説明

中空樹脂粒子の製造方法

【課題】本発明の課題は、加熱膨張工程を特に必要としない簡便なプロセスにより、小粒径の中空樹脂粒子の製造方法を提供することである。
【解決手段】イソシアネート基およびエポキシ基の少なくとも一方を有する樹脂(B)およびイソシアネート基及びエポキシ基の少なくとも一方と反応する反応基がブロック化された基を有する鎖伸長剤(C)が、溶解度パラメータが7〜11の溶剤(E)に溶解した溶液であって溶液の重量に基づいて樹脂(B)および鎖伸長剤(C)の濃度が0.1〜40重量%である溶液を、水および界面活性剤(A)の混合物中に分散させ、樹脂(B)中のイソシアネート基およびエポキシ基と鎖伸長剤(C)中の反応基とを反応させた後、溶剤(E)を系外に留去または水中に抽出して除去することにより中空樹脂粒子(D)の水性分散体(X)を得ることを特徴とする、中空樹脂粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空樹脂粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、小粒径の中空樹脂粒子の簡便な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空樹脂粒子としては低沸点炭化水素とビニルモノマーの均一混合液を水性媒体中で懸濁重合を行い熱膨張性マイクロカプセルを製造した後、加熱膨張を行うことにより中空樹脂粒子を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら熱膨張性マイクロカプセルを加熱膨張した中空樹脂粒子は製造プロセス上、加熱膨張工程を有するため、およそ30μm以下の小粒径化が困難である。
【0004】
また、加熱膨張工程を含まない中空樹脂粒子の製造方法として、樹脂微粒子の水性分散液中に、樹脂溶液を分散させ、溶液中の溶剤により樹脂微粒子を造膜させたのち、溶剤を除去する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら樹脂微粒子を使用して製造した中空樹脂粒子は、粒子を造膜させた樹脂と、分散させた樹脂溶液由来の樹脂が共存することから、中空樹脂粒子の物性の調整が困難である。
【0006】
【特許文献1】国際公開W099/43758号パンフレット
【特許文献2】特開2007−126533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、およそ30μm以下の粒径の小さい中空樹脂粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、イソシアネート基およびエポキシ基の少なくとも一方を有する樹脂(B)およびイソシアネート基及びエポキシ基の少なくとも一方と反応する反応基がブロック化された基を有する鎖伸長剤(C)が、溶解度パラメータ(以下SP値と記載する。)が7〜11の溶剤(E)に溶解した溶液であって溶液の重量に基づいて樹脂(B)および鎖伸長剤(C)の濃度が0.1〜40重量%である溶液を、水および界面活性剤(A)の混合物中に分散させ、樹脂(B)中のイソシアネート基およびエポキシ基と鎖伸長剤(C)中の反応基とを反応させた後、溶剤(E)を系外に留去または水中に抽出して除去することにより中空樹脂粒子(D)の水性分散体(X)を得ることを特徴とする、中空樹脂粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加熱膨張工程を特に必要としない簡便なプロセスにより、およそ30μm以下の小粒径の中空樹脂粒子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において用いられる樹脂(B)には、イソシアネート基を有する樹脂(B1)およびエポキシ基を有する樹脂(B2)がある。樹脂(B1)としては、例えばイソシアネート基濃度(以下NCO%と略記)が1〜50重量%のウレタンプレポリマー、イソシアネート基を有するウレタン樹脂が挙げられる。このうち好ましいものはNCO%1〜10重量%のものである。(B1)の数平均分子量は、500〜100,000が好ましく、さらに好ましくは2,000〜30,000のものが用いられる。
【0011】
樹脂(B1)を製造するためのポリイソシアネート(B11)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く)2〜12の脂肪族ポリイソシアネート[エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等];炭素数(NCO基中の炭素を除く)4〜15の脂環式ポリイソシアート[イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート等];炭素数(NCO基中の炭素を除く)8〜12の芳香族/脂肪族ポリイソシアネート[キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等];芳香族ポリイソシアネート[トリレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート等]および/またはこれらの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基および/またはウレア基を有するジイソシアネート);およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。官能基数が3以上のポリイソシアネートの使用量はジイソシアネートに対して30重量%以下である。必要に応じてジイソシアネートとともにイソシアネート基数が3以上のポリイソシアネートを使用することができる。該ポリイソシアネートの使用量はジイソシアネートに対して30重量%以下である。
