説明

中空成形方法及び装置

【課題】本発明は、クロスヘッドから垂下した被成形体の内側に内側冷却用金型を挿入して被成形体を冷却し、成形サイクル時間を短縮することを目的とする。
【解決手段】本発明による中空成形方法及び装置は、クロスヘッド(1)から垂下した被成形体(5)の内側に内側冷却用金型(11)を挿入して被成形体(5)を冷却して成形することにより、成形サイクル時間を短縮するようにした方法と構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空成形方法及び装置に関し、特に、クロスヘッドから垂下した被成形体の内側に内側冷却用金型を挿入して被成形体を冷却し、成形サイクル時間を短縮するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種の中空成形方法及び装置としては、例えば、特許文献1に開示されているように、図2で示される方法が主として用いられていた。
すなわち、図2において符号1で示されるものはクロスヘッドであり、このクロスヘッド1の下方位置には、冷却水用ジャケット2A,3Aを有する一対の金型部2,3からなる金型4が型開き及び型閉じ自在に設けられ、前記クロスヘッド1から吐出されたパリソンからなる被成形体5は、各金型部2,3間に位置するように構成されている。
【0003】
前記被成形体5は、パリソン又はパリソンを切断した一対のシート又は一対のシートから構成され、前述の型開き状態でクロスヘッド1から吐出された被成形体5は、図2の(B)で示されるように、一対の金型部2,3で型閉じされた後、図示しないエア吹き込み針を介して被成形体5内へエアを吹き込むことにより、被成形体5の中空成形が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−225996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の中空成形方法及び装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の中空成形方法及び装置においては、パリソン等の被成形体5を成形する際に、被成形体5の外側に各金型部2,3が接するのみであるため、被成形体5を効率的に冷却することができず、被成形体5の冷却に長い時間を要することとなり、成形サイクルを短縮させて生産性を向上させることができなかった。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、被成形体の内側に内側冷却用金型を挿入して被成形体の温度を急速に低下させて成形することにより、成形サイクルを短縮させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による中空成形方法は、クロスヘッドから吐出されるパリソン又はパリソンを切断した一対のシート又は一対のシートからなる被成形体の内側に内側冷却用金型を挿入した状態で、前記被成形体の外側に位置する外側金型を型閉じし、前記被成形体を冷却後、前記外側金型を型開きし、前記内側冷却用金型を前記被成形体の内側から離脱させ、その後、前記外側金型を型閉じすることにより前記被成形体を成形する方法であり、また、前記内側冷却用金型は、冷却水を受け入れるための冷却水用ジャケットが設けられている方法であり、また、前記内側冷却用金型の外形は、前記外側金型の内壁形状に沿って形成されている方法である。
また、本発明による中空成形装置は、クロスヘッドから吐出されるパリソン又はパリソンを切断した一対のシート又は一対のシートからなる被成形体の内側を冷却するための内側冷却用金型と、前記内側冷却用金型の外側で開閉自在に配設された外側金型と、を備え、前記内側冷却用金型は前記外側金型に対して離脱自在に設けられ、前記被成形体内に前記内側冷却用金型を挿入して前記被成形体を冷却後、前記内側冷却用金型を前記被成形体から離脱させ、前記外側金型を型閉じして前記被成形体を成形するようにした構成であり、また、前記内側冷却用金型は、冷却水を受け入れるための冷却水用ジャケットが設けられている構成であり、前記内側冷却用金型の外形は、前記外側金型の内壁形状に沿って形成されている構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明による中空成形方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、クロスヘッドから吐出されるパリソン又はパリソンを切断した一対のシート又は一対のシートからなる被成形体の内側に内側冷却用金型を挿入した状態で、前記被成形体の外側に位置する外側金型を型閉じし、前記被成形体を冷却後、前記外側金型を型開きし、前記内側冷却用金型を前記被成形体の内側、すなわち、前記外側金型の内側から離脱させ、その後、前記外側金型を型閉じすることにより前記被成形体を成形することができるため、クロスヘッドから吐出される被成形体に対して内側と外側から金型で挟むことができ、両面からの冷却を行うことによって従来よりも被成形体の冷却時間を大幅に短縮することができ、成形サイクルを短縮し、生産効率を従来よりも大幅に向上させることができる。
また、外側金型及び内側冷却用金型に冷却水用ジャケットが形成されているため、従来よりも、大幅に冷却効率を向上させることができる。
また、内側冷却用金型の外形が、前記外側金型の内壁形状に沿って形成されているため、被成形体の内側空隙を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による中空成形方法及び装置を示す断面説明図である。
【図2】従来の中空成形方法及び装置を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、クロスヘッドから垂下した被成形体の内側に内側冷却用金型を挿入して被成形体を冷却し、成形時間を短縮するようにした中空成形方法及び装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0010】
