触媒活性を有する触媒を提供するという課題を有する。
【0010】
さらに、アクロレインおよびアクリル酸がプロペンから、不活性ガス、それらの中に水蒸気または反応からの排ガスを含む、の存在で、高められた温度および不均一系混合酸化物触媒の存在で、空気または酸素を用いる酸化によって製造されることによる、アルデヒドおよび酸の改善された製造方法を提供するという課題が本発明の基礎となっている。95%よりも大きいプロペン変換率に加えて88%以上の高い生成物選択率も達成される混合酸化物触媒が準備されることになるので、本方法の経済性が改善される。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明の対象は、中空形材からなる、オレフィンを酸化するための触媒、例えば一般式
(Mo12Biab(Co+Ni)cdefgh)Ox (I)
〔式中、
Cは、鉄を表わし、
Dは、W、Pの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
Eは、Li、K、Na、Rb、Cs、Mg、Ca、Ba、Srの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
Fは、Ce、Mn、Cr、Vの群から選択された元素少なくとも1つを表わし、
Gは、Nb、Se、Te、Sm、Gd、La、Y、Pd、Pt、Ru、Ag、Auの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
Hは、Si、Al、Ti、Zrの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
および
aは、0.5〜5であり、
bは、0.5〜5.0であり、
cは、2〜15であり、
dは、0.01〜5.0であり、
eは、0.001〜2であり、
fは、0.001〜5であり、
gは、0〜1.5であり、
hは、0〜800であり、
xは、酸素とは異なる元素の原子価および頻度によって定められる数である〕で示される混合酸化物触媒である。
【0012】
本発明による触媒を使用することは、明らかに改善された触媒活性を生じ、この触媒活性は、高い変換率に対して僅かな塩浴温度に調節可能であることを表わす。
【0013】
例えば、一般式Iを有する触媒の新しい製造方法によって、例えばプロペンをアクロレインおよびアクリル酸に変換するために、特に適した触媒活性な固体を得ることができる。特に有利に、反応は、触媒を固定床として使用することを可能にする反応器中で実施される。しかし、同様に、触媒を渦動床触媒として使用することも可能である。この点で、本発明による触媒が、イソブテンをメタクロレインおよびメタクリル酸に変換するためにも使用されうることに注目することができる。
【0014】
本発明による触媒の製造は、微粒状の粉末が、次の製造工程:金属塩の溶解、活性成分の沈殿、乾燥およびか焼によって製造され、か焼された粉末の形にもたられることによって行なうことができる。これは、一般に公知であるように、タブレット化、押出しまたは担体のコーティングによって行なうことができる。担体の形は、制限されていない。即ち、担体は、例えば角錐体、円筒体または球体であってよい。
【0015】
更に、混合酸化物触媒に中空形材を付与する新規方法が見出された。この場合、担体は、活性物質に1つの形を設定し、活性物質の固化後または固化中に除去され、その結果、1つの中空形材を生じるマトリックスである。除去は、溶剤によるかまたは有利に熱的に、例えば熱輻射による意図的な溶出によって行なわれる。この場合、被覆された担体は、有利に450〜600℃の温度範囲内で酸素、殊に空気の存在下で処理され、したがってこの触媒活性物質は、工業用反応器中での使用のために固化し、担体は、残滓不含になるように分解する。担体としては、有機材料、例えばポリスチレンを基礎とするプラスチック、例えばASA(アクリルニトリル/スチレン/アクリルエステル)、ポリスチレン(PS、PS−I)、SAN(スチレン/アクリルニトリル)が使用される。しかし、前記プラスチックに制限されるものではない。前記材料は、一般にセラミック担体よりも明らかに安価であり、したがって、触媒の製造費は、減少する。
【0016】
担体マトリックスの寸法は、制限されていない。
【0017】
通常、0.1〜20mm、殊に5mmまでの物体が使用される。しかし、10-6〜0.1mmの範囲内の担体または2mmを上廻る担体を使用することも考えられる。
【0018】
こうして製造された触媒は、卓越した活性、選択率および寿命を有し、かつ極めて良好な生産収量をもたらす。
【0019】
記載された方法において気相酸化に使用すべき触媒は、式Iからの触媒活性元素の望ましい濃度を有する溶解された化合物を合わせることによって得られる。これらの成分は、理想的には、アンモニウム化合物またはアミン化合物、シュウ酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩、カルボニルおよび/または硝酸塩の群から選択された化合物の形で個々にまたは共に使用される。特に好ましくは、炭酸塩、硝酸塩またはリン酸塩、またはこれらからなる混合物である。同様に使用されることができるのは、前記塩の酸、例えば硝酸、リン酸または炭酸である。
【0020】