【0012】
これら(B11)として例示したもののうち、好ましいものは脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)およびジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)である。
【0013】
イソシアネート基を有する樹脂(B1)を製造するためのポリオール(B12)としてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、シリコンポリオール、ポリブタジエンポリオール、フッ素含有ポリオール、ポリマーポリオール、グリシジル基含有ポリオールおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものはポリエステルポリオールであり、特に好ましいものは水酸基数が2であるポリエステルジオールである。必要に応じてポリエステルジオールとともに水酸基数が3以上のポリオールを使用することができる。該ポリオールの使用量はジオールに対して30重量%以下である。(B12)の数平均分子量は通常100〜10000、好ましくは500〜3000である。
【0014】
ポリエーテルポリオールとしては、2個以上の活性水素原子を有する化合物(たとえば多価アルコール、多価フェノールなど)にアルキレンオキサイドが付加した構造の化合物およびそれらの混合物があげられる。これらのうち好ましい物は、異種のアルキレンオキサイド、例えばPOとEOがブロック状に付加したポリエーテルポリオールである。
【0015】
上記多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール、および環状基を有するジオール(たとえば、特公昭45−1474号公報明細書に記載のもの)などの多価アルコールが挙げられる。多価フェノールとしてはピロガロール、ハイドロキノン、フロログルシンなどの単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォンなどのビスフェノール類などが挙げられる。これらのうち好ましいものは多価アルコールである。
【0016】
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、1,3−、1,4あるいは2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等、およびこれらの2種以上の併用(ブロックまたはランダム付加)が挙げられる。これらのうち好ましいものはEOとPOの併用であって、ブロック付加の形で用いることがさらに好ましい。
【0017】
ポリエステルポリオールとしては、例えば低分子ポリオールとポリカルボン酸との縮合重合によるもの、ラクトンの開環重合によるものおよびこれらの2種以上の混合物、混合変成体が挙げられる。
【0018】
該低分子ポリオールとしては、例えば脂肪族低ジオール類[エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなど];環状基を有するジオール類[例えば特公昭45−1474号公報に記載のもの:1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−またはp−キシリレングリコールなど]等およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0019】
該ポリカルボン酸の具体例としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0020】
上記のラクトンとしてはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
【0021】
本発明において用いられるエポキシ基を有する樹脂(B2)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。エポキシ基を有する樹脂(B2)として好ましいものは、硬化物の機械的性質の観点から分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。エポキシ基を有する樹脂(B2)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1,000であり、さらに好ましいのは90〜500である。エポキシ当量が1,000以下であると、架橋構造が密であり硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が良くなる。(B2)の数平均分子量は、500〜100,000が好ましく、さらに好ましくは2,000〜30,000のものが用いられる。
【0022】