以下、図面と共に本発明による中空成形方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号1で示されるものは、図示しない中空成形機のクロスヘッドであり、このクロスヘッド1から吐出されるパリソン等からなる被成形体5は、一層あるいは多層の構成よりなり、この被成形体5は、パリソン、又は、このパリソンを切断した一対のシート、又は、一対のシートから構成されている。
【0011】
前記クロスヘッド1の下方で、かつ、前記被成形体5の外側位置には、一対の金型部2,3からなる外側金型4が型開きおよび型閉じ自在に設けられ、この各金型部2,3の内部には、外部からの冷却水10を受けるための冷却水用ジャケット2A,3Aが形成され、冷却水10の循環供給による外側金型4の冷却が行われるように構成されている。
【0012】
前記外側金型4の内側で、かつ、被成形体5の内側位置には、前記外側金型4の内壁形状に沿って形成され、例えば、断面四角形で円柱状の外形の内側冷却用金型11が、図示しない、例えば、上下動機構によって上下動するように配設されている。尚、前記内側冷却用金型11の外形は、前述の形状に限らず、外側金型4の内壁形状に沿って種々の形状を採用できる。また、前記内側冷却用金型11は、前記外側金型4に対して離脱自在に構成され、前述の上下動に限らず、例えば、前後動、斜め方向に動く斜動、回転する回動等を用いることができる。
前記内側冷却用金型11の冷却水用ジャケット11A内には、図示しない冷却水循環装置からの冷却水12が循環供給されることにより、常時、所定の温度となるように制御されている。
【0013】
次に、前述の構成において、実際に中空成形する場合について説明する。
まず、図1の(A)状態において、クロスヘッド1から下方へ吐出された被成形体5は、その内側に上昇された内側冷却用金型11により冷却が始まり、図1の(B)状態において、外部金型4の各金型部2,3を途中まで型閉じすると、被成形体5の内面5aが内側冷却用金型11の外面11aに接し、かつ、被成形体5の外面5bが各金型部2,3の内面2a,3aに接するため、被成形体5は、外側金型4及び内側冷却用金型11によって急速に冷却される。
【0014】
次に、前述のように、被成形体5の冷却を行った後、図1の(C)状態のように、外部金型4を型開きすると、前記内側冷却用金型11を下方へ下降させ、図1の(D)状態のように、内側冷却用金型11は外側金型4内から完全に抜け出ることができる。
【0015】
その後、図1の(E)状態で示されるように、外側金型4の型閉じを行うことにより、被成形体5の中空成形が行われる。
尚、図1の(E)の状態では、外側金型4による中空成形の際に、図示していないが、エア吹き込み針を被成形体5に挿入して被成形体5内部にエアを吹き込んで中空成形が行われる。
【0016】
以上の成形方法により、クロスヘッド1から吐出された被成形体5の外側と内側から冷却用の各金型4,11で挟み込むことにより、被成形体5の両面を冷却することができ、被成形体を急速に冷却した後に中空成形することができるため、成形サイクル時間を従来よりも大幅に短縮化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明による中空成形方法及び装置は、内側冷却用金型を用いることにより、成形サイクルを短縮し、シート成形の生産性を向上できる。
【符号の説明】
【0018】
1 クロスヘッド
2,3 金型部
4 外側金型
5 被成形体(パリソン等)
5a 内面
5b 外面
2A,3A,11A 冷却水用ジャケット
10 冷却水
11 内側冷却用金型
12 冷却水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロスヘッド(1)から吐出されるパリソン又はパリソンを切断した一対のシート又は一対のシートからなる被成形体(5)の内側に内側冷却用金型(11)を挿入した状態で、前記被成形体(5)の外側に位置する外側金型(4)を型閉じし、前記被成形体(5)を冷却後、前記外側金型(4)を型開きし、前記内側冷却用金型(11)を前記被成形体(5)の内側から離脱させ、その後、前記外側金型(4)を型閉じすることにより前記被成形体(5)を成形することを特徴とする中空成形方法。
【請求項2】
前記内側冷却用金型(11)は、冷却水(12)を受け入れるための冷却水用ジャケット(11A)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の中空成形方法。
【請求項3】
前記内側冷却用金型(11)の外形は、前記外側金型(4)の内壁形状に沿って形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の中空成形方法。
【請求項4】
クロスヘッド(1)から吐出されるパリソン又はパリソンを切断した一対のシート又は一対のシートからなる被成形体(5)の内側を冷却するための内側冷却用金型(11)と、前記内側冷却用金型(11)の外側で開閉自在に配設された外側金型(4)と、を備え、
前記内側冷却用金型(11)は前記外側金型(4)に対して離脱自在に設けられ、前記被成形体(5)内に前記内側冷却用金型(11)を挿入して前記被成形体(5)を冷却後、前記内側冷却用金型(11)を前記被成形体(5)から離脱させ、前記外側金型(4)を型閉じして前記被成形体(5)を成形するように構成したことを特徴とする中空成形装置。
【請求項5】
前記内側冷却用金型(11)は、冷却水(12)を受け入れるための冷却水用ジャケット(11A)が設けられていることを特徴とする請求項4記載の中空成形装置。
【請求項6】
前記内側冷却用金型(11)の外形は、前記外側金型(4)の内壁形状に沿って形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載の中空成形装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−218212(P2012−218212A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83641(P2011−83641)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】