触媒製造の第一段階は、既述したように沈殿物を形成する。沈殿工程で使用される金属塩の種類に依存して、前記成分を溶剤混合物の形で沈殿混合物に添加することは、必要である。この場合、理想的に使用されるのは、アンモニアまたはアンモニウム塩、例えば炭酸アンモニウム、七モリブデン酸アンモニウムまたは金属硝酸塩、例えば硝酸鉄、硝酸コバルトであり;同様に、相応する酸、例えば硝酸が、イオン比の調節に必要な量で使用されうる。沈殿中のpH値は、8未満、特に7未満である。
【0021】
共沈物の製造は、一つの沈殿段階で実施されることができる。沈殿を、多段階で、個々の成分の段階的な添加によるかまたはこれらの成分からなる混合物により実施することは、特に好ましい。沈殿段階の数は、原則的に限定されていない。好ましくは、しかし1〜3の沈殿段階である。
【0022】
得られた懸濁液は、直接さらに加工されることができるか、またはこの懸濁液は、0時間を上廻り24時間までに亘って熟成されることができ、好ましくは、0時間を上廻り12時間までであり、特に好ましくは、0時間を上廻り6時間までである。沈殿懸濁液が後加工前に、例えば撹拌によって均質化されることは自明である。
【0023】
熟成後に、懸濁液の液体は、蒸発、遠心分離または濾過によって除去されることができる。液体を蒸発させることおよび同時に固体を乾燥させることは、同様に可能であり、例えば噴霧乾燥によって行なうことができる。液体は、80〜130℃の温度で蒸発される。固体の乾燥は、空気、酸素含有不活性ガスまたは不活性ガス、例えば窒素を用いて行なうことができる。乾燥が炉中で実施される場合には、温度は、100〜200℃の温度である。噴霧乾燥器中では、200〜500℃の乾燥媒体の開始温度および乾燥された粉末の堆積の際の80〜200℃の温度が設けられている。得られる粒子は、有利に15〜80μmの平均粒径を有する15〜160μmの粒度分布を有する。
【0024】
引続き、乾燥された粉末は、原則的に、多種多様な炉のタイプ中で、例えば循環空気炉、回転管、トレイ炉、シャフト炉またはベルト炉中でか焼されることができる。制御品質もしくは炉の温度確認の品質は、できるだけ高いべきである。炉中の粉末の滞留期間は、炉のタイプに応じて0.25〜13時間である。
【0025】
同様に、か焼およびその際に生じる塩、例えば硝酸塩または炭酸塩の熱分解を、1つまたはそれ以上の段階で実施することが可能である。この場合には、200〜600℃、殊に300℃〜600℃の温度を利用することができる。熱分解は、酸素と不活性ガスとの混合物からなる、不活性ガスの添加下に、実施されることができる。
【0026】
不活性ガスとして使用可能であるのは、例えば、窒素、ヘリウム、水蒸気またはこれらのガスの混合物である。
【0027】
こうして得られた粉末は、既に触媒として使用されることができる。粉末の平均粒度分布は、0.01〜50μmに達する。
【0028】
混合酸化物粉末を本発明による形に変換するために、この混合酸化物粉末は、触媒活性材料の固化後に除去される担体上に施こされ、その結果、中空体が生じる。この除去は、溶剤によるかまたは有利に熱的に、例えば熱輻射による意図的な溶出によって実施される。この場合、担体および触媒活性層からなる、本発明による触媒の前駆生成物は、有利に490〜600℃、殊に490〜580℃の温度範囲内で処理され、したがって触媒活性材料は、工業用反応器中での使用のために固化され、担体は、同時にかまたは引続き残渣不含になるように除去される。担体としては、有機材料、例えばポリスチレンを基礎とするプラスチック、例えばASA(アクリルニトリル/スチレン/アクリルエステル)、ポリスチレン(PS、PS−I)、SAN(スチレン/アクリルニトリル)が使用されるが、しかし、これらのプラスチックに制限されるものではなく、例えばセルロースまたは糖が使用されてもよい。
【0029】
この場合、担体の幾何学的な形は、制限されていない。これは、むしろ反応器および反応実施の前提条件(例えば、管直径、触媒床の長さ)に依存する。例えば、担体は、角錐体、円筒体、鞍状体、球体または多角形体であることができる。同様に、担体の寸法は、制限されていない。通常、0.1〜5mmの担体が使用される。しかし、10-6〜0.1mmの範囲内の担体または2mmを上廻る担体を使用することも考えられる。混合酸化物の厚さは、担体の寸法に応じて一般に10-6〜1.5mmであり、特に有利には、0.1〜1.5mmの被覆厚さである。触媒前駆生成物を製造するための担体の被覆は、触媒粉末および結合剤を含有する水性懸濁液を噴霧することによって実施される。触媒粉末は、有利に470℃〜600℃でか焼された形で使用される。細孔の後の形成のために、懸濁液は、公知の細孔形成剤の1つに添加されてもよい。
【0030】
結合剤として、多種多様な油、セルロース、ポリビニルアルコール、糖類、アクリレートならびにアルキル誘導体、これらからなる混合物または縮合物が使用されることができる。好ましくは、アクリレート、ポリビニルアルコールならびにセルロースまたは糖である。特に好ましいのは、アクリレートおよび/またはセルロースおよび/または糖の誘導体および縮合物、ならびにこれらからなる混合物である。
【0031】
有利に110℃までの温度で被覆された担体の乾燥後に、担体は、除去される。この除去は、適当な溶剤によるかまたは熱的に、例えば熱輻射による意図的な溶出によって高められた温度で酸素の存在下に行なわれるこの場合、被覆された担体は、有利に490〜600℃の温度範囲内で処理され、したがって活性材料は、堅固な外殻を形成し、他方、担体は、残渣不含であるように溶解するかまたは分解する。