エポキシ基を有する樹脂(B2)の例としては、芳香族系ポリエポキシ化合物、複素環系ポリエポキシ化合物、脂環族系ポリエポキシ化合物あるいは脂肪族系ポリエポキシ化合物が挙げられる。芳香族系ポリエポキシ化合物としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル体およびグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、並びに、アミノフェノールのグリシジル化物等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tret−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、リモネンフェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、またはホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体等が挙げられる。多価フェノールのグリシジルエステル体としては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。さらに、本発明において前記芳香族系として、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル、トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマーおよびビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテル体も含む。複素環系ポリエポキシ化合物としては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる;脂環族系ポリエポキシ化合物としては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。また、脂環族系としては、前記芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む;脂肪族系ポリエポキシ化合物としては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、およびグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート等が挙げられる。グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。また、本発明において脂肪族系としては、ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。これらのうち、好ましいのは、脂肪族系ポリエポキシ化合物および芳香族系ポリエポキシ化合物である。本発明のエポキシ基を有する樹脂(B2)は、2種以上併用しても差し支えない。
【0023】
本発明において使用される、鎖伸長剤(C)のブロック化された反応基は、水との反応により解離し、イソシアネート基又はエポキシ基と反応する。鎖伸長剤(C)としては2個以上の活性水素基を有する化合物において、その活性水素基がブロック(封鎖)された化合物であり、例えばカルボン酸、アミン、アミン系ポリオール、アルカノールアミンのブロック化物が挙げられる。このうち好ましいのは、アミンをブロックしたものである。必要に応じて活性水素基を3個以上有するもののブロック化物を使用することができる。この場合の活性水素基を3個以上有するもののブロック化物の使用量は、活性水素基を2個有するもののブロック化物の30重量%以下であることが好ましい。
【0024】
本発明において使用される、ブロックアミンとして、ケチミン型、オキサゾリジン型、エナミン型、アルジミン型、およびこれらの混合物が挙げられる。このうち好ましいのは、ケチミン型、およびオキサゾリジン型である。
【0025】
ポリアミンをブロックするためのブロック化剤としては、アセトン、メチルエチルケトン(以下MEKと略記)、メチルイソブチルケトン(以下MIBKと略記)、等のケトン化合物が挙げられる。これらのうち好ましいのはアセトン、MEKである。
【0026】
ポリアミンをブロックする方法としては特に限定されず公知の方法を用いてよく、例えば、ジアミンとケトン化合物の混合物を加熱し、生成した水を除去する方法が例示できる。
【0027】
ブロックアミンに使われる該ポリアミンとしては、芳香族ジアミン[ジエチルトルエンジアミン、2,4または2,6−ジメチルチオトルエンジアミン等]、脂環式ジアミン[4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、等]および脂肪族ジアミン[1,2−エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン]が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂環式ジアミンである。
【0028】
カルボン酸ブロック化剤としては、アルキルビニルエーテル[メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等]およびアリルエーテルが挙げられる。これらのうち好ましいものはビニルエーテルである。
【0029】
アミン系ポリオール、およびアルカノールアミンのブロック化剤としては、有機酸[ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸等]が挙げられる。
【0030】
本発明における鎖伸長剤(C)の使用量は、イソシアネート基およびエポキシ基の少なくとも一方を有する樹脂(B)のイソシアネート基またはエポキシ基1当量に対し、通常0.5〜1.5当量、好ましくは0.7〜1.2当量である。この範囲外では良好な機械的物性を有する樹脂粉末が得られない。
【0031】
本発明に用いる溶剤(E)の溶解度パラメータ(以下、SP値と記載。) は、7〜11であり、8〜10.5が好ましい。SP値が7未満であると親水性が低いため、水性分散体(X)を得るための操作である、溶剤(E)を系外に留去または水中に抽出することが難しくなり、SP値が11を超えると疎水性が低いため、水および界面活性剤(A)の混合物中への分散性が悪くなる。
なお、SP値は、Polymer Engineeringand Science,Feburuary,1974,Vol.14,No.2,P.147〜154に記載のFedors法によって計算される値であり、次式で表せる。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
但し、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm)を表す。
また、ΔH及びVは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(151〜153頁)」に記載の原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)を用いることができる。
この数値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(相溶性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。
【0032】
溶剤(E)の具体例としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系またはエステルエーテル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。これらのうち好ましいものは、トルエン、キシレン、および酢酸エチルである。
【0033】
本発明において使用される界面活性剤(A)は、特に限定されないが、分散安定性の観点から、保護コロイドとして機能するものが好ましい。
【0034】
保護コロイドとして機能する界面活性剤(A)としては、樹脂(B)と親和性を有する部分(A1)と、親水性を有する部分(A2)から構成されており、(A1)と(A2)の結合形態は特に限定されないが、エステル結合、ウレタン結合が好ましく、特にウレタン結合が好ましい。例えば(A1)を構成する化合物、(A2)を構成する化合物およびジイソシアネート、またはジカルボン酸無水物を混合攪拌しながら加熱することにより界面活性剤(A)を作成することができる。
【0035】
(A1)を構成する化合物は、上記樹脂(B)に用いられたものと同一または近似の構造を有するものが好ましく、その数平均分子量は通常500〜10,000である。
【0036】
(A1)を構成する化合物はSP値が通常8〜12のものが使用でき、樹脂(B)とのSP値差が0.5以下のものが特に好ましい。
【0037】
(A2)を構成する化合物としては、オキシエチレン単位が通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上含む数平均分子量が通常500〜10,000、好ましくは1,000〜6,000のポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。具体的にはポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンプロピレングリコール、ポリエチレングリコールPO(プロピレンオキシド)、EO(エチレンオキシド)ランダム付加物(PO、EOの割合は、重量比で80/20〜20/80)等が挙げられる。これらのうち好ましいのはポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールPO、EOランダム付加物である。
【0038】
(A1)と(A2)の割合は、重量比で好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30である。
【0039】
樹脂(B)がイソシアネート基を有する樹脂の場合、好ましい界面活性剤(A)の(A1)の具体例として、例えば、ポリエチレンアジペートジオール(SP値=10.9)、ポリエチレンブチレンアジペートジオール(SP値=10.7)、ビスフェノールAのPO2モル付加物とテレフタル酸の縮重合物(SP値=10.1)、ポリカプロラクトンジオール(SP値=10.2)などが挙げられる。
【0040】
樹脂(B)がエポキシ基を有する樹脂の場合、好ましい界面活性剤(A)の(A1)の具体例として、例えば、ポリプロピレングリコール(SP値=8.7)、ポリテトラメチレンエーテルジオール(SP値=9.0)、ポリヘキサメチレンポリカーボネートジオール(SP値=9.8)などが挙げられる。
【0041】
溶液の重量に基づく樹脂(B)および鎖伸長剤(C)の溶剤(E)溶液中の合計の濃度は、0.1〜40重量%であり、3〜35重量%であることが好ましい。濃度が40重量%を超えると中空樹脂粒子が中空形状になりにくく、0.1重量%を下回ると中空樹脂粒子のシェル強度が弱くなる。