【0032】
本発明の対象は、同様に、オレフィンを、本発明による触媒の存在下で不飽和アルデヒドおよび相応する酸に酸化することである。
【0033】
アクロレインおよびアクリル酸を製造するための反応は、一般に250〜450℃の温度および1.0〜2.2bar(絶対)の圧力で実施される。この場合、反応成分であるオレフィン、空気および不活性ガスは、有利に1:6〜9:3〜18の比でオレフィン2〜10mol/触媒床dm3/hの負荷で触媒床に供給される。
【0034】
不活性ガスの代わりに、縮合可能な成分が分離された、前記反応からの排ガスが使用されることができる。特に良好な結果は、管束反応器または渦動床反応器を使用した際に達成される。
【0035】
本発明による触媒は、高い特殊な負荷の場合でも、挙げられた酸化方法における使用の際に改善された活性をもたらす。
【0036】
次に、本発明は、実施例につき詳説される。この場合、
生成物の収率(%)は、
(形成された生成物mol/h)/(供給された反応体mol/h)×100として定義され、
オレフィンの変換率(%)は、
[1−(反応管から流出するオレフィンmol/h)/(反応管中に流入するオレフィンmol/h)]×100として定義され、
選択率(%)は、(生成物の収率/変換率)×100として定義される。
【0037】
本発明は、よりよく理解するために次の実施例によって記載されるが、しかしながら本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
実施例
実施例1
溶液Iを、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、カリウムの硝酸塩を23.2:47.26:29.28:0.0646:0.2067の質量割合で水3.5l中に溶解し、撹拌下しながら40℃に加熱し、かつSm3+ 0.1molおよびHNO3 2molからなる硝酸溶液を添加することにより製造した。
【0039】
溶液IIについては、40℃で水2.7l中の七モリブデン酸アンモニウム2118.6gの溶液を準備し、それに水1l中の燐酸4.4g、Aerosil 200 0.42g(Degussa)および酸化アルミニウム14gを添加した。
【0040】
溶液IIを、ゆっくりとかつ強力に撹拌しながら、溶液Iに添加した。別個の容器中に、硝酸ビスマス790gおよびHNO3 0.72molからなる別の溶液IIIを投入した。この溶液を別の活性成分に添加することによって、活性触媒相を製造するための共沈物を得た。
【0041】
この共沈物を12時間、強力に撹拌した。得られた懸濁液を、回転円板を備えた噴霧乾燥器中で、350℃のガス入口温度で乾燥させた。空気量を、110±10℃の出口温度が得られるように調節した。
【0042】
この粉末を空気循環路中で445℃の温度で1時間、混合酸化物が形成するまで処理した。混合酸化物を、水性懸濁液として二物質流ノズルによって球状発泡スチロール(Styropor)担体上に噴霧し、60℃で空気流中で乾燥させた。このペレットを均質化するために、このペレットを転動させた。施こされた活性材料を固化するために、得られた物質を酸素の存在下で520℃で5時間、加熱した。
【0043】
実施例2
実施例1の触媒に、プロペン7.3体積%(化学等級)、空気60体積%および不活性ガスの組成の混合物を衝突させた。318℃の浴温度および2.0秒の接触時間で、92%の変換率で、95%の選択率を有するアクロレインおよびアクリル酸が得た。
【0044】
比較例3:
触媒を実施例1に対応するように製造した。担体として、球状発泡スチロール担体の代わりにアルミン酸塩担体を利用したが、この担体は、除去させなかった。得られた触媒は、同一の幾何学的形状を有していた。12℃だけ高い浴温度の場合には、比較可能な変換率を得るために、1.35倍だけ反応時間を延長しなければならなかった。この場合、アクロレインおよびアクリル酸の選択率は、94%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
(Mo12Biab(Co+Ni)cdefgh)Ox (I)
〔式中、
Cは、鉄を表わし、
Dは、W、Pの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
Eは、Li、K、Na、Rb、Cs、Mg、Ca、Ba、Srの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
Fは、Ce、Mn、Cr、Vの群から選択された元素少なくとも1つを表わし、
Gは、Nb、Se、Te、Sm、Gd、La、Y、Pd、Pt、Ru、Ag、Auの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
Hは、Si、Al、Ti、Zrの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
および
aは、0.5〜5であり、
bは、0.5〜5.0であり、
cは、2〜15であり、
dは、0.01〜5.0であり、
eは、0.001〜2であり、
fは、0.001〜5であり、
gは、0〜1.5であり、
hは、0〜800であり、
および