【0042】
樹脂(B)および鎖伸長剤(C)の溶剤(E)溶液を水および界面活性剤(A)の混合物中に分散させる際、分散時の温度としては、好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは5〜40℃である。圧力は好ましくは0〜1MPa、さらに好ましくは0〜0.3MPaである。
【0043】
水および界面活性剤(A)の混合物中への樹脂(B)および鎖伸長剤(C)の溶剤(E)溶液の分散方法としては特に限定されず、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波式等の公知の設備が使用できる。このうち好ましい物は高速せん断式である。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1,000〜30,000rpm、好ましくは2,000〜10,000rpmである。分散時間は特に限定はないが、通常0.1〜5分である。
【0044】
樹脂(B)と鎖伸長剤(C)の反応温度、および反応時間は特に限定はないが、好ましい反応温度は0〜80℃、より好ましくは20〜60℃である。また、好ましい反応時間は1時間〜40時間、より好ましくは5時間〜20時間である。
【0045】
溶剤(E)を系外に留去または水中に抽出して除去する方法としては、例えば以下の〔1〕〜〔3〕及びこれらを組合せた方法等が適用できる。
〔1〕一般的な攪拌脱溶剤槽やフィルムエバポレータ等において、加熱及び/又は減圧により脱溶剤する方法。減圧する際の減圧度(ゲージ圧)は、−0.03MPa以下が好ましく、より好ましくは−0.05MPa以下である。
〔2〕液面、あるいは液中において不活性ガスをブローして脱溶剤する方法。
〔3〕第3工程までで製造された水性分散液を水性媒体で希釈し、(E)を水連続相中に抽出する方法。
これらのうち、〔1〕の方法が好ましい。
【0046】
溶剤(E)を除去する時間としては、生産性の観点から48時間以内が好ましく、より好ましくは36時間以内、最も好ましくは30時間以内である。
【0047】
溶剤(E)の残存量としては水性分散体(X)に対して、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、最も好ましくは5重量%以下である。
【0048】
水性分散体(X)から水性媒体を除去することにより中空樹脂粒子(D)を取り出せる。
水性媒体を除去する方法としては特に限定されず、例えばろ過を行う方法、遠心分離する方法、凍結乾燥する方法等が適用できる。
また、得られた中空樹脂粒子(D)を乾燥するには、循風乾燥機、スプレードライヤー、流動層式乾燥機等の公知の設備を用いて行うことができる。
【0049】
本発明の中空樹脂粒子(D)の体積平均粒径Dは、好ましくは0.1μm以上50μm以下であり、粉体としての安定性の観点からより好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上であり、中空構造の安定性の観点からより好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。
また、(D)の粒度分布の幅を示す指標である[体積平均粒子径]/[個数平均粒子径]は粉体流動性の観点から1.0〜1.3が好ましく、1.0〜1.2がさらに好ましい。
樹脂粒子(D)の体積平均粒径DV及び個数平均粒子径DNはフロー式粒子像解析装置、例えばシスメックス株式会社製:FPIA−2100を使用し、試料は例えば水性分散体(X)をイオン交換水で希釈したものを用い測定することができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、特に記載のないかぎり、「部」は「重量部」、%は重量%を意味する。
【0051】
特性値の測定方法は以下の通りである。
【0052】
<体積平均粒子径>
体積平均粒子径および粒度分布の測定は、フロー式粒子像分析装置を用い、以下の条件で測定した。
装置 :シスメックス社製 FPIA−3000
測定範囲 :0.5μm〜200μm
【0053】
<比重>
10mlのメスシリンダーに中空樹脂粒子(D)を正確に0.1g量りとり、その容器にイオン交換水を総量が10mlになるよう入れる。その際入れたイオン交換水の重量を測定しておき、下記式により比重を算出する。
【0054】
【数1】

【0055】
<分子量>
分子量測定に際しては、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法により、以下の条件で測定した。
装置 :東ソー(株)製 HLC−8120
カラム :TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 :40℃
溶液注入量:100μL
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン
【0056】
<製造例1>イソシアネート基を有する樹脂(B1−1)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、ジメチルシリコーンの両末端を水酸基で変性したポリヘキサメチレンイソフタレートジオール(Mn2,000、ヒドロキシル価56)171.4部を投入し3mmHgの減圧下で120℃に加熱して2時間脱水を行った。続いてイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと記載)28.6部、テトラハイドロフラン350部を投入し、110℃で10時間反応を行い、イソシアネート基含量1.8%のイソシアネート基を有する樹脂(B1−1)200部を合成した。(B1−1)の数平均分子量は4700であった。
【0057】
<製造例2>エポキシ基を有する樹脂(B2−1)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、グリシジルメタクリレート40部、メチルメタクリレート63部、スチレン136部、重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル0.1部、キシレン500部とを混合しておき、窒素雰囲気下80℃で3時間反応を行い、エポキシ基含量6.1%のエポキシ基を有する数平均分子量3940の樹脂(B2−1)200部を合成した。(B2−1)のエポキシ当量は655であった。
【0058】
<製造例3>ジケチミン化合物(C−1)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン(以下、IPDAと記載)54部とメチルエチルケトン(以下、MEKと記載)46部、およびノルマルヘキサン200部を仕込み、70℃で10時間反応を行った後、分液により水を除去し、IPDA1分子とMEK2分子からなるジケチミン化合物[鎖伸長剤(C−1)]を得た。
【0059】
<製造例4>ジオキサゾリジン化合物(C−2)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、IPDIを47部と2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)1,3−オキサゾリジン53部、およびノルマルヘキサン200部を仕込み、70℃で10時間反応を行い、ジオキサゾリジン化合物[鎖伸長剤(C−2)]を得た。
【0060】
<製造例5>界面活性剤(A−1)の製造
攪拌棒および温度計をセットした4つ口フラスコに、ポリカプロラクトンジオール(SP値=10.2)(分子量2000)787部、ポリエーテルジオール(分子量4000、EO含量50重量%、PO含量50重量%)800部を仕込み、120℃で減圧脱水した。脱水後の水分は0.05%であった。次いでHDI55.5部、水添MDI65.5部およびジブチル錫ジラウレート0.6部を添加し80℃で5時間反応を行い、界面活性剤(A−1)を得た。
【0061】
<製造例6>界面活性剤(A−2)の製造
攪拌棒および温度計をセットした4つ口フラスコに、ポリヘキサメチレンポリカーボネートジオール(SP値=9.8)(分子量2000)787部、ポリエーテルジオール(分子量4000、EO含量50重量%、PO含量50重量%)800部を仕込み、120℃で減圧脱水した。脱水後の水分は0.05%であった。次いでHDI55.5部、水添MDI65.5部およびジブチル錫ジラウレート0.6部を添加し80℃で5時間反応を行い、界面活性剤(A−2)を得た。
【0062】
<実施例1>中空樹脂粒子の製造
ビーカー内にイソシアネート基を有する樹脂(B1−1)95.1部、鎖伸長剤ジケチミン化合物(C−1)4.9部、溶剤キシレン(E−1)(SP値8.8)270部とを混合、溶解し溶液(L−1)を得た。(B1−1)及び(C−1)の溶液(L−1)の重量に基づく合計の濃度は27.0%であった。溶液(L−1)を界面活性剤(A−1)80部を溶解した水1616部に添加し、25℃でウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数9,000rpmで1分間混合、分散した後、70℃で12時間反応を行った。
分散液をフィルムエバポレータで減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤した後、分級した。次に乾燥機中で40℃で1時間乾燥し、本発明の中空樹脂粒子(D−1)を得た。また、上記の評価を行い、結果を表1に示した。
【0063】
<実施例2>
ビーカー内に樹脂(B1−1)0.9部、鎖伸長剤ジケチミン化合物(C−2)0.1部、溶剤ペンタン(E−2)(SP値7.0)1000部とを混合、溶解し溶液(L−2)を得た。(B1−1)及び(C−2)の溶液(L−2)の重量に基づく合計の濃度は0.1%であった。溶液(L−2)を界面活性剤(A−1)120部を溶解した水3500部に添加し、25℃でウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数9,000rpmで1分間混合、分散した後、70℃で12時間反応を行った。
分散液をフィルムエバポレータで減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤した後、分級した。次に乾燥機中で40℃で1時間乾燥し、本発明の中空樹脂粒子(D−2)を得た。また、上記の評価を行い、結果を表1に示した。
【0064】
<実施例3>
ビーカー内にエポキシ基を有する樹脂樹脂(B2−1)84.4部、ジケチミン化合物(C−1)15.6部、溶剤ペンタン(E−2)(SP値7.0)150部とを混合、溶解し溶液(L−3)を得た。(B2−1)及び(C−1)の溶液(L−3)の重量に基づく合計の濃度は40%であった。溶液(L−3)を界面活性剤(A−2)80部を溶解した水1600部に添加し、25℃でウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数9,000rpmで1分間混合、分散した後、70℃で12時間反応を行った。