xは、酸素とは異なる元素の原子価および頻度によって定められる数である〕で示される中空形材からなる混合酸化物触媒。
【請求項2】
ガス不透過性の中空形材を含む、請求項1記載の混合酸化物触媒。
【請求項3】
ガス透過性の中空形材を含む、請求項1記載の混合酸化物触媒。
【請求項4】
多数の層からなる中空形材を含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の混合酸化物触媒。
【請求項5】
0.5〜5mmの直径を有する中空球体を含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の混合酸化物触媒。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の中空形材からなる混合酸化物触媒の製造法において、式Iの混合酸化物触媒中に含有されている元素の化合物の溶液を混合し、共沈物を製造し、得られた固体を単離し、場合によっては乾燥し、か焼し、得られた微粒状固体を選択的に結合剤と一緒に懸濁液の形で層として有機材料からなる担体上に施こし、この有機材料をこの有機材料上に施こされた層の固化後または固化中に除去することを含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の中空形材からなる混合酸化物触媒の製造法。
【請求項7】
担体は、球体の形を有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
懸濁液を平均粒度分布が0.01〜80μmであるか焼されたかまたは部分か焼された微粒状固体を使用して製造する、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
噴霧乾燥された粉末の平均粒度分布が、場合によっては微粉砕により0.1〜50μmである、請求項6から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
か焼されたかまたは部分か焼された粉末の平均粒度分布を、場合によっては微粉砕により0.01〜30μmの分布に調節する、請求項6または8記載の方法。
【請求項11】
触媒前駆生成物を微粒状固体の施与後に乾燥させ、酸素の存在下で450〜600℃の温度範囲内で温度処理を継続させる、請求項6または10記載の方法。
【請求項12】
オレフィンまたはメチル化芳香族化合物を不活性ガス、水蒸気または反応からの排ガスの存在で、高められた温度で、空気または酸素を用いて酸化することによってアルデヒドおよび酸を製造する方法において、一般式
(Mo12Biab(Co+Ni)cdefgh)Ox (I)
〔式中、
Cは、鉄を表わし、
Dは、W、Pの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
Eは、Li、K、Na、Rb、Cs、Mg、Ca、Ba、Srの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
Fは、Ce、Mn、Cr、Vの群から選択された元素少なくとも1つを表わし、
Gは、Nb、Se、Te、Sm、Gd、La、Y、Pd、Pt、Ru、Ag、Auの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
Hは、Si、Al、Ti、Zrの群から選択された元素の少なくとも1つを表わし、
および
aは、0〜5.0であり、
bは、0.5〜5.0であり、
cは、2〜15であり、
dは、0.01〜5.0であり、
eは、0.001〜2であり、
fは、0.001〜5であり、
gは、0〜1.5であり、
hは、0〜800であり、
および
xは、酸素とは異なる元素の原子価および頻度によって定められる数である〕で示される中空形材からなる触媒を使用することを特徴とする、アルデヒドおよび酸を製造する方法。
【請求項13】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の触媒を使用する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
アクロレインおよびアクリル酸をプロペンから取得する、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
メタクロレインおよびメタクリル酸をイソブテンから取得する、請求項12または13記載の方法。
【請求項16】
ベンズアルデヒドおよび安息香酸をトルエンから取得する、請求項12または13記載の方法。
【請求項17】
オレフィンまたはメチル化芳香族化合物、空気、不活性ガスを1:6〜9:3〜18の比で含有する反応ガス混合物を触媒に衝突させる、請求項12から16までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−520040(P2010−520040A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551149(P2009−551149)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050985
【国際公開番号】WO2008/104432
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】