分散液をフィルムエバポレータで減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤した後、分級した。次に乾燥機中で40℃で1時間乾燥し、本発明の中空樹脂粒子(D−3)を得た。また、上記の評価を行い、結果を表1に示した。
【0065】
<実施例4>
ビーカー内に樹脂(B2−1)0.8部、ジケチミン化合物(C−2)0.1部、溶剤メチルセロソルブ(E−3)(SP値11)1000部とを混合、溶解し溶液(L−4)を得た。(B2−1)及び(C−2)の溶液(L−4)の重量に基づく合計の濃度は0.1%であった。溶液(L−4)を界面活性剤(A−2)200部を溶解した水4000部に添加し、25℃でウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数9,000rpmで1分間混合、分散した後、70℃で12時間反応を行った。
分散液をフィルムエバポレータで減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤した後、分級した。次に乾燥機中で40℃で1時間乾燥し、本発明の中空樹脂粒子(D−4)を得た。また、上記の評価を行い、結果を表1に示した。
【0066】
<実施例5>
ビーカー内に樹脂(B2−1)78.3部、ジケチミン化合物(C−2)21.7部、溶剤メチルセロソルブ(E−3)(SP値11)150部とを混合、溶解し溶液(L−3)を得た。(B2−1)及び(C−1)の溶液(L−3)の重量に基づく合計の濃度は40%であった。溶液(L−3)を界面活性剤(A−2)80部を溶解した水1550部に添加し、25℃でウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数9,000rpmで1分間混合、分散した後、70℃で12時間反応を行った。
分散液をフィルムエバポレータで減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤した後、分級した。次に乾燥機中で40℃で1時間乾燥し、本発明の中空樹脂粒子(D−5)を得た。また、上記の評価を行い、結果を表1に示した。
【0067】
<比較例1>
脱イオン水120重量部、20%コロイダルシリカ水溶液21.6重量部、アジピン酸−ジエタノールアミン縮合物1.0重量部及び硫酸ナトリウム42重量部を均一に混合した後、これに、アクリロニトリル39.5重量部(745ミリモル)、メチルメタクリレート10重量部(100ミリモル)、n−ペンタン13重量部及びアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部からなる溶液を加え、ホモミキサー(特殊機械(株)製 ROBOMICS、4000rpm)を用いて2分間撹拌して、懸濁液を得た。この懸濁液を耐圧反応容器に移し、ゲージ圧0.25MPa、60℃にて20時間重合させた。次いで分級後、乾燥機中で40℃で1時間乾燥した。さらに電気炉中で100℃、30分間加熱膨張工程を行い、比較用中空樹脂粒子(R−1)を得た。また、体積平均粒子径、比重の評価を行い、結果を表1に示した。
【0068】
本発明によれば、多量のエネルギーを必要とする加熱膨張工程を必要としない簡便なプロセスにより、およそ30μm以下の小粒径かつ低比重の中空樹脂粒子を得ることができることが判った。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の中空樹脂粒子の製造方法により製造される樹脂粒子は、汎用樹脂のフィラー、塗料用添加剤、電子部品等の用途に幅広く用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基およびエポキシ基の少なくとも一方を有する樹脂(B)、およびイソシアネート基及びエポキシ基の少なくとも一方と反応する反応基がブロック化された基を有する鎖伸長剤(C)が、溶解度パラメータが7〜11の溶剤(E)に溶解した溶液であって溶液の重量に基づいて樹脂(B)および鎖伸長剤(C)の濃度の合計が0.1〜40重量%である溶液を、水および界面活性剤(A)の混合物中に分散させ、樹脂(B)中のイソシアネート基およびエポキシ基と鎖伸長剤(C)中の反応基とを反応させた後、溶剤(E)を系外に留去または水中に抽出して除去することにより中空樹脂粒子(D)の水性分散体(X)を得ることを特徴とする、中空樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
鎖伸長剤(C)のブロック化された基が、水との反応により、イソシアネート基又はエポキシ基と反応する反応基に解離する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
鎖伸長剤(C)がブロックアミンである請求項1又は2に記載の製造方法。


【公開番号】特開2009−96960(P2009−96960A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272448(P2007−272448)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】